NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年12月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月2日号

エネルギー省、温室効果ガス排出量自主報告ガイドラインの改定案を発表

エネルギー省(DOE)、温室効果ガス排出量の自主報告ガイドラインの改定はブッシュ大統領の炭素集約度削減目標を満たし、参加企業の排出削減努力を正確に把握・記録する上で有用と主張。発電所や製造業者等は新指針の下で、2002年以降に達成した会社別全体(entity-wide)の排出削減量をDOEに登録。(White House Bulletin, November 26, 2003)

カナダ天然資源省、運輸部門の温室効果ガス排出削減を狙った新イニシアティブを発表

カナダ天然資源省(Natural Resources Canada)、トラック業界から放出される温室効果ガスの排出削減を目的とする「商業輸送部門省エネ推進リベート(Commercial Transportation Energy Efficiency Rebate)」計画を発表。アイドリングに起因する排出削減を狙い、トラックの運転室に温風や冷風を送る技術や装置の設置に対して350〜1,400カナダドルのリベートを提供。同計画の予算は2,130万ドル。(Natural Resources Canada Press Release, November 28, 2003)


12月3日号

刻々と迫る風力エネルギー発電税控除の満期終了で、風力発電への投資が停滞

米国風力エネルギー協会(American Wind Energy Association)、米国議会での包括エネルギー法案棚上げにより、米国の風力発電部門は様々な問題に直面すると警告。同法案審議の2004年持ち越しで、風力エネルギー発電税控除が2003年末日で満期終了となり、風力発電部門への投資が停止状況になると指摘。(AWEA News Release, November 25, 2003)

国務省のDobriansky地球問題担当次官、ブッシュ政権の気候変動政策を弁護

イタリアで開催される第9回締約国会議を控え、国務省のPaula Dobriansky地球問題担当次官は、ブッシュ政権の気候変動政策こそが「唯一の容認可能なコスト効率的オプション」であると主張。京都議定書を非現実的と批判するブッシュ政権が代替策として提案した2012年までに温室効果ガス集約度を自発的に18%削減する計画は、絶対排出量の14%増大に繋がるという批判を受けている。(Financial Times, November 30, 2003)

植林と森林保全は気候変動の解決策ではないと指摘する新調査報告書

米国とブラジルの科学者共同チームによる新研究及び北アリゾナ大学の調査研究、植林の地球温暖化緩和効果を示唆するモデルは樹木の二酸化炭素吸収能力を過大評価していると指摘。前者はアマゾン熱帯雨林が温室効果ガスを吸収・貯留するどころか、実は放出していると報告。後者は植物の炭素隔離活動を活発化させる滋養物の不足で炭素吸収レベルは想定より低いと指摘。両報告書は、京都議定書が温室効果ガス排出削減の代替策として奨励する植林や既存森林保全の効果を否定する可能性。(Science, November 28, 2003)

ブッシュ政権の新排出源査定評価(NRS)改定最終規則、バージニア州等から支持獲得

バージニア・アラバマ・アラスカ・アーカンソー・カンザス・ネブラスカ・ノースダコタ・サウスダコタ・ユタの9州連合、環境保護庁(EPA)発表の日常保守条項に関する第2回目の新排出源査定評価(NSR)改定最終規則を支持するため、ニューヨーク州他計14州の起こした提訴に介入する申立を連邦裁判所に提出。(Greenwire, December 1, 2003)


12月5日号

エネルギー省、気候変動技術プログラムの進捗状況を概説する2つの報告書を発表

エネルギー省(DOE)、連邦政府の気候変動技術開発投資に関するポートフォリオと、気候変動に関係するブッシュ大統領のイニシアティブやその他の重要な進展を概説する『研究と現行活動(Research and Current Activities)』、『短期・長期的技術オプション (Technology Options for the Near- and Long Term)』と題する2冊の報告書を発表。(DOE News Release, December 2, 2003)


12月8日号

カナダ政府、エタノール拡大プログラムを開始

カナダ政府、エタノール生産拡大を狙い、エタノール拡大プログラムと呼ばれる新規プログラムを開始。エタノール工場新設を目的とする総額1億カナダドルの3ヵ年計画の第1段階では、エタノール燃料生産拡大と温暖化ガス排出削減を奨励するため、公開入札で選定された企業に最高6,000カナダドルを提供予定。(Solar & Renewable Energy Outlook, November 23, 2003)

環境保護庁、発電所の窒素酸化物と二酸化硫黄を制限する新排出規制を提案予定

環境保護庁(EPA)、窒素酸化物と二酸化硫黄の新たな規制案「州間大気質規制(Interstate Air Quality Rule)」を2003年12月に提出すると発表。新規制は主に、東部30州の石炭火力発電所からの排気を対象とし、上限設置の排出取引制度を通して2段階式で排出削減を行う見通し。(EPA News Release, December 4, 2003)

2003年、史上3番目に暖かい年となる可能性

秋の異常温暖のため、2003年の平均気温は推定華氏58.01度という史上3番目に高い年となる模様。27年連続で歴史的平均気温を上回るという事実を、科学者の多くは二酸化炭素排出による地球温暖化の証拠とみなしている。また、2003年の9月と10月は史上最高を記録。これらの新しい気温データにより、各国政府は気候変動対策を余儀なくされる可能性がある。(Wall Street Journal, December 4, 2003)

ナノテクノロジーにとっての吉報

物質は小さくなるに従い、低温で溶解するという物理の法則に、希元素ガリウムの小さなクラスターが華氏400度でも溶けることなく、安定した状態にとどまることを発見したインディアナ大学ブルーミングトン校の科学者が疑問を提起。この発見で、より小さなナノエレクトロニクスの構築が可能になると期待される。(Better Humans, December 2, 2003)

ブッシュ大統領の署名により、「21世紀ナノテクノロジー研究開発法」が成立

ブッシュ大統領、立法者やビジネスマン、ベンチャーキャピタリストやノーベル賞受賞者等の見守る中で、ナノテクノロジー研究に37億ドルを認可する「21世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st Century Nanotechnology Research and Development Act)」に署名。(Small Times, December 3, 2003)

南部4州、ブッシュ政権が提案する新排出源査定評価の改正に反対する訴訟を検討中

新排出源査定評価(NSR)の「日常保守」規定改正は連邦政府の大気質基準遵守を目指す州政府活動を阻害することになるとして、北東部州が同改正に反対して起こした訴訟に、フロリダ・ジョージア・ノースカロライナ・テネシーの南部4州が追従を検討中。南部州は、ブッシュ大統領のNSR改正を支持する政治家や業界の力が強い地域だけに、今後の動きが注目される。(Inside EPA, December 5, 2003)


12月9日号 

IBM社、ナノテク回路設計でのブレークスルーを発表

IBM社、分子の自己組織形成パターンに焦点をあてたこれまでのナノテク回路プロジェクトとは異なり、自然発生する分子のパターンを、シリコン上にフラッシュメモリ回路をエッチングするための刷込み型(ステンシル)として利用することで、ブレークスルーを成し遂げたと報告。この新方法を既存のエレクトニクス製造方法で使用することにより、製造コストが節減されるものと期待される。 (USA Today, December 8, 2003)

月に照準を定める米国の新たな宇宙プログラム

ブッシュ政権、中国宇宙プログラムの先頃の成功とその月面着陸計画に刺激され、月探検・月面基地建設・火星への有人飛行といった米国宇宙プログラムの再活性化案を検討中。ホワイトハウスでは現在、@スペースシャトル引退時期の設置;A国際宇宙基地の段階的廃止;B有人飛行用の新型宇宙船;C月面基地の対費用便益査定;D火星探査、等を見直し中。(CNN.com, December 5, 2003)

Kettering大学の研究チーム、ナノチューブ生産の新方法を発見

Kettering大学の研究チーム、医療・エレクトロニクス・新エネルギー・航空宇宙と幅広い用途が期待されるナノチューブを生産する新方法を開発。同大学研究チームの新方法は、アーク放電やレーザアブレーションそして化学蒸着といった既存技術とは異なり、炭化ケイ素基板を一気圧の室温レーザーに晒すだけという非常にシンプルなもの。実験結果はRaman分光器で確認されている。(Business Wire, December 4, 2003)

再生可能エネルギー、議会の支持を獲得

下院のほぼ4分の1にあたる105名の議員、再生可能エネルギー・エネルギー効率化プログラムの2005年度予算増額を要請する書簡をブッシュ大統領に送付。エネルギー省(DOE)の同プログラム予算を、大統領の科学技術諮問委員会(PCAST)または包括エネルギー法案の提言するレベルにまで増額すべきであると進言。(Solaraccess.com, December 8, 2003)


12月10日号

エネルギー省、2003年水素進捗状況報告書を発表

DOEのエネルギー効率化・再生可能エネルギー部(Energy Efficiency and Renewable Energy)、「水素・燃料電池・基盤技術計画の2003年年次進捗状況報告書 (Hydrogen, Fuel Cells and Infrastructure Technologies Program 2003 Annual Progress Report)」を発表。報告書は、水素経済に至る「移行への道」を @技術開発段階(第1期);A初期市場参入段階(第2期);B基盤整備への投資段階(第3期);C100%水素経済への最終移行段階(第4期)に分け、各移行期の目標を説明。(DOE Report, November, 2003)

世界銀行、2003年の炭素排出権市場は倍増したが、貧困諸国が取り残されていると報告世界銀行、気候変動枠組条約の第9回締約国会議で発表した「2003年炭素市場の現状(State of the Carbon Market 2003)」で、温室効果ガス排出権の取引量は2年連続で倍増したと報告。専門家の推定では炭素排出権の価値は2007年で100億ドル。排出権取引額の90%が世界銀行の常客である途上国諸国へ流れる一方で、アフリカや小国の途上国が取り残されがちであると警告。(World Bank Press Release, December 4, 2003)

ライス大学の研究チーム、カーボンナノチューブの糸を作る方法を開発

ライス大学の研究チーム、カーボンナノチューブの糸からポリマーを完全除去して、太さが髪の毛ほどの最強なカーボンナノチューブ糸を作る技術を開発。カーボンナノチューブで作られた糸の実用化は未だ先だが、いずれは、防弾用素材、および、鋼鉄よりも強靭なケーブルの製造等に応用されるものと期待される。(New York Times, December 9, 2003)


12月12日号

エネルギー省のClimate VISION公式ウェブサイト

DOE、米国の主要産業12部門が実施する自主的な温室効果ガス排出集約度削減のコミットメントと活動に関する情報を提供する、Climate VISION計画の公式ウェブサイト(http://www.climatevision.gov) を立ち上げ。企業の温室効果ガス削減イニシアティブ実施に有用な産業界や政府資源アクセスや、所属産業組合を通じて各企業がClimate VISIONに参加するための方法を掲載。(DOE Press Release, December 10, 2003)

州政府の気候変動政策を自らの手柄として称賛するブッシュ政権に批判集中

ブッシュ政権気候変動交渉代表のHarlan Watson博士、米国の州政府が行なう多様な気候変動イニシアティブを、同問題に対する連邦政府のコミットメントの証拠として強調。現実には州政府イニシアティブの殆どに反対していながら、州政府の行動を自らの手柄にするブッシュ政権を、州政府が厳しく批判。Watson代表、ブッシュ政権は州政府イニシアティブを連邦プラン策定前に新たなアイディアや方法をテストする「実験の場」と見なしていると反論。ブッシュ政権の地球温暖化対応策には、George Patakiニューヨーク州知事を始めとする数名の共和党知事からも批判の声。(New York Times, December 11, 2003)

ニュージャージー州、連邦基準よりも厳格な独自の水銀排出規定を提案

ニュージャージー州の環境保護局、ブッシュ政権提案の水銀規定は同州民の健康を守るには不十分であるとして、独自に水銀排出新基準を提案。同州提案の水銀規定は、石炭火力発電所、製錬所、都市ゴミ焼却所を対象とし、発電所に4年間で90%の水銀排出削減、製錬所には2009年までに75%の削減、都市ゴミ焼却所には2011年までに95%の水銀排出削減を義務づけ。同州提案の水銀削減の推定コストは年間約900万ドル。(Greenwire, December 12, 2003)

米国議会、国立標準規格技術研究所の2004年度予算を大幅削減

国立標準規格技術研究所(NIST)の2004年度予算、前年度の7億750万ドルから12%削減の6億2,440万ドル。科学技術研究所向け予算も、ブッシュ大統領要求を3,000万ドル下回る3億5,200万ドル。米国が「史上で最も厳しい産業課題」に直面している時期の予算削減に、NIST当局者は非常な衝撃を受けており、当局者の中には、今回の予算削減は商務省の仕事よりもブッシュ大統領の選挙資金集めに熱心なDon Evans商務長官の責任であると非難する者もいる。(Manufacturing & Technology News, December 5, 2003)

環境保護庁、省エネ家電製品を推進するキャンペーンを開始

環境保護庁(EPA)、クリスマス買物客にEnergy STARラベルの家電製品購入を奨励する「Energy STAR家電製品祭日キャンペーン」を開始。2003年に米国で販売される家電製品の全てがEnergy STARラベル製品であった場合、排出量は270億ポンド削減されるとEPAでは推定。(EPA News Release, December 8, 2003)


12月15日号

州政府クリーンエネルギー基金が取引可能な再生可能エネルギー証書市場で果たす役割

エネルギー省(DOE)のローレンス・バークレイ研究所とクリーンエネルギー州連合(Clean Energy States Alliance)、新興の再生可能エネルギー証書(TRC)市場で州クリーンエネルギー基金が果たす役割を検討した「取引可能な再生可能エネルギー証書に関する州クリーンエネルギー基金の実績」というケーススタディを発表。(Solaraccess.com, December 12, 2003)

世界経済協議会、グローバルな温室効果ガス登録制度を創設

世界経済協議会(WEF)、世界中の気候変動関連排出についての情報を一元化する「グローバル温暖化ガス登録制度(GGGR)」の創設を発表。WEFが企業団体や環境団体の支援を受けつつ策定したGGGRは、企業による自主的排出規制の奨励が目的。8社が排出目録の登録に同意し、他に12社と交渉中。GGGRは、2004年1月に開催されるWEF年次会合の際に正式発足され、2004年序盤にはオンラインでのデータ登録が開始される予定。(World Economic Forum Press Release, December 9, 2003)

全米製造業協会、外部コストが米国製造業者の競争力を阻む主要問題であると報告

全米製造業協会(NAM)、「米国製造業者に課せられる構造的コストがいかに労働者に害を与え、競争力を脅かしているか」という新研究報告を発表。単位労働コストに対する外部の非生産的コスト額が、米国製造業では他国より22%高いと報告。その理由は、@法人税;A従業員福利コスト;B不法行為に対する訴訟;C規制遵守;Dエネルギーなどにあると指摘。製造業者はこの研究結果に基づき、減税、規制撤廃、法制度と医療制度の改革といった対策をとるよう州および連邦政府に強く要請。(National Association of Manufacturers Press Release, December 9, 2003)


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