NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2003年9月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月15日号

ACEEE、エネルギー効率・再生可能エネルギー推進が天然ガス価格低下に繋がると報告

米国エネルギー合理化経済評議会(American Council for an Energy-Efficient Economy = ACEEE)が発表した新報告書「エネルギー効率化・再生可能エネルギーが天然ガス市場に及ぼす影響(Impacts of Energy Efficiency and Renewable Energy on Natural Gas Markets)」、エネルギー効率化計画と再生可能エネルギー資源の導入を全国的に拡大すれば、僅か12ヵ月以内には、天然ガスの卸売価格が20%低下し、消費者はガス代・電気代を年間150億ドル節約することが可能であると指摘。(ACEEE, September 7, 2003)

ミシシッピ州立大学、バイオマックス・ガス化炉を利用したエタノール生産を研究中

ミシシッピ州立大学(Mississippi State University = MSU)、世界に僅か6基という新型装置「バイオマックス(Biomax)」ガス化炉を使って、様々なバイオマス材料をガス、および、最終的にはエタノールやアセテートといったエネルギー関連化学製品に効率的に転換する方法を研究中。同研究は、米国農務省(USDA)から50万ドルのグラントを受領。(SolarAccess.com, September 10, 2003)

商務省、先端技術計画(ATP)で新たに44件のグラントを交付

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)、先端技術計画(Advanced Technology Program = ATP)で新たに44件のグラント交付を発表。今回のグラント受賞プロジェクト全てが無事に完了した場合には、ATP側のグラント拠出総額は最高1億450万ドルで、業界側の拠出額も総額7,450万ドルとなる見込み。(NIST press release, September 10, 2003)


9月16日号

米独英墨の国際研究チーム、単層ナノチューブの接合方法を開発

米独英墨の材料科学者から成る国際研究チーム、照射と熱を利用して、単層ナノチューブを接合する方法を開発。単層ナノチューブの電子特性は多層ナノチューブよりも強いため、今回の発見は、モレキュラ回路(molecular circuit)やナノチューブ・ネットワークの加工に繋がる可能性があると期待される。(www.4engineering.com, September 12, 2003)

Domenici上院議員、包括エネルギー法案に関する上下両院協議会の議事進行方法を発表

包括エネルギー法案に関する上下両院協議会の議長を務めるPete Domenici上院議員、包括エネルギー法案の審議時間を短縮するため、上院と下院のエネルギー委員会スタッフが草稿した法案条文に対して協議会メンバーのコメントを求めるという、異色の議事進行方法を採用すると発表。(Environment and Energy Daily, September 12, 2003)

Don Evans商務長官、デトロイト経済クラブで米国製造業を推進する政府施策を概説

Don Evans商務長官、デトロイト経済クラブにおける基調演説で、先頃の経済成長はブッシュ大統領の経済政策の賜物であると称賛。低迷気味の製造業界の懸念には、海外市場の開放や国際貿易諸法の施行によって米国産業の競争力を向上させるほか、減税や研究開発税控除の恒久化、および、年金改革や国家エネルギー戦略の制定等で対応する意向であると説明。(DOC Press Release, September 15, 2003)


9月17日号

Allied Business Intelligence社、マイクロ燃料電池製品の2004年市場化は困難と主張

Allied Business Intelligence社、マイクロ燃料電池の商業販売を前にして北米・西欧・日本が直面する技術面および規制面での問題を調査した「マイクロ燃料電池エンドユーザー市場(Micro Fuel Cell End User Markets)」を発表。@[燃料電池で発生する]水の制御;A容積エネルギー密度(volumetric energy density);Bパッケージングといった技術的課題が存在する限りは、燃料電池製品の本格的な市場化は難しいと指摘。(ABI Research, September 10, 2003)

Renewable Hawaii社、マウイ郡における再生可能エネルギープロジェクト提案を募集中

ハワイ電力(Hawaiian Electric Company = HECO)の子会社であるRenewable Hawaii社、マウイ島・モロカイ島・ラナイ島を含むマウイ郡における再生可能エネルギープロジェクトの提案公募を発表。提案受け付け期限は2003年12月上旬までで、選定結果の発表は2004年4月となる見込み。(Renewable Hawaii, Inc., September 4, 2003)

Tulsa大学研究チーム、ナノバッテリーを開発

Tulsa大学の研究チーム、幅が毛髪の僅か60分の1という「ナノバッテリー」を開発。これは、酸に漬けたアルミニウム薄板に電流を通すことで出来あがる蜂巣のような構造の孔に電解液を注ぎこみ、電極でフタをして作られたもの。このナノバッテリーは最終的に、10分の1の大きさにまで縮小可能と見込まれている。(www.newsok.com, September 4, 2003)

汚染環境の浄化に役立つものと期待される、ナノスケールの鉄粒子

Wei-xian Zhang氏、汚染物質の有機分子は鉄の酸化反応に巻き込まれて、毒性の少ない炭素化合物に分解するため、ナノスケールの鉄粉は汚染土壌や地下水の浄化に有効であると報告。ナノスケール鉄粒子は、企業が現在利用している粗粒な鉄粉よりも反応力で10〜100倍優れているほか、汚染用地の中心部に直接散布することも可能であると期待されている。(National Science Foundation Press Release, September 3, 2003)

Evans商務長官が概説した行政府製造業支援策に対する製造業界の反応、賛否両論

ブッシュの大統領就任以来250万の雇用を喪失している製造業部門、Evans長官による中国の不公正貿易慣行攻撃には拍手喝采したものの、その他の提言は見かけだけで不必要であると批判。また、鉄鋼関税のような重大問題に触れなかったことにも失望を表明。一方、共和党議員等は、今回のEvansスピーチは行政府による製造業問題対応の第一ステップにすぎないと弁解。商務省の報告書は9月末に発表される予定。(Washington Post, September 16, 2003)


9月23日号

第2回米露エネルギーサミットの開会:ロシアの石油基盤整備開発問題等を討議予定

米国のSpencer Abrahamエネルギー省(DOE)長官・Don Evans商務省(DOC)長官・ロシアのIgor Yusufovエネルギー長官・German Gref経済開発貿易長官、「第2回米露エネルギーサミット(U.S.-Russia Commercial Energy Summit)」を開会。ムルマンスク市への石油パイプライン開発プロジェクトを含むロシアの石油基盤整備に関連した様々な問題が討議される予定。(DOE Press Release, September 22, 2003)

カリフォルニア・オレゴン・ワシントンの州知事、地球温暖化対応での協力を発表予定

カリフォルニア州・オレゴン州・ワシントン州の州知事、温室効果ガス排出削減での協力を謳った新たな西海岸イニシティブ(West Coast Initiative)を本日発表する予定。州政府所有車両としてのハイブリッド車調達、および、再生可能エネルギーや省エネ電気製品の利用拡大を推進していくものと見られている。(Wall Street Journal, September 22, 2003)

国立アレルギー・伝染病研究所、人間の免疫系統と生物テロ防衛に関する研究に助成

国立アレルギー・伝染病研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases = NIAID)、ヒト免疫系統の生物テロ物質に対する反応を研究し、生物テロに対するワクチンや対抗策を開発するため、ヒト免疫学探索医療共同研究センター(Cooperative Center for Translational Research on Human Immunology)を5ヵ所設置する予定であると発表。同新センターは、NIAIDから4年半の間に総額8,500万ドルを受け取る予定。(National Institutes of Health press release, September 17, 2003)

Bass下院議員とCooper下院議員、「クリーンエア計画法案」を下院に提出

Charles Bass下院議員(共和党、ニューハンプシャー州)とJim Cooper下院議員(民主党、テネシー州)、「クリーンエア計画法案(Clean Air Planning Act )」と呼ばれる複数汚染物質規制法案を下院に提出。上院第843号議案の下院版となる同法案により、二酸化硫黄・窒素酸化物・水銀の排出がクリアスカイ法案よりも速いペースで削減されるほか、二酸化炭素の排出も削減させることになる。(Greenwire, September 17, 2003)

Wesley Clark退役将軍、2004年大統領選に民主党候補として出馬

退役将軍のWesley Clark氏、2004年大統領選の民主党候補として出馬すると宣言。ブッシュ政権の新排出源査定評価(New Source Review)改革案や北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)の石油掘削解禁案には反対であり、国際協力による気候変動への取組みには賛成であるという、自らの主要環境問題に対する見解を明らかにした。(Inside EPA, September 19, 2003)


9月24日号

Pete Domenici上院議員、北極圏野生生物保護区域での石油掘削解禁条項の提案を決定

エネルギー法案に関する上下両院協議会の議長を務めるPete Domenici上院議員(共和党、ニューメキシコ州)、上院民主党議員等による議事進行妨害の可能性をさておいて、協議会レポート(conference report)に、北極圏野生生物保護区域(ANWR)の一部を石油掘削に解禁する条項を盛り込むことを決定。(Environment and Energy Daily, September 23, 2003)

米国北東部先進自動車コンソーシアム、燃料電池専門家達の意見をまとめた報告書を発表

米国北東部先進自動車コンソーシアム(Northeast Advanced Vehicle Consortium)、「未来の自動車:輸送用燃料と燃料電池基盤の将来に関する専門家の見解調査(Future Wheels II: A Survey of Expert Opinion on the Future of Transportation Fuel Cells and Fuel Cell Infrastructure)」を発表。搭載型燃料改質装置を利用するのではなく直接に水素を利用する方法が主流となった昨今では、燃料電池論争の中心が、走行距離・重量・価格といった搭載型水素貯蔵装置に起因する課題に移行していると指摘。(NAVC, September 2003)

カリフォルニア・オレゴン・ワシントンの州知事、温室効果ガス排出削減計画を発表

カリフォルニア・オレゴン・ワシントン3州の州知事、@州政府所有車としての高燃費自動車の購入;A州間高速道路5号線沿いに無公害のトラック休息所を設置;B再生可能エネルギー利用の奨励;C新しいエネルギー使用合理化基準の策定;D3州の温室効果ガス排出目録の整合という、温室効果ガス排出の削減を目的とする新たな5段階(five-point)計画を発表。(Greenwire, September 23, 2003)

アポロ宇宙船のような宇宙カプセル、スペースシャトルに取って代わる可能性

米航空宇宙局(NASA)、スペースシャトルの代わりに、着陸ではなく海に着水するよう設計された新型の宇宙カプセルを使用することを検討中。このアイディアは、コロンビア号の事故以来、宇宙飛行士・NASA高官・議会スタッフの間で評判が高まっている。(CNN.com, September 23, 2003)


9月26日号 

Domenici議長、石油と天然ガス・企業平均燃費・再生可能エネルギーの条文案を発表

Pete Domenici上院議員(共和党、ニューメキシコ州)、包括エネルギー法案に含まれる@石油・天然ガス問題;A企業平均燃費(Corporate Average Fuel Economy = CAFE)基準;B再生可能エネルギーに関連する条文案を発表。但し、CAFE条文は燃費改善の具体的な目標値を欠き、再生可能エネルギー条文には再生可能エネルギー使用基準(RPS)が含まれていない。(Environment and Energy Daily, September 24, 2003)

ベンチャーキャピタルの投資拡大が期待される一方、初期段階プロジェクト投資は減少

ベンチャーキャピタル企業、テクノロジー業界回復の予測が広がる中、一層の投資拡大を予測。しかし、ベンチャー投資の動向は、これまで主流であった革新的事業計画への投資から、後期段階プロジェクトやバイアウトといった大型投資に移行しており、高い成長率が期待される幾つかのテクノロジー部門に集中気味であるため、テクノロジー業界全体としての長期的実績に悪影響をもたらす可能性があると懸念される。(BusinessWeek, September 19, 2003)

Applied Nanotech社、炭素ナノチューブ利用の14インチ型白黒テレビを公開予定

Applied Nanotech社、今年12月に福岡で開催予定の「International Display Workshop 2003」において、ナノチューブを使用した14インチ型白黒テレビを初公開する予定。低価格電子ドライバーの使用を可能にする同社の炭素ナノチューブ電子放出技術は、大衆娯楽用大型スクリーンや家庭用テレビ等の花形になる可能性。(Nano-Proprietary, Inc, September 22, 2003)

上院環境公共事業委員会、EPA次期長官の承認公聴会を開催

上院環境公共事業委員会、環境保護庁(EPA)の次期長官に指名されたユタ州のMike Leavitt州知事の承認公聴会を開催。民主党議員等の発言は大半がブッシュ政権の環境政策に対する批判となり、予想通りの党派に分かれた議論となった。(Environment and Energy Daily, September 24, 2003)


9月29日号

ナノテクノロジーの潜在的利益を引き出すためには、使用方法の真剣な検討が必要

グリーンピースUKのDouglas Peer主任研究員、ナノテクノロジー研究の一時停止を求めた同団体の先頃の報告について、その根拠を説明する記事を執筆。ナノテクノロジーの用途についての論議は、単にナノテクの潜在的利益だけでなく、誰の為に・いかなる目的で・どのように用いられるかという点が考慮されなければならないと指摘。(Small Times, September 26, 2003)

2003年「R&D 100賞」に、エネルギー省支援の研究プロジェクトが35件入選

エネルギー省(DOE)、R&D Magazine社が世界最高の製品や技術を100件選定し収録した2003年「R&D 100賞」に、DOE支援の研究プロジェクト35件が入選したと発表。入選プロジェクトは、アルゴンヌ国立研究所が開発したカーバイド由来ナノ構造炭素、および、ロスアラモス国立研究所の世界最効率スーパーコンピューター「グリーン・デンシティ」等。(DOE, September 25, 2003)

ブッシュ大統領の製造業推進計画、EPA規制の監督権限を商務省に与える可能性

ブッシュ大統領、EPAの規定や規制が製造業に悪影響をもたらすか否かを調べるため、EPA規制の一部を監督する権限を商務省に付与することを計画中。EPA規制の審査は、商務省に新設される製造業担当次官補の監督の下で産業分析室が担当する予定。(Inside EPA, September 26, 2003)


9月30日号

カナダ最大となる75MW級McBride Lake風力発電所がアルバータ州南部にオープン

カナダ最大の風力発電施設となる出力75メガワット(MW)のMcBride Lake風力発電所がアルバータ州南部にオープン。114基の風力タービンから成る同発電所の年間発生電力は、約23.5万MWhで、32,500世帯以上の家庭に電力を供給することが可能。(Natural Resources Canada, September 24, 2003)

行政管理予算局、環境規制による社会的利益は規制遵守コストの5〜7倍にもなると報告

ホワイトハウスの行政管理予算局(Office of Management and Budget)が発表した新報告書、産業界や政府がクリーンエア新基準の遵守の為に拠出した施設改善費が過去10年間で約230億〜260億ドルであったのに対し、入院や緊急救命室の利用減少で節約された推定額は最高1,930億ドルに達する可能性があると指摘。(Washington Post, September 27, 2003)

ジョンズホプキンス大学、吸入式薬剤投与に使用する超微細プラスチック球体を開発中

Justin Hanes助教授率いるジョンズホプキンス大学の研究チーム、ヒト成長ホルモン等の薬物を注射する代わりに、薬物を超微細なプラスチック球体に詰め、患者にこれを吸入させるという投与方法を開発中。(EurekAlert, September 26, 2003)


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