NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2002年10月前半分

エネルギー

ケープコッド沖の風力データ収集プロジェクトに一時差止命令(2002/10/1号)

マサチューセッツ州ケープコッド沖に高さ197フィートの風力データ測定塔を建設する計画(Cape Wind Associates社)に対し、裁判所が一時差止命令を下した。これは、米国陸軍技術部隊による建設許可証の発行は州法違反として、納税市民グループ、漁業グループ及び船舶グループが訴訟した結果。

 

メキシコ政府、冷蔵庫とエアコンの新しい省エネ基準を発表(2002/10/4号)

メキシコ政府がエアコンの新しい省エネルギー基準を発表。この省エネ基準により、2002年内に110GWhのエネルギー削減を予測。また、2003年1月には冷凍庫・冷蔵庫に関する新しい省エネ基準も発表の予定。さらに、冷蔵庫等の買い替え促進の資金的インセンティブも検討中。

 

上下両院協議会によるエネルギー法案の審議が停滞(2002/10/7号)

上下両院協議会によるエネルギー法案の審議が、事実上停止。これは、上院が提案した気候変動条項が反対多数で下院で否決され、上院と下院の対立が大きくなったため。エネルギー法案の審議は、何ら合意に至っておらず、審議の行方が混沌としている。

 

大統領の科学技術政策諮問委員会(PCAST)、エネルギー効率改善推進を提言(2002/10/8号)

大統領の科学技術政策諮問委員会(President's Council of Advisors on Science and Technology = PCAST)は9月30日の会合で、エネルギー効率改善の推進を求める報告書を採択。この中で、石炭火力発電所の発電効率改善、超伝導技術導入による送電効率改善、分散型発電技術の利用拡大、DSM(demand-side management)による電力の有効利用のエネルギー効率の改善を進言。

 

トヨタ自動車販売、北米で最大の屋根モジュール型太陽電池システムを導入(2002/10/9号)

カリフォルニアにあるトヨタ自動車販売のアメリカ本社で、商業用としては北米で最大となるPowerLight Inc.社製の屋根モジュール型太陽電池システムの導入を決定。発電能力501kw(一般住宅500件以上の昼間の消費電力に相当)、面積は52000f2(約4830F)、25年間使用可能。

 

上下両院協議会の協議員、エネルギー法案取りまとめ作業の終了を疑問視(2002/10/10号)

北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge)の石油掘削や気候変動、電力、エタノール条項に関する意見の相違を調整する何らかの取引が浮上してこない限り、エネルギー法案に関する上下両院協議会が10月7日〜11日再開されることはないと見られている。

 

米国議会、論争条項を含まない、規模縮小版のエネルギー法案を検討中(2002/10/10号)

包括エネルギー法案の合意が未だに予想がつかない状況の中、中間選挙の為の休会を控え、議会は規模を縮小したエネルギー法案を検討。「Energy Lite」と呼ばれる法案は、エタノール消費量倍増に重点をあて、北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge)、気候変動、再生可能エネルギー・インセンテイブを含まないもの。

 

司法省が、カリフォルニア州の自動車燃費規制に関し、裁判所に意見書を提出(2002/10/11号)

司法省は、自動車メーカーが「カリフォルニア州のゼロエミションビークルプログラムは、連邦政府の燃費基準規制と重複し違法。」という訴訟に関し、メーカーの主張を後押しする意見書を裁判所に提出。Gray Davisカリフォルニア州知事(民主党)は、連邦政府の介入に関して失望の意を表明。


環境

環境保護庁のWhitman長官、気候リーダー計画の開始6ヶ月を祝う(2002/10/1号)

環境保護庁(EPA)のChristie Whitman長官は9月30日、ブッシュ政権の気候リーダー計画(Climate Leaders Program)の開始6ヵ月を記念したシカゴでの会合に参加。この場で長官は、参加する30企業全てに感謝の辞を述べる一方、自社の排出目録の策定と排出削減目標の設定を先頃完了させた5社の努力を称賛。

 

環境保護庁、ディーゼル・エンジン製造会社に条件付き仮認証を授与(2002/10/1号)

大型ディーゼル・エンジンの新規制が10月1日から開始されるが、環境保護庁(EPA)は、エンジンメーカーが提出した新型エンジンのデータが連邦基準を満たしているかを判断するまでの間、条件付きの仮認証を付与。今回、条件付きの仮認証を受けたのは、Volvo Truck、Mack Trucks、Caterpillar社。

 

NASAが“南極大陸のオゾンホールは縮小”と報告(2002/10/2号)

NASAとNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)は、南極大陸のオゾンホールが大幅に縮小していると報告。これは、モントリオールプロトコルによるオゾン破壊ガスの排出抑制の効果というよりも、昨年は南極の気温が高かったことや成層圏が不安定な状況にあったなど気候的な要因によるものと分析。

 

新ディーゼル規制によりトラック製造台数が激減(2002/10/2号)

環境保護局(EPA)が新しく導入したディーゼルエンジンの規制により、トラック製造台数が激減。一部のトラック製造メーカーやエンジンメーカーでは、従業員の一時解雇も実施の予定。アナリストによるとこの状況は悲観的で、2003年の中頃まで状況が続くとの分析。

 

排出削減技術の開発で世界をリードするCorning社(2002/10/3号)

テレコム会社として知られるCorning社が、世界のディーゼル用フィルターと基板で既に第一位の座を確立し、民間部門における排出削減技術開発努力をリード。同社環境技術部門の売上は2001年に3億7,900万ドルであるが、今年は4億2,100万ドルまでの増大を期待。

 

ミネソタ州の工場が、環境保護庁(EPA)からの公害基準違反の指摘を甘受(2002/10/4号)

ミネソタ州にある12ヶ所のエタノール工場は、最新式の公害防止対策装置の導入資金を受け取る代わりに、工場がこれまで公害基準違反をしていたことを認め、罰金を支払うことで環境保護庁(EPA)と同意。今回の受け入れが前例となり、全米に大きな影響を及ぼすものと考えられる。

 

米国研究者らが中国の異常気象は煤(すす)が原因であると指摘(2002/10/4号)

NASAや全米科学財団(NSF)、気象システム研究センター(Center for Climate System Research)の研究者らは、中国やインドで起こっている異常気象は、石炭や燃料の不完全燃焼により生じる煤などが大きな原因であると指摘。

 

環境保護庁の自由市場型排出権取引プログラムが州政府排出権取引努力を妨害(2002/10/8号)

環境保護庁(EPA)の監察総監(Inspector General = IG)は9月30日に「自由市場型排出権取引プログラムの強化 (Open Market Trading Program for Air Emissions Needs Strengthening)」という報告書を発表し、EPAが州政府プログラムを査定する拘束力を規定しなかったため、州政府OMTプログラムの効果が損なわれていると批判。

 

米国公益研究団体、ディーゼル排出は発癌リスクを高めると報告(2002/10/8号)

米国公益研究団体(U.S. Public Interest Research Group = USPIRG)の報告書では、米国人の発癌リスクは2,100人に1人で、クリーンエア法の制定する1万人に1人というリスク基準を約500倍上回ると発表。ディーゼルを燃料とするトラック、バスなどから放出される煤煙が発癌リスクの主要原因と指摘。発癌リスクが高い地域は、ニューヨーク州、ニュージャージー州、コロンビア特別区、メリーランド州。

 

州政府が環境保護庁(EPA)に環境規制法の運用自由化を要求(2002/10/9号)

州政府環境機関会議(The Environmental Council of the States=ECOS)が、環境保護庁(EPA)が行う環境規制関連の検査・指導について、運用を自由化するための法案を準備し、議会に提出する予定。

 

地球温暖化現象により金融業界が大きなダメージ(2002/10/9号)

国連環境プログラム(United Nations Environment Program=UNEP)の報告書によると、世界的な温暖化現象による異常気象の被害により、再保険業者や銀行が支払い不能になったり破産に追い込まれ、金融業界に脅威を与えているという。

 

ホワイトハウスが、環境保護庁に「残存性有害物質の使用禁止法令」検討を指示(2002/10/11号)

ホワイトハウスは、昨年ブッシュ大統領はが著名した“残存性有害物質の使用規制に関するストックホルム協定”に関連し、環境保護庁(EPA)に実行案の検討を指示。


サイエンス・テクノロジー

全米科学財団(NSF)、科学技術政策研究所(S&TPI)の根本的な改造を提言(2002/10/1号)

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)の査定委員会は、ホワイトハウス科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy = OSTP)の諮問機関である科学技術政策研究所(Science and Technology policy Institute = S&TPI)を根本的に改造する必要があることを提言。

 

全米研究委員会の報告書、連邦政府の情報技術投資を賞賛(2002/10/1号)

全米研究委員会(National Reserch Council = NRC)が作成した新報告書「情報技術研究、技術革新、および、E-政府 (Information Technology Research, Innovation, and E-government)」によると、連邦政府のIT研究開発投資は、コンピューター科学の進歩及びE-政府プログラムや活動の効率化に大きく貢献とのこと。

 

データ詐称事件の影響も受けず、分子エレクトロニクス技術の研究が活発化(2002/10/2号)

約1年前、ベル研究所に起こったデータ詐称というスキャンダラスな事件にも関わらず、分子エレクトロニクスの研究者達は活発に研究を進めており、全米各地で確実に成果をあげているという。

 

ミシガン州で大規模な水素エネルギーシステムを使った工業団地の建設が発表(2002/10/4号)

DTE Energy社が、エネルギー省(DOE)と協力して、大規模な水素エネルギーシステムを導入した新たな工業団地の建設を発表。水素エネルギーをメインの供給源とする初めての試みで、総額は300万ドル、年間発電量は1万5000kWh、2005年までに運用開始の予定。

 

特許権取得競争の過熱が技術革新を阻害(2002/10/7号)

ハイテク企業による特許権取得競争が過熱しており、技術革新を遅らせているという。米国のハイテク企業は、特許から得られる使用許諾料などは主要な収入源の1つとなっているが、大企業は、自らのR&D投資を守るような特許対応をしていることから、製品の開発スピードが小さな企業に比べて遅くなるとのこと。

 

Rensselaer Polytechnic研究所でナノチューブ溶接技術の開発に成功(2002/10/7号)

ニューヨーク州のRensselaer Polytechnic研究所で、新たなナノチューブ溶接技術の開発に成功。Dr. Ajayan氏によると、高電圧の電子顕微鏡を用い、シングルウォールドナノチューブの電位的特性に影響を与えず溶接が可能で、極めて重要な技術であるという。さらに、溶接装置を安価にするため、イオンビームを用いた技術の開発に現在取組中。

 

米国で磁気浮上式高速鉄道の建設が再浮上(2002/10/7号)

米国で磁気浮上式高速鉄道の建設が、新しい交通システムの1つとして議会で再検討案が浮上。これは、中国での今年度末完成予定を受けてのこと。(ドイツTransrapid International社が技術提供)高速運転だけでなく、運転費用やメンテナンス費用が33%も少ないことにも着目。

 

10年以内に実現が期待される自動運転技術(2002/10/8号)

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)のJames Albus氏は、高速道路走行の為の自動運転技術がここ10年間で実現する可能性があると建設部門のオートメ化・ロボット化に関する第19回国際シンポジウムで基調演説の中で予告。

 

デュケイン大学の研究者が水から水素ガスを製造するための新しい触媒を発見(2002/10/9号)

ペンシルベニア州にあるデュケイン大学(Duquesne University)で、光の作用によって水から水素燃料を作ることを飛躍的に進歩させる新しい触媒を発見した。これはチタン酸化物に炭素を加えたもの。従来の酸化チタンと比べると、著しくエネルギー変換効率が向上し、8.5%になったという。

 

化学業界、ナノテクノロジー市場の行方を定めるロードマップ作成に協力(2002/10/10号)

化学業界大企業の産業同盟であるChemical Industry Vision 2020 Technology Partnershipが、国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology Initiative = NNI)の要請により、化学業界ナノテクノロジー開発ロードマップ策定会議に参加。これは、NNIがナノ研究開発の商業化を妨げる要因は生産関連問題が多く、小型製品生産で独特の経験を持つ化学業界がナノテクノロジー開発に参加することが重要との認識。

 

国連クローニング禁止条約の支持者達、対象拡大に執着する米国らを批判(2002/10/10号)

UNメンバー諸国は全会一致でヒトのクローニングを禁止する条約を支持しているが、米国・スペイン・フィリピン・バチカン・南米数ヵ国は生殖目的、治療目的両方のクローニング禁止を主張しており、現行条約案の支持者達は、こうした米国らの態度は、国際連合(UN)の合意を遅延または潰すことにもなりかねないと批判。


議会・その他

下院議員の約4分の1が、上院エネルギー法案の気候変動条項を支持(2002/10/1号)

下院議員108名が、エネルギー法案に関する上下両院協議会の交渉責任者宛に、世界気候変動条項を法案に盛り込む必要性を主張する書簡を送付。この書簡には、Dick Gephardt下院議員(民主党、ミズーリ州)やNancy Pelosi下院議員(民主党、カリフォルニア州)等が署名。

 

民主党がブッシュ政権下では“環境関連法の執行が著しく後退”と報告(2002/10/2号)

民主党は、ブッシュ政権下で“環境関連法の執行が著しく後退している”と発表。これは、ブッシュ政権下とクリントン政権時代の環境関連法の執行状況をEPAのデータを基に比較したもの。EPAは、「2000年には特別な事情があり、報告書は必ずしもデータを正しく理解していない。」とコメント。

 

エネルギー法案審議、下院のANWR新提案と上院の気候変動条項で再開(2002/10/3号)

エネルギー法案に関する上下両院協議会が審議を再開し、@北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)掘削問題に関する下院の新提案;A上院エネルギー法案に盛り込まれた気候変動条項について引き続き討議開始。

 

民主党議員らが、大統領科学顧問の選考基準を批判(2002/10/11号)

Edward Kennedy上院議員(民主党、マサチューセッツ州)とHilary Clinton上院議員(民主党、ニューヨーク州)を中心とする民主党議員らが、ホワイトハウスの科学顧問は、科学的知識よりイデオロギーや産業界との関係を基に選考していると批判。


Top Page