NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年11月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

11月12日号

シェル・ハイドロジン、首都ワシントンに初の水素/ガソリン統合燃料補給所を開設

ワシントンDCで水素燃料補給ポンプが民間用のシェル・スタンドに初登場した。設置費200万ドル以上という水素補給ポンプは、実演と広報を兼ねて、ゼネラルモーターズ(GM)が議会メンバーに水素自動車を実証する為に使うミニバン6台の燃料補給に用いられる。

水素はファイバーグラス製ヴォールト(地下貯蔵庫:vault)に収納された二重スチール壁のタンク内に貯蔵されているほか、ヴォールトには漏洩検知センサーも設置されている。ポンプ操作にはGMの水素自動車運転者だけが知っている秘密のコードが必要とされる。また、地元の緊急事態対応チームも水素関連事故への対応について訓練を受けた。シェルはこのガソリンスタンドにビジター/説明センターも設置している。

シェルはこのDCの水素燃料補給所を、水素燃料補給基盤の構築を目的とするマルチ段階戦略の第一歩とみなしており、2007年頃までには全国に4〜6ヵ所のガソリン/水素統合燃料補給所を建設する見通しであるという。(The Washington Post, November 10, 2004; Shell Hydrogen News Release, November 10, 2004)

エネルギー省、第26回大学石炭研究プログラムのプロジェクト募集を開始

エネルギー省(DOE)は同省の大学石炭研究プログラム(University Coal Research Program)の助成対象となる石炭関連プロジェクトを募集している。今回で26年目を迎える大学石炭研究プログラムは、持続可能な石炭の使用法を探る様々なプロジェクトに約300万ドルを提供する予定である。申請者はコアプログラム、革新概念フェーズI、革新概念フェーズIIの3分類のいずれかでプロジェクト案を提出することができる。

コアプログラム分野で選ばれるプロジェクトには総額最高160万ドルが提供される。一方、「革新概念フェーズI」のグラントは、石炭使用の劇的改善につながりうるフィージビリティ・スタディを対象としており、助成総額は40万ドル。「革新概念フェーズII」のグラントは、2003年度の「革新概念フェーズI」プロジェクトのうち大いに有望と認められたプロジェクトを対象とするもので、助成総額は最高60万ドルが予定されている。(DOE News Release, October 27, 2004)

カナダ政府、カリフォルニア州規制に倣った車両燃費基準の導入を検討中

カナダ政府は京都議定書の義務付けを達成するための努力として、車両燃費について自動車産業との討議を継続している。しかしながら、環境省(Environment Canada)が燃費基準の引上げに賛成する一方で、カナダ天然資源省(Natural Resources Canada)はこれに反対と、同件に関してはカナダ政府内で意見が分裂しているようである。

環境省は、検討されている車両温暖化ガス排出削減モデルの1つが、先頃カリフォルニア州で承認された排出削減規制であることを確認した。カリフォルニア州規制の立案者であるFran Pavley州議会議員(民主党)は、カリフォルニア・モデル採択のロビー運動のために近々オタワを訪問するものと見られている。(Greenwire, November 10, 2004; Detroit News, November 7, 2004)

ブッシュ政権が認可した幹細胞系のポテンシャルを疑問視する新研究報告

米国政府が承認した胚芽幹細胞系の価値を疑問視する2つの新たな研究報告が、米国の幹細胞研究政策に関する論争を激化させることになりそうだ。新研究の詳細は研究報告が刊行されるまで公開禁止となっているが、研究結果の一部が10月12日に、幹細胞研究の政策提言を作成中の全米科学アカデミー(National Academies of Science = NAS)で専門家パネルに紹介された。

一つ目の研究は、NASの助成を受けてソルク研究所(所在地はカリフォルニア州ラホイヤ市)のFred Gage氏とカリフォルニア大学サンディエゴ校のAjit Varki氏が中心となって行ったもので、連邦政府支援を受ける研究で使用可能なヒト胚芽幹細胞株は全て、ヒト免疫系による拒絶を助長するという、これまでは認識されていなかった特性を共有していることを指摘している。

国立総合医学研究所(National Institute of General Medicine)の助成によって行われた別の研究では、ワシントン大学のCarol Ware女史を中心とする研究チームが、ブッシュ政権の認可した22の内の14の幹細胞株を比較したところ、少なくとも5つの幹細胞株は成長させることが非常に困難であるため、臨床実験には全く役立たないことが判明したと報告している。

両研究はいずれも、この分野がその潜在的可能性を極めるためには、現在承認された22の細胞株よりはるかに多くの細胞株が必要であることを指摘している。(The Washington Post, October 29, 2004)


11月10日号

米国再生可能エネルギー委員会、再生可能エネルギー開発で米中の協力ルートを探索

中国で開催された風力発電会議に参加した非営利団体の米国再生可能エネルギー委員会(American Council On Renewable Energy = ACORE)の代表団は、この機会を利用し、北京で国家発展改革委員会(National Reform and Development Commission)、科学技術省(Ministry of Science and Technology)、中国太陽エネルギー協会、中国輸出入銀行の高官等と数回にわたり会合を行なった。

ACOREは、中国が2005年に新たな再生可能エネルギー法を可決すれば、再生可能エネルギー開発のブームが生じると予想しており、新法案が可決される前に米国ビジネスの為の足掛かりを構築するべく、同国での活動を拡大している。更に、2005年9月に北京で開催される予定の「世界再生可能エネルギー・フォーラム - 中国の再生可能エネルギー (World Renewable Energy Forum - Renewable Energy in China)」に時期を合わせて、米国政府や民間部門の代表から成る対中米国貿易ミッションを計画しているという。(RenewableEnergyAccess.com, November 8, 2004)

ケンタッキー州知事、包括エネルギー計画を草稿するタスクフォースを任命

Ernie Fletcherケンタッキー州知事(共和党)が、同州の包括エネルギー戦略を草稿するため、8名から成るタスクフォースを任命した。同州のJim Host商務長官とLaJuana Wilcher環境公共保全長官が共同委員長を務めるタスクフォースでは、(1)州のエネルギー価格を低額で維持し;(2)州のエネルギー資源を責任ある方法で開発し;(3)環境保護に対するコミットメントを保守するような包括エネルギー政策を策定することになる。石炭業界では、この包括エネルギー政策が同州における過去10年間の石炭減産傾向を逆転させることに期待をかけ、州知事の今回の発表に支持を表明している。(Platts Coal Trader, November 9, 2004)

ロシアが京都議定書批准:気候変動に対するブッシュ政権の今後の対応は如何に?

ロシアのブラデミア・プーチン大統領が11月5日、長らく待たれていた京都議定書の批准書に署名した。これによって、京都議定書の発効に必要なのは、ロシアが国連に批准書を正式提出することのみとなった。京都議定書に調印した126ヵ国は、12月6〜17日にアルゼンチンのブエノルアイレスに集い、条約の第1段階(2008〜2012年)の排出削減コミットメントについて協議する予定である。

米国の議定書拒否は、温室効果ガス排出の削減努力が米国やカナダといった多数の諸国の経済成長を妨げるという見解を反映している。削減目標を達成しない諸国に対する明確な制裁を欠き、中国やインド等の「開発途上国」を削減義務から除外するというのでは、地球温暖化を抑制する効果もあまり期待できないうえに、それを遵守する為のコストは米国では膨大なものとなる。こうした理由から、米国上院は京都議定書の批准を拒み、ブッシュ政権は議定書から離脱することとなった。

とはいえ、ブッシュ政権が突然に交渉の場を去ったのは外交上の失策であるとしか言いようがない。ブッシュ政権は2期目で、気候変動の国際交渉に新鮮な気持ちで再参加することも可能ではあるが、それは、大統領が地球温暖化問題と外交を真剣に受け止めて初めて可能となる。ブッシュ大統領の最強の味方であるトニー・ブレア英首相は、来年のG-8会合では気候変動を最優先問題とし、特に、米国が交渉の場に戻ることを希望していると語っている。また、英国のMargaret Beckett国務長官は、気候変動に対する民間部門の認識が高まっていることが、ホワイトハウスに圧力をかけて温室効果ガス規制を成立させることになるかもしれないと示唆している。

しかしながら、現在の米国の温室効果ガス排出量が1990年水準を14%も上回り、2012年までには約30%増になると見込まれていることを考えると、京都議定書の第1段階が終了する2012年までは米国の再参加は期待できないと見る者もいる。加えて、米国エネルギー省や国務省の高官は現在の対応方法に満足しているという立場を崩していない。従って、ブッシュ政権が京都議定書へ復帰する可能性は今のところ殆どないと見られている。(Greenwire, November 4 & 6, 2004)

ブッシュ大統領、2004年介助技術法案を法制化

ブッシュ大統領が10月25日に2004年介助技術法案(下院第4278号議案)に署名し、同法案が法制化された。同法令は、拡声器や電動車椅子等の医療機器を必要とする障害者を対象とした支援グラントを州政府に提供する1998年介助技術法(公法105-394)を2010年まで再認可するほか、1998年に制定されたプログラムを下記のように再編成することになる:

  • 州政府はプログラムの管理費よりもむしろ、直接的サービスに資金の大半を充てるものとする。
  • 州政府は、医療機器購入や医療サービスに対する低利子ローンやローン保証といった新たな出資方法を支援するものとする。
  • アメリカン・インディアン障害者の為のグラントを創設する。(CQ Bill Analysis, November 6, 2004)


11月9日号

米国とメキシコ、エネルギー協力協定に調印

米国のPat Wood連邦政府エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission = FERC)委員長とメキシコのDionisio Perez-Jacomeエネルギー規制委員会委員長が、越境エネルギー問題での協力を強化していくという合意書に署名した。同協定に基づき、両国は互いの規制政策を学び、エネルギー事業の情報を分かち合い、規制関連決定のタイミングを調整していく予定であるという。

今回の協定は、両国間のエネルギー依存度が将来強まるという認識 に端を発している。具体的には、米国がメキシコから輸入する液化天然ガスが更に増加するほか、国境を越えた電力取引も可能性があると見られている。(Greenwire, November 8, 2004)

BOC Group、カナダの水素ハイウェイ事業を積極的に支援

世界有数の天然ガス会社の一つであるBOC Groupが、カナダの水素ハイウェイ(Canada's Hydrogen Highway)沿いに設置される水素燃料補給所の設計と建設で、カナダの国家研究評議会(National Research Council = NRC)、および、カナダ輸送用燃料電池同盟と協力している。ブリティッシュコロンビア大学構内の燃料補給所では、設備の設置が11月から開始され、2005年の第1四半期には全装備が完了する見込みである。

同施設は、バンクーバー空港とホイッスラー間の高速道路沿いに予定されている7ヵ所の水素燃料補給所 …完成予定は2007年… の第2号。BOC Groupでは、この施設に水素圧縮装置や合成水素貯蔵(composite hydrogen storage)装置を提供するほか、安全かつ機能的な水素自動車燃料補給所、および、包括的水素実験計画を確立する為に必要な水素安全プロセスとシステム統合計画を管理する予定である。(BOC Group News Release, November 1, 2004)

Leavitt環境保護庁長官、ブッシュ大統領再選後の環境アジェンダを語る

環境保護庁(EPA)のMike Leavitt長官が、長官就任一周年を明日に控えた11月8日に記者会見を行なった。Leavitt長官は、11月2日の選挙結果で、ブッシュ政権の環境政策は国民から明白な委任(mandate)を受けたとして、ブッシュ政権政策の反対者および民主党議員にも協力を呼びかけることを約束した。同長官は特に重要な活動として下記をあげている:

  • 2004年末までにクリーンエア州間規定を完成させる
  • 発電所が放出する水銀排出の抑制規制を2005年3月までに完成させる
  • 五大湖の水質を改善する

(Greenwire, November 8, 2004)


11月8日号

エネルギー省、西部7州で1,000メガワットの高密度太陽光発電システム設置を支援

エネルギー省(DOE)と西部州知事連合(Western Governor's Association = WGA:18州および米領サモア・グアム・マリナラ諸島)が、ニューメキシコ・アリゾナ・ネバダ・カリフォルニア・ユタ・テキサス・コロラドの7州に高密度太陽光発電(concentrating solar power = CSP)システムを設置する合意書に署名した。この5年間の共同協定に基づき、7州は総容量1,000メガワット(MW)を設置する予定である。同プロジェクトの推定総コストは186万ドルで、プロジェクト初年度にDOEが9万ドル、WGAと該当州が6万1,690ドルを拠出することになっている。

初年度の活動としては、(1)利害関係者団体の確立;(2)1,000 MW目標の達成に向けたプロセスの策定;(3)電力会社コンソーシアムの形成が中心となる。同合意はまた、アリゾナ州で建設中の1 MW太陽熱発電所やネバダ州で2005年に建設開始予定の50 MW太陽熱発電所等も支援する予定である。(DOE Press Release, November 3, 2004)

ローレンスバークレ−国立研究所、州政府の再生可能エネルギー支援に関する報告書を発表

ローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory = LBNL)が、1998年から2004年までにクリーンエネルギー州同盟(Clean Energy States Alliance = CESA)加盟州が行なった大型再生可能エネルギープロジェクトの支援状況をまとめた報告書「大規模再生可能エネルギープロジェクトに対する州政府クリーンエネルギー基金支援の影響 (The Impact of State Clean Energy Fund Support for Utility-Scale Renewable Energy Projects)」を発表した。
報告書の主要な調査結果は下記の通り:

  • CESA加盟州12州の内の9州 …カリフォルニア・イリノイ・マサチューセッツ・ミネソタ・ニューハンプシャー・ニュージャージー・ニューヨーク・オレゴン・ペンシルバニア… が、1メガワット(MW)以上のプロジェクト155件に、総額約3億4,500万ドルをコミットしている。
  • 上記155件のプロジェクト(総容量2,255 MW)の内の56件(707 MW)は既に始動し、残りの99件(1,548 MW)が現在開発段階にある。
  • 州別ではカリフォルニア州の支援額が最大で、総額約1億9,300万ドルを53件のプロジェクトにコミットしている。
  • 資源別では風力発電が主流で、建設済みと建設予定の設備容量の合計が約1,870 MW、これに地熱の約157 MW、バイオマスの約76 MWが続いている。
  • 州政府は、生産インセンティブ、劣後債融資(subordinated debt financing)、売買可能な再生可能証書(tradable renewable certificate)の価格保証といった多数の新しい革新的な融資インセンティブを活用している。

(Lawrence Berkeley National Laboratory/CESA Report, October 2004; Solar and Renewable Energy Outlook, November 1, 2004)


11月5日号

コロラド州、住民投票で再生可能エネルギー使用基準(RPS)引上げイニシアティブを支持

コロラド州の有権者は同州の再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standard = RPS)引き上げに票を投じ、コロラド州はRPSが国民の信任によって支持される初の州となった。この表決は、RPSがたとえ電気代の小幅上昇を招いたとしても、コロラド州民はRPSを希望しているという証拠として受け止められている。コロラド州のRPSは、顧客数40,000人以上の発電所に、電力の10%を再生可能資源 …対象となるのはソーラー、風力、地熱、バイオマス、小規模水力発電、水素燃料電池… から発電するよう義務付けている。このRPS規定は2015年まで、中間目標のRPS 3%は2007年までに実現することが義務付けられている。(Greenwire, November 3, 2004)

オタワで、カナダ初の持続可能技術とサービスのサミット開催

カナダ事業・環境研究所(Canadian Institute for Business and the Environment)が11月15日〜16日にオタワで、同国初の持続可能技術とサービスのサミットを開催する。このサミットが扱う主題は、環境や持続可能な開発の政策、民間部門の技術・サービスの役割、および資金調達である。サミットは連邦政府と環境・持続可能技術業界との間に有意義な対話を開始することを狙いとしている。

カナダ首相は先頃、ペトロカナダの売り上げから得られる政府純利益の大きな部分が、政府並びに民間部門による新環境技術の支援、開発、商業化に向けられることになると下院本会議で宣言した。純利益は最低10億ドルと見込まれている。(Gallon News Letter, October 25, 2004; Saskatchewan Advanced Technology Association (SATA) News, October, 2004)

環境保護庁とエネルギー省、二酸化炭素地下貯留の規制を検討中

炭素隔離が近い将来の二酸化炭素(CO2)排出削減方法として速やかに出現しつつあるという証拠として、環境保護庁(EPA)並びにエネルギー省(DOE)の高官等が過去6ヶ月にわたり、地下隔離の実施場所をどのように許可し規制すべきかについて討議する会合を重ねている。

炭素隔離規制は、現時点では、廃水を対象とするEPAの地下注入管理(Underground Injection Control = UIC)プログラムに似たものとなりそうな気配である。同プログラムは飲料水安全法(Safe Drinking Water Act)の下で40万基以上の井戸を許可している。(Greenwire, November 1, 2004)

上院の議席数増加で、エネルギー政策可決の期待が高まる共和党

ジョージW. ブッシュ大統領の再選と上院の共和党優勢が強まったことで、大型エネルギー政策イニシアチブ可決に向けた意欲が回復する可能性がある。

ブッシュ大統領の政策は、大方、過去4年間のエネルギー政策の持続となるものと見られている。一方、上院で共和党が55議席を確保したことによって、議案の通過に十分な過半数を得たとも言えるが、彼らが包括エネルギー法案の制定に向けて積極的に努力するかどうかは明らかではない。しかし、個別エネルギー法案が来年の審議で取り上げられる可能性が高く、予算案と束ねられる可能性もある。法案にはアラスカでの採掘、連邦所有地でのさらに大規模な探索・採掘活動、エタノール、水素、原子力の計画などが含まれる可能性が高い。

大型エネルギー法案を議会がうまく可決できるかどうかはまだ定かではない。共和党は上院で過半数を占めているが、過半数では、議事進行妨害行為を阻止できないという事情がある。(Platts Energy Bulletin, November 4, 2004; Environment and Energy Daily, November 4, 2004)

共和党優勢議会における環境関連政策の展望

ジョージW. ブッシュ大統領の再選、および、上院の共和党議席増加で上院環境・公共事業委員会におけ共和党議員が1名増えることにより、ブッシュ政権のクリーンエア・イニシアチブが促進される可能性が高い。

ブッシュ大統領はおそらく石炭火力発電所の排出に対処する、市場を基盤とした施策を重視するクリーンエア法案関連の立法を通過させるよう議会に圧力をかけるであろう。上下両院の委員会も次期議会セッションでクリーンエア法案問題を重視することを検討している。

興味深いことに、ブッシュ再選によってCO2 及び気候変動関連の法律が制定にこぎつける見込みもある。大統領の勝利が政権の「改心」をもたらす、すなわち、二期目就任が確定したことよって、CO2 排出規制に以前より前向きに取り組むようになる可能性があるためである。(Environment and Energy Daily, November 4, 2004; Inside EPA, November 5, 2004)


11月2日号

幹細胞研究者、自主規制を検討

先頃創設された「胎性幹細胞研究指針に関する委員会 (Committee on Guidelines for Human Embryonic Stem Cell Research)」が、幹細胞の派生物・用途・取り扱いに関する問題について情報を収集し、こうした活動のガイドラインに含まれるべき事項について意見交換を行なう場を提供するという目的で、10月11日〜12日に全米科学委員会(National Academy of Sciences)でワークショップを開催した。

自主的な幹細胞研究ガイドラインを検討するこのワークショップでは、@インフォームド・コンセントの手順;A幹細胞系の分配(distribution);B研究用ヒト胚(embryo)の作成には体外受精法または核移植のどちらが適切か;Cその他の倫理的・手順的懸念が討議された。自主規制の検討は、州政府によって異なる規定やプロジェクト認可手順 …認可には現在6〜12ヵ月かかる… を合理化・標準化すること、および、胎性幹細胞研究に対する一般市民の抵抗を和らげることを目的としている。しかしながら、参加者の中には、クローニングに関する懸念を考慮すると、自主規制は一般市民を安心させるには不十分であって、個々のヒト胚の使用用途を確認できる厳格な規定、および、体外受精業界の監督が必要であると主張する者もいた。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の癌研究者Richard Hynes博士とバージニア大学生物医学倫理センター(Center for Biomedical Ethics)のJonathan Moreno所長が共同議長を務める11名構成の委員会では、来年2月にガイドラインを提案する予定である。(Science, October 22, 2004)

全米科学財団がコスト分担義務の撤廃を決定:グラント競争激化の可能性

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)の国家科学評議会(National Science Board = NSB)が、同財団グラント …2001年には2万件… の約6分の1に適用してきたコスト分担義務を撤廃するという決定を下だした。これは、グラント申請において大学に一層の柔軟性を与えることを目的とした決定ではあるものの、この規定改正によって、これまでは申請能力のなかった研究機関もグラントに申請することが可能となり、申請数の激増が却ってプログラムの成功を損ねることになりかねないと見られている。

コスト分担規定は概して、大型の研究センターや研究機器プロジェクトに適用されており、2001年にグラント受賞者がコスト分担で拠出した研究費は5億3,400万ドル。大学関係者達はこのコスト分担規定を、連邦研究の隠れた課税であるとみなしてきた。NSBでは2年前に、大学の約束する金額がグラント給付先や給付額の決定に影響を及ぼすべきではないという答申をNSFに出していたが、今回の決定は実際にコスト分担という慣行を廃止することになる。同決定が否定的影響をもたらす可能性を考慮し、NSBは更に、新政策による予想外の影響に関する報告書を2年以内に作成するよう求めている。(Science, October 22, 2004)


11月1月号

カナダ首相、新たなグリーン調達政策を2006年までに導入すると公約

カナダ首相が国家調達を規制する新たなグリーン調達政策を2006年までに導入することを公約した。しかし、同様の公約が過去に守られなかったこともあり、代替策として環境技術への政府支出を増加してはどうか、という意見も一部にある。

たとえば、連邦政府の支出をエネルギー効率が良く低排出の技術・製品に向けるというこの慣行は、カナダのFederal House in Order (FHIO) Greening of Government Programを始めとする複数のプログラムですでに推進されている。しかし、現行のグリーン調達慣行は、購入決定を行う各省庁別に行われるのが一般的であるため、断片的な連邦政策となっているという。(The Gallon Environment Letter, October 25, 2004)

排水から水銀を短時間で安価に除去できるナノ・パウダー

パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory)の科学者等が実施した研究により、SAMMS (self-assembled monolayers on mesoporous supports)ナノテクノロジー・パウダーは従来の浄化プロセスよりも迅速に水から水銀を除去できることが明らかになった。

この方法は必要な材料が少なく所要時間も短いため、かなり安価な排水処理法になりうると研究者等は予測している。さらに、この方法では水銀がすべて固定されるため、普通のゴミ埋立地への廃棄が可能となるという。(Greenwire, October 29, 2004)

環境・社会団体、ナノテク国際協議会からの参加依頼を辞退

ヒューストンのライス大学を拠点に先頃設立されたナノテクノロジー国際協議会が、本日その発足式を行った。設立の趣旨は、業界、政府、環境並びに社会団体を一堂に集めてリスクに関する疑問に答え、新たなナノ物質やナノ材料を規制する最善の方法を政府に勧告することである。

協議会の目標は、ナノ産業発展の初期段階でナノテクノロジーへの民衆の信頼を獲得し、遺伝子組換食品の生産が招いたような幅広い抗議を避けることである。しかし、同協議会への参加要請を受けた3つの環境・社会団体は、協議会が実際に国民の利になるかという点で疑いを表明し、参加を辞退している。こうした信頼の欠如は、同協議会の資金源が50万ドルの業界寄付であるという事実に根ざしている。(Washington Post, October 28, 2004)

加大アーヴィン校の科学者、電気を通す世界最長の炭素ナノチューブを創製

カリフォルニア大学アーヴィン校の科学者等が電気を通す世界最長の炭素ナノチューブを創製した。長さ0.4 cm、幅が原子10個分のナノチューブは肉眼には見えず、今日使われている最小のワイヤーの約100分の1のサイズである。過去にこれよりも長いナノチューブが創製されたことはあったが、途切れのない特性や電気を伝える特性を実証したものはなかった。ナノチューブの実用化はおそらく5年から10年先になると考えられている。(Small Times, October 25, 2004)

商務省技術局、9月21日に開催したテクノロジー・リサイクル円卓会議の議事録を発表

商務省技術局が9月21日に「テクノロジー・リサイクル:利害関係者のコンセンサス形成 (Technology Recycling: Achieving Consensus for Stakeholders)」という電子機器リサイクルに影響を与える市場問題を扱う円卓会議を主催した。
円卓会議での討議は主に次の4つの主題に絞られた。

  • 対象となる電子機器の定義
  • リサイクルのための製品収集
  • 電子機器リサイクルの仕組みへの資金調達
  • 政府の役割

円卓会議の報告書を準備している技術局では、円卓会議で討議されたトピックに関するコメントや意見を書面で10月27日まで受け付けるという。9月円卓会議の議事録は下記のリンクに掲載されている:http://www.technology.gov/Events/2004/T_Recycle/Transcript9-21.pdf (Technology Administration Top Tech Stories, October 29, 2004)


Top Page