NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年11月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

11月30日号

ペンシルバニア州議会が代替エネルギー使用基準法案を可決、法制化間近

ペンシルバニア州議会が、2020年までに自州エネルギーの18%を石油代替エネルギー資源で賄うことを義務づける「代替エネルギー使用基準法案(第1030号議案)」を可決した。これにより、ペンシルバニア州は米国で16番目の再生可能エネルギー使用基準(RPS)法案可決州となる。同法案では、2020年までに最大860メガワット(MW)の太陽光発電設備容量追加を目指し、太陽光発電導入の義務条項を定めるほか、太陽光発電の系統連系やネットメータリングに関する一貫した州政策も設定することになる。RPS導入は下記の2段階方式で進められる:

  • 第1段階 … 対象資源は、ソーラー、風力、50MW未満の水力発電、地熱、バイオマス、生物メタンと炭鉱メタン、及び、燃料電池。電力供給者に義務付けられる対象資源を利用した発電量は、最初の2年で最低1.5%、その後は毎年0.5%づつ引き上げられ、最終的には8%まで拡大される。また、ソーラー利用発電の導入義務は1〜4年目が0.0013%、5〜9年目で0.0203%、10〜14年では0.25%、それ以降は0.5%となる。
  • 第2段階 … 対象資源は、屑炭、分散型発電装置、デマンドサイドマネージメント(DSM)、大規模水力発電、都市ゴミ、木材副産物、石炭ガス化複合発電(IGCC)技術。対象資源利用の発電義務は、1〜4年目が4.2%、5〜9年目が6.2%、10〜14年で8.2%、15年目以降が10%となる。

ペンシルバニア州RPS法案では、石炭ベース技術(炭鉱メタン)もRPS対象資源に指定しているため、これを批判する者もいるが、再生可能エネルギー同業者団体は、同条項がペンシルバニア州のクリーンエネルギーへの移行を妨げるわけでなく、むしろ法案支持に役立ったとして、これを歓迎している。Edward Rendell州知事(民主党)は有力な法案支持者の一人であるため、近々これに署名するものと見られている。(RenewableEnergyAccess.com, November 23, 2004)

Hyperion Solutions社、グリーン自動車を購入する従業員に5,000ドルの援助

カリフォルニア州のソフトウェア会社であるHyperion Solutions社は、従業員の環境調和型自動車購入を奨励するため、年間100万ドルをコミットしている。対象となるのは、同社の全従業員(2万5千人)で、年間200台 …1台あたり5,000ドル… のクリーンカー購入を支援する予定であるという。同社の最高経営責任者Godfrey Sullivan氏によると、環境保護という利他主義、および、最良の従業員勧誘を目的とした自社宣伝が、この特典提供の動機になっているという。同社インセンティブの対象となる自動車は、(1)ガロンあたり45マイルという連邦政府高速道路燃費基準、および、(2)州政府の厳格な低公害基準を満たす車両で、現在米国で販売されている車両の中で援助金の受領資格を持つのは、ホンダとトヨタのハイブリッド自動車であるという。(Wall Street Journal, November 29, 2004)

全米規格協会、9月のナノテク規格委員会第一回会合で出された提言を発表

全米規格協会(American National Standards Institute)のナノテクノロジー規格委員会(Nanotechnology Standards Panel)が、政府や学界から約200名の参加者を迎えた今年9月の第一回会合における審議を基にした、提言を発表した。ここ1年以内に緊急に討議すべきであると答申された分野は下記の通り:

  • ナノサイエンスとナノテクノロジーの専門用語
  • 材料の組成と特徴に関する体系的な専門用語
  • 有毒性/環境への影響/リスク評価
  • 度量衡学/分析方法/標準テストの方法

(ANSI-NSP News Release, November 15, 2004)

2004年度一括歳出予算法案に盛り込まれた「2004年共同研究技術推進法案」

2005年度一括歳出予算法案(下院第4818号議案)には、産学協力から生まれた特許を保護する「2004年共同研究技術推進法案(Cooperative Research and Technology Enhancement Act of 2004)」法案が盛り込まれている。本法案のスポンサーであるLamar Smith下院議員(共和党、テキサス州)によると、この法案は、公共機関と民間機関の共同研究から生まれた特許の場合、第三者がその合法性に挑戦出来るとした連邦裁判所の裁定に対抗して草稿されたもので、バイオテクノロジーやナノテクノロジー、および、製薬会社に肯定的な影響を与えることになるという。(The Washington Post, November 23, 2004)


11月29日号

Cambridge Energy Research Associates、排出削減が発電所に及ぼす影響を考察した報告書を発表

Cambridge Energy Research Associates (CERA) 社が、クリーンエア法の現行規定、州政府イニシアティブ、および、二酸化硫黄(SO2)・窒素酸化物(NOX)・水銀の規制に関する発電所と法廷間の同意判決を様々に組み合わせた、多様なシナリオを考察する報告書を発表した。「大気浄化:米国排出権市場の将来シナリオ (Clearing the Air: Scenarios for the future of US Emissions Market)」によると、電力部門は、殆ど全ての将来シナリオにおいて、SO2・NOX・水銀の大幅な排出削減義務やSO2排出権価格の高騰、および、SO2を抑制する煤煙脱硫(flue-gas desulfurization = FGD)装置やNOXを抑制する選択的接触還元(selective catalytic reduction)装置を設置する多額の資本投資に直面することになるという。この新研究の主要な調査結果は下記の通り:

  • 石炭は2020年までの如何なるシナリオにおいても、発電所の支配的な燃料源であり続けるものの、排出抑制政策の変化に応じて、石炭流通パターンが変化すると予測される。つまり、 FGDを装備した石炭火力発電所では、高額な低硫黄炭を購入するインセンティブが激減し、硫黄含有量は高いが廉価な北部アパラチア(NAPP)やイリノイ盆地(ILB)産の石炭購入へと移行することになる。
  • NAPPやILB産石炭の需要増加を満足させるには新炭鉱への投資が必要となるが、石炭会社も消費者も新炭鉱への投資を渋りがちである。このため、発電所FGD設置の投資決定と新炭鉱への投資決定のタイミングを調整することが重要な課題となる。
  • SO2削減を目標とした環境保護庁(EPA)の酸性雨計画という「第1波」、NOX削減を目標としたEPAの州政府イニシアティブという「第2波」に続き、石炭火力発電所に排出削減装置の取付けを義務付けるという「第3波」への資本投資は、2020年までに280億ドルから640億ドルに及ぶ可能性がある。
  • 厳しくなる汚染制御義務が必ずしも石炭火力発電所の価値を低下させるとは限らない。FGD等の抑制技術を導入する発電所は、廉価な高硫黄炭へとスイッチすることで運転コストを低減させられるため、高効率な大規模石炭火力発電所の価値は低下するどころかむしろ、上昇することになる。
  • 環境投資のコスト回収システムは米国各地で大きく異なるため、これが、各電力会社の遵守戦略に影響を与えることになる。
  • 気候変動政策に付随する経済面でのリスクは、発電所の総資産と企業ポートフォリオに占めるCO2排出を単に計算するだけでは査定できない。
  • 将来の環境政策を考案するにあたり、州や地域団体が重要な役割を果たし続ける。

(Platts Coal Trader, November 23, 2004; CERA News Release, November 22, 2004)

加州の幹細胞研究コミットメントに負けじと、Doyleウィスコンシン州知事が自州の新戦略を発表

Jim Doyleウィスコンシン州知事(民主党)は、バイオテクノロジー、保健科学、幹細胞研究で指導的地位を維持するための同州の新たな戦略を公表した。これは、ほぼ7億5,000万ドルの官民の投資を含むもので、州内の大学と連携して行われるという。

この取り組みは、新事業に結びつく発明を支援することによってバイオテクノロジー主導型の経済成長を奨励し、何千もの新たなハイテク雇用を創出するというもので、その焦点は基礎研究、および、研究の実用化・市場化に置かれる。戦略の具体策は下記の通り:

  • 向こう10年間に民間および州が3億7,500万ドルを拠出し、ウィスコンシン大学マディソン校にウィスコンシン発明研究所 (Wisconsin Institute for Discovery) を設立し運営する。研究所は、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、エンジニアリング、幹細胞研究の各分野を研究し、発明の市場化を支援することによってスタートアップ企業を養成する。
  • 立法措置により、大学教員によるスタートアップ企業の創設を妨げる官僚的障害を排除する。
  • 2億5,000万ドルのベンチャー投資資金を州の商務省が提供する。これには、エンジェル税控除、スタートアップ段階のベンチャー企業への資本税控除、その他数々の新しいグラントやローン制度がある。
  • 1億3,400万ドルのヘルススター学際研究所 (HealthStar Interdisciplinary Research Complex) をウィスコンシン大学病院近郊に設立する。この研究所は、医学分野で革新技術や発明をもたらし、それを臨床用途に移行することを専門とする施設で、高齢化に関係する健康問題に焦点が置かれる。
  • ウィスコンシン医科大学・児童病院に、感染症対策、心疾患、バイオエンジニアリングを焦点とする1億3,200万ドルの研究施設を設立する。
  • アルツハイマー病の予防研究、新治療、疾患の神経病理学的根拠に焦点を当てる新設のウィスコンシン・アルツハイマー研究イニシアチブに年間1,500万ドルを拠出する。
  • 公衆衛生、医学教育、幹細胞その他の研究に5ヵ年で総額1億500万ドル(ウィスコンシン大学に7,500万ドル、ウィスコンシン医科大学に3,000万ドル)を提供する。

(SSTI Weekly Digest, November 22, 2004)


11月23日号

Bob Taftオハイオ州知事、燃料電池会社5社に総額350万ドルのグラントを給付

Bob Taftオハイオ州知事(共和党)は、燃料電池研究開発グラントの給付先として5社が選ばれたことを公表した。総額約350万ドルのグラントは、10年前から州が実施しているハイテク研究と官民の協力を推進する11億ドルの「第3のフロンティア・プロジェクト(Third Frontier Project)」を財源としている。グラントを受ける各社とプロジェクトの概要は下記の通り:

  • NexTech Materials社 … 現在の燃料電池の最高5倍の出力密度を持つ輸送/航空宇宙用燃料電池の開発
  • GrafTech International社 … グラファイト・ベースのガス拡散浸透層 (permeable gas diffusion layer) コンポーネントの開発
  • エジソン材料テクノロジー・センター … 膜電極アセンブリ製造工程の改良
  • Velocys社 … 軍事用の廉価燃料プロセッサ
  • MetaMateria Partners社 … 固体電解質型燃料電池 (SOFC) と燃料電池システム・インテグレーターの開発

(FuelCellsToday.com, November 19, 2004)

エネルギー省と民間企業、石炭火力発電所で水銀排出削減技術の実証を成功裏に終了

エネルギー省 (DOE) と民間部門との共同研究が、石炭火力発電所に使用できそうな水銀コントロール技術の実証に成功した。この実証プロジェクトの総額は880万ドルで、DOEが600万ドル、民間部門のパートナーが280万ドルを負担している。水銀コントロール技術のテストは、カンザス州にある360メガワットの石炭火力発電所で実施された。今回テストされた技術は下記の通り:

  • NORIT アメリカズ社が開発した改良吸収剤
  • 石炭ブレンド技術
  • 活性炭注入にALSTOM パワー社が開発中の同社占有の添加物を組み合わせた方法

これら三技術の次のステップとして、他の発電所において追加テストが行われる。これは、異なる石炭の種類、ブレンド、および、主要装置構成の間の相互作用を分析するのが狙いである。(Platts Coal Outlook, November 22, 2004)

連邦政府の電子機器リサイクル政策策定に関心高まる

商務省(DOC)が「テクノロジー・リサイクル:利害関係者のコンセンサス形成、電子機器リサイクル円卓会議 (Technology Recycling: Achieving Consensus for Stakeholders, a Roundtable on Electronics Recycling)」を開催してからというもの、連邦政府の電子機器リサイクル政策策定に関する討議への関心が高まっている。根強い反対意見の1つは、そのようなプログラムの資金源を危ぶむ声である。一般に、次の2つのオプションが資金源として検討されている。

  • 販売時点で料金を課し、消費者に責任を負わせる方法
  • 生産者責任インセンティブ制度によって、製造業者に責任を負わせる方法

この政策がどのような内容になるかを予見する上で、DOCが1月に発表する円卓会議の報告書、業界主導の法案、これまでの議案、および、環境保護庁(EPA)が懸案中の陰極線管 (cathode ray tube) 規定が、連邦法の数々の規定を形成する見込みがある。(InsideEPA, November 19, 2004)


11月22日号

カリフォルニア州大気資源局、機関車と船舶の燃料基準を強化

カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board = CARB)は11月18日、ディーゼル機関車やディーゼル船舶に、2007年から低硫黄ディーゼルの利用を義務づけるという規定を承認した。州政府規定には、州境を越えた移動大気汚染源を規定する権限がないため、CARBの新規定は、州境界線を越境しないディーゼル機関車と船を対象とすることになる。CARBでは、この新規定によって、窒素酸化物排出を3%、粒状物質を23%、硫黄酸化物排出を78%削減できると予測している。

鉄道業界も、新規定によって燃料コストが僅かに上昇することを認めているものの、CARB規定を「均衡のとれたアプローチ」であると評価している。この新規定は、環境保護者、鉄道業界、米国肺協会、BPといった幅広い層からの支持を得ている。(Greenwire, November 19, 2004)

米国とロシア、民間部門の技術革新・起業精神・提携関係を推進するため、評議会の創設に合意

米露ハイテク・イノベーション評議会(U.S.-Russia Innovation Council on High Technologies = ICHT)創設の合意書にサインする調印式が、11月16日に商務省で行なわれた。調印式に出席したPhillip Bond商務次官は、今回の調印が、科学者・技術革新者・起業家の間に強い提携関係を構築するという米露両国のビジョンを実行する上で、非常に重要な一歩であると語っている。先ずは、20名 …米国代表10名とロシア代表10名… 構成の評議会を設置することになるが、両国からの代表委員の半数がビジネス界の代表者で、残りの代表が政府と科学界から選ばれる予定であるという。第1回目会合は未だ計画されていないものの、約6ヵ月先に開催される見通しであるという。新設される評議会の目標は下記の通り:

  • 技術革新、商用化、および、ハイテクで二国間の協力を推進する
  • 科学・技術活動、および、技術革新の結果を商用化するため、米露政府省庁、ビジネス、そして、科学界の間の対話を推進する。

(Department of Commerce Technology Administration News Release, November 18, 2004)

インドの防衛技術・情報技術市場に潜む多大な機会に注目する米国ビジネス

米国政府は11月18日に商務省で、防衛技術・情報技術分野における米国とインドの事業機会拡大を討議する会合を、米印ビジネス委員会 (U.S.-India Business Council) および、その他産業グループと共催した。両国の政府関係者の他に、米国とインドのビジネス界から120名を超える参加者を得た今回の会合「防衛技術、データ・プライバシー、輸出ライセンシングに関する対話 (Dialogue on Defense Technology, Data Privacy, and Export Licensing)」では、下記のテーマ別に分かれて討論が行なわれた:

  • 防衛技術のラウンドテーブル:防衛関連の協力と調達に関する両国政府の政策、および、インド市場に関心を持つ米国企業が直面する問題が取り上げられた。
  • データ・プライバシーのラウンドテーブル:情報技術業界の今後の成長に必要不可欠な、データ保護の方法に焦点があてられた。
  • 輸出ライセンシングのラウンドテーブル:米国の軍民共用 (dual-use) 技術と軍需品のラインセンシング手順に関し、米国の法令・規制下での企業側責任が説明された。

各セッションの取りまとめた政策答申は、昼食会の席で、両国の政府高官らに提出された。(Bureau of Industry and Securitu News Release, November 18, 2004)

Inhofe上院環境公共事業委員長とブッシュ政権、クリーンエア法の取り扱いで戦略を討議

上院環境公共事業委員会のJames Inhofe委員長(共和党、オクラホマ州)と同委員会クリーンエア・気候変動・原子力安全小委員会のGeorge Voinovich委員長(共和党、オハイオ州)が、Mike Leavitt環境保護庁(EPA)長官およびホワイトハウス環境問題委員会のJim Connaughton委員長と会談し、クリアスカイとクリーンエア州間規定(Clean Air Interstate Rule = CAIR)に関する戦略を討議した。

予想されていた通り、Inhofe委員長は、行政府がCAIR規制を提出した場合、第109議会におけるクリアスカイ法案審議の急務性が削がれてしまうという懸念を表明した。これに対して、EPAは、規制アプローチよりも立法手段の方が望ましいと考えていると語りはしたものの、上院民主党議員等は、Leavitt長官がInhofe委員長の圧力に屈してCAIR発表を遅らせることは殆どありえないと見ている。民主党議員はクリアスカイ法案を現形のままでは承認できないと反発している一方で、二酸化炭素関連条項を含めるのであれば、クリアスカイの妥協案で共和党と協力する用意があると主張している。(Environment and Energy Daily, November 19, 2004)


11月19日号

太陽エネルギー工業会、米国太陽光発電業界のロードマップを発表

太陽エネルギー工業会 (Solar Energy Industries Association = SEIA) は、世界市場における米国の指導的地位回復を意図する産業ロードマップ「我が太陽光発電の将来:2005年以降の米国太陽光発電業界ロードマップ (Our Solar Power Future: The US Photovoltaic Industry Roadmap for 2005 and Beyond)」を発表した。この報告書は、米国内の同業界の現状について概説し、2030 年までに達成する目標数値として以下を掲げている:

  • 0.038 ドル/キロワット時の顧客価格
  • 200 ギガワット の発電力の確保
  • 260,000 人の直接雇用

計画は、国内で雇用を創出しつつ、世界市場において米国の指導的地位を回復することを念頭に置いて、市場拡張戦略と研究開発戦略を推奨している。市場拡張戦略として以下のものが推奨されている:

  • 消費者と生産者への税額控除とインセンティブ
  • 一律のネット・メータリング基準とインターコネクティビティ(相互接続性)基準の確立
  • 連邦政府調達と州主導のイニシアティブの増加

また、研究開発戦略として、以下のものが推奨された:

  • 結晶シリコン、薄膜その他の革新技術への投資増大
  • 比較的リスクが高く、長期的な研究開発活動への支援の増大
  • 研究施設への融資増大
  • 官民のパートナーシップの拡充

(Solar and Renewable Energy Access, November 8, 2004; SEIA Report, October 2004)

厳格な温室効果ガス排出規制の導入を決めたロードアイランド州

カリフォルニア州の厳格な排出基準を採択するというロードアイランド州の提案に関する一般からのコメント受付期間が11 月 16 日 (火) で終了した。同州環境管理省はそれから30日以内に、これらの意見を吟味し、意思決定を行うことになっている。計画は、2012 年には新車から放出される二酸化炭素 (CO2) 排出量を現存車両排出量の22%減とすることを義務付けるもので、削減レベルは2016 年には30%まで強化される。採択されれば2008 年までに施行される予定である。

自動車産業代表は同提案に批判的であり、既に法廷でカリフォルニア州の規制に挑戦する措置をとっている。(Greenwire, November 17, 2004)

カナダ政府、車両温室効果ガス排出の削減目標を設定

カリフォルニア州議会の女性議員 Fran Pavley (民主党) が、カナダのStephane Dion環境相およびR. John Efford天然資源相と会見した。Pavley議員 は、同分野でカナダとの協力に関心を示す内容の、Schwarzenegger知事室高官からの手紙も伝達した。

一方、カナダ政府からは、車両温室効果ガス排出問題で統一見解が示された。Dion環境相とEfford天然資源相が共同記者会見を開き、カナダが25%の排出削減目標を譲らないことを宣言した。(The New York Times, November 18, 2004)

国立標準規格技術研究所、化学物質を探知する超敏感な「光ノーズ(optical nose)」

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST) の科学者が、レーザーを使って、吸収する光の周波数を基に微量ガスを検出する方法を開発した。また、デンバー州コロラドの Vescent Photonics 社は、NIST と共同研究開発契約を結び、同技術を共同開発した物理学者Jun Yeと協力して、この方法を大気のモニタリングのために商業化することを目指す計画である。大気のモニタリングという用途のほかにも、この技術によって、他の方法では検出しにくい爆発物中の合成物の鑑別が可能となりうる。(NIST Tech Beat, November 10, 2004)


11月17日号

カナダ国立ナノテクノロジー研究所、エドモントンで世界最先端の研究施設を建設中

アルバータ州の州都エドモントンにあるカナダ国立ナノテクノロジー研究所(National Institute for Nanotechnology = NINT)は、物理学・化学・工学・生物学・情報科学・薬学・医学の研究者を抱える学際的研究所であるが、ここに世界最先端の研究施設を建設するべく、総工費3,100万ドルをかけた新研究所の建設が進んでいる。2005年秋完成予定の新施設には、振動や伝搬音や電磁妨害が殆ど無いに等しく、温度が一定で、ナノスケール研究に理想的な気圧を保った、カナダで最も静かな研究所が収容される予定である。この新研究施設は、自由思考の大学研究者に革新技術の実用化を目指すNINT当局者と協力する機会を与える、産学のインターフェースになるものと期待されている。

エドモントンは、NanoMEMSクラスターの構築に熱心で、マイクロ技術やナノ技術の開発・商用化における世界的リーダーとなりつつある。同地域のマイクロ企業およびナノ企業と政府・学界の協力により昨年発足に至った官民パートナシップ「NanoMEMSエドモントン」は、今年9月に、エドモントン経済開発公社と「2004年マイクロおよびナノ・システム商用化会合」を共催。会合の場を有用してドイツや米国、および、日本と将来の相互協力について話し合ったという。(Small Rimes, November 9, 2004)

カナダ政府、技術商用化推進施設イニシアティブを開始

カナダの国家研究委員会(National Research Council = NRC)が、科学研究に対する政府投資の商業的価値および経済的利益を拡大するため、技術商用化推進施設イニシアティブ(Facilities to Advance Tech Commercialization initiative)に着手する。David Emerson産業大臣によると、新設される6施設は、カナダ政府の研究投資が製品やサービス、高賃金職や生産性・競争力のある企業に繋がるよう努力していくことになるという。各地の研究基盤や技術クラスターに特有なニーズを考慮して計画された研究施設は下記の通り:

  • バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学に開設される、燃料電池研究の為の水素技術環境チェインバー(Hydrogen Technology Environmental Chamber for Fuel Cell Research):極限の温度・湿度・高度をシミュレート。企業や研究者による、水素自動車や定置型発電システムの実験・評価への利用が期待されている。NRC、Fuel Cells Canada等が200万ドルを投資。
  • ウィニペッグに開設される、NRCバイオ医療技術商業化センター(Centre for the Commercialization of Biomedical Technology):バイオ医療技術における技術革新とアントレプルヌールシップを推進する。NRCとマニトバ市が1,120万ドルを拠出。
  • オタワのNRC研究パークに開設される、光学加工センター(Photonics Fabrication Center):フォトニック材料に関する既存施設や研究専門技術、および、マイクロ構造科学研究所の装置等を活用して、国家計画の支援や光学技術クラスターの発展を推進する。NRCが4,300万ドルを投資。
  • ヴィル・サグエネイのケベック大学チクティミ校に開設される、NRCアルミニウム技術センター(Aluminium Technology Centre):アルミニウムをベースとした付加価値のある製品やサービスを開発する為に必要な技術支援や専門技術をカナダ企業に提供する。NRCが3,200万ドル、ケベック地域経済開発局が2,500万ドルを拠出。
  • フレデリクトンのNRC情報技術研究所に開設される産業パートナーシップ研究所(Industrial Partnership Facility):情報技術部門に携わる中小企業に最新の研究スペースを提供する。NRCが780万ドル投資。
  • シャーロットタウンのプリンスエドワーズ大学に開設される、NRCの栄養学・衛生研究所(Institute for Nutrisciences and Health):バイオ科学のハブの役割を担う。NRCとAtlantic Canada Opportunitites Agencyが1,150万ドルを投資。 

(SSTI Weekly Digest, November 15, 2004)

Abrahamエネルギー長官が辞任、後任は誰か?

大統領に辞表を提出したSpencer Abrahamエネルギー長官の後任について、様々な推測が流れている。例えば、現メキシコ大使で元テキサス鉄道委員会委員長のTom Garza氏;Kyle McSlarrow現エネルギー副長官;エジソン電気協会(EEI)のTom Kuhn会長;元モンタナ州知事で2004年ブッシュ-チェイニー選挙委員会委員長のMarc Racicot氏;元上院議員のJohn Breaux氏(民主党、ルイジアナ州);Sam Bodman現商務副長官;元エネルギー副長官で現ホワイトハウス次席補佐官のW. Henson Moore氏;Pat Wood現連邦政府エネルギー規制委員会(FERC)委員長;Bill Owensコロラド州知事;元エネルギー副長官のBill Martin氏、等の名前があがっている。

電力業界との絆が強いTom Kuhn EEI会長が上院で猛反対に直面するのは必至であり、Marc Racicot氏は民間部門へ戻ると見られている。ブッシュ案に似たエネルギー政策の支持者であるJohn Breaux元上院議員の起用は、民主・共和両党の溝を埋めるという公約を果たす為に有効ではあるが、Norman Mineta運輸長官(民主党)が現職にいる限りは、二人目の民主党起用は恐らく起こらないであろう。しかしながら、上述の誰がエネルギー長官のポストに就いたとしても、ブッシュ政権二期目のエネルギー政策や戦略には殆ど変化はない見通しである。(Greenwire, November 16, 2004; Environment and Energy Daily, November 16, 2004)


11月16日号

エネルギー省、クリーンコール発電イニシアティブ第2ラウンドのグラント受賞者を発表

Spencer Abrahamエネルギー省(DOE)長官が、クリーンコール発電イニシアティブ(Clean Coal Power Inivitative = CCPI)の第2ラウンド公募におけるグラント受賞者を発表した。DOEの技術専門家40名が、応募された13提案の中から選定した4プロジェクトは下記の通り:

  • Excelsior Energy社 … 酸素吹きIGCC (石炭ガス化複合) 発電システムのコスト削減と発電効率改善を目的とする、Mesabaエネルギー・プロジェクト(ミネソタ州Hoyt Lakes);総コストは11億8,000万ドルで、DOE負担は3,600万ドル
  • Southern Company … 最新型排出抑制装置を備えたIGCC発電システムの実証プロジェクト(フロリダ州オーランド);総コストは5億5,700万ドルで、内、2億3,500万ドルをDOEが負担
  • Pegasus Technologies社 … 890 メガワット(MW)ボイラーから放出される水銀排出の制御最適化を狙った、複雑な抑制プロセスと新型センサー技術を実証するプロジェクト(テキサス州Jewett);総コストは1,220万ドル、DOE負担は610万ドル
  • Peabody Energy社 … 300 MWのMustang石炭火力発電所において「Airborne Process」スクラバー、再生システム(regeneration system)、および、肥料生成システムを商用規模で実証するプロジェクト(ニューメキシコ州Milan);総コストは7,900万ドル、内、1,900万ドルをDOEが負担

(DOE Press Releases, October 14, 21, 26, and 28, 2004)

空調機器業界と省エネ唱導者、業務用空調機器の新基準に合意

空調機器業界と省エネ唱導者が、業務用ビルで使用される空調器やヒートポンプのエネルギー効率基準で合意に達した。新合意により、殆どの新型業務用冷暖房機器のエネルギー消費効率(energy efficiency ratio = EER)は現在の8.9から11.2に引き上げられるほか、新型機器にはオゾン層に悪影響をもたらす代替フロン(HCFC)の使用が禁じられることになる。

今回の合意達成に助力した米国エネルギー合理化経済評議会(ACEEE)では、新基準により、ピーク時の電力ニーズが2020年までに7,400メガワット(MW) …300MW新規発電所25基の出力に相当… 減少すると推定しているほか、新型空調機器の購入に起因するエネルギー費用節減でビル所有者が得る純利益は2010〜2030年で約24億ドルになると分析している。

同合意が規定として正式に採用される為には、エネルギー省(DOE)と議会の承認が必要となるが、利害関係者を代表する二大団体 …ACEEEと空調冷房研究所 (Air-Conditioning and Refrigeration Institute) … のコンセンサスから生まれた合意であるため、承認は確実と見られている。(Greenwire, November 12, 2004; ACEEE Press Release, November 11, 2004)

ホウレン草パワーで、バッテリーの寿命を延長

マサチューセッツ工科大学(MIT)、テネシー大学、海軍研究所 (Naval Research Laboratory)、および、防衛先端研究計画局 (DARPA) の研究者等が、植物の光合成プロセスを利用して、携帯電話やノート型コンピューターといった小型電子機器のバッテリー寿命を延命することに成功した。光合成で光エネルギーを電気エネルギーに変換する研究はこれまでにも行なわれているが、日光からエネルギーを捕らえる蛋白質が水なしでは死んでしまうために、電流の発生は数時間に限られていた。これに対して、同研究チームは、アミノ酸から作ったペプチド溶剤 (peptide detergent) を用いて植物蛋白質を安定させることにより、電流を3週間継続して発生させることに成功したという。

今回の実験では、葉緑素の豊富なホウレン草が使用された。ホウレン草を遠心分離器で液化して抽出した蛋白質を、プラチック・金・インジウム酸化第一錫(indium-tin oxide)製のマイクロチップに間隔をあけて配置し、そのギャップにペプチド溶剤を注入したところ、蛋白質は自己組織形成プロセスによって固く組み合った。この半インチ四方の正方形マイクロチップをバッテリーに巻き付けたところ、チップは光エネルギーを利用してバッテリーの寿命を延長させたという。同研究は未だ初期段階にあり、商用化は数十年先になると見られている。(The New York Times, November 11, 2004; Greenwire, November 11, 2004)


11月15日号

オレゴン州、温室効果ガス削減を狙った州政府計画を発表

オレゴン州エネルギー局が、2020年までに自州の温室効果ガスを1990年水準の10%減とする計画案を発表した。Ted Kulongoski州知事(民主党)の創設した地球温暖化諮問グループ …メンバーはビジネス界リーダー、州政府高官、及び、科学者… によって作成された報告書「オレゴン州温室効果ガス削減戦略 (Oregon Strategy for Greenhouse Gas Reductions)」には、下記のような提言が盛り込まれている:

  • カリフォルニア州の厳格な自動車排出規制を採用する。
  • 住宅建設業者がヒートポンプ温水装置、太陽光発電システム、および、太陽熱温水装置に対する州政府税控除を利用することを認める。
  • エタノールを始めとするバイオ燃料の利用を推進する。
  • 自動車販売店と協力して、クリーン自動車の販売を推進する。
  • 燃費が平均以下の車両の登録料や証書発行代を引き上げ、燃費の良い車両の利用を推進する。

オレゴン州政府では同報告書に対する一般からのコメントを11月15日まで受け付ける。報告書の全文は、http://www.energy.state.or.us/climate/warming/Draft_Intro.htmで閲覧可能。(Portland Oregonian, November 10, 2004; Greenwire, November 10, 2004)

米国化学工業協会、大規模な自主的温室効果ガス排出報告システムを計画中

米国化学工業協会(American Chemistry Council = ACC)では、自主的な温室効果ガス排出報告システムを確立する計画であるという。このシステムの目的は、ブッシュ政権の掲げた炭素排出原単位18%削減という目標の達成に向けて、化学会社が自社の進捗状況を把握できるよう支援することにある。同システムは自主的計画ではあるものの、将来的には温室効果ガス排出削減の義務化を避けることは出来ないという米国企業の認識を反映していると言える。更に、同プログラムがEPAから国家モデルとして認定され、参加企業には自主削減の早期報告と引き換えに規制面でのフレキシビリティが認められる可能性もある。

今回のACC決定は、米国以外の諸国で京都議定書の対象となり得る多国籍企業から大きな支持を得ている。しかしながら、議定書の影響を受けない国内企業は、温室効果ガス排出報告に伴なう費用増大を理由に、この自主報告システムに反対する可能性がある。(Inside EPA, November 12, 2004)

環境保護庁、環境技術評議会を新設

環境保護庁(EPA)が先頃、環境問題への対応で革新技術の利用拡大を図るため、環境技術評議会(Environmental Technology Council = ETC)を新設した。新評議会は、民間と政府がコスト効率の良い新環境技術の開発推進を目的として各々に行なっている類似プログラムを調整するため、「ワンストップショップ」の創設が必要であるとした議会指針に応えて設置されたもので、その根底には、革新技術は環境問題解決の鍵であるという強い信念があるという。

ETCでは既に、健康・環境面での潜在的リスク、および、遵守コスト低減や遵守率向上に革新技術が役立つ可能性を考慮し、飲料水・農業汚染・廃棄物・リモートセンシングといった10項目の最優先事項を確認したという。各優先事項は、連邦政府や州政府の代表者、および、他の利害関係者から成る特別委員会で検討される見通しである。ETCによると、優先事項10項目という当初リストは将来拡大される可能性があるという。(Inside EPA, November 12, 2004)

環境保護庁、ナノ材料の安全性調査を支援

環境保護庁(EPA)が、人造ナノ材料(manufactured nanomaterial)に不随する健康・環境面のリスクを調査するため、12の大学に総額400万ドルのグラントを授与した。グラントを受給する大学名は、EPAのPaul Gilman研究開発次官が11月12日に正式発表をするまで公開されないものの、調査対象分野として下記が報告されている:

  • ナノ粒子の肌への吸収性とその有毒性
  • 飲料水にナノ粒子が混じった際の影響、飲料水中の他の汚染物質とナノ粒子の相互作用、および、その有毒性
  • 培養されたヒト肺組織、および、生きている動物の気道にナノ粒子が及ぼす影響
  • 海や淡水湖の底に沈澱したナノチューブの環境面での影響、および、ナノ粒子が水生バクテリアやプランクトン等に及ぼす影響
  • ナノ粒子が環境汚染物質を吸収(および放出)する際の条件

EPA研究開発部のBarbara Karn女史によると、EPAでは、職場における在来型化学物質を統制する既存規制をナノ材料のリスク管理に使用することが可能であると見ている。(Washington Post, November 12, 2004)


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