NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年2月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

2月14日号

水素燃料電池自動車に先立って実用化が期待される、水素燃料電池フォークリフト

ゼネラル・モーターズ・カナダ(GM)とHydrogenics社が、カナダ持続可能な開発技術(Sustainable Development Technology Canada)からのグラント145万(カナダ)ドルを利用して、オンタリオ州オシャワ市のGM自動車製造工場で水素燃料電池フォークリフトの実証試験を行なっている。Hydrogenics社は、燃料電池フォークリフトを開発・実証・商用化するコンソーシアムのリーダーで、コンソーシアムには、Deere & CompanyやFedExカナダ、GMカナダやNACCO Materials Handling Group、および、カナダ運輸用燃料電池同盟がメンバーとして名を連ねている。Hydrogenics社では、産業用車両部門の方が、水素燃料補給所の施設内設置が容易であることが一因となり、一般の自動車部門よりも早く水素燃料電池技術を採用する可能性があると指摘している。(RenewableEnergyAccess.com, February 3, 2005)

気候変動法案の支持層拡大を目指し、草の根活動を開始するMcCain上院議員とLieberman上院議員

John McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)とJoe Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)が2月10日、温室効果ガス排出を2010年までに2000年水準まで削減し、産業界の二酸化炭素排出権取引制度を確立し、排出削減技術の開発を推進するという内容の「気候管理法案 (Climate Stewardship Act)」を上院に再提出した。

同法案は2003年に上院本会議の採決にかけられ、43対55票で否決されている。昨年11月の選挙で、当時同法案に賛成票を投じた上院議員4名に代わり共和党議員が当選したため、この法案が今回可決される見込みは2003年よりも低いと考えられている。従って、McCain議員とLieberman議員は同法案提出を契機として草の根活動を活発化させ、地球温暖化について市民を啓蒙するため一連の「公開会合」を開催する計画のようである。John Kerry上院議員(民主党、マサチューセッツ州)も2月9日にブルッキングズ研究所で講演し、気候変動に関する市民の認識を高めるため、現在よりも組織だった草の根活動の必要性を呼びかけていることからも、国民の支持を獲得するというアプローチは先頃の動向であると言えるようだ。

同法案再提出の発表をうけ、環境保護団体と産業界グループがこの法案の経済的影響について相反する推定を発表している。天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council) が、エネルギー効率の向上およびエネルギー価格の低下等で建設・医療他の分野の雇用が増える為、向こう20年間で80万以上の雇用が創出されると推定しているのに対し、United for Jobsは、電力価格が最高10%、石油製品価格が16%高騰する為、60万以上の雇用が失われるという推定を出している。(Greenwire, February 11, 2005)

下院歳出委員会、大規模な小委員会再編計画を発表

下院歳出委員会のJerry Lewis委員長(共和党、カリフォルニア州)が2月9日、Tom Delay下院議長(共和党、テキサス州) の提案した大規模な小委員会再編計画を進める意向であると発表した。Delay提案は、小委員会の数を現在の13から10に削減するというもので、エネルギー、環境、および、科学関連の省庁が合理化の対象となっている。詳細は下記の通り:

  • 環境保護庁(EPA)とホワイトハウス環境問題委員会(Council on Environmental Quality)は、復員軍人省・住宅都市開発省(VA-HUD)および関連機関の歳出法案から切り離され、新たに「内務省及び環境(Interior and Environment)」担当小委員会と命名される委員会の管轄下に置かれる。
  • 内務省歳出法案に組み込まれていたエネルギー省(DOE)の全プログラムは、新設される「エネルギー及び水資源(Energy and Water)」担当小委員会の管轄下となる。
  • 米航空宇宙局(NASA)、全米科学財団(National Science Foundation)およびホワイトハウス科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy)はVA-HUD歳出法案から切り離され、新設される「科学機関・国務省・司法省・商務省(Science, State, Justice and Commerce)」担当小委員会の管轄下に置かれる。
  • 国防省歳出法案に組み込まれていた環境プログラムは、新設される「軍部生活の質・復員軍人省(Military Quality of Life and Veterans Affairs)」担当小委員会の管轄に移される。

(Energy & Environment Daily, February 11, 2005)

Blagojevichイリノイ州知事、再生可能資源、特に風力の活用を提言

Rod Blagojevichイリノイ州知事(民主党)が同州の現況報告(State of the State)演説において、イリノイ州には大規模な風力発電を行なうだけの風力があるにも拘わらず、地元のこのクリーンな再生可能エネルギー資源は未だに殆ど手付かずのままであると指摘し、2012年の再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standard = RPS) を8%と規定する法案を可決するよう議員達に要請した。RPS 8%が承認された場合、4,000メガワット以上の電力が再生可能エネルギーで発電されることになるほか、州内には約3,000件の建設工事と数百の雇用、および、30億ドル以上の投資が生まれるものと期待される。(Illinois Government News Network, February 3, 2005)


2月11日号

下院科学委員会、企業平均燃費に関する公聴会を開催

下院科学委員会の公聴会に、Wiiliam Reilly元環境保護庁 (EPA) 長官や未来の為の資源 (Resouces For the Future = RFF) のPaul Portney所長を始めとする数名の証人が出席し、企業平均燃費(CAFE)基準引き上げの実施可能性について論じた。この公聴会では下記のような指摘がなされた:

  • 燃費を1ガロンあたり10マイル引き上げることは、業界の立場から実行可能であり、燃料消費にも好ましい効果が生じる。
  • 排出クレジット取引制度の創設により、業界の遵守コストが17%低減する。
  • 現存の技術によって自動車メーカーは企業平均燃費を33マイル/ガロンまで高めることができる。
  • CAFE にいかなる変更を加える際も、自動車メーカーが変更を実施できるよう十分な時間を与える必要がある。

(Environment and Energy Daily, February 10, 2005)

Hagel上院議員、気候変動法案の詳細を概説

Check Hagel上院議員 (共和党、ネブラスカ州) は、新たなエネルギー技術の開発と先進国への普及に財政的インセンティブを提供するというブッシュ政権の地球温暖化へのアプローチと整合性の高い気候変動法案を推進するという自らの計画について、その詳細を発表した。

  • 第一の法案は、発展途上国の温暖化ガス「原単位」(経済生産に対する温室効果ガス排出量の比率) 削減を援助する「新たな権威」を国務省に与える。同法案は地球規模の気候変動を外交問題として捉えるよう国務長官に指示し、また、温室効果ガス原単位を削減する技術の輸出に立ちはだかる通商関連の障害の撤去を交渉するよう米国通商代表に指示する。
  • 第二の法案は、Hagel 上院議員が「気候変動技術普及法案(Climate Change Technology Deployment Act)」と呼ぶもので、気候関連先進技術に投資する米国企業に融資、投資保護、発電インセンティブを提供する。
  • 第三の法案は、今年末で満期終了となる研究開発優遇税制を恒久化するものである。この施策は大統領の2006年度予算案でも提案されている。

Hagel上院議員は、ブッシュ政権同様、強制的上限の設定に反対の立場のため、これらの施策は総排出量の削減目標はおろか、温暖化ガス原単位の明白な目標値設定さえ回避している。(Greenwire, February 9, 2005)

カーボンナノチューブでコーティングした焦電検出器

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)と国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory = NREL)の科学者等が、カーボンナノチューブでコーティングした焦電検出器の試作品を製作した。これは、化学兵器や生物兵器の探知センサーの開発と較正に不可欠な、紫外線レーザーの出力測定と基準につながる可能性があると期待されている。カーボン・ナノチューブは、下記のような数々の面から既存の検出器の性能を飛躍的に高める可能性がある。

  • 既存のコーティング材より数百倍も熱伝導率が高い。
  • レーザー損傷や経年変化、硬化に強い。
  • その質感と結晶特性のゆえに光を効率的に吸収する。

(NIST Tech Beat, January 26, 2005)

クリアスカイ法案支持者、二酸化炭素条項を外した改訂版を提案

2月9日にクリアスカイ法案の改訂版を提案した上院環境公共事業委員会のJames Inhofe委員長(共和党、オクラホマ州)とGeorge Voinovichクリーンエア・気候変動小委員会委員長(共和党、オハイオ州)は、Max Baucus(民主党、モンタナ州)、Tom Carper(民主党、デラウェア州)、Lincoln Chafee(共和党、ロードアイランド州)といった同委員会メンバー議員のスタッフに法案を売込むため、スタッフを動員している。この改訂版からは、業界受けはするが賛否の分かれる条項が幾つか削除されているものの、二酸化炭素排出の問題が取り上げられていないため、同提案では審議の出発点にもならないという意見も聞こえる。

クリアスカイ法案の審議行き詰まりが明白であるにも拘らずInhofe委員長が改定案の提出に踏み切ったことから、ブッシュ政権もしくは同委員会の上席共和党議員がInhofe議長に、2005年2月中旬に予定されている同法案マークアップを延期するよう圧力をかけているのではないかという憶測を煽っている。(Environment and Energy Daily, February 10, 2005)


2月9日号

気候変動対策でリーダーシップを発揮するカリフォルニア州公益事業委員会

カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utility Commission = CPUC)が、自らの規制下にある事業所全て …発電所、ガス会社、電話局、水道局、および、交通局… がエネルギー節減と温室効果ガス排出削減のために採用可能な最良慣行を確認するため、2月23日に会合を開催する予定であると発表した。この会合には、学界や研究所、ビジネスや保険業界、利害関係者や州政府機関の代表者が参加し、排出を削減し、ビジネス・カリフォルニア州消費者・世界環境にベネフィットをもたらすような現実的で明確な行動を確認する見込みである。CPUCのMichael Peevey委員長によると、こうした最良慣行には、燃費の良い業務用自動車の台数増加、ビルや電気製品向けのエネルギー合理化使用新基準、発電所の運転改善等が含まれるという。

CPUC規制下の事業所のリーダー達はこの会合の後で、CPUCに提出する共同報告書を作成し、産業界の取るべき気候変動対応活動、および、こうした活動の推進に必要なCPUC政策を提言することになっている。(CPUC News Release, February 2, 2005)

Granholmミシガン州知事、ハイテク雇用創出の為に20億ドルの公債発行を提案

Jennifer Granholmミシガン州知事(民主党)は2月8日、同州の現況報告(State of the State)演説において、先進自動車技術、クリーンエネルギー、ライフサイエンス等の研究プロジェクトに融資するため20億ドルの公債を発行することを提案した。Granholm州知事はこの提案を「21世紀雇用創出イニシアティブ(21st Century Jobs Initiative)」と呼び、今年11月8日の州選挙で州民投票にかける意向であると語っている。同イニシアティブが承認されれば、向こう10年間、(i)ベンチャーキャピトル;(ii)研究所のアップグレード;(iii)有能な研究者と同州に勧誘するイニシアティブ等に、年間2億ドルが配分されることになる。Granholm州知事はこれによって、72,000の新雇用が創出されると推定している。

ミシガン州は現在、米国最高の7.3%という失業率に悩まされている。長年の経済ベースである自動車産業、および、タバコ示談金を利用したライフサイエンス研究という既存構造を基にして、州の未来産業構築に臨むという州知事の提案を、自動車研究センターのDavid Cole所長は、「独創的かつ革新的なアプローチ」であると称賛している。しかしながら、共和党議員の多くは、同イニシアティブが不安定な州政府予算に更なる負債を追加するだけであるとして、既に反対を表明している。同提案を州民投票にかける為には、先ず、州議会で3分の2の賛成を勝ち取る必要があるが、州議会上院のRobert Emerson議員(民主党)も、共和党指導の州議会で同提案への支持を勝ち取ることは困難であろうと発言している。(Greenwire, February 9, 2005)


2月8日号

ネオコン(新保守派)、企業平均燃費基準の強化で環境保護団体と強力

ネオコン(新保守派)の国家安全保障専門家達が、海外石油への依存度軽減は国家安全保障を助長するという立場から、環境保護団体と協力して、企業平均燃費(CAFE)基準の引き上げを呼びかけている。ガソリン消費削減のためにCAFE基準の強化が必要であるという見解は、世界安全保障分析研究所(Institute for the Analysis of Global Security)や全米エネルギー政策委員会(National Commission on Energy Policy)といったネオコン・グループの先頃の報告書でも明示されていた。

CAFE基準強化を主張してきたものの成功を見ていない環境保護団体は、ネオコンのこうした関心に勇気づけられているようである。憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientist)のDavid Friedmanクリーン自動車研究部長は、CAFE基準強化を求める声が強まれば強まるほど、人々はこれを重要問題と見なすようになるため、ネオコンとの協力が有用であることは間違いないと語っている。米国議会では2月の第2週目に、CAFEに関する公聴会を開催する予定となっている。(Greenwire, February 7, 2005)

エネルギー法案を時間をかけて超党派で作成する予定の米国上院議会

下院の包括エネルギー法案は、Dennis Hastert下院議長(共和党、イリノイ州)がエネルギー商業委員会のJoe Barton委員長(共和党、テキサス州)に、上下両院協議会が昨年合意したエネルギー法案(下院第6号議案)をファストトラックで可決するよう圧力をかけていることから、Presidents Dayの議会休会までに可決される可能性があると見られている。これに対し、上院はというと、エネルギー法案の支持者であったTom Daschle前上院民主党院内総務(サウスダコタ州)が再選選挙に敗れ、Daschleに代わり、昨年下院第6号議案に反対票を投じているHarry Reid上院議員(民主党、ネバダ州)が院内総務となったことから、上院でのエネルギー法案作成は遅々たるプロセスになるものと予想されている。

上院エネルギー天然資源委員会Pete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)の主席補佐官であるAlex Flint氏は、上院では超党派の法案作りを目指すことになるため、エネルギー法案にかなりの変更を加えることになるだろうと語っている。従って、北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge)での石油・天然ガス掘削解禁条項はエネルギー法案から切り離され、今春に予定されている財政調停(budget reconciliation)プロセスにおいて個別に取り上げられることになるという。Flint氏はこれ以外の問題点として下記をあげている:

  • 需要が増大する反面、生産量が伸びないため、天然ガス価格が3倍に高騰
  • 液化天然ガスの大型搬送に対応する輸入ターミナルを建設する必要性
  • 再生可能エネルギーだけに限らず、より広範に、石炭や原子力も含めたエネルギー使用基準(portfolio standards)の検討
  • 電力事業関連条項の更新
  • エネルギー法案のコスト

(Environment and Energy Daily, February 4, 2005)


2月4日号

燃料電池製造コスト低下へのブレークスルーになると期待される、微細加工技術

ミシガン大学の研究者チームが、マイクロエレクトロニクスの製造に使われる微細加工技術を応用して、マイクロ燃料電池製造に取り組んでいる。研究者等は、微細加工と安価な材料の使用によって、燃料電池のコストを一桁削減でき、リチウムイオン電池と競合できる製品として商品化への道が開かれると予想している。さらに、この工程のもう1つの利点は、製造技術が似ているために、半導体製造工場を難なくマイクロ燃料電池製造工場に改造できる点である。第三者機関による査定評価を受けるための試作品を製作することが、同研究チームの次のステップとなる。(RenewableEnergyAccess.com, February 2, 2005)

ロングアイランド電力公社、Shoreham原子力発電所跡に風力タービン2基を設

ニューヨーク州の市営電気事業が、Shoreham原子力発電所跡に2基の風力タービンを設置した。風力タービンはいずれも高さ100フィートで、長さ25フィートのブレードが3枚付いており、2基を合わせた年間発電容量は150,000 〜200,000 キロワット時である。

この風力タービンは、ロングアイランド電力公社(Long Island Power Authority = LIPA)のクリーンエネルギー先導策(Clean Energy Initiative)の一環として設置されたもので、ニューヨーク州エネルギー研究開発公社(New York State Energy Research and Development Authority)が代替エネルギーR&D推進計画で設置資金を援助している。

今回の風力タービンの設置は、再生可能エネルギーと原子力エネルギーが地元でどう認識されているかについて、興味深い洞察を与えてくれる。今回の設置は、公共政策上の重点が、「環境に破壊的な発電技術」から安全でクリーンなエネルギーへと次第に転換しつつあることの証拠であると再生可能エネルギーの唱道者等は指摘している。(LIPA News Release, January 25, 2005)

触媒コンバータのコスト削減に役立つナノマテリアル

スタンフォード大学の科学者KJ Choが、連邦政府の助成金で行われた基礎研究と材質をナノスケールで調べるモデリングソフトを利用して、極めて効率的で廉価な触媒コンバータ用プラチナ・メッキの代替物を開発する会社「Nanostellar Inc.社」を起業した。

Choの開発した方法の価値は、エンジニアが先進技術用の投入資材を開発するナノマテリアルを適切に選択することができるようになる点にある。たとえば、廉価で、排出削減能力がプラチナと同等かこれを上回るナノマテリアルを導入することによって、触媒コンバータのコストを30%も削減することが可能となる。究極目標は、プラチナのコスト(触媒コンバータのコストの約65%を占める)の半額のナノマテリアルを製造することである。

同社は12月に第一弾となる2種の試作品を自動車メーカーに納入している。Nanostellar社幹部の一人によれば、某自動車メーカーが早ければ今年第4四半期にも、同社のコンバータ用ナノマテリアルを使用する計画であるという。(San Jose Mercury News, January 19, 2005)

上院商業委員会、Stevens委員長提案の小委員会再編計画を正式に承認

上院商業委員会がTed Stevens委員長(共和党、アラスカ州)提案の小委員会再編成を2月1日の隔年組織会議で正式に承認した。同委員長は通信問題を本会議扱いとすることを望んだため、10の小委員会構造には通信小委員会はもはや含まれていない。新設される小委員会(委員長は未発表)は下記の通り:

  • 気候変動小委員会(Climate change subcommittee) - 気候変動問題を専門に扱う初の委員会
  • 海洋政策小委員会(Ocean policy subcommittee) - 1974年に創設され、1995年に廃止された国立海洋政策研究(National Ocean Policy Study)小委員会の生まれ変り
  • 災害予防小委員会(Disaster prevention subcommittee) - 12月26日の大津波が一要因となって設置が決まった委員会
  • 陸路輸送小委員会(Surface transportation subcommittee)

気候変動小委員会の委員長には、前会期中、気候変動問題で非常に活発だったJohn McCain元商業委員会委員長(共和党、アリゾナ州)が就任すると予想した者が多かった。しかし、彼はすでに軍事委員会空陸軍小委員会の委員長を務めることを承諾しているため、共和党の党則上、商業委員会小委員会委員長に就くことはできない。(CQ Today, February 1, 2005)


2月4日特別号

ブッシュ大統領の年頭教書演説に盛り込まれた経済成長施策の概要

ブッシュ大統領は2月2日の年頭教書演説を行い、大統領2期目のアジェンダを概説した。前評判に違わず、選挙を成功裏に終えて新フェーズに入ったイラクと、社会保障制度改革が主題となったものの、国内アジェンダとして経済面での政策にも言及している。大統領は、「米国経済の成長速度が主要先進国の中で最高である。過去4年間で我々は…リセッションを克服し、海外に新市場を開拓し、…昨年一年だけで230万の新雇用を創出した…」と語り、こうした実績を更に伸ばしていくために、下記の施策が必要であると主張した。

  1. 米国の繁栄には、連邦政府の支出自制が必要である。従って、2006年度大統領予算案では、随意支出(discretionary spending)の増額をインフレ率以下に押さえる。成果のあがらない政府プログラム、重複したプログラム、重要な優先項目を履行しないプログラムを150以上、大幅削減、または、廃止する。
  2. 米国経済を更に堅固なものにするためには、21世紀の職に対応できる次世代を育成しなければならない。このため、職業訓練制度を改正し、米国のコミュニティーカレッジを強化することにより、更に20万の労働者がより良いキャリアに向けた訓練を受けられるよう支援する。また、大学教育を受けやすくするために、Pell Grantの規模を拡大する。
  3. 米国経済の競争力を強化するためには、起業家の夢や努力に報いるべきであって、これを罰してはならない。小企業を無用な規制から開放し、正直な雇用主をばかげた訴訟から守る必要がある。無責任な集団訴訟や取るに足らないアスベストス賠償請求により我々の経済は抑制されている。今年こそ、法制改革法案を可決するよう議会に要求する。
  4. 米国経済の生産性を高めるためには、医療保険を手頃にする必要がある。低所得者の医療保険購入を支援する税額控除や、医療ミス防止の為の情報技術改善、医療過誤訴訟改革、といった包括的ヘルスケア・アジェンダを進めるよう議会に要請する。
  5. 米国経済が成長し続けるためには、手頃な価格の環境調和型エネルギーの供給を確保する必要がある。約4年前に私が提出した包括エネルギー戦略は、省エネ・代替エネルギー資源・電力系統の近代化、および、安全でクリーンな原子力エネルギーを含めた国内エネルギー生産の拡大を奨励するものである。また、クリアスカイ法案は発電所の汚染を削減し、国民の健康改善に役立つ。私の予算案は、水素燃料自動車からクリーンコール、さらには、エタノール等の再生可能資源にまで至る先端技術にも確固な予算を提供している。米国の海外エネルギー依存を軽減させ、国のエネルギー供給を安定させる法案を可決するよう議会に要請する。
  6. 未来世代の繁栄を確立するためには、古拙で矛盾だらけの連邦税制を改革しなければならない。税制を隅から隅まで調査検討するため、私は超党派委員会を任命した。委員会の提言が発表された暁には、成長支援型で、理解の容易な、しかも、国民全員に公平となる税制を策定するべく議会と協力する意向である。
  7. 米国の移民制度も時代遅れで、経済ニーズにも価値(value)にも適合していない。今こそ、米国人が希望しない職に就く臨時ゲスト労働者を認める移民政策を考える時である。

(CNN.com, Transcript of State of the Union, February 3, 2005)


2月2日号

カナダ政府、自国の排出削減義務達成のため、今後5年間で24億ドルという優遇税制や補助金を提案

カナダ政府が、国家の温室効果ガス排出削減で2002年プループリントで提示したよりもビジネス寄りの戦略を採用する可能性がある。カナダ首相の2006年度予算には向こう5年間で24億(カナダ)ドルという優遇税制と補助金が盛り込まれるものと見られている。主な優遇税制と補助金、その推定コストは下記の通り:

  1. 企業がコジェネ発電所への投資を短期償却できるよう、減価償却規制を変更:推定4億8,300万ドル
  2. エネルギー効率を改善するために業務用ビルディングのレトロフィットを実施した企業に短期間での減価償却を認める施策:3,200万ドル
  3. 水素燃料電池のような再生可能技術への投資に対する優遇税制の拡大:7,400万ドル
  4. バイオマス、小規模水力発電、海洋エネルギー発電といった幅広い再生可能資源への投資インセンティブを拡大する「グリーン発電生産インセンティブ(Green Power Production Incentive)」の創設:5,520万ドル
  5. クリーンな水力エネルギーをカナダ中に広く送配電するため、石炭火力発電からの脱却推進や電力系統改善の保証等、大規模なグリーン化努力を行うことを目的とする「戦略基盤整備(Strategic Infrastructure)」投資:3億6,000万ドル
  6. 屋根型ソーラーエネルギー装置の購入コストを30%払い戻し、または、税額控除する施策:7,970万ドル
  7. 企業および消費者によるEnergy Star商標電化製品購入に対し、価格の10%を補助:2億1,500万ドル
  8. ハイブリッド自動車のような燃料効率の高い自動車の購入に対して、一台あたり2,000ドルの補助金:6億6,500万ドル
  9. カナダ政府の再生可能資源利用電力購入率を、2006年の20%から2010年の30%まで拡大:1,070万ドル

カナダ政府立法者達は、こうした種々のインセンティブに加え、気候変動投資バンクの創設や、2010年までに燃費を25%改善する、等の提案も検討中であるという。(Toronto Globe and Mail, January 31, 2005; Greenwire, February 1, 2005 )

バイオエネルギー生産者協会、カリフォルニア州で結成

バイオベース技術の開発と商用化を奨励・推進するため、バイオエネルギー生産者協会(BioEnergy Producers Association)と呼ばれる新組織がカリフォルニア州で結成された。新組織では、(i)石油依存度の軽減;(ii)温室効果ガス排出の削減;(iii)有毒ガスの削減といった、バイオエネルギーおよびバイオ製品の幅広い環境面・経済面でのベネフィットを州の政策策定者に教示し、提言をする予定であるという。カリフォルニア元州議会議員で新協会の会長であるDavid Roberti氏は、新組織の主要目標を下記のように説明している:

  • カリフォルニア州による包括的バイオエネルギー政策の策定を推進
  • バイオベース産業の環境面・経済面でのベネフィットを州民に啓蒙
  • バイオベース産業を推進するため幅広い同盟を形成

(RenewableEnergyAccess.com, February 1, 2005)

政府倫理局、国立衛生研究所の科学者による外部コンサルティング業禁止を発表予定

政府倫理局(Office of Governmental Ethics = OGE)では2月1日に、国立衛生研究所(NIH)の科学者と民間製薬会社およびバイオテクノロジー企業との間の私的コンサルティング契約の禁止を発表するものと見られている。この発表は、1年以上におよんだ下院エネルギー商業委員会やOGE、および、メディアの激しい論争 …こうした協定は利害の対立であるという議論… に終止符を打つことになる。下院エネルギー商業委員会のメンバーであるDiana DeGette下院議員(民主党、コロラド州)は、新指針を「わが国トップ研究機関に対する国民の信頼を回復するための重要な一歩」であると称賛する声明を発表している。(New York Times, February 1, 2005)


2月1日号

米国電気電子学界の研究グループ、カーボンナノチューブの品質基準確立に向け、作業開始

米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers = IEEE)が、ナノチューブの品質と特性に対する一定基準を確立するため、カーボンナノチューブ品質検査研究グループ(Carbon Nanotube Quality Testing Study Group)を結成した。同グループでは、単層カーボンナノチューブの (1)純度;(2)分散系(dispersion);(3)物理的特性;(4)機能的特性を明らかにする方法を検討し、1年以内にナノチューブの初期基準を設定する意向であるという。提案される基準は、(i)サンプルの準備;(ii)装置の仕様;(iii)テスト条件;(iv)実験結果の記録方法と判定方法を取り上げるものと見られている。このため、研究グループは1月26〜28日に、米航空宇宙局(NASA)と国立標準規格技術研究所(NIST)が合同で行なう第2回炭素ナノチューブ計量問題ワークショップと連携して、第一回目の会合を開催している。IEEEの同研究グループには、単層カーボンナノチューブの生産・使用に関与し、品質テスト基準の策定支援に関心をもつ産官学の関係者ならば誰でも参加可能である。(IEEE Press Release, January 7, 2005)

技術開発の推進と途上国支援を柱とするHagel上院議員の気候変動対応法案

Chuck Hagel上院議員(共和党、ネブラスカ州)が、強制的な二酸化炭素(CO2)排出キャップを設定する現行提案の代替案として、温室効果ガス排出を削減する新技術の研究開発を推進し、こうした新興技術の途上国移転を奨励する気候変動対応法案を、2月16日前後に提出する予定であるという。この法案提出のタイミングは、京都議定書の正式発効日に合わせるということらしい。

Hagel上院議員の提案は気候変動に対するブッシュ政権のアプローチと提携するものとなるようで、下記の2条項を含むことになると見られている:

  • 炭素回収技術や炭素貯留技術、および、水素燃料電池といった温室効果ガス排出削減技術の研究開発(R&D)に対する税額控除を恒久化する。(幾つかのR&D税額控除は毎年延長されているが、業界筋 は確実性のないことが企業の長期投資を思い止どまらせていると指摘している。)
  • ミレニアム・チャレンジ会計(Millennium Challenge Account)プログラムで最大の進歩を成し遂げている、中国やインド等の途上国へエネルギー技術を移転することを支援するため、インセンティブや財政支援を提供する。(業界ロビイスト等は、途上国の人口増加やエネルギー需要の急増を考慮すれば、この政策を採用することで、京都議定書全締約国の総排出削減量に等しい排出量を回避することが可能であると語っている。)

Hagel上院議員の法案は、上院エネルギー天然資源委員会および上院外交委員会での審議に付される見通しである。Hagel議員は上院外交委員会の国際経済政策・輸出・貿易推進小委員会の委員長である。(Energy & Environment Daily, January 31, 2005)


Top Page