NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年7月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月2日号

メリーランド大学のアンケート調査、地球温暖化対策への広範な支持を確認

メリーランド大学の国際政策観プログラム(Program on International Policy Attitudes)が実施したアンケート調査で、回答者の80%以上が温室効果ガスに強制的な排出制限をかす法案を支持していることが判明。「デイ・アフター・トゥモロー」の放映に合わせて行われた同調査は、映画が一般市民の気候変動観に殆ど影響を与えなかったこと;気候管理法案の掲げる目標に対する幅広い支持があることを確認。(Yahoo News, June 28, 2004)

環境保護庁、再生可能エネルギープロジェクトの利用増進を図る新政策を発表予定

激増するエネルギーニーズと環境目標の調整に対する政策策定者の懸念に応え、環境保護庁(EPA)は、エネルギー効率化や再生可能エネルギーに基づいた補足的環境プロジェクト(supplemental environmental project)を提案または提言するガイドラインを発表する予定。(Inside EPA, June 25, 2004)

上院本会議、産学の研究協力を保護する法案を可決

上院本会議、2004年共同研究技術強化法案(Cooperative Research and Technology Enhancement Act of 2004:上院第2192号議案)を全会一致で可決。同法案は、共同所有者(common owner)の発明が一定条件を満たした場合、それを単独発明者の発明と同様に扱うとするもので、これにより、他組織の研究者や発明者は特許出願資格を失うことなく、情報をシェアすることが可能となる。(SSTI Weekly Digest, June 28, 2004)


7月6日号

長期的な気候パターンの予測には、地球全体を網羅する観測システムが必要

CLIVAR(気候変動・予測可能性研究計画)の会議で専門家達、エルニーニョのような世界規模の現象について理解を深める必要があるにも拘らず、現時点では、海中温度、潮流、海水の塩分濃度や密度に関する包括的な記録は存在せず、土壌湿度や土地用途、海氷の厚さも調査不十分であると指摘。こうしたデータを余すところなく活用して環境で起こる事象を正確に模倣する、新しい気候モデル・システムを開発する必要があると指摘。(Yahoo News, June 23, 2004)

一般国民は何故、バイオテクノロジーを敵対視するのか?

イタリアで実施されたバイオテクノロジーに関する世論調査、科学に疎い国民に科学的な問題を提示する難点を指摘。この調査で、バイオテクノロジーの世論形成には、歪曲されたマスコミ報道や科学に対する一般的偏見以外の要素も関与していることが判明。また、専門家や一般国民にバイオテクノロジーの未来を委ねるという意見は現実性に書けることも明白になった。(Science, June 18, 2004)

ナノテクノロジーに注力するオレゴン州

1ヶ月前に開設したオレゴン・ナノサイエンス・マイクロテクノロジー研究所(ONAMI)、2005年の連邦政府防衛グラント1,000万ドルの獲得を狙う。大学と企業の研究を一つ屋根の下で行うONAMIの最優先事項は、21世紀ナノテクノジー研究開発法の下でナノ-マイクロ融合センターの資金を確保することと、ナノテクとマイクロシステムを組み合わせる連邦防衛プロジェクト2件に追加資金を確保すること。(Small Times, July 1, 2004)


7月7日号

メイン州初の水素プロジェクト

メイン州を本拠とする水素エネルギーセンターとチェウォンキ財団、再生可能エネルギーを利用した水素プロジェクトに着手すると発表。チェウォンキ財団の環境教育センターに収容される水素エネルギーシステムは、再生可能エネルギーで作動する電気分解装置を使って水から水素を生成するもので、2004年冬までには、実証システムの設置が完成の見込み。プロジェクトの推定コストは25万ドル。(The Chewonki Foundation Press Release, July 6, 2004)

京都議定書以降の気候変動政策

クリントン政権の京都議定書交渉官であったStuart Eizenstat氏とブルッキング研究所のDavid Sandalow氏、ロシアは京都議定書を批准する意向であるというVlademir Putin首相の発表を称賛。但し、先進国に温室効果ガス排出の5%減(1990年水準より)を義務づけ、適応対象が世界排出量の半分以下という京都議定書だけでは、気候変動への真の回答とならないため、新たな戦略の策定に着手する必要があると主張。(New York Times, July 5, 2004)

オゾン層を観測する米航空宇宙局の新しい人工衛星

米航空宇宙局(NASA)、地球観測システムの一環として、大型人工衛星「オーロラ」を7月10日に打ち上げ予定。大気圏及びオゾン層の状態を観察・調査する4種類の機器を装備した「オーロラ」は、オゾン層に開いた穴の回復状況、及び、地表面や大気中のガスや汚染物質、化学物質やエアゾル粒子、温室効果ガスや熱に関するデータを収集する予定。(New York Times, July 6, 2004)

ナノ材料のクールな成果

国立標準規格技術研究所(NIST)の研究者、ガドリニウム-ゲルマニウム-シリコン合金に少量の鉄を加えることで、磁気冷却装置の冷却能力が15〜30%向上することを発見。磁気冷却装置はエネルギーコストが高くて敬遠されがちであったが、今回の発見でこうした障壁が崩れ、同装置が安価でエネルギー効率に優れ、環境に優しい技術であることが証明されるものと期待。(National Institute of Standards and Technology Press Release, July 2, 2004)


7月9日号

環境保護庁、新排出源査定評価規制に含まれた設備交換条項の再検討を決定

環境保護庁(EPA)、改定された新排出源査定評価(NSR)規制の設備交換条項にある3つの主要項目の再検討を決定。再検討されるのは、@設備交換条項はクリーンエア法の下で許可されるか;A設備交換費の20%という上限は正当化されるか;B連邦レベルのNSR 改定を州政府の計画に盛り込む手順をどのように簡易化するか、の3点。(Greenwire, July 1, 2004)

エネルギー情報局、2003年に米国の二酸化炭素排出量が1%増加したと報告

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)、2003年二酸化炭素(CO2)排出量に関する一次報告を発表。排出量増加率が最大だったのは家庭部門で2.5%、これに続き、商業部門の1.3%増、運輸部門の0.5%、工業部門の0.2%増。家庭部門の排出量が増加した主因は、堅調な住宅市場と例年を上回った冬季の暖房需要。一方、運輸部門ではエタノール使用が普及したことからCO2排出量増加率がわずかであった。(Greenwire, July 2, 2004)

ナノテクノロジー、自動車産業に変革をもたらす可能性

自動車への広範な応用が期待されるナノテクノロジー、ゼネラル・モーターズ(GM)は既にナノ複合物を利用した軽量かつ強靭なランニングボードを製造。将来は、ナノ被膜加工したフロントガラスや衝突安全性に優れた軽量の車体、傷に強い塗料等への応用を検討中。自動車メーカー、2010年代の始めまでには広範に利用されるものと期待。(USA Today, July 7, 2004)

米航空宇宙局(NASA)の組織再編成は、科学を変貌されるのか?科学を歪めるのか?

この10年間で最大規模のNASA再編成により、研究者等は地球科学部と宇宙科学部、生物学部と物理学部といった幾つかの科学研究分野への支援が弱まることを懸念。Sean O'Keefe局長がブッシュ大統領の宇宙探査イニシアティブ達成には今回の組織再編が必要であると強調し、NASA高官等も生物学や物理学の研究は探査システム部に属すべきものと主張するが、科学者達はこの説明に納得せず。(Science, July 2, 2004)


7月12日号

米国政府、水銀汚染を削減する国内施策を概説した書簡を国連環境プログラムに提出

米国政府、国連環境プログラム(UNEP)に提出した書簡で、UNEPの水銀プログラムを、世界的な水銀排出問題に取り組む上で「最も効果的で」あると評価。更に、EPAによる @クロロアルカリ製造所や産業用ボイラから放出される水銀排出量の削減を義務づける規制の発行;A石炭火力発電所から放出される水銀排出量の削減規制提案;Bインドおよび中国との水銀削減二国間協力計画等を最近の取り組みとして報告。(Greenwire, July 7, 2004)

集団訴訟制度改革法案の上院審議先延ばしで、年内表決の可能性が消えた気候管理法案

Bill First上院共和党院内総務(共和党、テネシー州)、集団訴訟制度改革法案に対する討議終結動議が否決されたことを受け、同法案を上院本会議の審議日程から除去。この結果、同法案に修正案として添付されていたMcCain−Lieberman気候管理法案の年内表決の可能性が消滅。(Environment and Energy Daily, July 9, 2004)

年内の成立が危ぶまれる、国立衛生研究所再認可法案

数々の難題を抱える米国議会、審議期間が短いために、時間切れで国立衛生研究所(NIH)の再認可を終了できない可能性。NIH再認可の審議は、NIH 科学者等による倫理的な違反の有無についての公聴会によって脱線状態。こうした公聴会の結果、NIHでは現在、利害対立を避ける為に外部のコンサルティング会社を雇って政策改善に努力中。(CQ Today, July 8, 2004)

基礎科学研究を支援する意気込みがいま一つの米国議会

1990年代初めに超伝導超衝突器プロジェクト廃止で苦渋を味わって以来、基礎科学支援に消極的な米国議会、テクノロジーや技術革新で国際競争が激化する中、過去数十年間ほぼ変動のなかった基礎研究予算を大幅に増額する模様。未だに基礎科学支援を躊躇する議員がいる一方、支持者達は、歳月のかかる基礎研究の実用化や、米国の将来の技術革新や経済競争力を考慮するならば、現在行動をとる必要があると主張。(CQ Weekly, July 3, 2004)


7月13日号

Jim Nussle下院議員、再生可能燃料を推進する法案を提出

Jim Nussle下院議員(共和党、アイオワ州)、国家のエネルギー自立強化を目標とした「エネルギー自立法案(下院第4652号議案)」を提出。再生可能燃料使用基準の設定、代替燃料車やクリーンエンジン車対象の優遇税制確立等を盛り込んだ同法案が可決されれば、バイディーゼルの使用は米国各地で増大する見込み。(SolarAccess.com, July 9, 2004)

国立標準規格技術研究所、製造技術普及計画の今後について全米8都市で公聴会を開催

ブッシュ政権による製造技術普及計画(MEP)センターの再競争命令、及び、全米行政アカデミーによる次世代「MEP」創設提言を受け、NISTはMEPの今後について意見を聞くため、全米8都市でワークショップを開催予定。(Manufacturing and Technology News, July 7, 2004)

労働省、国家バイオテク労働者訓練イニシアティブに1,720万ドル提供

ブッシュ大統領の高成長職業訓練イニシアティブを支援する為、労働省がバイオテクノロジー労働者訓練イニシアティブに1,720万ドルを拠出。内240万ドルは、バイオテクノロジー分野のキャリアに関する啓蒙と労働者の訓練を行なう官民パートナーシップPittsburgh Life Sciences Greenhouseに、500万ドルが、ノースカロライナ州Forsyth Technical Community Collegeの設立する全米バイオテクノロジー労働者センター(National Center for the Biotechnolgoy Workforce)へ給付される。(SSTI Weekly Digest, July 12, 2004)


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