NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年7月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月2日号

ウィスコンシン大学の科学者、バイオマス利用水素生産で使用可能な新触媒を開発

ウィスコンシン大学マジソン校の科学者、バイオマスから水素を生産するプロセスで、高価な白金の代わりに使用出来る、安価なニッケル-スズ-アルミニウム触媒を発見。バイオマスから生まれた炭化水素に反応して、水素と二酸化炭素を生産するこの新触媒は、メタンガスの大量発生を阻止。また、摂氏225度で行なわれる触媒改質プロセス(catalytic reforming process)は、水を蒸発させることなく水素を生産するため、化石燃料ベースの従来型水素発生方法と比べ、大きなエネルギー節減が可能。(SolarAccess.com, July 1, 2003)

エネルギー情報局、2002年の二酸化炭素排出は1.3%の増加であったと報告

エネルギー情報局(EIA)、2002年の化石燃料燃焼に起因する米国の二酸化炭素排出量が、前年比1.3%増の57億6,200万メトリックトンにまで増大したと報告。同増大の原因は、@2002年の経済成長率が2001年を上回ったこと;A2001年と比較して夏が暑く冬が寒かったこと;B電力需要の拡大等。部門別の二酸化炭素排出増加率では、家庭部門が2.9%増、米国二酸化炭素総排出量の約3分の1を放出する輸送部門が1.5%増、業務部門が1%増、産業部門が0.3%増を記録。(Greenwire, July 1, 2003)

メイン州、温室効果ガス排出削減法案を可決

メイン州、Ted Koffman州議員(民主党)が提案した、温室効果ガスの排出削減目標と排出削減スケジュールを確立する法案を可決。同法案にはメイン州にり、@温室効果ガスを2010年までに1990年レベル、2020年までに1990年レベル比10%減まで削減;A来年7月までに「気候変動行動計画」および、同州政府機関と民間部門の排出削減協力ロードマップの確立を義務づけ。(Greenwire, June 30, 2003)


7月8日号

保守派シンクタンク、環境保護庁には粒状物質規制を正当化する証拠がないと批判

アナポリス科学に基づく公共政策センター(Annapolis Center for Science-Based Public Policy)の新報告書「『粒子戦争』と平和への道 (メParticle Warsモ and a Path to Peace)」、PM2.5基準と呼ばれる汚染基準の初導入に向けて準備活動を行うEPAは、粒状物質被曝と人間の健康問題の関連について理解不足であるため、同関連が今後の研究で確証されるまで、新たな粒状物質規制を避けるべきであると主張。また、粒状物質の制限が公衆衛生に利益をもたらすか否かも定かではないため、粒状物質規制は時期尚早であると批判。(Inside EPA, July 4, 2003)

国家科学審議会、理工系労働人口の増進政策を主導するよう連邦政府に要請

全米科学財団(NSF)の理事会である国家科学審議会(NSB)の報告書草案、米国の経済成長と国家安全保障は科学技術に依存しているため、理工系労働者の質が鍵であると主張。しかし、@理工系人材を求める国際競争の激化の為に、海外の理工系労働市場に頼って米国内の職を満たすことが困難となり;A米国人の理工系学生の数が減少傾向にあるため、米国の理工系労働人口の不足は益々深刻化する見込み。米国における理工系労働人口の増進を図るため、組織的な国家計画の策定・実施努力を主導していくよう連邦政府に要請。(NSB Draft Report Executive Summary, May 22, 2003)

米航空宇宙局、スペースシャトル計画管理の徹底的な改変計画を発表

米航空宇宙局(NASA)、今月末予定のコロンビア事故調査委員会(CAIB)による調査報告発表を待たずして、スペースシャトル計画の管理改変計画を発表。同計画はコロンビア号の事故に関連したマネージャーやディレクターの配置転換が主体のため、人事異動では対応できない幾つかの提言を行っているCAIBを満足させるには不十分の模様。(The New York Times, July 3, 2003)


7月9日号

NISTとNRELの研究チーム、量子ドットの操作方法を改善

国立標準規格技術研究所(NIST)と国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の研究チーム、量子ドットを低エネルギー(待機状態)から高エネルギー(励起状態)に 切り換える為に必要となる、「双極子モーメント」と呼ばれるレーザー光線のエネルギー量を正確に測定することに成功。これによって量子ドットを「オン」にしたり「オフ」にすることが可能となり、ひいては、量子コンピューターや通信といった特定目的に応じた量子ドットの最適化が可能になるものと期待。(NIST Update, June 24, 2003)

世界規模のインターネット研究所「プラネットラボ」

世界16ヵ国60の大学と大手企業の研究者等、プラネットラボ(PlanetLab)と呼ばれる仮想インターネット研究所を新設。情報シェアを可能にするソフトウェアを装備した1,000台のコンピュータをネットワーク化するプラネットラボが、インターネットによるウィルス自己監視、および、長期にわたるウェブページ呼び起こしといったインターネット新機能の性能実験所になることに期待。(Science, June 27, 2003)

下院歳出小委員会、国立衛生研究所の2004年度予算を2.5%増でマークアップ

下院歳出委員会の労働省・厚生省・教育省担当小委員会、2004年度の国立衛生研究所(NIH)予算を2.5%(6億8,100万ドル)増額する歳出法案をマークアップしたため、1999年度~2003年度まで年平均15%という予算増額を享受してきたNIHの来年度予算が、2桁台の拡大を維持する見通しは大幅に縮減。(Science, June 27, 2003)


7月10日号

米国議会、ナノテクノロジーのもたらす影響の研究を義務付ける法案を審議中

上院と下院のナノテクノロジー研究開発(R&D)法案、ナノテクノロジーがもたらす社会・経済・環境影響に関する政府研究を義務付ける条項を審議中。上下両院とも同研究への予算指定給付は避けたが、下院法案は研究者に同研究を開発過程に直接統合するよう指示。一方、上院法案は、ナノテク関連倫理問題を調査する「米国ナノテクノロジー準備センター(American Nanotechnology Preparedness Center)」へ毎年500万ドルの給付を提示。(Science, July 4, 2003)

米国議会製造技術タスクフォース、製造技術アジェンダを策定中

製造技術アジェンダの策定を遂行する米国議会製造技術タスクフォース、7月14日にカーネギーメロン大学で特別公聴会を開催し、同分野の専門家達から証言を聴聞する予定。製造技術研究開発、製造技術普及計画(MEP)の運命、および、中国等製造強国の貿易慣行が討議される見込み。(Manufacturing and Technology News, July 3, 2003)

下院のエネルギー大気質小委員会、クリアスカイ法案に関する公聴会を開催

環境保護庁(EPA)のJeffrey Holmstead大気放射能担当次官、下院エネルギー商業委員会のエネルギー大気質小委員会が開催したクリアスカイ法案に関する公聴会で証言。EPAが同法案に競合する他法案の分析を行わなかった理由等につき、民主党議員等から激しい質問。 (House Energy and Commerce Committee Subcommittee on Energy and Air Quality, July 8, 2003)


7月11日号

エネルギー省、「スマートエネルギー・キャンペーン」を開始

エネルギー省(DOE)、国民に賢いエネルギー利用とエネルギー費用削減を奨励するスマートエネルギー・キャンペーン(Smart Energy Campaign)を開始。DOEは同キャンペーンの下に、住宅改良のための断熱材・冷暖房・照明・家電製品情報を提供するウェブサイトEnergysavers.gov を開始するほか、全国各地でエネルギー利用に関する地域サミットを開催予定。 (DOE Press Release, July 9, 2003)

河川流域の農耕地は二酸化炭素隔離で森林よりも優れている可能性

イェール大学研究員のPeter Raymond氏と生態系研究所(IES)海洋ミクロ生物学者のJonathan Cole氏、森林よりも農耕地の方が二酸化炭素隔離で優れていると立証する新研究論文を発表。両氏の研究結果が正しい場合、現在まで有効と考えられていた農耕地を森林に転ずる計画は、二酸化炭素隔離という面で逆効果となる。(Science, July 4, 2003)

ノーベル賞受賞科学者、アクセス無料のオンライン雑誌で営利の科学雑誌社に挑戦

ノーベル賞受賞者のHarold Varmus博士、全てのユーザーが無料でアクセス出来るオンライン科学雑誌「公共科学図書館(Public Library of Science)」を発案。ゴードン-ベティ財団(Gordon and Betty Foundation)から900万ドルの助成金を受領し、10月からスタート予定。オンライン雑誌がひとたび軌道にのれば、掲載を希望する科学者に各々1,500ドルのチャージを行って運営を賄う見込み。(The Associated Press, July 7, 2003)


7月14日号

EPA、2001年有毒物質放出目録を発表:2000年レベルに比較して15.5%の減少

環境保護庁(EPA)の2001年有毒物質放出目録、全米で有害科学物質の排出量が引き続き減少し、2001年の総排出量は前年比の15.5%減(10.5億ポンド減)となる61.6億ポンドであったと報告。地上に65%、大気中に27%、水中と地下注入にそれぞれ4%が排出され、種類別では、銅化合物が10.2億ポンド(17%)、亜鉛化合物が9.621億ポンド(16%)、塩酸が5.881億ポンド(10%)であったと報告。州別ではネバダ州、ユタ州、アリゾナ州、アラスカ州、テキサス州の順に。(EPA Press Release, June 30, 2003)

スタンフォード大学、寒冷気候の生物の方が気候上昇への順応力に優れると報告

スタンフォード大学のJohn Stillman研究員、生息範囲がアラスカからチリにまで分布する4種のカニダマシ(Porcelain Crab)を用いて、寒冷気候に生息する生物よりも熱帯生態系の生物の方が温暖化による消滅の危険に晒される可能性が高いと発表。(Science, July 4, 2003)

ブッシュ大統領、環境保護庁の長官代行にMarianne Horinko女史を起用

ブッシュ大統領、EPAのLinda Fisher長官代行が7月11日付けで辞任後、次期長官指名までの間、前Bush政権時代のEPA法律顧問で、現政権下ではEPAの様々な緊急事態対応プロジェクトの責任者を務めてきたMarianne Horinko固形廃棄物・緊急対応担当次官補をEPA長官代行に起用すると発表。副長官代行には、約20年間EPAに勤務するベテランのStephen Johnson予防・殺虫剤・毒物課課長を指名。(Greenwire, July 11, 2003)


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