NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年11月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

11月17日号

エネルギー省支援プロジェクト、人工ウィルスのゲノム合成に成功

生物学的代替エネルギー研究所(Institute for Biological Energy Alternatives)、人体に影響を与えることなく、細菌を攻撃する小さな人工ウイルス「ファージ」のゲノム合成に成功。エネルギー省(DOE)のGenomes To Lifeから総額300万ドルの3ヵ年グラント受けた同プロジェクト、生物学的なエネルギー解決策への道を開きうる可能性。(DOE, November 13, 2003)

加州の環境保護長官に指名されたTamminen氏、ブッシュ政権の環境政策を批判

Arnold Schwarzenegger次期カリフォルニア州知事が同州環境保護庁長官に指名したTerry Tamminen、サンフランシスコ湾計画連合(Bay Planning Coalition)の会議で公にブッシュ大統領の環境政策を批判。特に、二酸化炭素排出削減措置を渋る大統領の姿勢と、州政府による独自の排出削減措置を阻止しようとする連邦政府の態度を酷評。(San Francisco Chronicle, November 14, 2003)

商務省のアンケート調査、米国バイオ産業の健全な成長を示唆

商務省(DOC)が1,031社のバイオテクノロジー企業を対象に行ったアンケート調査、同業界が健全で成長の環境が整っていることを明示。2002年の時点でバイオテクノロジー企業の保有する特許はほぼ24,000件におよび、出願中の特許数も33,000件に。バイオテクノロジー企業の75%が業界の将来を楽観視。(ITworld.com, November 13, 2003)


11月19日号

2004年大統領選の民主党立候補者、包括エネルギー法案を批判

2004年大統領選に民主党から立候補しているHoward Dean前バーモント州知事、John Kerry上院議員(マサチューセッツ州)、Joe Lieberman上院議員(コネチカット州)、および、Wesley Clark退役将軍、包括エネルギー法案はブッシュ大統領の再選キャンペーンを支援する企業利益に対する報酬でしかないと厳しく批判。(The Washington Post, November 18, 2003)

GM社とShell社、水素燃料補給スタンド基盤整備への援助を求めるロビー活動を開始

自動車業界と石油業界、ブッシュ大統領の燃料電池自動車開発に関する要求を満たすために、連邦政府に対して資金援助を求めるロビー活動を推進中。水素燃料補給スタンドの基盤整備に係わる莫大なコストを懸念し、財政面でリスクのある水素経済への投資と引き換えに税控除や他のインセンティブを要望。(The Wall Street Journal, November 18, 2003)

気象衛星データを利用した新研究、人間の活動と地球温暖化の関係を明示

米航空宇宙局(NASA)とDOCの委託でリモートセンシングシステム(Remote Sensing Systems)社が実施した新研究、24年間に渡る気象衛星データを再分析した結果、対流圏(troposphere)の温度が地球の表面温度と同一の割合で上昇していると結論。この推定上昇値は温室効果ガスの影響に関するコンピューターモデルのデータに一致。(The New York Times, November 18, 2003)

米国ナノテクノロジー法案、法制化へあと一歩

George Allen上院議員(共和党、バージニア州)とRon Wynden上院議員(民主党、オレゴン州)が今年1月16日に提案した「21世紀ナノテクノロジー研究開発法案(21st Century Nanotechnology Research and Development Act:上院第189号議案)」、11月18日に上院本会議で可決。下院本会議も11月20日に同法案を審議し、発声投票をもってこれを可決。今後ブッシュ大統領の署名をもって法制化の見通し。(CQ.com, November 20, 2003)


11月20日号

包括エネルギー法案、上院本会議で立ち往生

上院本会議、包括エネルギー法案の本会議審議に時間制限をつけるという討議終結(cloture)動議を57対40という3票不足で却下。感謝祭休暇の前に包括エネルギー法案の最終投票を行なうことを希望するBill Frist上院共和党院内総務(テネシー州)は今後、ブッシュ政権と共にロビー活動に拍車をかけていく模様。(Environment and Energy Daily, November 21, 2003)

環境保護庁、温室効果ガス排出自主削減計画の進捗状況と実績に関する年次報告書を発表

環境保護庁(EPA)、エネルギー消費や温室効果ガス排出を削減する様々な自主計画の2002年における進捗状況および実績を報告する年次報告書「改善に向けて:エネルギースター等の自主計画(Change For The Better: ENERGY STAR and Other Voluntary Programs)」を発表。2002年の自主プログラムを総合した温室効果ガス排出削減量は4,300万メトリックトンであったと報告。(EPA, November 13, 2003)

ピューセンター、気候変動に対応する新技術への巨額投資の必要性を主張

世界気候変動に関するピューセンター発表の新報告書「米国の技術革新政策:気候変動への教訓(US Technology and Innovation Policies: Lessons for Climate Change)」、地球温暖化の影響を阻止する為には新技術への巨額投資が必要であると主張。(Greenwire, November 19, 2003)


11月24日号 

水素経済のための国際パートナーシップが発足

各国のエネルギー省幹部、「水素経済のための国際パートナーシップ(International Partnership for the Hydrogen Economy = IPHE)」を正式に発足。輸送や定置型発電分野における水素・燃料電池技術の今後の展開を支援するため、研究開発協力を援助し、有限資源の最大活用および科学的ノウハウの結集によって共通基準の策定を行ってゆく予定。(DOE, November 20, 2003)

フォード自動車、燃費を改善する新しい自動変速装置「6R」の導入計画を発表

フォード自動車、2005年半ば頃から数々のフォード・リンカーン・マーキュリー車種に新しい自動変速装置「6R」を登載する予定を発表。6Rの製造にむけてミシガン州リヴォニアのトランスミッション製造施設に1億7,000万ドル、オハイオ州シャロンビルの同製造施設に1億5,500万ドルを投資する計画。(Greenwire, November 21, 2003)

保守派シンクタンクも包括エネルギー法案を批判

ヘリテージ財団(Heritage Foundation)やCato研究所(Cato Institute)、下院本会議で可決され、現在上院本会議で審議されている包括エネルギー法案を、特定の産業界に多額の補助金や財政インセンティブを提供するばかりで、エネルギー問題へ取組む政策とはとても言えない内容であると批判。(The New York Times, November 19, 2003)

米加政府、2003年8月14日に発生した大停電に関する米加合同中間報告書を発表

DOEのSpencer Abraham長官とカナダのHerbert Dhaliwal天然資源大臣、「米国とカナダで発生した8月14日大停電の原因(Causes of the August 14th Blackout in the United States and Canada)」を発表。同大停電は北米電力信頼度協議会(North American Electric Reliability Council)の自主基準に違反したFirstEnergy社と中西部独立系統運用機関(Independent Systems Operator = ISO)の責任であったと報告。(DOE, November 19, 2003)

ホワイトハウス高官、気候変動枠組条約第9回締約国会議に向けた米国の方針を予告

気候変動枠組条約第9回締約国会議(COP-9)が来月開催される予定。米国高官等は京都議定書関連の討議には参加しないが、無公害発電所のプログラムや炭素隔離実験など、米国の気候変動対策を強調する予定。米国が環境問題に十分な対策をとっていないという各国の印象を払拭するため、技術開発努力についての広報に専心する模様。(Greenwire, November 20, 2003)

2004年度包括歳出予算案の交渉が難航

Kit Bond上院議員(共和党、ミズーリ州)が小型エンジンの排出制限に関するカリフォルニア州の環境法を無効化する規定に固執しているため、2004年度包括歳出予算案交渉が難航。Jerry Lewis下院議員(共和党、カリフォルニア州)は、Bond議員がArnold Schwarzenegger州知事の納得する解決策を提示する必要があると指摘。(Environment and Energy Daily, November 21, 2003)


11月26日号

包括エネルギー法案失敗の原因は北東部州選出の上院議員?

Roll Call誌、北東部州選出議員の上院エネルギー天然資源委員会への参加不足、及び、北東部州選出と他州選出の上院議員の見解相違が、包括エネルギー法案失敗の大きな要因であると推測。同法案に反対する北東部州上院議員は、委員会から十分な相談を受けなかったと批判。一方、他州の上院議員達は、北東部州上院議員はエネルギー委員会よりも環境公共事業委員会等への参加を自己選択しているのであり、エネルギー委員会で自分達の意見が十分に反映されていないという主張は通らないと反論。(Roll Call, November 24, 2003)

カリフォルニア州の厳格なスモッグ排出基準で妥協成立

Dianne Feinstein上院議員(共和党、カリフォルニア州)とChristopher Bond上院議員(共和党、ミズーリ州)、小型エンジンから放出される温室効果ガスについて、カリフォルニア州が連邦基準よりも厳格な排出基準を採用することを認める一方で、他の州が環境保護庁(EPA)設定の連邦排出基準よりも厳しい基準を導入することを禁止するという妥協案で合意。(Los Angeles Times, November 23, 2003)

上下両院、製造技術普及計画の2004年度予算を前年度比60%減の3,960万ドルで合意か

下院と上院、2004年度製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)予算として、前年度比60%減の3,960万ドルを計上することで合意した模様。MEP予算の3分の1が連邦政府の出資であるため、この決定はMEP計画の根本的な再検討、および、国内のセンターの大量閉鎖に繋がる可能性あり。MEP支持者等は、米国製造業界の弱体化を考慮した場合に、評判のよい効率的なMEP計画の予算を削減するということの「賢明さ」を疑問視。(Manufacturing and Technology News, Novemver 20,2003)

民主党、2004年度包括歳出予算法案からスーパーファンド浄化予算の義務付条項を削除

下院民主党議員等、EPAスーパーファンド予算の22%を浄化作業にあてることを義務付ける条項を2004年度包括歳出予算法案から削除することに成功。EPAや州政府の高官達が、他の重要計画の予算削減を引き起こし、将来の浄化作業予算割合拡大への前例を作りかねない同条項に反対していた。(Environmental and Energy Daily, Novemver 25, 2003)


12月1日号

Ener1社、統合コントロール・システムを備え付けた新規燃料電池で特許申請

Ener1社、固体ポリマー・プロトン交換膜と、統合フィードバック・コントロール・システムを組み合わせて使用する新規燃料電池システムの米国特許を出願。同コントロール・システムにより、燃料電池スタックの陽極と陰極の表面の水濃度が調節、安定化し、燃料電池の耐用年数と安全性が大幅に向上する。7〜12キロワット(KW)の定置型用、25〜35KWの乗用車用、55〜60KWのバス用という、3種の燃料電池の製造を予定。(Ener1, Inc. Press Release, November 25, 2003)

カリフォルニア州、燃料補給と発電能力を備えた初の水素燃料ステーション建設に着手

カリフォルニア州の南岸部大気管理局(South Coast Air Quality Management District)、初の完全統合型多目的水素エネルギー・ステーションを2004年序盤までに設置予定。建設を担当するスチュワート・エネルギー社の独自技術であるIMETィ水電解技術を活用し、水素生成、圧縮、高圧貯蔵、燃料供給、120 kW の発電という5つのモジュールから構成されるステーションは、1日に25 kgの水素を生成し、最高6,000 psiの高圧で水素を貯蔵する。(Business Wire/Stuart Energy, November 17, 2003)

国立海洋大気局、気象観測所100ヶ所を繋ぐ気候変動モニタリング・ネットワークを構築

国立海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration)、正確な気候変動評価を目的とした気象観測所100ヵ所のネットワーク構築を開始。最終的には250ヵ所への拡大を目指す。同ネットワークは、農務省による土壌の質の測定や、国務省による他国の排出源からの放出のモニターなど、他の連邦政府機関の活動を支援するほか、地球観測グループ(Group on Earth Observations)の第二回目の会議で討議される予定の国際的な気候観測ネットワークにも実現可能なモデルを提供する見込み。(Greenwire, November 26, 2003)

オクラホマ州議会、自州のナノテクノロジー・イニシアティブ戦略プランを発表

オクラホマ州議会、ナノテク尽くめの11月20日のイベントでオクラホマ州ナノテクノロジー・イニシアティブ(Oklahoma Nanotechnology Initiative = ONI)戦略プランを公表。第1段階として25万ドルの元金をオクラホマ州議会に要請。いずれは、連邦議会の可決した米国ナノテクノロジー法案(研究グラント37億ドル)からの財政支援を求める見込み。同州議会が元金25万ドルを認可する公算は高い模様。(Small Times, November 24, 2003)


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