NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2002年11月前半分

エネルギー

ホワイトハウスが、産業会の気候変動自主行動計画を扇動(2002/11/4号)

環境保護者たちは、ブッシュ政権の自主行動計画による目標の達成を懐疑的に見ており、1年目の評価は今後の温暖化政策を占う意味で重要であることから、ホワイトハウスは、自主行動計画を改善するための会議やワークショップを今月から開催し、自主行動計画の支援を強化することを決定。

 

大学構内に溶融炭酸塩型燃料電池システムを設置(2002/11/5号)

ニューヨーク州立大学シラキューズ校の環境科学森林学部( SUNY-ESF)が、250 KW級の熔融炭酸塩型燃料電池(MCFC)を使用する電熱併給システムを構内に設置、運転する予定。SUNY-ESFキャンパス電力需要の約5%の発電と廃熱は温水機やキャンパスの室内冷暖房に利用されるという。

 

エネルギー研究者が集結し、地球温暖化対策のためのエネルギー技術を議論(2002/11/6号)

エネルギー省(DOE)が大学、国立研究所、企業の研究者を集め、地球温暖化対策のためのエネルギー源について議論。最後は「地球温暖化対策のためには飛躍的な技術の進歩が必要であり、世界のエネルギーシステムを再構築することは今世紀における技術の挑戦」と結んだ。

 

全米科学財団(NSF)、財団支援のエネルギー関連研究開発プログラムを査定評価(2002/11/12号)

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)は、自らが行う代替エネルギー研究開発(R&D)関連投資を評価するため、エネルギーに関する工学作業グループ(Engineering Working Group on Energy)を新たに設置。

 

エネルギー省の基礎エネルギー科学諮問委員会、今後の研究開発動向を検討中(2002/11/12号)

エネルギー省(DOE)の基礎エネルギー科学諮問委員会(BESAC)は、基礎科学研究アジェンダ作成のため、産官学から代表者を招きメリーランド州ゲータスバーグでワークショップを開催。2003年2月には最終報告書を発表する予定。

 

ホワイトハウスは新たなエネルギー法案を期待(2002/11/13号)

ホワイトハウスは、上・下両院議会が共和党主導になったことを受け、国内石油製品や天然ガスの振興をエネルギー法案に盛り込む考えを示唆。Ari Fleischser報道官は、輸入石油依存からの脱却のため、国内生産の拡大を行うことはブッシュ大統領の関心事項の1つであり、ブッシュ大統領も良いチャンスと考えているであろうと発言。

 

Abrahamエネルギー長官、トラックの効率改善ビジョンと水素ロードマップを発表(2002/11/14号)

エネルギー省(DOE)のSpencer Abraham長官がミシガン州で開催された世界輸送フォーラムにおいて、「21世紀トラック提携の新ビジョン (New Vision for 21st Century Truck Partnership)」と「国家水素エネルギーロードマップ (National Hydrogen Energy Roadmap)」を発表。

 

第107議会におけるエネルギー法案の審議が事実上終結(2002/11/15号)

エネルギー法案に関する上下両院協議会のBilly Tauzin議長(共和党、ルイジアナ州)が提案していた縮小したエネルギー法案が、民主・共和両党の反対により上院で否決され、事実上、第107議会におけるエネルギー法案の審議が終結。なお、次のエネルギー・天然資源委員会委員長のPete Domenici上院議員(共和党、ニューメキシコ州)は、第108議会でエネルギー法案の審議を行うことを約束。


環境

環境保護庁(EPA)は、新規排出源再評価見直し議論の決着に期待(2002/11/1号)

環境保護庁(EPA)の大気・放射線管理局のJeffrey Holmstead次官補は、Clean Actアドバイザリー委員会において、新規排出源再評価(New SourceReview=NSR)の見直し案がまとめられ、行政予算管理局(Office of Management and Budget=OMB)に提出したことを報告。今回の案でNSRの見直しに決着がつくことを望んでいるという。

 

京都議定書批准に関し、カナダ首相の意志は固い(2002/11/1号)

京都議定書批准問題で、カナダの多くのメディアは、Jean Chretien首相の決意は固いと伝えている。首相は、京都議定書の速やかな批准は国際的な約束であり、異常な事態が起きなければクリスマスまでには京都議定書を批准するであろうと発言。同時に批准を遅らせている州政府らを非難した。

 

カナダで初めてのクリーンコール技術を導入した石炭火力発電所実証試験を発表(2002/11/4号)

カナダのクリーンコール発電連合(CCCPC)は、カリフォルニア州の非営利団体の電力研究所(EPRI)と国際エネルギー機関(IEA)が参加し、カナダで初めてのクリーンテクノロジー技術を導入した石炭火力発電所のフィージビリティスタディを行うこと発表。

 

環境保護庁(EPA)が、スーパーファンド維持のため、和解金を他の汚染処理に利用(2002/11/4号)

EPAは、汚染事業者が浄化のために支払う和解金を他の汚染場所の浄化費用に流用しており、産業界は汚染者とEPAの同意に違反するものと批判。民主党と環境保護者らは、ブッシュ政権がスーパーファンド税の再徴収を拒否したことにより、スーパーファンドが危機に陥っていることを証明するものだと主張する。

 

連邦高等裁判所がEPAの自動車排気ガス規制は違法と判断(2002/11/4号)

連邦高等裁判所は、EPAが作成した自動車検査プログラムは不透明であり、公共の意見が取り入れられていないと判断、2002年に出した自動車排気ガス検査プログラム(CAP2000)は違法であったとの判決を下した。これは、環境汚染物質削減のため試験情報を公開するよう民間企業がEPAに求めた裁判での判決。現在、EPAは控訴も含めて検討しており、自動車業界とも近々打ち合わせを行う予定。

 

第8回締約国会議(COP-8)、気候変動への適応を重視することに合意(2002/11/5号)

先週金曜日に終了した第8回締約国会議(COP-8)において、COP-8の参加者達は、交渉の焦点を温暖化ガス排出の抑制・削減だけに傾注するアプローチから、気候変動への適応へと移すことに正式に合意。排出削減は過去10年間交渉の中心課題であっただけに、今回の政策転換は重要な意味を持つ。

 

ミシガン州立大学が、トリクロロエタンを分解する微生物を発見(2002/11/6号)

ミシガン州立大学は、トリクロロエタンを分解する微生物を発見し、研究を行っている。“TCA1”と名づけられた微生物は、トリクロロエタンだけを分解し、比較的安全な副産物しか出さないことから、うまくいけば環境浄化活動に大きな効果をもたらすと期待されている。

 

環境保護団体が、自らの活動の環境会計について検討を開始(2002/11/6号)

世界野生生物基金(the World Wildlife Fund)やThe Nature Conservancyといった環境保護団体は、アカウンタビリィティーを改善するために、企業が成果を評価するのと同じように、環境保護活動の費用対効果(環境会計)について検討を開始。

 

世銀の国際再建設開発銀行、バイオ炭素基金に着手(2002/11/7号)

世界銀行の世界再建設開発銀行(International Bank for Reconstruction and Development)は、貧困地の生活を改善すると同時に耕地の崩壊や生物多様性の破壊を止めることを目的としたバイオ炭素基金(BioCarbon Fund)に着手。総額1億ドルの同基金は、温暖化ガス排出削減プロジェクトに融資され、参加者には炭素クレジットが与えられるという。既に、14の政府と企業が調印済み。

 

エルパソ電力、革新的な越境排出クレジット先導策を計画中(2002/11/7号)

テキサス州のエルパソ電力(EPE)が、メキシコのCiudad Juarez市との排出権取引プログラムを企画中。EPEは、Ciudad Juarez市の薪やゴミを燃焼するクリーンなレンガ窯建設を支援し、州から排出クレジットを受領するという。エルパソ市はテキサス州で唯一の、粒状物質・一酸化炭素・窒素酸化物排出の遵守未達成都市。

 

環境汚染者、ブッシュ政権下で罰金支払い額が減少(2002/11/12号)

連邦政府の記録を分析したKnight Ridder社は、ブッシュ政権になってから、罰金をかされた汚染者の数が減っただけでなく、罰金額も減少と報告。スーパーファンド以外の環境規制施行による罰金は、クリントン政権の毎月平均1,060万ドルに対し、ブッシュ政権では毎月平均は380万ドルという。一件あたりの罰金額も、平均136万ドルから605,455ドル(56%減)と低下。

 

米国ビジネス団体、温暖化対策反対から地球気候変動対応の検討へと政策変更(2002/11/12号)

地球温暖化論の科学的根拠を疑問視し、世界気候変動対応策に長い間反対してきた米国のビジネス団体であるBusiness Roundtableが、急激な政策変更を考慮中という。同団体が発表予定の自主削減行動計画では、主要メンバー数社が温暖化ガス排出削減への自主参加を推奨する内容と伝えられている。

 

テキサス州が自動車排ガス規制の導入を検討(2002/11/13号)

テキサス州では、主要なエリアにおいて、国の大気環境基準達成のために排気ガス削減が必要であることから、カリフォルニア州の低排気ガス自動車プラグラム(Low Emission Vehicle=LEV )のような制度の導入を検討中。これに対し自動車メーカーは猛烈に反対。

 

DOEは、クリーンエネルギー技術の海外移転に関し、新たな予算要求をせず(2002/11/13号)

エネルギー省(DOE)は、クリーンエネルギー技術輸出プログラム(CETE)という新コンセプトの分析を上院歳出委員会に提出。この中でCETEは発展途上国のクリーンエネルギー技術波及に貢献するが、しかし多くの事業は既に存在すると報告。これに対し議会などから新たな途上国支援プログラムがないと批判を浴びている。

 

米国各州では、気候変動対策の取り組みに積極的(2002/11/13号)

米国各州の気候変動対策への積極的な取り組みが評価されている。世界気候変動に関するピューセンター(the Pew Center on Global Climate Change)によると、少なくとも15の州で、既にクリーンエネルギーを奨励する法律が制定され、また近い将来半分の州で任意又は義務的なCO2削減スキームが導入される予定。

 

気候変動問題の会合から前回アセスメント関係者を排除すべきとの声が上がる(2002/11/13号)

伝統あるシンクタンクのCEI(the Competitive Enterprise Institute)が、今後の気候変動問題の会合から、前回の国家気候変動アセスメント(NACC)をとりまとめた関係者の参加阻止を画策。これは、前回のNACCは本質的に欠陥があり、かつ詐欺的に作られたものであるとの主張によるもの。

 

アメリカ大手オフィス用品供給会社が環境保護活動の導入を決定(2002/11/15号)

アメリカでオフィス用品供給第2位のStaples Inc.が、環境保護者の圧力を受け、環境保護のための物資供給イニシアティブに初めて取り組むことを表明。今回の成功が転機となり、環境保護主義者たちが市場圧力に対する戦略を増やしていくと言われている。


サイエンス・テクノロジー

ホワイトハウスは、全米科学財団の予算倍増法案に憂慮(2002/11/1号)

ホワイトハウスは、長年望まれていた予算増額を実現することになる議会の全米科学財団(NSF)5ヵ年予算倍増計画に憂慮している。行政管理予算局(OMB)は、3年間の予算法案と「2倍」の名称を削除するという対抗案を提出したが、共和党議員の投票妨害などにより、多くの議員が激怒しており、受け入れる様子はない。

 

カリフォルニア州に、新たな水素燃料供給施設が設置(2002/11/1号)

カリフォルニア州の燃料電池パートナーシップは、ベイエリアで初めての水素燃料供給施設を設置。カナダのスチュアートエネルギー社(Stuart Energy)が30万ドルで建設したもので、電気分解装置により水から水素燃料を製造する施設。試運転では、16台の試作車に水素燃料の供給を行い、施設への要求や安全性の分析を行うほか、燃料電池自動車の商業化に向けた課題を探る。

 

技術部門低迷の主要原因はベンチャーキャピタル投資の減少(2002/11/5号)

ワシントン・ポスト紙は、2002年度の技術部門の急激な低下傾向の要因は、ベンチャーキャピタル投資の減少にあると報告。技術部門へのベンチャーキャピタル投資がピークにあった2002年度第2四半期から、2002年度第4四半期には84%減少し、初期投資を獲得できる新会社の数が激減。さらに、技術部門へのベンチャーキャピタル投資の低迷は暫く続くものと予想。

 

ブッシュ政権、胎芽を胎児と同様に「被験者」に分類(2002/11/5号)

ブッシュ政権が、主要な医療研究諮問委員会である国家人体実験保護諮問委員会(National Human Research Protections Advisory Committee)の設立憲章を改変して、ヒトの胎芽を「被験者(human subject)」に分類。この再分類は、胎芽の扱い方を明確にするもので、実験研究の対象となる胎芽には成人や児童・胎児と同様の倫理基準が適用されることになる。

 

全米研究委員会、安全保障分野における科学の役割に関する報告書を発表(2002/11/7号)

全米研究委員会(National Research Council = NRC)が先月、対テロ戦争と国家安全保障において米国の科学界が果たすべき役割を検討した報告書を発表。連邦政府との密接な協力や技術担当次官職の設置、国土安全保障研究所(Homeland Security Institute)の創設、研究環境の保全、情報共有などについて提言を行っている。

 

米国交渉団、ヒトのクローニングを禁止する国際条約の成立阻止に成功(2002/11/7号)

国連はヒトのクローニングを禁止する世界条約の制定を目指していたが、生殖目的のクローニングだけを禁止する仏独提案は不十分であり、ヒトのクローニングを禁止する国際条約には治療目的クローニングの禁止も含むべきという米国交渉団の主張により、国連クローニング禁止条約の成立は1年先延ばしとなった。

 

J. Craig Venter博士、1000人のゲノム配列解析を計画中(2002/11/12号)

ゲノム学の先駆者であるJ. Craig Venter博士が、Celera Genomics社を辞任し、非営利組織のJ. Craig Venter財団を創設。水素発生微生物の創造;遺伝学政策研究所の創設;高速DNA配列解析研究所の設立という3つの計画が焦点。特に、配列解析研究所はの最優先事項で2年以内に1000名のゲノムを配列解析する予定。

 

商務省Philip Bond次官、米国ナノテク発展の促進で民間と大学の重要性を強調(2002/11/13号)

商務省技術局のPhilip Bond次官は、先日テキサス州で開催された技術会議において、米国におけるナノテクノロジーの発展促進に民間部門と大学機関の重要性を強調。研究結果を国の経済発展につなげる最終的な責務は民間にあるとし、関係者の協力が研究室から市場への迅速で効率的な革新を助長すると発言。

 

ローレンスバークレー国立研究所が、民間企業にナノテク特許ライセンスを許可(2002/11/15号)

エネルギー省(DOE)のローレンスバークレー国立研究所(LBNL)は、Nanosys Inc.社と20件のナノテク特許のライセンス許可について文書を取り交わしたと発表。Nanosys社は、光電素子デバイス、プラスチックエレクトロニクス、コンピュータディスプレイの開発に使用するといわれている。


議会・その他

ブッシュ大統領が、政府機関に対し中小企業との契約を増やすよう指示(2002/11/1号)

ブッシュ大統領は、研究開発を含む政府機関発注業務の契約に関して、もっと中小企業との契約を増やすよう指示。大統領の提案は、大企業にとって有利となる複数小規模契約の一括化を控えるよう連邦政府機関に指示するもので、11月5日の中間選挙対策と考えられる。

 

共和党が中間選挙で勝利し、上院主導権を奪回。主要法案への影響を懸念(2002/11/7号)

共和党は中間選挙で上下両院の議席数を増やし、ホワイトハウスと上下両院を牛耳ることとなった。このため、エネルギー法案の北極圏野生生物保護地域(Arctic National Wildlife Refuge)掘削問題や全米科学財団(National Science Foundation)の予算倍増計画案といった重要政策は大きな転機となる可能性がある。

 

医療機器製造者、食品医薬品局新局長の下で規制手続の簡素化に期待(2002/11/14号)

食品医薬品局(FDA)は2001年初めから局長職が空席となっており、リーダーシップの欠如が医療機器産業を沈滞させたと批判されていた。今回FDA新局長に着任するMark McClellan氏は経済諮問委員会や財務省を務め経済学に精通しており、業界は同氏のリーダーシップと政策改訂により医療機器産業界が活性化されると期待。

 

共和党指導層、2003年度歳出法案審議の延期を決定(2002/11/14号)

共和党指導層は、上下両院の主導権が確保たるものになる来年1月まで、2003年度歳出法案の審議を延期することを決定したと伝えられている。議会では、1月11日までの暫定歳出決議案が可決されるものと見られており、エネルギー法案の進展も望めない状況。

 

州知事選挙で、技術支援政策を選挙公約に謳った候補が多く当選(2002/11/15号)

今回の州知事選挙では、技術支援政策を訴えた知事の勝利が大きな特徴となっている。ミシガン州、ジョージア州など何人かの強力な技術支援政策推進者を失ったが、当選した24人の知事のうち、14人が技術政策による経済発展を選挙公約のポイントとしているという。


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