NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年1月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月31日号

長期的気候データ収集の為の予算を失った、国立海洋大気局

議会が昨年11月に可決し、昨年12月にブッシュ大統領の署名をもって成立した2005年度包括歳出予算法は、国立海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric Administration = NOAA)の気候レファレンス・ネットワーク(Climate Reference Network = CRN)予算を削除していた。CRNは2001年に創設されたもので、110箇所の観測所をネットワークして、米国の長期的な気候データを収集しようというプログラムである。ブッシュ大統領はCRNの2005年度予算として300万ドルを要求し、上院と下院の各歳出予算案にも盛り込まれていたが、上下両院協議会が未決定の歳出法案を一本化して膨大な(3,000ページもの)包括歳出法案を完成させたところ、CRN予算が消えていたという。

NOAAのThomas Karl国立気候データセンター所長によると、CRNの既存施設を維持するために、他のプログラムから150万ドルをかき集めることが出来たものの、今年からスタートする予定であった16箇所の新設観測所は「冬眠状態」になるという。連邦政府高官はなんとか今年度をしのいで、2006年に期待すると語っているものの、科学者達は、今回の予算削除が長期気候データ収集に対する政治的支援の欠如を意味しているのではないかと懸念している。(Science, January 14, 2005)

米国公益研究グループの報告書「増え続ける汚染」

米国公益研究グループ(US Public Interest Research Goup = US PIRG)が、1995〜2003年に発電所が放出した窒素酸化物(NOx)・二酸化硫黄(SO2)・二酸化炭素(CO2)排出に関する環境保護庁(EPA)のデータを分析、「増え続ける汚染:発電所汚染の地域的動向 (Pollution on the Rise: Local Trends in Power Plant Pollution)」と題する報告書を発表した。同報告書の主要な調査結果は下記の通りである:

  • 同期間の発電所からのSO2排出量は全国的には10%減少したものの、最も汚ない発電所の54%でSO2年間排出量が増大した。
  • 同期間の発電所からのNO排出量は全国的には29%減少したものの、最も汚ない発電所の38%でNO年間排出量が増大した。
  • 同期間に、発電所からのCO2排出量は9%増大した。

同報告書はEPA、および、連邦政府と州政府の立法者に下記の提言を行なっている:

  • 新排出源査定(News Source Review)も含めた、既存のクリーンエア法計画を実施する。
  • CO2排出の全国的キャップ …2010年のCO2排出を2000年水準に制限… を可決させる。
  • 米国東部諸州の発電所からのSO2とNO排出を、各180万トンと100万トンに制限するEPAのクリーンエア州間規定(Clean Air Interstate Rule)提案を強化する。
  • 発電所の放出するNO・SO2・CO2・水銀排出を更に削減するため、クリーンエア法の既存プログラムを強化する。

(U.S. PIRG News Release, January 28, 2005)

Lux Research、米国各州のナノテク競争力ランキングを発表:トップはマサチューセッツ州

ナノテクノロジーが経済・ビジネスに及ぼす影響を調査する世界一流の研究諮問機関であるLux Researchが、米国各州のナノテクノロジー競争力ランキングを発表した。Lux Researchでは、ナノテクノロジー活動および技術開発力という2つの軸に分類される16項目の主要要素に基づき、州人口を基準にして各州のナノテクノロジー活動を評価している。その結果、トップ10は、マサチューセッツ州、カリフォルニア州、コロラド州、バージニア州、ニューメキシコ州、ニュージャージー州、コネチカット州、メリーランド州、イリノイ州、そして、ニューヨーク州の順であったという。判断基準として使われた16項目の主要要素とその比率は下記の通り:

A. ナノテクノロジー活動[100%]

  1. 州政府が行っている活動で、ナノテク予算(20%);ナノテク先導策(10%);連邦-大学ナノテクセンター数(10%)
  2. 民間部門の活動で、ナノテク特許数(10%);ナノテク特許申請数(10%);ナノテクノロジーに意欲的な個人会社の数(10%);ナノテクノロジーに意欲的な公開会社の数(10%);中小企業革新研究(SBIR)グラント獲得数(10%);ナノテク・スタートアップ会社への投資(10%)

B. 技術開発力:科学技術イニシアティブ推進 (ナノテクに特定せず) による州政府の経済開発能力[100%]

  1. Milken研究所のメトリックスで、R&Dインプット(20%);科学技術系の労働力(20%);ハイテク企業の集中度(20%);人材養成への投資(10%);高リスクR&Dへの投資およびインフラ(10%)
  2. Deloitte Technology Fast 50企業に選出された会社数(10%)
  3. 規制面の障壁や税率を調査するPacific研究所のU.S. Economic Freedom Index指数(10%)

(Greenwire, January 26, 2005; Lux Research Statement of Findings, January 2005)


1月28日号

国際気候変動タスクフォース、気候変動の対応にはG-8プラス主要途上国の参加が必要と報告

国際気候変動タスクフォース(International Climate Change Taskforce = ICCT)が、「気候変動に取り組む (Meeting the Climate Challenge)」と題した報告書を発表した。この中には、京都議定書では実現しなかった米国、オーストラリア、発展途上国の国際気候条約への参加を推進する提言が盛り込まれている。報告書は、世界全国の政府や政策決定者を対象として、下記を含む10項目の提言を行っている:

  • 先進8カ国の政府が2025年までに最低25%の国家再生可能エネルギー使用基準(National Renewable Portfolio Standard)を設定する。また、先進8カ国の一部にはさらに高い目標を設定する。
  • 先進8カ国政府は、省エネならびに低(無)炭素排出エネルギー源のための先進技術研究・開発・実証予算を2010年までに2倍以上に増やす。同時に、既存技術の大規模な展開のための短期戦略も採用する。
  • 先進8カ国に中国やインドなど発展途上の主要経済国を加えた主要国気候グループを結成し、大型の排出削減につながる技術協定や関連イニシアティブを追求する。
  • この主要国気候グループが、農業補助金を食用作物からバイオ燃料(特にセルロース系の燃料)に移行することに合意する。
  • 全先進国が炭素排出について国家規模で義務的な上限設定-排出取引(dap-and-trade)制度を導入し、将来的に世界市場への一元化が可能なようにこの制度を構成する。
  • 再生可能エネルギー技術や省エネ技術の障害を取り除くと同時に、化石燃料助成金の段階的廃止や、輸出金融機関や国際開発銀行が支援するプロジェクトに最低省エネ基準や炭素集約度基準を採用するよう義務付けるなどの手段を通して、これらの技術への投資を奨励する。

(Institute for Public Policy Research Press Release, January 24, 2005)

液体水銀に浮かぶ、有機鎖状分子の超薄膜

エネルギー省(DOE)傘下のブルックヘイブン国立研究所、イスラエルのバル・イラン大学、および、ハーバード大学が、液体水銀表面に、自己組織性の有機鎖状分子の超薄膜を成長させた。この研究成果は、先進バイオテクノロジー材料やコンピュータ・チップ、フレクシブル電子ディスプレイなどの分子エレクトロニクス用のナノスケール回路開発方法を理解する上で一助となる可能性がある。

下の水銀が無秩序な液体であるにも拘らず、この分子は、中密度から高密度において、非常に秩序正しい結晶構造を示していた。ブルックヘイブン国立研究所の物理学者Benjamin Ocko博士は、「これらの組織的・化学的詳細は、薄膜の電子特性を理解する上で必要であり、新技術でこれらをどう活用するかを判断するために、こういった特性を把握する必要がある」と述べている。

エネルギー省科学部の基礎エネルギー科学室と米・イスラエル二国間科学財団からの研究資金提供で実施されたこの研究は、2005年1月12日にオンライン版の「Physical Review Letters」誌で発表されている。(Brookhaven National Laboratory Press Release, January 14, 2005)

新厚生長官として議会承認を受けたLeavitt氏に代わり、環境保護庁長官代理を務めるJohnson 副長官

上院本会議は1月26日、発声投票により、Michael O. Leavitt前環境保護庁(EPA)長官をTommy G. Thompson厚生長官の後任として承認した。 Leavittの後任のEPA長官職には、Stephen Johnson EPA 副長官が着任すると見られているが、ブッシュ大統領が未だ、新EPA長官を指名していないために、これは正式な任命ではない。業界筋によると、ブッシュ大統領は上院本会議のクリーンエア法案改正作業が終了するまで、指名を遅らせる可能性があるという。(CQ Today, January 26, 2005; Greenwire, January 27, 2005)


1月27日号

ブルックヘーブン国立研究所の科学者、工業触媒よりも優れた自然発生の触媒を発見

ブルックヘーブン国立研究所の科学者等が自然発生する触媒を発見、現在、この触媒を再生する研究を行なっている。鉄原子と硫黄原子から成るこの触媒は、空気の無い硫黄の豊富な環境に生殖する還元細菌Desulfovibrio desulfuricansから隔離された生物酵素の理論的調査の一環として発見されたもので、水素生成や大気汚染物質抑制に現在使用されている工業触媒よりも、効率がよく、かつ、化学反応を予想しやすいという。

鉄-硫黄の複合物が通常、4個のシステイン・アミノ酸に付着するのに対し、この触媒の場合は、鉄と硫黄の配列が独特で3個のシステイン・アミノ酸にしか付着しない。分子の片側が露出しているために、他の分子と反応し易いわけで、これが同触媒の効率が高い理由であるという。次のステップは、科学者がこの酵素を使用可能かどうか、または、システイン-鉄-硫黄という配列の合成が可能かどうかを確認することである。この研究プロジェクトは、エネルギー省(DOE)科学部の支援で新設される機能的ナノ材料センター(Center for Functional Nanomaterials = CFN)の研究中心課題になる見込みである。同研究チームの理論分析の結果は1月24日の週にJournal of Physical Chemistry Bのウェブに掲載される予定である。(Brookhaven National Laboratory Press Relase, January 24, 2005)

防衛先端研究計画局(DARPA)と国立標準規格研究所(NIST)、マスクレスリソグラフィ支援の縮小を発表

ナノベースの斬新な半導体を製造する為に利用されるマスクレスリソグラフィ(maskless lithography)の研究開発を支援してきた連邦政府2省庁が、下記の通り、同プロジェクト予算の削減を発表した。予算制約がこの削減の主要因であるという。

  • 国立標準規格研究所(NIST) … 2005年には新プロジェクトを行なわず、現行の進行中のプロジェクトを先端技術計画(Advanced Technology Program)を通して引き続き支援していく。
  • 防衛先端研究計画局(DARPA) … マスクレスリソグラフィのプロジェクト支援を2006年で中止とする。

現行技術では、チップを量産する唯一の実用的方法はフォトマスク(photomask)であるが、チップ構成部分が小さくなればなるほど価格が高くなるため、フォトマスクを利用できるのは大規模製造会社のみであり、革新的なチップを少量生産するASIC(特定用途向け集積回路)企業は苦闘を強いられることになる。業界代表等は、マスクレスリソグラフィ開発を推進し、ナノベースのコンピューターチップという振興分野でリーダーシップを確立する為には、政府支援が必要不可欠であり、こうした支援なしでは、米国はヨーロッパや日本他の諸国に半導体産業で遅れをとることになると主張している。(EE Times, January 19, 2005)

Jeffords上院議員、クリーン発電法案を議会に再提出

クリアスカイ法案(上院第131号議案)が再提出 …上院環境・公共事業委員会のJames Inhofe委員長(共和党、オクラホマ州)により1月24日に再提出… されたばかりの上院に、Jim Jeffords上院議員(無所属、バーモント州)がクリーン発電法案(上院第150号議案)を提出した。Jeffords議員のクリーン発電法案は、前議会に提出された法案と概ね同内容であり、クリアスカイ法案よりも窒素酸化物・二酸化硫黄・水銀の排出許容上限を厳しく設定しているほか、二酸化炭素をも規制している。この他、Tom Carper上院議員(民主党、デラウェア州)も、自らの複数汚染物質規制法案を提出する予定であるという。上院の民主党スタッフは、クリアスカイ法案審議の際に、Jeffords法案やCarper法案が修正案として検討される可能性があると語っている。

一方、著名な共和党州知事であるArnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事とGeorge Patakiニューヨーク州知事は、上院環境・公共事業委員会に書簡を送り、州政府が連邦政府規定よりも厳格な汚染削減基準を制定することを認めている現行クリーンエア法の条項を廃止しないよう要請した。(Environment and Energy Daily, January 26, 2005; Greenwire, January 26, 2005)

包括エネルギー法案への関心が議会で再熱、最大のネックはMTBE条項か

連邦議会では包括エネルギー法案可決への関心が再熱したようであるが、Conrad Burns(モンタナ州)・Craig Thomas(ワイオミング州)・Richard Burr(ノースカロライナ州)といった共和党上院議員達は、ガソリン添加物MTBEが法案可決を妨げる障害になるであろうと語っている。彼等自身は包括エネルギー法案を可決させる為にはMTBE問題で妥協する準備があると表明しており、Thomas上院議員にいたっては、MTBE条項の強力な推奨者であるTom DeLay下院議長(共和党、テキサス州)は譲歩すべきだと発言している。

一方、民主党の上院院内総務であるHarry Reid議員(ネバダ州)は、超党派のエネルギー法案を草稿するという上院エネルギー天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)の努力を称賛し、MTBEと北極圏野生生物保護区域(ANWR)の掘削解禁が最大の障害になると認めたうえで、包括エネルギー法案可決に全力を尽くすことを約束している。

また、下院でも若干の政策変更が起こる気配が出ている。下院エネルギー・商業委員会のJoe Barton委員長(共和党、テキサス州)は当初の2005年計画に包括エネルギー法案審議を盛り込んでいなかったが、議会スタッフによると、Barton委員長はこの計画を改訂するものとみられ、Domeniciの包括エネルギー法案に対する下院案が2月中旬までに提出される可能性させ匂わせているという。(Environment and Energy Daily, January 26, 2005)


1月26日号

エネルギー省、自動車エンジンの効率改善プロジェクト提案を募集中

エネルギー省(DOE)が1月14日に、FreedomCARおよび自動車技術プログラムの競争公募を発表した。助成の対象となるのは、自動車エンジンの効率改善R&Dに関与する米国大学、および、大学と提携する研究機関であるが、DOEでは、学究機関が民間部門や国立研究所と提携した研究チームの応募を奨励している。

今回の公募では、(1)エネルギー効率の更に高い内熱機関の開発を推進すること、(2)大学院自動車技術教育(Graduate Automotive Technology Education = GATE)と呼ばれるプログラムの下で将来の自動車エンジニアを養成することを目的としている。高効率内熱機関の開発支援では、(1)低温燃焼;(2)排出制御装置;(3)エンジン効率改善;(4)先端燃料配合物(fuel formulations)という4分野が特に重視されることになる。DOEは、最高6件までのプロジェクトに総額300〜500万ドルの費用分担型グラントを交付する見通しである。一方、自動車エンジニア訓練への支援額は総額250万ドルで、GATEの下で様々な大学に6〜10件のグラントが交付される見込みである。提案の募集締切日は2005年3月10日。(DOE Solicitation Annoucement, January 14, 2005)

ナノテクノロジーに対する輸出規制を検討する大統領諮問委員会

大統領の輸出協議会輸出管理小委員会(President's Export Council Subcommittee on Export Administration = PECSEA)では、他国のナノテクノロジー能力とその競争力、および、ナノテクノロジーが国家安全保障に与える影響を査定評価するため、2005年初旬に評議会を結成する予定であるという。

ナノテクノロジーの中でも、化学兵器や生物兵器他を助長、または、妨害することの可能な製品が、特に厳しい監視対象になると予想されるほか、規制の方は、国際貿易に関する規制から外国人雇用に関する規制まで、幅広いものになる可能性がある。評議会には答申の提出が求められるが、その提出期限は設定されていない。評議会では査定評価やその後の作業に十分な時間をかけるものと見られ、報告書案の完成は2005年末または2006年になると予想されている。評議会の評価結果が大統領の輸出協議会に提出された後で、一般市民にもコメントの機会が与えられる予定である。(Small Times Magazine, January/February, 2005)

上院、Carlos Gutierrez氏を新商務長官として承認

上院本会議は1月25日、発声投票によってケロッグ社の元最高経営責任者であるCarlos Gutierrez氏を新たな商務長官として承認した。商務長官就任後は、商務省予算の約60%を占める国立海洋大気局(NOAA)を同氏がどのように管理していくかが注目の的となる。Gutierrez氏自身も、上院商業委員会における承認審議公聴会で、NOAAが自らにとり、最大の重要課題の一つになると発言している。一方、海洋研究奨励者達は、同分野におけるGutierrez氏の経験不足を指摘し、この指名に懐疑の念を表明していた。(Energy & Environment Daily, January 25, 2005)


1月25日号

使用済み自動車潤滑油から水素生成

フロリダ州ソーラーエネルギー・センター(Florida Solar Energy Center = FSEC)の科学者2名が、使用済み自動車潤滑油から水素を生成するプロセスを開発した。潤滑油は重質な炭化水素(higher hydrocarbon)の複雑な混合物を含んでいるため、熱エネルギーだけでは分解が困難である。FSECのAli Raissi博士とKarthikayan Ramasamy博士が、非常な高温・高圧の水を使用する熱触媒反応炉(thermocatalytic reactor)を建設して、潤滑油の改質を行なったところ、超臨界水を用いた転換方法によって水素を生成することに成功したという。使用済み潤滑油はこれまで、ただの破棄される物質と見なされてきたが、このプロセスによって、水素生成の為の安価な資源として再利用されるばかりか、廃棄物削減にも貢献すると期待されている。(Renewableenergyaccess.com, January 24, 2005)

Ehlers下院議員、製造技術競争力の強化を狙った法案を提出

Vernon Ehlers下院議員(共和党、ミシガン州)が1月6日に、「2005年製造技術競争力強化法案 (Manufacturing Technology Competitiveness Act of 2005)」を提出した。同法案(下院第250号議案)は、(1)連邦政府製造技術研究開発努力の調整;(2)製造部門の技術革新と人材育成を支援する現行計画の強化;(3)製造部門と研究機関との協力の奨励を目的とするもので、下記のプログラムを新設することになる。尚、下記プログラムの調整では、国立標準規格技術研究所(NIST)がリーダー役を務めることになる。

  • 省庁間委員会 … 同法案は大統領に、製造技術研究開発(R&D)における連邦政府の努力を調整する省庁間委員会の創設を義務づけている。同委員会は、ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)・NIST・国土安全保障省(DHS)の技術部・全米科学財団(NSF)・エネルギー省(DOE)の代表者、および、大統領が任命したその他代表者達で構成され、包括的な目標と優先事項を定め、米国製造部門の国際的な競争力を保証する戦略プランを6ヵ月以内に作成するほか、製造技術R&D年次予算を行政管理予算局(OMB)に提案することになる。更に、この省庁間委員会へ答申する組織として、学界・州政府高官・業界代表者等から成る諮問委員会も創設する。
  • 研究グラント・パイロット計画(Pilot research grant program) … 新しい製造工程や製造技術を開発するため、産業界と教育機関、研究機関、州政府、および、非営利団体の間にパートナーシップを構築する。同法案は、初期予算として2008年度まで年間1,000万ドルを認可する。
  • 製造業フェローシップ計画(Manufacturing Fellowship Program) … 同法案により、NISTに製造科学関連のポスドク研究フェローシップ計画が設立されるほか、産業界や高等教育機関で製造科学研究を追求する研究者の為に、シニア研究フェローシップが設置される。同法案は、2009年度までで総額750万ドルを認可する。

同法案の文言は、Ehlers議員が第108議会第2会期に提案した法案に類似しているため、下院では問題なく承認されると予想されるものの、上院における運命は依然として明らかでない。(CQ Bill Analysis, January 20, 2005)

Frist上院院内総務が優先事項トップ10リストを発表、包括エネルギー法案は第10位

上院のBill Frist院内総務(共和党、テネシー州)が、第109議会第1会期における優先審議事項のトップ10を概説した。税制改正や社会保障制度の改革、連邦判事の任命といった議題に続き、包括エネルギー法案の可決が第10位に入っている。上院エネルギー天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)は、包括エネルギー法案の審議再開に対する決意を述べ、前会期で合意を得なかった数件の条項は幾らか手を加えることで解決可能であるため、同委員会は今春までに[上院本会議が]合意可能なエネルギー法案を作成できると期待していると語っている。

一方、上院環境・公共事業委員会のJames Inhofe委員長(共和党、オクラホマ州)と同委員会クリーンエア・気候変動小委員会のGeorge Voinovich委員長(共和党、オハイオ州)が再提出したばかりのクリアスカイ法案の方は、Frist院内総務のトップ10リストに入っていない。環境・公共事業委員会のスポークスマンは、リストから漏れたとはいえ、同法案は依然として委員会およびブッシュ政権の最優先事項と見なされていると主張している。(Environment and Energy Daily, January 25, 2005)


1月24日号

カナダ政府とカナダ鋼鉄工業会、気候変動対応で協力する覚書に調印   

カナダ政府、オンタリオ州政府、および、カナダ鋼鉄工業会(Canadian Steel Producers Association)が1月10日、気候変動への取組で協力するという覚書(MOU)に調印した。この自主的MOUに基づき、カナダの鉄鋼業界は、温室効果ガスの排出削減が鉄鋼業界の競争力を妨害しないという条件つきで、カナダ政府の気候変動コミットメント達成に協力する一方、カナダ政府はこの重要産業の競争力を損ねることのない現実的な排出削減目標を設定することになる。カナダ政府はまた、二酸化炭素排出を抑制、排除、又は、回収する革新的な新プロセスを開発する国際的プログラムにも積極的に参加し、同計画の第1フェーズに30万ドルを拠出することになっている。

同MOUにはオンタリオ州政府が調印しているが、これはカナダの鉄鋼製造業者がオンタリオ州に集中しているためで、オンタリオ州政府は、この協力が同州大気質の改善、および、経済成長に貢献するものと期待しているという。(Natural Resources Canada, January 10, 2005)

環境修復研究に一役かうナノテクノロジー

ローレンスバークレー国立研究所の研究者が、地表で起きる環境汚染物質の反応の動力学(kinetics)をモデリングするために、ナノテクノロジーを活用する研究プロジェクトを開始した。同研究のリーダーであるGlenn WaychunasとCarl Steefelによると、実際の環境と研究室の実験では、汚染物質に起きる反応が異なるが、それは、汚染物質が土壌の粒子にではなく、土壌粒子の被膜(coating)に反応するからであるという。従って、生物地球化学的反応や微生物的反応を真に理解するためには、直径約100ナノメーターという汚染物質の気孔(pore)を観測し、モデリングする必要がある。研究チームは、ローレンスバークレー国立研究所の走査型透過X線顕微鏡(scanning transmission x-ray microscope)を使用して収集したデータをスーパーコンピュータのモデリングに利用するという。このモデリングは、ヤッカマウンテンの核廃棄物施設や汚染した自然帯水層等のプロジェクトに役立つと見られている。同プロジェクトは、全米科学財団(NSF)とエネルギー省(DOE)の支援する、ペンシルバニア州立大学環境動力学分析センター(Center for Environmental Kinetics Analysis)の新プログラムの一環として行なわれている。(Greenwire, January 19, 2005; The Daily Californian, January 19, 2005)

エネルギー長官に指名されたSamuel Bodman、上院での承認間近か

上院エネルギー天然資源委員会が1月19日、Samuel Bodmanのエネルギー省(DOE)長官承認審議公聴会を開催した。Bodman氏(現財務副長官)は公聴会で、(1)北極圏野生生物保護区域(ANWR)の石油掘削解禁;(2)原子力発電R&Dおよび原子力発電所建設の推進;(3)クリーンコール・テクノロジー計画;(4)米国の老化する送電系統への投資を促進するインセンティブ、といったブッシュ政権エネルギー政策への支持を表明したほか、連邦政府公有地における石油・天然ガスの探査と掘削に関しては「均衡のとれた」アプローチを支持すると発言した。また、安定したエネルギー供給は米国経済の「生命線」であるとして、包括エネルギー法案を今議会の最重要課題の一つと見ていることを明言した。共和・民主両党の議員がBodman氏のDOE長官指名を支持しているため、承認審議公聴会は順調に進み、1月末までに承認されるものと予想されている。

エネルギー業界のロビイストやアナリストからは、エネルギー分野の経験を欠く同氏のDOE長官指名に驚きの声があがったが、彼らは、チェイニー副大統領が主要なエネルギー政策問題で引き続き実質的な指揮を取るのだろうと指摘している。ホワイトハウスはこうした推測を否定している。(Environment and Energy Daily, January 20, 2005; Reuters, January 20, 2005)

Whitman元EPA長官、ブッシュ政権の新排出源査定や二酸化炭素決定に光明を投げる書籍を出版

Christie Whitman元環境保護庁(EPA)長官が近々、ブッシュ政権の大気質および球温暖化政策施行方法を批判する"It's My Party too: The Battle for the Heart of the GOP and the Future of America"と題する本を出版する予定である。Whitman女史が2003年6月にEPA長官職を辞任した際には、ブッシュ政権の主要メンバーとの見解の相違を認めはしたものの、対立相手の名前や具体的相違点については慎重に発言を避けていただけに、この新書はブッシュ政権内での重要環境政策対応の実態に光明を投げかけることになる。

Whitman元EPA長官は、新排出源査定(News Source Review = NSR)に関しては、「日常的保守作業(routine maintenance)」の定義が不明確で改正の必要があったと認める一方で、議会共和党指導層がNSRの完全撤廃に固執していたこと、更に、NSRを2001年カリフォルニア州エネルギー問題の根源とみなすチェイニー副大統領のエネルギータスクフォースがNSR問題に自ら取組むことに「格別に熱心」で、Whitman長官に多大の圧力をかけていたことを明らかにしている。また、気候変動問題については、共和党のChuck Hagel上院議員(ネブラスカ州)・Larry Craig上院議員(アイダホ州)・Pat Roberts上院議員(カンザス州)・Jesse Helms元上院議員(ノースカロライナ州)が、発電所に二酸化炭素排出削減を義務づけるというブッシュの2000年選挙公約を撤回するよう圧力をかけていたこと、同件でWhitman長官を不利な立場に追い込んだことをブッシュ大統領が謝罪したこと、大統領が「迫り来る国家エネルギー危機」を考慮すると電力業界に更なる負担をかけるのは賢明ではないと説明したことを回顧している。同著は1月末に出版される予定である。(Greenwire, January 20, 2005)


1月21日号

Martinカナダ首相、京都議定書の目標達成は困難と発言

John Effordカナダ天然資源相が、カナダ政府は経済競争力の維持と京都議定書の目標達成努力のバランスをとることに苦慮していることを示唆した報告書を発表したのに続き、1月19日にはPaul Martin首相が、同国は合意期日までに排出削減目標を達成出来ない可能性があると発表した。産業部門に多大な負担をかけることなく同国の排出を削減する方法として、カリフォルニア州の自動車排出新規制の採用が検討されているものの、これだけで排出目標を遵守することなど不可能である。環境保護者達は、不可能と決め付けてしまえば、目標を達成しようとはしないし、必要な施策をとるわけもないとして、Martin首相の発言は「自己達成の予言(self-fulfilling prophecy)」にほかならないと批判している。(Greenwire, January 20, 2005)

肉眼で見る通りの画像を見せる、新型画像センサー

カーネギーメロン大学のスピンオフ企業であるIntrigue Technologies社の研究者が、全米科学財団(NSF)からのグラントで、ロボットビジョンが自然界の光の明暗を正確に識別することを可能にする新技術を開発した。この革新技術のコアとなるのは、センサーで見る照度面 (illumination field) を推定するためのオンチップ画像処理(on-chip signal processing)技術で、画像をとらえる前にオンチップ計算によって知覚情報を最適化するという。

ロボットビジョンの専門家であるVladimir Brajovic氏率いる同研究チームがオンライン実証試験で、「Shadow Illuminator (チップの回路素子を刺激するソフトウェア)」を使用したシミュレーターを用いて世界中から送られてきた8万以上の画像を処理したところ、明暗のコントラストが鮮明になり、医療用X線フィルムの不鮮明な形状も明らかになったという。このセンサーの用途としては、全自動やロボット介助付きの車椅子用の視覚誘導システムや、インテリジェント交通システム等が考えられている。(NSF Press Release, January 12, 2005)

中小企業庁のトップ課題に浮上した、小規模製造会社支援

米国議会が昨年11月20日に可決し、12月8日に大統領の署名をうけて成立した「2005年度包括歳出予算法」には、「2004年小企業再認可・製造業支援法(Small Business Reauthorization and Manufacturing Assistance Act)」が含まれている。小規模製造会社の繁栄に一層の注意を払うよう中小企業庁 (Small Business Administration = SBA) に指示する同法令には、下記の財政支援条項が盛り込まれている:

  • SBAは、小規模製造業者に最高35万ドルを貸し付ける「エクスプレス・ローン (Express Loan)」という新融資プログラムを設定する。
  • 生産施設が全て国内にある小規模製造会社へのローン貸付最高額を最高400万ドルまで増額する。
  • SBAは、国際貿易で悪影響を受けていると判定された小規模製造業者に対する、生産施設や生産装置の調達・建設・改善・近代化等への最高融資額を175万ドル(現在は125万ドル)まで増額する。
  • SBAは、高等教育機関が調達を検討する際にアクセス可能な、全国小規模製造業者データベースを作成するフィージビリティについて調査する。
  • SBAは、小規模製造業者の懸念に対応するため、新たに小規模製造業者タスクフォース (Small Business Manufacturing Task Force) を設置する。

(Manufacturing & Technology News, January 6, 2005)


1月18日号

コンピュータ・モニターのエネルギー効率基準を引き上げた環境保護庁

新技術の台頭に伴ない、環境保護庁(EPA)ではエネルギー効率の更なる向上を推進するため、多数のEnergy Star製品の基準引き上げを行っているが、コンピュータ・モニターの新基準が2005年1月1日に発効となった。これまでのEPA規定が、「スリープモード」と「オフモード」の場合だけを対象としていたのに対し、新規定ではモニターが「オンモード」の際の最大許容消費電力 (Maximum Allowable Power Consumption) …詳細はhttp://www.energystar.gov/index.cfm?c=computers.pr_crit_computers を参照… 達成も義務付けている。出荷される全モニターの約95%がこれまでのEnergy Star基準を満たしているほか、1月1日発効となった新基準を既に遵守しているモニターも多種でている。EPAでは、新基準によって2010年までに約500万メトリックトンの炭素排出を回避できると推定している。

今回のEnergy Star基準改定は、欧州連合(EU)のモニター仕様にも反映される。これはEUとの既存協定の一環として行われるもので、EPAにとっては初めてのEUとの改訂調整努力となる。モニター基準改定で成功したEPAは、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス器、コンピュータ他の事務機器のエネルギー効率基準の強化を既に検討中であるという。(EPA News Brief, January 5, 2005)

北米環境協力委員会、北米3国の発電所からの大気汚染を比較分析した報告書を発表

北米環境協力委員会(Commissions for Environmental Cooperation of North America = CEC)が、米国・カナダ・メキシコ3国の化石燃料火力発電所から放出される排出に関する報告書を発表した。『北米発電所の大気排出量(North American Power Plant air Emissions)』は、2002年に北米で1,000ヶ所を超える化石燃料発電所から放出された窒素酸化物(NOX)・二酸化硫黄(SO2)・水銀・二酸化炭素(CO2)を調査したもので、北米全体の排出目録策定に向けた第一歩と評価されている。

同報告書は、北米3ヶ国が自国特有の燃料ミックスと発電技術ミックスを有していることを指摘している。米国が電力の約半分を石炭で発電しているのに対し、メキシコは3分の2以上を石油と天然ガスで発電しているため、石炭での発電量は約8%にすぎない。また、カナダの場合は水力発電が大半を占めている。石炭火力発電所が北米電力部門に占める割合は44%に過ぎないものの、汚染物質排出量では、NOX排出の90%、SO2排出の86%を放出している。3ヶ国の燃料ミックスに見られる石炭依存度の相違は、各国の電力部門からの排出が自国総排出量に占める割合に顕著に体現されていると言える。

カナダ
メキシコ
米国

二酸化炭素(CO2)

20%
55%
69%

窒素酸化物(NOX)

11%
27%
22%

水銀

25%
3%
40%

二酸化炭素(CO2)

22%
30%
39%

CECのWilliam Kennedy理事は、多数の発電所が汚染削減新技術の設置に取組んでいることを指摘し、今回の報告書が北米のベンチマークとして、今後の環境面での進展や業績の証明に役立つであろうと語っている。(CEC News Alert, January 11, 2005)

マサチューセッツ州の大学、ナノスケール製造技術の研究で全米科学財団からグラント受領

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が製造業の基盤強化努力の一環として、マサチューセッツ大学ロウエル校(UMass-Lowell)に1,240万ドルのグラントを交付した。UMass-Lowellの高速ナノマニュファクチャリング・センター(Center for High-Rate Nanomanufacturing)は、ニューハンプシャー大学およびノースイースタン大学と共同で、ナノスケール製造技術の研究を実施する予定である。

UMass-Lowellプラスチック工学科のJoey Mead教授は、同プログラムの目標の一つが、ナノテクノロジーを職場に効率的に統合する方法を探って雇用を創出することにあると発言している。また、同プログラムの関係者の中には、この研究がUMass-Lowellの評判を高めるために非常に有効であると評価するものが多いため、UMass-Lowellでは、今回のグラント受賞とセンターの有望な将来を市民に知らせるために、テレビを利用した宣伝キャンペーンも開始した。こうした広告と増大するセンター予算により、大学生・大学院生の参加が大幅に増大することを期待しているという。(Small Times, January 14、2005)


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