NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年5月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

5月3日号

DOE、大統領の水素研究イニシアティブの選定プロジェクトに3億5,000万ドルを給付

DOEのAbraham長官、水素研究イニシアティブの一環として、水素貯蔵;水素自動車・基盤整備実証計画;燃料電池研究;水素関連啓蒙・教育という分野で選ばれたプロジェクトに総額3億5,000万ドルの助成金給付を発表。今回の給付額は、ブッシュ政権の水素研究開発コミットメント(12億ドル)のほぼ3分の1。(DOE, April 27, 2004)

サスカチュワン州研究委員会、水素とディーゼル燃料で走行可能な小型トラックを発表

サスカチュワン州研究委員会(Saskatchewan Research Council = SRC)、水素とディーゼル燃料で走行可能な世界初の小型トラックを発表。発表されたジェネラルモーターズ社の6.6Lターボ過給付ディーゼルエンジン搭載トラックは、SRCが水素経済への移行期段階の橋渡し的技術として開発した革新的なエンジンシステムを利用。(Saskatchewan Research Council, April 21, 2004)

エジソン電気協会、温暖化ガス自主規制戦略に関する電力会社と政府の合意案を作成

エジソン電気協会(Edison Electric Institute = EEI)、自主的温暖化ガス削減プログラムについて政府との交渉再開を狙い、温室効果ガス自主規制戦略に関する発電会社と政府の合意案を作成。EEI案は、最優先研究開発および導入対象の排出抑制技術プロジェクトをDOEと業界が協力して特定すること等を要求。(Inside EPA, April 29, 2004)

環境保護庁の年次燃費報告書、2004年型車の平均燃費は2003年型車とほぼ同率と推定

EPA、「自動車技術と燃費傾向:1975年〜2004年(Light Duty Automotive Technology and Fuel Economy Trends: 1975 Through 2004)」という年次報告書を発表。2004年型車の推定平均燃費はガロンあたり20.8マイルで、過去8年間の平均燃費(20.6mpg〜20.9mpg)の範囲内で、2003年型車の平均燃費とほぼ同程度となる見込み。(EPA, April 2004)

米航空宇宙局、効率と操縦性を高める可変形翼機を開発中

NASAドライデン飛行研究センターの研究者、飛行中に翼を曲げたり、ねじったりすることによって効率と操縦性を高める可変形翼機を開発中。翼変形(モーフィング・ウィング)と呼ばれる技術により、同じ飛行機が高速でも低速でも効率的に飛行可能となる。機体の軽量化により、飛行範囲と最大積載質量も向上すると期待。(USA Today, April 29, 2004)

包括エネルギー法案をインターネット税禁止法案に添付した戦術も失敗

上院本会議、Tom Daschle上院民主党院内総務(サウスダコタ州)の提案した、エタノール条項を添付したインターネット税禁止法案を41対58で否決。上院エネルギー天然資源委員会Pete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)提案の、規模縮小した包括エネルギー法案をインターネット税禁止法案に添付した法案も失敗。(Environment and Energy Daily, April 30, 2004)

下院議員等、大統領の2005年度NASA予算増額要求を阻止

下院主要メンバー、新宇宙探査イニシアティブに関する詳細の欠如を理由に、ブッシュ大統領の2005年度NASA予算増額要求を阻止する模様。4月21日の予算公聴会で、下院民主党・共和党メンバーは、NASAのSean OユKeefe局長に同イニシアティブに関する更なる討議無しには予算を認可しないと警告。(CNN.com, April 28, 2004)


5月5日号

カリフォルニア州燃料電池パートナーシップ、1999年〜2003年の進捗状況を発表

カリフォルニア州燃料電池パートナーシップ(California Fuel Cell Partnership = CaFCP)、1999年〜2003年における燃料電池自動車および水素燃料ステーション関連の進捗状況を概説した「進捗状況報告書:1999年~2003年(Progress Report 1999-2003)」を発表。(CaFCP, April 28, 2004)

地球環境機構と国際金融公社、定着型燃料電池を導入する提案公募を発表

地球環境機構(Global Environment Facility = GEF)と国際金融公社(International Finance Corporation = IFC)、途上国に定着型燃料電池を導入する2段階構成の提案公募を発表。同提案公募の総予算は5,400万ドルで、第1段階で900万ドル、第2段階で4,500万ドルのグラントを給付予定。(IFC, April 23, 2004)

EPAの新報告書、スーパーファンドプログラムの変更に100以上の施策を提言

EPA内部検討報告書の発表のために、環境政策・環境技術に関する国家諮問委員会(NACEPT)のスーパーファンド小委員会が公表予定の報告書は意義を失う可能性。EPA内部報告書の提言する、スーパーファンドを管理するEPA理事会の創設、優先化学物質に関する全国的な浄化水準の作成、新しい財務保証の義務付けの導入といった100以上の施策により、年間1,000万から2,000万ドルの経費節減が可能。(Inside EPA, April 30, 2004)

NASA、来年春のスペースシャトル飛行再開に向けて一歩前進

NASA高官、2005年3月6日〜4月18日の間に計画されている次回スペースシャトル打上げ予定日までに、飛行再開準備を完了する自信があると発言。コロンビア事故調査委員会(Columbia Accident Investigation Board)が提言した15項目の見直し勧告の内の3項目を完了したNASAは、2003年8月までに更に6項目を達成する予定であると発表。(New York Times, May 1, 2004)


5月7日号

Schwarzeneggerカリフォルニア州知事、同州公共事業委員会に電力市場の強化を要請

Arnold Schwarzenegger州知事、カリフォルニア州公共事業委員会(California Public Utilities Commission = PUC)に対し、再生可能エネルギーおよび代替エネルギー資源の使用拡大によって、同州の電力市場の改革を促進するよう要請する書簡を送付。(Office of the Governor, April 28, 2004)

電力業界、電気事業水銀削減規定案に新水銀排出量上限を含むよう要求

エジソン電気協会(Edison Electric Institute)とその他電力団体、2015年の水銀排出削減義務の上限を24トンと設定するよう求めるコメントを公式にEPAに提案予定。同提案は、現在EPAの電気事業水銀削減規定案に含まれている、@2010年までに34トン;A2018年までに15トンという水銀総排出量上限の中間規制として追加される予定。(Inside EPA, May 7, 2004)

気候変動に関する新論文:緩やかな大気温度上昇率は成層圏の冷却が原因であると発表

ワシントン大学と国立海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration)大気資源研究所(Air Resources Laboratory)の研究員、地表と対流圏下層で観測される温度の違いは、対流圏と成層圏の相互関係が原因であると結論。、1979年〜2001年に大気から放出されたマイクロ波に関するデータから成層圏の冷却効果を差し引いた場合、大気温度の傾向が地表温度を基にした気候モデルによる予測値と一致すると報告。(Nature, May 6, 2004)

米国科学審議会、米国の科学技術者の不足を警告

米国科学審議会(National Science Board)、米国民の科学技術者への関心の低さ、及び、増大する国際競争によって米国が重大な科学技術者の不足に直面していることを警告する隔年報告書「2004年理工学指針(Science and Engineering Indicators 2004)」を発表。理工系労働市場の「魅力的で競争力のある選択肢」が世界中に拡大していることを指摘し、優秀な人材を確保するために、国内の科学技術人材育成への取組みを強化するよう政府に提案。(New York Times, May 5, 2004)

前途多難なブッシュ大統領の宇宙探査イニシアティブ

ブッシュ大統領の宇宙探査計画を懸念する議会により、NASA新戦略と他の多くのNASA計画も前途多難。上下両院の予算小委員会が先月送付した、2004年度予算の再分配を拒否する書簡により、NASAは大統領イニシアティブへの予算充当を行えずにいる。この状況下では、既存の地球科学や航空プログラムも不確定となり、将来的に宇宙探査計画のタイミングも失う可能性も心配される。(Washington Post, May 1, 2004)


5月10日号

カナダのIogen社、セルロース・エタノール燃料の商業生産に着手

Iogen社、世界初のセルロース・エタノール燃料商業生産に着手すると発表。農耕作物の非食用部分を利用するほか、在来型のエタノールと比べて温室効果ガス排出量が3分の1という利点を有する同社のセルロース・エタノール技術を利用したフルスケール生産工場の立地場所を決定するため、同社はパートナーと協議中。(Iogen News Release, April 21, 2004)

サンディア国立研究所、高温で作動可能な固体高分子電解質膜を開発

DOE傘下のサンディア国立研究所、グルコースやメタノールや水素等の多様な燃料を使用するミクロ燃料電池を実現させるべく、サンディア固体高分子代替型(Sandia Polymer Electrolyte Alternative = SPEA)と呼ばれる新型の固体高分子型(PEM)を開発中。同国立研究所は、燃料電池の分子電極内抵抗軽減、触媒とイオノマーの組成最適化、SPEA材料特性の改良のほか、燃料電池環境でのライフサイクル実験により、その商用化へのポテンシャルを評価する予定。(Sandia News Release, May 5, 2004)

上院本会議において再度の気候管理法案採決を目指すMcCain上院議員

John McCain上院議員とJoseph Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)、2010年までに温室効果ガス排出を2000年水準まで削減することを義務づける気候管理法案(Climate Stewardship Act)を7月4日の休会前に上院本会議での採決に持ち込む意向。McCain議員、5月6日の公聴会では、上院本会議での審議に備えて更なる科学データの収集。(Environment and Energy Daily, May 7, 2004)

2004年米国政治革新賞の最終選考15件に選ばれた製造技術普及計画(MEP)

2004年の米国政治革新賞(Innovations in American Government Award)の最終選考15件に残った製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)。同賞主催者のハーバード大学、MEPを中小製造業者の生産性と収益性を向上させる「傑出した」プログラムであると評価。(Manufacturing and Technology News, May 4, 2004)


5月11日号

マサチューセッツ州のMitt Romney 州知事、「マサチューセッツ州気候保護計画」を発表

Mitt Romney 州知事(共和党)、汚染削減・エネルギー需要削減・雇用創出推進するための多様なイニシアティブを盛り込んだ「マサチューセッツ州気候保護計画(Massachusettsユ Climate Protection Plan)」を発表。温室効果ガス排出量を2010年までに1990年の水準まで削減することを目標とする同計画には、@石炭火力発電所の厳格な排出基準;A再生可能エネルギー;Bグリーンビルディング等の政策イニシアティブが盛り込まれている。(Massachusetts Executive Department, May 6, 2004)

ナノマニュファクチャリング利用への可能性を持つ「酵素インク」

デューク大学の研究者、金の表面にナノ・スケールのパターンを描画する際に利用可能な酵素を発見したと発表。DNase Iと呼ばれる酵素をディップペン・ナノリソグラフィーのインクとして使用し、短鎖DNAで被膜した金製基板に幅100ナノメートルの線を数本描いた後、DNase Iをマグネシウム溶液で活性化させたところ、DNA被膜に幅400ナノメートルの溝が刻み込まれたと報告。(NSF, April 23, 2004)

上院商業科学運輸委員会における気候変動に関する公聴会:概要

上院商業科学運輸委員会のJohn McCain委員長(共和党、アリゾナ州)、気候変動に関する公聴会を5月6日に開催。同委員長は開会の辞で、出身州のアリゾナ州では既に気候変動の影響が顕著であることに言及。更に、世界の一地域での発生事が他地域の気候にも影響を与える可能性があるため、米国は排出削減の為の国内政策および国際的対策を摸索する必要があると指摘。(May 6, 2004)


5月12日号

持続可能なエネルギー連合、2005年度太陽エネルギー技術プログラム予算の増額を要請

持続可能なエネルギー連合(Sustainable Energy Coalition = SEC)、2005年度の高密度太陽光発電プログラム予算として2,500万ドルの計上を求める書簡を、上院・下院の各歳出委員会エネルギー水資源小委員会に送付。これは、太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association = SEIA)の提案額を500万ドル、ブッシュ大統領の要求額を2,300万ドル上回る予算要求額。(Solar and Renewable Energy Outlook, May 1, 2004)

環境保護庁、新しい「クリーンエア・オフロードディーゼル規制」を発表

環境保護庁(EPA)、ブルドーザー・トラクター・フォークリフトといったオフロード車を対象とした「クリーンエア・オフロードディーゼル規制(Clean Air Nonroad Diesel Rule)」を発表。同規制では、排ガスを90%以上削減できる排出抑制装置を装備した新型エンジンの搭載を義務付けるほか、2010年までにディーゼル燃料の硫黄含有量を99%減とすることを義務付けている。(EPA, May 11, 2004)

米国気候変動交渉代表者のWatson氏、米国の気候変動政策は誤解されていると主張

米国の上席気候変動交渉者であるHarlan Watson氏、米国の京都議定書離脱はブッシュ大統領が気候変動政策を全く放棄してしまったような印象を残してしまったが、ブッシュ政権は実際には排出増加率の低減にコミットしており、気候変動科学技術推進における欧州連合との協力がそのよい証拠であると発言。(Yahoo News, May 11, 2004)

宇宙技術開発の最前線に立った遠隔医療

超音波を使って、宇宙飛行中に生じた内傷を発見する研究を国際宇宙ステーションで実施。テレヘルス(telehealth)と呼ばれる遠隔医療は月や火星へのミッションに備えて準備をしている米航空宇宙局(NASA)にとって非常に重要な研究となる可能性。テレヘルスは、診断装置の[地理的]使用範囲を拡大することによって、医療保健に革命をもたらす可能性があるため、地上の患者も大きなベネフィットを得るものと期待。(CNN.com, May 10, 2004)

宇宙産業利害者団体の13グループ、月・火星ミッションを謳うブッシュ計画に支持表明

宇宙航空産業協会(Aerospace Industries Association)や米国宇宙航空学会(American Astronautical Society)を初めとする宇宙産業利害者団体13グループ、個々の見解相違をさておいて、ブッシュ大統領の宇宙探査イニシアティブを支持していくと表明。同グループは、ブッシュ計画への予算配分を求めて議会でロビー活動を行なうほか、同計画が負担大で実行不可能であるという懸念を鎮静する努力を行う予定。(CNN.com, May 7, 2004)


5月13日号

フォードとブリティッシュペトロリアム、水素自動車・基盤整備プロジェクトを共同発表

フォード自動車とブリティッシュ・ペトロリアム(BP)社、米国を水素経済の実現に一歩近付けることを目的とした重要イニシティブを発表。フォード自動車はカリフォルニア州サクラメント市、フロリダ州オーランド市、そして、ミシガン州デトロイト市に、水素走行のFocus燃料電池自動車(Fuel Cell Vehicle = FCV)を最高10台づつ、計30台を提供し、BPはこれを支援する燃料補給ステーション網を構築する予定。(Ford Motor Company News Release, April 27, 2004)

息を吹き返したベンチャーキャピタル市場、新たな課題に直面

今年のベンチャーキャピタル市場、推定21%という半導体産業の成長を筆頭に健全である一方、投資家に多くの新たな課題を提起。金利引き上げ・エネルギー価格の高騰・対テロ戦争の影響を懸念してベンチャー企業が融資に慎重になっているほか、その投資先が科学に根をおろしたスタートアップ企業へと移行。専門家等は、同市場が2006年に再度の減速時期を迎えると予告。(EE Times, May 11, 2004)


5月14日号

上院本会議、エネルギー税制条項の添付された企業税法案を圧倒的多数で可決

上院本会議、エネルギー税制条項が添付された企業税法案(上院第1637号議案)を92対5で可決。John McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)は、主として化石燃料業界補助となる180億ドルのエネルギー・インセンティブ条項を排除する試みに出たものの、これは85対13で失敗。今後は、下院での審議が注目される。(Environment and Energy Daily, May 12, 2004)

Powerspan社と国立エネルギー技術研究所、発電所用の二酸化炭素除去技術開発で協力

クリーンエネルギー技術会社のPowerspan社とエネルギー省(DOE)傘下の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory = NETL)、石炭火力発電所で使用するコスト効率的な二酸化炭素除去プロセスの開発で、共同研究開発協定(corporate research and development agreement = CRADA)に合意したと発表。(Powerspan Corp. News Release, May 12, 2004)

科学界や学界等、留学生・外国人学者を対象とした査証政策の改定を要求

米国研究界の95%を代表する25学術機関の連合、ホワイトハウス・連邦捜査局(FBI)・国土安全保障省に対して、留学生および外国人学者を対象とした現行の査証政策を至急改革することを要求する書簡を送付。科学界や学界の代表はまた、査証プロセスを簡略化する6つの改革提言を国土安全保障省のTom Ridge長官に提出。(Yahoo News, May 13, 2004)


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