NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年7月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月15日号

BC Hydro社、バラード社専有燃料電池モジュールNexaの実地試験を開始

BC Hydro社、バラード・パワー・システムズ社製のNexaを動力源とする、水素燃料電池を基にしたバックアップ発電装置を開発したと発表。在来型のバッテリーや発電機をベースにしたバックアップ装置よりも信頼性が高い同システムは、ブリティッシュ・コロンビア州バーナビーのBC Hydro事務所で実験され、これが成功すれば、Nexaは同社管轄区内の最高500箇所に導入される見通し。(FuelCellsToday.com, July 13, 2004)

Aldrige宇宙探査政策実施委員会報告書の分析

Edward Aldrige氏率いる米国宇宙探査政策実施委員会、低軌道ミッション等で民間宇宙産業を当てに出来るのならば、限られた予算でもブッシュ大統領の提案する月や火星への有人ミッションを実現することは可能と結論。同委員会は米航空宇宙局(NASA)再編成のほかに、宇宙産業基盤の現状に関する問題も取り上げ、民間宇宙産業を再活性化するため、@民間技術の利用拡大、技術移転の推進;A賞金の提供等によって民間部門の宇宙関連活動を奨励・育成;B国際協力の拡大を提言。(Manufacturing and Technology News, July 7, 2004)

全米研究委員会の評価委員会、ハッブル宇宙望遠鏡を救うよう米航空宇宙局に要請

全米研究委員会(NRC)のハッブル宇宙望遠鏡延命オプション評価委員会、NASAのSean O'Keefe局長に中間報告を提出。ハッブル宇宙望遠鏡はこのまま放棄してしまうにはあまりにも科学的価値が大きいため、NASAはスペースシャトルによるハッブルの保守作業ミッションを検討すべきであり、こうしたミッションを妨げるような行動をとるべきではないと結論。(New York Times, July 13, 2004)

2004年ナノマニュファクチャリング投資法案、今会期の可決は見込み薄

Mike Honda下院議員(民主党、カリフォルニア州)提案の「2004年ナノマニュファクチャリング投資法案(下院第4656号議案)」、今会期の可決は殆ど見込みなし。商務省内に官民ナノマニュファクチャリング投資パートナーシップを創設する同法案は、研究と市場化の間に存在する溝の橋渡しをするために7億5,000万ドルを認可することになる。可決を見ずとも、同法案がナノマニュファクチャリングにおける連邦政府の役割に関する対話のキッカケになることを期待するとHonda議員は発言。(Small Times, July 12, 2004)


7月19日号

国立再生可能エネルギー研究所、バイオマスとソーラー技術でR&D大賞受賞

エネルギー省(DOE)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)、バイオマス・セルロースを糖に酵素加水分解する技術、および、銅‐インジウム‐ガリウム‐セレン(CIGS) 薄膜太陽電池モジュールという2件の技術でR&Dマガジンの100大R&D賞を受賞。(SolarAccess.com, July 16, 2004)

国立衛生研究所、全国胚幹細胞バンクを創設

国立衛生研究所(NIH)、幹細胞検体を認可供給源から取得し、特別に管理された状態で培養する全国胚幹細胞バンクを創設。この試みにより、幹細胞の培養条件の均一性が確保され、また研究用の幹細胞の値段を大幅に下げることが可能となる見込み。NIHは4年間で1,800万ドルを投じて、既存の幹細胞株を研究するための3つの優秀なセンターを創設。(CNN.com, July 14, 2004)

科学者達の批判に直面するブッシュ大統領

ブッシュ大統領は科学的情報を濫用・操作して自分の政策に合わせていると批判する科学者達、ブッシュ再選を阻止する活動に尽力。科学問題は必ずしも選挙での重要度が高くないが、一部の民主党議員は大統領選の結果を左右する州でこれらの非難が票を動かす可能性があると確信。John Kerry民主党大統領候補を支援する著名な科学者や政策顧問のグループは、ケリー候補支持の科学者とエンジニア(Scientists and Engineers for Kerry)を結成して、大型の科学・研究インフラの整った州で選挙人に呼びかける予定。(Wall Street Journal, July 15, 2004)


7月21日号

エネルギー省と農務省、バイオマス研究開発イニシアティブのグラント受賞者を発表

エネルギー省(DOE)と農務省(USDA)が、バイオマス研究開発イニシアティブのグラント受賞プロジェクト22件を発表。政府拠出2,500万ドル強、民間分を加算したプロジェクト総額は約3,800万ドル。同計画は、農林部門の再生可能エネルギー資源開発を通して米国のエネルギー自立度の向上とバイオマス生産加工の需要増加を期待。(DOE Press Release, July 16, 2004)

Abrahamエネルギー長官、SECAグラントの新たな受賞者を発表

無公害エネルギー利用拡大の増進を目的とした燃料電池研究プログラムSECA)が新フェーズに入ると発表。新プロジェクト11件は、業務用の固体電解質型燃料電池(SOFC)システムの問題解決に焦点をあて、電池材料・性能の改善や、キロワット当り400ドル以下という目標資本コストの達成に重点。総額約420万ドルの20%を民間が負担。 (DOE Press Release, July 19, 2004)

環境保護庁(EPA)、発電用定置型内熱機関を対象とする大気汚染規定の策定に合意

銀行やホテル等のビルディング、および、石油・天然ガス・農業部門で使用される発電用の定置型内熱機関(新規エンジン)を対象。2006年から2007年にかけて最終規定化へ。新規制により、粒状物質と窒素酸化物の排出量の90%削減も可能に。(Greenwire, July 19, 2004)


7月22日号

カナダと米国、国際的な大気汚染研究に参加

国際的大気汚染研究コンソーシアム(ICARTT)の一環。カナダは、汚染物質が大気質と気候に与える影響を研究するため、米・オハイオ州から加・オンタリオ州に及ぶ地域の上空で空気の標本を採取分析するなど2つの研究を実施。米国はニューイングランド地方の大気質研究の特性の研究を実施する計画。(Environment Canada Press Release, July 15, 2004)

モスクワでの国際フォーラム、辛辣な論争で泥沼化

ロシア科学アカデミーの主催した「気候変動及び京都議定書に関する国際フォーラム」は先週、ロシアとイギリスとの政府科学顧問同士の論争の場と化し、ロシアによる京都議定書の批准が危うくなる可能性がでてきた。京都議定書はロシアの批准がない限り発効しないため、この事件は議定書の将来を揺るがす危険がある。 (Science, July 16, 2004)

下院歳出委員会の小委員会、ブッシュ大統領の2005年度NASA予算を削減

下院歳出委員会の復員軍人省・住宅都市開発省・独立省庁担当小委員会が、大統領提案の2005年度米航空宇宙局(NASA)予算を10億ドル以上削減。ブッシュの宇宙探査イニシアティブは大きく後退する可能性。小委員会は、国際宇宙ステーション計画作業が完了しスペースシャトル飛行が2010年までに終了する可能性を疑問視。(Washington Post, July 21, 2004)

大統領科学技術諮問委員会(PCAST)、ナノテクノロジーに関して大統領に助言

21世紀ナノテク研究開発法における国家ナノテク諮問委の役目を果たすことになったPCASTは、既にナノテクに関する調査を実施。傘下のナノテクノロジー技術諮問グループと密接に連携しつつ、大統領に助言を開始することになる。(Small Times, July 20, 2004)

大停電1周年を控え、下院民主党議員が電力供給信頼性改善法案の単独審議を要請

昨年8月の米国北東部州大停電から1周年を控え、下院民主党議員等は、昨年審議された包括エネルギー法案上下両院協議会報告書の中にある電力供給信頼性改善法案を単独で可決させようと試みている。しかし、共和党議員等が本議案の審議請求を支持する可能性は殆どないと見られている。(Environment and Energy Daily, July 21, 2004)


7月26日号

農産廃棄物からのエタノール生産を増大させると期待される遺伝子改造の酵母菌

パーデュー大学のチームが、ブドウ糖発酵菌であるサッカロミケス酵母菌に3種類の遺伝子を加えることにより、繊維質豊富な農産廃棄物に存在するキシロースを発酵させ、エタノールの生成に成功。この酵母菌を使えば、米国産トウモロコシの残留物の30%から、年間40〜50億ガロンのエタノールの生産も可能という。カナダに本拠を置くIogen社が通常実施権を取得して、繊維質エタノール実証工場で実験中。(SolarAccess.com, July 22, 2004)

カリフォルニア州の公立学校に太陽光発電装置を設置するプレバレント電力

プレバレント電力が、カリフォルニア州の公立学校6校に太陽光発電装置を供給・設置へ。同プロジェクトの太陽光発電装置は、各校の必要電力の大半を供給し、そのコストの8割は州エネルギー委員会のソーラー学校リベート計画から拠出。6校はソーラー学校計画の一環として太陽エネルギーや省エネを中心とした教科を組む予定。(SolarAccess.com, July 22, 2004)

環境保護庁、スーパーファンド全国優先浄化リストに9ヶ所追加

環境保護庁(EPA)がスーパーファンド全国優先浄化リスト(NPL)に新たに9ヶ所を追加。この9ヶ所を加えたNPL登録 用地は計1,245ヶ所となったが、この他にまだ56の提案サイトがEPAの最終決定待ちとなっている。(EPA Press Release, July 21, 2004)

エネルギーと環境保護を共存させるナノテクノロジー

環境保護庁の環境エンジニアによれば、ナノテクによって環境への弊害のない、高効率のエネルギーを実現できる可能性があるという。@車両の燃費を改善する軽量材料;Aクリーンエネルギー加工のための触媒;B効率的かつ安価な太陽光エネルギー;C太陽光利用の水分解による水素生産;D高効率で低価格の電池や燃料電池等。(Small Times, July 23, 2004)

元環境保護庁長官、ブッシュ政権の環境政策を非難

ニクソン及びフォード元大統領時代に環境保護庁長官を務め、ホワイトハウスの環境問題委員会の初代委員長でもあったRussell Train氏(共和党)が、ブッシュ政権の環境政策は環境保護ではなく汚染者保護であると非難し、民主党大統領候補のケリー上院議員への支持を表明。同氏は、ブッシュ政権による科学データの歪曲を非難した「憂慮する科学者同盟」の書簡に署名したブッシュ批判グループの一人でもある。(Greenwire, July 20, 2004)


7月27日号

4名の共和党州知事、議会に再生可能エネルギー推進を要求

ニューヨーク州、カリフォルニア州、テキサス州及びフロリダ州の4州の共和党知事が、エネルギー優遇税制の採択を求める書簡を、上院共和党院内総務、下院議長、上院予算委員長及び下院歳入委員長宛てに送付。同書簡は、@再生可能エネルギー税控除の拡大;A建築物や民生機器のエネルギー使用合理化税控除;B送電資産の減価償却期間の短縮;C代替燃料自動車の優遇税制を要求している。(SolarAccess.com, July 23, 2004)

米航空宇宙局、国際宇宙ステーション計画を規模縮小

ロシア、欧州、カナダ及び日本が、米航空宇宙局(NASA)が提案した国際宇宙ステーション(ISS)規模縮小計画を満場一致で承認。新計画は、NASAが2010年までにISSでの作業を完了し、スペースシャトル飛行を終了することを目標。この結果、搭乗員のISS長期滞在やISSの研究研究センターとしての利用可能性も立ち消え。各国高官達は、米国の従来の義務不履行に非公式ながら不満を表明。ブッシュ大統領は2010年以降のNASAのISS関与については明白な発言を行なっていない。(CNN.com, July 23, 2004)

ブッシュ政権、2005年度米航空宇宙局予算の削減には拒否権発動で対抗すると通達

ブッシュ政権は、大統領提案の宇宙探査イニシアティブ予算を削減する下院歳出委員会の歳出法案には、拒否権発動で対抗すると主張。下院の歳出委員達は、ブッシュ政権のこうした脅しにも拘わらず、NASA予算配分の見直しを行なう兆候を見せていない。NASA予算よりも復員軍人の医療予算増額が優先されるべきとの主張や、今年1月の提案以降ブッシュ大統領が有人火星探査計画同計画に殆ど触れていないとの反論も。(Washington Post, July 24, 2004)


7月28日号

クリーンコ−ル発電イニシアティブ、第2回目の公募を終了

エネルギー省(DOE)が7月26日、クリーンコール発電イニシアティブの第2回プロジェクト提案の募集を終了したと発表。提案は13件で、要求助成額は10億ドル。その97%は、ガス化技術の商用規模実証および効率・信頼性・環境・経済性の改善に関連する要求。支援プロジェクトは2004年末までに発表予定。(DOE Press Release, July 26, 2004)

ハーバード大学、石炭ガス化複合発電プロジェクトの融資助長計画を発表

ハーバード大学ケネディー行政大学院が、石炭ガス化複合発電(IGCC)技術プロジェクトへの融資助長を目的とし、発電所の建設・運営コスト削減のために連邦政府・公益事業委員会・投資家を結集させる計画を発表。手初めに6件のプロジェクトに着手する予定。同計画によって、連邦政府は優遇税制他の融資オプションよりも遥かに少ない負担でIGCCを推進したり、IGCC技術の実行可能性を確立することが期待。 (Platts Coal Trader, July 27, 2004)

全米科学財団、長期生態研究で2件の新プロジェクトに総額1,000万ドルのグラント

全米科学財団(NSF)が長期生態研究(LTER)の下で、新たに2件のプロジェクトに各々6ヵ年500万ドルのグラントを授与。LTERネットワークに所属するNSF支援サイトは合計で26箇所となる。グラントを得たのは、珊瑚礁のエコシステム及びその気候変動に対する反応の研究、及びエル・ニーニョなどのや気候パターンがエコシステムや生物に与える影響の調査。(National Science Foundation Press Release, July 26, 2004)

フロリダ大研究報告、上限設定-取引制度が水銀ホットスポットを発生させると指摘

「環境毒物学及び化学」誌に掲載されたフロリダ大の研究報告は、局地的水銀汚染が特定地域に影響を与えることは明らかであると指摘し、環境保護庁(EPA)の水銀上限設定-取引(cap-and-trade)制度は局地的な水銀ホットスポットの発生に繋がると示唆。 (Greenwire, July 27, 2004)


7月29日号

国家のエネルギー将来に希望の光を注ぐ、国立再生可能エネルギー研の新研究施設

エネルギー省(DOE)が7月27日、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)に新設される科学技術施設の起工式を行った。同施設は2006年完成予定で、ソーラーや水素、及び、その他有望なクリーンエネルギー技術を推進することを目標とし、太陽電池のほか、水素・固体照明・薄膜被覆加工や薄膜装置・超伝導・エレクトロクロミック(ECP)窓・ナノテクノロジーを重点的に研究する予定。(DOE Press Release, July 27, 2004)

設立後2年経った気候変動科学プログラム(CCSP)、第1号調査研究の実施を発表

第1号調査研究は、地球表面の温暖化傾向と中部対流圏の温暖化傾向の間に見られる矛盾について文献調査を行なうこと。科学者達からは、その必要性を疑問視する声や、CCSPの研究者等は既に討議された結果とは異なる何かを提示しようと画策しているのではないかという懐疑的な意見も。 (Greenwire, July 28, 2004)


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