NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年4月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

4月14日号

エネルギー情報局、第13回年次会合で「2005年エネルギー年次見通し」を発表

エネルギー省(DOE)のエネルギー情報局(Energy Information Administration = EIA)が4月12日の第13回年次会合で、「2005年エネルギー年次見通し(2005 Annual Energy Outlook)」を発表した。同報告書のリファレンスケース(基準ケース)では、1バレルあたりの年平均石油価格が2003年の28ドルから2010年には25ドルまで低下すると予想する一方で、2010年以降は価格が再びゆっくりと上昇し、2025年までに30.31ドルになると推定している。同報告書の要点は下記の通り:

  • 米国エネルギー総消費量は2003年から年平均1.4%で増加し、2025年には133.2千兆Btuまで拡大する。
  • 部門別では、家庭部門のエネルギー消費が年平均0.9%で増え、2025年には14.3千兆Btuまで拡大。業務部門のエネルギー消費伸び率は年平均1.9%で2025年には12.5千兆Btu、産業部門は年平均1.0%で増大し、2025年に30.8千兆Btu、そして、運輸部門の消費は年平均1.8%で伸び、2025年には40.0千兆Btuまで拡大する。
  • 国産原油供給量は2009年にピークに達し日産980万バレルとなるが、2010年以降減少傾向となり、2025年には日産880万バレルまで落ちる。一方、輸入原油への依存度は、2003年の56%から2025年には68%まで増大する。
  • エネルギー消費の対GDP原単位は、効率改善や米国経済の構造変革により、年平均1.6%の割合で低下する。
  • 国内天然ガス生産は、「2004年エネルギー年次見通し」では2025年までに24.0千兆立方フィートに増大すると予測されていたが、新埋蔵地発見数の減少、および、探査開発コストの上昇等により、2005年見通しではこれを21.8千兆立方フィートに下方修正。
  • 石炭需要増加に伴ない国内石炭生産量は年平均1.5%で増大するが、新設の石炭や天然ガス発電所の効率改善によって需要の伸びが2004年見通しほどではなく、2025年の生産量は2004年見通しを5,500万トン下回る14億8,800万トンとなる。
  • エネルギー使用に起因する二酸化炭素排出量は2025年まで年平均1.5%で増大し、80億6,200万トンに達する。但し、二酸化炭素排出原単位は、2003年のGDP100万ドルあたり558トンから2025年までには397トンに減少する。

(EIA 13th Annual Energy Outlook and Modeling Conference, April 12, 2005)

Brownback上院議員、「2005年ヒト・クローン作成禁止法案」を提案

3月17日、Sam Brownback上院議員(共和党、カンザス州)がクローン胚やクローン胚に由来する製品の製造・輸送・輸入・受け入れを禁止する法案を提出した。「2005年ヒト・クローン作成禁止法案(上院第 658号議案)」は、体細胞核移植(新細胞系を単離しようとする幹細胞研究者等が研究に使う可能性のある技術)に狙いを定めている。

この法案が上院保健・教育・労働・年金委員会を通過する見込みは、Michael B. Enzi委員会委員長(共和党、ワイオミング州)が4月13日に共同提案者となったことからも高いと言えるが、上院本会議通過の見込みは確かではない。

下院本会議では、Curt Weldon下院議員(共和党、ペンシルバニア州)が3月17日に提出したほぼ同内容の法案(下院第1357号議案)が現在審議されている。この種の法案はこれまでも下院では成功することが多く、ブッシュ大統領も法案支持を表明している。(CQ Bill Analysis, April 13, 2005)


4月13日号

全米科学財団、科学技術センターを2ヶ所新設すると発表

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が、2005会計年度中に、科学技術センター(Science and Technology Center = STC)を2ヵ所新設する予定であると発表した。予定されているSTCは下記の通り:

  • カンザス大学を中心とする氷冠リモートセンシング・センター(Center for Remote Sensing of Ice Sheets = CReSIS) … 極氷床(polar ice sheet)の質量バランス、および、それが海面上昇にもたらす影響についての理解を深める為に、氷床の新測定方法と氷床ダイナミクスの予告モデルを設計・構築する。同STCは、オハイオ州立大学やペンシルバニア州立大学、メイン大学等とのパートナーシップ。
  • カリフォルニア大学バークレー校に設置されるサーバーセキュリティーセンター … コンピューターシステムや情報ベース技術へのサイバー攻撃が激化する中で、コンピューター信頼度という重要問題を調査する同センターは、ソフトウェアやネットワークセキュリティー、暗号プロトコル等の研究結果に基づき、新技術の開発をリードしていく。

NSFは5年間で約1,900万ドルの予算を各センターに認可しているが、新センターの正式承認は、NSFとリード機関との最終交渉次第となる。(NSF News, April 11, 2005)

ロボット規格の公開フォーラムを開催する、国立標準規格技術研究所

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)と国土安全保障省(DHS)が5月13日に、都市捜索救助活動(urban search and rescue)用ロボットの開発・普及を促進するため、ロボット規格を討議する公聴会をNISTで開催する予定である。この会合では、ロボットの開発・実験・検証に関わる基準についてアイディアを探索し、タイムテーブルを策定する見込みである。

参加者達は、ロボットの探知能力(センシング)や機動性、操作操縦性等の性能基準を検討するほか、緊急時対応要員やロボット販売業者そして技術開発者が、特定タスクに必要なロボット能力の総意規格(consensus standard)や、部品の相互作用性に関する総意規格の推進で協力していく方法も討議する予定である。DHSでは、連邦・州・地方政府の国土安全保障関連機関に都市捜索救助活動用ロボットの購入・配備・活用指針を提供するために、この最終規定を利用する意向である。(NIST Tech Beat, April 12, 2005)

全米規格協会、米国の競争力維持戦略を策定中

全米規格協会(American National Standards Institute = ANSI)が「米国規格戦略 (United States Standards Strategy)」原案を発表し、現在、4月18日まで一般の意見を聴いている (www.ansi.org)。同書は、国際的な規格設定プロセスへの参加の度合いを増すなどの制度強化(民間・市場主導型よりもむしろトップダウン型のアプローチ)を米国産業ならびに政府に提言している。

ANSIは4月15日にワシントンDCで公開討論会を開き、この戦略を推進し、その原則やイニシアチブ、方策等について利害関係者の対話の場を設ける予定である。この討論会は国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology =NIST)の主催により、商務省本部ビルで開催される。(Manufacturing & Technology News, April 7, 2005)


4月12日号

カリフォルニア州、自州の水素計画最終草案を発表

カリフォルニア州が、「カリフォルニア州水素計画 (California Hydrogen Blueprint Plan)」の最終草案を発表した。同計画は、2010年完成予定の第1フェーズに焦点をあて、同州水素高速道路網の開発方法について提言を行なっている。報告書は、この高速道路網によって、2010年までに温室効果ガス排出を30%削減することが出来ると推定している。報告書の主要提言は下記の通り:

  • カリフォルニア州水素高速道路網の開発は3段階で進められるべきである。第1フェーズの終了する2010年までに、推定2,000台の水素自動車に燃料補給の便宜を提供するため、50〜100ヵ所の水素燃料補給ステーションを主要都市および主要高速道路沿いに建設する。
  • 最初の水素燃料補給ステーション100ヵ所を完成する費用は、カリフォルニア州と民間部門で50/50のコストシェアとすべきである。
  • 2010年までに水素自動車2,000台の導入を確実に行うため、1台あたり1万ドルのインセンティブを提供すべきである。
  • 第1フェーズにおいて、カリフォルニア州水素高速道路網は水素生産の燃料として再生可能資源を最低20%使用するべきである。
  • カリフォルニア州は、水素基盤構築に適したビジネスおよび規制環境を助長する法令や政策を制定すべきである。

(California Environmental Protection Agency Bluepring Plan, March 2005)

ミシガン州、「水素高速道路」を推進

ミシガン州が非営利団体のNextEnergyと共同で、同州南東部に水素高速道路を建設する予定である。ミシガン州の水素燃料補給回廊は、アンアーバー、サウスフィールド、ミルフォード、および、ディアボーンにある既存の水素技術研究4センターと、フォード社がデトロイト・メトロポリタン空港に新設を予定している燃料補給ステーション、 および、NextEnergyがデトロイトのTechTownに建設中の水素研究ステーションを結ぶことになる。ミシガン水素燃料補給回廊は、自動車・発電用燃料として水を在来型燃料と競争可能にするというブッシュ政権の12億ドル先導策の一環である。(The Oakland Press, April 5, 2005)

Blagojevichイリノイ州知事、技術革新キャンパス建設に100万ドル投資すると発表

Rod Blagojevichイリノイ州知事(民主党)が、シカゴ郊外スコキーに建造予定のイリノイ技術革新キャンパス(Illinois Technology Innovation Campus)に100万ドルを投資すると発表した。この最新式キャンパスは技術移転センターの機能を果たし、イリノイ州を科学研究の中心地から多様なバイオ科学技術の発射台へと変貌させることになるという。新キャンパスに建設される9つのビルには、総計100万平方フィートの研究スペースと事務スペースが予定されており、建設工事は約10年かかるものと見込まれている。新施設は3,250の新雇用を創出するだけでなく、波及効果で1万以上の雇用を州内に生み出すものと期待されている。

Applied Real Estate Analysis社が実施した調査研究は、新キャンパスが完成すれば、州全体の経済活動に年間18億ドルの貢献をすることになると推定している。Blagojevich州知事は更に、イリノイ州商業経済省(Illinois Department of Commerce and Economic Opportunity)の2006年度予算に、同プロジェクト予算として400万ドルの追加要求を行なっている。同事業は、イリノイ州政府や地方政府、大学や国立研究所、および、産業界の参加する産官パートナーシップである。(Illinois Office of the Governor News, April 4, 2005)


4月11日号

ブリティッシュ・コロンビア州のアンモール村に建設される水素実証センター

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州のアンモール村(バンクーバー近郊)は、同地の豊かな水力・太陽光・風力資源を利用して水素を生産する「エネルギー・センター」の建造を計画中である。この水素は村の所有する車両の燃料に使われるほか、冷暖房にも利用される予定である。

このエネルギー・センターは、再生可能エネルギー業界や政府、および、国民に教育的な情報や経済情報を提供するため、啓蒙・実演機関の役割も果たすことになると考えられている。この再生可能エネルギーセンターは、エネルギー環境設計リーダーシップ(Leadership in Energy and Environmental Design = LEED)の緑の建築基準(Green Building Rating System)の中でも、最高基準に沿って設計・建設され、省エネ、かつ、エネルギー自給自足のビルとなる見込みである。プロジェクトは再生可能エネルギーや代替エネルギーの革新技術とメリットを実演宣伝し、他の自治体が模倣できるモデルになるものと期待されている。(RenewableEnergyAccess.com, April 8, 2005)

下院エネルギー・商業委員会、エネルギー法案に夏時間延長修正法案を添付

下院エネルギー・商業委員会が、Fred Upton下院議員(共和党、ミシガン州)とEd Markey下院議員(民主党、マサチューセッツ州)の提出した包括的エネルギー法案への修正案を承認した。この修正案は、夏時間(Daylight Saving Time)の開始日を3月の第一日曜日、終了日を11月の最終日曜日に変更するというもので、エネルギー省(DOE)に夏時間の効果を調査研究するよう命じている。

法案提唱者によれば、夏時間延長によって照明用燃料の需要を比較的容易に減らすことができるというメリットが修正案の根拠であるという。提唱者等は、1970年代半ばに夏時間が延長された際、60万バレル分の石油が節約されたことを示す運輸省の推計も引用している。(Greenwire, April 8, 2005)

2月に発表したばかりの新規制を再検討する、国立衛生研究所

国立衛生研究所(NIH)のElias Zerhouni所長が上院歳出委員会の労働省・厚生省・文部省担当小委員会で証言を行い、今年2月に発表されたばかりの、NIH科学者による民間企業への関与を制限する新規制を部分的に緩和したいという意見を表明した。具体的には、NIH職員が医薬品・医療企業の株を所有することを禁じる規定の改正をZerhouni所長は求めている。

Arlen Specter上院議員(共和党、ペンシルバニア州)やTom Harken上院議員(民主党、アイオワ州)など、一部の上院議員がこの改正を支持し、出来る限り早く改正すべきだと表明している。Zerhouni所長は、この件について新任のMike Leavitt厚生長官とすでに会談し、長官が倫理指針の当該部分の実施を遅らせることに同意したと述べている。

しかし、医薬品企業やバイオテクノロジー企業、医療機器企業やNIH と取引の多い他機関とのコンサルティングを禁止する新規定については、所長は繰り返し強い支持を表明した。(The Wall Street Journal, April 8, 2005)


4月8日号

FugureGenへ投資するよう中国を説得する米国政府

エネルギー省(DOE)のMark Maddox次官補代理が、FutureGenプロジェクトへの参加で中国を説得するべく、北京を訪問している。米国は海外のパートナーに、同プロジェクトへ参加する機会を8,000万ドルで提供している。米国高官によると、中国はプロジェクト参加に関心を持っているものの、8,000万ドルという価格の為に躊躇している様子だという。また、中国政府高官は、出来るだけ多くのエネルギーを可能な限り安く生産することに熱心であり、発電をクリーンに行なう必要をしぶしぶ認めてはいるものの、非常に切り詰めた予算で対応しようとしているという。米国政府は、FutureGen技術は高額ではあっても、発電効率を改善し、汚染を削減し、安全性を向上させることが可能であるという説明で、中国の説得に務めている。(San Francisco Chronicle, April 6, 2005)

国家リサイクル規制を誘発する可能性のある、米国北東部地域の電子廃棄物リサイクル法案

北東部リサイクル連合(Northeast Recycling Coalition = NERC)と州政府協議会(Council of State Governments = CSG)の東部地域支部が、電子廃棄物リサイクルに関するモデル州政府法案を策定する為のアイディアを収集するため、4月29日に利害関係者との意見交換会を開催すると発表した。NERCとCSGでは、この会議で出されたアイディアを活かして7月15日までに法案草稿を完成させ、7月25日には一般市民からのコメントを受ける公聴会を開催する予定であるという。また、市民のコメントを検討・評価して2005年10月までに法案を完成させ、2006年には法案提出に持ち込む意向であるという。

電子廃棄物のリサイクルに関しては、環境保護庁(EPA)が現在、ブラウン管(cathode ray tube)リサイクルに関する規制策定で最終段階に入っているが、EPAが開催した利害関係者評議会はリサイクル費用を誰が負担すべきかで意見が対立し、失敗に終わったという苦い経緯がある。NERC/CSGの関係者は、このイニシアティブでは国家モデルの策定を意図しているわけではないものの、電子廃棄物問題は北東部諸州に特有ということではないため、NERC/CSGの法案が他州によってテンプレート(雛形)として使用される可能性はあると語っている。

また、カリフォルニア州とメイン州では既に電子廃棄物リサイクルに関する州法案を可決しており、両州に倣って同様の法案を検討している州政府も幾つかある。電子機器メーカーにとっては、州毎に異なるリサイクル規制よりも、統一化された国家規定の方が望ましい。業界筋や他のオブザーバーによると、国家・地域・州・地方レベルでの一連の活動が、同問題に対する国家的解決策への関心を高めているという。(Inside EPA, April 8, 2005)

国立衛生研究所(NIH)の研究インスティテュート所長等、連邦政府の幹細胞政策を批判

国立衛生研究所(National Institute of Health = NIH)の幾つかの研究インスティテュート所長が、行政府高官の意見に反論しないという伝統を破り、連邦政府の現行胎性幹細胞研究規制に対する不満を公式に表明した。

国立心臓・肺臓・血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute)のElizabeth Nabel新所長や国立小児保健・人間発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development)のDuane Alexander所長を始めとする数名が、4月6日に開催された上院歳出委員会の労働省・厚生省・教育省担当小委員会で証言し、有能なリサーチャーは規定が緩和で、研究資金が豊富な場所へと移り去り、NIHと米国は幹細胞分野での落伍者になり下がる可能性があると警告した。

米国議会ではこの夏、不妊治療クリニックで破棄処分が決まっている胎芽を使った研究に連邦政府グラントの給付を認めるという法案を検討することになっている。(Washington Post, April 7, 2005)


4月7日号

カナダ政府と自動車業界が、温室効果ガス排出削減に関する覚書に調印

カナダ政府とカナダ自動車業界は4月5日、気候変動活動に関する画期的な覚書(MOU)に調印した。この自主協定の下、自動車メーカーは、新車の温室効果ガス排出量を削減することによって、2010年までに年間排出量を1999年水準よりも5.3メガトン削減することを目指すほか、温室効果ガス排出削減目標達成に向けた業界の進捗状況をカナダ政府と共同で毎年モニターしていくことになる。

カナダ政府の設定した自動車部門温室効果ガス排出削減目標を達成するため、カナダ自動車業界は、(1)ハイブリッド型伝動装置や可変気筒システム;(2)材料軽量化やタイヤの空気圧モニター装置;(3)エタノールやバイオディーゼルや水素等の代替燃料といった、多様な燃料節約技術を提供・促進していく予定であるという。(Natural Resources Canada News Release, April 5, 2005)

研究費交付で大学よりも従来の軍事請負会社を優先するようになった防衛先端研究計画局(DARPA)

大学研究者や政府当局者によると、ソフトウェアの基礎研究に多大な貢献をしてきた防衛先端研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency = DARPA)は、大学対象の基礎研究支援を削減して、即成果に繋がる特殊プロジェクトや機密研究への支援を拡大しているという。米国トップクラスのコンピューター学者や電気技師はDARPAの基礎研究離れを懸念し、長期的には国家経済に深刻な影響をもたらすことになるという警告を発している。また、DARPAグラントの多くは大学院生アシスタントを米国籍学生だけに制限することを強いるため、外国人研究者の多いコンピュータ科学分野に大打撃をもたらしているという。

DARPAのコンピューター科学研究は、2001年度 (5億4,600万ドル) から安定した予算を受領しており、2004年度にはこれが5億8,300万ドルまで拡大したものの、大学研究者への支援額は同期間に2億1,400万ドルから1億2,300万ドルに縮減している。DARPAは減少の理由として、(1)企業研究への依存度が増大していること;(2)9月11日のテロ事件以来、機密プロジェクトのニーズが増えていること;(3)基礎研究から先端兵器システム開発へと焦点が移っていること、等をあげている。

DARPAのこうした方向転換は、軍事請負会社の幹部職を経て2001年にDARPA局長になったAnthony J. Tether博士の指導によるもので、DARPAは昨年、Network Embedded Sensor Technologyと呼ばれるプロジェクトへの支援を大幅に削減し、その代わりに従来の軍事請負会社への支援を拡大している。同局長の新アプローチは、多くの大学のコンピューターサイエンス学部を規模縮小に追い込んでいる。

更に、DARPAのこうしたシフトは、情報技術基礎研究を支援する連邦他省庁をも圧迫している。全米科学財団(NSF)のコンピュータ情報科学工学部門に寄せられた応募件数は1999年の2,000件から2004年には6,500件まで激増したが、NSFのPeter Freeman部長によると、DARPAの支援減少がその一要因になっているという。

DARPAの変貌に対する懸念は、大統領の情報技術諮問委員会 (President's Information Technology Advisory Committee) が今年3月に発表した国家サイバーセキュリティの現状に関する報告書にも明記されている。5年以上先を見越した長期的基礎研究プロジェクトを長いこと重視してきたDARPAが、昨年はグラントのほんの一部を基礎研究に計上したに過ぎなかった、と報告書は指摘している。(The New York Times, April 2, 2005)

ナノマテリアル標準用語辞典を編纂する米国試験・材料協会(ASTM)

米国試験・材料協会(American Society for Testing and Materials = ASTM)インターナショナルのVicki Colvinナノテクノロジー技術委員会委員長が、同委員会の手がける新プロジェクトとしてナノマテリアル標準用語辞典の編纂を発表した。ASTMインターナショナル理事会は一両日中にプロジェクトを正式承認する模様である。

委員会の指導的メンバー等は、4月末までに初稿を終了し、7月までに最終稿を仕上げる計画であるという。この辞書は、リソグラフィーを使って作られる「トップ・ダウン」の構造よりも、ナノチューブや量子ドットなど、「ボトム・アップ」のナノマテリアルの術語命名に注力することになる。Colvin委員長は、寸法、組成、表面被覆を始め、他の数々のパラメータを具体的に示す標準的な術語集を構想しているという。(Chemical & Engineering News, April 6, 2005)


4月5日号

ロングアイランド電力公社、太陽電池-燃料電池複合発電システム実証プロジェクトに着手

ロングアイランド電力公社(Long Island Power Authority = LIPA)が、Hauppaugeにある国際電気労働者組合(International Brotherhood of Electrical Workers)の第25支部に、太陽電池と燃料電池の複合発電システム(combined solar-fuel cell power system)を設置した。天然ガスを燃料とする5kWの燃料電池、および、同支部の屋根に設置された81個のPVパネルから成る15kWのPVシステムが、同支部に電気と温水を供給する。 ロングアイランドで初めてのこの複合発電システムプロジェクトは、電気技師や技師見習いがPV技術や燃料電池技術を学ぶ「実地の」訓練センターを提供することになるほか、PVパネルの耐用年数において56.3万ポンドの二酸化炭素と749ポンドの窒素酸化物、および、2,458ポンドの二酸化硫黄を回避することになると期待されている。(RenewableEnergyAccess.com, April 4, 2005)

石油・ガスの価格高騰に刺激され、下院のBarton委員長がエネルギー法案マークアップ開始を宣言

共和党議員が天然ガスと石油の価格高騰に乗じて、長いこと立往生しているエネルギー法案を動かそうと画策していることをうけ、下院エネルギー商業委員会は、エネルギー法案のマークアップを今週開始する意向であると発表した。同委員会のJoe Barton委員長(共和党、テキサス州)によると、マークアップ会合では、超党派のオープンなプロセスを採用する予定であるという。4月1日にウェブ上で公開された、マークアップの土台となる公式な委員会草案は、数週間前にBarton委員長が発表した草案に概ね沿った内容となってはいるものの、幾つかの論争の的となる条項も含んでいる。

その一つが、精製業者のライセンス認可手順を迅速化する条項である。これは、失業率が全国平均を10%以上上回る地域に「精製所再活性化地区 (refinery revitalization zone)」を創る権限をエネルギー省(DOE)に与えるという内容で、DOEでは認可手続きや環境査定を監督して、通常の場合、正式な申請提出から6ヵ月以内に最終決定を下だすことになる。しかしながら、同条項は低所得地域をターゲットにすることになるため、環境面での不平等問題を理由に、民主党議員が強く反対するものと予想されている。また、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)がFERCを相手どって起こしたカリフォルニア州ロングビーチの液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル建設に関する訴訟の行方を懸念した産業界が共和党に働きかけて策定した、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission = FERC)に、地元や州政府のLNGターミナル建設反対を覆す権限を与えるという条項も激しい反対に直面すると見られている。Ed Markey下院議員(共和党、マサチューセッツ州)は既に、同条項はLNG新規施設の立地に関する地元・州政府当局者の権限を阻害するものであると批判し、今週のマークアップ審議でこの削除を図ると発言している。

エネルギー法案の中には、下院の他の委員会の管轄下に入る条項が幾つかある。例えば、同法案の優遇税制に関して権限を持つのは下院歳入委員会であり、北極圏野生生物保護地域(Arctic National Wildlife Refuge)の石油・天然ガス掘削解禁については下院資源委員会が管轄権限を持つ。4月1日には下院の歳入委員会と資源委員会が翌週のマークアップ日程を発表するのではという思惑が流れたが、4月4日時点でもそうした発表は行なわれていない。(Greenwire, April 4, 2005)


4月1日号

北米初の大型ソーラーヒーティング実証プロジェクト

カナダのStephane Dion環境大臣とTommy Banks上院議員は3月30日、カナダ政府、アルバータ州政府、および、カナダ地方自治体連合が北米では初めてとなる季節的蓄熱(seasonal storage)利用の大型ソーラーヒーティング・システムの実証プロジェクトで協力することを発表した。

カルガリーの南、オコトクスに建設されるDrake Landing Solar Communityと呼ばれる新興住宅地の52戸の家屋には、太陽熱システムのパネル2枚が設置され、これによって自家で必要な温水の60%を供給することになるという。また、車庫と屋根付き通路(breezeway)の屋根の上にはソーラーコレクター(この住宅地全体で約800個、総合面積は2,300平方メートル以上)が装備される。夏の間にソーラーコレクターで集めた太陽エネルギーは、断熱パイプを通って住宅地内公園の地下に掘削されたボアホールに蓄えられ、冬にはこの熱エネルギーが回収されて、地下の断熱パイプを通って温水として住宅地の各戸に分配される。各家屋の室内の空気は、各戸に設置されたエアハンドラーによって暖められるという仕組みである。また、住宅地内公園には、機械装置や制御装置、モニター装置や短期蓄熱用の大型水タンクを装備するエネルギーセンターが建設されるという。

この革新的なシステムは、52戸の新設家屋が必要とする暖房の90%以上を供給するほか、年間に各戸5トン、合わせて260トンの温室効果ガス排出削減を達成するものと期待されている。(Natural Resources Canada News Room, March 30, 2005)

ENERGY STAR洗濯機の基準を強化するエネルギー省

エネルギー省(DOE)が3月30日に、ENERGY STARラベルを表示する洗濯機の基準を強化すると発表した。2007年1月1日に発効する洗濯機の新効率基準では、修正エネルギー係数(Modified Energy Factor)を現在の1.42から1.72に引き上げるほか、これまでは対象とされていなかった節水基準も設定している。

1997年にはENERGY STARラベルの基準をみたす洗濯機は1%以下であったが、この数は今では国内販売総数の30%以上まで拡大しているほか、エネルギー効率が更に改善された新型洗濯機が毎年市場にお目見えしている。Samuel Bodmanエネルギー長官は、こうした状況下でのENERGY STAR洗濯機の基準強化は、米国家庭にエネルギー代の節約をもたらすだけでなく、国家の省エネ努力を助長し、更には、我が国のエネルギー自立に一役かうことになると語っている。DOEでは、この新基準によって、年間1億8,570万キロワット時を超える節電と約89億ガロンの節水が可能となるほか、年間5,280万ドル以上の節約を達成できると予測している。(DOE News Release, March 30, 2005)

エネルギー未来連合、石油代替燃料を推進する新イニシアティブを求める書簡を送付

米国エネルギー政策の改変を目的として掲げる「エネルギー未来連合 (Energy Future Coalition)」という共和党寄りでも民主党寄りでもない無党派(nonpartisan)同盟が、ブッシュ大統領、チェイニー副大統領、国防省・エネルギー省・国務省各長官、および、議会議員達に、エネルギー効率改善と再生可能エネルギー重視型のイニシアティブに着手するよう求める書簡を送った。

同書簡で、Robert McFarlane元国家安全保障顧問やJames Woolsey元中央情報局(CIA)局長、Tim Wirth元国務次官を始めとする署名者達は、@米国の石油輸入依存は国家安全保障や経済成長に危険をもたらすこと;A中国やインド等途上国の石油消費増大がこのリスクを更に悪化させること;B石油埋蔵量では世界の僅か2%、消費量では25%という米国が、国内生産拡大だけで石油輸入のニーズを排除することは不可能であること;C国産のクリーンな石油代替燃料の開発と導入、および、運輸システムの効率改善が必要不可欠であることを指摘している。また、石油ショックの危険を軽減するため、米国はバイオマスやアルコール等石油代替燃料の迅速な開発と普及、および、エネルギー効率の向上によって石油消費を削減する新たなイニシアティブを立ち上げ、新イニシアティブには、他の国防関連優先事項に匹敵する投資を行うべきであると主張している。(Energy Future Coalition Letter, March 24, 2005)


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