NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年6月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

6月13日号

世界の大企業23社、G8会合に時を合わせ、エジンバラで気候変動サミットを開催予定

世界の大企業23社のリーダーが気候変動の影響に対応する世界的アクションプランを策定するため、7月6日から8日までスコットランドのエジンバラでサミットを開催するという。G8会合に時を合わせて催される「G8気候変動ランウンドテーブル(G8 Climate Change Roundtable)」と呼ばれる同サミットには、フォード自動車やヒューレット・パッカード、CinergyやCiscoといった米国の大企業も関与している。

23社のビジネスリーダーは書面で、G8の政府指導者等に検討を求める政策枠組みを下記の通り提示している:

  • 長期的な価値を設定する … 2030年までを見越した長期的な市場志向型の政策枠組みを設定する。
  • 実績志向型インセンティブ計画により技術革新を推進する。
  • 新興市場(中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ等)において低炭素経済への投資拡大を推進する。
  • 温室効果ガス排出削減の実績を測定・報告するために共通なメトリックを設定する。
  • 世界経済において莫大な購買力を持つ政府および産業界の調達・供給力を活用する。

(Statement of G8 Climate Change Roundtable, June 9. 2005)

James Inhofe上院議員、二酸化炭素排出削減コストの消費者への転化を禁止する法案を提出

上院環境公共事業委員会のJames Inhofe委員長(共和党、オクラホマ州)が6月8日、二酸化炭素(CO2)排出削減コストの消費者への転化を禁止することを目的とした法案(上院第1205号議案)を提出した。同法案は議会予算局(Congressional Budget Office = CBO)に、CO2削減を図る発電所の活動が恵まれない市民に及ぼす影響を調査するよう義務づけるもので、消費者への転化コストが相当額であることが調査で判明した場合には、発電所がCO2排出削減コストを低所得者に課すことを禁じることになる。

気候変動科学の懐疑者として名を駆せるInhofe上院議員は、この法案提出の根本理由を、安定した手頃な価格のエネルギーに依存する貧困家庭や恵まれない市民を不公平なコスト転化から守ることであると説明している。しかしながら、John McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)やJoe Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)、Jeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)やChuck Hagel上院議員(共和党、ネブラスカ州)が気候変動関連法案の提出を予定していることを考慮すると、今回のInhofe法案提出が気候関連法案に対する同議員の反対と関連することは否定できないと言える。(Environment and Energy Daily, June 9, 2005)


6月10日号

温室効果ガス排出削減に取り組む米国産業界

6月8日の下院科学委員会で、業界を代表する指導者等が、温室効果ガス排出削減に向けた各社の自主的取り組みについて証言した。これらの証言は全般的に、この分野への投資が環境に良いだけでなく、エネルギー消費節減と廃棄物削減による経済的メリットも各社にもたらしたというものだった。更には、将来、排出上限が規制で義務付けられた際に有利となる可能性もある。公聴会で証言した業界代表には以下の人物が含まれている。

  • シナジー社会長兼代表取締役社長のJames Rogers氏
  • デュポン社フルオロケミカル事業部国際環境マネージャーのMack McFarland博士
  • バックスター・インターナショナル社環境・保健・安全工学担当シニア・ディレクターのRon Meissen氏
  • ユナイテッド・テクノロジーズ・コーポレーション(UTC)リサーチ・センターの事業ディレクター、Robert Hobbs博士

(House Science Committee Press Release, June 8, 2005)

重要性が増してきた、米国州政府のエネルギー研究開発投資

連邦議会がエネルギー法案を審議しているのを尻目に、州政府は燃料価格高騰や地球温暖化に対応する自らの方策を続々と実施している。この代表例が、1998年に設立された準州政府組織「マサチューセッツ再生可能エネルギー基金(Massachusetts Renewable Energy Trust)」で、再生可能エネルギー事業に年間約4,000万ドルの投資を行なっている。同基金のRobert Pratt代表によると、ニューイングランド地域はクリーンエアだけでなく、自州エネルギーの開発から生まれる経済利益と雇用創出を狙って、エネルギー先導策を実施しているという。

米国の州政府は、連邦議会による再生可能エネルギー事業の支援を待たずして10年も前に行動を起こし、今ではエネルギー研究開発プロジェクトに年間3億ドル以上…エネルギー省(DOE)の研究開発費にほぼ匹敵…を投資している。マサチューセッツ州を含め27州がエネルギー研究に熱心であり、この内の19州(マサチューセッツ州を含む)では再生可能エネルギー使用基準(renewable portfolio standard)を制定している。また、電力会社が売買できる再生可能エネルギー証書制度を採用している州も多い。同証書の取引規定や再生可能エネルギーの定義が州によって千差万別であるため、電力会社は未だに包括的な州間システムを構築することが出来ずにいるが、この州毎の相違が様々な技術やアプローチを助長してきたことも事実である。

州政府の再生可能エネルギープログラムはベンチャーキャピタリストの間でも人気が高まっているほか、新規のエネルギー会社はこれを民間融資や長期契約獲得への有用な手段であると見ている。州政府投資のかなりの部分が風力発電開発に充てられているものの、マサチューセッツ州、コネチカット州、および、ロードアイランド州では将来を見込んで、波力発電の開発プロジェクトに100万〜350万ドルを投じている。海底に設置される波力発電装置は、景観や騒音が問題となる風力発電と異なり、人目に触れず音も聞こえないため、政治面でも有利であるという。波力発電装置の発明者Tom Denniss氏は、小規模研究プロジェクトから、民間投資を誘うような大型装置建設へ移行する際のギャップ(valley of death)を克服する為には州政府支援が不可欠になっていると語っている。(The Wall Street Journal, June 8, 2005)

上院財務委員会のエネルギー優遇税制、200億ドルまで増える可能性

上院財務委員会のスタッフが、エネルギー優遇税制条項の案文作成を開始した。同条文の作成は2005年6月中旬に完了される予定である。上院予算委員会はエネルギー関連施策への予算配分を最高110億ドルと定めたが、上院財務委員会はこの予算上限を超過して、最終的に200億ドル近くのエネルギー優遇税制を可決するのではないかと見られている。代替エネルギーや省エネルギー、および、在来型エネルギーへの優遇税制が110億ドルを超過しそうな要因として、以下が考えられている。

  • 緊縮予算のために歳出法案審議過程でプロジェクトへの資金を獲得できなかった議員達には、エネルギー法案のような新法案に資金要求を盛り込む以外に選択肢がほとんどない。
  • 高速道路法案や農業法案にプロジェクト予算を盛り込めなかった議員がエネルギー法案に盛り込もうとする可能性が高い。
  • クリーンコール技術や石油精製所規模拡大など、特定のプログラムへの資金拠出に係る問題

しかしながら現時点では、具体的にどの問題がエネルギー優遇税制のコストを吊り上げることになるのかはまだ明らかではない。(Environment and Energy Daily, June 9, 2005)


6月9日号

ブレア英首相とブッシュ大統領、気候変動問題の討議では殆ど進展なし

ブレア英首相とブッシュ大統領が6月7日に会談し、7月にスコットランドで開催されるG8サミットに備えて幾つかの主要問題を討議した。ブレア首相が優先事項に掲げる気候変動問題に関しては両者の意見調整に殆ど進展が見られなかったものの、両者は互いの主張の妥当性をある程度認めたことから、これが共通点さがしの第一歩になる可能性があると期待されている。

ブッシュ大統領は会談後の記者会見で、現政権の気候対応策を弁護し、自分は気候変動を対応の必要な「深刻な長期的問題」であると考えていると述べたものの、人間の活動が地球温暖化の原因であるという証拠を認めるには至らなかった。また、「炭化水素社会を離れ多様化する」ために、(i) 水素燃料電池;(ii)クリーンコール技術;(iii) 原子力発電技術;(iv) 大豆からのバイオディーゼル生成といった有望な代替技術プロジェクトに投資していることを強調した。

同じ記者会見に出席したブレア英首相は、米国が同問題で異なる見解を持っていることを認める一方で、米国が他のどの国よりも研究開発やクリーン技術に多額の投資を行なっていることを指摘した。更に、米国・欧州・日本、および、中国やインドという大途上国が一丸となって、環境調和型で持続可能なエネルギー需給方法を見つけることが出来るかどうかということが重要であると発言した。(Greenwire, June 8, 2005)

カリフォルニア州エネルギー委員会、燃料消費削減オプションに関するスタッフレポートを発表

カリフォルニア州エネルギー委員会(California Energy Commission = CEC)が、自動車用燃料消費を削減するオプションの対費用便益を分析したスタッフレポートを発表した。『石油燃料使用削減オプション(Options to Reduce Petroleum Fuel Use)』では、自動車用燃料需要を2020年までに2003年水準の15%減にするという同州の目標を達成するためには、(a)燃料効率を改善するオプションと(b)代替燃料の使用を拡大するオプションを組み合わせる必要があると結論づけている。

このスタッフレポートでは、上記の2つのオプションについて、石油消費の節減量を算出しているほか、(i)環境面以外の直接的ベネフィット;(ii)環境面での直接的ベネフィット;(iii)政府歳入の変化;(iv)石油依存の外的コスト(回避された軍事コストや石油依存による経済的損失)を総計して直接的な純ベネフィットを出している。 スタッフレポートでは、エネルギー効率改善技術オプションの方が石油代替燃料利用拡大オプションよりも効果があり、エネルギー効率改善技術オプションの中では、新型車の燃費基準強化が最大の直接的純ベネフィットと石油需要削減をもたらすと指摘している。しかしながら、自動車燃費基準強化では、連邦法が州政府規制に優先するため、カリフォルニア州は自州の新基準実施を阻まれている。このため、カリフォルニア州では連邦政府を動かすために、他州と燃費基準での協力関係構築に着手している。但し、燃費基準強化に対する米国議会の抵抗を判断すると、成功する保証はないということを認めている。また、車両保守慣行の改善やトラック休息所の電化、および、ディーゼルエンジンの利用拡大といった他のエネルギー効率改善オプションにも石油消費削減戦略でメリットがあるほか、消費者への情報提供を追加すればベネフィットが一層拡大すると指摘している。

一方、石油代替燃料利用拡大のオプションを見ると、エタノール混合ガソリン(E10)やバイオディーゼル燃料(B2やB20)には若干のメリットがあるとみられるものの、圧縮天然ガスや液化天然ガス他の代替燃料は当初の調達コストや燃料補給施設へのアクセスといった問題を克服する必要があるため、継続的な政府支援と開発が必要であるという。(CEC Staff Report "Options To Reduce Petroleum Fuel Use" May 2005)


6月8日号

エネルギー省と米国自動車研究協議会、自動車用材料を研究開発するパートナーシップを発表

エネルギー省(DOE)と米国自動車研究協議会(US Council for Automotive Research = USCAR)が5月26日、燃費向上を可能にする軽量かつ強靭な材料の研究開発を目的とした、総額7,000万ドルの5ヵ年パートナーシップを発表した。「米国自動車用材料パートナーシップ (U.S. Automotive Materials Partnership)」は、DOEのFreedomCARプログラムとUSCARによって運営され、コストは両者の分担となる。但し、DOEの負担額は、米国の技術基盤開発を支援するために政府研究所や大学やサプライヤーへ給付されるのであって、自動車メーカーには全く提供されないという。

DOEでは、10%の車両重量軽減が約7%の燃料節減に繋がると推定しており、今回のパートナーシップでは下記の様な有望材料の開発を狙っているという:

  • 炭素繊維系複合材料
  • 樹脂系(polymer matrix)複合材料
  • アルミニウム、マグネシウム、チタニウムの新合金
  • 高強度スチール

(DOE Press Release, May 26, 2005)

ウィスコンシン大学マジソン校の研究チーム、バイオマスを液体アルカンに変換するプロセスを開発

ウィスコンシン大学マジソン校の研究チームが、4段階方式の触媒反応炉を使用して、トウモロコシ他のバイオマスに由来する炭水化物を、無硫黄の液体アルカン(liquid alkane)に変換する新プロセスを開発した。トウモロコシの発酵・蒸留を必要とするエタノール製造と違い、このプロセスではアルカンが自然に水から分離し、加熱や蒸留が不要となるため、非常に効率よくアルカンを製造出来るという。研究チームによると、液体アルカンはディーゼル燃料に対する理想的な燃料添加物になりうるという。(The University of Wisconcin-Madison News Release, June 2, 2005)

McCain上院議員とLieberman上院議員、「気候管理およびイノベーション法案」を提出

John McCain上院議員(共和党、アリゾナ州)とJoe Lieberman上院議員(民主党、コネチカット州)が、今年2月10日に共同提案していた「気候管理法案(Climate Stewardship Act:上院第342号議案)」の内容を拡大し、「気候管理およびイノベーション法案 (Climate Stewardship and Innovation Act:上院第1151号議案)として5月26日に再提出した。上院第1151号議案では、温室効果ガス排出を2010年までに2000年レベルまで削減するという目標を設定し、当初案にあったcap-and-trade条項を保持しているほか、温室効果ガス排出削減を可能にする様々な代替エネルギー技術を推進するインセンティブを追加している。

Lieberman上院議員は、新法案は多様な技術 …太陽光や原子力、石炭ガス化や自動車用燃料、および、効率の良い製品や自動車… の中から「勝者または敗者」を選ぶものではないと主張している。しかしながら、新法案に盛り込まれた原子力推進条項 …原子力発電所の新設で政府が最高2億ドルまで費用分担、等… は、原案である上院第342号議案の熱烈な支持者であった環境保護者達の間に既に懸念を巻き起こしている。同法案は、6月13日から上院本会議で審議される予定のエネルギー法案に対する修正法案として提案されるものと見られている。(CQ Green Sheets, June 6, 2005)


6月7日号

SHEC研究所、ゴミ埋立地における太陽光利用水素製造パイロットプラントを計画中

カナダのサスカトゥンに本拠を置くSolar Hydrogen Energy Corporation (SHEC研究所) が先頃、太陽光を利用して、メタンガスと二酸化炭素(CO2)と水を水素に変換する太陽光利用水素製造装置「Dry Fuel Hydrogen Generation System」の実証試験を行なった。SHECが設計・建設した同装置は、採光ミラー・アレー/新型集光機/シャッター装置と、二基の熱触媒反応炉(thermo-catalytic reactor)から成り、触媒劣化等の問題もなく、これまでに約1,200時間作動しているという。

採光ミラー・アレーで加熱された反応炉にCO2とメタンガスを注入し、水素と一酸化炭素(CO)を発生させる。このCOを水と反応させることで、更なる水素とCO2が製造されるという仕組みである。この水素生成装置の水素製造は、理論的極限である66%に近いため、1基の最大水素製造量は年間約3,500キログラムになると推定されている。

SHECの同装置は、小規模の分散型水素製造に適しているほか、埋立地のメタンガスや廃水処理施設のバイオガスといった再生可能資源を利用できるという付加価値も持っている。SHECでは次のステップとして、年間4万キログラムの水素生成モジュールを使って、カナダのゴミ埋立用地で商業規模の実証試験を行なう予定であるという。(SHEC Labs News Release, June 1, 2005)

ナノレベルの光技術が一歩前進

エネルギー省(DOE)傘下のローレンスバークレー国立研究所 (Lawrence Berkeley National Laboratory)とカリフォルニア大学バークレー校 (UCバークレー校) の科学者等が、フリースタンディングで化学合成されたナノワイヤーやナノリボンを使用することによって、様々な複雑構造や液体にレーザー光線の個々のポルスを送ることに成功した。これは、光技術開発において重要な発見であり、データの高速処理・伝送を大幅に改善する可能性がある。

Proceedings of the National Academy of Sciencesの2005年5月20日号に掲載された研究報告によると、ナノワイヤーのレーザーでレーザーパルスを創り、これを酸化スズで作ったナノリボンに転送したところ、ナノリボンは光波の方向を指示する「導波管」の働きをしたという。

研究チームは最終的には、光のsystem-on-a-chipの作製を目標としているものの、そうした高度な統合技術が市場化に至るまでには、多数の問題が解決されなければならないと指摘している。チームリーダーのPeidong Yang UCバークレー校教授によると、ナノワイヤーやナノリボンは先ず、センシング(sensing)やエネルギー変換といった、統合をあまり必要としない分野で実用化される可能性があるという。(PhysicsOrg.com, May 20, 2005)


6月6日号

カリフォルニア州議会の上院、ソーラールーフ100万件イニシアティブを可決

カリフォルニア州議会の上院が6月2日、ソーラールーフ100万件計画 (Million Solar Roofs Initiative:上院第1号議案) を28対3という圧倒的多数で可決した。Kevin Murray上院議員 (民主党、ロサンジェルス) とJohn Campbell上院議員 (共和党、オレンジ郡) が共同で草案した同法案は、太陽光発電 (PV) システム普及を狙った10ヵ年インセンティブ計画を設置するほか、住宅建築業者にPVシステムをオプションとして住宅所有者に提示するよう義務づけることになる。一方、この法案からは、同様法案が昨年僅差で否決される原因となった、全ての新住宅にPVシステム設置を義務づけるという強制条項が除外されている。

同法案はこれから同州議会の下院へ送られて審議されることになるが、上院可決の内容がそのまま法制化されることになれば、カリフォルニア州のPV設備容量は3,000メガワットを達成するものと見られている。(RenewableEnergyAccess.com, June 2, 2005)

メリーランド州・バージニア州・ワシントンDC、ナノテク推進でパートナーシップ形成

Robert Erlichメリーランド州知事 (共和党)、Mark Warnerバージニア州知事 (民主党) とAnthony WilliamsワシントンDC市長 (民主党) が6月1日、ナノテクノロジー分野における科学的進歩と事業育成の加速化を目的とする、チェサピーク・ナノテク・イニシアティブ (Chesapeake Nanotech Initiative = CNI) を公式に開始する合意覚書に調印した。

メリーランド州、バージニア州、及び、ワシントンDCには、国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology)やゴダード宇宙飛行センター、海軍研究所(Naval Research Laboratory)、陸軍研究所(Army Research Laboratory)や全米科学財団(National Science Foundation)といった連邦政府のナノテク研究資源が存在するため、3州の州議会議員や経済開発リーダー達は数ヵ月にわたり、同地域のこうした既存資源を最大限に活用する方法を検討していたという。

合意覚書に基づき、12名構成の運営委員会が設置され、CNIを監督することになるほか、(i)ナノ-バイオテク;(ii)産業クラスター形成;(iii)最良慣行という3つの作業部会も設置される。CNIでは、今年末までに戦略計画を策定する見通しであるという。(Baltimore Sun, June 2, 2005)

アリゾナ州、エンジェル投資家に税控除を提供する法令を制定

Janet Napolitanoアリゾナ州知事(民主党)が先頃、「アリゾナ州小規模ビジネス好機拡大プログラム(Arizona Small Business Opportunity Program)」を創設する法案 (上院第1335号議案) に署名し、これを法制化した。このプログラムは、同州小規模ビジネスへの早期株式投資を拡大するために州税控除を設置するというもので、早期の「適格小規模ビジネス(qualified small business)」を支援する投資家が対象となる。

控除率は、通常は適格投資 の30%であるが、バイオサイエンス企業への投資や同州の田舎にある企業への投資の場合には35%まで引き上げられる。同法令では、適格小規模ビジネスを、(i) ビジネス活動の一部をアリゾナ州で行ない;(ii) 同州に最低2名の常勤従業員または常勤コントラクターを持ち;(iii) 主要事業が小売、レストラン、不動産、サービス、ヘルスケア以外で;(iv) 最低200万ドルの資産を有し;(v)税控除対象となる投資が200万ドルを超えないビジネスと定めている。税控除には5年間で2,000万ドルという上限が設定されているため、税控除を受ける投資家は2006年7月1日より先着順で決定されることになるという。(Yahoo! News, May 20, 2005)

ブッシュ大統領、NIST所長にWilliam Jeffrey博士を指名

過去15ヶ月にわたり空席であった国立標準規格技術研究所 (National Institute of Standards and Technology = NIST) の所長に、ブッシュ大統領がWilliam Alan Jeffrey氏を指名した。上院で承認されれば、Jeffrey博士は現在所長代行を務めているHratch Semerjian NIST副所長から任務を引き継ぐことになる。

Jeffrey博士は専門が天文学であるが、その職歴は、防衛先端研究計画局(DARPA)や現在勤務しているホワイトハウス科学技術政策局(White House Office of Science and Technology Policy)など、主に連邦政府内で築かれてきた。Sherwood Boehlert下院科学委員会委員長(共和党、ニューヨーク市)は「Jeffrey博士のホワイトハウスとの絆によって、NISTの可視性(と予算)が高まるという期待」を表明している。(Manufacturing & Technology News, June 1, 2005)


6月3日号

メリーランド州、電子廃棄物法を制定

メリーランド州は、カリフォルニア州とメイン州に続き、米国で電子廃棄物法を制定する第3番目の州となった。Robert Ehrlichメリーランド州知事(共和党)の署名によって法制化された電子廃棄物法は、ノート型とデスクトップ型のコンピューター(モニターも含む)のみを対象とするもので、2002年以降年間平均1,000台以上のコンピューターを生産する製造業者にメリーランド州政府へリサイクル料金を支払うよう義務づけるものである。

該当する製造業者は2006年1月1月までにメリーランド州政府への登録を行い、初年度のリサイクル料金として5,000ドルを支払う。但し、それ以降に製造業者が消費者から無料でコンピューターを回収するプログラムを設置した場合は、この料金は年間500ドルに引き下げられる。

メリーランド州の採用した製造業者に比較的少額なリサイクル料金の支払いを義務づけるというアプローチは、カリフォルニア州のアプローチ …電子機器の処分費を消費者から徴収… とも、メイン州のそれ …電子機器の回収およびリサイクル費用を製造業者に課す… とも異なっているが、製造業者や小売業者はこの方策を穏当であると歓迎している。(Washington Post, June 1, 2005)

カリフォルニア州、連邦規制よりも厳格な温室効果ガス排出削減目標を設定

Arnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事(共和党)は、行政命令S-3-05を発布した。この行政命令の定めるカリフォルニア州の温室効果ガス排出削減目標は、京都議定書よりは穏やかだが、連邦政府よりも厳しい内容となっている。

  • 2010年までに2000年の水準まで削減
  • 2020年までに1990年の水準まで削減
  • 2050年までに1990年比80%の削減を達成

この行政命令には、上記の目標達成の方策についての説明はなく、目標実現に向けた具体的な政策の策定を同州の環境保護庁に一任している。州環境保護庁がこの排出目標や期日の達成に向けた州の活動を監督し、知事や州議会に定期的に報告書を発表することになっている。

同行政命令に対する反応は予想通りで、州の高官や環境保護団体はこの計画を歓迎し、企業は幾分懐疑的な態度を見せている。(Greenwire, June 2, 2005; Wall Street Journal, June 2, 2005)

環境防衛、責任あるナノテクノロジー開発についての見解を発表

ナノテクノロジーのリスクを特定する自発的プロジェクトについての公開討議を環境保護庁(EPA) が6月23日に予定しているが、これを目前に控えて、環境保護団体の環境防衛(Environmental Defense) が責任あるナノテクノロジー開発についての提言書を発表した。本書の主な提言は次の4点である:

  1. 政府は最低でも1億ドルを投資して、ナノ材料使用製品の市販化に先立ってナノ材料のリスクを明らかにする必要がある。
  2. 政府は労働者の安全、製造廃棄物、製品の使用、製品の廃棄というライフサイクル全体を考慮しつつ、特定されたリスクを包括的に管理する必要がある。
  3. 業界は責任あるナノテクノロジー開発のために、「ケア基準 (standard of care)」を策定し、その普及を奨励する必要がある。
  4. 政府も業界も、労働者、保健機関、消費者保護団体、環境保護団体など、各自の分野以外の様々な利害関係者との対話を強化する必要がある。

(Environmental Defense Publications, May 2005)

エネルギー省、ロス・アラモス国立研究所管理契約の公開入札を発表

ロス・アラモス国立研究所を管理するカリフォルニア大学(UC)の現行契約は2005年9月30日に満期となる。同研究所のその後7ヵ年の管理契約について、エネルギー省(DOE)が公開入札を発表した。入札参加予定者として次の3チームが名乗りを上げているが、いずれも学究的色彩の濃い現行の管理者より軍事請合産業への絆が強い。

  • カリフォルニア大学とベクテル・コーポレーション
  • ノースロップ・グラマン(提携学究機関は未発表)
  • ロッキード・マーティンとテキサス大学

DOEでは、国立研究所における管理部門のスキャンダルや秘密漏洩等の問題報道を踏まえ、安全性とセキュリティーの強化を主眼として契約先を決定する見込みである。この結果、新たな指導者が焦点を科学的探究から監視と企業収益の強化へと転じることを科学者の多くが恐れている。このような懸念に対し、企業や政府の幹部は優れた管理と健全な科学研究は共存しうると反論している。(Science, May 27, 2005)


6月2日号

カナダ太陽エネルギー産業協会、オンタリオ州に太陽光発電インセンティブ導入を進言

カナダ太陽エネルギー産業協会(Canadian Solar Energy Industries Association = CanSIA)が、2006年から2015年までの10年間でオンタリオ州に1万5千台の太陽光発電(PV)システム設置を呼びかける報告書を発表した。CanSIAは『系統連系型太陽光発電の評価:オンタリオ州の市場拡大 (Valuing Grid-Connected Solar Electricity: Priming the Market in Ontario)』という報告書で、PVで発電した電力を系統連系に逆送電するPV所有者に売電料金としてソーラーkWhあたり42(カナダ)セントを支払うという、太陽光発電インセンティブを採用するようオンタリオ州に提言している。

CanSIAによると、同インセンティブの導入は下記のような多数のベネフィットをもたらすことになるという:

  • 系統連系型の住宅用PVシステムの年間販売台数が、現在の50〜60台から2015年には約5,000台まで増加する。
  • PVシステムの平均的な設備容量が現在の0.9kWから3kWに拡大する。
  • 新設される年間設備容量が、現在の0.05MWから2015年には14MWまで拡大し、2006年から2015年までに設置される総設備容量は40MWに到達する。
  • オンタリオ州におけるPVシステム設置価格が20%低下する。
  • PVシステム価格は年間平均3%づつ低下する。

(RenewableEnergyAccess.com, May 31, 2005; CanSIA Position Paper "Valuing Grid-Connected Solar Electricity: Priming the Market in Ontario" May 25, 2005)

Bodmanエネルギー長官、米印の二国間エネルギーダイアログを発表

Samuel Bodmanエネルギー省 (DOE) 長官とインド総理府計画委員会 (Planning Commission) のMontek Singh Ahluwalia副委員長は5月31日、新たな米印エネルギーダイアログを開始すると発表した。この二国間ダイアログは、ブッシュ大統領とManmphan Singhインド首相の2004年9月会談で表明されたコミットメントを履行するもので、エネルギー部門における協力分野を確認することによって両国間の投資と交易を拡張することを目標としている。

米印エネルギーダイアログは、(i)石油と天然ガス;(ii)電力;(iii)石炭とクリーンコール技術;(iv)エネルギー効率化や再生可能エネルギーおよび水素等の新技術;(v)原子力発電という5つの作業部会に分かれて進められることになる。これら作業部会を監督するのは、DOEのDavid Garmanエネルギー効率化・再生エネルギー担当次官補とインドのShyam Saran外務長官が共同議長を務める運営委員会で、運営委員会では作業部会の目標やスケジュールを設定するほか、(1)エネルギー安定供給;(2)将来のエネルギーシナリオ;(3)交易や投資といったクロスカッティングな問題の調整等を行なう予定である。(DOE News Release, May 31, 2005)

米航空宇宙局、極軌道環境人工衛星の打ち上げに成功

米航空宇宙局(NASA)が先頃、国立海洋大気局(NOAA)の為に新しい気象衛星を打ち上げた。NOAAはこの極軌道環境人工衛星 (Polar-Orbiting Operational Environmental Satellites = POES) により、天気予報を改善し、世界の環境上の出来事をモニターする予定である。

NOAA-18と呼ばれるこの気象衛星は、5基予定されているPOESの内の4基目にあたるもので、地球の表面や大気に関する情報を収集する。このデータはNOAAの長期気候見通しや季節別見通しにインプットされることになるという。また、NOAA-18には、COSPAS-SARSATと呼ばれる捜索救助衛星システムに使用される装置も搭載されている。打ち上げ後の21日間はNASAがこの気象衛星を管制するが、その後、管制権はNOAAに移されることになる。(NASA News, May 20, 2005)


6月1日号

エネルギー省、水素研究開発プロジェクトの交付先を発表

エネルギー省(DOE)の科学部が5月25日、水素燃料電池自動車と燃料補給所を2020年までに実用化する…米国消費者にとり利用可能で実用的で、かつ、価格が手頃…ことを目的とした研究開発で支援するプロジェクトを発表した。今回選定された70件のプロジェクトの重点は、基礎科学、および、水素の製造・貯蔵や新型燃料電池技術分野における革命的ブレークスルーの実現であり、学術機関・民間企業・国立研究所等50以上の機関が参加する。選定されたプロジェクトは、(1)水素貯蔵用材料;(2)薄膜;(3)ナノ触媒の設計;(4)太陽光利用水素製造;(5)生体に啓発された(bio-inspired)材料とプロセスという5つの技術分野に分類される。グラント期間は3ヵ年で、総額は6,400万ドル。グラントの内訳は下記の通り:

技術分野
研究開発内容
プロジェクト数
DOE助成金

水素貯蔵用材料

錯体水素化物、ナノ構造材料と新材料、理論・モデリング・シミュレーション、革新的な貯蔵用材料や方法を開発するための最新式特性解析ツール

17
1,980万ドル

薄膜

統合的ナノ構成(integrated nanoscale architecture)、燃料電池用薄膜、薄膜と燃料電池の理論・モデリング・シミュレーション

16
1,230万ドル

ナノ触媒の設計

画期的合成方法、斬新な特性評価方法、触媒作用の理論・モデリング・シミュレーション

18
1,580万ドル

太陽光利用水素製造

ナノ構造、有機物半導体他の高性能材料、光化学プロセスの理論・モデリング・シミュレーション

13
1,000万ドル

生体に啓発された材料とプロセス 酵素触媒

材料とプロセス 酵素触媒、バイオハイブリッド型エネルギー結合システム(bio-hybrid energy coupled system)、理論・モデリング・ナノ構造設計

6
700万ドル
(DOE News Release, May 25, 2005)

 

全米研究委員会、気候変動プログラムの業績評価メトリクスに関する報告書を発表

全米研究委員会(National Research Council = NRC)のグローバルチェインジ研究メトリクス委員会が、気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program = CCSP)、および、その先駆計画である米国グローバルチェインジ研究プログラム(U.S. Global Change Research Program = USGCRP)の業績を体系的に評価する可能性について報告書を発表した。

米国がグローバルチェインジ研究を支援するようになって約15年になるが、このプログラムは複雑で、これまで体系的な評価がなされていなかったため、CCSPディレクターのJames Mahoney博士は、業績の定量的評価が必要な分野の確認、および、確認された分野の進捗状況の記録や将来の実績評価の為のメトリクス提言等を行なうために、上記委員会を招集するに至った。

委員会は、『戦略的な思考:気候変動科学プログラムの為の適切なメトリクス利用 (Thinking Strategically: The Appropriate Use of Metrics for the Climate Change Science Program)』という報告書を作成するにあたり、CCSP戦略プランの数百にのぼる目標や目的を8項目のテーマに分類し、テーマ毎にメトリクス策定方法を探る為のケーススタディを行なったところ、CCSP全体の進捗状況の評価および戦略的思考の指導をするために、一連のメトリクスを策定・利用することが可能であるという結論に達している。同報告書の主要な結論は下記の通り:

  • 気候変動問題のデータネットワーク増進から市民啓蒙促進まで、CCSPの殆どの面について意義あるメトリクスを策定することが可能である。
  • CCSPの進捗状況を計るために使用される最も一般的なメトリック「不確実性の低減」は、誤った印象を与えやすい。
  • CCSPの進捗状況を査定評価するためには、定性的メトリクスと定量的メトリクスの双方が必要である。
  • 技術革新や発見を定量的メトリクスで評価することは困難である。
  • 幾つかのメトリクスは短期的な影響を評価することが出来るものの、世界的な気候変動討論に対するCCSPやUSGCRPの貢献を評価する為には数十年の年月がかかる。

(NRC Report "Thinking Strategically: The Appropriate Use of Metrics for the Climate Change Science Program (2005)" Executive Summary, May 2005)


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