NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年4月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

4月27日特別号

ブッシュ大統領、中小企業庁開催の会合で新たなエネルギー・イニシアティブを発表

4月20日のヒスパニック商工会の会合で国家エネルギー政策の必要性を主張したばかりのブッシュ大統領であるが、4月27日には、中小企業庁が首都ワシントンで開催した会合に出席し、新たなエネルギー・イニシアティブを発表した。今回の演説の焦点はテクノロジーをエネルギー政策に応用することで、ブッシュ大統領は、テクノロジーが既存エネルギー資源の利用改善や、過去の世代が夢想だもしなかった新たなエネルギー資源の開発を可能にすると指摘し、テクノロジーこそが我が国のエネルギー自立への切符であると発言した。ブッシュ大統領の演説の要点は下記の通り:(太字が新たなイニシアティブ)

1. エネルギー自立へと向かう上で重要な第一ステップは、既存エネルギー資源の国内生産増大の為にテクノロジーを応用することである。

  • 原子力発電は最も有望なエネルギー資源であるにも拘わらず、米国は1970年代以来原子力発電所を1ヵ所も新設していない。原子力発電所ライセンシング手続きの不確実性(uncertainty)を軽減するため、エネルギー省(DOE)に対して既存法令の改変を検討し、更には、認可手続きの問題が原因で発生した遅延コストや損失をカバーする連邦政府リスク保険(federal risk insurance)を提供するよう指示した。
  • 米国では、1976年以来石油精製所が新設されていない。既存の石油精製所の拡大、および、新たな精製所の建設を奨励するため、環境保護庁(EPA)が現在進めている規制・規定の簡素化努力のほかに、閉鎖された軍事基地に精製所を新設することで州政府と協力するよう連邦各省庁に指示するつもりである。
  • 天然ガスを液化するテクノロジーのおかげで、LNG輸入は2003年にほぼ倍増したが、LNGのターミナルは米国に5ヵ所あるのみである。LNG利用の拡大を可能にするため、議会は連邦エネルギー規制委員会(FERC)に新ターミナルの立地場所決定権限を付与するべきである。

2. 第二ステップは、テクノロジーを利用して新たなエネルギー資源を造ることである。

  • 水素が最も有望な新資源であり、水素燃料電池の用途として携帯電話からコンピュータ、自動車までがあげられる。我が政権は既に議会に対して、最先端技術を利用した車両の商用化を推進するため5億ドルの追加支援を要請した。

3. 第三ステップは、省エネ向上努力を引き続き進めるため、テクノロジーの力を利用することである。

  • 我が政権は、高燃費のハイブリッド自動車やトラックの購入を奨励するため、10年間で25億ドルの税額控除を提案しているが、このインセンティブの対象をクリーンなディーゼル車にも拡大するべきである。

4. 第四ステップは、他国特に開発途上国がテクノロジーの進歩の恩恵を、自国の需要削減に利用できるように計らうことである。

  • アジア経済の成長に伴なうエネルギー需要の拡大が、予想されるエネルギー価格上昇の主要原因である。従って、こうした諸国においてクリーンエネルギー技術の開発や導入を支援することは我が国の関心事でもある。クリーンコール技術や原子力発電等の利用で、国際協力を拡大する。

(President's Speech to Small business Administration's Conference, April, 27, 2005)


4月26日号

ペンシルバニア州立大学とアイオン・パワー社、微生物燃料電池の発電能力を改善

ペンシルバニア州立大学とアイオン・パワー社が、生活排水、農業廃水、産業排水といった生物分解性の溶存有機質(dissolved organic matter)を材料にして水素を生産し、廃棄物処理にも一役果たす微生物燃料電池(microbial fuel cell = MFC)を開発した。生物電気化学的な微生物反応炉(BioElectrochemically-Assisted Microbial Reactor = BEAMR)と呼ばれるこの水素生成MFCを開発するため、研究チームは、排水を浄化すると同時に少量の電気を発生する既存のMFCを使用している。既存のMFCを利用したこれまでの研究では、水素に変換されるのは炭水化物だけで、酢酸や酪酸といった最終発酵製品の混合物が残ってしまったが、同研究チームは、MFCから酸素を締め出し、僅か0.25ボルトの電気を加えることで、酢酸を水素や二酸化炭素に変換できることを明らかにした。

この研究は、全米科学財団(NSF)のグラントを継続的に受けてきた(現在までの累積総額170,693ドル)ほか、農務省、ペンシルバニア州立大学ハック生命化学研究所、スタン&フローラ・カップ基金からも助成を受けている。(Penn State News, April 22, 2005)

カナダ政府、プリンス・エドワード島の風力-水素村プロジェクトを支援

アトランティックカナダ開発庁(Atlantic Canada Opportunities Agency)のJoe McGuire長官が、村の主要エネルギー源として風力を利用し、産業用・農家用・家庭用のバックアップ電力および車両用燃料として水素を生産する、プリンス・エドワード島風力-水素村実証プロジェクトの開発に510万カナダドルのグラントを提供すると発表した。

プロジェクトは3段階方式で進められる。第1フェーズでは、水素エネルギー・ステーションや水素貯蔵所、および、家庭やビルに電力を供給する風力-水素や風力-ディーゼルの統合制御装置を設置する。第2フェーズでは、この電力供給を農場運営まで拡大するほか、水素を動力とするシャトルバスや燃料電池自動車の導入などを行う。第3フェーズでは、水素を動力とするツアー船舶を導入する予定となっている。

地方コミュニティーの抱えるエネルギー問題および経済成長問題への解決策実証を目的とする同プロジェクトは、プリンス・エドワード島エネルギー公社とハイドロゲニックス社、およびカナダ連邦政府の共同プロジェクトであり、総コストは1,030万カナダドルと推定されている。(Industry Canada News Release, April 22, 2005)

ニューヨーク市議会、ハイブリッド車の優先購入を義務付ける法案を可決

ニューヨーク市議会が、市の所有する車両にハイブリッド車の優先購入を義務付ける法案を可決した。この新たな法律は、市場で最もクリーンで燃費の優れた車の購入を市当局に義務付けるもので、これによって、同市が新たに購入する車両を代替燃料車に限定した現行法は廃止される。

代替燃料車の購入を義務付けた先の法律が2006年に撤廃されると、以降、同市は年間購入車両の95%が、カリフォルニア州の厳格な排出基準に従い最も優れた排出削減技術を備えているようにしなければならない。さらに、2015年までに市の所有車両全体の燃料効率を20%向上しなければならない。

基本的に、ニューヨーク市の新たな法律は、ハイブリッド車の購入に拍車をかけることになる。Michael Bloomberg市長はこの法律を支持している。(New York Times, April 23, 2005)


4月25日号

環境保護団体、代替燃料自動車調達義務の未遵守で連邦14省庁を提訴

環境保護団体のCenter for Biological DiversityとBluewater Networkが、ブッシュ政権は1992年包括エネルギー法の定めた代替燃料自動車調達義務要項を遵守しなかったとして、連邦14省庁を提訴した。1992年包括エネルギー法は、主要都市にある連邦省庁機関に新規購入の自動車や軽トラックの最低75%を代替燃料車とするよう義務づけているほか、輸送用石油消費の30%を代替燃料で置換することを求め、エネルギー省(DOE)に対しては民間や地方自治体のフリートにも同様の代替燃料使用義務をかす規定を策定するよう義務づけている。

今回の訴訟によると、連邦14省庁の多くがこの調達義務を満たしていないばかりか、先頃では各省の調達進捗状況データが公開されていないという。また、DOEが、民間・地方自治体フリート向け代替燃料使用義務の策定を行なわないという決定を下だしたことも批判している。

原告の環境保護団体は、米国最大のフリート(車両60万台以上)を持つ連邦省庁が1992年包括エネルギー法を完全遵守すれば、北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge)からの年間産油量の4倍強に相当する、年間14億バレルを削減することが可能であると主張している。

今回訴えられたのは、農務省、国防省、商務省、厚生省、国土安全保障省、住宅都市開発省、内務省、労働省、運輸省、復員軍人省、中央情報局(CIA)、ホワイトハウス、連邦通信委員会(FCC)、および、総務庁。(Greenwire, April 21, 2005)

Orrin Hatch上院議員、ハイブリッド自動車購入者を対象とする税額控除法案を提案予定

Orrin Hatch上院議員(共和党、ユタ州)が、ハイブリッド自動車他の高燃費自動車の購入者に税額控除を提供するCLEAR法案(CLEAR Act)を提案する予定であるという。CLEAR法案は、2007年で満期終了となる現行の税額控除 …2003年のハイブリッド車購入の税控除は2,000ドルであったが、2004年には1,500ドルに低減… にとって代わることになる。

Hatch上院議員のスタッフであるJ.J. Brown氏によると、CLEAR法案の税控除額は、各車種の使用技術や燃費によって異なるものの、プリウスやシビック・ハイブリッド車の購入者は2,000〜3,000ドルの控除を受けることになるという。同法案のコストは、6〜10年間で約30億ドルと推定されている。(Greenwire, April 22, 2005)


4月22日特別号

米国下院、2005年エネルギー政策法案を249対183で可決

米国下院は4月20日に、「2005年エネルギー政策法案 (Energy Policy Act of 2005:下院第6号議案)」の本会議審議を開始した。同法案の審議は比較的順調に進んでいたが、審議二日目の4月21日にLois Capps下院議員(民主党、カリフォルニア州)が、ガソリン添加物MTBEの製造業者を製造物責任法違反の訴訟から守るという条項を下院エネルギー法案から削除する修正法案を提出、同修正案の討議が認められたことで、下院本会議の審議は一時立ち往生となった。

Capps下院議員が削除を求めた条項は、「(前略)自動車用燃料として使用された又は使用される予定の、クリーンエア法の第211条 (o) (1) に定められた再生可能燃料やMTBE、及び、こうした再生可能燃料やMTBEを含む自動車用燃料は、環境保護庁(EPA)長官がクリーンエア法第211条に基づいて科した規制や禁止条例に違反するのでない限り、こうした再生可能燃料やMTBEであるという事実、又は、それを含むという事実によって、欠陥製品であるとみなされることはない。(中略) 同条項は2003年9月5日に発効し、発効日またはそれ以降に提出された全ての訴訟に関して適用される。」というもの。共和党指導部は、MTBE地下水汚染問題を地元に抱える共和党議員等に、エネルギー法案が上下両院協議会に進んだ際に、両院協議会にMTBE浄化・修復プログラムを検討するMTBEタスクフォースを設置すると約束することで、共和党議員の背反をかろうじて食い止めることに成功。Capps議員の修正法案は、213 (内訳は民主党議員187名+共和党議員25名) 対 219という僅差で否決された。

下院本会議のエネルギー法案審議では、これまでの例に違わず、北極圏野生生物保護区域 (Arctic National Wildlife Refuge - ANWR) における石油・天然ガス掘削を認可する条項が論争点となったが、Edward Markey下院議員 (民主党、マサチューセッツ州) 提案による、エネルギー法案から同条項を排除するという修正法案は200対231で否決された。また、自動車燃費の基準引き上げを狙って、下院科学委員会委員長であるSherwood Boehlert議員 (共和党、ニューヨーク州) は、1ガロンあたりの燃費を10年間で現在の25マイルから33マイルまで引き上げる修正法案を提出したが、177対254で却下された。

「2005年エネルギー政策法案」は、2003年に上下両院協議会が作成・合意したエネルギー妥協法案をベースにしたものであるが、液化天然ガス (LNG) 新ターミナルの立地場所決定権限を連邦政府に付与するという条項が追加されている。この新条項は、州政府や地方政府の権限を侵害するものであるとして、Michael Castle下議員 (共和党、デラウェア州) が同条項を削除する修正法案を提出していたが、この修正法案も194対237で否決された。

下院本会議は4月21日に、全ての修正法案の採決を終了。「2005年エネルギー政策法案」の採決へと移り、同法案を249 (内訳は共和党208名+民主党41名) 対 183 (共和党22名+民主党160名+無所属1名) で可決した。

<2005年エネルギー政策法案の概要>

1. 省エネルギー

  • 2015年までに連邦政府所有ビルのエネルギー消費20%削減を義務づけ、公共ビル対象の省エネルギー計画に助成金を提供し、連邦政府所有車の燃費基準を強化する。
  • Energy Star計画を拡大する。

2. 再生可能エネルギー

  • ソーラー、風力、地熱、バイオマスに生産税控除を提供する再生可能エネルギー生産インセンティブを再認可し、インセンティブ対象を拡大して埋立地ガスも含める。
  • 連邦政府に再生可能エネルギーの利用拡大(2013年の目標値7.5%以上)を指示する。

3. 石油および天然ガス

  • 戦略石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)を現在の7億バレルから10億バレルに拡大することを認可する。
  • ANWRの一部を石油・天然ガスの掘削に解禁する。
  • LNGターミナルの立地決定権限を連邦政府に付与する。

4. クリーンコール・テクノロジー

  • 先進石炭発電技術の実証プロジェクトを支援するクリーンコール発電イニシアティブ (Clean Coal Power Initiative) に実施予算として18億ドルを提供する。
  • 5件の石油コークスガス化プロジェクトに対する債務保証を認可する。

5. 原子力

  • 原子力事故時の賠償を規定したプライス-アンダーソン法を20年間更新する。

6. 自動車および燃料

  • 在来型内熱機関をハイブリッド車や電気自動車へ転換するHybrid Retrofit and Electric Conversion計画を開始する。
  • 州政府・地方政府の代替燃料車・燃料電池車・ハイブリッド車他調達にグラントを提供する、先進自動車計画に2億ドルを認可する。
  • 水素燃料電池技術を実証するため、水素燃料電池バスや水素燃料電池スクールバス計画を開始する。

7. 水素

  • 2020年までに水素自動車の実用化を目指すと同時に、水素燃料の安全供給に必要なインフラを整備する新プログラムを開始する。同プログラムに5会計年度で20億ドル強の予算を認可する。

8. エタノールおよび自動車用燃料

  • 再生可能燃料使用基準 (Renewable Fuels Standard) を、2010年までに50億ガロンと設定する。
  • MTBEの自動車用燃料添加物利用を2014年12月31日以降禁止する。

9. 電力関連

  • 既存の公益事業持株会社法 (PUHCA) 義務要件を撤回し、代わりに連邦政府や州政府の規制担当者による帳簿や記録の検査を実施することにより、電力部門への投資を促進する。
  • オープンアクセスを提供することにより、送電網の信頼性を改善する。

10. 優遇税制

  • 石炭、石油、天然ガス、原子力産業を推進するため、約80億ドルの税控除を認める。
  • MTBEの段階的廃止に伴ない、MTBE製造業者や石油精製業者への補償金として向こう8年間で20億ドルを提供する。
  • メキシコ湾岸深海における石油・天然ガス掘削研究を支援するため、石油・天然ガス会社に10年間で20億ドルのロイヤリティ免除を認める。

(Washington Post, April 22, 2005; New York Times, April 22, 2005; ABC News, April 21, 2005; GOP H.R. 6 Bill Summary, April 18, 2005)


4月21日号

ブッシュ政権、米国政府の地球観測戦略計画を発表

ブッシュ政権は4月18日、米国統合地球観測システム(U.S. Integrated Earth Observation System = IEOS)の戦略プラン発表を告げた。このプランは、2月16日に60カ国が戦略プランを合意した全地球観測システム(Global Earth Observation System of Systems = GEOSS) における米国の役割を詳述するものである。米国のプランは社会的恩恵の大きい9分野に焦点を当てている:

  • 気象予報の向上
  • 災害による人命や財産の損失を減らすこと
  • 海洋資源の保護と監視
  • 気候の可変性と変動を理解し、査定し、予報し、軽減し、これに順応すること
  • 維持可能な農林業の支援と土地の衰退との戦い
  • 環境要因が人のトータルな健康に及ぼす影響の理解
  • 生態学的予測能力の開発
  • 水資源の保護と監視
  • エネルギー資源の監視と管理

(OSTP Press Release, April 18, 2005)

環境保護庁、中小企業革新研究(SBIR)計画で環境技術プロジェクト38件に助成金260万ドルを給付

環境保護庁(EPA)が、中小企業革新研究(Small Business Innovative Research = SBIR)の2005年度環境技術第1フェーズ提案公募で、34の中小企業が提出した38件のプロジェクトに総額約260万ドルのグラントを給付すると発表した。各プロジェクトへの助成額は約7万ドルとなる。6つの分野に分類されて選定された主要プロジェクトは下記の通り:

1. ナノテクノロジー … 環境浄化に役立つナノテクノロジーの開発で6件

  • Nanomaterials & Nanofabrication研究所 (アーカンソー州):複数の水媒介病原体を同時に探知するナノ結晶バイオセンサー・アレイを開発するプロジェクト
  • TDA Research社 (コロラド州):鋼鉄用クロメートフリー・ナノ粒子腐食抑制剤を開発するプロジェクト

2. 有害廃棄物 … 有害廃棄物管理方法の改善、および、有害物質の代替品の研究開発で10件

  • Energy Energy Company (ユタ州):一般廃棄物ガス化で生じるタールや石油の副産物を管理・抑制する新プロセスを開発するプロジェクト
  • Thermolose Cellulose Products社 (ペンシルバニア州):PentaBDEやOctaBDE他のハロゲン化した難熱剤に代わる、強力で無毒、かつ、環境に優しい物質を開発するプロジェクト

3. 大気汚染 … 大気汚染の防止・抑制に有効な技術の開発で6件

  • Baldwin Environmental社 (ネバダ州):微細・粗大粒子排出の継続的なモニター装置を開発するプロジェクト
  • TDA Research社 (コロラド州):有害廃棄物燃焼炉から水銀を除去する触媒を改善するプロジェクト

4. 水質 … 水質改善技術の開発で7件

  • 水中の殺虫剤を現場でモニターするバイオセンサーを開発するプロジェクト
  • Saigene社 (ワシントン州):正帯電シリカマトリクスを利用した革新的ウィルス捕獲装置を開発するプロジェクト

5. 国土安全保障 … ビルディングや水資源の安全を保証する技術の開発で4件

  • Seacoast Science社 (カリフォルニア州):ビルの毒ガス消去に広く使われている2種類の化学物質の存在と濃度をモニターする小型ワイヤレス装置を開発するプロジェクト

6. 持続可能性 … 持続可能性に関連する技術の開発で4件

  • National Recovery Technologies社 (テネシー州):電子廃棄物からプリント配線板 (printed wiring board = PWB) を分類する、高速自動分類システムび開発可能性を判定するプロジェクト

(EPA News Release, March 3, 2005)

機能的ナノマテリアル・センターの竣工式を行った、ブルックヘイブン国立研究所

エネルギー省(DOE)のブルックヘイブン国立研究所で4月15日、機能的ナノマテリアル・センター(Center for Functional Nanomaterials = CFN)の竣工式が行われた。建設工事は年内に始められる予定であり、2007年に研究事業の開始、2008年8月に業務の本格的開始が予定されている。センターでは次の3つの主要分野に焦点を当てた研究が行われる:

  • ナノ触媒作用 : ナノ構造を利用した化学反応の加速化
  • バイオ・ナノマテリアルやソフト・ナノマテリアル: ポリマーや液晶など
  • 電子ナノマテリアル : 電子の制御を可能にし、これを基に 新しい通信機器やエネルギー管理機器の開発を目指す

(Brookhaven News Release, April 15, 2005)


4月20日号

ENTECH社とパートナー企業、太陽電池アレイ技術でNASAコントラクトを獲得

ENTECHとそのパートナー企業が、米航空宇宙局(NASA)から3本のコントラクトを獲得した。ENTECHはストレッチト・レンズ・アレイと呼ばれる特許太陽電池アレイ技術を開発した企業で、この太陽電池アレイが月や火星の探査に関連する用途に用いられる予定である。予定契約期間の契約総額は最大約1,750万ドルと見積もられている。

最初の契約は、赤外レーザーも集められる特製ストレッチト・レンズ・アレイの開発資金を提供する。2本目の契約は、新型宇宙貨物船上で電気推進スラスタに電力を供給できるようなストレッチト・レンズ・アレイの高圧太陽電池回路と先進レンズ材料の開発を支援する。3本目は超高性能ストレッチト・レンズ・アレイの開発を助成する。(ENTECH, Inc. News Lease, April 18, 2005)

欧州連合のDimasエネルギー・環境担当委員長、京都議定書以降の環境対応策を米国高官と討議

欧州連合のStavros Dimasエネルギー・環境担当委員長がPaula Dobriansky国務次官、ホワイトハウスのJim Connaughton環境問題委員長、およびChuck Hagel 上院議員(共和党、ネブラスカ州)と会合し、地球温暖化と次回の気候政策交渉への米国の参加について協議した。Dimas委員長は今朝Samuel Bodmanエネルギー長官との会合も予定している。

Dimas委員長によれば、米国と欧州諸国は、環境政策を協議する「ハイレベル作業委員会」の設置に合意したという。作業委員会は2012年以降の温暖化ガス削減の公約については協議せず、その代わり、エネルギー効率や再生可能エネルギー、発展途上国への技術移転などの課題に焦点を当てるという。

今後、地球温暖化協議に米国が参加する可能性について、委員長は楽観的な見解を示し、ブッシュ大統領が2月の訪欧の際、気候変動に対処する重要性を強調したのに勇気付けられたと述べた。Dimas委員長は新しい排出削減技術の研究開発のためにホワイトハウスが行っている大規模な投資にも評価を示した。(Greenwire, April 19, 2005)


4月20日特別号

ブッシュ大統領、ヒスパニック商工会の会合で国家エネルギー政策の必要性を主張

ブッシュ大統領は4月20日、首都ワシントンで開催されたヒスパニック商工会の会合で演説し、米国経済の成長速度が主要先進国の中で最高であり、過去22ヵ月間で米国は300万以上の雇用を創出したと語った。大統領はまた、ラティーノ・コミュニティーには屈強な起業家精神があり、ヒスパニックの失業率も2年前の8.4%から5.7%まで低下していると評価し、米国経済および雇用創出に対するヒスパニック企業家の貢献に感謝の意を表した。大統領は、米国経済を引き続き成長・拡大させていくことが重要であるが、我が国の競争力維持および雇用拡大の為には、価格が手頃で信頼でき、かつ、確実なエネルギー供給が必要不可欠であると主張し、議会に対して派閥争いを乗り越え、今年8月までに包括エネルギー法案を可決するよう促した。今回の大統領スピーチの要点は下記の通り:

  • 国内のエネルギー供給量が成長経済によるエネルギー需要に追いつかないことが、根本的問題である。過去10年間に米国のエネルギー消費は12%以上増大したが、国内生産量の伸び率は0.5%未満にすぎない。同時に、世界のエネルギー需要もエネルギー供給を上回る速度で拡大しており、これが原油価格高騰の原因となっている。
  • 米国の海外エネルギー資源依存を軽減しなければならない。これは、経済面の安全保障問題であり、また、国家安全保障問題でもある。
  • 我が国は10年以上も包括的な国家エネルギー政策を欠いている。米国 (下院) 議会は今日、エネルギー法案の審議を開始したが、今度こそ法案を可決させ、成立させる必要がある。
  • 議会が大統領に送るエネルギー法案は、下記の重要目標を満たす健全な法案でなければならない:
    • エネルギー法案は、省エネルギー技術やエネルギー使用合理化技術の利用を奨励すべきである。議会が検討中のエネルギー法案は、省エネ製品の生産や販売を奨励するEnergy Star計画を拡大するほか、エネルギー使用合理化および再生可能エネルギーの研究を促進する内容となっている。
    • エネルギー法案は、国内エネルギーを環境に優しい方法で増産するべきである。我が国の最も豊富な資源である石炭をクリーンに利用するため、議会が検討中の法案は、石炭火力発電所の汚染物質をほぼ完全除去する新技術の開発を目的とした、クリーンコール発電イニシアティブ (Clean Coal Power Initiative) に10億ドル以上の予算を認可するものである。また、エネルギー安定供給を更に確実にするため、北極圏野生生物保護区域 (Arctic National Wildlife Refuge) を含む新区域を石油や天然ガスの探査に開放するべきである。更に、国産エネルギー増大のためには、原子力発電の利用を拡大する必要がある。
    • エネルギー法案は、代替エネルギー資源開発によるエネルギー供給多様化を助長すべきである。法案はまた、エタノール利用の拡大やハイブリッド自動車の購入を奨励し、水素燃料電池自動車の開発に必要不可欠な予算を認可し、風力や埋立地ガス等の再生可能資源に税控除を提供すべきである。
    • エネルギー法案は、国内エネルギー基盤の近代化を助長すべきである。電力会社による系統連系の信頼度保証は、現行法では義務要件ではなく、選択肢となっているが、議会はこれを義務づけるべきである。法案は、新規電力基盤への投資意欲を削ぐ時代遅れの規定を撤回し、超伝導電線等の新技術開発を奨励すべきである。また、地域的論争が国家問題に拡大することを防ぐため、電線新設場所の立地権限を連邦政府当局者に付与すべきである。
  • こうした目的を達成するため、ヒスパニック商工会の支援が必要である。商工会の面々は議会でのロビー活動に卓越している。議会へ赴いて、議員等にエネルギー法案の可決を要請して欲しい。

(President Bush's Speech to U.S. Hispanic Chanber of Commerce Conference,April 20, 2005)


4月18日号

ラドガーズ大学の研究チーム、ナノテクノロジーを使って燃料電池に使用される水素を生成

ラドガーズ大学の科学者チームがナノテクノロジーを使って、細かな凹凸のあるイリジウム粒子から成る表面物質を開発した。これは、燃料電池に使われる水素をアンモニアから抽出する触媒として使われる。水素源として液体アンモニアを使うと、気体の軽さと可燃性ゆえの貯蔵・運搬上の難点がそれほど問題でなくなる。この場合、ガソリンやディーゼル燃料のように取り扱うことが可能となる。

この研究は、ラドガーズ大学表面改質研究所(Laboratory for Surface Modification)で実施されているもので、「米化学界誌 (Journal of American Chemical Society)」4月20日号に発表されることになっている。ラドガーズ大学物理学部のTed Madey教授(表面科学専門)がプロジェクト・リーダーを務めるこの研究は、エネルギー省(DOE)基礎エネルギー科学課のグラントから、資金援助を受けている。(Environmental News Service, April 11, 2005)

カナダ政府、プロジェクト・グリーン開始にあたり、最新の気候変動行動プランを発表

カナダ政府は4月13日、プロジェクト・グリーンの第1段階開始にあたり、「前進する気候変動対策:我が国の京都コミットメント尊重プラン (Moving forward on Climate Change: A Plan for Honouring our Kyoto Commitment)」を発表した。長短期の気候変動目標達成とカナダの国家競争力向上を目的とする同プランは、2002年気候変動行動プランをアップデートしたもので、下記の6要素を柱としている:

  • 21世紀の競争力ある持続可能な産業 … カナダが持続可能で競争力ある経済を21世紀に維持できるよう、イノベーションと技術発展を促進する。エネルギー使用合理化を図り、再生可能エネルギー利用の拡大を奨励することによって、世界市場におけけるカナダの地位を確固たるものにする。同時に、我が国のエネルギーミックスを多様化し、エネルギー安定供給を増進する。
  • 市場力の活用 … 温室効果ガス排出削減のポテンシャルを開拓するために市場メカニズムを活用する。革新的な気候基金(Climate Fund)を使って、国内の排出削減および国際的な排出削減に投資する。
  • カナダ連邦政府・州政府・テリトリー政府のパートナーシップ … パートナーシップ基金で、州やテリトリーとの提携関係を最大限に活用する。同基金の下で、各政府は共通の優先事項を確認し、技術やインフラ開発整備への大型投資事業に共同参加する。
  • 熱心な国民 … 気候変動対策における我が国の真の財産はカナダ国民である。1トン削減チャレンジ(One-Tonne Challenge)他の連邦プログラムにより、国民に必要なツールを提供する。
  • 持続可能な農林部門 … カナダは、気候変動の課題に立ち向かう上で、広大な森林と農耕地という自然面でのアドバンテージを持っている。適切に管理すれば、森林や農耕地は温室効果ガス排出の隔離で非常に有益である。
  • 持続可能な都市とコミュニティ … 気候変動への対応と、我が国の都市やコミュイニティの緑化には通じる点がある。持続可能なインフラ整備への投資を盛り込んだカナダ政府の「都市とコミュニティの為のニューディール(New Deal for Cities and Communities)」は、我が国の気候変動対策目標の前進に有用である。

(Natural Resources Canada News Release, April 13, 2005)

全米科学財団、生物・化学兵器センサー関連の研究開発を助成

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が先頃、中小企業革新研究(Small Business Innovation Research)計画の第2フェーズで、生物・化学兵器センサー関連の研究開発に従事するナノテク企業2社にグラントを給付した。グラント受給機関とプロジェクト内容は下記の通り:

  • Integrated Nano-Technologies社 (ニューヨーク州ヘンリエッタ市) … 低濃度の生物剤 (biological agent) を正確に探知できる、革新的なDNA探知装置の研究開発プロジェクト。電子分析計と一回限りの使い捨てテストカードから成るBioDetectプラットフォームは、他の探知装置と異なり、ポリメラーゼ連鎖反応に依存しないため、処理機能が迅速で安定するという。グラントは2ヵ年で約50万ドル。
  • Nanomix Inc.社 (カリフォルニア州エメリヴィル市) … 生物・化学兵器センサーの開発を支援するために、炭素ナノチューブを基にした分子ナノセンサー・プラットフォーム (molecular nano-sensor platform) を設計・開発するプロジェクト。一連のセンサーチップ、エレクトロニクスモジュール、ガス・液体探知用アダプター、データ収集分析ソフトウェア、および、製品利用の手引きから成るセンサー開発キットを作製する。グラントは2ヵ年で50万ドル。

(Small Times, March 29 & April 15, 2005)

気候管理法案への支持獲得策として、技術開発インセンティブを検討するMaCain議員とLieberman議員

John McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)とJoe Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)が、強制的な二酸化炭素排出規制への支持基盤を広げるため、低公害技術開発の新規インセンティブを盛り込んだ、改訂版気候管理法案(Climate Stewardship Act)を提出する予定であると発表した。McCain議員は、こうした技術を企業に魅力的なものとすることによって、気候変動対応努力に対する企業の関与を強めることが可能であると語っている。

InsideEPA誌の同件に詳しい情報筋によると、両議員は、(1)石炭ガス化複合発電(IGCC)技術;(2)原子力エネルギー;(3)再生可能エネルギー;(4)運輸部門等の分野において優遇税制を検討中であるという。この改訂版法案は、ここ2〜3週間内に発表されるものと見られているが、議会観測筋によると、この法案が年内に可決される見込みは薄いという。(Inside EPA, April 15, 2005)


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