NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年2月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

2月17日号

ミシガン大学の研究チーム、エタノールから水素を生成する新型反応炉を開発

ミシガン大学の研究者等、エタノールから水素を生成する新たな小型反応炉を開発。住居の地下室において、小型反応炉でエタノールから生成した水素燃料を使って、水素燃料電池で発電することが可能となるため、この技術は先ず、送電線の新設が難しい遠隔地において利用されることになる。(University of Michigan, February 12, 2004)

ナノ材料、スーパーキャパシタの性能を改善

研究者等、スーパーキャパシタの性能改善のためにナノテクノロジーの利用を開始。テキサス大学の研究者等は炭素ナノチューブ繊維からスーパーキャパシタを作成。これらの技術は現在のところコストがかかりすぎて商品化はできないが、貴重な宇宙・軍事用途を生み出す可能性。(Small Times, February 11, 2004)

全米科学財団のRita Colwell長官、辞任を表明

全米科学財団(NSF)のRita Colwell長官、2004年2月21日付けで辞任する意向を発表。ブッシュ大統領のNSF予算に対する不満が同長官の辞任の理由であるという噂。Colwell長官は今後、Canon US Life Sciences社の会長となるほか、メリーランド大学カレッジパーク校およびジョンズホプキンス大学ブルームバーグ校公衆衛生学部の教授を務める予定。(National Science Foundation, February 11, 2004)


2月19日号

デラウェア大学のKempton教授、気候変動に関する米国民の一般的な理解を人類学的に分析

デラウェア大学のWillett Kempton教授、地球温暖化に関する米国民の認識と理解を人類学的観点から概説。@米国では環境保護という考えは十分に発達している;A既存の気候変動の「文化的モデル」は、特定問題で国民の支持を取りつける際に重要な役割を果たす;B気候変動を理解するために「汚染」の文化的モデルが不正確に使われていると結論。(Willett Kempton, February 13, 2004)

Spencer Abrahamエネルギー省長官、ブッシュ政権の気候変動政策に関する声明を発表

DOEのSpencer Abraham長官、ブッシュ政権の気候変動政策を説明する声明を発表し、同政権が気候変動を深刻に受け止めていないという批判に反論。同政権は包括的かつ革新的な国内および国際的温室効果ガス排出削減イニシアティブにコミットしているばかりか、米国は気候変動研究への投資で世界的リーダーであることを主張。(DOE, February 13, 2004)

司法省、アラバマ電力に対するNSR規制違反訴訟の再開を申請

司法省は、アラバマ北部地区地方裁判所(U.S. District Court for the Northern District of Alabama)に対して、1975年〜1997年にアラバマ電力(Alabama Power)の石炭火力発電所5ヶ所で発生した新排出源査定評価(New Source Review = NSR)規制違反に関する法廷論争を継続するよう申請。(Greenwire, February 17, 2004)

未来の水素燃料タンクとして期待される結晶化合物

ミシガン大学とアリゾナ州立大学の科学者チーム、Metal-Organic Framework No. 177(MOF-177)と呼ばれる、軽量かつ無色の新しい結晶化合物を発見。非常にルースに整列し、堆積の95%が空間というMOF-177の分子は、水素燃料タンクとしての利用が期待される。「水素経済」構築への障壁である水素貯蔵問題の解決策となるか。(New York Times, February 17, 2004)


2月20日号

全米高速道路交通安全局、混合燃料自動車インセンティブの延長を発表

運輸省(DOT)の全米高速道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration = NHTSA)、自動車メーカーの年間企業平均燃費(Corporate Average Fuel Economy = CAFE)の算出にあたり、混合燃料(dual fuel)自動車に1ガロンあたり最高0.9マイルの排出クレジットを供与するという「混合燃料自動車インセンティブ(incentive for dual-fueled vehicles)」を2008年まで延長すると発表。(NHTSA, February 18, 2004)

シエラクラブと全米自動車労組、ブッシュ政権提案の重量別CAFE基準に反対

燃費問題で普段は対立しているシエラクラブと全米自動車労組(United Auto Workers)、CAFE規制を改訂して、軽トラックを重量または大きさに基づいて分類するというブッシュ政権の計画に反対するため、珍しくも共同戦線をはっている。(The New York Times, February 18, 2004)

環境保護庁高官、地球温暖化抑制努力の必要性を力説

EPAグローバルチェンジ研究プログラム(program director for global change research)担当部長のJoel Scheraga氏、気候変動が起きていること、および、何等かの行動が取られなければ気候変動が悪化することをEPAは承知していると発言。更に、科学者や学界に、気候変動の解決策の追求で政策策定者達と協力するよう要請。(Providence Journal, February 13, 2004)

ナノテクノロジー・プロジェクトの推進に熱心なオレゴン州

オレゴン州、連邦政府支援のナノテクノロジー・プロジェクトを既に実施しているオレゴン大学・オレゴン州立大学・DOE傘下のパシフィックノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory = PNNL)を抱えているほか、マルチスケール材料デバイス研究所(Multiscale Materials and Devices Institute = MMDI)と呼ばれる研究センターの新設を同州議会で認可するなど、全米におけるナノテク事業開発の温床になることを目指し、努力。(Small Times, February 18, 2004)


2月23日号

アメリカン電力とシナジー社、温室効果ガス排出削減方法を報告予定

アメリカン電力(American Electric Power)とシナジー社、温室効果ガス排出を削減するステップを検討中であると発表。これらのステップの経費見積りも提供する予定。活動家等はこの展開を喜びつつも、気候変動に関する規制は経費がかかり過ぎることを示す目的で二社がこの見積を使うのではないかと懸念。(Greenwire, February 20, 2004)

スーパーファンド予算の増大を要求する、Jeffords上院議員とBoxer上院議員

Jim Jeffords上院議員(無所属、バーモント州)と Barbara Boxer上院議員(民主党、カリフォルニア州)、1993年以降スーパーファンド予算が35%削減されたという会計検査院の報告書は、プログラム資金不足で危険な区域が浄化されずに放置されていることを示すものであると指摘。1995年失効の企業環境税復活で議会に働きかけ。(Washington Post, February 20, 2004)

米航空宇宙局、救助用シャトルをスタンバイさせる計画を発表

米航空宇宙局(NASA)高官、コロンビア号以降の初のスペースシャトル打ち上げを2005年1月ないし3月まで延期することを発表。また、宇宙で事故が起った際に備え、シャトル乗組員を救助するための2基目のシャトルが準備される予定。(USA Today, February 20, 2004)

John Kerry上院議員が昨年提出した製造業者支援法案

民主党大統領予備選で現在トップにいるJohn Kerry上院議員(マサチューセッツ州)、昨年11月、@国内製造業および労働者支援強化法案(Enhance Domestic Manufacturing and Worker Assistance Act:上院第1884号議案);A製造業雇用創出法案(Manufacturing Job Production Act:上院第1885号議案);B米国の製造業支援・発展・教育推進法案(Manufacturing Assistance, Development, and Education in America Act:上院第1886号議案)という中小製造業者を支援する3本の法案を提出。これらは大統領に就任した際のKerry氏の製造業政策の土台になる。(Manufacturing and Technology News, February 3, 2004)


2月24日号

エネルギー省、クリーンコール発電イニシアティブ(CCPI)の第2回提案公募を発表

DOE発表のクリーンコール発電イニシアティブ第2回公募(Clean Coal Power Initiative = CCPI)、研究開発段階を超えた技術のプロジェクト提案を募集中。優先技術は、先端石炭ガス化システム、水銀排出抑制、そして、炭素隔離。(DOE, February 19, 2004)

大統領の科学技術諮問委員会(PCAST)の報告書、大統領に技術革新支援を答申

大統領の科学技術諮問委員会(Presicent's Council of Advisors on Science and Technology = PCAST)、「国家の技術革新エコシステム、情報技術、製造業そして競争力の維持(Nation's Innovation Ecosystems, Information Technology, Manufacturing and Competitiveness)」と題する報告書を発表。米国は研究開発(R&D)分野の強みを最大限活用するほか、将来政策策定に先立ち海外競争相手の評価を行なうべきであると提言。そのために、R&D税控除の恒久化、海外の税制を調査するタスクフォースの設置等を答申。(PCAST, January 31, 2004)

エネルギー効率化の支持者、2005年度エネルギー効率化研究開発予算の見直しを要請

2005年度大統領予算案、水素、照明・家電製品、耐候化支援等の特定プログラムの予算を増額するものの、エネルギー効率化の全体予算を前年度比で200万ドル削減。米国エネルギー合理化経済評議会(ACEEE)、この予算削減は究極的に、同分野における米国産業の競争力弱体化をもたらすと警告。(Environment and Energy Daily, February 20, 2004)


2月25日号

エネルギー情報局、エネルギー法案両院協議会案の税控除と優遇税制が齎す影響を分析

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(Energy Information Administration = EIA)、上下両院協議会が合意した包括エネルギー法案に盛り込まれている税控除や優遇税制のもたらす影響を分析した報告書「2003年両院協議会エネルギー法案のモデル化条項が与える影響(Summary Impacts of Modeled Provisions of the 2003 Conference Energy Bill)」を発表。(Greenwire, February 23, 2004)

環境保護庁、小型エレトロニクス用パワーパックのエネルギー効率基準を提案予定

環境保護庁(EPA)、ENERGY STAR 計画の一環として、パワーパック(Power Packs)と一般に呼ばれている、単電圧の外付けAC/DC充電装置(external AC/DC power supply)のエネルギー効率仕様と実験方法を提案する予定。(EPA, February 23, 2004)

気候変動科学プログラムの省庁間作業グループ、エコシステム管理ワークショップを主催

気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program = CCSP)の省庁間エコシステム作業部会、連邦政府エコシステム研究の将来について専門家達に優先事項等を提言する機会を提供するワークショップをメリーランド州で開催。(Climate Change Science Program, February 23, 2004)

廃水処理と発電を同時に成し遂げる、生物燃料電池

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)の財政支援を受けたペンシルバニア州立大学の研究チーム、汚水処理と発電を同時に行なうことの出来る、新型の単室微生物燃料電池(single-chambered microbial fuel cell)を開発。(NSF, February 23, 2004)

大幅な予算削減を逃れるべく、施行錯誤する国立標準規格技術研究所(NIST)

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)のArden Bement所長、NSFの総裁代理となっても、ここ数年間のうちでも最悪の予算危機に陥り、科学者100名のレイオフまで検討する状況に直面しているNISTを引き続き指導していくつもりであると発言。(Science, February 20, 2004)


2月26日号

地球温暖化のもたらす脅威を想定するペンタゴンの「秘密」レポート

ペンタゴンの「秘密」レポート、地球温暖化問題は科学的討論の段階を越えて米国の国家安全保障問題として検討されるべきであると答申。急激な気候変動が保健や疾病、食料供給、商業や貿易、そして、国家安全保障にもたらす影響を研究する上で有用となるシナリオを提供。(Global Warming Today, February 26, 2004)

包括エネルギー法案の最新動向

Bill Frist上院多数党院内総務(共和党、テネシー州)、規模縮小された包括エネルギー法案(上院第2095号議案)が管轄委員会での審議プロセスを素通りして直接上院本会議での審議へと上程されることを認めるため、上院第14号規定を発動。Frist院内総務は、ここ3週間の内に上院がこのエネルギー法案を可決することを期待。(Greenwire, February 25, 2004)

DOEに2004年度超伝導予算削減の説明を求めるDomenici上院エネルギー天然資源委員長

上院エネルギー天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)、DOEロスアラモス国立研究所の超伝導センター(Superconductivity Center)に対する2004年度予算として、議会が大統領要求額の満額(760万ドル)をDOEに計上したにも拘らず、DOEがこの予算を37%削減して480万ドルに引き下げた理由を説明するようDOEに要求。(Environment and Energy Daily, February 25, 2004)


2月27日号

アリゾナ州に建設される同州初の風力発電施設

カナダに本拠を置くWestern Wind Energy社とアリゾナ州の電力会社であるAPS社、アリゾナ州St. Johns市近郊に出力15メガワットの風力発電施設を建設する事業で提携。同施設の工事着工予定は2004年9月で、2004年末までには発電が開始される見込み。(SolarAcces.com, February 26, 2004)

環境保護庁、電気事業水銀削減規制に追加規定を提案

EPA、昨年12月15日に連邦政府官報で公表した電気事業水銀削減規制案に対する追加規定を提案。この追加規定は、州政府別の水銀排出上限設定-取引(cap-and-trade)計画、及び、モニタリングと報告義務に関する詳細を提供するもので、排出権取引計画の設定を希望する各州政府が自州計画に盛り込まねばならない幾つかの共通事項を説明。(Inside EPA, February 27, 2004)

ペンタゴン、気候変動に関する「秘密」レポートの結論は単なる憶測にすぎないと主張

ペンタゴン高官達、地球温暖化を国家安全保障の最優先事項にすべきであるという「秘密」レポートの結論は憶測に過ぎないと主張。多くの環境保護者によると、このレポートは、気候変動がヒューマニティーにもたらす深刻な脅威をブッシュ政権がひたすら無視しているという[環境保護者等の]主張を証明するものに他ならないという。(Globe and Mail, February 24, 2004)


Top Page