NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年5月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

5月13日号

Taftオハイオ州知事、燃料電池技術に5億ドルの投資を約束

Bob Taftオハイオ州知事(共和党)がクリーブランド州立大学で開催されたオハイオ州燃料電池同盟(Ohio Fuel Cell Coalition)の第4回年次会合の席で、今年11月の投票で雇用創出公債が可決された場合、20億ドルの公債の内の5億ドルを自動車用燃料電池の開発・商用化に充てる意向であると発表した。Taft州知事によると、この投資は、同州が自動車技術開発でリーダーシップを奪還し、雇用を州内に維持するうえで役立つという。

Taft州知事は、オハイオ州における同分野の新雇用創出ポテンシャルを莫大であると称賛しているが、一方では、自動車メーカーがガソリンエンジンから燃料電池へと転換することにより、同州は14.5万の雇用を失うという推定も出されている。(Greenwire, May 12, 2005; The Cleveland Plain Dealer, May 12, 2005)

環境保護庁、燃費実験方法を変更

環境保護庁(EPA)の高官が今週初めに伝えたところによれば、EPAは新車の燃費を計算するテスト方法に変更を予定している。より現実的な走行時の数値を出す目的で、次の3つの追加テストが勘考されている。

  • 高速運転テスト … 時速最高80マイルで走行
  • 極暑テスト … 華氏95度の赤外線灯の下で、エアコンを最強にして走行
  • 極寒テスト … 華氏20度で走行

これまでEPA 内で行われてきた研究では、提案されている上記の3テストが燃料効率を12〜29%押し下げており、特にハイブリッド車で下落幅が大きくなっている。そのため、自動車メーカーはこの計画に批判的で、これらのテストが極端すぎ、平均的な走行状況における燃費の正確な測定値を提供するものではないと指摘している。(Greenwire, May 12, 2005; Wall Street Journal, May 12, 2005)


5月12日号

国立標準規格技術研究所、米国の測定能力とインフラの現状を調べるイニシアティブを開始

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)が「強力な技術革新基盤の構築を目指すアメリカの測定ニーズのロードマップ作成 (Roadmapping America's Measurement Needs for a Strong Innovation Infrastructure)」と呼ばれる新たなイニシアティブを発表した。このイニシアティブの目的は、将来の技術革新、米国産業の競争力、安全保障、生活の質を確保するために、測定能力にどのような進展が必要かを特定することである。現在進められている同イニシアティブの第一段階は、情報収集段階であり、下記が行われることになる:

  • 台頭する測定ニーズを把握するため、業界別・技術別のワークショップを開催する。
  • 既刊の技術別ロードマップやワークショップ報告書を収集し、検討する。

NISTは2006年序盤に第一回米国測定サミットを開催し、主要な顧客や利害関係者の間で討議を開始する予定である。このイニシアティブは米国の測定システムの全貌を明らかにし、全般的健全性を評価する初の試みであり、2007年の年頭に報告書の刊行が予定されている。(NIST News Release, May 11, 2005)

全米科学財団予算増額を要求する書簡、下院で幅広い支持を獲得

Vernon Ehlers下院議員(共和党、ミシガン州)とRush Holt下院議員(民主党、ニュージャージー州)が、全米科学財団(National Science Foundation = NSF)の2006年度予算増額 …ブッシュ大統領要求の56億ドルを8.8%増の61億ドルまで増額…を求める書簡を行政府へ送付すべく準備中であるが、これまでに、163名の下院議員の署名を獲得したという。署名者の中には、下院科学委員会の共和党メンバー22名の内、Sherwood Boehlert科学委員長(共和党、ニューヨーク州)を始めとする13名が名を連ねている。

2002年12月に法制化されたNSF予算倍増5ヵ年認可法では、2006年度予算として85億ドルを認可している。Ehlers下院議員とHolt下院議員は同書簡で、この認可法の定めた2006年度予算には到底手が届かないことを認めているものの、2005年度予算の削減額 (前年度比1億8,000万ドル減) を復活させ、過去のNSF予算額に準じる増額を計上するつもりであると語っている。(Manufacturing & Technology News, May 6, 2005)


5月11日号

アイオワ州知事、再生可能エネルギー利用推進を定めた州政令を発令

Tom Vilsackアイオワ州知事(民主党)が、州内の再生可能エネルギー利用推進を目的とする州知事政令を発令した。第41号政令は州政府機関に下記を指示している:

  • 2010年までに州政府所有施設のエネルギー消費を2000年レベルより平均15%削減し、達成されたエネルギー節減費を施設インフラ整備に再投資する。
  • ライフサイクルコストの算出が可能である全装置につき、州政府機関はライフサイクルコストが最も低い装置を調達する。
  • 電気料金の支払いを州政府が直接行なっている全てのビルディングでは、2010年までに電力消費量の最低10%を代替エネルギー資源でまかなうこととする。
  • 在来型車種に相当する代替燃料車またはハイブリッド電気自動車モデルが入手可能な場合、2010年までに、調達する普通乗用車および小型トラック (法執行用車両を除く) の全てを代替燃料車またはハイブリッド電気自動車とする。
  • 購入するディーゼル燃料の再生可能燃料含有率を、2007年で最低5%、2008年で10%、2010年までに20%まで拡大する。

(State of Iowa Executive Order #41, April 22, 2005)

ゼネラル・エレクトリック社、環境問題に対応する新キャンペーンを発表

ゼネラル・エレクトリック(GE)社は5月9日に、地球温暖化や水不足等の環境問題を念頭においた新たな総合投資計画を発表する予定である。GEの約束する1%の温室効果ガス排出削減は、京都議定書の定める削減や、フォード自動車やデュポン社やIBM社等の米国企業数社が誓約した自主削減目標ほど大胆ではないものの、ブッシュ政権の地球温暖化政策よりはかなり野心的な目標となっている。GEの環境プログラムは下記の目標を設定している:

  • クリーンコール発電技術やハイブリッド機関車といった環境調和型技術への投資を倍増させ、2010年までに15億ドルまで拡大する。
  • 風力タービンやソーラーパネル、石炭ガス化発電所や節水技術といったエコフレンドリー技術の販売を倍増させ、2010年までに200億ドルまで拡大する。
  • 温室効果ガス…主として二酸化炭素…排出を2012年までに2004年水準より1%削減する。
  • 自社のエネルギー効率を30%改善する。
  • 二酸化炭素排出削減の進捗状況を毎年、公に報告する。

(Greenwire, May 9, 2005; Wall Street Journal, May 9, 2005)

アルゴンヌ国立研究所で新ナノスケール材料センター建設の起工式

エネルギー省(DOE)傘下のアルゴンヌ国立研究所に新設されるナノスケール材料センター(Center for Nanoscale Materials)の起工式に、Samuel Bodmanエネルギー長官やRod Blagojevichイリノイ州知事(民主党)等が出席した。起工式では、2007年開設予定の同センターの礎石が据えられた。

DOEの科学部では、国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology Initiative = NNI)に貢献するため、ナノスケール科学研究センター(Nanoscale Science Research Center)を5ヶ所構築するが、その一つとして、DOEとイリノイ州が提携してアルゴンヌのナノスケール材料センター建設に取り組んでいる。

床面積85,000平方フィートの施設の予想建設費は7,200万ドルで、DOEとイリノイ州が経費を折半する。センターの使命は、ナノスケールのレベルで新たな洞察を与えるような新材料を生み出すための先進計器の基礎研究と開発の支援である。(Argonne News Release, May 6, 2005)


5月9日号

Hoevenノースダコタ州知事、多様なエネルギーインセンティブを盛り込んだ包括法案に署名

John Hoevenノースダコタ州知事(共和党)は4月22日、風力エネルギーやバイオ燃料の生産促進、及び、再生可能エネルギーと在来型エネルギーの双方を市場へ運ぶために必要となる送電基盤の向上を狙った包括法案に署名し、これを法制化した。この新法令によって、同州商務省内には、州内の再生可能エネルギー開発支援や省エネルギー推進およびエネルギー使用合理化推進を担当する再生可能エネルギー部が新設されることになるほか、再生可能エネルギー部門に利をもたらす下記の様な新イニシアティブも確立される。

1. 風力

  • ノースダコタ州の送電線建設新投資を推進するため、ノースダコタ送電開発公社(North Dakota Transmission Authority)を設置する。
  • 他州の発電所との再生可能エネルギークレジット取引を認める。(クレジット取引は同州における風力エネルギー開発を助長することになる。)
  • 立地許可の必要な発電規模を50,000 kW から100,000 kWに引き上げる。100,000 kW未満の発電所の立地は許可が不要となる。
  • 立地申請料金の最高額を15万ドルから10万ドルに削減する。

2. エタノール

  • 同州知事の景況対抗型エタノール生産インセンティブ(Counter-cyclical Ethanol Production Incentives)に、向こう2年間で最高460万ドルを提供する。
  • E85混合燃料に対して、1ガロンあたり20セントの優遇税制を提供する。
  • エタノール生産施設やバイオディーゼル生産施設への投資者全員に、30%の投資税控除を提供する。

3. バイオディーゼル

  • バイオディーゼル小売業者が購入したポンプ・ホース・タンク等の販売用設備に対し、設備購入コストの50%、または、年間10%で最高5年間の所得税控除を提供する。
  • バイオディーゼル燃料を5%混合する燃料供給業者に、混合燃料1ガロンあたり5セントの所得税控除を提供する。

4. 水素

  • 内熱機関や燃料電池の動力源となる水素を、消費税免除とする。

(RenewableEnergyAccess.com, April 28, 2005)

燃料電池に有望とみられる、金属付着のナノチューブ

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)の理論家Taner Yildirimとトルコ人物理学者Salim Ciraciが、確立された量子物理学の原理を基に、ある理論を生み出した。これをいわば突破口として、燃料電池用水素の実用的貯蔵法を実証するために必要なブレークスルーが生まれる可能性があるという。

両研究者は、量子計算とコンピューターモデルの結果を用いて、単層カーボン・ナノチューブの表面にチタニウムその他の遷移金属を付着させることで、単層カーボン・ナノチューブが効率的水素貯蔵に必要となる以上の水素分子を捕獲可能であると予測している。この予測が実証可能となった場合、これは下記のような大きな意味合いを持つことになる:

  • FreedomCar研究パートナーシップの定める最小貯蔵能力要件を上回る量の水素を蓄えられる。
  • 水素とチタニウムの結合は、実用的水素貯蔵になくてはならない可逆の脱離特性を示している。

(NIST News Release, May 6, 2005)

超党派の下院議員67名、再生可能エネルギー予算削減に抗議する書簡を送付

Greg Walden下院議員(共和党、オレゴン州)やMark Udall下院議員(民主党、コロラド州)を始めとする下院議員計67名が、エネルギー省(DOE)の2006年度エネルギー効率化・再生可能エネルギー(EERE)予算を2005年度水準で維持するように求める書簡を、下院歳出委員会エネルギー水資源担当小委員会のDavid Hobson下院議長(共和党、オハイオ州)に送った。下院議員達はこの書簡で、ブッシュ政権の水素イニシアティブ投資案に対する支持を表明する一方、現政権のバイオマス/バイオ燃料、地熱や水力発電、太陽光発電や分散型エネルギーといったEEREプログラムの予算削減に対して懸念を表明している。下院議員達は、こうした再生可能エネルギー技術への予算削減に起因する懸念として、(i)エネルギー供給変動に対する脆弱性が深刻化すること;(ii)燃料価格の不安定性が深刻化すること;(iii)代替エネルギー技術市場のシェアを日本やドイツに損失すること、をあげている。(RenewableEnergyAccess.com, April 29, 2005)


5月6日号

米国首都コロンビア特別区で、再生可能エネルギー使用基準が4月に発効

コロンビア特別区(DC)の再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standard = RPS)法が2005年4月に施行された。DCのRPSは、電力会社に、2007年までに電気の4.5%を再生可能エネルギーから提供するよう義務付けるもので、2022年までにこの割合は11%まで引き上げられることになる。また、RPSにおける太陽光発電の使用率も義務付けており、これは、2007年で電力供給量の0.005%、2022年までに0.386%となっている。DCのRPS法には下記のような施策も含まれている:

  • メ リーランド、ペンシルバニア、ニュージャージーの各州との再生可能エネルギー・クレジット取引制度を創設する。
  • 太陽光発電が所定の割合に満たない発電所を対象とする、代替的遵守料金を設定する。
  • 代替的遵守料金を徴収し、これをワシントンDC内の太陽光エネルギー・プロジェクトにローンやグラントとして配布する基金を設置する。

(DOE News Release, April 27, 2005)

有毒化学物質を浄化する新種のナノパウダー

ナノスケール・マテリアルズ社は、全米科学財団 (National Science Foundation = NSF) 他のグラントによって開発したナノ浄化パウダー(VX神経ガスや硫酸などの有毒物質の浄化用)を生産するために、カンザス州立大学の化学者Kenneth Klabunde博士が創設した会社である。同社は先頃、NSFの中小企業革新研究 (SBIR) の支援を受け、彼のナノ・エンジニアリングの産物であるFAST-ACTTM (First Applied Sorbent Treatment - Against Chemical Threats:化学的脅威に対する応急吸収措置)と呼ばれる浄化パウダーを商業規模で生産する製造工程の開発にとりかかった。

FAST-ACTTMは、マグネシウム、チタニウム、酸素から成り、拡散した気体毒物にはスプレー缶からスプレーして、流出液体には粉末を散布して対応する。微細孔に有毒物質を捕獲するばかりか、反応してこれを破壊するという特徴がある。Klabunde博士はこれまで、同製品の開発に向けて主にNSFから総額400万ドル以上のグラントを受けている。(NSF Discoveries, April 28, 2005)

下院科学委員会、製造技術競争力法案を党派ラインで可決

下院科学委員会は5月4日、修正版の2005年製造技術競争力法案(Manufacturing Technology Competitiveness Act of 2005:下院第250号議案)を19 対 14で可決した。民主党が、同法案 …今年1月6日にVernon Ehler上院議員が 下院へ提出したオリジナル法案の内容については、1月25日号のデイリーレポートを参照されたし… では、米国製造業の活性化に不十分だと主張したため、投票は党派ラインで賛否が二分する結果となった。下院科学委員会の公聴会では幾つかの修正案を検討・採択している。採択された主要条項は下記の通り:

  • 先進技術教育プログラム(Advanced Technological Education Program)に3ヵ年で1億7,335万ドルの予算を認可し、そのうち毎年500万ドルを、技術労働者の教育と養成の推進を目的に製造技能基準審議会(Manufacturing Skills Standards Council)に交付する。
  • 商務長官ではなく、科学技術政策局(0STP)の長官が、製造業研究開発に関する省庁間委員会の委員長を任命する。
  • 製造技術普及計画(Manufacturing Extension Partnership = MEP)センターへの助成額として、2006年度に100万ドル、2007年度に400万ドル、2008年度に410万ドルを認可する。

下院科学委員会では、先端技術計画 (Advanced Technology Program) に資金を計上する修正案も検討されたが、これは、民主党議員全員が賛成、共和党議員全員が反対にまわり、15対19で却下された。(CQ Today, May 4, 2005)


5月5日号

ブッシュ大統領提案の新たなエネルギー・イニシアティブに対する上院民主党の反応

ブッシュ大統領は4月27日に中小企業庁主催の会合で新たなエネルギー・イニシアティブを提案したが、上院民主党のHarry Reid院内総務(ネバダ州)はこのブッシュ提案を、現在のエネルギー危機の解決や我が国の海外石油依存度の軽減には何の役にも立たない不十分で見当違いな政策にすぎないと批判している。Reid院内総務は、民主党が包括エネルギー法案に盛り込むことを希望している主要条項として、(i) 再生可能エネルギーを含むエネルギー生産税控除160億ドル;(ii) 再生可能燃料使用基準;(iii) エネルギー使用合理化基準;(iv) 石油消費を削減する条項;(v) エタノール他バイオ燃料の使用義務づけ;(vi) 温室効果ガス排出の削減;(vii) MTBE製造者の責任免除条項の排除、等をあげている。

一方、上院エネルギー天然資源委員会のランキングメンバーであるJeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)は、ブッシュ大統領の提案したクリーンディーゼル車向け税控除とクリーンエネルギー技術での国際協力強化に支持を表明している。但し、閉鎖軍事基地に精製所を新設する提案については、精製所は通常パイプラインや原油源の側にあるため、同提案が現実的であるかどうか疑問であると指摘したほか、原子力発電所の連邦リスク保険については、納税者が同リスク保険に資金提供すべきかどうかが疑問であると発言している。(Greenwire, April 28, 2005)

米航空宇宙局、ライス大学炭素ナノテクノロジー研究所に4ヵ年1,100万ドルのコントラクトを授与

米航空宇宙局(NASA)は4月26日、炭素ナノチューブだけを材料とするプロトタイプ型電力ケーブルの作成で、ライス大学の炭素ナノテクノロジー研究所(Carbon Nanotechnology Laboratory = CNL)に4ヵ年1,100万ドルというコントラクトを授与したと発表した。同プロジェクトは、電導率が銅製ケーブルの10倍ながら重量は約6分の1という、純粋なナノチューブ電力ケーブル …量子ワイヤーと呼ばれる… の生産方法を開拓することを目標としている。

CNLでは2010年までに、長さ1メートルの量子ワイヤー試作品をNASAに納入することになるが、先ずは、ナノチューブの生産加工におけるブレークスルーが必要となる。ナノチューブは数百種類あるものの、量子ワイヤーに必要な十分な電導性を持つ金属系のアームチェア型ナノチューブ(Armchair nanoctube)は僅か2%に過ぎない。従って、特定の種類のナノチューブを大量に生産する方法を発見する必要があるほか、アームチェア型ナノチューブを組み合わせてファイバーやワイヤーを創る方法の開発も必要である。同プロジェクトには、ヒューストンに本拠を置くCarbon Nanotechnologies社、GHG社、デューク大学やペンシルバニア大学も参加する。(nanotechwire.com, April 24, 2005)

米国議会、北極圏野生生物保護区域(ANWR)条項を含んだ2006年度予算決議法案を可決

2006年度予算決議法案(下院第95号議案)が4月28日、米国議会で可決された。投票結果は、下院が214 対 211、上院が52 対 47。上院・下院ともに、同法案に賛成票を投じた民主党議員は一人もいないという結果であった。この予算決議法案は、2006年度の連邦政府歳出予算額を2兆5,700億ドル、裁量的支出の総額を8,430億ドルと設定している。予算決議法案は拘束力を持たないものの、上院と下院の歳出委員会では13本の2006年度歳出予算法案を策定していく際に、国防と国土安全保障関連以外のプログラム予算を1%削減する努力を行うことになる。

同予算決議法案は、こうした厳しい内容でありながらも、エネルギー生産税額控除には110億ドルを提供している。これは、ブッシュ政権の提案額67億ドルを遥かに上回るばかりか、下院が先月可決した2005年エネルギー政策法案(下院第6号議案)に盛り込まれた80億ドルという税控除をも大きく上回る金額となっている。また、2006年度予算決議法案には、北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)における石油掘削を認める下記の条項が盛り込まれている。

(304項) 上院エネルギー天然資源委員会が北極圏野生生物保護区域の1002エーカーにおいて石油の探査・生産を認める法案を報告し、そうした法案が立法化され、本法案[2006年度予算決議法案]の定める調整指令(reconciliation instruction)が水陸保全基金(Land and Water Conservation Fund)、連邦政府土地調達プログラムと州政府助成プログラム、沿岸・河口水域保護プログラム(Coastal and Estuarine Land Protection Program)、および、森林遺産プログラム(Forest Legacy Program)への予算権限を持つ法案において計上された金額 …最低でも前年度予算水準をインフレ調整した金額… によって満たされており、さらには、[上院エネルギー天然資源委員会が]1002エーカーにおける石油の探査・生産を認める法案の制定によって生じる収入金の一部を使用可能にする場合には、上院予算委員会の委員長が上院歳出委員会他の適切な予算関連委員会、および、こうした基金やプログラムへの歳出配分額を改正することを認める。2008年度から2010年度の各会計年度における新予算権限での調整額は、3億5,000万ドルを上限とする。

予算決議法案にANWR条項が盛り込まれたことで、今月始まる見込みの上院におけるエネルギー法案審議に弾みがつくものと期待されている。一方で、ANWR解禁を支持するロビイストのJerry Hood氏は、予算決議法案の可決はANWR解禁に向けた長い過程の第2ステップにすぎず、議会審議の終了までに反対派が問題を起こす可能性は多々あると警告している。(CQ Weekly, May 2, 2005; Greenwire, May 2, 2005; H.Con.Res.95 Bill Summary, May, 2005; anwr.org News, April 29, 2005)

科学・技術専攻学生の拡充を狙い、上院と下院に提出された連邦政府ローン利息支払免除法案

科学・技術・工学・数学(science, technology, engineering, and mathematics = STEM)をキャリアとする米国市民を増やすことを狙った「2005年数学・科学インセンティブ法案(Math and Science Incentive Act of 2005:下院第1547号議案と上院第765号議案)」が下院と上院に提出された。同法案は、STEM専攻学生で大学卒業後に科学や数学の教職、または、科学関連職に5年間連続で就く者には、連邦政府ローンの利息支払い免除を認めるというもので、推定10万名のSTEM卒業生が最高1万ドルの支払い免除を受けることになる。

全米科学振興協会(AAAS)の科学工学キャパシティ推進センターのDaryl Chubin所長は、こうしたローン免除計画によって大学生が学士号取得直後に職に就くことを仮定すると、この計画は学生達を大学院から遠ざけ、結局はこうした学生を競合的雇用市場で不利な立場にするという、予想しなかったマイナスの影響をもたらす可能性があるという懸念を表明している。(Science, April 22, 2005)


5月4日号

エネルギー省、地域的炭素隔離パートナーシップの成功を称賛

エネルギー省(DOE)が、地域的炭素隔離プログラムの進捗状況を報告する「地域的炭素隔離パーナーシップ:第1フェーズの業績 (Regional Carbon Sequestration Partnerships: Phase I Accomplishments)」を発表した。同報告書は、DOEの化石エネルギー部と国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory)により編纂されたもので、プログラム全体の業績だけでなく、7つの地域パートナーシップの進捗状況も概説している。第1フェーズにおける主要な業績は下記の通り:

  • 炭素隔離努力を支援する企業や専門家の全米(カナダの4州も含む)ネットワークを構築。および、炭素隔離技術の認証・普及を開始するために必要な枠組みを構築。
  • 地理的・地質学的データおよび隔離努力に関連する情報を大量に収集し、NATCARBと呼ばれる炭素隔離アトラス(地図)を大成。
  • 炭素隔離の実地試験や商用プロジェクトに要求される認可手順についての理解を増進。
  • 温室効果ガス排出抑制の一つのオプションとしての炭素隔離に対し、市民の認識と支持を拡大。
  • 将来プロジェクトが実証可能な炭素クレジットを取得できるよう、プロジェクトの実施・アカウンタビリティ・コントラクトに対して一連のプロトコールを策定。

(DOE News Release, May 2, 2005)

上院本会議、Stephen Johnson氏を環境保護庁の新長官に承認

上院本会議におけるStephen Johnson環境保護庁(EPA)新長官の承認審議は、クリアスカイ他法案の数量的分析を怠ったブッシュ政権への抗議としてTom Carper上院議員(民主党、デラウェア州)が承認審議に停止をかけた為に遅れていたが、4月29日に討議終結(cloture)案が61対37で可決され、その直後にJohnson氏は発声投票で第11代目のEPA長官に承認された。Johnson氏は、EPA初の「キャリア」高官出身長官となる。(Energy and Environment Daily, April. 29, 2005)

全米科学アカデミー、幹細胞研究の倫理問題に関する指針を発表

全米科学アカデミー(National Academy of Sciences = NAS)が、民間研究施設で用いられるべき倫理基準を勧告する指針書を発表した(http://books.nap.edu/catalog/11278.html)。この指針は、拘束力のあるものではないが、幹細胞研究への連邦予算について米国政府が行き詰っている中で、州政府や民間研究機関の研究計画推進に役立つと期待されている。131ページの指針書には、以下を始めとする50以上の具体的な勧告が含まれている。

  • 幹細胞を研究する全施設が、民間人および科学・法律・倫理分野の専門家を交えた監視委員会を設置すること。
  • 研究に使われる卵子や精子に対しドナーに支払いを行わないこと。
  • ヒトと動物の細胞の混合に制限を設けること。具体的に、ヒトの幹細胞をサルの胚に注入しないこと。
  • 生殖目的のクローン人間作成やヒトのクローン子孫をつくる取り組みは、絶対に行わないこと。

(Wall Street Journal, April 26, 2005)

下院本会議、鋼鉄・アルミニウム業界省エネ・競争力推進法案の再認可法案を可決

下院本会議は4月25日に、6年前に満期終了となった「1988年鋼鉄・アルミニウム業界の省エネ及び技術競争力推進法(Steel and Aluminum Energy Conservation and Technology Competitiveness Act of 1988)」を再認可する法案(下院第1158号議案)を可決した。Melissa Hart下院議員(共和党、ペンシルバニア州)が提案し、3月17日に下院科学委員会が可決した同法案では、低公害でエネルギー効率の良い鋼鉄・アルミニウムの生産、および、同業界の競争力強化を助長する研究に年間2,000万ドルを認可していたが、下院本会議の審議で同予算は年間1,200万ドルに削減され、2010年までの5ヵ年総額も6,000万ドルの認可となっている。

この再認可法案は、研究支援対象を拡大して最新型の鋼板や綱棒、および、温室効果ガス排出削減技術を含めるほか、研究開発の進捗状況を概説した年次報告書を議会へ提出するようエネルギー省(DOE)に義務づけることになる。現在のところ、上院には下院第1158号議案に対応する法案が提出されておらず、ホワイトハウスも同法案に対する見解を明らかにしていない。(CQ Today, April 26, 2005)


Top Page