NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年3月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

3月1日号

燃料電池研究資金の増額に吝かでない下院歳出委員会の内務省担当小委員会

下院歳出委員会の内務省担当小委員会、2005年度DOE予算に関してAbraham DOE長官の意見を聴聞。Charles Taylor委員長(共和党、ノースカロライナ州)を始めとする同小委員会の委員達は、エネルギー効率プログラム予算の削減に懸念を表明し、燃料電池研究へのコミットメントの強化を要請。(Environment and Energy Daily, February 27, 2004)

Don Evans商務長官、ブッシュ政権の製造技術アジェンダを強調

Evans長官、全米製造業協会での演説で、製造部門の雇用創出に向けてブッシュ政権が手がけている、@中小企業革新研究プログラム(SBIR)の拡充;A省庁間製造作業部会の結成;B中国との自由・構成貿易の追及;C不公正貿易タスクフォースの構築という4つの大型イニシアティブを概説。(DOC, February 24, 2004)

ブッシュ政権、米国製造業者を対象とする2つの新たなイニシアティブを発表

Evans商務長官、2月26日の下院歳出委員会商務・司法・国務省担当小委員会で、米国製造業者支援の新イニシアティブとして、@商務省経済開発局のグラント受給資格を製造技術普及計画(MEP)に与え;A中小企業の製造技術研究開発を推進する行政命令を発行したと証言。(DOC, February 26, 2004)


3月2日号

Standard & Poors、石炭火力発電所建設の急増を予測

Standard & Poorsの新報告書、高額で価格変動の激しい天然ガスへの過度の依存が、最終的には、石炭火力発電の盛り返しに繋がる可能性があると結論。石炭は価格の安定した低額で豊富な資源であるため、石炭火力発電所は、安価で信頼できるベース負荷発電を提供することが可能であると主張。(Platts Coal Outlook, March 1, 2004)

ナノテクノロジーを利用した反射防止膜加工技術

Hye Young Kooを中心とする研究チーム、蛾の目が光の反射を最小限に抑えることに着目。蛾の目の超微細な円錐状構造によく似た、ポリスチレンの雪ダルマのような構造を自己組織形成する、安価な湿式の(wet)化学的手法を開発。(Nanozone News and Views, March 1, 2004)

米航空宇宙局、国際宇宙基地(ISS)計画の問題点を報告

米航空宇宙局(NASA)が発表した内部報告書、国際宇宙基地(International Space Station = ISS)はスペースシャトル計画で見つかった多くの問題を共有しており、ISS計画の効率化を図るためには多くの改善が必要である提言。コロンビア打上げ時にシャトルにぶつかったフォームのように、再発する問題を十分に追跡していないことが、NASAの最大の問題であると結論。(New York Times, February 28, 2004)


3月3日号

カナダ天然資源局、CO2回収・貯留を支援する産業界対象の新イニシアティブに着手

カナダ天然資源局、営利企業を対象とした二酸化炭素(CO2)回収・貯留プロジェクトに資金支援を行なう新たなインセンティブ計画に着手。同計画の予算は向こう2年間で1,500万(カナダ)ドル。(Natural Resources Canada, March 1, 2004)

カナダ環境省、農地と森林の炭素シンクプロジェクト提案公募を発表

カナダ環境省、「排出除去・削減・学習パイロットイニシアティブ(Pilot Emission Removals, Reductions and Learnings = PERRL)」の最新公募で、農地や森林の二酸化炭素(CO2)吸収能力を改善するプロジェクト提案を募集すると発表。選定されたプロジェクトには総額250万(カナダ)ドルが給付される予定。(Environment Canada, February 27, 2004)

南米パタゴニア地域で氷河の溶解を確認

25名の科学者と環境保護活動家から成るチーム、南米パタゴニア地域で発生している氷河の溶解を査定評価する1ヵ月にわたる研究旅行を終了。グリーンピース所有のArctic Sunriseに乗船した研究チームがアルゼンチンとチリの氷河を調査したところ、今回観測した氷河は一ヵ所を除く全ての氷河で深刻な溶解を確認。(Yahoo News, March 1, 2004)


3月5日号 

エネルギー省と環境保護庁、ENERGY STARの2004年パートナー賞を発表

DOEとEPA、ENERGY STARの2004年パートナー賞(2004 ENERGY STAR Partner of the Year awards)の受賞者を発表。最高の名誉である2004年パートナー賞の受賞者はGeneral Electric Consumer Products社。家電製品部門 ではWhirpool Corporation社;照明部門 ではSylvania社;窓部門ではGorell Enterprises社が受賞。(DOE, March 2, 2004)

DOE、水素の安全性・基準・標準計画を支援するプロジェクトの提案公募を発表

DOEのエネルギー効率・再生可能エネルギー部、水素の安全性・基準・標準計画(Hydrogen Safety, Codes and Standards Program)の活動を支援するプロジェクトの提案公募を発表。同公募の年間予算は約200万ドルで、支援期間は2005年度から最高3年間の予定。(DOE, DE-PS36-04GO94000)

APS、水素イニシアティブの成功には科学的ブレークスルーが必要であると指摘

アメリカ物理学会(American Physical Society = APS)、ブッシュ政権の水素イニシアティブを分析した報告書「水素イニシアティブ(The Hydrogen Initiative)」を発表。水素エンジン技術のコストや性能を始めとする多くの深刻な性能格差(performance gap)を埋めるためには、僅かづつの改良ではなく、主要な科学的ブレークスルーが必要であると指摘。(APS, March 1, 2004)


3月8日号

ブッシュ政権、排出権取引制度で政策変更の兆し

2年前に温室効果ガス排出権取引制度には過去の浄化クレジット承認を盛り込むと公約していたブッシュ政権、今になって、そのような制度を創設する法的権限を持たないと主張しはじめたため、過去の排出削減に対するクレジットを期待していた多くの企業は、この進展に憤慨。(Wall Street Journal, March 5, 2004)

ヨーロッパ、2003年は過去500年で最も気温の高い年

スイスの研究者等、西暦1500年まで遡る年輪を始めとする各種の気温データを使用したところ、ヨーロッパは19,000人の死者を出す大型猛暑にみまわれた2003年に過去500年余りで最も気温の高い年を経験したと発表。(Yahoo News, March 5, 2004)

天然資源防衛委員会、環境保護庁は新排出源査定評価(NSR)改正の利益を誇張したと主張

天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council)、DOEとアメリカン電力(AEP)との間の通信文書を発表。この文書でAEP は、送電系統の信頼性改善に貢献したのは、新排出源査定評価(New Source Review = NSR)の改定ではなく、むしろ、発電所が当時すでに実施していた保守の向上であったと指摘。(Inside EPA, March 5, 2004)

水素イニシアテイブに関する下院科学委員会の公聴会:概要

下院科学委員会、ブッシュ政権の水素イニシアティブを検討する公聴会を開催。Sherwood Boehlert委員長(共和党、ニューヨーク州)は、ここで問題となっているのは米国の安全保障;国内外の経済成長に必要な資源の確保;国内および世界的な環境の保全であるため、同公聴会が非常に重要なものであることを強調。(March 5, 2004)


3月10日号

エネルギー省、FutureGen計画の長期プランを発表

エネルギー省(DOE)、FutureGen計画の長期プランを発表。2004年度から2018年度まで、各年度毎の主要な活動とマイルストーンを設定。向こう10年間の推定コスト9億5,000万ドルの内の、6億2,000万ドルを連邦政府が拠出し、電力会社が2億5,000万ドル、同プロジェクトに参加する外国の参加企業が8,000万ドルを拠出する予定。(Greenwire, March 5, 2004)

ブッシュ政権の環境政策が業界寄りの骨抜き政策へと変わっていった過程

ニューヨークタイムズ紙、当時電力会社のロビイストであったHaley Barbour氏(全国共和党委員会の元委員長で、現ミシシッピー州知事)等とのインタビューや様々な書類を基に、ブッシュ政権の環境政策がエネルギー業界寄りに傾いていった過程を報告。(The New York Times, March 6, 2004)

NIST、これまでの最高温度で単一光子を発生させる効率的プロセスを開発

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)の科学者達、砒化ガリウムで作った光源から、これまでの最高温度で単一光子を発生させる効率的なプロセスを開発。この発見は、実用的かつ安全性の非常に高い(絶対盗聴されない)量子通信に繋がる可能性があるほか、度量衡学や暗号法への応用もありうると見られている。(NIST Tech Beat, February 26, 2004)

前途の暗い包括エネルギー法案

議会スタッフ等、議会が直面する様々な障壁を考慮すると、残り50日未満となった今会期におけるエネルギー法案可決の見通しは思わしくないと指摘。(Greenwire, March 9, 2004)


3月11日号

Richardsonニューメキシコ州知事、再生可能エネルギー使用基準を確立する法案に署名

ニューメキシコ州のBill Richardson州知事(民主党)、同州の再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standard = RPS)を確立する法案に署名。同州RPS法は州内主要電力会社に対して、2006年までに販売電力の5%を再生可能エネルギー資源で発電し、2011年までにはこれを10%まで引き上げるよう義務付け。(SolarAccess.com, March 10, 2004)

WWFのチャレンジに応え、電力会社5社がクリーンエネルギー推進にコミット

Austin Energy、Burlington Power Department、FPL Group社、サクラメント市営電力、Waverly Light & Power社の5社、世界野生生物基金(World Wildelife Fund = WWF)のPowerSwitch!チャレンジに応え、米国の電力会社として初めて、義務的なCO2排出上限制限に支持表明。(Solar and Renewable Energy Outlook, March 1, 2004)

クリアスカイ法案、2004年内の可決は望み薄

共和党議員と民主党議員、今会期での可決が見込み薄となっているクリアスカイ法案の遅延で責任の擦り合い。上院環境公共事業委員会のJames Inhofe委員長は、ブッシュ大統領が再選されて共和党が議会多数党を維持したならば、2005年1月にも同法案を取り上げると発言。(Environment and Energy Daily, March 10, 2004)


3月15日号

議会調査局、ブッシュ政権提案の水銀規制法案を批判

議会調査局(Congressional Research Service = CRS)、ブッシュ政権提案の水銀法案に関する分析報告を発表。ホワイトハウス提案のクリアスカイと環境保護庁(EPA)の電気事業水銀規制案が電力業界に要求する水銀排出削減義務は、その他の産業部門に課された削減義務よりも遥かに軽く、「公平性が疑がわれる」と批判。(Inside EPA, March 12, 2004)

環境保護庁、台頭するナノテクノロジーに対する規制権限を検討中

環境保護庁(EPA)高官等、有害物質に関するEPAの権限を使ってナノ材料を規制できるか検討中。汚染防止・毒物課、毒物管理法(Toxic Substances Control Act =TSCA)に基づき、ナノテクの開発は阻止しないがそれが及ぼしうる否定的な影響から国民を守るための規制を課す可能性。(Inside EPA Weekly Report, March 12, 2004)

カナダ政府、自動車排出基準でカリフォルニア州を手本とする可能性

David Andersonカナダ環境相、自動車メーカーがカナダ政府との自主的合意に辿りつかない場合には、カリフォルニア流の温室効果ガス排出削減を採用するか、または、独自の燃費基準を採用する意向であると発言。(Environment Canada, March 11, 2004)

気候変動政策に対する見解の相違が大統領選の結果に影響を与える可能性

John Kerry民主党大統領候補の気候変動規制支持の立場が大統領選で選挙結果を左右する石炭生産州の票離れに繋がる可能性。民主党上院議員はKerry候補に石炭生産州では排出削減支持を控え目に語るか、Tom Carper上院議員の提案した穏健案を支持するよう忠言。(Greenwire, March 11, 2004)

商務省に新設された製造業担当次官補の候補、批判を浴びて指名を辞退

ブッシュ政権が新設の製造業担当次官補への任命を予定していたAnthony Raimondo氏が辞退を表明。今週の初め、John Kerry民主党大統領候補は2002年に同氏が中国への雇用のアウトソーシングを行ったことで彼を非難。政権高官等はこの決定はKerry候補の攻撃の影響ではなく、「上院での承認の問題」によるものだと弁解。(New York Times, March 12, 2004)


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