NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年5月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

5月31日号

ニューヨーク市議会、電子機器のリサイクル法案を検討中

ニューヨーク市議会では、破棄された装置の収集とリサイクルをエレクトロニクス製造業者に義務づける新法案を検討中である。これが成立すれば、米国内で最も厳しい電子機器リサイクル法の一つとなる。検討されている法案は製造業者に対し、古機器の収集・リサイクル計画を2008年までに公衆衛生局へ提出するよう義務づけるほか、販売する装置の30%に相当する古機器の収集を2010年までに義務づけることになる。

しかしながら、製造業者や小売業者の反対に遭わずして、この法案が可決されることはありえないものと見られている。家電製品の業界団体である全米家電協会(Consumer Electronics Association)のGary Shapiro会長は、リサイクルのイニシアティブは結構であるが、全米各地に点々と出現し始めた様々な法令を個別に遵守することは不可能であるため、イニシアティブは全米基準であるべきだと主張している。また、ニューヨーク市の同法案は、リサイクル費用を補う目的で消費者にリサイクル料金を課すことを厳格に禁じ、古機器回収責任の分担を小売業者に命じていないため、製造業者にとって非常に負担が大きい法案であると指摘している。(New York Times, May 25, 2005)

最も小さなテストキット:期待される炭素ナノチューブの医療用途

イリノイ大学で化学と生物工学を教えるMichael Strano教授が、炭素ナノチューブを基にした新種の医学用センサーを設計している。このセンサーは「人体内で稼動し、体外に光信号を送る」もので、教授は特許出願したが、現在もNSFのグラントによってセンサーの試作品を開発している最中である。

このセンサーは、グルコースを分解する酵素で被膜した一連の単層ナノチューブから成る、微小な針のようなチューブで、皮膚のすぐ下に埋め込まれるよう設計されている。これを使えば、糖尿病患者が採血を行わずに血糖値を継続的にモニターすることができるという。

Strano教授は同センサーの研究で、NSFから2件のグラント(総額723,800ドル)を受領している。一番新しいグラントは2004年12月に発表されたもので、NSFの触媒・生体触媒プログラムから2005年9月から2010年8月の1年間に398,834ドルを受領することになっている。(NSF Discoveries, May 20, 3005)

今秋開催予定の政府サミット、目標は米国競争力の復興

Frank Wolf下院議員(共和党、バージニア州)が「科学、革新、製造に関する全米会議(National Conference on Science, Innovation and Manufacturing)」を今秋、ワシントンDC地域で開催すると発表した。先頃の総額820億ドルの補正歳出予算案には、この「革新サミット」に最高100万ドルを充当するという文言が挿入されている。イベント資金はこれを主催する商務省の2005年度予算から拠出される予定である。

このイベントはまだ計画段階初期にあり、開催日も開催日数も決まっていないが、11月より前に開かれ、2日かそれ以上の会議となると考えられている。 一部の議員等は、この会議を利用してアメリカの今後の科学・技術革新に関する全国的なプランを作るよう提案している。(Manufacturing & Technology News, May 20, 2005)

Barton下院エネルギー・商業委員長、エネルギー法案にクリアスカイ添付の可能性を示唆

下院エネルギー・商業委員会のJoe Barton委員長(共和党、テキサス州)が5月26日に初めて、エネルギー法案にクリアスカイ法案を添付するという戦略に対する支持を表明した。Barton委員長はインタビューで、下院にはなにがしかのクリアスカイ法案を可決するに十分な票があると信じると語ったものの、上院にクリアスカイ法案可決の兆しがない限り、同委員長が行動を起こすことはないものと見られている。

ブッシュ大統領のクリーンエア法改正計画をエネルギー法案に盛り込むという議論は、共和党の主要議員によって過去3年間行われてきたが、既に問題だらけのエネルギー法案に論争の的となる事項がまた一つ追加されることになるという反対に直面してきた。

上院では、今年になって、エネルギー・天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)や上院環境公共事業委員会のJames Inhofe委員長(共和党、オクラホマ州)が、エネルギー法案審議に支障が生じない限りは、クリアスカイ法案添付の能性はあると発言している。一方、ブッシュ政権はこうした戦略の支持如何についてコメントを辞退している。(Environment and Energy Daily, May 27, 2005)


5月26日号

原子の世界を測定する、世界初の紫外線「定規」

共同宇宙物理学研究所(Joint Institute of Astrophysics Laboratory = JILA)の科学者等が世界で最も正確だとされる「定規」を作成し、実証した。この定規は波長の短い紫外線光源と、フェムト秒(1000兆分の1秒)の超高速レーザー・パルスを発する装置から出来ており、化学、物理学、天文学など、多くの科学分野で極めて正確な測定を行う重要な器具となることが期待されている。

この装置が作成する画像によって、たとえば原子を同定する原子発光のエネルギー・レベルの違いや、化学反応の所要時間など、緻密な構造と動態を詳しく把握できるようになる可能性がある。(NIST Tech Beat, May 18, 2005)

テネシー州東部、ナノテクノロジーを利用した経済開発を狙い、新キャンペーン開始

オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory = ORNL)とテネシー州東部の複数の学術機関や経済開発機関の職員等が、同地域に蓄積されつつあるナノテクノロジー研究能力を経済開発戦略に利用することを狙った新たなマーケティング・キャンペーン「東テネシー・ナノ・イニシアティブ」を発表した。ORNLの諸施設で行われる研究がこのイニシアティブの柱となる。キャンペーンには以下を始めとする数々の活動が含まれる:

  • 技術移転
  • 企業誘致
  • 起業家援助
  • 観光産業とコンベンション産業の育成

このイニシアティブの予算として新たな資金が提供されるわけではないが、キャンペーン・パートナー機関が各機関の予算の一部を充当し、時間やサービスもこのイニシアティブに割り当てている。(Small Times, May 20, 2005)

下院本会議、幹細胞研究を拡大する法案を可決

下院本会議が5月24日、連邦政府支援研究で利用可能な胎性幹細胞系(embryonic stem cell line)の数を増やす「幹細胞研究推進法案(Stem Cell Research Enhancement Act:下院第810号議案)」を238対194で可決した。下院第810号議案は、連邦政府支援を受ける研究者が、寄付された胎芽の余剰分を利用して新たな幹細胞系を創ることを認めるもので、結果的には胎芽を破壊することになる。胎性幹細胞研究への連邦資金利用に厳しい制限をかけているブッシュ大統領は既に、同法案に拒否権を発動すると主張している。

下院本会議における討議は、プロライフの議員達が胎芽を含む全生命の価値について倫理的主張を行なう一方で、法案支持派は様々な疾病患者を抱える家族について語るというぐあいで、科学的というよりは感情的なものとなった。

大統領が同法案に拒否権を発動した場合、それはブッシュ大統領就任以来初の拒否権発動となる。同法案の提唱者Michael Castle下院議員(共和党、デラウェア州)は、大統領拒否権を覆せる …拒否権を覆すためには3分の2の賛成が必要… とは思っていないものの、大統領との妥協の可能性を期待していると語っている。(CQ Today, May 24, 2005)


5月25日号

下院議員4名、電子廃棄物問題への注意を喚起する目的で議会E-廃棄物作業部会を創設

カリフォルニア州を始めとする約20の州政府が電子廃棄物法案を可決または検討するにつれ、連邦政府ガイドラインの必要性を主張する環境保護団体や産業グループが増えている。こうした中で、Mike Thompson(民主党、カリフォルニア州)、Randy Cunningham(共和党、カリフォルニア州)、Mary Bono(共和党、カリフォルニア州)およびLouise Slaughter(民主党、ニューヨーク州)の4下院議員が、電子廃棄物問題への注意を喚起するため、連邦議会E-廃棄物作業部会(Congressional E-Waste Working Group)を創設した。

作業部会は、議員啓蒙によって同問題への認識を高めることを目的とするもので、特定の法案を推すつもりはなく、むしろ一般的なE-廃棄物目標に焦点をあてる予定であるという。米国議会には現在、下記の3本の「E-廃棄物」法案が提出されている:

  • 「電子廃棄物リサイクル推進・消費者保護法案 (上院第510号議案)」… Ron Wyden上院議員(民主党、オレゴン州)とJim Talent上院議員(共和党、ミズーリ州)が超党派で提出。コンピュータやテレビをリサイクルする消費者向けに15ドルの税控除を、そして、年間5,000台以上のコンピューターやモニターをリサイクルする企業向けに1台あたり8ドルの税控除を確立する。[詳細は2005年3月7日号のデイリーレポートを参照されたし。]
  • 「2005年リサイクル優遇税制法案 (Tax Incentives Recycling Act of 2005:下院第320号議案)」… Randy Cunningham下院議員の提案。消費者にとって利用の容易なリサイクル計画の運営を奨励するため、コンピューター・携帯電話・テレビの製造業者に、CPUやモニター、プリンターやテレビには1台あたり4ドル、マウスやキーボードには1ドルの税控除を提供する。
  • 「国家コンピューター・リサイクル法案 (National Computer Recycling Act:下院第425号議案)」… Mike Thompson下院議員の提案。環境保護庁 (EPA) に、古コンピューターのリサイクル、および、古コンピューターリサイクルの為の全米インフラ構築を推進するグラント等のプログラムを確立するよう義務づける。

(Greenwire, May 23, 2005)

小型ロボット群を開発する、ワイオミング大学の科学者

ワイオミング大学コンピューター科学部の科学者が先頃、化学的・生物的危険源を発見できる探知ロボット群(robot swarms)の開発で、全米科学財団(National Science Foundation = NSF)から10万ドルのグラントを受領した。Dianna Spears博士とWilliam Spears博士は既に、流体力学に基づいた理論を確立し、これをコンピューターシミュレーションで実証している。NSFのグラントにより、両博士は実験を通じてこの理論を確認する意向である。

同プロジェクトでは、多数の小型ロボットが同時にデータ収集を行ない、互いに交信しあって航行決定(navigational decision)を行なうため、一体のロボットよりも効果的であると期待されている。各ロボットには、化学物質の濃度を探知するセンサーと、風速と風向を決定する風力計が備え付けられる。一年以内に実用ロボットを作製し、軍関係者やその他関係団体を対象とする実証試験を行なう予定であるという。(Laramie Boomerang Online, May 19, 2005)

下院科学委員会、米国コンピューター科学研究の現状について討議

下院科学委員会は、米国におけるコンピューター科学の将来、特に、防衛先端研究計画局(DARPA)の状況について討議するため、5月12日に公聴会を開催した。同委員会のSherwood Boehlert委員長(共和党、ニューヨーク州)は、連邦政府コンピューター科学予算の基礎的長期研究離れは、米国の情報技術産業および経済全体に将来、害を与える可能性があると懸念を表明している。

公聴会では、全米工学アカデミー(National Academy of Engineering)のWilliam Wulf博士とAkamai Technologies社の共同創設者Tom Leighton博士が、DARPAによって軽視されている研究分野を指摘したのに対し、DARPAのAnthony Tether局長は自局の方針を擁護した。

Boehlert委員長は公聴会終了後、Tether局長の提示したDARPAプログラムに関する重要な情報を、科学界にレビューして回答してもらう必要があると発言している。(Committee on Science Press Release, May 12, 2005)


5月23日号

大統領の科学技術諮問委員会、ナノテクノロジー研究開発に関する報告書を発表

大統領の科学技術諮問委員会(President's Council of Advisors on Science and Technology = PCAST)が、国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(National Nanotechnology Initiative = NNI)の下での連邦政府の研究努力に関する評価報告書を発表した。これをうけて、下院科学委員会のリサーチ担当小委員会は、同報告書を討議するために5月18日に公聴会を開催したが、証言する予定となっていたPCASTのFloyd Kvamme共同議長は公聴会に姿を見せず、同小委員会の委員等は不満を表明していた。

『国家ナノテクノロジー・イニシアティブの5年間:国家ナノテクノロジー諮問委員会による評価および提言 (The National Nanotechnology Initiative at Five Years: Assessment and Recommendations of the National Nanotechnology Advisory Panel)』という報告書は、米国のナノテクノロジー研究プログラムの現状を査定評価し、NNIを強化する為の提言を行なっている。全体としては、PCASTはNNIプログラムを肯定的に評価して支持しており、NNIは、米国がナノテクノロジー分野における世界的リーダーとなるために大きく貢献したと結論づけている。その一方で、PCASTは、欧州や日本、そして、中国といった競争国が精力的に追いあげていることも指摘している。(OSTP Press Release, May 18, 2005)

Small Times誌、マイクロ・ナノテクノロジー分野の2005年大学番付を発表

Small Times誌が、マイクロ・ナノテクノロジー分野の2005年大学番付を発表した。この番付は、今年初めに米国の100以上の大学を対象に行なったアンケート調査で集まった結果を、Small Times誌のCandace Stuart編集長が分析して決定したものである。「研究」「教育のオポチュニティー」「施設」「産業界へのアウトリーチ」「商用化」という5つの主要カテゴリー毎に、トップ5大学が選ばれている。

番付

新技術の研究

教育のオポチュニティー

施設

産業界へのアウトリーチ

商業化

1

メリーランド大学

メリーランド大学

アルバニー大学

アルバニー大学

ライス大学

2

ミシガン大学

シンシナチ大学

ライス大学

ミネソタ大学

カリフォルニア大学バークレー校

3

テキサス大学オースチン校

パーデュー大学

ノースカロライナ州立大学

アイオワ州立大学

ノースカロライナ州立大学

4

ミネソタ大学 ミシガン大学

ミシガン大学

レンセラー・ポリテクニック大学

ミシンがン大学

ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校

5

カリフォルニア大学バークレー校

ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校

マサチューセッツ工科大学

カーネギーメロン大学

マサチューセッツ工科大学

(Small Times Magazine, May/June, 2005)


5月20日号

Alexander上院議員とWarner上院議員、風力発電生産税控除に制限を設ける法案を提出

Lamar Alexander上院議員(共和党、テネシー州)とJohn Warner上院議員(共和党、バージニア州)が、「風力発電プロジェクトが利用できる生産税控除に制限を設ける法案(上院第1034号議案)」を提案した。同法案は、海上の風力発電プロジェクトはすべて、また陸上の風力発電プロジェクトの中で軍事基地・国立公園・景勝地から20マイル以内にあるものは、生産税控除の対象から外すというものである。さらに、法案では、地方自治体が風力発電プロジェクトを阻止する権力が高められ、州の境界線から20マイル以内の沖合い風力発電プロジェクトについても、地方自治体が阻止できることになる。

しかし、風力発電業界や環境保護者等は、風力発電プロジェクトの資金調達の妨げとなり、そのため汚染が増大し、同産業に関連する雇用の喪失につながると法案を厳しく批判している。(Environment and Energy Daily May 17, 2005)

米国の大学、商務省産業安全保障局の輸出ライセンス規制変更の影響を懸念

商務省産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security) が先頃、輸出管理規制に2つの変更を提案した。米国内で研究を行う一部の外国人を対象に、機密性の高い検査機器の使用に制限を課すというのがその内容である。

  • 変更案の1つは、許可証の義務付けに大学での基礎研究が含まれることを明言化すること。従来、大学はこの規定から免除されると認識されていた。
  • もう1つの変更案は、「みなし輸出ライセンス(deemed export license)」の許可基準を外国人の国籍ではなく出生国に適用する変更である。

これらの変更案は3月28日付けのFederal Registrarに発表された。5月27日までを公示期間として一般の意見を受け付けている。(Science, May 13, 2005)


5月19日号

海洋エネルギーを電気に変える新型発電ブイ

オレゴン州立大学(Oregon State University = OSU)のエンジニア等が海の波エネルギーを利用して発電する永久磁石リニア発電ブイと呼ばれるブイ試作品を開発した。1本のブイが250キロワットの発電能力を持ちうる。

海洋エネルギーは、風力発電に15〜20年の遅れをとったクリーンエネルギー技術だが、風力よりも予測可能かつ利用可能であり、エネルギー密度も高い。OSUのエンジニアであるAnnette von Jouanne女史とAlan Wallace氏は、27万ドルの全米科学財団(NSF)のグラントを始め、数々のパートナーからのグラント資金を利用して、この研究を指導している。

両研究者は、オレゴン州ガージナーに建設予定の500万ドルの研究センターで2年後にブイ・システムをテストすることを目標に、研究継続のための資金を求めている。センター建設事業は、カリフォルニア州パロアルトの米電力研究所(Electric Power Research Institute = EPRI)が中心となって進めている。(NSF Discoveries, May 17, 2005)

全米科学振興協会、米国の経済力と科学力を強化する為、ビザ発給プロセスの更なる改正を要求

外国人留学生・学者・研究者へのビザ発給プロセス改正を加速化するよう米国政府に働きかけるため、5月18日、全米科学振興協会(AAAS)が39の主力学会や科学・技術協会に加わった。グループは過去1年間に進展があったことを認めた上で、さらに6つの提言を含む声明を発表した。

  • 海外の学生に対して先頃許可された期間延長に合わせて、海外の学者や科学者についても、ビザの保全許可証(セキュリティ・クリアランス)の有効期間を現行の2年から任務の全期間に延長する。
  • 外からの学生、学者、科学者、エンジニアが米国内でビザを更新できるようにする。
  • 中国を始めとする主要国とビザ互恵条約を再交渉し、米国民に対する相手国の政策と同等のものとする。
  • 学生は学業修了とともに母国に帰る意図のあることを証明しなければならない、という融通の利かない要求事項を改正する。
  • 学者や科学者の交換を推進し、海外の学生、学者、科学者、エンジニアが米国での高等教育や研究機会を追求するよう奨励する国家戦略を策定する。
  • 米国で機密扱いではない基礎研究を行う海外の科学者やエンジニアが機密性の高い機器を使用することを制限するという輸出許可管理規制の改正案が提案されているが、これを採択しない。

(AAAS News Release, May 18, 2005)


5月17日号

ブッシュ政策を拒絶し、京都議定書の規定を受容する米国132都市の市長

米国35州132都市の市長が、地方レベルで地球温暖化と闘う超党派同盟に加入し、2012年までに温室効果ガス排出を1990年水準の7%減まで削減するという京都議定書目標の達成を誓った。今年2月の京都議定書発効時に温室効果ガス排出削減を誓約したGreg Nickelsシアトル市長 (民主党) を中心とするこの同盟では、140市長の加盟を目標としている。

ブッシュ政権は国家経済への影響を理由に京都議定書から離脱したが、Nickelsシアトル市長は、この同盟に参加する市長の大半が経済活力への懸念を理由に加盟していると指摘する。加盟都市の多くは、海面上昇を懸念する沿岸州の都市 …シアトル、ニューヨーク、ニューオーリンズ、バージニア州アレクサンドリア、マウイ等… であるが、ネブラスカ州のJerry Ryanベルビュー市長 (共和党) のように、旱魃が農村に及ぼす影響を懸念する内陸部の市長数名もこの同盟に参加しているという。同盟参加都市がこれまでに実行した行動の例は下記の通り:

  • シアトル市 … 停泊するクルーズ船に、物資再供給時にディーゼルエンジンを止め、市が供給する電気を使用するよう義務づけ。
  • ソルトレーク市 … ユタ州で最大の風力発電電力購買者に。
  • ニューヨーク市 … ハイブリッド車購入により、市当局所有車両からの排出削減に努力。

(New York Times, May 14, 2005)

スペースシャトルとハッブル望遠鏡の予算増額のため、本年度予算を改定する米航空宇宙局

米航空宇宙局(NASA)のMichael Griffin新局長が上院歳出委員会商務省・司法省・科学担当小委員会の公聴会で、(i) スペースシャトルの飛行再開;(ii) 国際宇宙ステーション建設の完成;(iii) 次世代有人宇宙船「Crew Exploration Vehicle」開発の促進、という同局の優先プロジェクト向け資金を増額するため、今年の歳出計画を改定する計画であると発表した。Griffin局長はまた、NASAはスペースシャトルによるハッブル望遠鏡修理ミッションを継続する意向であり、O'Keefe NASA前局長による有人修理ミッション中止決定を再評価していると発言したほか、修理ミッションについては数回のスペースシャトル・テスト飛行の後に、安全性を考慮しながら決定を下だすことになると証言した。

上記優先プロジェクトの為の資金繰り方法として、Griffin局長は下記の対応策をあげている:

  • 次世代有人宇宙船の開発促進に関しては、現在の競合2社による飛行実証案を取り下げ、2006年までに契約会社1社を選定する。これで、10億ドルの節約が可能となる。
  • ハッブル望遠鏡修理ミッションの予算を確保するため、向こう10年間に打上げが予定されている先進型望遠鏡の計画を延期する。
  • 長期ミッション用の原子力ロケットを開発する「プロメテウス・プロジェクト」予算の重点再考および削減を行なう。

(New York Times, May 13, 2005)


5月16日号

環境保護庁、ナノ材料に関する公開会合を開催予定

環境保護庁(EPA)では6月23日に公開会合を開催し、ナノレベルの材料に関連する健康上および環境上のリスクを自発的に研究・報告するパイロット計画について討議する予定である。一部のナノレベル材料は新しい化学物質とみなされ、有毒物質規制法(Toxic Substances Control Act = TSCA)下で通達義務が課される一方、他のナノレベル材料は既存化学物質とみなされ、TSCA通達義務の対象外とされる。

しかしながら、既存化学物質に分類される材料であっても、ナノレベルになることで分子構造や特性が異なることがある。このため、EPAではこうした材料への暴露に関連する危険から人間や環境を守るため、実施可能な研究・報告方法を摸索している。現時点では、こうした未規制ナノレベル材料に関する自主的パイロット計画を検討中であり、業界やその他利害関係者に下記についてのコメントを求めている:

  • 既存化学物質とみなされるナノレベル材料に関する自主的パイロット計画の規模とその目的
  • ナノレベル材料への暴露に起因するリスクの評価に必要な情報の種類
  • ナノレベル材料の化学的特性と命名法(nomenclature)
  • 関係者の確認(identification of interested stakeholders)

(Federal Register, May 10, 2005)

Bingaman上院議員、上院エネルギー法案への環境条項添付を思案中

上院エネルギー・天然資源委員会の民主党リーダーJeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)は、昨年12月に全米エネルギー政策委員会が発表した「エネルギーの膠着状態の打開:アメリカのエネルギー問題に対処する超党派戦略 (Ending the Energy Stalemate: A Bipartisan Strategy to Address America's Energy Challenges)」で提案された温室効果ガスの上限設定-取引制度を、エネルギー法案への修正法案として提案することを検討している。

E&Eデイリー紙によれば、上院エネルギー・天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)がより超党派的なエネルギー法案を目指していることから、上院議員等がエネルギー法案に気候変動条項を何らかの形で盛り込もうとしているという。しかしながら、気候変動条項は、委員会よりもむしろ本会議で登場する可能性が高いと見られている。

同委員会民主党側のスタッフ・ディレクターBob Simon氏によれば、Bingaman上院議員がこの修正法案に関心を抱いている理由は、この計画の方が他の気候変動対策に比べて経済への弊害が少ないというエネルギー情報局(Energy Information Administration = EIA)の分析の結果にあるという。(Energy & Environment Daily, May 13, 2005)


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