NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年3月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

3月16日号

ワシントン州議会、州内の化石燃料発電所に二酸化炭素排出削減を義務付ける法案を可決

ワシントン州議会、州内の化石燃料発電所に、向こう30年間の二酸化炭素(CO2)排出量を最低20%削減するよう義務付ける法案(下院第3141号議案)を可決。同法案は、Gary Lockeワシントン州知事(民主党)の署名を得て、法制化の見込み。(Platts Coal Outlook, March 15, 2004)

上院共和党、民主党提案のスーパーファンド税復活法案を却下

上院共和党議員等、産業界に課すスーパーファンド税を復活させるという上院民主党の法案を、2年連続で否決。課税収入の残金が今年ついに枯渇する見通しであるため、2005年度は一般納税者がスーパーファンド予算の100%を負担する最初の年となる。(Greenwire, March 12, 2004)

民主党幹部会、ブッシュ政権の2005年度民生科学技術計画予算に対する批評を発表

下院科学委員会の民主党幹部会(Democratic Caucus)、ブッシュ政権の2005年度民生科学技術プログラム予算案に対する見解と批評を発表。連邦政府が投資するべき基盤整備・教育・技術革新に対するブッシュ予算要求はとても受け入れられるものではないと批判し、科学技術予算の投資こそが、現政権のこしらえた[財政赤字という]穴から米国が脱け出す唯一の方法であると主張。(House Science Committee Democratic Caucus, March 8, 2004)


3月17日号

国防省とガス技術研究所、固体電解質型燃料電池使用10 kW級可搬型発電機の開発で協力

国防省とガス技術研究所(Gas Technology Institute = GTI)、固体電解質型燃料電池(SOFC)を使った10キロワット(kW)級の可搬型発電機を軍事用途に開発するプロジェクトで協力する予定。米陸軍の建設工学研究所(U.S. Armyユs Construction Engineering Research Laboratory)が当初グラントとして370万ドルを給付。(Fuelcellstoday.com, March 15, 2004)

カナダ政府、温室効果ガス排出の義務的報告計画を開始すると発表

カナダ政府、国内の主要汚染者に温室効果ガス排出報告を義務づける計画を開始すると発表。同計画の第1フェーズで対象となるのは、CO2換算で年間最低100キロトンの温室効果ガスを排出している大型施設。2004年の排出報告の締切りは2005年6月1日で、カナダ統計局が排出データの報告を受け、これを処理する予定。(Environment Canada, March 12, 2004)

中小テクノロジー企業のホットスポット、一位はカリフォルニア州

Small Times誌、中小テクノロジー企業の盛んなトップ10州のリストを発表。2003年のトップ10は、@カリフォルニア州;Aマサチューセッツ州;Bニューメキシコ州;Cニューヨーク州;Dテキサス州;Eイリノイ州;Fペンシルバニア州;Gミシガン州;Hコネチカット州;Iオハイオ州の順。(Small Times, March 15, 2004)


3月19日号

環境保護庁、スーパーファンド全国優先浄化リストからラブ・カナルを除去すると提案

EPA、スーパーファンド計画創設の契機となった汚染サイトであるラブ・カナルが十分に浄化されたとして、これを全国優先浄化リスト(National Priorities List = NPL)から外すことを提案。EPAはラブ・カナルとニューヨーク州西部の他の2ヶ所をNPLから除去する提案について、市民から30日間意見を聞く予定。(New York Times, March 18, 2004)

二酸化炭素がアマゾン熱帯雨林の構造を変化させている可能性

3月11日発行のNature誌に掲載されている新研究、大気中の二酸化炭素濃度の上昇によって、アマゾン熱帯雨林に生殖する木々の生死サイクルが、20年前よりも早くなっていると発表。(Greenwire, March 11, 2004)

水滴をはじけば、吸収もする、カメレオンのような「ナノグラス」

Lucent Technologies社のベル研究所、水滴をはじくかと思えば、スイッチの切り替え一つで水滴を吸収するという、カメレオンのような新材料「ナノグラス(nanograss)」を開発。小型バッテリーや小型コンピューターチップ、ボートや魚雷の外部被膜といった広い用途への商業利用が期待される。(New York Times, March 16, 2004)

ブッシュ大統領、エネルギー法案の可決を議会に要請

ブッシュ大統領、議会に対してエネルギー法案の可決を要請。大統領は、議会が国内の雇用創出に関心を持ち、米国の競争力を強化する環境作りに関心を持っているというのならば、議会は電力の信頼度を向上させ、省エネルギーを奨励し、海外エネルギー源への依存度を削減するようなエネルギー法案を可決しなければならないと発言。(Environment and Energy Daily, March 17, 2004)


3月22日号

ケースウェスタン大学、燃料電池開発で合意書に調印

ケースウェスタン大学とアシュロン・グループLLC、国防省の「スマート」兵器の貯蔵寿命(現在は5〜10年間)を2倍に伸ばす燃料電池を開発するため、合意書に調印。この燃料電池は、砲弾、迫撃砲の弾丸、および、戦術ミサイル等の電子誘導システムの電源として利用されるほか、軍事以外の商業分野への応用にも期待。(Cleveland Plain Dealer, March 11, 2004)

温室効果ガス排出削減目標の達成に向け苦闘するニューイングランドの諸州

ニューイングランドの諸州、連邦政府の支援なしでは、3年前にカナダ東部諸州と合意した温室効果ガス排出を2010年までに1990年レベルまで削減するという野心的な目標の達成は不可能であると主張。ニューイングランド地方の排出削減は現在、2010年目標の3分の1を達成出来るか否かというペースで進んでいる。(Boston Globe, March 15, 2004)


3月23日号

カナダ連邦政府とマニトバ州政府、気候変動問題に関する協力覚書に調印

カナダ連邦政府、京都議定書批准以来3番目となる連邦-州政府MOUをマニトバ州政府と締結。再生可能エネルギー開発;省エネルギー慣行の推進;気候変動の影響査定と気候変動への適応策策定;農業部門の温室効果ガス排出削減の最大化等で協力。(Environment Canada, March 19, 2004)

国立海洋大気局(NOAA)、大気中の二酸化炭素が記録的レベルに達していると報告

NOAA、ハワイ州のマウナ・ロア観測所で収集したデータを基に、大気中の二酸化炭素が記録的レベルにあり、特に近年の温室効果ガス増加率が加速していると報告。この1年の増加率は、過去50年間の平均1ppm増、および、過去10年間の平均1.8ppm増を遥かに上回る3ppm。(New York Times, March 22, 2004)

米航空宇宙局(NASA)とケンタッキー州科学技術公社がパートナーシップを形成

ケンタッキー州のFletcher知事とNASAエイムス研究センターのHubbard所長、NASAの月/火星探査に必要となる新技術を開発するため、パートナーシップを形成したと発表。情報システム、オートメーション、ナノテクノロジー、宇宙での採掘プロセス等を開発予定。(Kentucky Science and Technology Corporation, March 8, 2004)


3月24日

実業界・政界・環境保護団体のリーダー、強制的気候変動対策の政策枠組みを策定

アスペン研究所と世界気候変動に関するピューセンター、実業界・政界・環境保護団体のリーダーを一同に集め、効率的かつ政治的に実施可能な強制的温室効果ガス削減プログラムの為の政策枠組みを検討。上限設定-取引制度と売買可能な効率基準を組み合わせたハイブリッド型プログラムを策定。(Pew Center, March 17, 2004)

進歩政策研究所、燃費基準の改訂を要請

進歩政策研究所(Progressive Policy Institute = PPI)の新報告書「クリーン自動車:石油依存癖からの脱出(Clean Cars - Kicking America's Oil Habit)」、米国のエネルギー安全保障とエネルギー自立を達成するために、燃費基準問題をめぐる行き詰まりを克服する必要があると指摘。短期的な石油依存度対応策として政策策定者は企業平均燃費(Corporate Average Fuel Economy = CAFE)の大幅な改訂を行なうべきであると指摘。(Progressive Policy Institute, March 2004)

環境学者、ブッシュ政権は科学研究を誤用・曲解していると批判

大学教授241名・大学院生625名・連邦政府科学者36名、ブッシュ政権は科学研究を誤用・曲解していると非難する声明書に署名。今回の陳情を計画したスタンフォード大学のStephen Porder教授は、ブッシュほどに科学を無視する大統領など、前代未聞であると批判。(Manufacturing and Technology News, March 19, 2004)

ウィスコンシン州議会、向こう2年間のMEPセンター予算として150万ドルを承認

ウィスコンシン州議会、同州の製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)センターに、向こう2年間で150万ドルを計上するという法案を圧倒的多数で可決。同センターへの2005年度連邦予算は、ブッシュ大統領のMEP予算67%削減のために250万ドルから80万ドルまで落ち込む見通しであるため、州政府からの予算増額は特に有用。(Manufacturing and Technology News, March 19, 2004)

燃料電池の利害関係者、指定交付金を止めるよう議会に要請

米国燃料電池評議会(US Fuel Cell Council = USFCC)、上院歳出委員会のメンバーが2004年度予算で自らの出身州のプロジェクトに数千万ドルもの予算を指定交付(earmark)したことに懸念を表明。2005年度にはUSFCCメンバー企業の核心研究への予算を保守すべく、下院歳出議員に対するロビー活動を激化。(Environment and Energy Daily, March 23, 2004)


3月25日号

エネルギー省、「2004年エネルギー年次見通し」を発表

エネルギー省(DOE)、エネルギー情報局(Energy Information Administration)作成の「2004年エネルギー年次見通し(Annual Energy Outlook 2004)」の要点を概説。「2004年エネルギー年次見通し」が予測する米国のエネルギー生産・消費は、「2003年エネルギー年次見通し」の予測を下回る数値となっている。(EIA, March 23, 2004)

Hydrogenics社、カナダ国家研究会議に太陽光利用の水素生成装置を納入すると発表

カナダのHydrogenics社、太陽光を使って水から水素を生成するHyLYZER電気分解装置(HyLYZERィ electrolyzer)を、カナダ国家研究会議(National Research Council Canada = NRC)に納入する予定であると発表。この電気分解装置は、バンクーバー市のNRC燃料電池革新研究所(Fuel Cell Innovation)に設置され、生成された水素は、ビルの予備発電装置用燃料として圧縮貯蔵される予定。(Fuelcellstoday.com, March 24, 2004)

ナノテク研究:2005年度大統領要求額は認可額以下ながら、基盤ネットワークは順調

ナノテク研究の支持者達、ブッシュ大統領の2005年度ナノテクノロジー予算要求額は前年度比2%増の9億8,200万ドルで、「21世紀ナノテクノロジー研究開発法(21st Century Nanotechnology Research and Development Act)」の認可額を大きく下回っているものの、連邦政府の財政赤字を考慮すれば己むを得ないとして、この少額増額を受諾。一方、国家ナノテクノロジー基盤ネットワーク(National Nanotechnology Infrastructure Network = NNIN)は今年1月初旬から既にユーザーの迎え入れを開始。(Small Times, March 24, 2004)

下院科学委員会、ブッシュ政権提案の科学技術予算に懸念を表明

下院科学委員会の共和党全議員と民主党議員6名、ブッシュ大統領の2005年度研究開発(R&D)予算を批判し、議会に長期的R&D予算の増額を求める声明書を発表。14ページにわたる同声明書では、大統領予算が防衛と衛生関係の研究を重視しすぎている反面、基礎研究向けの予算が不十分であると批判。(Manufacturing and Technology News, March 19, 2004)


3月29日号

欧州の産業グループ、欧州連合による単独の温室効果ガス排出削減実施に警鐘

欧州産業エネルギー消費者国際連盟(International Federation of European Industrial Energy Consumers)と電気産業連合(Union of the Electricity Industry)、共同政策綱領を発表し、京都議定書の一方的施行は、エネルギー集約型産業を他国に移転させる結果となると欧州連合に警告。(Financial Times, March 25, 2004)

米国議会、GAOとNASにハッブル保守ミッション中止決定のレビューを要請

Barbara Mikulski上院議員(民主党、メリーランド州)とKit Bond上院議員(共和党、ミズーリ州)、会計検査院(General Accounting Office = GAO)と全米科学アカデミー(National Academy of Sciences = NAS)に対し、米航空宇宙局(NASA)のSean OユKeefe局長の下したハッブル宇宙望遠鏡保守ミッションの中止決定に関し、独自の調査を行うよう命令。(Science, March 19, 2004)

研究開発予算に対する見解で顕著な違いを見せた民主党と共和党の予算決議案

下院本会議、研究開発プログラムを重視する民主党の予算案を退け、共和党の作成した2005年度予算決議案を可決。NASA、全米科学財団(National Science Foundation = NSF)、DOE、および、国土安全保障省の一部のプログラムを含む研究開発(Function 250 R&D)予算は、民主党提案額を大幅に下回る233億8,800万ドル。(House Science Committee Democratic Caucus, March 25, 2004)


3月30日号

環境保護者、全米科学アカデミーのNSRに関する諮問委員会メンバーを批判

ブッシュ政権の新排出源査定評価(New Source Review = NSR)規制改定に伴う環境影響を分析する諮問委員会のメンバーを選考している全米科学アカデミー(NAS)、産業界との繋がりが強い人物を数名、メンバーに選定。環境保護者は、NASのBruce Alberts総裁に対し、諮問委員会の暫定メンバー数名について再検討するよう要請。(Greenwire, March 29, 2004)

カナダ政府、国民各自に温室効果ガス排出削減を求める「1トンチャレンジ計画」に着手

カナダ政府、国民1人1人に対して温室効果ガス排出の1トン(約20%)削減を求める「1トンチャレンジ計画(One-Tonne Challenge = OTC)」に公式に着手。一般市民へのアウトリーチと啓蒙活動に重点をおき、特に、カナダの温室効果ガス総排出量の約4分の1を占める運輸部門に焦点を当てている。(Natural Resources Canada, March 26, 2004)


3月31日号

イリノイ州の官民水素パートナーシップ、水素開発促進を謳った報告書を発表

イリノイ連合(Illinois Coalition)創設の官民パートナーシップであるIllinois 2 H2、「水素ハイウェイ:イリノイ州の持続可能な経済・環境への道(The Hydrogen Highway: Illinoisユ Path to a Sustainable Economy and Environment)」という報告書を発表。イリノイ州連絡道路第90号線沿い約120マイルに水素エネルギー実証プロジェクトを集結させた「水素ハイウェイ」と呼ばれる回廊を創ることを提案。(Fuelcellstoday.com, March 29, 2004)

米航空宇宙局、スクラムジェットエンジン搭載の無人飛行機「X-43A」の飛行実験に成功

米航空宇宙局(NASA)、カリフォルニア州において、無人飛行機「X-43A」の飛行実験を行い、時速4,780マイルという大気エンジンの最高速記録を達成。今回の飛行実験で、X-43Aは非ロケットで極超音速を達成した最初の吸気型飛行機となったほか、NASAが数十年間実験室でテストしてきたスクラムジェット(極超音速燃焼ラムジェット)エンジンも初めて成功。(New York Times, March 27, 2004)

大きな可能性を抱えたカーボンナノチューブ

DOE傘下ブルックヘイブン国立研究所のJames Misewich氏を中心とする研究者等、初めて、単一のカーボンナノチューブに赤外光線を放射させることに成功。この発見は、ナノチューブが電気制御可能な世界最少の発光体となることを示唆するもので、カーボンナノチューブのエレクトロニクス等への応用を実現する上で役立つ可能性。(EurekAlert, March 25, 2004)

環境問題で見解相違が顕著な、ブッシュ大統領とケリー上院議員

環境政策に対するブッシュ大統領とJohn Kerry上院議員(民主党、マサチューセッツ州)の見解の相違が、接戦が予想される今回の大統領選では通常以上に大きな役割をはたす可能性。共和党世論調査員のFrank Luntz氏は、ブッシュ大統領が郊外の女性票を失う危険があると警告。(Christian Science Monitor, March 25, 2004)


Top Page