NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年1月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月7日号

ディ―ぜルエンジンから放出される煤煙、地球温暖化の大きな誘発要因

米航空宇宙局(NASA)の調査研究、観測されている地球温暖化の25%までがディーゼルエンジンから放出される煤煙によって誘発されている可能性があると報告。煤煙粒子は雪や氷の太陽光反射能力を低減させ、光を吸収させることになるため、この影響は北部の積雪地帯で特に顕著であると主張。(San Francisco Chronicle, December 22, 2003)

州政府温暖化規制活動の拡大につれ、気候変動抑制策への反対意見は消沈か

Inside EPA Outlook 2004、気候変動に関する科学的コンセンサスと長期的州政府活動が拡大するにつれて、温室効果ガス削減の義務付けを阻止するブッシュ政権と共和党の政策が政治的に維持不能になる可能性があると報告。(Inside EPA Outlook 2004, January 2004)

オートバイを対象とする新排出基準

環境保護庁(EPA)のMike Leavitt長官、オートバイの新排出基準を設定する最終規定に署名。炭化水素と窒素酸化物の排出を年間5.4万トン削減するというもので、2006年以降に製造される全オートバイには、二次的な空気噴射システムや電子制御燃料噴射システム、触媒転化器等の技術を利用して、60%の排出削減が義務づけられる。(EPA, December 23, 2003)


1月8日号

ブルックヘイブン国立研究所の科学者、燃料電池用の水素処理方法で特許獲得

ブルックヘイブン国立研究所の科学者Devinder Mahajan氏、水素生産工程で発生する一酸化炭素をほぼ完全に除去する新プロセスで特許を獲得。この革新的なプロセスが固体高分子型(PEM)燃料電池の商用化の到来を早める可能性。(SolarAccess.com, December 23, 2003)

Abrahamエネルギー長官、エネルギー問題の2国間協力推進でアジア太平洋地域を訪問

エネルギー省(DOE)のSpencer Abraham長官は、エネルギー問題に関する2国間協力を推進するため、中国・フィリピン・豪州・日本への訪問を開始。(Reuters, January 6, 2004)

相次ぐEPA規制施行担当高官達の辞職:ブッシュ政権のクリーンエア政策との関連性

EPAのJ.P. Suarez規制施行遵守担当次官、2004年1月30日をもって辞職するという書簡をブッシュ大統領に送付。大気規制施行部門の上級キャリア高官であるBruce Buckheit部長とRich Biondi部長代理も先頃、退職の意思を発表。ブッシュ政権の新排出源査定評価(NSR)改訂や産業界寄りの政策に対する不満が原因か?(The New York Times, January 6, 2004)

地球温暖化は種の大量絶滅を引き起こす

今週号のNature誌に掲載される、英国リーズ大学の生物学者Chris Thomasを中心とする世界各国19名の研究者チームによる研究論文、研究対象となった動植物1,103種の15%から37%が気候変動のために2050年までに絶滅、又は、絶滅の危機に陥る可能性があると結論。(Yahoo News, January 7, 2004)

議会予算委員会、ガソリン消費10%削減を達成する為の3つの政策オプションを分析報告

議会予算委員会(Congressional Budget Office = CBO)、米国のガソリン消費10%削減を目的とする3つの政策オプションを分析した調査報告「燃費基準 対 ガソリン税:その経済コスト(The Economic Costs of Fuel Economy Standards Versus a Gasoline Tax)」を発表。 (Congressional Budget Office, December 2003)


1月9日号

米国自動車メーカー、ハイブリッド自動車市場への段階的進出計画を発表

米国自動車メーカー、成長するハイブリッド自動車市場に関し自社計画を発表。ジェネラルモーターズ(GM)社は、現行のガソリン価格を考慮し、3段階式の戦略を発表。フォード社は同市場への段階的進出アプローチを表明。一方、ダイムラークライスラー社は、短期・中期目標としてシステム開発を言及したが、米国市場でハイブリッド車を販売する意思はない模様。(Greenwire, January 8, 2004)

携帯電話やテレビのシグナル受信感度を向上させる炭素ナノチューブ・アンテナ

南カリフォルニア大学のBart Koskoが中心となって行った新研究、炭素ナノチューブ製トランジスタを使って携帯電話やテレビ用の信号を鮮明化できることを示唆。この発明はスペクトラム拡散技術の改善に応用できる可能性があるほか、平面型テレビやインターネット接続にも利用できる模様。(American Chemical Society, December 30, 2003)

ブッシュ政権、製造技術研究開発省庁間作業部会設置のため、設立綱領を策定中

ブッシュ政権、製造技術研究開発に関する省庁間作業部会(Interagency Working Group on Manufacturing Research and Development)を結成中。国家科学技術会議(National Science and Technology Council =NSTC)の下に設置される同部会には14の連邦政府省庁の代表が参加。議長は商務省高官が務める予定。(Manufacturing and Technology News, January 5, 2004)


1月12日号 

サンディア国立研究所に自動車均一充電圧縮点火エンジン研究所がオープン

サンディア国立研究所の燃焼研究施設(Combustion Research Facility)内に設置された自動車均一充電圧縮点火(Automotive Homogeneous Charge Compression Ignition)エンジン研究所、超低公害で高効率のエンジン製造に有望と見られる均一充電圧縮点火(HCCI)概念を研究するため活動を開始。(DOE, January 5, 2004)

ブッシュ大統領、月面基地建設を含む新宇宙開発計画を提案予定

ブッシュ大統領、宇宙プログラムの今後の方針を示す新たな「有人宇宙探査」計画を発表し、その中で恒久的な月面宇宙基地の建設と火星の有人探査を提案する予定。雄大な計画ではあるものの、大型財政赤字という背景がら、新イニシアティブが議会を通過する見通しは低い模様。(Washington Post, January 9, 2004)

米国科学政策の尊厳を傷つける、政治の科学干渉

ジャーナリストのBarton Reppert氏、ブッシュ政権が連邦政府科学政策の決定に保守的な政治価値やイデオロギーが干渉することを許していると非難。科学に対するブッシュ政権の態度が2004年の大統領選挙に影響を及ぼすことはないであろうが、米国や世界各地の生活の質に影響を与えることになると結論。(Christian Science Monitor, January 6, 2004)


1月13日号

持続可能なエネルギー連合、大統領選立候補者のアンケート調査回答を公表

持続可能なエネルギー連合(Sustainable Energy Coalition)、2004年大統領選の立候補者全員に送付していたアンケート調査の結果を発表。Al Sharpton牧師とブッシュ大統領以外の全ての立候補者が回答。回答者全員が再生可能エネルギー予算とインセンティブの拡大・再生可能資源による水素生産・再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standards = RPS)等を支持。(The White House Bulletin, January 8, 2004)

Tony Blair英首相、気候変動問題でブッシュ大統領に圧力をかける意向

Tony Blair英首相、ブッシュ大統領を説得して新しい国際気候変動イニシアティブに着手する予定。英米政府高官は、一連の密室会議の結果、来年英国で開催されるG8サミットでは気候変動問題を取上げることで合意に近づいている模様。(The Independent, January 11, 2004)

ブッシュ政権の宇宙探索計画に批判集中

ブッシュ大統領が発表予定の恒久的月面基地の建設計画と火星への有人飛行計画を科学者や民主党議員および共和党議員等が激しく批判。ブッシュ計画の長期コストは7,500億ドルを超えるものと推定されているため、NASA予算5%増額という大統領の要求額は目標達成への必要額には程遠い予算であると専門家達は主張。(Wall Street Journal, January 12, 2004)


1月14日号

シカゴ大学の研究チーム、水素を貯蔵する氷化合物を生成

シカゴ大学の親子研究チーム(David MaoとWendy Mao)、水分子と水素分子を2対1の割合で合成した「水素クラスレート水和物 (hydrogen clathrate Hydrates)」が新しい水素燃料貯蔵方法として非常に有望であると発表。(Fuel Cell Today, January 9, 2004)

カリフォルニア州大気資源局、温室効果ガス排出削減実施計画を作成中

カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board = CARB)、最大限実行可能でコスト効率的な温室効果ガス排出抑制を求めるA.B.1492のために、その実施計画を草案中であると発表。CARBは@カリフォルニア州全体としての単一平均排出基準、または、A車両の大きさと重量に基づいた基準という2つのシナリオを検討中。(Greenwire, January 12, 2004)

太平洋島国諸国に気候変動への脅威を改めて痛感させた台風Heta

台風Heta、太平洋の小島であるニウーエイ島を直撃。また、サモア、米領サモア、トンガ、トケラウの諸島でも相当な被害が発生。Hetaは島国諸国に、気候変動がもたらし得る影響を改めて痛感させた。(Financial Times, January 12, 2004)

最新の世論調査、回答者の大半は宇宙ではなく地球への投資を希望

ブッシュ大統領の月面基地建設計画や火星への有人飛行計画に対する世論調査、48% 対 48% で世論が二分。調査に応じた者の大半が有人宇宙探索計画の続行を支援すると回答したものの、宇宙計画の拡大と保健・教育等国内計画への予算増額の何れを望むかという質問には、55%が国内計画優先と回答。(Associated Press, January 13, 2004)


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