NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年9月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月1日号

アメリカン電力、クリーンコール技術を利用した米国最大の発電所を建設予定

アメリカン電力(AEP)では、これまでで最大の石炭ガス化複合発電(IGCC)施設を建設する予定。計画は1,000 MW発電所で、建設費が約16億ドル、完成までに5〜6年。用地の選定や設置許可の申請はこれから。IGCC技術が成熟したことを示す初めての「確かな徴候」とも受け取れる。(The Wall Street Journal, August 31, 2004)

米航空宇宙局、大陸間の汚染移動を研究するため、北米で気流調査を開始

米航空宇宙局(NASA)が、米英仏独が協力する大陸間輸送・化学変質プログラムの一環として、大陸間化学輸送実験-北米(INTEX-NA)を開始した。センサーを搭載したDC-8型機やP-3B型機を使って北米大陸を行き来する気団を追跡し、北米に「出入」する大気汚染物質 の数量化を試みる予定。(NASA News Feature, August 25, 2004)

TransAlta社、京都議定書の下でチリの養豚業者から排出クレジットを購入

カナダの電力会社TransAlta社が、チリの養豚業者のAgricola Super Limitada (Agrosuper)社から、温室効果ガス排出クレジットを175万トン購入する10ヵ年契約に調印。Agrosuper社の糞管理施設からメタンガスを回収するプロジェクトは京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)によって認証済み。TransAlta社は、京都議定書の下で国外から排出削減クレジットを購入するカナダ企業の第一号となる。(SolarAccess.com, August 30, 2004)


9月2日号

藻の食欲を利用して、汚染物質をエネルギーに変換

GreenFuel Technologies社は、MITのコジェネ発電施設の屋上に30基のバイオリアクターを設置し、二酸化炭素や窒素酸化物を食べる微細な藻の潜在能力を実験。三角形に配列された透明なポリカーボネート製チューブから成るバイオリアクターの中で、発電所の排出汚染物質が藻によって食べられるという仕組み。藻は収穫・乾燥されて、炭素に富んだ炭のような固体にされ、燃料として使用可能。(MIT News Release, August 9, 2004)

国土管理局、国有地における風力エネルギー開発に関し、環境評価を発表予定

内務省の国土管理局(BLM)では近々、国有地における風力エネルギー開発に関して、環境影響声明書(EIS)の草案を発表予定。EIS草案の主要目的は、風力エネルギープロジェクトの認可手順を合理化し、遅延等を削減すること。内務省はまた、土地利用計画の改訂時には再生可能エネルギー開発問題を含めるようBLMに要請している。(Greenwire, September 1, 2004)

ノースカロライナ州立大学の研究者、立体的ナノドット・アレーの自己形成に成功

ノースカロライナ州立大学の研究者と全米科学財団(NSF)の新材料・スマート構造体センターの研究者が、ニッケル原子を立体的ナノドット(nanodots)アレーに自己形成させる新方法を発見。国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)の目標となっているナノサイズ構造体統制方法の開発に向け、大きな一歩となりそう。非常に硬い材料の研究や超高密度コンピューターメモリの開発努力の促進が期待。(NSF Press Release, August 31, 2004)

アメリカ規格協会、ナノテクノロジー標準委員会を創設

アメリカ規格協会(ANSI)は、科学技術政策局(OSTP)の要請に応え、ナノテクノロジー標準委員会(ANSI-NSP)を創設。ANSI-NSPは9月29〜30日にメリーランド州ゲイタースバーグ市で集会し、学術用語や専門用語について討議を予定。(ANSI News Article, August 5, 2004)


9月3日号

水素エネルギー・センター、水素を燃料とする内熱機関(ICE)を商品化予定と発表

水素エネルギー・センター(HEC)が、大幅修正した74馬力フォード4.9Lエンジン製の、水素を燃料とする内燃機関(ICE)自動車HEC-F-C649を発表。注入燃料をエンジンの動力源とし効率と出力を向上させ、また、市販の水素を燃料として使用可能。発電機をつなぐと、最高30 kWの発電も可能。(FuelCellToday.com, August 30, 2004)

連邦政府と州政府の高官等、二酸化炭素貯留と規制問題の関係に着目

炭素地下隔離の可能性を探る目的で二酸化炭素を地下に注入する地質学研究プロジェクトについて、連邦政府や州政府の高官等が規制との関わり合いを検討中。3つの作業部会において、現行の規制が隔離に与える影響、将来の隔離規制の行方、二酸化炭素の地下隔離を可能とするような規制構造の補足に係る指導などを検討。(InsideEPA, September 3, 2004)

共和党の新グループ、環境問題で穏健な立場を採るよう共和党指導者に提言予定

新設の共和党グループ「メインストリーム2004」は、共和党が全国大会で中道的イメージを前面に打ち出そうとしている今、「環境法の弱体化を阻止」し、「穏健」派の見方を採用するよう、共和党指導者に提言する構え。イデオロギー主導のアプローチよりも実用的なアプローチを採択するよう共和党指導者に訴え。(InsideEPA, September 3, 2004)


9月7日号

アメリカン電力、自社の温室効果ガス排出削減活動について報告書を発表

アメリカン電力(AEP)が、二酸化炭素(CO2)他の排出削減で自社が取るべき活動をまとめた「排出削減政策の経済的影響を緩和するAEP活動の評価」という報告書を発表。自社活動や利用可能な技術、様々なシナリオやコスト分析等の報告のほか、AEPはIGCC開発で業界を先導していく等を提言。同報告書がMcCain-Lieberman提案の気候管理法案を支持していることは注目に値する。(AEP News Release, August 31, 2004)

国立標準規格技術研究所の研究チーム、チップ大の原子時計を作製

国立標準規格技術研究所(NIST)と防衛先端研究計画局(DARPA)から資金援助を受け、NISTの研究チームがマイクロマシン(MEMS)技術を利用して、チップ大の原子時計を作製。既存の原子時計よりも遙かに小型化されたこのデザインによって、より多くの産業で、正確な原子時計を製品に組み込むことが可能となるほか、シリコンウェハでのバッチ製造が可能になると期待される。(Small Times, August 31, 2004)

国防省、ナノ粒子が生物系に与える影響を予測するコンピューターモデルの開発を支援

空軍の多分野大学研究イニシアティブ(MURI) が、ロチェスター大のGunter Oberdoster博士が率いる研究チームによる、ナノ粒子が生物系にもたらしうる健康面での悪影響を特定する新たな研究活動に、5ヵ年で総額550万ドルのグラントを給付。同プロジェクトの究極的目標は、ナノ粒子の影響を予測するコンピューターモデルの開発。(NNI newsroom, July 2004)


9月9日号

オハイオ州政府、「オハイオ州燃料電池ロードマップ」を発表

オハイオ州政府が、向こう5年間の「オハイオ州燃料電池ロードマップ」を発表。オハイオ州が燃料電池業界に重点をおき、燃料電池クラスターの形成及び燃料電池初期市場の奨励という2大目標の達成を狙った活動を重視すべきであると指摘し、このため既存の燃料電池企業の支援、将来のバリューチェーンの構築、新企業の誘致、技術開発の支援、初期市場参入の支援等を提言。(Ohio Department of Development News Release, September 1, 2004)

環境保護庁、米国東部州は排出権取引によって窒素酸化物排出を削減したと報告

環境保護庁(EPA)が、米国東部州の発電所等からの窒素酸化物(NOX)排出削減を目的として制定された上限設定-取引(cap-and-trade)計画に関する報告書「NOX排出権取引計画:2003年の進捗状況及び遵守状況報告」を発表。計画参加各州では、発電量の増加にも拘わらず、2003年オゾンシーズンのNOX排出を2002年水準の30%減まで削減。(Platts Coal Trader, September 7, 2004)

議会は再開したものの、エネルギー法案の可決は望み薄

上院エネルギー天然資源委員会のPete Domenici委員長(共)は夏期休会明けの上院本会議で二度にわたり、包括エネルギー法案の可決を上院議員に呼びかけた。しかしながら、10月8日からの休会が検討されているため、この1ヵ月間は上院は国土安全保障やイラク問題および歳出法案等への対応に追われ、エネルギー法案が議会の優先事項となる可能性は極めて低いと思われる。(Environment and Energy Daily, September 8, 2004)


9月13日号

ダイムラー・クライスラー社、バイオディーゼル燃料で走るスポーツ多目的車を販売予定

ダイムラー・クライスラー社は、2004年末から、米国では初めてディーゼル・コモンレール式ディーゼル(CRD)エンジンをスポーツ多目的車(SUV)に搭載した新型車MY 2005 ジープ・リバティを販売予定と発表。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも燃料効率が高く、温室効果ガスの排出も20%少ない。同社では、バイオディーゼル5%混合燃料を満タンに入れて販売すると発表。(SolarAccess.com, September 10, 2004)

McSlorrowエネルギー副長官、炭素隔離リーダーシップフォーラムの第二回閣僚会議出席

米国エネルギー副長官は、オーストラリアで開催される炭素隔離リーダーシップフォーラム (CSLF) の閣僚会議に出席する。同会議では、2004年序盤にイタリアで開催されたCSLF政策技術グループ会議で提示された10件の炭素回収・貯留プロジェクトについて検討し、今後のCSLF活動の大筋となる技術ロードマップを承認予定。(DOE Press Release, September 10, 2004)

Dionカナダ環境相、カナダは新産業革命の指導者になるべきと喚起

Stephane Dionカナダ環境相が経済進歩と持続可能性の関連性について、21世紀には環境が経済的成功の主たる牽引力となると指摘。環境相は、カナダの産業界と政府が協力して「環境によい革新的製品やサービスの提供に専心する国際的リーダーとなる」べきであり、このため、連邦政府と州政府は、カナダの経済面および環境面の対策を調整する新しい協力的アプローチを実施するとしている。(Environment Canada News Release, September 10, 2004)


9月14日号

Millennium Cell社、水素燃料電池を電源とするノート型パソコンを実証中

Millennium Cell社が、固体高分子型(PEM)燃料電池と同社専有のHydrogen on Demand (HOD) 燃料システムを統合した水素燃料電池装置の試作品をノート型パソコン用の電源として実証中と発表。(Millennium Cell News Release, September 8, 2004)

Hydrogenics社、水素燃料電池パワーモジュール納入契約を獲得

Hydrogenics社は2004年12月に、飛行機牽引車用の65 kW水素燃料電池装置を国防省の燃料電池実験評価センター(FCTec)に納入する予定。同装置は、特定の米空軍基地や民間飛行場において水素燃料電池技術の実証に利用され、FCTecが燃料電池の性能や作動・保守条件をモニターし、それを報告することになる。(Hydrogenics News Release, September 9, 2004)

憂慮する科学者同盟、再生可能エネルギー使用基準(RPS)は米国経済を活性化すると報告

憂慮する科学者同盟(UCS)が、「2004年エネルギー年次見通し」で利用された最新の国家エネルギー・モデリング・システムを使い、全国的な再生可能エネルギー使用基準(RPS)の導入が経済に及ぼす影響について対費用便益分析を実施。2020年の全国的RPSを10%および20%と想定。(Union of Concerned Scientists Analysis Report, September 2004)


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