NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2004年9月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月15日号

トロント交通局、市所有のバスでバイオディーゼル燃料をテスト

トロント交通局(TTC)が「バス・フリートの緑化(Green the Bus Fleet)」への一歩として、市の180台のバスで植物油とディーゼルを混合したバイオディーゼル燃料をテストする9ヵ月プロジェクトを開始。同テストに加え様々な要因のコスト効率評価を行い、バイオディーゼルの環境メリットが確認されれば、TTC所有の1,500台全車でバイオディーゼル燃料を利用することも検討予定。(SolarAccess.com, September 14, 2004)

メリーランド州、同州第一号となる水素自動車をGMからリース

Robert Ehrlichメリーランド州知事(共和党)が、ゼネラル・モーターズ(GM)社からHydroGen3ミニバン(5人乗り)を1年間リースする計画を発表。バージニア州にしかない水素燃料補給所存在地に最も近いプリンス・ジョージズ郡で行なわれる見通し。メ州政府は、自らの水素燃料補給施設建設や全てのビルが水素発電を利用するインダストリアルパークの構築も検討中。 (Maryland Energy Administration News Release, September 8, 2004)


9月16日号

米国際貿易委員会、再生可能エネルギーの国内外市場を調査

米国通商代表(USTR)が米国際貿易委員会(ITC)に、国内・国外市場の再生可能エネルギーサービスについて調査・報告を要請。ITCは、風力・太陽エネルギー等を対象資源とし、売上、資源査定、設備・施設の設置、再生可能エネルギープロジェクト、研究開発サービス等を調査。2005年4月19日公聴会、2005年10月に報告書「再生可能エネルギーサービス:米国市場と海外市場の検証」が完成予定。(Solar and Renewable Energy Outlook, September 1, 2004)

クリーンエア推進財団、大気質は国民が認識している以上に改善していると報告

産業界中心の非営利団体であるクリーンエア推進財団(FCAP)が、「大気質動向」という報告書を発表。環境保護庁(EPA)が2001〜2002年に収集した最新データと、過去のデータとを1970年まで遡って比較。エネルギー消費や自動車の走行距離が伸びたにも拘わらず、2001〜2002年には大気質が1970年よりも遥かに改善。一方、米国民の10人に7人は、1970年以来大気質が不変または悪化と信じ、認識の「断絶」が明らかに。(Platts Coal Trader, September 15, 2004; The White House Bulletin, September 14, 2004)

下院エネルギー商業委員会、エネルギータクスフォースの資料公開を求める議案を否決

下院エネルギー商業委は、John Dingell下院議員(民、ミシガン州)等によって提出された、チェイニー副大統領指導によるエネルギータスクフォースへの参加者名を公表するよう求める下院決議案第745号議案の採決を行ったが、30対22で否決。Joe Barton委員長(共、テキサス州)は公聴会の前に、過程よりもそこから生まれたエネルギー政策の方が重要と発言して、民主党議員による同議案の論議さえも拒んでの採決となった。(Greenwire, September 15, 2004)


9月20日号

米国政府、地球観測システムの10ヵ年戦略計画原案を発表

米国が統合地球観測システムの10ヵ年戦略計画原案を発表。地球監視と環境変化追跡の観測技術システムの統合のため、計画は数々の目標及び期待される社会的利益の9分野を提示。計画原案は一般あるいは専門家の意見を受付中で、年末に最終決定予定。ブリュッセルで来年2月に開催される第3回地球観測サミットで発表される政府間実施計画にも大きく貢献が期待される。(Office of Science and Technology Policy News Release, September 8, 2004)

ニュージャージー州政府、イノベーション区域の創設に2,500万ドルをコミット

James McGreeveyニュージャージー州知事(民)が先週、州内に3つの「イノベーション区域」を創設する行政命令に署名。窮乏地区や研究機関の近郊に技術系企業を集合立地するもので、優遇税制その他の支援が用意。行政命令は、ニュージャージー州経済開発局(NJ EDA)とニュージャージー州科学技術委員会(NJ CST)に、約2,500万ドルを当該支援に充当するよう呼びかけている。(SSTI Weekly Digest, September 13, 2004)

2005年度退役軍人省・住宅開発省・独立機関歳出法案の現状と行方

9月9日に2005年度退役軍人省・住宅開発省・独立機関(VA-HUD)歳出法案が下院本会議に提出。総額929億ドルで、環境保護庁(EPA)予算の6億500万ドル削減、航空宇宙局(NASA)予算の11億ドル(7%)削減が含まれ、NASA予算削減については、大統領拒否権行使の可能性も。一方上院は退役軍人医療を目的として支出上限とは別途12億ドルの追加緊急支出を指定。またNASA予算は上院予算案では7億ドルの削減となるうえ、スペースシャトル打上再開とハッブル宇宙望遠鏡の修理に係る追加緊急支出も検討。本予算案が選挙前に上下院のいずれでも採決に回される可能性は少ない模様。(E&E Daily, September 7, 2004; CQ Today, September 9, 2004)


9月21日号

連邦政府のFutureGen支援コミットメントに懐疑的な米国業界

石炭利用研究委員会(CURC)のBen Yamagata理事によると、民間部門は連邦政府の8億ドル投入公約に懐疑的であり、FutureGenへの資金コミットを躊躇。米国議会がFutureGenやクリーンコールガス化研究開発への予算計上を確実なものにする包括エネルギー法案を未だに可決していないことが、最大の障害と同氏は指摘。(Platts Coal Trader, September 16, 2004)

2003年の米国ソーラー産業の業績、2002年よりも縮小

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(EIA)が、米国における太陽熱収集装置および太陽電池/モジュールの生産・市場動向を分析した報告書「2003年の太陽熱および太陽光収集装置生産活動」を発表。2003年の太陽熱収集装置市場がほぼ前年並みの水準であった一方、太陽電池とモジュールの市場は2002年よりも2.5%縮小したと報告。(EIA, September 2004)

二酸化炭素を汚染物質に分類する為の準備を進めるニュージャージー州

ニュージャージー州政府高官達は、大気汚染抑制規定を改訂し、二酸化炭素(CO2)を汚染物質に分類すべく手続きを進めている。同州を含む北東部9州は、2005年4月までに発電所の放出するCO2排出の排出上限-取引(cap-and-trade)計画を策定することを目指す、地域的温室効果ガス・イニシアティブ(RGGI)というグループに属し、今回の動きはRGGI参加に必要な措置の一環と考えられている。(Greenwire, September 17, 2004)

ノースダコタ州、技術ベースの経済開発イニシアティブで米経済開発庁のグラント獲得

米国経済開発庁(EDA)がノースダコタ州に2件のグラントを給付。イノベーション・センターとノースダコタ大学が計画する2番目の技術インキュベーターの設置(75万ドル)、ノースダコタ大学とノースダコタ州立大学で開発された研究や技術の実用化および市場化の支援(46.5万ドル)。EDAの年間予算縮小により競争は激化。(SSTI Weekly Digest, September 13, 2004)

上院歳出委員会、製造技術普及計画と先端技術計画の2005年度予算増額を認可

上院歳出委が、製造技術普及計画(MEP)と先端技術計画(ATP)の予算増額を盛り込んだ、2005年度商務省・司法省・国務省歳出予算法案(上院第344号議案)を9月15日に可決。MEP予算は下院認可額より600万ドル、ブッシュ政権要求額より7,300万ドル増の1億1,200万ドル。一方、ATP予算は2004年度水準の14%増の2億300万ドルだが、ブッシュ政権と下院が既にATP廃止を決めており、調整難航が予想される。(SSTI Weekly Digest, September 20, 2004)


9月22日号

米国風力エネルギー協会、最新の市場見通しを発表

米国風力エネルギー協会(AWEA)が8月10日に発表した「第2四半期市場報告」によると、連邦議会による風力エネルギー生産税控除の更新待ちで現在中止状態にあるプロジェクトは、アイオワ州の310 MW級風力施設やウィスコンシン州の160 MW施設等、合計2,000メガワット(MW)以上。2003年には1,687 MWの新規発電容量が導入されたのに対し、2004年の新規発電容量は350 MWどまりと推定。(AWEA News Release, August 10, 2004)

上院エネルギー天然資源委、下院可決のスーパーコンピューター開発支援法案を審議予定

今年7月7日に下院本会議で可決されていた「超大型」コンピューター・ラボの開発支援に3ヵ年で1億6,500万ドルを認可する法案(「2004年エネルギー省高性能コンピューター再活性化法案」下院第4516号議案)が、上院のエネルギー天然資源委員会で審議予定。気候変動モデリング等の最高度の科学工学研究に対応出来る研究所の建設をエネルギー省(DOE)に義務づけるもの。スパコン技術の競争力向上が背景。(CQ Today, September 14, 2004)

カリフォルニア州民、11月2日に幹細胞研究支援の公債発行に関して住民投票

カリフォルニア州は、成人及び胎性幹細胞に係る研究財源として向こう10年間で30億ドルの公債発行を行う提案「プロポジション71号」を、11月2日に住民投票にかける予定。可決されれば、同州は米国で最大の州政府運営科学研究の拠点となる。同イニシアティブに対する州民の意見は、賛成45%、反対42%で二分。Schwarzenegger州知事は同イニシアティブに対する明確な立場は未表明。(New York Times, September 20, 2004)


9月24日号

米国生体科学研究所、全米生態観測ネットワークの設計を担当するプロジェクト局を設置

全米科学財団(NSF)と米国生体科学研究所(AIBS)は、米国初の全国的な生態観測システムである全米生態観測ネットワーク(NEON) の設計とその実施案の作成を目的とする600万ドルの2ヵ年契約で協力。(NSF Press release, September 21, 2004)

温室効果ガス排出削減の義務化回避を狙う、ビジネス円卓会議

米国大企業を代表するビジネス円卓会議が、会員150社の70%がとる自主的温室効果ガス排出削減努力に係る報告書を発表。米国企業がブッシュ大統領の自主的取組みへの呼びかけに応じている証拠を挙げるとの趣旨。規制提唱者等は、これら企業の努力はないよりましだが、地球温暖化問題への対応には不充分と述べている。(The Wall Street Journal, September 22, 2004)

国立標準規格技術研究所、単一原子を正確に操作する新技法を発見

国立標準規格技術研究所(NIST)の物理学者等が、結晶表面で個々の原子を正確な位置に動かす新技法を発見。原子を組み立てたナノスケールの装置の製造や、原子レベルで電気信号を入切する電気活動制御の開発につながる可能性。(NIST Tech Beat, September 9, 2004)

テキサス交通研究所、2004年都市部可動性年次報告を発表

テキサス交通研究所(TTI)が発表した2004年都市部可動性年次報告書は、1982年から2002年までの交通事情の動向を分析。混雑具合を示す数値が深刻に悪化し、総遅滞時間が7億時間(1982年)から35億時間(2002年)に増大、渋滞コストが142億ドル(1982年)から632億ドルに増大等、全地域にその影響が現れた。(Texas Transportation Institute Report, September 2004)


9月27日号

北東部州司法長官、ブッシュ政権の新排出源査定改定を違法とする摘要書を控訴院に提出

ニューヨーク州始め北東部の州政府・地方政府高官約50名が、環境保護庁の提案する新排出源査定(NSR)の「日常保守(routine maintenance)」条項改訂はクリーンエア法に違反するという摘要書をコロンビア特別区控訴院に提出。一方、司法省は今年8月に、NSR改訂案の合法性を主張する摘要書を控訴院に提出済み。同訴訟の最終摘要書の提出期限は2004年10月末で、口頭弁論は2005年1月25日の予定。(Greenwire, September 22, 2004)

全米科学財団、6ヶ所のナノスケール研究新センターを発表

全米科学財団(NSF)が新たに、カリフォルニア大学バークレー校、オハイオ州立大学など、ナノスケール科学工学に携わる6センターに向こう5年間で総額6,900万ドルの助成を給付すると発表。6ヶ所の新センターは、技術・教育・ナノテクノロジーの倫理的意味に関連する広範な問題を研究予定。(NSF Press Release, September 21, 2004)

国立衛生研究所、外部企業とのコンサルティング契約を禁止

国立衛生研究所(NIH)所長が9月23日、製薬会社やバイオテクノロジー企業との新たな協力締結を、既存の協力関係も含め最低1年間禁中止するという計画を政府倫理局(OGE)に提出。外部コンサルティング契約が利害対立を招かないことを保証する為に必要な、コンピューターやトレーニング等の準備期間として1年間の猶予をNIHに与えるための措置。OGEの認可をもって発効予定。トップクラス科学者がNIH勤務を躊躇する可能性を危惧する声も。(Washington Post; New York Times, September 24, 2004)


9月28日号

ニューヨーク州公益事業委員会、野心的な再生可能エネルギー導入政策を採択

ニューヨーク州公益事業委員会が9月22日、2013年の再生可能エネルギー使用基準(RPS)達成目標を25%とする政策を承認した。同RPS計画により、約3,700メガワット(MW)の再生可能エネルギー電力が、ニューヨーク州の系統に追加導入されると期待される。3,700 MWの内の約60%は風力発電で賄われる見通し。(The Wall Street Journal; State of New York Public Service Commission News Release, September 22, 2004)

アラスカにおける長期生態研究、炭素シンクは実は二酸化炭素の放出源?

全米科学財団(NSF)と米航空宇宙局(NASA)が20年間にわたりアラスカで行なってきた長期生態研究(LTER)により、気温上昇で二酸化炭素(CO2)を貯蔵可能な植物が倍増した一方で、土壌の腐朽と浸出が進んだためのCO2発生の増加が明らかになっている。ロシア等の北の大国の京都議定書目標達成の一手段であるツンドラの炭素シンク利用に影響を与え、このサイクルが地政学的な意味を持つ可能性も。(Toronto Star; September 23, 2004; Greenwire, September 24, 2004)

スタートアップ会社を奨励するはずのバイオシールド法に欠陥:議会は既に改正準備

ブッシュ大統領が今年7月末に署名した「2004年プロジェクト・バイオシールド法」(ワクチンや薬品、探知器や様々なテロ攻撃対策向け開発に、向こう10年間で56億ドルを認可するというもの)について、同法令が小企業の競争力を害する欠陥があるとして、上院のJoseph Lieberman議員(民、コネチカット州)とOrrin Hatch(共、ユタ州)がバイオシールド法を改正する準備を進めている。(Small Times, September 24, 2004)

Schwarzenegger加州知事、ハイブリッド車のカープール車線使用を認める法案に署名

Arnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事(共)は9月23日に、高速道路での燃費がガロンあたり45マイル以上のハイブリッド自動車の場合、運転手1名だけであってもカープール車線(HOV車線)の使用を認める法案に署名。(Greenwire, September 24, 2004)


9月29日号

PricewaterhouseCoopers社、カナダ水素・燃料電池部門の横顔:2004年版」を発表

トロント市で開催された2004年水素・燃料電池会合で、報告書「カナダ水素・燃料電池部門の横顔:2004年版」が発表。@2002〜2003事業年度の主要動向として、水素・燃料電池部門の50%がPEM、22%がSOFC技術を重視、Aマーケットの焦点は、33%が定置型、24%が車両用、8%が燃料補給基盤技術、15%が可搬型、等を紹介。 (SolarAccess.com; PricewaterhouseCoopers Report, September 2004)

米航空宇宙局、ナノ材料利用の次世代太陽電池開発を支援

米航空宇宙局が、ナノ材料やナノ構造を利用した、次世代の宇宙用太陽光発電技術の開発(プラスチック製太陽電池の効率改善)のため、ロチェスター工科大学やペンシルバニア州立大学、ジェット推進力研究所やオハイオ航空宇宙研究所等に総額600万ドルの助成金を給付すると発表。(SolarAccess.com, September 24, 2004)

国立標準規格技術研究所、シンプルなデザインのX線検出器を実証

国立標準規格技術研究所(NIST)が、精密な材料分析を目的に新設計した超高感度X線検出器の実証試験を実施。製作コストやX線解像度に優れ、ポテンシャルな用途としてシリコン・ウェハー上のナノサイズ汚染物の確認等が考えられる。通常の二層設計と違い、常伝導金属と超伝導金属を組み合わせた一層設計を利用している点が特徴。(NIST TechBeat, September 14, 2004)

米国議会、風力発電税控除延長等を含む家族税減税法案を可決

米国議会は9月23日、幾つかのエネルギー関連条項を含んだ家族税減税法案を可決し、大統領に送付。@風力エネルギー生産税控除を2005年末まで延長、A再生可能エネルギー利用発電の生産税控除対象資源として、クローズドループ型バイオマスと鶏糞を追加、B電気自動車およびクリーン燃料自動車の税控除を2006年まで継続、等。(CQ Daily, September 23, 2004;Environment and Energy Daily, September 24, 2004)

ハワイ州政府、2006年4月からエタノール10%含有のガソリンを義務付け

Linda Lingleハワイ州知事(共和党)は、同州で販売されるガソリンに10%のエタノール含有を義務づけるという10年来の法令を2006年4月から実施するための行政命令に署名。同州のガソリン消費の85%にエタノールの10%混合を義務づけという新規制によって、ハワイ州では年間4,000万ガロンのエタノールが必要になる見込み。(SolarAccess.com, September 28, 2004)


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