NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年5月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

5月17日号

ABIリサーチ社、マイクロ燃料電池の将来性を検討した報告書を発表

ABI リサーチ社「マイクロ燃料電池:カメラ、ラップトップ、PDAワイヤレス/携帯機器用としての市場機会と課題(Micro Fuel Cells: Market Challenges and Opportunities for Cameras, Laptops, PDAs and Wireless/Mobile Devices)」を発表。同書は携帯電話、ラップトップ、PDA、デジタルカメラ、カムコーダー、モバイル・コンピュータにおけるマイクロ燃料電池の将来性に目を向けるもので、北米、ヨーロッパ、日本の世界三大地域の消費者市場と売り手市場を検討。(Forecasts ABI Research, May 12, 2004)

エネルギー省とGM社、大学対抗「チャレンジX」に参加する17チームを発表

エネルギー省(DOE)とジェネラルモーターズ(GM)社、北米大学のエンジニア専攻学生チームが自動車用の実用的かつ経済的なクリーンエネルギー技術の開発で対抗する「チャレンジX(The Challenge X: Crossover to Sustainable Mobility)」に参加する17チームを発表。この3ヵ年プロジェクトの参加が決まった17チームは、2005年型シボレーEquinox コンパクトスポーツ用多目的車(SUV)を使って、燃費の良い低公害のクロスオーバー車という新ジャンルの車を設計・製造する予定。(DOE, May 11, 2004)

上院議員55名、製造技術普及計画(MEP)の予算復活をEvans商務長官に要請

製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)に予算を再配分するようDon Evans商務長官に要請する書簡に上院議員55名が署名。同書簡は、@特定用途に指定されていない経済開発局(EDA)資金;A回転資金貸付プログラムや清算処分に由来するEDA資金;B先端技術計画(Advanced Technology Program = ATP)予算のうち、拠出の必要のなくなった資金という3つの財源からプログラムに予算を配分し、1億660万ドルまで2004年度MEP予算を復活させるよう提案。(Modernization Forum, May 13, 2004)


5月19日号

太陽光発電技術と水素燃料電池技術の研究を支援するブリティッシュ・ペトロリアム社

デラウェア大学とデラウェア州立大学、低価格・高効率の太陽電池開発、および、一連の水素燃料電池技術研究で、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)社から総額375万ドル相当のグラントと機材提供を受けると発表。(SolarAccess.com, May 18, 2004)

世界銀行、ウルグアイ・エネルギー効率化プロジェクトを管理することに合意

世界銀行、ウルグアイの輸入燃料依存度低減;エネルギー費の削減;大気質の改善を目的とする「ウルグアイ・エネルギー効率化プロジェクト(Uruguay Energy Efficiency Project)」の実施を管理することに合意。この6ヵ年プロジェクトの予算は2,110万ドルで、世界銀行の地球環境機構(Global Environment Facility = GEF)が680万ドル、ウルグアイの政府や民間企業が約1,430万ドルを負担する予定。(The World Bank, May 14, 2004)

ロシアの京都議定書批准を確信する欧州連合

欧州連合(EU)の高官達、ロシアが世界貿易機構(World Trade Organization = WTO)への加盟と引き換えに、京都議定書を批准することになると確信。ロシアのWTO加盟を妨げている主要原因は、天然ガスと電気の国内価格キャップであるが、EU高官達は、ロシアが議定書を支持するのであれば、これを大目に見ることも可能性だと発言。(Greenwire, May 17, 2004)

先端技術計画、研究開発の査定評価方法に焦点をあてた報告書を発表

先端技術計画(Advanced Technology Program = ATP)、「公共研究開発投資を評価するツールキット(A Toolkit for Evaluating Public R&D Investment)」という新報告書を発表。同報告書は、ATPを査定した40以上の評価を収録したもので、R&D評価方法を包括的に解かり易く解説。(SSTI Weekly Digest, May 17, 2004)

エネルギー省、自省の小企業支援努力を賞賛

DOE、2003年度に小企業に給付されたコントラクト総額は、DOE全コントラクトの4.1%にあたる7億8,300万ドルで、米国中小企業庁の設定した目標(3.7%)以上であったと発表。DOEの監査総監部(Office of Inspector General)、化石エネルギー部の戦略石油備蓄課、企画・国際部等が、2003年度に小企業を支援した努力と実績を評価され、DOEの小企業賞を授与している。(DOE, May 12, 2004)


5月20日号

カリフォルニア州上院、分譲住宅開発業者にソーラー住宅建設を義務付ける法案を承認

カリフォルニア州議会の上院、25戸以上の分譲住宅を開発する業者に、一定数の太陽光発電(PV)システムの設置を義務付ける法案(上院第1652号議案)を承認。(Solar Access, May 19, 2004)

オークリッジ国立研究所、世界最高速スーパーコンピュータ構築計画のリード機関に

エネルギー省(DOE)、2007年までに世界最強のスーパーコンピュータを構築するプロジェクトのリード機関として、オークリッジ国立研究所(ORNL)を選定。新しいコンピュータは、現在ORNL にある3.2テラフロップの「Cray X1 」スーパーコンピュータを拡充するもので、2004年には既存の処理能力が20テラフロップまで増強される。DOEは同プロジェクトの初年度予算として、ORNLに2,500万ドルを給付する予定。(DOE, May 12, 2004)

PriceWaterhouseCoopers社、NASA財務管理の乱雑ぶりを非難

米航空宇宙局(NASA)の会計検査を以前担当していたPriceWaterhouseCoopers(PWC)社、2003年9月のNASA財務諸表にはかなりの間違いがあるほか、出費の記録も不十分であると警告。PWCは、基本的な会計上ミスとNASA財政管理システムの破壊を報告。一方のNASAは、この間違いは10種類の異なる会計プログラムから単一の統合プログラムへと移行した際に生じたものであると反論。(CNN.com, May 16, 2004)


5月24日号

コロラド州の工場で2種類の水銀吸収剤の実証試験を行うXcel Energy社

Xcel Energy社とAmended Silicates LLCおよび電力研究所(Electric Power Research Institute)、コロラド州にあるXcel社のアラパホー工場で活性炭素とアメンデッド・シリケート(amended silicates)という2種の水銀吸収剤の実証試験プロジェクトを3週間にわたって実施する予定。(Platts Coal Trader, May 21, 2004)

米北東部4州、新排出源査定の規定違反でウエストバージニア州の発電所を起訴する予定

コネチカット、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルバニアの4州、ウエストバージニア州にあるアルゲーニー・エネルギー社の石炭火力発電所5箇所をクリーンエア法の新排出源査定(New Source Review = NSR)違反で起訴する予定であると発表。(Greenwire, May 21, 2004)

米科学技術研究連合、物理化学工学研究投資増大の必要性を訴えるタスクフォースを新設

米科学技術研究連合、「アメリカの革新の未来に関するタスクフォース(Task Force on the Future of American Innovation)」を設置。新タスクフォースは、物理科学と工学研究への投資増大で連邦政府に圧力をかけるため、ロビー活動と宣伝キャンペーンを行っていく予定。(Manufacturing and Technology News, May 17, 2004)

国立労働安全衛生研究所、ナノ材料の取り扱いに関する安全ガイドラインを作成中

国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health = NIOSH)、省庁間ナノテクノロジーグループの指示により、ナノ材料の取扱いに関する「ベスト・プラクティス」ガイドラインを作成中。NIOSHの上級研究員であるAndrew Maynard氏は、同指針の目的がナノ材料の慎重な取扱い、および、適切な予防処置を確保することであると説明。(Small Times, May 19, 2004)


5月25日号

宗教リーダー、気候管理法案の審議を要請する書簡を上院議員に配布

環境保護を目指す全米宗教パートナーシップ(National Religious Partnership for the Environment)を中心とする宗教連合、2010年までに温室効果ガス排出を2000年水準に削減することを義務づけるMcCain-Liebermanの気候管理法案(Climate Stewardship Act)を検討するよう求める書簡を各上院議員に配布。(Greenwire, May 20, 2004)

強力な磁場により、半導体カーボンナノチューブが金属に変態する可能性

5月21日号のサイエンス誌に掲載されるライス大学研究チームの新研究論文、半導体カーボンナノチューブを強力な磁場に晒したところ、その電気特性が変化したことを報告。これは半導体カーボンナノチューブだけに見られる独特の現象であり、研究者達は、半導体ナノチューブが更に強力な磁場で金属に変態する可能性もあると期待。(EurekAlert, May 20, 2004)

製造業協会の連合、2005年度MEP予算の復活を要求する書簡を大統領と議会に送付

全米製造業者協会(National Association of Manufacturers)や全米先端製造連盟(National Coalition for Advanced Manufacturing)を始めとする60以上の製造業連合、ブッシュ大統領および上下両院の歳出委員会商業・司法・国務省担当小委員会の指導層に、2005年度の製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)予算を2003年度の水準に復活させることを要求する書簡を送付。(Modernization Forum, May 21, 2004)

カーボンナノチューブやフラーレンの普及で、世界ナノテクノロジー市場が急成長

「バッキーボール(buckyballs)」と呼ばれるフラーレンとカーボンナノチューブの普及により、世界のナノテクノロジー市場が2005年には5億〜7億ドルの規模に成長する可能性があると専門家等が予測。(Small Times, May 20, 2004)


5月26日号

エネルギー省、「燃料電池自動車世界調査2003年」を発表

エネルギー省(DOE)、2003年末時点での国際燃料電池市場の現状を報告する「燃料電池自動車世界調査2003年(Fuel Cell Vehicle World Survey 2003)」を発表。燃料電池を使う自動車やバスの開発といった多様なプロジェクトを行う官民パートナーシップが、少なくとも11の主要諸国と欧州連合(EU)で実施されており、燃料電池軽自動車およびその部品の開発に携わる企業は世界に約20社あったと報告。(DOE, February 2004)

世界的アジェンダとして頭をもたげてきた気候変動問題

Kofi Annan国連事務総長、旱魃・洪水・異常気象の増加は気候変動の兆候に他ならないとして、温室効果ガス排出の削減を目的とする京都議定書への支持を各国に嘆願。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、排出抑制が迅速に行われなければ、2100年までに温度は更に華氏10.5度上昇する可能性があると報告。(Yahoo News, May 22, 2004)

急激な北極の温暖化は、地球温暖化の前兆

世界8ヵ国の代表が作成した「北極気候影響評価書(Arctic Climate Impact Assessment)」、北極地方における気候変動の影響は他地域の2倍の速度で進行していると報告。同報告書の著者達は、気候変動を止めることは可能であると主張し、手初めに京都議定書を支援するよう各国政府に提言。(Yahoo News, May 24, 2004)

飛行再開タスクフォース、シャトルの飛行中検査修理計画に対する代替案が必要と提言

米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル計画改変を監督する飛行再開タスクフォース、進捗状況報告書で、宇宙で行う検査・修理システムの開発が非常に困難なため、NASAは宇宙遊泳による目視検査、乗組員の救命ボートとして国際宇宙基地を利用する、等の代替案を検討する必要があると提言。(New York Times, May 20, 2004)


5月27日号

全米研究委員会、ブッシュ政権が提案した新排出源査定評価規定改定のレビューを開始

全米科学アカデミーの全米研究委員会(National Research Council)、ブッシュ政権の提案した新排出源査定評価(New Source Review = NSR)規定改定を検討・評価する作業を開始。このレビュー作業の第一段階として、諮問委員会は5月24日に公聴会を開催し、連邦政府や議会スタッフ、および、州政府高官等の意見を聴聞。(Greenwire, May 25, 2004)

ガスハイドレートの溶解で、地球温暖化が加速する可能性

英国の科学者達、海底や永久凍土層のガスハイドレートの溶解により、21世紀には地球温暖化が現行モデリングの予測を遥かに超えるスピードで進行し、洪水や旱魃、そして、野火のリスクが増大する可能性があると警告。(Yahoo news, May 19, 2004)

軍事用製品の開発を進めるナノテクノロジー企業

ナノテクノロジー企業、ナノ製品を米軍に提供。Inframat社が開発した柔軟で衝撃に強いセラミックナノ材料塗料を海軍は、プロペラや潜望鏡のシャフトを始めとする150以上の用途に使用。一方、US Global Nanospace社開発の、従来の材料よりも強度が2倍で重さが半分という防弾材料はハンビー車や爆弾解除作業部隊が使用。(Small Times, May 25, 2004)


5月28日号

水素燃料電池技術イニシアティブで協力するカナダと中国

カナダの主要水素燃料電池会社14社、北京で開催される国際会議Hyforum 2004に参加するため中国を訪問。中国との共同事業および共同研究イニシアティブの将来性を討議するために、中国政府高官等や中国の水素産業代表等と会談。(FuelCellsToday.com, May 24, 2004)

気候管理法案の反対者、法案反対活動を活発化

McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)とLieberman上院議員(民主党、コネチカット州)が提案した気候管理法案(Climate Stewardship Act)の反対者達、気候変動の大惨事をテーマにした映画「デイ・アフター・トゥモロー」の上映を明日にひかえ、ロビー活動を含む敗退活動を活発化。(Environment and Energy Daily, May 27, 2004)

化学ナノテクノロジーのロードマップ

業界主導の産官学パートナーシップであるChemical Industry Vision 2020、国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)の要請により、化学ナノテクノロジー・ロードマップを策定。同ロードマップの目的は、化学ナノテクノロジーの分野において米国の優位を維持するため、ナノテク研究に賢明な投資を確実に行なっていくこと。(Small Times, May 21, 2004)

エネルギー省、核融合科学センターの設置先を決定

DOE科学局、核融合科学センター(Fusion Science Centers)の設置先として、メリーランド大学とUCLA、および、ロチェスター大学を選定。前者には両校の施設を活用した「マルチスケールプラズマダイナミクス・センター」が、後者には「物質の極限状態・高速点火物理学センター」が創設される。(DOE Press Release)

石油価格高騰は民主党の責任と主張する、共和党のDelay下院議長

Tom DeLay下院議長(共和党、テキサス州)、ガソリン価格高騰を回避することの出来た包括エネルギー法案(下院第6号議案)が議会で立ち往生しているのは民主党の反対が原因と主張。この事実を国民に知らせるため、「エネルギーウィーク」を提案。(Greenwire, May 27, 2004)


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