NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年8月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月1日号

成層圏最上層でオゾン層破壊速度が減速

米航空宇宙局(NASA)・ジョージア工科大学・アラバマ大学等による研究チーム、3基のNASA人工衛生と地上監視所で収集したデータを分析し、1997年〜1998年以来、成層圏最上層におけるオゾン層の破壊率は減速していることを発見。同データは大気中のフロンガス(CFC)の蓄積が減速したことも明示しており、CFCの使用を禁止した1987年のモントリオール議定書をオゾン層破壊減速の一因であると推測。(Greenwire, July 30, 2003)

米国物理学会、国家ミサイル防衛計画は技術的に不可能と報告

産官学の著名物理学者から成る米国物理学会(American Physical Society = APS)の研究チーム、国家ミサイル防衛計画を評価した新報告書「国家ミサイル防衛の為の加速段階迎撃システム:科学的技術的課題(Boost-Phase Intercept Systems for National Missile Defense: Scientific and Technical Issues)」を発表。長距離核ミサイルを発射直後の加速段階で迎撃するという概念は、要撃のタイミングと技術的制限の為に実現不可能であると指摘。 (Science, July 18, 2003)

第2四半期におけるベンチャーキャピタル投資、3年ぶりの増額で43億ドルに

PricewaterhouseCoopers社や全米ベンチャーキャピタル協会等の実施したアンケート調査、2003年第2四半期におけるベンチャー投資が、第1四半期の40億ドル(過去5年間の最低)を約3億ドル上回り、43億ドルを記録したと発表。3年ぶりのベンチャー投資上昇の花形は若いスタートアップ会社で、投資獲得額は前四半期比43%増の9億5,600万ドル。(The Wall Street Journal, July 29, 2003)

上院エネルギー天然資源委員会エネルギー小委員会、DOE科学局に関する公聴会を開催

上院エネルギー天然資源委員会のエネルギー小委員会、物理科学分野で最大の基礎研究支援者であるDOE科学局に関する監督公聴会を開催。DOEのSpencer Abraham長官・アルゴンヌ国立研究所のHermann Grunder所長・ノーベル賞受賞者のBurton Richter博士・科学技術諮問委員会(Council of Advisors on Science and Technology = PCAST)を代表したジョージア工科大学のWayne Clough氏といった産官学の専門家から意見を聴聞。(Greenwire, July 30, 2003)

民主党指名候補を目指すDean前バーモント州知事、環境政策アジェンダを発表

2004年大統領選で民主党指名候補を目指すHoward Dean前バーモント州知事、「次の100年間:天然資源を回復する環境政策の構築(The Next Hundred Years: Forging a Strong Environmental Policy to Take Our Natural Resources Back)」と題するスピーチを行い、@環境に優しいエネルギー政策;A快適なコミュニティの促進および地形・空地の保護;BEPAや他の施行機関に「(環境)保護」の権限を授与;C環境問題における米国の国際リーダーシップ回復といった4大要素を含む自らの環境政策アジェンダを発表。(Greenwire, July 31, 2003)


8月4日号

エネルギー省、水素燃料イニシアティブを支援する2件の助成計画を発表

DOE、「水素生産と配送研究(Hydrogen Production and Delivery Research)」および「水素貯蔵の基礎・応用研究を目指すグランドチャレンジ(Grand Challenge for Basic and Applied Research in Hydrogen Storage)」という2件の助成計画を発表。大統領の水素燃料イニシアティブ(Hydrogen Fuel Initiative)を支援する両計画の給付するグラント総額は、4~5年間で最高2億ドルの見込み。(DOE Press Release, July 31, 2003)

EPA、大気汚染が公衆衛生に与える影響の研究支援で、総額1,000万ドルの助成金を授与

環境保護庁(EPA)、「成果志向型の科学(Science To Achieve Results = STAR)」計画の一環として、@大気汚染が健康に与える長期的影響;A子供の健康;B流域保護に関する研究の支援で、大学および研究機関に総額1,000万ドル以上のグラントを授与。大気汚染分野では、ロマリンダ大学・ジョンズホプキンズ大学・ハーバード大学のブリガム婦人専門病院・ミシガン大学の行う4件のプロジェクトが総額370万ドル強のグラントを受給。(EPA Newsroom, July 29, 2003)

上院本会議、包括エネルギー法案を土壇場で差し替え、昨年の上院第517号議案を可決

上院本会議、今年度の包括エネルギー法案である上院第 14号議案を昨年度の第517号議案に差し替えることを全会一致で承認し、第 517号議案を88対14 で可決。但し、上院第517号議案に盛り込まれた、代替燃料自動車や省エネ電気製品購入等への優遇税措置は、第14号議案の1,570億ドルよりも少ない1,450億ドル。次のステップは、上下各院法案の相違点を調整する上下両院協議会。(Reuters, August 1, 2003)


8月5日号

150万台の生産が見込まれる2003年型代替燃料自動車

全米エタノール自動車連合会(National Ethanol Vehicle Coalition = NEVC)、2003年型の代替燃料自動車は150万台の生産が見込まれると報告。しかし、エタノール燃料を提供するガソリンスタンドは全米に150ヵ所未満のため、代替燃料車の大半を占めるマルチ燃料自動車は殆どが未だにガソリンで走行していると指摘。NEVCは、エタノール燃料補給基盤の整備を推進するため、新設される代替燃料補給所に最高3万ドルの税控除を認めるよう議会に要請。 (Greenwire, August 4, 2003)

地球観測サミットの参加諸国、「地球観測システム」の構築に合意

首都ワシントンで7月31日に開催された地球観測サミット(Earth Observation Summit)に参加した世界30ヶ国以上の参加諸国、包括的「地球観測システム(Earth Observation System)」の構築を確約し、健全な政策決定には地球に関するデータと情報が必要であることを再確認し、目標を達成するための長期協力の原則を確立し、途上国における地球観測システムと科学支援の強化を約束する宣言を採択。(The Washington Post, August 1, 2003)

全米アカデミー、国立衛生研究所の改変を提言

全米アカデミー(National Academies)の全米研究委員会(National Research Council)と医療研究所(Institute of Medicine)、新報告書「国立衛生研究所の活性化:新課題達成に向けた組織改革 (Enhancing the Vitality of the National Institutes of Health: Organizational Change to Meet New Challenges)」を発表。国立衛生研究所(NIH)をより革新的・効率的な機関にするためには、NIHの組織構造を大幅に改変する必要があると主張。(The New York Times, July 30, 2003)


8月6日号

カナダのDhaliwal天然資源大臣、Ekatiダイヤモンド鉱山における省エネ努力を称賛

カナダのHerb Dhaliwal天然資源大臣、ノースウェスト準州にあるBHP Billiton Diamonds社のEkatiダイヤモンド鉱山が昨年、燃料消費量を重油100万リットル相当(温室効果ガス約3キロトン相当)削減した努力を認め、これを称える記念の額を従業員達に贈呈。同大臣はEkati鉱山を、国家の気候変動目標達成に助力しつつも競争力強化を図っているカナダ企業の見本であると評価。(Natural Resources Canada, July 29, 2003)

2003年度EPA運営予算削減問題:削減額を分散することで合意成立

ホワイトハウスとEPA、2003年度EPA運営計画の実施を棚上げ状態にしてきた予算削減問題に関する論争を終に解決。ブッシュ政権は最終的に、@EnergyStar計画の100万ドル削減;Aオゾン・室内空気計画の400万ドル削減;B多数のEPA中核計画の小規模削減、というように、予算削減を分散させるというEPA提案に合意。(Inside EPA, July 25, 2003)

製造技術普及計画と先端技術計画の強力な支持者であるHollings上院議員が隠退声明

81歳のErnest メFritzモ Hollings上院議員(民主党、サウスカロライナ州)が、半世紀にわたる政治生命に終止符を打ち、現行の上院任期終了後に隠退する意向を表明。1966年に上院当選を成し遂げたHollings議員は、技術革新や製造技術基盤の支援を通して米国の競争力を強化するために、製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)を創設したほか、先端技術計画(Advanced Technology Program = ATP)の設立にも助力。(The New York Times, August 5, 2003)


8月7日号:

空軍ハワイ基地に配備予定のハイブリッド型燃料電池バス開発プロジェクト

ハワイ州のハイテクノロジー開発公社(High Technology Development Corporation = HTDC)、米国空軍のHickam基地に配備予定の全長30フィートのハイブリッド型燃料電池バスに必要な新技術開発プロジェクトの契約を、カナダ企業のHydrogenics社とカリフォルニア州のEnova Systems社に授与。同プロジェクトは先端陸上輸送技術を評価する空軍イニシアティブの一環として、空軍が出資する予定。(Canada Newswire, July 24, 2003)

有望視される、光化学応用の革新的な水銀除去プロセス

DOE、水銀抑制技術研究開発計画(Mercury Control Technology Research and Development Program)の下で、石炭火力発電所の煤煙から水銀を除去する「GP-254」プロセスを開発。紫外線を使い、煤煙内の水銀を酸素や二酸化硫黄と反応させて、硫酸第一水銀や酸化第二水銀を生成し、この2種の物質を発電所の粒状物質集塵器や湿式集塵器によって除去するという、先頃特許を獲得したばかりの同プロセスを、DOE傘下の国立エネルギー技術研究所(NETL)が現在実験中。(DOE Press Release, August 5, 2003)

気候変動科学プログラム(CCSP)戦略計画の改訂版、科学界の反応は賛否両論

ブッシュ政権が発表した気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program = CCSP)戦略計画の改訂版に対する科学界の反応は賛否両論。改訂版は、科学者達がほぼ異口同音で落第点をつけた初稿よりもかなり改善されており、明白な目標と研究優先事項を提示していることは皆の認めるところであるが、同プログラムの方針やビジョンが気候科学を正しい方向に導くか否かという点で意見が相違。(Science, August 1, 2003)

小規模テクノロジー企業の成長を示す2003年第2四半期ベンチャー投資報告

2003年第2四半期ベンチャー投資報告、小規模テクノロジー事業への投資総額は2億4,200万ドル(23件)で、第1四半期の1億6,220万ドルを大きく上回ったと報告。その内の1億5,800万ドルが後期段階に入った7事業に投資されているが、特に、ナノテク関連企業が恩恵を受けており、こうした企業の成熟を予見。 (The Small Times, August 7, 2003)


8月11日号

農務省、エネルギー価格対策計画の下で総額1,500万ドルのグラントを給付

米国農務省(USDA)、法外なエネルギー価格に悩む僻地のコミュニティやアメリカ原住民の土地で発電と送配電を改善するため、アイダホ州・アラスカ州・カリフォルニア州・メイン州・ハワイ州・ワシントン州・アリゾナ州の9プロジェクトに総額約1,500万ドルのグラントを授与。(USDA, July 17, 2003)

オレゴン州のハイブリッド自動車所有者を対象とするアンケート調査

オレゴン州環境委員会(Oregon Environmental Council)とオレゴン州エネルギー局(Oregon Office of Energy)が2002年後半から2003年前半にかけて実施したアンケート調査、同州のガソリン-電気ハイブリッド車所有者の圧倒的多数が、環境上の理由で当初ハイブリッド車を購入したものの、所有後には、環境面よりも技術面や操作面の特質を評価する傾向が極めて強いことを発見。(Oregon Environmental Council, July 2003)

米国下院、Udall下院議員提案の製造技術省新設法案を検討中

Mark Udall下院議員(民主党、コロラド州)、連邦政府の製造技術政策を監督する製造技術担当省および製造技術担当商務次官職を新設する「2003年アメリカ製造業法案(American Manufacturing Works Act of 2003:下院第2908号議案)」を下院に提出。(Manufacturing and Technology News, August 4, 2003)

下院に新設された議会製造会議、「アメリカの雇用優先」を多国籍企業に指示

下院に新設された議会製造会議(Congressional Manufacturing Caucus)、@米国経済に占める製造業の重要性、及び、米製造業が被っている莫大な損失についてブッシュ政権や議会議員を教育し;A米国の多国籍企業に米国中小企業の利用を奨める「アメリカの雇用優先」キャンペーンを確立することを主要プロジェクトとして提示。(Manufacturing and Technology News, August 4, 2003)


8月13日号

ブッシュ大統領、ユタ州のMike Leavitt知事を環境保護庁の次期長官に指名

ブッシュ大統領、EPAの次期長官にユタ州のMike Leavitt知事(共和党)を指名。同知事は、環境規制権の州政府帰属を主張する州政府権利擁護のチャンピオンであり、市場力や柔軟メカニズムによって環境問題を解決することを支持する常識的な問題解決者、および、コンセンサス作りの名人として知られる人物。(Greenwire, August 12, 2003)

Leavittユタ州知事のEPA長官指名に対する反応は賛否両論

EPAの次期長官に指名されたLeavittユタ州知事の上院承認審議公聴会、近づく選挙年の思惑が絡み、論議を呼ぶ可能性。John Kerry上院議員(民主党、マサチューセッツ州)を始めとする民主党議員や環境保護者等は同知事の「反環境的記録」を挙げて指名に反対する一方、共和党は同指名を称賛。産業団体等も同知事のコンセンサス作りや常識的解決を図る能力は重要な資質であると評価して歓迎。(Greenwire, August 12, 2003)

NIST、マイクロマシンの特性を計測する初の国際基準試験方法を作成

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)の研究者等、アメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Materials = ASTM)と協力し、マイクロマシン(microelectromechanical systems = MEMS)製造で使われる薄膜に関するASTM国際規格試験方法を初めて作成。世界各国のMEMS製造業者が、より信頼度の高い、より均一なMEMS装置を開発出来るものと期待。(NIST TechBeat, July 28, 2003)


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