NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年6月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

6月15日号

ウェストバージニア州に建設されるクリーンコール発電所

エネルギー省(DOE)とウェスタングリーンブライヤー・コジェネレーション社、クリーンコール発電イニシアティブの一環として、大気圧循環型流動床燃焼(atmospheric pressure circulating fluidized bed combustion)技術とウェスタングリーンブライヤ社専有のインバート遠心分離装置(inverted-cyclone separator)を駆使した、くず炭使用の発電実証施設をレイネル市に建設予定。プロジェクト総額は2億1,500万ドルで、内1億700万ドルをDOEが負担。(DOE Press Release, June 7, 2004)

DOEの炭素隔離地域パートナーシップ計画に新メンバー加入

DOE、炭素隔離地域パートナーシップ計画(CSRPP)に、バージニア・ネブラスカ・アイオワ・ミズーリ・ウィスコンシン・ミシガン・メリーランドの7州が新加入したと発表。CSRPPの目的は地域レベルで炭素隔離技術の確認と普及を推進することで、国際的な炭素隔離リーダーシップフォーラムを補足するもの。(DOE Press Releasek June 10, 2004)

マサチューセッツ州の水銀排出規制、保守派グループの訴訟を招く可能性

マサチューセッツ州、石炭火力発電所の放出する水銀排出量を2008年までに85%、2012年までに95%削減することを義務づける最終規定を可決。保守派グループは、ニューイングランド諸州とカナダ東部諸州との間の合意に基づいて策定された同州規定は条約であり、州政府には条約批准権がないと主張して、これを起訴する可能性。(Inside EPA, June 11, 2004)


6月16日号

カナダの各政党、選挙を目前に京都議定書への対応で衝突

6月28日のカナダ選挙でカナダ政府の将来を決定するにあたり、京都議定書が重要な役割を果たす可能性。多数党が成立しなかった場合、Gilles Duceppe氏率いるBloc Quebecois党は、京都議定書に対する各派の見解に基づき、ケース・バイ・ケースで投票すると主張。(Greenwire, June 15, 2004)

カリフォルニア州大気資源局、自動車の温室効果ガス排出削減提案を発表

カリフォルニア州大気資源局(CARB)、自動車からの温室効果ガス排出をコスト効率的かつ最大限に削減するためのスタッフ提案を発表。この報告では、規定文の案を提示するのでなく、スタッフの提案するアプローチやその理由、および、環境・経済面での影響評価を概説。特定規定文の草案は9月公聴会までに発表の見込み。(CARB Draft Report, June 14, 2004)

実現に一歩近づいた水素燃料補給ステーション

International Code Council、国際防火基準(International Fire Code)の中の水素貯蔵関連条項を更新し、これを承認。今回認可されたのは、地下貯蔵施設や高架型貯蔵施設、及び、それに関連する安全性措置に関する条項。これにより、液化水素の地下貯蔵タンク、及び、燃料補給ステーションのキャノピーの上に水素発電圧縮貯蔵装置を設置することが可能となる。(NHA Press Release, June 8, 2004)


6月17日号

ゼネラルモーターズ社と米国郵政公社、燃料電池車テスト走行に合意

GMと米国郵政公社(USPS)、水素燃料電池車を郵便配達に使用することで合意。USPSは、首都ワシントン地域で水素燃料補給スタンドが開業する2004年9月に、燃料電池車の使用を開始する予定。GMは全国各地で郵便を配達するUSPSを燃料電池車立ち上げの理想的パートナーと評価。(General Motors Press Release, June15, 2004)

ピューセンター報告書、適応策を米国気候変動戦略の一部とすべきであると提言

世界気候変動に関するピューセンターの新報告書、気候変動を防ぐ方法を摸索すると同時に、米国は気候変動への適応戦略を策定すべきであると提言。気候変動の完全防止には遅すぎるとしても、富と技術と専門知識に恵まれた米国は、気候変動への適応という面で他諸国よりも遥かに有利な状況にあると指摘。人造のシステムが気候変動に適応出来るような柔軟な政策を策定する必要があると勧告。(Greenwire, June 15, 2004)

下院歳出委員会の小委員会、小規模製造業者の支援計画を承認

下院歳出委員会の商務省・司法省・国務省担当小委員会、2005年度MEP予算を2004年度水準に留めるというブッシュ提案を却下し、2003年度水準である1億600万ドルまで復活させることを承認。下院小委員会における予算復活の決議は、MEPに対して超党派の強い支持があることを示唆。(Modernization Forum Press Release, June 15, 2004)

カリフォルニア州大気資源局の自動車温室効果ガス排出削減提案に対する反応

ゼネラルモーターズのスポークスマンPreuss氏、CARB発表の自動車温室効果ガス排出削減計画案に盛り込まれた技術や燃費に関する想定は「単なる理論的」仮定であると批判。GMはカリフォルニア州を相手取った訴訟の可能性も検討中と発言。(Greenwire, June 15, 2004)


6月21日号

Environmental Defense、商用船舶に因る大気汚染を取りあげた「スモッグ警報」を発表

Environmental Defense発表の新報告書「スモッグ警報:商用船舶がいかに大気を汚染しているか」、商用船舶がスモッグや粒状物質の汚染を助長していると指摘。商用船舶に起因する汚染を効果的に規制するため、連邦政府は、@新しい船舶エンジンを対象とする厳密な窒素酸化物と粒状物質の排出基準設定;A既存エンジンの改良プログラム設置;B正確な排出目録の作成等の具体的な行動をとるべきと勧告。(Environmental Defense News Release, June 2004)

大統領設置の特別委員会、ブッシュ政権の宇宙探査目標は実行可能であると結論

ブッシュ大統領が設置した特別委員会、米航空宇宙局(NASA)の完全な再編が行なわれ、民間宇宙産業が発展すれば、NASA予算の大幅増額なしでも大統領提案の宇宙探査目標を達成することは可能と結論。ブッシュ計画が成功すれば、技術面での米国の指導的立場が固められ、同産業の競争が改善し、雇用が創出され、若者等に科学・技術分野のキャリアを目指す意欲を湧かせるであろうと指摘。(New York Times, June 17, 2004)

Marburger科学技術政策局長、連邦規制当局はナノテクの安全性を確保できると発言

John Marburger 科学技術政策局(OSTP)局長、連邦規制当局にはナノテクノロジーの進歩に歩調を合わせる能力があると発言。政府ナノテク規制の拡充を求める環境保護団体は、ナノ材料を生産する企業が長年責任ある姿勢で取り組んできたことを忘れざるべしと反論。全世界に恩恵を与えるようなアイデアを追求するための自由が科学者には必要であると主張。(Small Times, June 18, 2004)


6月22日号

ジョージア大学率いる産学チーム、バイオマス・リファイナリに挑戦

ジョージア大学農業環境科学学部の率いる産学チーム、熱分解を利用してバイオマスをバイオ油に変換する、バイオ・リファイナリを開発中。炭素質残渣(char)を主要副産物として産出する同プロセスは、炭素を大気中に放出する可能性を排除するため、炭素隔離としても有用。(SolarAccess.com, June 16, 2004)

NASA、小さな穴を埋めるパテを宇宙飛行士に給付することを決定

NASA、スペースシャトルの翼に生じた小さな亀裂を宇宙で修理するため、最高4インチ大の亀裂や穴を埋めることが可能なパテ他の充填材料を、シャトルに搭乗する宇宙飛行士に給付することを決定。シャトル外部の損傷を飛行中に調べるブームの設計は予定より遅れているが、来年3月のディスカバリー号打上げまでには完成させる予定と発言。但し、ブームが未完成でもシャトル打上げを実行するか否かについては、未決定。(CNN.com, June 18, 2004)

下院共和党議員、北極圏掘削法案を下院本会議の審議案件から除外

共和党下院議員、下院本会議での審議案件から、北極圏野生生物保護区域(ANWR)における石油・天然ガス探査解禁を目的とする北極圏掘削法案(下院第4529号議案)を除外することを決定。アメリカ炭鉱労働者組合が同法案に反対したことで、民主党議員から支持を獲得する可能性が殆ど消滅したと判断した結果。(Environment and Energy Daily, June 17, 2004)


6月23日号

カナダ持続可能な開発技術庁、新たに11件のクリーンエネルギー・プロジェクトを発表

カナダ持続可能な開発技術(SDTC)、様々な種油をバイオディーゼルに転換する技術や、エタノール生産コスト低減を可能にする薄膜技術の開発等、新たに11件のクリーン技術プロジェクトを支援すると発表。SDTCが約3,240万(カナダ)ドルを拠出し、プロジェクトのパートナーが8,560万ドルを投資する見込み。(Solar and Renewable energy Outlook, June 15, 2004)

Kerry民主党大統領候補、ブッシュ大統領の幹細胞研究規制を撤廃すると約束

ノーベル賞受賞者48名の支持推奨を獲得したJohn Kerry上院議員(マサチューセッツ州)、ブッシュ大統領はイデオロギーが科学に干渉することを放置しているという批判を開始。自分が大統領となった暁には、幹細胞研究に対する政府支援規制を解除し、「技術革新、創意工夫、創造力に基づいた」経済を構築していくと確約したほか、専門家の助言に耳を傾け、諮問委員会レポートを公開すると約束。(New York Times, June 22, 2004)

厳しい批判に晒された、国立衛生研究所

国立衛生研究所(NIH)の研究成果や倫理問題を厳しく批判する下院エネルギー商業委員会の監督・調査小委員会、製薬会社やバイオテクノロジー会社とNIH科学者との間のコンサル業契約について、6月22日に3回目の公聴会を開催。一部議員が完全廃止を主張するなか、NIHのElias Zerhouni所長は、外部所得という魅力なしでは有能科学者の退職を招く可能性があるとして、全ての外部活動に対する報酬を禁止することに抗議。(Wall Street Journal, June 22, 2004)


6月25日号

全米大気研究センター、最高級性能の世界気候モデルを開発

全米大気研究センター(National Center for Atmospheric Research)、第三型コミュニティー気候システムモデル(CCSM3)と呼ばれる、強力な新システムを開発。全米科学財団(NSF)、エネルギー省(DOE)、国立海洋大気局(NOAA)、および、米航空宇宙局(NASA)の財政支援で開発されたCCSM3、二酸化炭素排出量が倍増した場合、世界の気温は2.6℃ …過去のモデルが予想したよりも0.6℃高い… 上昇する可能性があることを示唆。この研究結果は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)へ提出される予定。(National Science Foundation Press Release, June 22, 2004)

正式オープンした、国立標準規格技術研究所(NIST)の先端計量研究所

6月21日に正式オープンした、総面積49,843Fの先端計量研究所(Advanced Measurement Laboratory)、8,520FのClass 100級(大気1立法リットルあたりに3.5の粒子)のクリーンなナノ加工施設や、338の構成可変なラボモジュール(reconfigurable laboratory module)等を収容。ナノテクノロジー・半導体・バイオテクノロジー・新材料・量子コンピューティング・先端製造技術で精巧な計量や標準規格を科学界や産業界に提供するほか、質量・長さ・電気抵抗といった基本的物理量の校正測定能力の向上、ナノスケール測定ツール等の開発にも携わる予定。(NIST Press Release, June 21, 2004)

ブッシュ大統領、新設された製造業委員会の委員を指名

ブッシュ大統領、米国政府に@米国製造業の競争力強化;A製造技術投資と技術革新の奨励;Bオープンマーケットの推進;C生産コスト低減;D労働人口の増強に関する政策を勧告する、製造業委員会(Manufacturing Council)の委員13名を指名。同委員会は、Wainwright Industries社のDon Wainwright最高経営責任者を委員長に、航空宇宙産業や工作機械、自動車業界やプラスチック産業といった多様な製造業部門からの代表者で構成。(Manufacturing and Technology News, June 18, 2004)


6月28日号

高効率・低公害の褐炭利用発電を目指すクリーンコール発電イニシアティブプロジェクト

エネルギー省(DOE)、ブッシュ政権のクリーンコール発電イニシアティブの第1フェーズに選ばれた、グレーター・リバー・エネルギー社等のプロジェクトを称賛。その一環として行われる、褐炭の水分を除去する燃料改良技術は、発電所の効率を改善し、二酸化硫黄・窒素酸化物・二酸化炭素・水銀・粒状物質の排出削減に役立つものと期待されている。総費用は推定2,560万ドルで、DOEが1,100万ドルを負担。(DOE Press Release, June 24, 2004)

ベンチャーキャピタル投資の欠乏で、政府によるナノテク支援を期待する製造企業

全米製造科学センター(NCMS)実施の世論調査で、製造企業幹部の大半が、商品化に先立つナノ製造研究費の負担を政府に求めていることが判明。ナノテクノロジーの商品化に踏み切るには先ず、コストダウンと効率アップの証明が必要だが、ナノテクへのベンチャーキャピタル投資は全体の僅か2%に過ぎないため、業界はこの不足分を政府が埋めてくれることを希望している。(Manufacturing and Technology News, June 18, 2004)

米航空宇宙局、再編計画の詳細を発表

米航空宇宙局(NASA)、コロンビア事故調査委員会の勧告と大統領任命の宇宙探査検討委員会の答申に応えて、再編計画詳細を発表。協力の妨げとなっていた境界を撤廃するため、7部を@探査システム部門;A宇宙業務部門;B航空術研究部門;C科学部門の4部門に統合。NASAのフィールドセンターを大学付属の研究開発施設にする等の変更は現在検討中。(New York Times, June 25, 2004)

最高裁判所、下級裁判所にエネルギー政策タスクフォースの記録開示再検討を命令

最高裁判所、少なくとも下級裁判所がブッシュ政権の主張と根拠を詳しく審査するまで、政権はエネルギー政策タスクフォースの会合記録を開示しなくてよいと判決。多数意見を書いたAnthony Kennedy最高裁判官、下級裁判所に「大統領と副大統領に該当する特別な配慮」のゆえに、政権の要請に綿密に対応するよう依頼。(Greenwire, June 24, 2004)


6月29日号

下院、DOE化石エネルギー研究開発予算を含む2005年度内務省歳出予算法案を可決

下院本会議が6月17日、DOE化石エネルギー研究開発(R&D)予算を盛り込んだ2005年度の内務省関連省庁歳出予算法案(下院第4568号議案)を334対86で可決。同歳出法案の総額は、大統領要求レベルを1億5,600万ドル下回る195億ドル。内、DOE化石エネルギーR&D予算は、2005年度大統領予算要求額を3,390万ドル下回る6億200万ドル。(House Report 108-542, June 15, 2004)

気候変動問題について下院指導層の教育を図るGilchrest下院議員

気候管理法案(Climate Stewardhip Act)の下院版(下院第4607号議案)を提案した、Wayne Gilchrest下院議員(共和党、メリーランド州)とJohn Olver下院議員(民主党、マサチューセッツ州)、気候変動問題について下院議員達を教育するキャンペーンを開始。しかし、下院では気候変動問題への関心が低く、可決の可能性は殆どない模様。(Environment and Energy Daily, June 28, 2004)


6月30日号

ロードアイランド州、再生可能エネルギー使用基準(RPS)15%法案を可決

ロードアイランド州議会、2020年までに州電力消費量の15%を再生可能エネルギーで賄うという法案を全会一致で承認。同州は全米で最小面積の州ながら、人口密度が高いため、法案支持者達は、州内での再生可能エネルギー開発ではなく、同州に必要な再生可能エネルギーを供給してくれる州外プロジェクトを期待しており、それが同州の経済発展・雇用創出に拍車をかけることになると主張。(SolarAccess.com, June 25, 2004)

全米研究委員会のパネル、自動車排出基準設定に至った州政府プロセスを調査

全米研究委員会(NRC)のパネル、カリフォルニア州を始めとする数州が連邦規制よりも厳格な自動車排出基準を採用するに至ったプロセスを調査開始。テキサス大学のDavid Allen教授を委員長とする12名構成のNRCパネルは6月28日に公聴会を開催、EPAやカリフォルニア州大気資源局(CARB)、その他諸州や産業界の代表者等から、排出規制設定の背後にある科学的・技術的問題について各々の見解を聴聞。(Greenwire, June 29, 2004)

火星有人ミッション、ナノテクノロジー実用化への機動力となる可能性

カナダ・ナノビジネス同盟(Canadian Nano-Business Alliance)のNeil Gordon氏、火星有人ミッション打ち上げというブッシュ大統領の目標達成には、質量と電力消費の最少化や技術の小型化が不可欠であり、こうした航空宇宙業界のニーズに刺激され、ミクロ技術やナノテクノロジーの実用化が急速に進む可能性があると指摘。(Small Times, June 25, 2004)


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