NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年12月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月14日号

カリフォルニア州知事の設置した気候行動チーム、同州の気候変動対応策を提言

Arnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事(共和党)は2005年6月1日、温室効果ガス排出を2010年までに2000年水準、2020年までに1990年水準、そして、2050年までに1990年水準の80%減まで削減することを求めるに行政命令S-3-05に署名し、同州が気候変動問題への対応でリーダーとなることにコミットした。この目標達成に向け、Schwarzenegger州知事は同州環境保護庁長官に、関連省庁の代表から成る気候行動チーム(Climate Action Team)を形成して、州全体として進捗状況に関して報告し、実行可能な気候変動政策を提言するよう指示していた。2005年12月8日に気候行動チームが発表した報告書草案『州知事と州議会に対する気候行動チーム報告書(Climate Action Team Report to the Governor and Legislature)』は、向こう2年間の政策指針ツールとして利用されることになる。

同チームの報告書案は、2010年までに温室効果ガス排出を2000年水準まで削減するために「必須」な4つの提言を挙げている:

  • 温室効果ガス排出報告の義務付け
  • ガソリン、原油他の在来型燃料や石油製品への追徴金
  • 企業や大学における温室効果ガス排出削減技術の開発を奨励するように、州政府年金制度やエネルギー研究基金といった州政府の投資プログラムを調整
  • 温室効果ガス排出削減に向けた企業の早期行動を奨励するインセンティブの実施

(California Environmental Protection Agency News Release, December 8, 2005)

環境保護庁、ナノテクノロジー白書の草案を発表

環境保護庁(EPA)の科学政策委員会ではヒトの健康や環境を確実に保護するため、ナノテクノロジー技術の進歩に伴なって対応が必要となる問題を確認するナノテクノロジー作業部会を2004年12月に庁内に設置したが、この作業部会の草稿した『ナノテクノロジー白書:外部レビュー用草案(External Review Draft Nanotechnology White Paper)』が2005年12月2日に発表された。EPAでは、同草案に対して一般からのコメントを2006年1月9日まで受け付け、白書草案のレビューを担当する外部の独立専門家にこれらのコメントを送って検討を求める予定であるという。

この白書草案は、(1)ナノテクノロジーの最新技術動向を説明し;(2)ナノテクノロジーのもたらし得る環境面でのベネフィット、および、持続可能な資源利用を推進する応用方法を検討し;(3)リスク管理問題やEPAの法定義務(statutory mandates)を概説しているほか、(4)ナノテクノロジーの環境目的利用、および、人体や環境への影響という、双方の研究ニーズを確認し;(5)科学政策問題や研究ニーズに対応するための次のステップについて提言している。白書の主要提言は下記の通り:

1. 汚染防止と環境管理 … ナノ材料の製造・利用において、汚染防止、持続可能な資源利用、適切な製品管理を推進するアプローチを奨励、支援、策定するために、資源や専門知識を投入すべきである。EPAは更に、新たな「次世代」ナノテクノロジーを利用して、グリーンエネルギーやクリーン製造技術といった環境上有益なアプローチを支援する方法を確認すべきである。

2. 研究 … EPAの政策決定ニーズに対応するため、下記の研究を実施すべきである:

  • 環境技術への応用: 研究開発部(Office of Research and Development = ORD)は、(i)環境管理技術や修復技術に使用されるナノ材料の構造的特性を活用することにより汚染物質の捕獲または破壊を助長する研究でリーダーシップを取り;(ii)既存の化学的・生物的汚染を測定・監視する、ナノテク利用デバイスの開発で指導的役割をとるべきである。ORDはまた、ナノテクノロジー利用に伴うリスクの調査でEPAの他部署と協力し、環境用途に使用されるナノ材料やナノ製品の性能確認で業界パートナーと協力すべきである。
  • ナノ材料の運命(fate): ORDは、(i)化学物質で汚れた土壌の修復に使用されるナノ材料の運命を査定評価する研究;(ii)大気中の多様なナノ粒子の安定性に関する研究;(iii)土壌や水溶液中でのナノ材料の分解に関する研究でリーダーシップをとるべきである。また、ナノ材料の物理化学的特性が環境に及ぼす影響についての報告書を策定すべきである。
  • ヒトや生態に影響を与えるナノ材料の検出と分析: ORDは、国立衛生安全研究所(NIOSH)、国防省、産業界および学界と協力して、現行の環境検出方法および技術のナノ材料への応用を査定評価する報告書を策定すべきである。また、標準的なナノ材料サンプリング・分析方法の策定を指導すべきである。
  • ナノ材料の放出と被ばく: 汚染防止・毒物部(Office of Pollution Prevention and Toxics = OPPT)は、ナノ材料の物理化学的特性が放出や被ばくに及ぼす影響を評価するため、文献調査を実施すべきである。OPPTはまた、様々な種類のナノ材料に対して、リスク評価ニーズを定義する指針の策定を指導すべきである。
  • ヒトの健康への影響評価: ORDは、現行のテスト方法がナノ粒子テストに応用可能であるか否かを判断する研究で、予防・殺虫剤・毒性物質部(Office of Prevention, Pesticides and Toxic Substances = OPPTS)と協力すべきである。ORDはまた、ナノ材料またはその副産物への直接被ばくに起因する健康面での影響を判定する研究で、EPAの他部署と協力すべきである。
  • 生態への影響評価: ORDは、ナノ材料の生態系内分布に関する研究を指導すべきである。ORDは、ナノ材料またはその副産物への直接被ばくが魚類・鳥類・両生類・爬虫類・植物・微生物に及ぼす影響を判定するため、他の関連部署と協力すべきである。

3. リスク評価 … EPAは、幾つかの人造ナノ材料についてケーススタディを行うべきである。

4. 協力とリーダーシップ … EPAは、ナノ材料の用途、および、それがヒトの健康や環境に及ぼし得る影響に関し、協力を継続・拡大すべきである。

5. 庁内作業部会 … EPAは、ナノテクノロジーの科学的・政策的問題に関する情報シェアを促進するため、常任の庁内グループを招集すべきである。

6. 訓練 … EPAは、科学者やマネジャー対象のナノテクノロジー訓練活動を継続・拡大すべきである。

EPAでは、ナノテクノロジー白書の最終案を2006年初旬に発表する予定であるという。(EPA News Release, December 7, 2005)


12月13日特別号

12月6日に商務省で行われた「競争力に関する米国サミット」

「競争力に関する米国サミット(National Summit on Competitiveness)」が2005年12月6日、米国エレクトロニクス協会(American Electronics Association = AeA)、競争力審議会(Council on Competitiveness = COC)、ビジネス・ラウンドテーブル(Business Roundtable)、全米製造業者協会(National Association of Manufacturers = NAM)、北バージニア技術評議会(Northern Virginia Technology Council)、および、ジョージメーソン大学の共催によって、商務省で開催された。

グローバリゼーションが進む中、米国はもはや、世界経済トップの座にあることを当然と考えることは出来なくなっている。他諸国が自らの科学技術インフラストラクチャーへ多額の投資を行ない、競争力をつけてきているのに対し、米国の基礎研究投資は停滞し、コンペティティブ・エッジ(競争力の優位性)は低下している。こうした現状を憂慮した民間部門はこの1年間に、競争力問題に関して様々な報告書を発表しており、同サミット共催者も下記の報告書を公表している:

  • COCの『Innovate America(通称、パルミサーノ・レポート)』(注1)(2004年12月)
  • AeAの『Losing the Competitive Advantage』(2005年2月)
  • ビジネス・ラウンドテーブルの『Tapping America's Potential』(2005年7月)
  • NAMの『Looming Workforce Crisis』(2005年9月)

また、民間部門のこうした一連の報告書を基に、全米アカデミー(National Academies)も報告書を策定し、2005年10月に『Rising above the Gathering Storm』を発表している。

世界的な競争力争覇戦の深刻さを米国政府の政策策定者と直に議論し、イノベーションにおいて米国のリーダーシップを維持するために必要な行動指針を促進することを目的として開催された同サミットは、こうした産学リーダーの努力の賜物ともいうべきもので、サミットには企業や業界団体、大学や研究機関から約55名、教育省、エネルギー省、労働省、商務省の各長官と商務副長官、全米科学財団(National Science Foundation)総裁、および、共和党下院議員数名(注2)が参加した。サミット参加者は、米国経済にとってのイノベーションの重要性、および、将来のイノベーションを促進する連邦政策の必要性について討議した。サミットの提言は 『競争力に関する米国サミット:米国イノベーションへの投資(National Summit on Competitiveness: Investing in U.S. Innovation)』という白書に詳述されている。提言の概要は下記の通り:

タスク1: 基礎研究の再活性化

(1) 長期的基礎研究への連邦政府投資を今後7年間、年率10%づつ増額。特に、物理科学、工学、数学に重点をおく。

(2) 研究に携わる連邦省庁予算の最低8%を、高リスクで高ペイオフのプロジェクトに焦点をあてる自由裁量予算へ配分。

タスク2: 米国内のイノベーション人材プール(talent pool)を拡大

(1) 2015年までに、理数工学系の学士号を取得する米国人学生の数を倍増し、K-12の科学・数学教師となる学生数を倍増。

(2) 米国コンペティティブ・アドバンテージの増強に必要な理数工学系の知識と技術を持つ外国人の勉学と就職を可能にするよう、米国移民政策を改正。

(3) あらゆるレベルの米国人学生に理数工学分野の勉学や就職を奨励する産官パートナーシップの創設にインセンティブを提供。

タスク3: 先進技術の開発・導入で世界をリード

(1) 米国のエネルギー自立、国家安全保障、そして、国土防衛といった国家重要ミッション、および、経済的リーダーシップの維持に役立つ技術の開発・導入を促進する努力に重点的に予算を提供。これには、ナノテクノロジー、高性能コンピューティング、エネルギー技術が含まれる。

注釈:

1:同報告書の概要については、「国家イノベーション・イニシアティブの報告書 『Innovate America(通称、パルミサーノ・レポート)』(概要)」を参照されたし。

2:民主党議員は一人も参加していないが、その理由は、サミット主催者によると、同イベントが民間部門主導の非政治的会議のためであるという。


12月9日号

世界の大企業数社が再生可能エネルギー調達量を拡大すると発表

世界資源研究所(World Resources Institute = WRI)は、WRIのグリーン電力市場開発グループ(Green Power Market Development Group)に参加する企業が新たに、185 メガワットの再生可能エネルギー調達およびプロジェクトにコミットメントしたことを発表した。これにより、同グループの再生可能電力は総計で360メガワットとなり、グリーン電力1000メガワットという目標の実現に向けての前進となった。2005年のプロジェクトおよび電力調達は全米15州に及ぶ140以上の施設でおきている。主要なものは下記の通り:

  • アルコア社が、テネシー州東部のTapoco水力発電所に42メガワットの発電容量を追加
  • スターバックス・コーヒー社が、年間1億5,000万KWhのGreen-e認可を受けた風力REC(renewable energy certificate:再生可能エネルギー証書)を購入
  • IBM が、年間9,600万KWhのGreen-e認可済み風力RECを購入
  • ネイチャーワークス社が、年間5,900万KWhのGreen-e認可済み風力RECを購入
  • デュポン社、ゼネラルモーターズ社、IBM社、Johnson & Johnson社、および、Staples社が2.2メガワットのオンサイト太陽光発電システムを設置
  • FedEx Kinko社、Interface社、および、Pitney Bowes社が、7メガワットの再生可能エネルギーとRECの購入を誓約

(WRI News Release, December 1, 2005)

エネルギー省と環境保護庁、エネルギー使用合理化を奨励するリーダーシップ・グループを新設

エネルギー省(DOE)と環境保護庁(EPA)は12月2日、エネルギー使用合理化を奨励する国家戦略の策定および実施を担当するリーダーシップ・グループ(leadership group)の設置を発表した。同グループは、州政府や地方自治体の政策策定者、省庁、業界、消費者、および環境保護団体など、数々の利害関係者で構成され、共同委員長は、アイオワ公益事業委員会のメンバーであるDiane Munns女史とCinergy社のJim Rogers理事長が務めることになる。

リーダーシップ・グループでは、様々なレベルで成功を収めているエネルギー使用合理化政策プログラムを検討し、これらのプログラムの成功の要素を特定した上で、その要素を政策やプログラムへの提言として戦略に組み込んでいく意向であるという。リーダーシップ・グループの見積によれば、同グループの策定する最終的なプログラムによって、今後15〜20年でエネルギー費を2,000億〜3,000億ドル節減することができるほか、電力会社のエネルギー使用合理化への投資資金を「大幅に増額」できるという。(EPA News Release, December 2, 2005)

米航空宇宙局(NASA)、スペースシャトルで行っている貨物・人員輸送業務の外注先を募集中

米航空宇宙局(NASA)は国際宇宙ステーションに貨物や人員を輸送する業務を民間企業に外注することを先頃決定し、3機のシャトル(いずれも2010年に操業を終える)で現在行われている輸送業務を請け負う業者の入札公募を2005年12月6日に発表した。

ロッキード・マーティン社やボーイング社のような航空宇宙業界の最大手も検討の対象だが、多くの新興企業もNASAの請負に関心を表明している。関心のある企業は、2月10日までにNASAに入札する。NASA は5月までに1件またはそれ以上の契約を結ぶ予定で、同プログラムの初期段階(2010年まで)のコストとして5億ドルを割り当てている。(Reuters, December 7, 2005)


12月8日号

Nancy Pelosi下院民主党院内総務、下院民主党の『イノベーション・アジェンダ』を発表

Nancy Pelosi下院民主党院内総務(カリフォルニア州)は11月15日にNational Press Clubで、民主党下院議員が作成した『イノベーション・アジェンダ:米国NO.1を保持する競争力へのコミットメント(The Innovation Agenda: A Commitment to Competitiveness to Keep America #1)』を公表した。 『イノベーション・アジェンダ』では、商務省の先端技術計画(Advanced Technology Program = ATP)と製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)の予算倍増を要求しているが、これは、革新的なアイディアが財政支援や技術支援の不足のために商品化に至らずに朽ちてしまう「死の谷(valley of death)」に架け橋を構築しようという努力の一環であるという。

同アジェンダの目標は、(1)科学、数学、工学、情報技術という重要分野における熟練労働者を育成し;(2)官民パートナーシップを促進する研究開発イニシアティブへの連邦政府投資を維持し;(3)ブロードバンド技術への手頃なアクセスを全国民に保証し;(4)10年以内にエネルギー自立を確立し;(5)小企業にイノベーションと雇用創出を鼓舞するツールを提供することであるという。『イノベーション・アジェンダ』はこうした目標を達成するために、下記の提案を行っている:

(1) 新世代イノベーターの育成

  • 向こう4年間で10万人の科学者、エンジニア、数学者を育成するため、州政府や大学および企業と協力して、イノベーション部門での就職を望む優れた学生に奨学金を提供する。
  • K-12の数学・科学の授業担当者として質の高い教師を確保するため、有能な学生に学費援助を提供し、数学・科学分野の著名な教育者の給与を優遇する。
  • 博士課程およびポスドクレベルで科学、テクノロジー、工学、数学を専攻する最も優秀で聡明な外国人学生の為に特別ビザを設ける。
  • 数学や科学、テクノロジーや工学を学ぶ学生の学費を税控除の対象とする。

(2)研究開発(R&D)コミットメントの維持

  • 全米科学財団(National Science Foundation)の予算を倍増し、防衛先端研究計画局(DARPA)の長期的な基礎研究アジェンダを復活させる。
  • 技術革新および新産業の開発のため、一流リサーチャーの目に留まるような優良基礎研究センターを各地域に創設し、連邦政府や大学の既存研究施設を近代化する。
  • 国内投資を拡大し、国内雇用を創出し、企業が安心して長期プロジェクトを行なえるように、R&D税控除を近代化・恒久化する。

(3)5年以内に全ての米国民にブロードバンドへの手頃なアクセスを提供

  • 連邦政府ブロードバンド推進予算の倍増を含む、国家ブロードバンド政策を実施する。
  • 既存および新規インターネット提供業者の投資を奨励する、安定した規制枠組みを提供する。
  • 田舎やサービス提供の遅れている地域でブロードバンド普及に携わる通信事業者のために、ブロードバンド税控除を制定する。

(4)エネルギー自立を10年で確立

  • エタノールを始めとするバイオベース合成燃料の製造・流通を急速に拡大し、マルチ燃料車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、バイオディーゼル車の為の新型エンジン技術を採用することによって、石油ベース燃料の使用を大幅に削減する。
  • 革命的なエネルギー技術の開発に必要な基礎研究に予算を供与し、そうした技術の市場を構築するため、エネルギー省(DOE)内にDARPA型のイニシアティブを新設する。

(5)小企業のイノベーションを推進する競争環境の確立

  • ATPとMEPの予算倍増、中小企業革新研究計画(SBRI)の近代化等によって、革新的アイディアを破壊する「死の谷」に橋をかける。
  • 米国人イノベーターの知的財産権を全世界で保護し、特許制度を強化する。
  • 国民皆保険制度を導入する。手初めに、小企業による従業員健康保険を奨励し支援するため、小企業に50%の税控除を提供する。

(Manufacturing & Technology News, November 30, 2005; Democrats' Innovation Agenda)


12月7日号

FutureGenプロジェクトが正式にスタート

エネルギー省(DOE)のSamuel Bodman長官は12月6日に、未来の無公害化石燃料発電所のプロトタイプとなる275メガワット級FutureGen発電所の建設で、DOEと非営利団体のFutureGen Industrial Allianceが合意書を交わしたと発表した。アメリカン電力、BHP Billiton社、CONSOLエネルギー社を始めとするFutureGen Industrial Allianceのメンバー8社が、同プロジェクトに2億5,000万ドルを拠出するという。

この発表はFutureGenプロジェクトの公式なスタートを意味するもので、同Allianceは下記のスケジュールでプロジェクトを進める予定であるという:

  • 2006年初旬に、立地場所の公募を開始
  • 2006年中盤までに、最適格候補用地のリストを作成
  • 2007年中盤から終盤に、立地場所を最終決定
  • 2012年を目途にFutureGen発電所の運転を開始

(DOE News Release, December 6, 2006)

ウッドローウィルソン国際センター、ナノテクのリスクを研究するプロジェクトのデータベースをオンライン化

ナノテクノロジー分野が成長するにつれ、ナノテクの健康面・安全面への影響に関する研究も増えている。ナノテクノロジーのリスクを研究するプロジェクトを200以上集めたデータベースが、ウッドロー・ウィルソン国際センターの新興ナノテクノロジー・プロジェクト(Project on Emerging Nanotechnologies)のホームページで11月29日からオンライン化された。同センターの主席科学アドバイザーであるAndrew Maynard博士によると、この種のデータベースとしてはこれが最も包括的な目録になるという。

同センターのデータベースは、米国政府資金で行なわれている現行研究プロジェクトの約90〜95%を網羅しているほか、欧州連合、ドイツ、英国、カナダ、および、台湾政府の支援する幾つかの研究プロジェクト、および、民間部門の研究プロジェクト数件も含んでいる。

米国政府は2005年度のナノテクノロジー研究開発予算には10億ドル以上を計上しているものの、リスク研究には約3,800万ドルを充当したにすぎない。産業界と環境保護団体は、ウッドロー・ウィルソン国際センター作成のこのデータベースが環境面でのリスク、および、これまで見過ごされていた分野への投資に拍車をかけることを期待しているという。Maynard博士は、同データベースに列挙された動物毒性研究の大半が肺を対象としたもので、皮膚や脳を扱っているものが数件しかないこと、更に、様々なナノ材料が消化器系統へ与える影響を調査したものは皆無であることを指摘している。(New York Times, November 29, 2005)

Domenici上院議員、包括エネルギー法案の第2号はありえないと発言

上院エネルギー・天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)によると、今年8月に成立した包括エネルギー政策法には幾つかの短所があるために、包括エネルギー法案の第2号を草稿するという話を耳にしてはいるが、あくまでも話であって、上院が包括エネルギー法案の第2号を検討することなどは有りえないという。

米国議会は2005年エネルギー政策法の成立まで5年という歳月をつぎこむことになったが、この理由として、(1)エネルギー問題は地域性が強く;(2)エネルギーが国家、州政府、地域レベルの経済に非常に重要であり;(3)エネルギー政策には環境面の懸念が伴なうことが挙げられる。エネルギー政策には各上院議員の選挙区や様々な特別利益団体の利害が絡むために、コンセンサス作りが非常に困難なのである。

議会は2005年エネルギー政策法の不足を補なうため、新たな包括法案を検討するのではなく、むしろ、(1)気候変動;(2)核廃棄物;(3)連邦管轄大陸棚(outer continental shelf)の開発;(4)企業平均燃費(CAFE)基準、に関する個別法案の審議・可決に力をいれるであろうとDomenici委員長は語っている。(Roll Call, December 5, 2005)


12月6日号

Millennium Cell社、燃料電池と水素バッテリー技術の評価で、米陸軍からSBRIコントラクトを獲得

米陸軍の戦車自動車・兵器部隊(Tank-automotive and Armaments Command = TACOM)が11月30日、水素バッテリー技術開発のトップ企業であるMillennium Cell社に中小企業革新研究(Small Business Innovation Research = SBRI)の第1期コントラクトを授与した。同社では、様々な不純物を含む水を用いて5キロワット級固体高分子型(PEM)燃料電池を水素バッテリー技術と共に作動させる可能性について査定評価することになる。Millennium Cell社が実施した予備テストは、塩水他の非飲料水が同社製Hydrogen on Demand(R)技術での使用に適する可能性があることを示しているという。

PEM燃料電池と水素バッテリー技術が不純水でも作動可能となれば、軍隊は水素化ホウ素ナトリウム(sodium borohydride)燃料を現地まで輸送し、これを現地の水と混合して使用することが出来るため、軍隊の供給網で取り扱う重量が大幅に削減されるものと期待されている。(Millennium Cell, Inc. News Release, November 30, 2005)

Bingaman上院議員、気候変動法案を2006年早々に議会へ提出する意向であると発言

Jeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)は11月30日、未来の為の資源(Resources for the Future = RFF)がニューヨーク市で開催した排出権取引と気候変動に関する会合で基調演説を行ない、2006年早々にも新たな気候変動法案を議会に提出し、同問題を2006年選挙の主要課題に押し上げていく意向であると発言した。

Bingaman上院議員が今年の夏に草稿した気候変動法案は、全米エネルギー政策委員会(National Commission on Energy Policy = NCEP)の提言に基づいたもので、(1)絶対削減値ではなく、経済成長に比例した排出削減に基づいて気候変動プログラムを設定し;(2)気候変動プログラムのコストを抑制する「安全弁(safety valve)」を盛り込み;(3)米国政策を調整するため、他国の政策を5年毎に見直す、という内容であった。今年6月の上院本会議におけるエネルギー政策法案に関する審議では、Bingaman議員のこの草案は採決にまで至らなかったものの、やはり同議員の提出した「気候変動規制の義務づけを原則として支持する」というSA866号議案の方は発声投票で可決されたという経緯がある。

RRF主催の同会合でBingaman上院議員は、John McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)とJoseph Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)の共同提案を始めとする幾つかの法案は厳格な排出削減を求めているため、義務的プログラムをここ2〜3年で成立させようというのであれば、政治的に可能性のあるオプションはNCEPプランに沿ったプログラムしかないと発言した。Bingaman議員はまた、北東部や西部の諸州による独自の気候変動対応努力を評価したものの、こうした州政府努力の推進が全国的アプローチの合意を遅らせる可能性があるという懸念も表明している。

同会合は、欧州連合と米国からの参加者に、[欧州と米国における]排出権取引および気候変動政策の先頃の進展をさらに理解してもらうことを目的として開催された。(Inside EPA Weekly, December 2, 2005)


12月5日号

フロリダ州が水素研究プロジェクトのデータベースを公表

フロリダ州の環境保護局(Department of Environmental Protection)とフロリダ州ソーラーエネルギー・センター(Florida Solar Energy Center)が先頃、「H2 フロリダ」という同州水素イニシアティブの一貫として、州内で実施されている水素研究プロジェクトのデータベースを公表した。この種のものとしては初の試みとなる同データベースでは、フロリダ州内の私立と国公立の大学が実施するプロジェクトを列挙しているほか、こうしたプロジェクトを随時更新し、大学の新たなプロジェクト、および、産業界や政府機関によるプロジェクトも徐々に追加していく予定であるという。

このデータベースは、フロリダ州水素研究プロジェクトの主導団体と資金提供元も記載しているため、水素を同州エネルギー源として現実化することに献身する研究者や産業界パートナーに重要な資源を提供するものと期待されている。

データベースにはhttp://dbase.fsec.ucf.edu/pls/hr/hr.hr_main からアクセスできる。

(RenewableEnergy Access.com, December 2, 2005)

環境保護庁の諮問委員会、ナノテク規制のタイムフレームは答申しない方針

ナノテクノロジーの自主的データ報告プログラムの策定方法を環境保護庁(EPA)に答申する米国汚染防止・毒物諮問委員会(National Pollution Prevention and Toxics Advisory Committee = NPPTAC)のナノ材料に関する特別作業部会では、規制公布のタイムフレームを提言しない意向であると伝えられている。NPPTACの産業界メンバーによると、特別作業部会が草稿している書簡は、規制枠組み実施タイムフレームの策定をEPAに委ねる内容になっているという。

特別作業部会の原案ではEPAに、自主的データ報告プログラムの開始12ヵ月後にはナノ粒子に関する規制を提案するよう提言していたというが、このタイムフレームは産業界の圧力によって土壇場で削除されることになった。NPPTACの特別作業部会は、12月7日から首都ワシントンで行なわれる経済協力開発機構(OECD)化学委員会の会合までに、最終提案をEPAに呈示する予定である。(Inside EPA Weekly, December 2, 2005)

外部燃料タンク断熱材のヒビにより、更なる打ち上げ延期の可能性がでてきたスペースシャトル

米航空宇宙局(NASA)の内部メモによると、スペースシャトル「ディスカバリー」の外部燃料タンクの断熱材に先頃見つかったひびは、「許容できない安全への脅威」である恐れがあるため、NASAがシャトルの打ち上げをさらに延期する可能性が出てきた模様である。先月上旬に行われた検査で、電線と液体水素配管のPALランプ(打ち上げ中の風除けとなるフォーム配管カバー)に縦方向のひびが見つかっている。

NASAは今年7月の打ち上げ中に、シャトルの外部燃料タンクのPALランプから1ポンドほどのフォーム断熱材が脱落して以来、ディスカバリーの打ち上げを延期している。N. Wayne Haleシャトル・プログラム・マネージャーと彼のチームは現在、この損傷を修理すべきか、PALランプをすべて取り外すべきか検討している。後者の方針が採られた場合(その確率の方が高い)、シャトルの次回打ち上げは現行予定より4ヶ月以上遅れ、来年秋まで持ち越される可能性がある。(Washington Post, December 2, 2005)


12月2日号

ワシントン州とメイン州、カリフォルニア州の自動車排出基準を採択

ワシントン州のChristine Gregoire州知事(民主党)が11月30日に、自動車から放出される温室効果ガス(GHG)排出の削減を義務付けるカリフォルニア州基準を自州基準として採用することを認める法案に署名した。新規制は2009年に発効となり、同州で販売される新型の乗用車と軽トラックにGHG排出の30%削減を義務付けることになる。但し、ワシントン州の法令が発効するのは、隣のオレゴン州が同基準を採択した場合という条件つきとなっている。Gregoireワシントン州知事によると、Ted Kulongoskiオレゴン州知事(民主党)はカリフォルニア基準を支持しており、近々(2005年終盤から2006年序盤に行われる予定)に採択される見込みであるという。

一方、メイン州の環境保護委員会も12月1日に、自動車GHG排出の削減を義務付ける規制を満場一致で承認している。これによってメイン州は、連邦規制よりも一層厳格なカリフォルニア州排出規制を採択する全国6番目の州 …カリフォルニア、ニューヨーク、バーモント、オレゴン、ワシントンに続く… となった。メイン州の規制は2009年に発効し、自動車のGHG排出を2016年までに30%削減することになる。

米国の主要自動車メーカーは、州政府には連邦基準を覆すような燃費規制を実施する権限はないと主張し、メイン州の規制にも反対の立場を表明している。(Greenwire, December 1, 2005)

政府説明責任局(GAO)、電気事業再編努力の現状を報告

政府説明責任局(Government Accountability Office = GAO)は下院政府改革委員会のDarrell Issaエネルギー・資源担当小委員会委員長(共和党、カリフォルニア州)に、米国電気事業再編成の状況を調査した『電気事業の再編成:残る重要課題(Electricity Restructuring: Key Challenges Remain)』という報告書を提出した。

下院政府改革委員会の要請で作成された同報告書は特に、(1)電力業界と卸売電力市場の再編成の為に連邦政府が実施した施策;(2)再編成開始以来の電力市場の変化;(3)電気事業再編成において残された重要課題、について情報を提供している。連邦政府は過去13年間、卸売電力市場の競争活発化を目標として、電力業界を再編成するために様々な施策を講じ、(i)規制担当者ではなく市場による電気料金の設定;(ii)電力供給構造の変化;(iii)電気需要者の市場参加;(iv)電力業界の監視体制の変更、を成し遂げている。

報告書によると、こうした変化は卸売電力市場の競争促進という好成果をもたらした一方で、一時的な料金高騰といった否定的な結果も招いたという。GAO報告書は、現在も進行中である電気事業再編成のベネフィットを最大限とするためには、下記の重要課題を解決する必要があると指摘している。

  • 卸売市場の機能改善と細分された状況の改善
  • 適切なインフラを確保するために、より明確で一貫性のあるメッセージを投資家に送ること
  • 低廉な市場価格を確保するための、卸売市場と小売市場をつなぐ消費者需要プログラムを増やすこと
  • 連邦当局による監督をより一貫性のあるものとし、監督の細分化を矯正すること

(GAO, November 2005)


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