NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年5月前半分

エネルギー

上院エネルギー委員会、包括的エネルギー法案を可決(2003/5/5)

上院エネルギー委員会は、包括的エネルギー法案をアラスカの石油掘削問題、気候変動対策、ガソリン規格の見直しなどを除いた形で可決。委員長のPete Domenici 議員が支持した「二酸化炭素隔離のための森林保護に関する法案」は議論が持ち越しとなった。今後は、上院本会議の場で議論が行われる。

 

米国政府が国際エネルギーフォーラム(IEF)の支援を表明(2003/5/5)

DOEのSpencer Abraham長官は、米国が国際エネルギーフォーラム(IEF)の活動に参加・支援していくことを表明。米国は、事業への協力はもちろんのこと、サウジアラビアのリアド市にあるIEF事務局にも専門家を派遣する予定とのこと。

 

エネルギー省、「2003年世界エネルギー見通し」を発表(2003/5/6)

DOEのエネルギー情報局 (EIA) が発表した「2003年世界エネルギー見通し(International Energy Outlook 2003)」によると、世界のエネルギー消費は、産業化の進む中国・インド・韓国といったアジア地域の増加を中心に、2025年までに58%上昇。一方、中南米諸国における1999年から2020年までのエネルギー消費拡大率は、同地域の政治・経済面における問題の為に、昨年予測の年間3.8%から年間2.4%へと下方修正された。

 

Joe Lieberman上院議員、RFFが開催したセミナーでエネルギー計画を披露(2003/5/8)

2004年大統領選挙への駆引きの一環として、Joe Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)は、自らのエネルギー計画を発表。「エネルギー独立宣言」と呼ばれるこの計画は、@エネルギー効率の改善、A既存資源の有効利用、Bクリーン技術および再生可能エネルギー技術の普及を加速化、C環境保護の4つを主要項目とし、向こう10年間で海外石油依存度を約66%削減することが目標。

 

Abrahamエネルギー省長官、国際的な水素研究開発パートナのーシップを提案(2003/5/8)

DOEのAbraham Spencer 長官が、国際エネルギー機関(IEA)の大臣会合の席で、水素技術や燃料電池技術の目標達成の鍵は国際協力にあるとし、「水素経済を目指す国際パートナーシップ」の創設を提案。詳細な目標や条件等は、今後の会合で討議されるが、欧州連合・日本・オーストラリア・カナダ・中国・インド等の参加が想定される。

 

ロスアラモス国立研究所、水素燃料電池技術の先駆者としての再出発を切望(2003/5/12)

ロスアラモス国立研究所は、一連の核兵器開発に関するスキャンダルで与えた研究所のイメージを一新するため、水素燃料電池技術の先駆者になることを目指すことを切望。同研究所は、水素市場の立ち上げ方法を論議するため、ジェネラル・モーターズ(GM)社およびフォード社と検討を進めており、ニューメキシコ州政府からの支援を期待しているという。

 

HydrogenSource社、「ガソリン水素燃料処理装置」の実験に成功(2003/5/12)

UTC Fuel Cells社とShell Oil Products U.S社の共同出資会社であるHydrogenSource社は、50キロワット(kW)級固体高分子(PEM)燃料電池を作動するための十分な水素を生産する、ガソリン水素燃料処理装置の実験に成功。触媒による部分酸化(CPO)技術を使用した燃料処理装置は、従来より小型で反応速度も速く(4分以下)燃料電池自動車用には理想的という。

 

サンフランシスコ市、潮汐発電によるエネルギー生産パイロット計画への着手を決議(2003/5/12)

サンフランシスコ市は、潮汐力を利用してエネルギーを生産する予算200万ドルの潮汐発電のパイロット計画に着手することを決定。将来的には、サンフランシスコ市の最大電力需要の2倍以上に当たる、約2,000メガワット/日の電力生産が可能になるという。

 

GM社が燃費改善のために、SUVに新システム技術を搭載することを発表(2003/5/14)

ジェネラルモーターズ(GM)社は、2005年から、同社のSUV車に搭載する5300CCの V-8エンジンに、燃費を8%向上させる「デマンド対応システム(Displacement On Demand = DOD)」技術を装備することを発表。DODは、エンジンのパワーがそれほど必要でない通常運転時に、エンジンシリンダの半分を停止させて、燃料消費を削減するというもの。小型トラックおよびSUVの燃費改善基準達成に役立つ標準的なシステムになるという。

 

GM社が化学工場に燃料電池、Millennium Cell社は水上タクシーに水素燃料技術を提供(2003/5/14)

ジェネラルモーターズ(GM)社は、Dow Chemical社で最大の製造プラントに、35MWの電力を供給する燃料電池システムを提供する予定。この契約がうまくいけば、2010年までにさらに約500ユニットの燃料電池を同社に提供できる可能性があるという。一方、水素燃料の開発を行っているMillennium Cell社は、カリフォルニア運輸技術導入センターが行う近海用の船舶や港湾施設への「水素燃料システム」導入プロジェクトに技術提供を行っており、乗客22名の水上タクシー新たな水素燃料システムを導入する予定。

 

NRELが革新的な太陽電池製造技術の開発でEnergy Conversion Devices社と契約(2003/5/15)

国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が、太陽電池の新製造技術を開発するために、Energy Conversion Devices (ECD) 社と3ヵ年契約をを締結したと発表。太陽電池の生産コスト引き下げを目的とする同プロジェクト契約の総額は、推定600万ドルで、この内の約300万ドルをNRELが負担する。DOEの太陽光発電製造技術イニシアティブの下で行なわれる同プロジェクトは、30メガワットの太陽光発電システム製造作業をモニターする、オンライン診断システムと継続的オンライン最適化の研究開発に焦点をあてる予定。


環境

気候変動科学プログラム、北極圏気候研究の課題を盛り込んだ研究計画を発表予定(2003/5/6)

連邦13省庁で構成された気候変動科学プログラム(CCSP)では、6月末に北極圏気候研究の主要課題についても概説する予定であるとのこと。CCSPではここ数ヶ月間、研究計画改訂の検討を行なっており、北極関係の研究分野として、@冬季の温度上昇;A動植物の生息地の変化;B永久凍土層の溶解;C海流の変化を挙げている。

 

環境保護庁、軽量自動車の平均燃費に関する年次報告書を発表(2003/5/6)

環境保護庁(EPA)が4月30日に、自動車燃費動向に関する年次報告書を発表した。「1975年から2003年の軽量自動車技術と燃費動向」では、2002年型車の平均燃費が過去22年間で最低となる1ガロンあたり20.4マイルにまで落ち込んだことを報告し、2003年型車の平均燃費は若干改善してガロンあたり20.8マイルになるであろうと予告する。

 

ニューヨーク州政府がオンタリオ州石炭発電所の排出抑制を求め北米環境協力委員会に嘆願書を提出(2003/5/6)

ニューヨーク州は、オンタリオ発電所が所有する米加国境沿いの石炭火力発電所3ヵ所からの排出がニューヨーク州の大気と州民の健康に害をもたらしているとして、発電所の排出物抑制を要求する嘆願書を北米自由貿易協定(NAFTA)の北米環境協力委員会(CEC)に提出。1994年のNAFTA創設以来、政府の嘆願書が提出されたのは今回が初めてのこと。

 

コロンビア大学のLackner氏、化石燃料経済を維持し、二酸化炭素排出を削減する対策を提案(2003/5/12)

コロンビア大学のKlaus S. Lackner氏は、「アメリカが行うべき気候問題の解決を考える会(AECS)」が開催したセミナーにおいて@二酸化炭素の固定化、A無公害先端石炭ガス化発電所、B「Air Tower」を用いた二酸化炭素除去が、化石燃料経済を維持しつつ、人類の二酸化炭素排出を削減するために最も有効な手段であるとの提案を行った。

 

「グリーンシザーズ」がFreedomCAR計画を税金の無駄と批判(2003/5/13)

環境面で利益よりも害となる連邦政府の計画を報告する「グリーンシザーズ」は、予算6億3,400万ドルのFreedomCAR計画を、何の中味もない無駄なプログラムと批判。この計画は、米国自動車メーカーへの企業補助にすぎず、計画の進捗状況を査定するベンチマークすら設定していないと指摘。

 

上院環境公共事業委員会、複数汚染物質抑制法案に関する論議を継続(2003/5/14)

上院環境公共事業委員会の中で、複数汚染物質抑制法案に二酸化炭素を含めることは、石炭から天然ガスの大規模な燃料転換を促進し、経済に打撃を与えることになるという報告が提出。これを受けてDOEのKyle McSlarrow副長官は、クリアスカイ法案が二酸化炭素削減を支持する法案の成立を回避するであろうと発言。

 

株主活動家らは、環境政策関連の株主決議に関し、フォード社とGM社で異なった対応(2003/5/14)

環境問題を重視する株主活動家等は、大幅な燃費改善を要求する決議について、フォード社では採択を撤回したものの、ジェネラル・モーターズ(GM)社では採択に向けた活動を続けているという。これは、フォード社が自社の立場について十分な時間を費やして株主らに説明を行ったのに対し、GM社は決議の反対を奨励しただけという対応の差であると株主らは指摘。

 

下院の国際関係委員会、気候変動問題における米国のリーダーシップを顕示する決議を可決(2003/5/14)

下院の国際関係委員会は、気候変動問題に関する米国の国際的なリーダーシップの顕示を国務省に要請するため、対外政策権限委託法案を修正する決議を可決。京都議定書定書を批准する国々の計画に干渉しないことを謳うとともに、米国が、@排出権取引システムの創設、A炭素隔離プロジェクトの実施、B気候変動問題に関する国際論議への参加、C米国独自の気候変動解決策の提案などを行うべきとの内容になっている。

 

州政府高官や産業界幹部が、EPAが作成中の2003年度~2008年度戦略計画を激しく非難(2003/5/14)

EPAが作成中の2003年度~2008年度におけるEPA戦略計画について、政府業績評価法(GPRA)に基付いて戦略の作成を進めているが、州政府高官は、EPAの情報提供不足の現状や具体的な達成方法など詳細が記載されていないと批判。また、国家環境政策技術諮問委員会(NACEPT)メンバーも戦略には、目標達成過程を判断するために必要なベースラインが設定されていないと指摘するなどして激しい批判を浴びせている。


サイエンス・テクノロジー

ライス大学、ナノテクノロジーのエネルギー応用について討議する会議を開催(2003/5/6)

ライス大学が、ナノテクノロジーの活用によってクリーンなエネルギー源の開拓方法を討議するための会議を開催。科学者および政策指導者100名が参加した会議では、深刻化する世界エネルギー危機の解決にナノテクノロジーが貢献するとし、ナノ材料を利用しての軽量かつ燃費の良い自動車の製造やエネルギー貯蔵効率の改善等のアイデアが出された。

 

遺伝子改造した感冒ウィルスを使い、ネズミの脳腫瘍細胞を破壊することに成功(2003/5/8)

テキサス州ヒューストン市にあるAnderson癌センターの神経外科医であるFrederick Lang医学博士を中心とする科学者グループが、Glioblastomaと呼ばれる悪性脳腫瘍を治療する革新的な手法を開発。遺伝子改造した感冒ウィルスを使うこの治療方法は、健康な脳細胞に害を与えることなく、癌細胞だけを破壊するという。早ければ臨床実験を来年中にも開始したいとのこと。

 

ナノテクノロジーを利用した糖尿病患者の血糖値測定センサー(2003/5/8)

ブルックヘーブン国立研究所(BNL)とエルサレムのHebrew大学が協力し、動植物の蛋白質とほぼ同じ大きさの金のナノ粒子をグルコースオキシダーゼという酵素に植え付けたところ、酵素の電導性に大きな変化が生じることを発見。これにより、小型かつ高感度な血糖値測定センサーの開発が可能となり、心臓のペースメーカーやインシュリンポンプ等への応用も考えられるという。

 

米国議会、ブッシュ政権の反対を後目に製造技術普及計画への予算計上を支援(2003/5/8)

ブッシュ政権は、昨年、製造技術普及計画(MEP)の廃止を求めて2003年度に大幅な予算削減を示したが、同計画の創設者であるErnest Hollings上院議員(民主党、サウスカロライナ州)が中心となり反対し、失敗に終わっている。2004年度予算でも再度MEPの廃止を求めているが、先頃可決した議会の2004年度予算決議案には、2003年度予算を若干上回る予算が盛り込まれた。

 

IBM社、世界の半導体製造部門で上位3社に跳躍(2003/5/12)

IBM社は、ニューヨーク州East Fishkill市にある最先端チップ製造工場の開設以降、世界の半導体製造部門で上位3社に跳躍し、台湾・シンガポールにおけるエレクトロニクス製造競争業者を凌ぐようになった。成功の要因は、East Fishkill設備の先端能力と比較的高額な製品を低価格で生産(30%〜70%の経費節約)できることにあるとのこと。

 

議会は、2003年度連邦環境R&D予算を大統領要求比6.5%増の総額79億ドルで認可(2003/5/12)

全米科学環境委員会(NCSE)と全米科学振興協会(AAAS)が行った連邦政府の予算の分析によると、議会は2003年度環境研究開発(R&D)予算を、大統領の予算要求(対前年比1億1,600万ドル減)に約4億8,200万ドル(大統領予算の6.5%増)を追加した総額79億ドルで認可。これは、2002年度連邦環境R&D予算より3億6,600万ドル増(4.9%増)。

 

DARPAの新製造技術研究開発イニシアティブについて防衛関係業界と政府関係者が討議(2003/5/13)

防衛関係の製造業界代表と政府高官は会合を開き、防衛先端研究計画局(DARPA)の新製造技術研究開発(R&D)イニシアティブを創設する可能性について討議した。今回の会合では、@向こう10年間に国防省が直面する製造面での課題と、ADARPA製造技術イニシアティブの有益さが議論されたという。

 

幹細胞の増殖を助長する、純粋な細胞間シグナル蛋白質(2003/5/13)

スタンフォード大学の2つのチームが、純粋な形のWntタンパク質が、幹細胞の形質転換を引き起こすことなく、幹細胞の増殖を助長することが明らかになったと報告。Wntタンパク質は、形態形成や発癌遺伝子抑制で重要な役割を担っていると考えられている細胞間シグナル分子。今回の発見により、幹細胞の治療への応用が増えるものと期待。

 

DOEゲノム共同研究所とDiversa社が微生物ゲノム研究でパートナーシップを形成(2003/5/14)

エネルギー省合同ゲノム研究所(JGI)とカリフォルニア州サンディエゴ市のDiversa社は、新しい微生物のゲノム発見や配列の研究を行うためのパートナーシップを発表。Diversa社は、微生物からDNAサンプルを抽出し、遺伝子ライブラリーを構築するための技術を提供。JGIは、実際の遺伝子配列の解析を行う予定。遺伝子ライブラリーは、当初は公開を限定するものの、半年後には一般利用が可能になる予定という。

 

金の卵、ヒトのタンパク質を基にした薬剤の生産拡大を支援(2003/5/15)

ノースカロライナ州立大学、Roslin研究所(英)とフロリダ州のViragen社の共同研究チーム、カリフォルに州のBioAgri社の3つの研究チームが先頃、三者三様の方法でヒトのタンパク質を含んだ卵を生む鶏を作り上げることに成功した。これにより、製薬会社などで使用する人の純粋タンパク質の価格は現在の価格の100分の1にあたる、1グラムあたり約10ドルとなり、安価にヒトのタンパク質を基にした薬剤や治療方法を開発が行なえると期待している。

 

米国陸軍、次世代フラットパネル・ディスプレー業界のコンソーシアム新設を計画中(2003/5/15)

米国陸軍が、次世代フラットパネル・ディスプレー(FPD)の研究開発コンソーシアムを新設する意向であると伝えられている。Sematechをモデルとするコンソーシアムには、産業界・学界・陸軍研究所、及び場合によっては他の軍事機関も参加するものと見られている。コンソーシアムの目的は、プラスチック基質を素材とする軽量で丈夫で、しかも、折り曲げ自在な(flexible)コンピューター・ディスプレーを開発することで、陸軍は2004年度から2009年度までの5年間で5,400万ドルを拠出する用意があるという。


議会・その他

下院科学委員会が、ナノテク関連法案と気候変動関連法案のとりまとめ審議を実施(2003/5/5)

下院科学委員会は、「ナノテクノロジー研究開発法案」と「気候変動研究及びデータ管理法案」のとりまとめ質疑を実施。採決の結果、「ナノテクノロジー研究開発法案」については一部法案を修正のうえ可決、「気候変動研究及びデータ管理法案」については反対多数で否決された。

 

下院科学委員会のBoehlert委員長は、2004年度NSF予算の大幅増額を目指す(2003/5/8)

下院科学委員会のSherwood Boehlert委員長(共和党、ニューヨーク州)は、全米科学財団(NSF)予算を管轄する下院歳出委員会小委員会に書簡を送り、2004年度NSF予算の20%増額(前年度比)を検討するよう要請。NSF予算を増額する理由として、@2002年NSF権限認可法への同調、A科学・数学・技術・工学関係学位プログラムの維持、Bサイバー・セキュリティーおよびナノテクノロジーへの投資の必要性を挙げている。


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