NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年3月後半分

エネルギー

下院で2025年に20%という再生可能エネルギー使用基準(RPS)を目指す法案が提出(2003/3/18)

2025年までに再生可能エネルギー使用基準(RPS)を20%にするという法案(下院第1294号議案)が提出された。同法案は、大規模民間発電所を対象とするもので、2005年のRPSを1%と設定し、その後毎年1%づつ拡大し、2025年には20%という内容。さらに、RPS目標値達成の為に排出権取引システムの構築も提案している。

 

全米科学アカデミー、水素燃料電池自動車への移行に関する会合を開催(2003/3/18)

全米科学アカデミーで水素燃料自動車への移行に関する非公式会合を開催。この中で、DOEの高官が、ブッシュ政権の水素研究開発では外資系企業の参加を認める可能性があると発言。同氏はまた、水素や燃料電池技術に関して日本との協力を強化する必要があるとブッシュ政権に提言しているという。

 

エネルギー省、炭素隔離技術開発の行方を明示した計画ビジョンを発表(2003/3/20)

エネルギー省(DOE)は、炭素隔離技術開発の進め方に関する「炭素隔離:技術ロードマップと計画プラン(Carbon Sequestration: Technology Roadmap and Program Plan)」を発表。事業化が可能な炭素貯留・隔離システムのための実証・研究開発の道程と行動方針を提示。

 

ロサンゼルス市の庁舎に商用の燃料電池プラントを設置(2003/3/21)

ロサンゼルス市は、ダウンタウンにある水力資源局(LADWP)の本部庁舎に水素で稼動する商用の燃料電池を設置。DOEのSpencer Abraham長官は、これを歓迎するとともに、成果がDOEとFuelCell Energy社との27年間にも及ぶ協力の成果であることを強調。

 

DOEは、政府の省エネルギー推進プログラムの継続を要望(2003/3/21)

エネルギー省(DOE)のDavid Garman次官補は、2003年9月に期限が到来する「政府の省エネルギー推進プログラム(the Energy Savings Performance Contracting Program (ESPC))」の継続を希望しており、議会に要望することを表明。

 

DOEがハンガリーでの風力発電プロジェクトを支援(2003/3/21)

エネルギー省(DOE)のSpencer Abraham 長官は、ハンガリーで風力発電のフィージビリティスタディを行うGreenergy 社(ハンガーリー企業)に対し、13万8000ドルの補助金を交付することを発表。同プロジェクトは、ハンガリーにおけるEUとの温室効果ガス削減目標を達成に貢献するものとして期待。

 

下院のエネルギー・大気質分科会でエネルギー法案がまとまる(2003/3/24)

下院のエネルギー・大気質委員長Joe Barton 議員(共和党、テキサス州)が提案しているエネルギー法案が、下院のエネルギー・大気質分科会で了承された。“The Energy Policy Act of 2003”と名付けられた法案には、ガソリン消費削減案やCAFリ準の強化、石炭ガス化技術、二酸化炭素固定化プロジェクトなどが盛り込まれている。

 

DOEが「燃料電池開発に関する報告書」を議会に提出(2003/3/28)

エネルギー省(DOE)は、議会に報告するために作成した「燃料電池開発に関する報告書」を2月末に議会に提出。燃料電池の実用化を図る上での技術課題として、コスト削減、耐久性向上や標準化の問題を挙げ、この問題解決には一層の官民が協力が必要だと明記。また議会に対し、先進材料の開発や製造技術など基盤技術にも、重点を置くよう要望。

 

メキシコ政府、低利融資の提供で、低所得世帯への省エネ家庭電気器具の導入に成功(2003/3/28)

メキシコ政府は、低所得労働者階級世帯の生活水準を向上するために、低利融資を行う制度を利用し、2002年5月~2003年2月の間に、@冷蔵庫31,640台、A洗濯機32,161台、B冷房機器7,848台の省エネルギー型家電製品を導入したと発表。2003年もこの低利融資事業の継続を考えているという。


環境

ワシントン州議会、気候活動レジストリーを提案(2003/3/18)

ワシントン州議会では、産業部門から放出される温室効果ガスの排出量を記録する自主計画の創設を検討中。連邦政府が最終的には、温室効果ガス登録を義務付けるものと予測しており、早期に行えば、長期的にはワシントン州の産業にとって有益なものとなると主張。なお産業グループは、この提案に反対。

 

明確な排出権市場ルールの欠如が、企業の参加や排出取引を阻害していると指摘(2003/3/21)

排出権取引の専門家らは、世界資源研究所(World Resource Institute)の持続可能な事業サミットにおいて、京都議定書で想定した世界的な炭素取引市場を実現するためには、取引上の明確なルールの制定が必要だと指摘。また、米国の京都議定書脱退が排出権取引市場に深刻な影響を与えていると分析し、向こう5年間での炭素取引市場の発展は難しいとの考えを発表。

 

国立海洋大気局とウィスコンシン大学、雲が北極の温暖化緩和の原因と発表(2003/3/21)

国立海洋大気局(NOAA)とウィスコンシン大学マディソン校の研究チームは、地球温暖化の影響で北極の平均温度が過去20年間のうちに華氏2度上昇しているが、気候変動と雲の量の増加に有効な関係があり、冬季と春夏季の雲の量が、北極の温暖化を軽減していることを発表。

 

国防省が軍事活動を環境関連法の対象から除外するよう議会に要求(2003/3/24)

国防省(DOD)は議会に対し、動物保護法、クリーン・エア法、資源保全回収法、包括的環境責任、債務補償法、海洋哺乳類保護法が軍事活動に支障を来たしており、軍事活動を法律の対象から除外するよう要求を行った。

 

科学者や環境保護主義者らがイラク戦争における環境破壊を危惧(2003/3/24)

科学者や環境保護主義者らは、イラク戦争が環境に与える影響について危惧しており、戦争によりペルシャ湾岸地域への回復不可能な汚染や地球温暖化に大きな悪影響を与えると警告する。また、自然環境の破壊を避けるため、戦争における国際的な規則を制定する必要があると主張。

 

上院議会で、アラスカの北極圏野生生物保護区域での石油掘削が否決される(2003/3/24)

上院のエネルギー・天然資源委員会は2004年度予算法案の審議を行い、アラスカ州にある北極圏野生生物保護区域(ANWR)内での石油掘削が、52対48で否決された。この投票結果に、アラスカ州知事や前上院議員のFrank Murkowski氏が議会を批判。また、本案を先導してきた上院歳出委員会委員長のTed Stevens議員(共和党、アラスカ州)は、後日問題を復活させると宣言。

 

北米環境問題協力委員会主催の会合、NAFTAが環境に及ぼす影響を討議(2003/3/25)

北米環境問題協力委員会(NACEC)がメキシコシティーで開催され、北米自由貿易協定(NAFTA)が環境に及ぼす影響について討議。今回の会合では、NACECが策定した「NAFTAの環境影響を査定する分析フレームワーク」を磨き上げるほか、大気質と水質;海産業;電力;林産業;有害廃棄物といった問題に関する14件の研究プロジェクト結果も討議する予定。

 

ブッシュ政権、企業平均燃費(CAFE)基準の改正を検討中(2003/3/25)

ブッシュ政権は現在、企業平均燃費(CAFE)基準の改正を検討中であると伝えられているが、改正案には、乗用車対軽トラックという区別を廃止し、燃費を重量に基づいて決定するという条項が盛り込まれる模様。ビッグ3とトヨタがこの改正案を現実的であると評価する一方で、ホンダは、現行のサイズ分類に基づくべきであると主張。

 

テキサス大学オースチン校の研究チーム、山火事が炭素隔離に及ぼす影響を報告(2003/3/27)

テキサス大学オースチン校が米航空宇宙局(NASA)の支援を受けて行なった研究により、森林の炭素隔離能力は、山火事と森林再生のサイクルに密接に関係していることが判明した。調査を行ったLitvak女史によると、樹木の種類で異なる炭素吸廃レートを理解することは、地球の炭素サイクルに与える森林の影響を推定する上で有用で、炭素貯留・隔離に関する政策決定を支援することになるという。

 

米国産業界、クリアスカイ法案のエネルギー影響調査を新たに要請(2003/3/27)

米国産業エネルギー消費者団体 (IECA)は、ブッシュ政権提案のクリアスカイ計画が発電所の燃料転換を進め、天然ガスが一層高騰することが想定されることから、クリアスカイ計画への支持を躊躇、新たな調査を要請した。一方、ホワイトハウスのConnaughton環境問題委員長は、米国で開発された技術はインドや中国へ移転し、途上国の汚染抑制を支援するものであるため、米国内で燃料転換が生じないと主張。

 

スーパーファンド課税復活法案、上院で敗北(2003/3/27)

企業へのスーパーファンド課税を復活させるという上院民主党の試みは、43対56の票決で敗北。今回の再認可法案が可決されていれば、2004年度のスーパーファンド計画用予算は、企業への課税や石油・化学企業への免許税(excise levy)によって約3億6,000万ドル増える計画であった。今回の敗北が、スーパーファンド予算問題の終焉を意味するのかは不明。

 

DOEが、ニューメキシコ州で大規模な二酸化炭素地中固定化実証試験を計画(2003/3/28)

エネルギー省(DOE)は、地下の地層に二酸化炭素を恒久的に固定化するという、米国では初めての大規模な実証試験を計画中。実証試験では、2100トンのCO2を1400psiの圧力で、毎日40トンずつ地下の地層に注入するという。今回の実証試験はCO2地中固定化モデルやシミュレーションツールの開発に役立つと期待されている。

 

Science誌のDonald Kennedy編集長、米英の気候変動計画に関する比較を論説(2003/3/28)

Science誌の編集長であるDonald Kennedy氏は、米英における気候変動計画の比較を社説に掲載し、米国気候変動科学計画(CCSP)の問題点について@具体的な内容の不足とA目標達成が危うくなった場合の方策の欠如を指摘。これとは対照的に、最近発表された英国気候変動計画は、長期的な観点から明確かつ行動的な削減達成目標を提示しており、@エネルギーの自立、A再生可能エネルギー開発、B研究開発が1つの戦略に統合されていると称賛。


サイエンス・テクノロジー

全米科学財団、統合パートナーシップという新競争公募を発表(2003/3/18)

全米科学財団(NSF)が、統合パートナーシップ計画という新たな競争公募を行う予定であると発表。科学技術センター(STC)の下で行われる同計画では、複数の研究分野を扱う革新的研究プロジェクトに重点をおくセンターをこれまでの36センターに加え、6〜8ヵ所新設する予定であるという。新競争公募には、2005年度予算で総額3,000万ドルが計上される予定。

 

テキサス大学オースチン校で、短命な反応中間体の特性を確認する方法を開発(2003/3/20)

全米科学財団(NSF)のグラント受給者であるテキサス大学オースチン校の研究者達が、化学反応の際に瞬時発生する「反応中間体(reaction intermediate)」の特性を確認する方法を発見したと報告。

 

連邦政府6機関、省庁間の製造技術研究開発を調整するイニシィアティブを制定(2003/3/20)

製造技術研究に携わる連邦政府6機関(NIST、NSF、DOE国家原子力安全保障局、DOEエネルギー効率化・再生可能エネルギー部、国防省、NASA) が、連邦機関製造技術情報交換(Government Agencies Technology Exchange in Manufacturing = GATE-M)という新イニシアティブを制定。製造技術に関する国家イニシアティブの基礎になることを期待。

 

半導体産業協会、不公平な中国市場や政府の研究開発コミットメント強化に言及(2003/3/20)

半導体産業協会(SIA)が、輸入半導体に対する中国政府の関税及び半導体研究開発に対する米国政府の投資レベルという2つの重要問題について言及。SIAのGeorge Scalise会長は、中国政府の関税廃止及び米国連邦政府研究費の増額が、米国半導体産業のベースを維持する鍵になると主張。

 

Battelle Memorial研究所が、「Battelle東部科学技術研究センター」を初公開(2003/3/21)

Battelle Memorial研究所は、メリーランド州に建設した2,100万ドル規模の新たな研究所「Battelle東部科学技術研究センター(Battelle Eastern Science and Technology Center)」を初公開。同センターでは、国防省(DOD)の国家防衛に関連する生物学・化学に関する新たな研究や国立衛生研究所(NIH)の研究を行うという。

 

フォトマスク産業がSEMATECHのようなコンソーシアムの設立を検討(2003/3/24)

米国のフォトマスク産業は、日本企業と激しい競争に直面しており、研究開発資源の共有化を図るため、SEMATECHのようなコンソーシアムを形成することを検討中。IBM、インテル、Micron、デュポンフォトマスク、フォトロニクスの主要企業5社は、国土安全と国防の観点から同産業の支援は極めて重要と主張し、国防省もこれを支持。

 

DARPAが生産技術の研究開発支援を検討(2003/3/24)

防衛先端研究計画局(DARPA)は、生産技術研究開発のイニシアティブ創設を検討中。製造産業では、将来の技術発展に対応できるような大量生産技術の確立という難しい問題を抱えていることと、今後5〜10年の間に、こうした問題が防衛研究開発の問題にもなると考えているため。DARPAはこうした問題を議論するため、4月にワークショップを開催する予定。

 

大統領の科学技術諮問委員会(PCAST)、ハイテク製造部門の状況調査を実施(2003/3/25)

大統領の科学技術諮問委員会(PCAST)は先日の会合で、ハイテク製造部門は長期的な経済安全保障に必要不可欠であると宣言したが、この度、米国製造業部門の状況調査を実施する意向であると発表。半導体産業協会のGeorge Scalise会長の主導で実施される研究調査の報告は今年の夏に完成する見通し。

 

増加一途の州政府の財政赤字で、苦境に立たされる科学技術プログラム(2003/3/27)

巨額の財政赤字を抱えた全国の州知事は、研究開発イニシアティブ予算の大幅減額を強いられており、中には、州政府の科学技術プログラムそのものを廃止するケースも出ている。ニュージャージー州では、州立大学やハイテク企業に配分した20件のプロジェクト予算を撤回し、また、カリフォルニア州では、Gray Davis州知事が全ての州政府支援技術プログラムの中止を提案している。

 

投資不足に苦悩する米国幹細胞研究企業(2003/3/28)

多くの米国幹細胞研究企業等は、科学的、技術的には進歩しているものの、経済不況、幹細胞製品への期待の欠如、短期間での市場化が難しいことなどの理由により資金確保が困難な状況に陥っているという。幹細胞産業を発展する唯一の希望は、他の研究分野や応用分野で、幹細胞技術の市場が復活することであるが、それまで企業が耐えられるかが問題。

 

投資の落ち込みから、ナノテク企業が自らが“ナノテク”の看板をおろそうと努力(2003/3/28)

米国のナノテク関連企業は、“ナノテク”という看板をおろそうとする努力をしているという。これは、“ドット・コム産業”のことを彷彿させるような、多くのベンチャー投資家がナノテク産業から手を引き始めている現状に起因。ナノテク技術への投資専門会社は、技術的な観点から、最も早く商業化が可能な分野を絞ることが重要と指摘。


議会・その他

商務省、貿易障害の削減を目的とする標準規格先導策フレームワークを発表(2003/3/27)

商務省が先頃、貿易障害の克服と標準規格の改善を目的とする標準規格先導策フレームワーク(Standards Initiative Framework)を発表。この新イニシアティブは、海外の標準や技術規制が深刻な輸出問題になっているという米国産業界の不満に応じる形で出されたもので、標準や規格の問題から生じる貿易障壁の解決に取り組む。

 

上院エネルギー・天然資源委員会、委員長自らの包括エネルギー法案を公表(2003/3/28)

上院エネルギー・天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)は、上院版包括エネルギー法案の出発点となる、自らの包括エネルギー法案を公表。法案には、アラスカの北極圏野生生物保護区域における石油掘削、CAFE規制の強化、エタノール使用義務およびガソリン添加物に関する事項は含まれておらず、2002年の上下両院協議会で合意された内容に類似。


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