NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年8月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月15日号

エネルギー省、新戦略計画を発表:4つの戦略目標を設定

エネルギー省(DOE)、3年毎に改定される「戦略計画(Strategic Plan: Protecting National, Energy, and Economic Security with Advanced Science and Technology and Ensuring Environmental Cleanup)」の草案を発表。科学技術というツールを活用して国家安全保障を支援するというDOEのミッションを達成するため、防衛・エネルギー・科学・環境という4つの戦略目標を設定。(The Department of Energy, August 6, 2003)

DOE、186件の省エネプロジェクトに1,700万ドル以上のグラントを給付予定

DOEのSpencer Abraham長官、州政府エネルギー計画(State Energy Program = SEP)の特別プロジェクト競争公募で、米国48州とコロンビア特別区・プエルトリコにおける186件のエネルギー効率化・再生可能エネルギー関連計画に、1,700万ドルを超えるグラントを給付する予定であると発表。(DOE Press Release, August 13, 2003)

国防製造技術連盟、「バイ・アメリカ」条項の代替案としてマンテック予算の増額を提言

国防製造技術連盟(Coalition for Defense Manufacturing Technology)、国防省認可法案に盛り込まれて議会で検討されている「バイ・アメリカ(国産品優先購入)」条項よりも、米製造業の効率改善と製品の質改善を目的とする製造技術計画(マンテック:Manufacturing Technology = Mantech)予算の大幅増額の方が、国防省と米製造業に与えるメリットは大きいと進言。マンテックの適切な年間予算として5億ドルを要求。(Manufacturing and Technology News, August 4, 2003)

移植用臓器不足の解決を目指し、臓器培養に挑戦

マサチューセッツ総合病院とDraper研究所の共同研究チーム、ポリマーで形造ったミクロスケールの骨組み(scaffolding)の周りに細胞を成長させ、移植用臓器を培養することに挑戦。同チームが使用したマイクロマシーン(microelectromechanical systems = MEMS)技術は、薬剤開発期間の短縮や開発コスト削減に役立つほか、腎臓透析といった患者治療技術の向上にも影響をもたらす可能性。(The Small Times, August 12, 2003)


8月18日号

カナダ政府とカナダ・トラック運送同盟、省エネと温室効果ガス排出削減の合意書に署名

カナダ・トラック運送同盟(Canadian Trucking Alliance =CTA)、カナダ連邦政府のFleetSmart(営業用車両フリートの排出削減とエネルギー消費効率改善を目的とする任意参加プログラム)の枠組内で自主的イニシアティブに取り組む予定。(Natural Resources Canada, August 11, 2003)

ペンシルバニア州とデラウェア州、米北東部の排出権取引合意に関する発表は誇張と批判

ペンシルベニア州とデラウェア州、二酸化炭素の上限設定-取引制度による発電所の温室効果ガス排出削減に、同州を含む東部10州が合意したというニューヨーク州とニュージャージー州の発表は誇張であると批判。この合意は二酸化炭素を含む様々なクリーンエア問題の幅広い討議を行うことに10州が合意しただけのものであり、多くの点でさらに細かい検討が必要であると指摘。(Inside EPA, August 15, 2003)

米国特許商標局、ナノテクノロジー関連特許出願への対応で苦悶

米国特許商標局(U.S. Patent and Trademark Ofrice =USPTO)、昨今のナノテクノロジー関連特許出願の殺到に対応する適切な処置の策定で苦闘。ナノテク分野を取り扱う専門審査グループ、指針や審査手順等が確立されていないうえ、専門知識を有する特許審査官の不足しているため、特許業務が滞り、ナノテクノロジー業界の成長が阻まれるのではないかという懸念が強まる。(The Small Times, July 22, 2003)


8月20日号

カナダ政府、2003年度気候変動計画予算の配分計画を発表

カナダ政府、2003年度気候変動計画の一環として、気候変動計画実施に計上されている10億カナダドルの投資内訳を発表。@個人対象イニシアティブに1億3,140万ドル;Aビジネス・産業対象イニシアティブに5億5,290万ドル;B政府と地方共同体対象のイニシアティブに3億2,070ドルを投資する予定。(Government of Canada Climate Change, August 12, 2003)

米加政府、停電調査に関する合同タスクフォースの形成で合意

ブッシュ大統領とカナダのJean Chretien首相、米国北東・中西部およびカナダ東部で先週発生した大停電の原因を調査するために、合同タスクフォースを形成することで合意。第一回会合はミシガン州のデトロイト市において8月20日に開催される予定であり、DOEのSpencer Abraham長官とカナダのHerb Dhaliwal天然資源大臣が出席を予定。(DOE Press Release, August 16, 2003

EPAの議会・政府間問題担当次長であるEdward Krenik氏、辞任の意向を表明

環境保護庁(EPA)のEdward Krenik議会・政府間問題担当次官、近い将来辞任する意向であると発表。議会経験が豊かで有能なリエゾンである同次官は、Christie Whitman前長官と共にニュージャージー州環境保護局(New Jersey Department of Environmental Protection)から赴いてきたEPA高官としては最後の留任者。辞任の原因は、保守的なホワイトハウスとの間の摩擦という噂。(Greenwire, August 7, 2003)

NIST研究チーム、信頼度の高い超小型チップ生産に役立つ2種の新ツールを開発

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)の研究者等、@2つの物体間に存在する100分の1ナノメーターという微小な距離を測定できる干渉計(interferometer);Aシリコン上に10ナノメーター大のパターン(模様)をエッチングする新方法という、半導体産業が生産するチップの小型化・信頼性改善に役立つ2種類の新ツールを開発。(NIST Techbeat, August 11, 2003)

包括エネルギー法案に関する共和党と民主党の見解の相違、先週の大停電で一層深刻化

先週発生した大停電が契機となり、エネルギー問題に対処する適切な国家政策に関する議論が再熱化。北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)石油掘削解禁条項の削除によって、電力信頼性の連邦基準を盛り込んだ包括エネルギー法案の道が開けると主張する民主党に対し、共和党は、独自法案として可決する可能性のないANWRを電力信頼性基準問題から切離すことに躊躇。(The New York Times, August 18, 2003)


8月21日号

DOE、地域炭素隔離パートナーシップの第1フェーズで7件のパートナーシップを選定

DOE、「地域炭素隔離パートナーシップ(Regional Carbon Sequestration Partnerships)第1フェーズ」の公募で、州政府・大学・民間部門で構成された7つのパートナーシップを選定。DOEが約1,110万ドル、その他参加機関が約700万ドルを拠出予定。各パートナーシップは、多数のCO2隔離技術の認証・導入枠組みの策定、および、特定地域を対象とする規制・基盤整備要件の検討を予定。 (DOE Press Release, August 16, 2003)

天然資源防衛委員会、連系グリッド信頼度条項を単独法案として可決するよう議会に要請

天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council = NRDC)、連系グリッド信頼度改善条項を包括エネルギー法案から切り離し、個別の法案として可決するよう議会に要請。州間送電グリッドのアップグレードで必要となる技術は必ずしも新送電線の建設を必要とするわけではないと強調するほか、エネルギー需要削減やエネルギー効率改善を通して送電グリッドの過密緩和を図る必要があると主張。(Greenwire, August 20, 2003)

炭素隔離を目的とする海洋生息光合成細菌ゲノム配列解析プロジェクト、研究論文を発表

@マサチューセッツ工科大学(MIT)研究チーム;A全米科学アカデミー(National Academy of Science)とフランスのRoscoff生物学研究所(Roscoff Biological Station)の合同研究チーム;BScripps海洋学研究所(Scripps Institution of Oceanography)を中心とする研究グループ、海洋生息光合成細菌の遺伝子配列解析に関する研究論文をそれぞれ発表。今回ゲノム配列が解折された3種類のProchlorococcusと1種類のSynechococcusは、最も豊富な海洋生息光合成細菌であり、年間約100億トンの炭素を隔離するものと推定。(MIT News, August 13, 2003)


8月25日号

米国風力エネルギー協会、2003年に新設される風力発電設備容量を上方修正

米国風力エネルギー協会(AWEA)、風力エネルギー市場に関する4半期毎の評価を発表。米国は2003年末までに、新たに1,400〜1,600 MWの風力発電設備を設置する可能性が高く、これが経済発展と環境保護に更に寄与するものと期待。(American Wind Energy Association Press Release, August 20, 2003)

環境保護団体、EPA長官に指名されたLeavitt州知事にNSRの最終決定延期を要請

天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council = NRDC)と米公共利益研究グループ(US Public Interest Research Group =USPIRG)、Mike Leavittユタ州知事(共和党)に書簡を送り、知事が環境保護庁(EPA)長官に着任し、新排出源査定評価(New Source Review = NSR)の「日常保守」規定について「(規定の)内容と規定策定プロセスを見直す機会」を得るまで、EPAに圧力をかけて同規定の最終決定を妨げるよう依頼。(The White House Bulletin, August 22, 2003)

EPAを閣僚レベルに格上げする「クリーン法案」に可決の可能性

下院政府改革委員会規制問題担当小委員会のDoug Ose委員長(共和党、カリフォルニア州)、EPA昇格に加えて環境統計局と3つの次官職の新設を提案する下院第2138号議案を取下げる意向を表明。これによって、EPA格上げだけを求める「クリーン法案(Clean Bill:下院第37号議案)」が可決する可能性が拡大。(Inside EPA, August 22, 2003) 

下院政府改革委員会の民主党メンバー、ブッシュ政権に見られる科学的偏見を批判

下院政府改革委員会の民主党メンバー、ブッシュ政権は自身の政治的アジェンダを支持するために、科学的プロセスと科学データを不正に操作していると論じる40ページの報告書と専用ウェブサイトを発表。(Science, August 15, 2003)


8月26日号

国際コンソーシアム、国防省の支援を受け、燃料電池機関車開発実証プロジェクトに着手

Vehicle Projects社の率いる国際コンソーシアム、軍事・民事双方に応用可能な燃料電池車両の開発・実証を行なう総額1,200万ドルの5ヵ年プロジェクトに着手。米陸軍の戦車自動車・兵器部隊(Tank-automotive and Armaments Command = TACOM)の国立自動車センター(National Automotive Center)が財政支援。同プロジェクトの主要目標は、@燃料電池機関車の開発;A非戦術用途に使う燃料電池機関車の実証;B鉄道用燃料電池の市場化促進。(Fuelcell Propulsion Institute, August 1, 2003)

メキシコのエネルギー省高官、小規模コジェネ計画の潜在価値を指摘

メキシコのエネルギー省(Sener)高官、国立省エネルギー委員会(Comision Nacional de Actividades Especiales = CONAE)のコジェネプロジェクト推進小委員会の会合で、クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism = CDM)が小規模コジェネレーション計画にベネフィットをもたらす可能性があると発言。(CONAE, July 30, 2003)

カリフォルニア・オレゴン・ワシントンの3州、地域的気候変動戦略を策定する討議開始

カリフォルニア・オレゴン・ワシントンの3州の州知事(3名とも民主党)、温室効果ガス排出を抑制する地域的戦略を討議するため、ワシントン州ポートランド市で会合中。天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council)やエネルギー財団(Energy Foundation)といった環境団体も参加しているほか、カナダのブリティッシュコロンビア州も参加への関心を示唆。(Inside EPA, August 22, 2003)


8月28日号

カナダ全国博覧会に展示された、水素燃料電池利用の定置型発電機と業務用車両

トロント市のカナダ全国博覧会にて、Hydrogenics社開発のHySTAT (50キロワット級の水素燃料電池利用定置型発電機)、および、John Deere社とHydrogenics社が共同開発した業務用車両「Pro Gator」を展示。HySTATを使ってPro Gatorへ水素燃料を補給する実証試験が行なわれる予定。(Hydrogenics News Release, August 12, 2003)

ソーラー水素エネルギー社、太陽光集光技術利用の太陽熱冷暖房装置の試作品を発表

カナダのソーラー水素エネルギー社(Solar Hydrogen Energy Corporation = SHEC)、自社占有の「太陽光集光技術(Solar Concentrator Technology)」を使用した太陽熱冷暖房装置の試作品を発表。太陽光を5,000倍に増強する同技術は、暖房・水の蒸留・発電・水素生産といった幅広い産業向け・個人向けの用途の用途を有するものと期待されている。小型太陽光集光技術システムの価格引き下げがSHECの次の目標。(SHEC, August 26, 2003)

小規模バイオマス発電所プロジェクト、アリゾナ州公益事業局からの融資を獲得

アリゾナ州公益事業局(Arizona Public Service = APS)、アリゾナ州に初のバイオマス発電所を建設するWestern Renewable Energy社のStone Forest Biomass Project (総額400万ドル) に融資。3メガワット級発電所の完成は2003年11月の予定。近隣のApache-Stigrieves国立森林公園で採れるポンデロッサマツの枯れ木を毎日約96トン燃焼することにより、年間推定2,300エーカーが森林火災を逃れる見込み。(SolarAccess.com, August 27, 2003)

サンディア国立研究所の研究チーム、自然界のプロセスを真似てナノ結晶を組立て

貝殻の複雑な形成プロセスにヒントを得たサンディア国立研究所(Sandia National Laboratory = SNL)の研究チーム、ナノ構造を組立てる自然界のプロセスを真似ることによって、ナノ材料の開発で数々の顕著な進展を成遂。マイクロエレクトニック装置や触媒、化学診断や生物学的診断、太陽光電池や水素貯蔵装置等のエネルギー変換貯蔵システム等に広く応用出来るものと期待。(Sandia National Lab Press Release, August 18, 2003)


8月29日

環境保護庁、新排出源査定評価(NSR)の「設備交換」条項に関する改定案を最終決定

環境保護庁(EPA)、新排出源査定評価(New Source Review = NSR)の義務要件から免除される日常保守的な「設備交換(equipment replacement)」の定義を改定。Marianne Horinko 長官代理は、この最終決定によりNSRが昨今の環境・経済・エネルギー課題に効果的・即応的に対応することが可能になると主張。(EPA Newsroom, August 27, 2003)

NSR規定改定に対する反応は賛否両論

EPAが決定したNSRの改定案、エジソン電気協会(Edison Electric Institute = EEI)やアメリカ石油協会といった産業界の指導者が大歓迎する一方で、民主党議員や州政府高官および環境保護団体は厳しく批判。クリーンエア信託(Clean Air Trust)は、今回のEPA発表を、NSR改変の論争渦中からEPA次期長官を擁護するための巧みな策略であると批評。(Inside EPA, August 29, 2003)

全米科学財団、米国科学系労働人口の多様化推進に関するワークショップを開催

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)、米国科学系労働人口の多様化を推進する方法を討議するため、政府高官・学界・産業界代表の参加によるワークショップを開催。参加者の多くが、外国人科学技術者への依存度低減には、女性や少数民族の科学専攻者不足という問題を改善することが最善策であると主張。また、女性や少数民族の登用に消極的な科学界のカルチャーを是正するためには、大学教育の場で多様性を推進するインセンティブや罰則を使用するだけでは不十分であるという意見でも一致。(Science, August 22, 2003)

全米製造者協会の年次報告書、製造部門の回復を促進する施策を策定するよう要請

全米製造者協会(National Association of Manufacturers)が発表した「2003年労働者の日年次報告(2003 NAM Annual Labor Day Report)」、製造部門が過去3年間で失った270万以上の雇用を復活させるため、ブッシュ政権と議会に対して、@国際的な競争条件を平等化し;A国内生産コストを削減し;B労働者に付加的支援を提供する、成長志向の製造業アジェンダを作成するよう要求。(The White House Bulletin, August 27, 2003)


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