NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年8月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月2日号

BioMerプロジェクト、ケベック州でバイオディーゼル燃料のクルーズ船を実証

純バイオディーゼルがクルーズ船の代替燃料となり得るかの実証。計12隻の船を使用し、計24万5,000リットルのバイオディーゼルを消費して、排出量の測定や船舶用エンジンの性能・河川の生態への影響を調査予定。(Natural Resources Canada Press Release, July 28, 2004)

クリーンエネ推進と温室効果ガス削減を狙うメタンガス市場化パートナーシップ

環境保護庁とエネルギー省の両長官が28日、メタンガスの回収利用で、オーストラリア・インド・イタリア・日本・メキシコ・英国・ウクライナと協力することを発表。埋立地ガスを利用したエネルギー生産や炭鉱でのメタンガス回収等に焦点。2015年までに年間5,000万メトリックトン(炭素換算)のメタンガス排出削減を目指す。米国は、向こう5年間で最高5,300万ドルをコミットするという。(The White House Bulletin, July 28, 2004)

環境保護庁、大気汚染と心血管疾患との関係調査に3,000万ドルのグラントを給付

ワシントン大学を中心とする研究チームに、EPAの科学的研究助成としては最大規模にあたる3,000万ドルのグラントを給付。@大気汚染への被爆と心血管疾患の進行速度の関係;A大気汚染被爆と心血管疾患の発生率の関係について調査。 (EPA Press Release, July 29, 2004)

Kerry民主党大統領候補、指名受諾演説で輸入石油依存からの脱却が必要と主張

民主党全国大会の指名受諾演説でJohn Kerry上院議員は、エネルギー問題に僅かながら触れ、米国は中東石油依存から徐々に脱却する必要があると主張。新技術や代替燃料および「未来車」への投資計画には言及したものの、燃費の良い自動車の生産を奨励する100億ドルという自動車メーカー向けインセンティブ、そして、企業平均燃費(CAFE)基準の引き上げについては触れなかった。Kerry選挙運動事務局では現在、同氏のエネルギー計画を改正・拡大しているところ。(The Wall Street Journal, July 30, 2004)


8月4日号

Kerry民主党大統領候補、エネルギー政策のブループリントを発表

「エネルギーで自立するアメリカ」というエネルギー政策を発表。新エネルギー源開発(特に再生可能燃料の利用拡大)と技術開発の2本柱により、中東石油依存に終止符を打ち、これが国家安全保障と経済の強化につながると主張。目新しいのは、このエネルギー政策改訂案が企業平均燃費(CAFE)基準の具体的な引上値に触れていないこと。(Greenwire, August 3, 2004)


8月5日号

燃料電池、小型化革命に参入

ヒューストン大学の超伝導・先端材料センター(TsSAM)、厚さ1ミクロンの薄膜固体電界質型燃料電池(SOFC)を開発。電解質の薄膜化で達成された低温作動(450〜500℃)により、薄膜SOFCには断熱材や高価な構成部材および改質装置が不要となる。出力は1個あたり0.8〜0.9ボルトであるが、スタック使用で、一家庭に必要な電力を供給可能であるほか、宇宙・軍事用の小型発電源にもなり得る。TcSAMでは6ヵ月以内に薄膜燃料電池の実験段階に入る見通しである。(SolarAcces.com, August 3, 2004)

ディーゼル燃料の硫黄含有量削減義務に向けて動き出したコロラド州の石油精製所

コロラド州にある2ヵ所の石油精製所…Suncor Energy社とValero Energy社…が、環境保護庁(EPA)のクリーン燃料規制遵守に向け、ディーゼルの硫黄含有量を削減する技術を設置する計画であると発表。(Greenwire, August 4, 2004)

地球温暖化により都市の大気質が悪化

天然資源防衛委員会(NRDC)、米国東部の大中小15都市を対象として、スモッグ形成と地球温暖化の関係を調査した報告書「暑熱警報:地球温暖化で大気汚染日数が増加(Heat Advisory: How Global Warming Causes More Bad Air Days)」を発表。気温上昇が植物の成長を助長する二酸化炭素を増やし、それが花粉や揮発性有機化合物の排出を増加させてスモッグ問題を更に悪化させ、人々の健康に悪影響を及ぼしていると報告。(The Wall Street Journal, August 5, 2004; NRDC Press Release, August 4, 2004)

民主党と共和党の両選挙陣営、国内石炭生産の重要性を強調

ブッシュ大統領とJohn Kerry民主党大統領候補(マサチューセッツ州)の両選挙陣営、石炭生産州の支持獲得を狙い、国内石炭生産の利益を称賛。民主党副大統領候補のJohn Edwards上院議員(ノースカロライナ州)が、石炭はKerryエネルギー政策の重要要素であると強調し、クリーンコール技術への投資拡大を呼びかければ、ブッシュ政権高官は、石炭を米国の主要エネルギーでみなすブッシュ大統領はクリーンコール発電イニシティブ(Clean Coal Power Initiative)予算を2011年までに37億ドルまで増額する計画であると対抗。(Greenwire, August 3, 2004)


8月6日号

メキシコに設置された太陽光利用地下水汲み上げ装置の信頼性評価

米国が先導して過去10年間にメキシコに設置した太陽光利用地下水汲み上げ装置について、研究者チームが信頼性評価を実施。試験的装置の60%が「最長10年の稼動後も適切に稼動」と結論。また、利用者のほとんどがシステムの信頼性と水生産能力を「優良」又は「良」と評価、等の知見を報告。 (Solar and Renewable Energy Outlook, August 1, 2004)

環境保護庁の大気担当次官補、石炭ガス化技術推進政策を検討の用意ありと発言

Jeffrey R. Holmstead大気・放射線担当次官補 によると、EPAは石炭ガス化複合発電(IGCC)技術の将来性に関心を持っており、発電所建設を助長するために排出削減義務要件の合理化を検討する可能性や、必要であれば何らかの「全国的なアプローチ」を検討する用意もある。産業界幹部等は、大規模導入を検討した場合、IGCC技術は未だにコストが高すぎるうえ、技術的にも確立されていないと反論。(Inside EPA, August 6, 2004)

11月の選挙で住民投票にかけられるコロラド州の再生可能エネルギー使用基準(RPS)

コロラド州は本年11月、住民投票によりRPS 法制化の是非を問う最初の州となる。同法案は2015年までに、4万人以上の顧客を持つ電力会社に同州の電気の10%以上を再生可能エネで発電することを義務付けるもの。同州の電力数社は、法制化による発電コストの上昇が電力消費者に影響を与えるとし,反対している。(Greenwire, August 6, 2004)


8月9日号

米国空軍、太陽電池一体型シェルター開発でSIT社と契約

太陽光発電装置のメーカーであるSolar Integrated Technologies(SIT)社が、可搬用小型シェルターに設置可能な、薄膜太陽電池パネルから成る太陽光発電装置を開発する契約をフロリダ州Tyndall空軍基地の空軍研究所から取り付けた。(Greenwire, August 6, 2004)

環境保護者、新排出源査定評価(NSR)は発電所の効率改善に影響ゼロと批判

環境保護者達は、NSRが1965年以降建設された石炭火力発電所を対象として設定されてからも、石炭火力発電所のエネルギー効率が殆ど改善していないことを示すエネルギー省の文献を引用し、NSR改革は何の役にも立たないと批判。環境保護庁(EPA)がNSR改革に対する一般からのコメント受付時期を8月30日まで延長したことについても、批判者達はEPAが同改革の法的な弱点を懸念している証拠であると示唆する一方、支援者達はNSRが内密に策定されたという批判に対処する為の策であると反論。(Inside EPA, August 6, 2004)

Paul Almeida博士、科学系人材のモビリティ及び専門知識の流れについて講演

ジョージタウン大のPaul Almeida博士によると、技術開発がシリコンバレーのような地理的特定地域に限定される理由を解明するため、トップクラスの科学系人材の移動状況を追跡して、その動きとナレッジの拡大との関係を調査したところ、@ナレッジの地域的集中は減少するどころか増加しており;Aナレッジの集中地域では、地域内および地域間におけるモビリティが高いことが判明。(National Economic Club Luncheon Seminar, August 5, 2004)


8月10日号

Kerry民主党大統領候補、エネルギー計画の詳細を発表

中東石油からの脱却を再度強調し、@高燃費自動車生産奨励のための米国自動車メーカー向けインセンティブの提供(100億ドル);A現行の石炭火力発電所からクリーンで効率的な施設への転換(100億ドル);B化石燃料代替エネルギーに係る産官研究パートナーシップ(50億ドル);C消費者による省エネ発電装置導入促進のための税控除(50億ドル)を発表。電力の20%、また運輸用燃料の20%を再生可能資源で賄うRPSも。(Greenwire, August 9, 2004)

カリフォルニア州大気資源局、自動車の温室効果ガス排出規制の改定案を発表

カリフォルニア州大気資源局が、自動車の二酸化炭素(CO2)排出を2009年型車から規制する同州計画に対し、改訂案を発表した。自動車メーカーはレビューの時間が必要であるとして、この改訂案に対するコメントを控えてはいるものの、メーカーが検討中のカリフォルニア州を相手どった訴訟がこの改訂案によって消滅することはないと見られている。

(CARB Press Release, August 5, 2004; The Wall Street Journal, August 9, 2004)


8月13日号

エネルギー省、162件の州政府エネルギープロジェクトに総額1,630万ドルを授与

43州とコロンビア特別区のエネルギー効率改善技術と再生可能エネルギーのプロジェクト162件に約1,630万ドルを提供すると発表。クリーン・シテイ、産業技術普及、建築規格・基準、アメリカ再建、ソーラー技術計画、風力エネルギー支援、分散型エネルギーと電気信頼性、バイオマス・イニシアチブ等の分野で。(DOE Press Release, August 9, 2004)

カナダの地熱プロジェクトが前進

カナダ当局はブリティッシュコロンビア州での地熱発電の可能性の研究のために2つの試験井戸を掘削する最終許可をウェスタン・ジオパワー社に与えた。掘削費用は約1,450万カナダドル、2004年末までに完成予定。井戸の深さは約2.5 kmで、潜在的な発電容量は最低100 MW と見積もられている。順調に行けば発電所建設開始が2005年後半、商業用発電が2007年中盤に開始の見通し。(SolarAccess.com, August 12, 2004)

産業界アナリスト、二酸化炭素排出削減では企業が行政府を先行していると指摘

ビジネスウィーク誌によれば、米国企業の多くがCO2排出制御への取組から既に大きな利益を得ており、デュポン社やBP社など、京都議定書より積極的なCO2排気削減方針を導入する企業も。(Greenwire, August 12, 2004)


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