NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2002年9月後半分

エネルギー

カリフォルニア州の再生可能エネルギー導入義務付け法案が成立(2002/9/16)

カリフォルニア州で民間の電気事業者に対し2017年までに再生可能エネルギーを20%導入することを義務付ける法案がDavis州知事の署名を得て成立。この中には、新たな水路の構築が必要な水力発電や廃棄物発電は認められず、また消費者保護観点からコスト制限を盛り込んでいる。

 

上院・下院合同委員会で包括的エネルギー法案の審議が再開(2002/9/16)

包括的エネルギー法案を検討する上院・下院の合同委員会では、主要項目の検討再開。CAFメi企業平均燃費)については、上院で最終案が固まっておらず、検討を延期。現在は、プライスアンダーソン原子力保険の再承認やパイプラインの安全性に関する事項について、議論が集中。

 

カナダ自由党が石炭火力発電所の廃止を主張(2002/9/16)

カナダ、オンタリオ州の自由党リーダーMcGuinty氏は、選挙キャンペーンの中で、州内にある石炭火力発電所の5年以内全廃を主張。対抗する進歩保守党は、住民の意向を無視していると批判。また、新民主党、自由党は、石炭火力発電所廃止に同意も、省エネルギーと公共のガス発電所に注力すべきと主張。

 

カナダ政府が太陽熱利用の洗車機導入を支援(2002/9/18)

カナダ政府は、Suncor Energy Products社と共同で、カナダで初めての太陽熱利用した洗車機導入を実施。1年間の実証試験を経た後、カナダ各地で導入されるものと期待。

 

内務省Norton長官、北極圏野生生物保護区域における石油掘削解禁を主張(2002/9/20)

内務省のGale Norton長官は、エネルギー法案にアラスカにある北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)での石油掘削を認めることが含まれなければブッシュ大統領に拒否権を行使するよう進言すると明言。

 

DOEが大学における石炭研究プロジェクトを選出(2002/9/20)

エネルギー省(DOE)は、今回で23年目を迎える「大学における石炭研究プログラム(University Coal Research Program)」として総額で300万ドルを超える25件の大学プロジェクトを選出。

 

DOEが自動車用及び定置用の燃料電池研究開発の公募を開始(2002/9/23)

DOEは、フリーダムカーやビル向けの燃料電池開発の鍵となる自動車用及び定置用の燃料電池研究開発について、公募を開始。今年度は、固体高分子型(Polymer Electrolyte Membrane(PEM))の開発が焦点。2003年度の予算は約700万ドル。15件程度の選定を予定。


環境

国連環境プログラム(UNEP)、オゾン層は回復傾向と発表(2002/9/17)

UNEP(United Nations Environment Program )が「2002年のオゾン破壊査定評価 (Assessment of Ozone Depletion: 2002)」の概要を発表。オゾン破壊化学物質は、現在ピーク濃度であるが、段階的使用禁止が順調に進んでおり、オゾン層は向こう数十年間で回復すると楽観視。同時に、各国目標達成の遵守と一層の研究調査の必要性を主張。

 

環境保護庁(EPA)、汚染物質年次報告書から地球温暖化の章を削除(2002/9/17)

EPAは、大気汚染動向に関する連邦政府年次報告書「全米の大気質に関する最新調査結果:2001年の現状と動向 (Latest Findings on National Air Quality: 2001 Status and Trends)」から、地球温暖化の章を削除した。環境保護者等は、気候変動の注意回避しようという政治的動機だと批判。

 

ブッシュ政権、オフロード車対象の排出基準を発行(2002/9/17)

ブッシュ政権が、雪上車・ヨット・建設機械・耕作機械を始めとするオフロード車を対象とした初めての移動源排出規制を発行。これにより、窒素酸化物(NOx)・炭化水素・一酸化炭素(CO)の排出は年間で200万トン以上削減との予測。しかし、環境保護者達は、雪上車に対するCO排出基準の遵守期限を2年間延長したことを激しく批判。

 

近年の北極研究とコンピュータモデル、北極の氷の縮小を10〜15%と推定(2002/9/17)

Richard Kerr氏はScience誌の論説で、北極の海氷の縮小と地球気候変動の関連性に関する論争は数年間におよぶ討議を経ても未解決のままである一方、近年の科学的研究によって、海氷の厚さが40年間で43%も減ったというこれまでの測定が不正確であり、10〜15%程であったと推定を発表。

 

カリフォルニア州に電力供給予定のメキシコ火力発電所を巡る問題(2002/9/18)

メキシコのアメリカ国境に近い地区で、発電所が2つ建設中であるが、このうちの1つが、カリフォルニア州の環境基準を満たしていないことから、カリフォルニアの環境破壊を危惧する議員達が、発電所からの電力輸入を禁止する法案を提出するなどの活動を展開。

 

NSFが台湾科学者と共同で気象ネットワークシステムの研究を実施予定(2002/9/18)

全米科学財団(NSF)は、台湾の科学者らと協力し、気象情報と気候変動の世界的なネットワークシステムの研究実施を発表。このネットワークは、“COSMICモ(Constellation Observing System for Meteorology Ionosphere and Climate)と名づけられ、基本システムはUCAR(University Corporation for Atmospheric Research)が1億ドルで開発。運用開始は2005年を予定。

 

カナダの京都議定書批准問題で、アルバータ州が批准反対キャンペーンを開始(2002/9/20)

カナダのアルバータ州が、カナダ政府の京都議定書の批准は、カナダ経済に負担をかけ増税や生活費の上昇につながるとして、批判キャンペーンを開始。これに対し、カナダ首相Jean Chretien氏は、京都議定書の批准に伴うコストは、国全体でシェアされるだけでなく、長期的な利益を考慮すると十分に利があると声明を発表。

 

上院・下院合同委員会は、自動車用燃料の削減で新たなCAFE規制の提案(2002/9/23)

エネルギー法案を審議する上・下院合同委員会は、新たなCAFE規制(企業平均燃費)として、自動車や小型トラックの燃料消費を2006年から2012年までの間に少なくとも50億ガロン(約1890万Kl)削減するようNHTSA(National Highway Traffic Safety Administration)に提案することで合意。同時に、メタノール・ガソリン自動車に対するメーカー支援の延長(2008年)も提案。

 

低下傾向にある米国のリサイクル率(2002/9/24)

米国の現在のリサイクル率は30%以上であり、1987年の10%を大きく上回ってはいるものの、消費者の満足感(complacency)と経済問題の為に、米国のリサイクル計画は後退の淵に立っているという。

 

環境保護庁、ペンシルベニア州と公害防止対策執行について会合を開催(2002/9/25号)

環境保護庁(EPA)は、ペンシルベニア州が行った新排出源査定評価(New Source Review = NSR)の実施を不満として、NSRの解釈の相違について議論するために、ペンシルベニア州と会合を開催。

 

エネルギー省(DOE)が火力発電所の水銀排出抑制技術の実用化計画を発表(2002/9/30号)

DOEの国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory:NETL)は、石炭火力発電所の水銀排出抑制技術に関するフィールド試験をほぼ終了し、2005年までに商業化のための実証試験を行うことを発表。


サイエンス・テクノロジー

イリノイ大学でセラミック超電導の新たな現象を発見(2002/9/16)

イリノイ大学のDr. Tazdaniが、セラミックス超電導材の上に、酸化銅の層を作成し、低温と常温の電子構成を比較することにより「電子が酸化銅層に注入される」という新たな現象を発見。多くの物理学者が既にこの発見を受け入れ、現象解明に着手。常温で利用可能な超電導材料の開発につながると期待。

 

NASAが新たな次世代宇宙望遠鏡開発の契約を締結(2002/9/18)

NASAが世界的に有名なハッブル宇宙望遠鏡に次ぐ、望遠鏡開発するため、TRW社と契約を締結。TRW社は、ハッブル望遠鏡を開発した企業。次世代宇宙望遠鏡は、“Webb望遠鏡”と呼ばれ、大きさはハッブルの半分、性能は可視光で100倍、赤外光では400倍という。今回の契約は、NASAとTRW, Eastman Kodak, Bell Aerospaceで8億2480万ドルの契約。総額は12億ドルの見込み。

 

米国化学協会主催の会議、移植療法・糖尿病研究等への化学的解決策を報告(2002/9/19)

米国化学協会、化学部門での革新およびエネルギー資源・環境汚染・疾患といった問題に化学研究で対応していく方法を討議。1万5,000人以上の化学者が集まった同会議では移植療法の進歩・糖尿病研究・水素貯蔵材料といった3プロジェクトに関心が集中。

 

人体への臓器移植が可能となるクローン子豚の作成に成功(2002/9/20)

ATPを受けているPPL Therapeutics社は、異種動物間の臓器移植の安全性を高める技術の開発として、ノックアウト遺伝子という遺伝子操作技術を用いて、人間の免疫機能から拒絶されない組織や器官を持つ、4匹のクローン子豚を作ることに成功。

 

連邦政府研究所との技術移転協定を忌避する米国産業界(2002/9/24)

商務省技術局(Technology Administration)が主催した「アメリカの技術革新ラウンドテーブル:連邦政府研究所の研究開発 (Innovation in America Roundtable: Federal Lab R&D)」という会合で、産官の技術移転に対する民間企業の関心が衰退していることが判明。

 

米国ナノテクノロジー指導者であるRoco氏が国際協力の必要性を主張(2002/9/25号)

米国の国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology Initiative = NNI)の創設者の1人で国家科学技術会議(National Science and Technology Council = NSTC)への全米科学財団(National Science Foundation = NSF)代表であるRoco氏が、ナノテク分野の研究開発で、国際協力を強化する必要があると主張。

 

UC-DavisとWayne 州立大学の研究者らが新たなDNAナノ加工技術を開発(2002/9/25号)

カリフォルニア大学デービス校(UC-Davis)とウェイン州立大学の研究者がより鮮明なDNAのパターンを作る新しい技術を開発。「ナノグラフティング」と呼ばれるこの技術は、市販のマイクロアレイで作成されるDNAパターンよりも飛躍的に小さなDNAパターンを作成することが可能。

 

アメリカで月の開発計画が再燃(2002/9/25号)

エネルギー省(DOE)傘下のロスアラモス国立研究所が主催した「The Moon Beyond 2002:Next Steps in Lunar Science and Exploration」という会議の中で、月の開発計画が再び米国の主要な宇宙開発の1つとして議論。

 

2003年度、米国エネルギー研究開発費は大幅の削減(2002/9./30号)

全米科学財団(National Science Foundation; NSF)は、2001年度から2003年度までの連邦政府の研究開発予算についてレポートを発表。(Federal R&D Funding by Budget Function: Fiscal Years: 2001-2003)これによると、エネルギー研究開発の予算は、2001年度から2002年度に17.7%増加、2003年度には約10%削減の見込み。

 

全米研究委員会(NRC)が国立標準規格技術研究所(NIST)を高く評価(2002/9/30号)

全米研究委員会(NRC)は、国立標準規格技術研究所(NIST)の研究者達が、研究設備が最新でない状況の中、優れた研究を行っていると高く評価。またNISTの問題点として、戦略の策定や資産管理が不十分であることを指摘。


議会・その他

国連の報告書、E-政府導入のトップは米国で、2位はオーストラリア(2002/9/17)

国連が発表した「E-政府ベンチマーキング:世界展望 (Benchmarking E-government: A Global Perspective)」によると、E-政府導入状況ではUNメンバー190ヵ国の中で米国がトップで、それにオーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・ノルウェー・カナダ・英国・オランダ・デンマーク・ドイツが続いている。地域的には、トップが北米で、2位がヨーロッパ。一方、最下位はアフリカと中米という結果。

 

全米研究委員会の報告書、生物学専攻大学生の教育に学際的なアプローチを推薦(2002/9/19)

全米研究委員会(NRC)の「バイオ2010年:バイオ医療研究学者を育成するための大学教育」、生物学専攻の大学生の履修科目にその他科学分野の統合を要求。生物学研究に新実験テクニック・高性能コンピューター・ナノスケール研究が加わり、次世代のバイオ医療研究者は複数化学分野への精通が必要。

 

民主党の中間選挙戦略では、環境政策より共和党の企業癒着批判が優先(2002/9/20)

民主党の中間選挙に向けた戦略では、環境政策は2番手であり、1番手は共和党の企業癒着批判だという。ブッシュ政権の環境政策に対する批判より、企業スキャンダルやホワイトハウスと大企業の癒着といった、大統領や共和党に対する疑惑の方が、有権者の賛同が得られ易いと考えるため。

 

上院の商業・科学・交通委員会でNSF予算倍増法案が可決(2002/9/23)

NSF(全米科学技術財団)予算倍増法案(NSF Doubling Act(上院第2817号))が、上院の商業・科学・交通委員会で審議され可決。既に厚生・教育・労働・年金委員会を通過しており、後は、上院本会議での審議と投票を残すのみとなっている。

 

国家ナノテクノロジー・イニシアティブを補強する法案が提出(2002/9/24)

Ron Wyden上院議員(民主党、オレゴン州)は、ナノテクノロジー研究における米国のリーダーシップと競争力を確立することを目的とした「21世紀ナノテクノロジー研究開発法案 (The 21st Centruy Nanotechnology Research and Development Act:上院第2945号議案)」を提出。

 

Davisカリフォルニア州知事、論議の的である幹細胞研究を支持する法令に署名(2002/9/24)

Gray Davisカリフォルニア州知事(民主党)が、同州における胎性幹細胞と成人幹細胞の双方の研究を推進する新法案を承認・署名した。Davis州知事は、幹細胞研究の容認によってカリフォルニア州が医学・科学技術革新の第一線に躍りだすことになると発言し、医学治療進歩のためにあらゆる幹細胞の使用を支持することでブッシュ政権を批判したかたちとなる。

 

エネルギー法案、ANWR解禁条項と温暖化ガス義務付け強化で妥協か?(2002/9/24)

エネルギー法案に関する上下両院協議会のBilly Tauzin議長(共和党、ルイジアナ州)は、下院共和党議員が、北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)を石油探査掘削に解禁する条項と引き換えに、企業による温暖化ガス排出削減努力の自主登録を強化する条項を盛り込む妥協案があることを示唆。

 

上院エネルギー・天然資源委員会、エネルギー技術移転に関する公聴会を開催(2002/9/26号)

上院エネルギー・天然資源委員会は、エネルギー効率化・原子力・化石エネルギー・再生可能エネルギー関連の技術移転を妨げている障壁を克服する方法を検討のため、9月18日に公聴会を開催。

 

エネルギー法案に関する上下両院協議会、研究開発に関する提案を審議(2002/9/26号)

エネルギー法案に関する上下両院協議会は9月25日にも引き続き公聴会を開催し、エネルギー研究開発(R&D)に関する条項を審議。また、ウランとプルトニウムの再処理新技術開発に配分された1,000万ドルの予算を撤廃するというEdward Markey下院議員(民主党、マサチューセッツ州)修正案を却下。

 

行政管理予算局、プログラム査定評価ツール(PART)の使用対象拡大を計画中(2002/9/26号)

行政管理予算局(Office of Management and Budget = OMB)の新しいプログラム査定評価ツール(Program Assessment Ratings Tool = PART)の評判が関係者の間で好評で、OMBは2005年度の予算準備では評価対象を連邦プログラムの2004年度の20%から40%に拡大する予定。

 

上下両院協議会、ANWRの石油掘削解禁条項とエタノール条項を審議(2002/9/27号)

9月26日に開催されたエネルギー法案に関する上下両院協議会では、下院側が北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)に関する条項を上院側に提示。更に、上院側が提案したエタノール義務要件に関する条項も審議。

 

ブッシュ大統領、エネルギー法案審議の議会リーダーをホワイトハウスへ召集(2002/9/27号)

エネルギー法案を審議する4委員会のリーダーがホワイトハウスに召集され、ブッシュ大統領と会談。この席でブッシュ大統領は北極圏野生生物保護区域(ANWR)に関する自らの立場を明確にした。


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