NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年12月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月23日号

再生可能エネルギーの利害推進を目的に結成された再生可能エネルギービジネス同盟

米国風力エネルギー協会(AWEA)、地熱エネルギー協会、太陽エネルギー産業協会(SEIA)、米国バイオマス発電業者同盟(USA Biomass Power Producers Alliance)、統合ゴミ発電協会(IWSA)、全米地域電力協同組合、米国公営電力協会(American Public Power Association)、および、米国固体廃棄物処理業者協会が、ロビー活動の影響力を強めるため、再生可能エネルギービジネス同盟(Renewable Energy Business Alliance)という新組織を形成した。再生可能エネルギービジネス同盟では、様々な再生可能エネルギー協会の「統一代弁者」として、エネルギー供給確保や雇用拡大といった再生可能エネルギーのベネフィットを推進していくほか、再生可能エネルギー部門に恩恵をもたらす政策を奨励していく予定であるという。新同盟の当初目標は、議会に生産税控除の恒久化を働きかけることとなる。(RenewableENergyAccess.com, December 21, 2004)

行政管理予算局、「ピア・レビュー指針」を発表

環境保護庁(EPA)や内務省他の連邦省庁が主要規制を理由付けるために利用する科学研究はこれまで、外部機関によるレビューを受けることが度々あったが、このピア・レビュー手順を正式に定める「ピア・レビュー指針 (peer review guideline)」が、ホワイトハウスの行政管理予算局(Office of Management and Budget = OMB)により発表された。OMBでは、新指針の影響を受ける科学を、(1) 産業界や州政府、および、地方政府に年間5億ドル以上の負担をかける規定や政策を支持する科学;(2) リスク評価、環境・天然資源のコンピュータモデリング等の技術的分析をはじめとする「影響力の大きい科学情報」の二つに分類している。また、同指針は各連邦省庁に対し、(1)使用されている科学が新しいものか否か;(2)過去のピア・レビューの状況;(3)予想されるコストと便益といった要素に基づいて、適切なピア・レビュー方法を選択するよう指示している。

ブッシュ政権や産業界が、同指針によって連邦政策は健全な科学的慣行に基づいて形成されることになると歓迎しているのに対し、この指針は、行政府による科学情報発表取締努力にすぎないという批判の声もあがっている。エネルギー省(DOE)では12月17日に、このOMB指針や他の要素により、冷暖房装置のエネルギー使用合理化基準の発表を最高2年間遅延させざるをえないと発表したが、これは指針反対者達の懸念の正当性を示しているとも言える。(Greenwire, December 21, 2004)

労働省、新世代の熟練労働者養成を目指し、先端製造技術イニシアティブを設

労働省(DOL)が、労働者に先端製造技術の技能訓練を提供する組織にグラントを給付する先端製造技術イニシアティブ(Advanced Manufacturing Initiative)を新設した。総額2,420万ドルの新イニシアティブは、産業界の必要とする訓練プログラムを判定する為に商務省の協力を得て設立されたもので、第1回目のグラントは、オレゴン州・アイダホ州・ワシントン州・ペンシルバニア州の製造技術普及計画(MEP)センター等に授与されている。

Emily DeRocco雇用訓練担当労働次官補によると、従来型の職業訓練は実際に創出される職種と結びつかないため、DOLでは、雇用の生まれている分野や需要の高い技能を理解しているMEPセンター他の組織とのパートナーシップ拡大を希望しているという。DeRocco次官補のこの発言は、執拗な予算問題に悩まされているMEPをDOLが救済するつもりなのかという疑問を引き起こしたが、DOLの高官はこれに対して明白な回答を行なっていない。先端製造技術イニシアティブの第1回グラントを受領した主な組織とプロジェクトは下記の通り:

  • オレゴン州MEPセンター … アイダホ州とワシントン州のMEPセンター、および、ネバダ州管理支援パートナーシップと協力して、食品加工48企業の2,000名以上の労働者にリーン生産トレーニングを提供するプロジェクト。グラント額は320万ドル。
  • ケンタッキー州ヘンダーソン郡商工会 … 炭鉱衰微の影響が顕著なケンタッキー州西部で2,000名以上の住人を訓練するプログラム。助成額は290万ドル。
  • リオグランデ渓谷下流域労働者養成委員会 … テキサス州南部のコミュニティカレッジや南テキサス製造業者組合等と協力して、約500名をトレーニングするプロジェクト。200万ドル。
  • 全米統合システム技術センター(National Center for Integrated Systems Technology) … CaterpillarやAmatrolをはじめとするイリノイ州やオハイオ州の地元製造企業、および、両州の様々なコミュニティカレッジと協力して、大規模な退職や将来の統合システム技術士不足に備えるプロジェクト。グラントは、イリノイ州に490万ドル、オハイオ州に430万ドル給付される。

(Manufacturing and Technology News, December 17, 2004)


12月21日号

エネルギー情報局、「2003年米国温室効果ガス排出」という報告書を発表

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(Energy Information Administration = EIA)が、『2003年米国温室効果ガス排出 (Emissions of Greenhouse Gases in the United States 2003)』を発表した。EIAでは、米国の温室効果ガス排出量は2003年に前年度比0.7%の増加をみたものの、2003年の3.0%という経済成長率を遥かに下回り、1990年来の平均年間温室効果ガス排出増加率(1.0%)をも下回るものであったと報告している。EIA報告書の主要な調査結果は下記の通り:

  • 2003年の温室効果ガス総排出量は、二酸化炭素(CO2)換算で、2002年の68億9,090万メトリックトンから69億3,600万メトリックトンに増加。
  • CO2排出は0.8%増加して、58億7,000万メトリックトン。1990年以来、エネルギー関係のCO2排出量は16.0%増加している。部門別では、住宅部門からのCO2排出が1.7%増で11億9,390万メトリックトン;業務部門CO2排出は0.6%増の10億2,570万メトリックトン;運輸部門からのCO2排出は0.5%の増加で18億7,470万メトリックトンであった。
  • メタンガス排出は2002年より0.5%増加し、CO2換算で6億200万メトリックトン。2003年の微増の原因は、埋立地、石炭炭鉱、家畜の屎尿等からのメタンガス排出が僅かに増加したためであるが、1990年水準よりは15%の減少となっている。
  • 窒素酸化物(NOX)の排出は、産業部門および農業部門の排出削減により2002年比で0.9%減。NOX排出は1990年以来2.6%減少している。
  • 1990年には、土地利用や植林によって、人為的な二酸化炭素排出量の19.2%を相殺できるだけのCO2を隔離したが、2002年にはこの相殺率が11.9%まで低下している。
  • 米国における温室効果ガス原単位(greenhouse gas intensity)は、2003年に2.3%低下した。

(EIA News Release, December 13, 2004)

大統領が指名した国家科学評議員会新メンバー、近々就任予定

ブッシュ大統領によって国家科学評議員会(National Science Board = NSB)の新メンバーに指名されていた8名が、12月15〜16日のNSB会合で宣誓式を行ない就任することになる。NSBは、全米科学財団(National Science Foundation = NSF)の政策策定機関で、科学工学問題で大統領や議会に助言を行なう、24名構成の評議員会である。新たにNSB評議員に就任する8名は下記の通り:

  • パーデュー大学名誉教授のSteven C. Beering学長
  • ジョージア工科大学のG. Wayne Clough 学長
  • オクラホマ大学暴風雨分析予告センター局長のKelvin K. Droegemeier気象学教授
  • ニュージャージー工科大学のLouis J. Lanzerotti物理学教授
  • CH2M Hill Companies, Ltd.社の主席技術担当官のDan Arvizu氏
  • 全米科学振興協会(AAAS)の最高経営責任者であるAlan I. Leshner氏
  • カリフォルニア州ハーヴィーマッド大学クレアモント校のJon Strauss学長
  • オハイオ州コロンバス科学産業センターの最高経営責任者で局長のKathryn D. Sullivan女史

(NSF Press Release, December 7, 2004)

ブッシュ大統領の海洋政策行政命令、効果は如何に

ブッシュ大統領は12月17日、海洋関連問題の調整、及び、海洋政策の助言を行なう、閣僚レベルの諮問委員会を新設する大統領命令に署名した。諮問委員会は、環境保護庁(EPA)や商務省をはじめとする18省庁の代表と、環境問題委員会(Council on Environmental Quality = CEQ)のJames Connaughton委員長、チェイニー副大統領の補佐官、および、国家安全保障問題や国土安全保障問題等を担当する数名の大統領補佐官で構成されることになる。同諮問委員会における検討事項や将来予算についての詳細は殆ど明らかにされておらず、大統領命令は単に、大統領への助言、および、州・連邦政府省庁間での情報調整を行なう委員会を設置するという内容になっている。新諮問委員会の委員長を務めることになるConnaughton CEQ委員長は、委員会の主要業務の一つとして、統括的海洋研究アジェンダの策定をあげている。Connaughtonによると、今後数ヵ月間で優先事項を検討し、実施戦略を策定していることになるという。

一方、環境保護者や一部の民主党議員は、行政府計画はあまりにも大雑把で実際に効果があるかどうかは疑問であると批判し、国家海洋資源の保護にはやはり議会が動くべきであると主張している。しかしながら、海洋政策が第109議会において優先的に審議される可能性は極めて低いものと見られている。(CQ Today, December 17, 2004)


12月20日号

カリフォルニア州エネルギー委員会、家電製品のエネルギー使用合理化基準を承認

カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)が12月15日、テレビやDVDプレイヤー、携帯電話充電装置等の家電製品のメーカーに消費電力量の削減を義務付ける規制を5対0で承認した。新規制の対象となる家電製品は、オーディオ・ビデオ機器;家庭用プール用ポンプ;天井扇(シーリングファン)や換気扇;業務用製氷機や冷蔵庫に冷凍庫;自動販売機;業務用給水器や食品保温棚などで、新基準は2006年から段階的に導入され、2008年までに完全準拠が義務付けられることになるという。

テレビやVCR、DVDプレーヤーやCDプレーヤーといった家庭エンターメント装置の現行モデルは、オフ状態であっても2〜10ワットの待機電力を消費しているが、新基準はこうした家電製品の電気消費量を1〜3ワットに削減するよう義務付けるほか、電話やコンピュータ等のACパワーアダプターには0.5ワット以下という基準を義務付けることになる。但し、同州の新規制は、家庭用冷蔵庫や洗濯機、皿洗機のように連邦政府が既にエネルギー使用合理化基準を導入ずみの家電製品には影響を与えない。

カリフォルニア州の平均家庭は10〜20個の家電製品を備えており、年間最高75ドルの電気代が無駄になっていると見られている。新規制により生まれる節電量は今後15年間で最高1,000メガワット、消費者にとっては約30億ドルの電気代節約になると推定されている。(Greenwire, December 16, 2004; San Jose Mercury News, December 16, 2004)

イヌイト・エスキモー、地球温暖化問題を基本的人権の侵害問題として告訴予定

イヌイト族のリーダーが、米国は地球温暖化を大きく助長することによって、自分たちの存在を脅かしているという判決を米州人権委員会(Inter-American Commission on Human Rights)に求める計画を発表した。これは、人為的な気候変動を単なる環境問題ならぬ基本的人権の侵害と捉えることによって、人為的気候変動にまつわる討議に新たな展開をもたらすものと考えられる。

法の専門家によれば、もし米国がイヌイト族の権利を侵害したとの判決が下りれば、国際裁判所において米国政府相手の訴訟、または、連邦裁判所において米国企業相手の訴訟が行われる強力な前提となる可能性があるという。イヌイト族は、米国政府が人為的な温暖化ガス排出と気候変動の繋がりを認め、またそれを回避すべき問題であると受け止めつつも、京都議定書離脱によって、排出削減へのコミットメントを示さなかったと論じることが可能である。

米国務省では、申し立てが実際に行われるまでこの問題に対するコメントを拒否しているが、法的強制力のある温暖化ガス排出上限を設置していなくとも、今後の温暖化ガス排出の削減に注力する数々の政策を採択したと論じる可能性が高いと思われる。これらの政策は、経済に破滅的な負担をかけずに、必要な技術の開発によって将来の排出を削減することに重点を置いている。(The New York Times, December 15, 2004)

環境保護庁、リサイクルを推進する「資源保護チャレンジ戦略計画」を発表

環境保護庁(EPA)が、同庁のエネルギー回収及び廃棄物再生利用イニシアティブのために初の「資源保護チャレンジ戦略計画 (Resource Conservation Challenge Strategic Plan)」草案を公表した。資源保護チャレンジ (RCC) は、米国の現在の廃棄物処理制度を物質管理型の制度 …破棄処分を最も望ましくない最終選択肢に位置づける制度… に変容させることを目指したEPA活動であり、この目的を達成するため、EPA固形廃棄物課(Office of Solid Waste)と汚染防止毒物課(Office of Pollution Prevention and Toxics)の協力を強調している。

資源保護チャレンジ戦略計画では、「揺籠から墓場まで」という廃棄物破棄処分の概念から、古材料を再利用して新製品を作り出す「揺籠から揺籠へ」というパラダイムに移行することを理想としてかかげ、下記の通りの長期目標、および、優先事項をあげている:

<基本目標>

  • 汚染防止と、材料の再生および再利用の推進
  • 有害化学物質の使用削減
  • 省エネと材料節減

<優先事項>

  • 製品管理 (Product Stewardship) … 設計から使用・破棄に至る全段階で「製品のグリーン化」を考慮する。同優先事項の戦略的目標の一つは、電子機器のリサイクルである。
  • 原料の節減と、リサイクルおよび有効利用
  • 省エネルギー … 産業全行程において省エネを図る。使用エネルギーの種類(風力、太陽光、水力等)、廃棄物として現在処理されている材料からのエネルギー回収、ライフサイクルの全行程を通した材料管理。
  • EPAの「最優先化学物質」31種リストに基づいた、有害化学物質の削減
  • 政府グリーン化 … 連邦政府によるグリーン調達コミットメント、連邦職員向けのリサイクル・廃棄物発生防止プログラム。

今回発表された草案は、電子機器のリサイクルだけに焦点を当てる他のイニシアティブよりも幅広い戦略ではあるものの、他の提案が目指すものと同じ目標を数多く含んでいるほか、同様に克服しなければならないコスト面での基本的課題も確認している。(Inside EPA, December 17, 2004; Draft Resource Conservation Challenge Strategic Plan, November 29, 2004)

米航空宇宙局、2004年のトップ革新技術を紹介する「Spinoff 2004」を発行

米航空宇宙局(NASA)が、NASAから商業市場に移転された最新革新技術を特集する2004年度のトップ革新技術情報誌「Spinoff 2004」を発行した。年一回発行のSpinoffは、NASAの技術革新パートナーシップ・プログラム(Innovative Partnership Program = IPP)が運営するNASA商業技術ネットワークの参考文献としての役割を果たしている。「Spinoff 2004」は、NASA研究から生まれた成果で2004に製品化された51件の技術を紹介しているほか、NASAの最近の研究開発活動や、過去一年間の教育活動および成果を挙げたパートナーシップも紹介している。

「Spinoff 2004」のオンライン版はhttp://www.sti.nasa.gov/tto/spinoff.htmlで閲覧できる。また、昨年の版もこのウェブサイトからアクセスすることが可能である。(NASA News Release, December 17, 2004)


12月16日号

全米行政アカデミー、米航空宇宙局の技術移転活動改善に必要な改革案を提言

全米行政アカデミー(National Academy of Public Administration = NAPA)が、米航空宇宙局(NASA)の依頼で作成した、『技術移転:民間イノベーションのNASAおよび国家導入 (Technology Transfer: Bringing Innovation to NASA and the Nation)』という報告書を発表した。NAPAによると、技術移転はNASAミッションの主要業務の一つであるものの、昨今の状況は、NASA技術の民間移転・商業化から、NASAによる民間技術の導入へと変化しているため、NASAは自局の技術移転機能の編成・管理を再考して、利害関係者や国民の期待を満足させられる新たなアプローチを採用する必要があるという。NAPAでは、技術移転におけるNASAの実績を評価して判明した事実として、下記を報告している:

  • NASAが調達した技術の大半は、技術革新パートナーシップ計画 (Innovative Partnerships Program = IPP) の枠外で開発された技術である。
  • NASAは、技術ニーズや商業化の機会を確認する包括的戦略を欠いている。
  • IPPネットワークは断片的であり、構成機関の役割や責任が不明瞭で重複している。
  • 技術移転の成果を計る基準がなく、アカウンタビリティの所在が不明である。
  • プログラムの不明確さが技術移転の組織構造に悪影響をもたしている。
  • IPPは、行政という観点からは技術普及で成功しているものの、民間部門との技術パートナーシップ形成等の面ではあまり成功していない。
  • IPPが(民間)技術をNASAに導入する上で果たす役割は、非常に限定されている。
  • NASAマネージャーや利害関係者は、複雑かつ冗長な知的財産権の手続きに不満を表明している。
  • IPPは、NASA内でのプライオリティの低さ、予算やスタッフの縮減等、深刻な問題に直面している。

こうした現状を考慮し、NAPA報告書では、NASAが技術移転で再度優位を回復する為には大規模な変革が必要であると指摘、下記の提言を行なっている:

  • NASA局長は、技術移転をNASAミッション主要業務の一つとして確立し、同局あげての技術移転努力を支援すべきである。
  • NASA本部の技術移転部をNASA局長室直轄に配置し直すべきである。
  • 各ミッション担当次官は、NASA以外で開発された技術の …調達やパートナーシップを通した… 有効利用に対して責任を負うべきである。
  • NASAは、各センター所長に技術移転のスピンアウト面に対して責任を負わせるべきである。
  • 国家技術移転ネットワーク(national technology transfer network)は、効率性を高める為に、再構成・合理化されるべきである。
  • NASAは、ウェブサイトを改善し、技術移転の全活動を対象とするワンストップの安易なポータルを提供すべきである。
  • NASA本部のIPP事務局は、特許申請、ラインセンス、パートナーシップ合意のプロセス時間に対してパーフォーマンス基準を策定すべきである。
  • NASAは、技術移転努力を査定評価する包括システムを査定すべきである。

(NAPA News Release, December 14, 2004; NAPA Report, December 2004)

競争力委員会、『国家イノベーション・イニシアティブ (National Innovation Initiative)』を発表

競争力委員会(Council on Competitiveness = COC) …米国の競争力に関する問題を検討する、米国の有力企業幹部や大学教授400名から成る超党派ブループ… が12月15日、『国家イノベーション・イニシアティブ (National Innovation Initiative)』という報告書を発表した。COC報告書は、テクノロジーが世界市場を急激なペースで変化させているため、効率や質といった古い経済目標はもはや競争力維持には不十分であると結論づけ、米国企業は、(1)新市場の開拓;(2)製品の選択肢や価値の拡張;(3)世界的規模での継続的イノベーションを重視すべきであると指摘している。COC報告書は、こうした激変する世界経済環境において米国が経済活力を向上していくため、下記の提言を行なっている:

  • 研究開発費に対する税控除を拡大する。
  • 教育のある外国人が米国で就労できるよう移民法を徹底改正する。
  • 訴訟コストを制限する民事訴訟制度改革を制定する。
  • ヘルスケアと年金プログラムを改正する。
  • 従業員の「生涯教育」費を支払う低税率普通預金口座(savings account)を設置するため、国家イノベーションワークフォース法案(National Innovation Workforce Act)を可決させる。
  • 国防省の科学技術予算の20%を長期研究に計上する。
  • 特許局のデータの質とアクセス方法を改善する。
  • 米国の製造技術を復活させるため、製造業者は、最善慣行(best practice)の共有や合同製造センターの創設を含めた協力をするべきである。

COCの同報告書はhttp://www.compete.org/pdf/NII_Final_Report.pdf で入手可能。(Wall Street Journal, December 15, 2004)


12月15日号

GMとダイムラー、新型ハイブリッドシステムの開発で提携

ゼネラル・モーターズ(GM)とダイムラー・クライスラー(DCX)が、新型ハイブリッド技術の開発・商品化で提携関係を結ぶという覚書(memorandum of understanding = MOU)に調印した。共同開発チームはミシガン州に居を構え、チームメンバーは世界各地から招集されることになるという。新パートナーシップの目的は、トヨタ、ホンダ、フォード他の自動車メーカーの既存ハイブリッド車よりも優れたハイブリッド・システムの開発で協力することであるが、合意条件の詳細は明らかにされていない。

今回の発表は、ハイブリッド市場のポテンシャルに懐疑的であった2社の立場に変化が生じたことを示すものである。GMとDCXの幹部は、両社をハイブリッド自動車市場参入へと引き付けた要因として、(1)トヨタのハイブリッド車「プリウス」の成功;(2)自動車排気ガス規制強化の可能性をあげている。GMとDCXの両社は、他の自動車メーカーに数年間の遅れをとったとはいえ、このパートナーシップにより、他社と競合していける可能性はあると見られている。両社の特許取得技術である2モード・ハイブリッドシステム …前輪駆動車と後輪駆動車の双方で使用可能なシステム… は、他社使用の単モード・システムよりも、燃費や走行距離、および、加速能力を向上するものと期待されている。また、ハイブリッド車競争の鍵はコスト低減に依るところが大きいと見られているため、世界第1位と第5位の自動車メーカーの提携がコストの大幅な低減に繋がり、市場の優位を勝ち取る可能性がありうるという。(GM Media Online, December 13, 2004; Wall Street Journal, December 14, 2004)

米国国際開発庁、アフリカ貧困地域の電力化プロジェクトで非営利団体にグラント授与

米国国際開発庁(US Agency for International Development)が、非営利団体のSolar Light for Africa (SLA) に30万ドルのグラントを授与した。SLAは、米国とアフリカの政府機関、非政府機関、および、教会と協力して、アフリカ僻地の病院や学校、教会や孤児院等の電力化に努めている組織で、本拠をバージニアに置く。SLAでは同グラントを使って、ウガンダのラカイ地区にあるカクウト病院 …エイズ流行を初めて確認したとして有名になった病院… に太陽光発電装置を設置するほか、タンザニアの地方保健所や学校、および、公共施設等100ヵ所にも太陽光発電装置を設置する予定であるという。(RenewableEnergyAccess.com, December 13, 2004)

エネルギー省と米国電力部門、温室効果ガス排出削減の自主努力を謳った覚書に調印

電力会社同業者組合の連合であるPower Partnersとエネルギー省(DOE)が、電力部門の温室効果ガス排出を自主的に削減する覚書(memorandum of understanding = MOU)に調印した。同MOUに基づき、DOEとPower Partnersは、温室効果ガス排出削減に資する技術の研究・開発・実証・導入における優先分野を確認する為のプロセスを共同で策定するほか、Power Partnersの方は2010-2012年の排出量を、2002-2002年ベースラインよりも温室効果ガス原単位で3〜5%削減することになる。Power Partnersのメンバーは、米国公営電力協会、エジソン電気協会、テネシー川流域開発公社、等。(DOE News Release, December 13, 2004)

イリノイ大学の研究チーム、新型カーボンナノチューブ系バイオセンサーを実証中

イリノイ大学アーバナ-シャンペン校の研究者達が、体内の化学物質レベルを探知できる、埋め込み型の新型カーボンナノチューブ系バイオセンサーの実証試験を行なっている。この実証研究では、ヒトの細胞に埋め込んだバイオセンサーが、濃度の違うグルコースにどのように反応するかを観測している。

特定化学物質に敏感に反応する化合物でカーボンナノチューブに「分子外装 (molecular sheath)」を施すと、カーボンナノチューブは化合物のミックス次第で異なった発光反応を示す。この新型バイオセンサーは、ナノチューブのこの発光能力に目をつけたもので、Michael Strano博士が率いる研究チームでは、グルコースを化合物として使用している。グルコースで分子外装したナノチューブを毛細管に詰めて人体に埋め込み、ナノチューブの発光度を観測することによって、糖尿病患者は血液検体をとらずして、血液中のグルコースのレベルを安全に継続的に測定することが可能になると期待されている。同実証プロジェクトは全米科学財団(NSF)の支援を受けて実施された。イリノイ大学の研究チームは現在、特許申請中である。(NSF Press Release, December 13, 2004)


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