NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年6月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

6月1日号

環境保護庁、スーパーファンド用地浄化費用の分担を州政府に要請する見通し

スーパーファンド計画の財政難に苦しむ環境保護庁(EPA)、スーパーファンド用地緊急浄化作業の経費負担を州政府に要請することを検討。EPAの第6地区では既にこうした計画を実施しており、先頃発表されたスーパーファンド計画に関する「120日間研究報告」も同様の改革を提言。(Inside EPA, May 28, 2004)

排出権取引の実現が近づくにつれ、市場の変化に備える世界トップ企業

Carbon Disclosure Project(CDP)がファイナンシャル・タイムズ紙選定の世界トップ500企業を対象に行ったアンケート調査により、気候変動と炭素管理問題が事業決定の重要要素であることが判明。この傾向は、2005年1月から排出権取引制度(Emissions Trading Scheme)が開始される欧州連合(調査対象企業の29%)において特に顕著。(Greenwire, May 26, 2004)

誤報と闘う方法:誠実さと想像力

全米ナノテクノロジー調整局(National Nanotechnology Coordination Office)のClayton Teague局長、児童の予防接種や遺伝子改造食品等の政策で欧州が学んだ苦い体験を米国連邦政府は十分に承知していると発言。しかし、本誌Howard Lovy編集者が国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)の年次会合で繰り返し耳にしたのは、報道機関が一般市民のナノテクに対する憂慮を煽っているという非難ばかり。こうした誤解と闘っていくため、ナノテク産業は大衆にナノテクの利益とリスクを誠実に率直に伝える必要があると両者は進言。(Small Times, May 28, 2004)


6月2日号

省エネ業務用ビルの設計を推進するENERGY STAR

EPA、業務用ビルのエネルギー使用が原因となる大気汚染を削減するため、ENERGY STAR計画を拡大して、新築の業務用ビルを含めることを決定。この新指定により、エネルギー効率に優れた業務用ビルの建設に注目が集まることを期待。(EPA, May 27, 2004)

John Kerry上院議員、ブッシュ政権のNSR規定改正を逆転させると約束

民主党大統領候補のJohn Kerry上院議員(マサチューセッツ州)は、大統領に選出された暁には、ブッシュ政権の新排出源査定評価(NSR)大幅改定を覆すと約束。ブッシュ政権提案のNSR規定の中で覆すことが最も容易なのは、保守作業コストがプロセスユニット全体を交換した価値の20%を超えない「日常保守(routine maintenance)」活動をNSR義務から免除するという改定案か。(Greenwire, June 1, 2004)

オレゴン州、ナノ科学・ミクロ技術研究所を開設

新しいナノテク研究センターである「オレゴン州ナノ科学・ミクロ技術研究所(Oregon Nanoscience and Microtechnologies Institute)」がオレゴン州に開設。新研究所が融資を引きつけ、それが州経済の回復を刺激すると期待する同州のナノテク支援者達、21世紀ナノテクノロジー研究開発法で認可された連邦政府ナノテク予算37億ドルの一部を獲得する努力を早々に開始。(Small Times, June 1, 2004)


6月4日号

見通しの明るい再生可能エネルギー産業

代替エネルギー産業の順調な成長及びその明るい未来と、昨今の石油価格の高騰との間には大きな関連性はなく、再生可能エネルギー産業の運命が化石燃料の価格に左右された去の経験とは異なり、石油価格が1バレル30〜35ドルに最終的に戻ったとしても、再生可能エネルギープロジェクトが大きな打撃を被ることは殆どないとアナリストが予告。(The New York Times)

米航空宇宙局、ハッブル宇宙望遠鏡の保守作業のためにロボットミッション提案を募集

NASAのSean O'Keefe局長、米国天文学会(American Astronomical Society)の会合で、八ッブル宇宙望遠鏡を修理するロボットミッションの提案を募集すると発表。@ハッブルを安全に破棄するロボットの開発;A新しいバッテリーとジャイロスコープの設置;B新インスツルメントとの設置という3分野で提案募集。締め切りは7月16日。(New York Times, June 2, 2004)

自己増殖型ナノマシーンは可能

General Dynamics Advanced Information Systems社、NASAの新概念研究所(Institute for Advanced Concepts)の要請で「運動セルオートマトン(kinetic cellular automata)」のデザインを調査したところ、自己増殖型マシーンはペンティアム IV チップほど複雑でない可能性があると指摘。(Small Times, June 3, 2004)

ブッシュ政権、エネルギータスクフォースの記録公開命令を不服とし、上訴を決定

ブッシュ政権、チェイニー副大統領のエネルギー政策タスクフォース(Energy Policy Task Force)の会合記録を公開するよう命じた米国コロンビア特別区連邦第一審裁判所の判決を不服とし、上訴することを決定。(Greenwire, June 2, 2004)


6月8日号

ブッシュ政権の2005年度予算案、急激な気候変動研究プログラムを廃止

ブッシュ政権の提案する2005年度国立海洋大気局(NOAA)予算の削減で、急激な気候変動研究計画(200万ドル)、古気候計画(130万ドル)、ポスドク計画(130万ドル)、および、気候変動の保健面での影響に関する全ての研究が完全排除。(Greenwire, June 3, 2004)

2004年12月の締約国会議までに京都議定書を批准すると期待されるロシア政府

ロシアのプーチン首相、世界貿易機構(WTO)への加盟と引き換えに京都議定書の批准に踏み切る意向であると発表。具体的な批准の時期は明らかにされていないものの、ロシアの条約批准は今年12月の次回締約国会議の前になる見通し。(Yahoo News, June 3, 2004)

国家製造技術戦略の策定を支援する国防省

国防省、米国の製造基盤を一変させる、次世代製造技術イニシアティブ(NGMTI)を後援。イニシアティブの目的は、手頃な価格の防衛システムの迅速な納入を可能にする「高レバレッジで高インパクトな製造技術」への投資を奨励しつつ、米国製造業者の世界的競争力を強化すること。NGMTIに参加するパートナー等は、今後12〜18ヵ月間で具体的な投資戦略を策定し、産官フォーラムを立ち上げる予定。(Manufacturing and Technology News, June 1, 2004)

南岸部大気質管理局、自動車排出削減規定の継続を要請

バス・トラック・道路清掃車等の業務用フリートを有する政府機関や民間企業に低公害車の購入を義務づける規定の継続を希望する南岸部大気質管理局(SCAQMD)、同規定はクリーンエア法条項の誤った解釈であるという米国最高裁の裁定にも拘わらず、EPAから特別許可を取り付けるよう州政府に要請。(Greenwire, June 7, 2004)


6月10日号

ノースカロライナ州立大学の報告書、州政府燃料電池イニシアティブの重要性を強調

ノースカロライナ州立大学ソーラーセンター、米国の州政府が燃料電池技術および再生可能エネルギー技術の開発・実用化で積極的な役割を果たしていることを示唆する、「定置型燃料電池投資インセンティブ:米国における州政府レベルの政策に関する報告」と「米国における定置型燃料電池向け州レベル投資インセンティブの進捗状況:2003年〜2004年」という2冊の報告書を発表。(SSTI Weekly Digest, June 7, 2004)

再生可能エネルギーの利用を義務付ける新法令

Linda Lingleハワイ州知事(共和党)が2020年までに同州電力の20%を再生可能エネルギー資源で賄うことを義務づける「20/20法案」に署名し、ハワイ州は米国14番目の再生可能エネルギー使用基準(RPS)実施州に。RPSは段階的に進められ、2005年で8%、2010年で10%、2015年で15%。対象となる再生可能資源は、風力;ソーラー;海洋エネルギー;地熱;波力;農業他廃棄物。(The Honolulu Advertiser, June 3, 2004)

環境保護庁、2006年環境報告に気候変動問題を盛り込む意向

ブッシュ政権の大幅な変更・修正要求に直面し、気候変動の査定評価を最終的に2003年環境報告から削除した環境保護庁(EPA)、2006年環境報告には、同庁科学諮問委員会の答申に応え、気候変動評価を盛り込む予定。EPAでは現在、2006年報告で取り上げる気候変動課題を検討中。(Greenwire, June 8, 2004)

全米行政アカデミーの報告書、製造技術普及計画の有効性を再確認

全米行政アカデミー(NAPA)、製造技術普及計画(MEP) が小規模製造業者の為の基盤造りに果たした役割を評価する「代替ビジネスモデル(Alternative Business Models)」を発表。これまでの成功を土台としてMEPを一層改善するため、@技術普及や製品開発;A小規模製造業者を支援する全米総合ネットワークの構築;B製造業支援に携わる商務省内の多様な部署の統合、といった7項目を提言。(Modernization Forum press release, June 7, 2004)


6月11日号

2004年は米国風力エネルギー業界にとって困難な年

米国風力エネルギー協会(AWEA)、2004年の風力発電増設量は2003年(1,687メガワット)を大きく下回り、500メガワット未満になると推定。連邦議会が風力エネルギー生産税控除の更新でもたついていることが、風力発電への投資激減の主要原因。風力発電設備投資の低下が、タービン翼製造業者や発電機製造者といった関連産業にまで影響を及ぼしていると主張。(Solar and Renewable Energy Outlook, June 1, 2004)

LogicaCMG社によるアンケート調査、排出権取引に備える欧州企業は少数と報告

欧州企業を対象とした新アンケート調査で、欧州連合(EU)の排出権取引システム(ETS)の影響を受ける企業の内、2005年温室効果ガス排出削減目標の達成に向けて予算を組んでいるのは僅か3分の1に過ぎず、3分の2が排出削減目標達成の為の予算を設定するのは時期尚早であると回答したことが判明。(Greenwire, June 9, 2004)

商務省と国防省、製造業の雇用創出や技術促進を推進する覚書に調印

Bond技術担当商務次官とPayton先端システム概念担当国防次官代理、製造業部門における雇用創出と技術移転を支援する5年間の覚書に調印。防衛ニーズを満たし、コストを削減し、供給不足を解決し、国防省の供給基盤を拡大するために、全国規模の迅速対応防衛製造サプライチェーンを構築することが主要目標。(NIST Press Release, June 9, 2004)


6月14日号

ゼネラルモーターズ社、水素燃料自動車の耐久テストで世界新記録達成間近か

ゼネラルモーターズ(GM)社、水素燃料ミニバンのオペル・ザフィーラで今週、燃料電池車の耐久性で世界新記録(6,200マイル)を達成する見込み。但し、今回の記録は、燃料補給の為に携帯水素供給スタンドを300マイル毎に事前準備した結果であり、燃料電池車が公道で日常的に使用できることを証明するものではない。(Los Angeles Times, June 9, 2004)

世界最孤島の住人が感じている地球温暖化の影響

南太平洋大学の社会学者Uentabo Neemia-McKenzie博士、ミクロネシアのキリバス群島の住民が観察した変化をまとめた報告書「我が島に近づく太陽:気候他の変化に対する住人の見解」を発表。住民の生活に不可欠なココヤシに影響を及ぼす海岸侵食が最大の懸念と報告。(Yahoo News, June 10, 2004)

ナノテクノロジーの開拓者Drexler氏、「グレイ・グー」神話を否定

ナノテクノロジーの父Eric Drexler氏、自己増殖するナノロボットの「グレイ・グー」が世界を破壊しうるという自己の予言を却下する論文を共著。1986年出版の著書で警告した自己増殖ロボットの無限繁殖は、物理原則では可能ながら、現行のナノテク開発計画からは起こりえないと説明。(Nanotechnology, June 9, 2004)


Top Page