NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年10月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

10月1日号

燃料電池企業の大手18社を対象とした調査、2003年に総収益が20%増大したと報告

株式公開の燃料電池企業最大手18社(米・加)を対象にした「2004年燃料電池業界調査:民間燃料電池企業の2003年財務実績調査」の結果が発表。@2003年総収益は2002年から20%増大し、研究開発支出を上回った、A2003年研究開発費は2002年から11%減少、B黒字企業なし、C実現収益が多い2社はバラード・パワー・システムズ社とフュエルセル・エネルギー社、等の結果。(PricewaterhouseCoopers; PricewaterhouseCoopers, September 2004)

ミネソタ州知事、エタノールとハイブリッド車の採用に傾注

Tim Pawlenty知事がミネソタ州を「米国の再生可能燃料の中心地」とする計画を発表。同計画は、@ガソリン含有エタノールの量を倍増(10%→20%)、A運転手一人でもハイブリッド車ならカープール(HOV)車線を通行可、という法案の州議会への提出と、@州保有車両のガソリン使用量を2010年までに25%、2015年までに50%削減、A最低20台のハイブリッド・バスをミネアポリス-セントポール間運行のバス車両に追加、という行政命令を含む。(SolarAccess.com, September 29, 2004)

IBM製のスーパーコンピュータ、演算速度で世界記録を更新

米国におけるスーパーコンピュータ能力の遅れを米国政府が憂慮している時期に、IBMが、NEC設計の地球シミュレーターから世界最速の座を奪うコンピュータを開発。IBM製の新システムの演算スピードは1秒間に36.01兆回で、これまでの最高記録35.86兆回を塗り替えた。搭載プロセッサの数を増やし高密度集積化、物理的サイズの減少(100分の1)、演算処理あたりの消費電力の減少(28分の1)を達成。(New York Times, September 29, 2004)

商務省技術局と全米化学会、次の医療革命のための新興技術と題する説明会を開催

全米化学会と商務省技術局が、近い将来におけるナノテクノロジーの医療面・経済面での可能性を強調する説明会を開催。2015年までに1兆ドルと見込まれるナノテク由来製品の世界市場の最高3分の1は、「ナノとバイオの技術革新」から開発されるほか、プラスティック、エネルギー、エレクトロニクス、航空の各産業の発展、雇用の創出・伸び、環境の保護・修復等、に大きな成果が期待されている。(Technology Administration Press Room, September 21, 2004)


10月4日号

カナダ政府、水素・燃料電池プロジェクト6件に助成金

カナダ政府は、トロント市で開催された2004年水素・燃料電池会合で、6プロジェクトに総額220万(カナダ)ドルを授与すると発表。@大トロントでの水素と燃料電池技術の配備・実証支援、Aバンクーバーの水素燃料補給所におけるシステム統合支援、B前記補給所における水素貯蔵タワーの開発・実証支援、Cトロント等におけるシャトルバスの水素燃料補給実証、など。(Natural Resources Canada News Release, September 28, 2004)

Newsomサンフランシスコ市長、「サンフランシスコ気候行動計画」を発表

サンフランシスコのGavin Newsom市長が、温室効果ガス排出の大幅削減と地球温暖化の抑制を狙った野心的な計画「「サンフランシスコ気候行動計画:地域的な温室効果ガス排出削減施策」を発表。公共輸送機関の拡大やビルの省エネ推進、グリーン電力の調達、再生可能エネルギー技術開発・利用拡大などを通じ、2012年までに温室効果ガス排出を1990年水準の20%減にし、これによって二酸化炭素(CO2)排出量を250万トン削減するというもの。(Reuters, September 29, 2004; San Francisco City Government News Release, September 27, 2004)  

McCain上院議員等、北極圏気候影響評価書に関する合意内容の尊重を国務長官に要請

米国国務省交渉者は北極圏気候影響評価書(ACIA)の最終報告に盛り込まれるべき政策提言を、閣僚報告として個別に発表することを強要しているというイヌイト周極会議議長の抗議に応え、上院商業委員会のJohn McCain委員長等が、国務省はACIA最終報告書に政策提言を盛り込むという条件を尊重すべきであると示唆する書簡をColin Powell国務長官に送付。国務省高官は、ACIA資料の部分的公開は参加8ヵ国の決断であると指摘し、政策提言の一部が一般公開されるという立場を維持。(Environment & Energy Daily, September 29, 2004)

先端技術計画(ATP)、革新的技術R&Dで32件のプロジェクトにグラント給付

商務省の先端技術計画(ATP)が、革新的産業技術研究プロジェクト32件に総額8,010万ドルのグラントの給付を発表。43社の企業が参加し、コストシェアとして最高5,690万ドルを拠出。グラント受賞対象技術分野は、@石油探査や燃料電池に関連する新エネルギー技術、A新たな医療診断・治療技術、Bエレクトロニクスや自動車の製造技術改善、C重度障害者の為のコンピュータ・インターフェース改良。(NIST News Release, September 28, 2004)


10月6日号

PolyFuel社、自動車用燃料電池の新型薄膜を作製

カリフォルニア州本拠のPolyFuel社が、炭化水素系重合体で作った新型の燃料電池用薄膜を発表。フッ素系薄膜と比べ、この新型薄膜は強度が2倍で硬さが16倍、水素透過度が4分の1以下、生産コストもかなり低下する。実際の作動環境で、デュポン製の在来型フッ素系薄膜よりも10〜15%多くの電気を発生する特徴も。(PolyFuel News Release, October 5, 2004)

ロシア内閣、京都議定書を是認

ロシア内閣が9月30日に京都議定書を是認、最終認可のためにこれを議会に上程。プーチン大統領の最高経済顧問であるAndrei Illarionovが議定書に強く反対しているものの、ロシア議会はプーチン支持派が大半を占めるため、10月末までには議定書に調印すると見込まれている。京都議定書を批准するというロシア政府の決断を、世界貿易機構(WTO)加盟を望むロシア政府の欧州連合支持獲得手段であると見るむきも多い。京都議定書は、ロシア議会が承認した90日後に発効となる。(New York Times, October 1, 2004; Greenwire, October 4, 2004)

フォード自動車、温室効果ガス排出削減戦略を計画中

先頃のフォード自動車社内会合で、Willaim Ford Jr.理事長ほか最高幹部が、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出を削減し、同社企業平均燃費も約80%改善するという長期計画を支持したと伝えられている。NYタイムズ紙は背景として、幹部が環境問題を重要な自社戦略の一環と見なしていること、世界各国の規制強化やトヨタの高効率自動車市場支配等への懸念があること等を指摘している。(New York Times, October 2, 2004)


10月13日号

エネルギー・環境研究センター、バイオマス派生ガス利用発電の実証試験を完了

ノースダコタ大学のエネルギー・環境研究センターEERC)が、木片燃焼で発生したガスで100馬力の在来型ディーゼルエンジン(John Deere製)を100時間以上継続作動させる実証試験を成功裏に完了。このバイオマス・ガス化炉は小型ガスタービンにも利用可能であり、EERCは、在来型燃料源へのアクセスがない遠隔地での活用を期待。(EERC News Release, October 1, 2004)

Kerry大統領候補、幹細胞研究に1億ドルを公約:ブッシュの胎性幹細胞「禁止」を批判

John Kerry民主党大統領候補は先頃の選挙演説で、大統領に選ばれた暁には、幹細胞研究に年間最低1億ドルを計上すると公約し、胎性幹細胞の利用に課された現在の制約を排除する計画であると発言。現行政策では、政府支援の研究には既存の胎性幹細胞系の使用だけを認めているが、Kerryは、現行政策は健全な科学ではなく、大統領のイデオロギーに駆られたものであると批判。 ブッシュ陣営は、ブッシュは幹細胞研究に連邦政府予算をつけた初めての大統領であると反論。(The White House Bulletin, October 4, 2004)

エネルギー省と環境保護庁、2005年度型車の燃費番付を発表

エネルギー省(DOE)と環境保護庁(EPA)が、2005年型車の燃費番付を発表。燃費番付のトップはハイブリッド車で占められ、1位はホンダの「インサイト」、2位はトヨタの「プリウス」、3位がホンダの「シビック」。ハイブリッド型スポーツ多目的車(SUV)であるフォードの「エスケープ」は12位に入り、最下位はドッジのピックアップトラック「ラム」だった。燃費の悪い車種の大半は、高級車やスポーツカー。(DOE News Release, October 7, 2004)


10月14日号

エネルギー省、ペンシルバニア州の4プロジェクトに940万ドルのグラントを給付

エネルギー省Abraham長官は10月8日、ブッシュ大統領の水素イニシアティブとクリーン化石エネルギー研究に関し、ペンシルバニア州のプロジェクト4件に対する総額940万ドルのグラント授与を発表。ピッツバーグ大(CO2と結合し粘着力増加高分子を形成する物質の設計・合成・評価、3ヵ年80万ドル)、カーネギーメロン大(天然ガスパイプ管内の検査ロボットの開発、2ヵ年約138万ドル)等。(DOE Press Release, October 8, 2004)

エネルギー省、ペンシルバニア州の4プロジェクトに940万ドルのグラントを給付

エネルギー省Abraham長官は10月8日、ブッシュ大統領の水素イニシアティブとクリーン化石エネルギー研究に関し、ペンシルバニア州のプロジェクト4件に対する総額940万ドルのグラント授与を発表。ピッツバーグ大(CO2と結合し粘着力増加高分子を形成する物質の設計・合成・評価、3ヵ年80万ドル)、カーネギーメロン大(天然ガスパイプ管内の検査ロボットの開発、2ヵ年約138万ドル)等。(DOE Press Release, October 8, 2004)

米航空宇宙局、ハッブル宇宙望遠鏡の救済を目的とするコントラクト2件を発表

米航空宇宙局(NASA)高官と米議会歳出委員がNASA予算の方向性(既存設備の修理か、野心的な将来計画か)につき論争中のところ、NASAはハッブル宇宙望遠鏡の救助に向けて動き出した模様。NASAは、ハッブルのバッテリー交換及び修理ロボットに関連した大型コントラクト2件(約5億ドル)を発表。(Washington Post, October 5, 2004)

米議会、エネルギー関連条項を含む法人税法案と2005年度軍事建設歳出予算法案を可決

米国議会が、法人税法案と2005年度軍事建設歳出予算法案を可決。産業界に税控除(総額は推定1,400億ドル)を与える法人税法案には、小規模油井・ガス井、送電会社の創設、再生可能エネルギー生産、アラスカ天然ガス・パイプライン、原子力発電所部品の輸入、エタノール生産等を支援する様々なエネルギー関連条項が含まれる。一方、2005年度軍事建設歳出予算法案には、アラスカ天然ガス・パイプライン建設費(推定200億ドル)の最高80%を連邦融資で保証する条項が添付。(Energy and Environment Daily, October 12, 2004; CQ.com,October 12, 2004)

第109議会の上院商業委員長、共和党の候補はアラスカ州選出のTed Stevens議員

第109議会で共和党が上院多数党を維持した場合、John McCain議員に代わって、Ted Stevens議員が上院商業委員会の委員長に就任予定。温室効果ガス排出削減の義務化を目指したMcCain上院議員と異なり、Stevens上院議員は、米国産業界に温室効果ガス排出削減義務を課すことに反対の立場であり、気候変動問題を引き続き重視するが、気候変動の原因調査支援やそのリスク配慮を強化する意向を表明。(Energy & Environment Daily, October 5, 2004)


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