NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2005年8月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

8月12日号

オレゴン州、住宅用太陽光発電装置に税控除を提供する法案を可決

オレゴン州が、住宅用太陽光発電装置に1ワットあたり3ドル、最高2キロワットまでの6,000ドルという税控除を提供する法案(州法案第733号議案)を可決した。同法案には州議会で超党派の支持があったほか、Ted Kulongoski州知事(民主党)も賛同しているため、近々、州知事の署名により制定されるものと見られている。法制化されれば、新たな税控除は2006年1月1日の発効となる。

同法案を支持した太陽エネルギー産業協会のオレゴン支部(Oregon chapter of the Solar Energy Industries Association)によると、オレゴン州は太陽エネルギー利用の温水装置導入では全国5位にあり、太陽エネルギーその他再生可能エネルギーを幅広く支援していることから、全国で最も魅力あるエネルギー市場の一つになっているという。同州では下記のような太陽エネルギー支援インセンティブを既に実施している:

  • 太陽熱およびパッシブソーラー暖房装置(passive solar space heating)に最高1,500ドルの税控除
  • ソーラー設備設置による住居の価値上昇分を財産税から免除
  • 再生可能資源利用装置を設置するビジネスにエネルギー税控除を提供。税控除対象額は設置コストの最高35%
  • 州エネルギー貸付計画(State Energy Loan Program)により、エネルギー事業に低利息融資を提供。

(RenewableEnergyAccess.com, August 9, 2005; Oregon State Energy Web)

カナダ政府、国内炭素排出権取引制度設置に関するルールを提案

カナダ政府が京都議定書の下で行った公約の一環として、国内炭素排出権取引制度の設置に関するルールを提案した。カナダ政府が提案したのは国内における相殺システム(Offset System)で、インセンティブによる技術革新の奨励を目的としている。新技術や先進技術を活用して温室効果ガス排出を節減するプロジェクトにはクレジットが与えられ、このクレジットを他者(個人、企業、または、政府)へ売却することが可能となる。カナダ政府はというと、政府に代わって炭素排出権を購入することを委任された気候基金(Climate Fund)を通して、クレジットを入手することになる。

政府は、相殺システム提案に対して州政府や産業界、および、その他の利害関係者からコメントを求める予定である。同システムは2006年の序盤までに最終的にまとめられ、実行に移されると見込まれている。(Environment Canada Press Release, August 11, 2005)

全米科学財団、新しい化学結合センターへの助成を発表

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が、自由な思考を許す柔軟な環境で化学現象の「大問題」に取り組むことを目的とする、新たな化学結合センター(Chemical Bonding Center = CBC)を支援する予定であると発表した。CBCへの助成はNSF化学部門から拠出され、第1フェーズでは各センターに3年間で150万ドルを提供。有望なセンターには第2フェーズとして最高5年間、毎年200〜300万ドルを給付するという。提案されている3つの新センターは下記の通り:

  • 太陽光貯蔵(Storing Sunlight)CBC … カリフォルニア工科大学構内。太陽エネルギーを化学結合の形で、より効率的かつ経済的に貯蔵する方法を研究する。
  • 分子サイバネティクス(Molecular Cybernetics)CBC … コロンビア大学構内。投薬その他用途のために新種のナノスケール分子マシーンを作成する。
  • 分子の内部作用(Inner Workings of Molecules)CBC … カリフォルニア大学アービン校構内。単一分子からの電子の利得/損失といった化学事象を解明するため、分子の内部作用を研究する。

(NSF Press Release, August 11, 2005)


8月11日号

カリフォルニア大学バークレー校の研究チーム、細胞や微粒子を操作する光電子ピンセットを発明

カリフォルニア大学バークレー校の研究者等が、生体細胞ほどの小さな微粒子を壊さずに操作できる新デバイス「光電子ピンセット(optoelectronic tweezers)」を発明した。Ming Wu博士を中心とする研究チームが全米科学財団(National Science Foundation)と防衛先端研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency)からの助成で実施したこの研究の結果は、7月21日号のNature誌で発表されている。

同技術では、発光ダイオードのような弱いレーザービームの光エネルギーを使い、光伝導性の物質で被膜されたスライドガラス上に電場を作る。電場内の粒子は、その粒子の正負の電荷に応じて、この電場に引き付けられたり、反発したりするため、レーザービームを動かせば電場も動き、同時にその中の微粒子も動かすことができる。強いレーザービームを使用する光ピンセット(optical tweezers)のような既存の細胞操作方法では、僅かな分子を捕らえることしか出来ないが、今回の研究実験では、単一の発光ダイオードによって一度に1万以上の微粒子を捕らえることが出来たという。(UC Berkeley Press Release, July 20, 2005)

オレゴン州とワシントン州、温室効果ガス排出削減でカリフォルニア州に追随

オレゴン州とワシントン州は、移動発生源から放出される温室効果ガスその他汚染物質を大幅に削減するプログラムの開始に向けて準備を進めている。この件については、オレゴン州議会よりもワシントン州議会のほうが意見対立が深刻であるが、Ted Kulongoskiオレゴン州知事(民主党)は項目別拒否権の行使によって、同州環境省が低排出車プログラムへ予算充当することを禁じるオレゴン州予算法案の一部を削除し、オレゴン州の車両をカリフォルニア州と同じほどクリーンにすると公約している。

オレゴン州ではその後、年末を目途にクリーン車両プログラムの開設を予定している。オレゴン環境評議会のChristine Hagenbaumer女史によると、提案される排出基準は2016年までに温室効果ガスを30%削減することになるという。オレゴン州でのプログラム開始に続き、ワシントン州が今年序盤に同州で成立した法律の下で、同様のプログラムを開設するものと見込まれている。

しかしながら、こうしたプログラムが制定されたとしても、自動車メーカー等がクリーン車両法の取り消しを目指してカリフォルニア州で起こした係争中の訴訟の行方次第により、両州の努力が頓挫する可能性はある。原告自動車メーカー等は、州政府の低排出車プログラムが基本的に燃費の規制という連邦政府に託された権限に相当すると主張している。(Greenwire, August 10, 2005)

中小企業開発プログラムへの認識向上を目標に全国行脚する国防省のCiardello部長

レイセオン・ミサイル・システムズ社の後援によりアリゾナ州ツーソンで開催されたハイテク業界午餐会で、米国防省のVictor Ciardello Jr. 中小企業技術・産業基盤部長(director of small-business technology and industrial base)は、技術革新の流れを後押しする国防省の中小企業革新研究(SBIR) および中小企業技術移転研究(STTR)グラントの重要性を強調した。Ciardello部長は国防省の各種中小企業開発プログラムへの認識を高めるために全米を行脚しており、今回の講演はその一番最近の活動となる。

部長は、来年度中に第1フェーズのSBIRグラントの上限が10万ドルから12.5万ドルに、第2フェーズの上限が75万ドルから100万ドルに引き上げられることを期待していると述べた。さらに、同省は、グラント資金は提供しないが市販化技術への公共および民間の投資を促進する第3フェーズのSBIRプログラムもぜひ開設したいと考えていると述べた。(Small Times, August 9, 2005)


8月9日号

テキサス州、再生可能エネルギー使用基準(RPS)を引き上げる法令を制定

テキサス州の再生可能エネルギー使用基準(Renewable Portfolio Standards = RPS)は全米で2番目に高く、現行法は、再生可能資源利用の発電設備容量を2009年で2,880メガワットとするよう義務づけている。テキサス州では、現行法にあるRPS達成期日よりも約3年も早くこの目標を達成する見通しであることから、州議会のTroy Fraser上院議員(共和党)が、再生可能資源利用の設備容量を2015年までに5,880メガワットまで拡大する法案(上院第20号州議案)を提出。Rick Perry州知事(共和党)と州政府の支持を受け、同法案はテキサス州議会で可決され、Perry州知事の署名をもって2005年8月1日に法制化されるに至った。

同法令では、増設される3,000メガワットの内の500メガワットを風力以外の再生可能エネルギーで実現させることを定めているため、農産物や農業廃棄物、林業廃棄物、および、太陽光を利用したエネルギープロジェクトも推進するものと期待されている。更に法令は、2025年1月1日までに再生可能エネルギー利用の設備容量を10,000メガワットにするという目標も設置している。(Texas Renewable Energy Industries Association News Release, August 1, 2005)

炭素権取引の恩恵を受ける、ホンジュラスの水力発電プロジェクト

世界銀行が、自ら管理するコミュニティー開発炭素基金(Community Development Carbon Fund = CDCF)の革新的炭素取引メカニズムを利用して、ホンジュラスのラ・エスペランザという町の小規模水力発電プロジェクトから、二酸化炭素排出権を購入すると発表した。

Consorcio de Inversionesの実施する「ラ・エスペランザ水力発電プロジェクト(La Esperanza Hydroelectric Project)」は、ホンジュラス中部に位置するインチブカ地方の遠隔・山岳地域で行なわれる12.7メガワットの発電プロジェクトで、ラ・エスペランザとその周辺コミュニティの住人約4万人へ確実な電気供給を約束するものである。加えて、同プロジェクトは、CDCFへの排出権売却により140万ドルを受け取るという付加的ベネフィットも与かることになる。同プロジェクトは、クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)の理事会によって登録・承認された初のCDCFプロジェクトとなる。(The World Bank News Release, August 4, 2005)

ブッシュ大統領、総額263億ドルの内務省・環境保護庁・その他関連省庁歳出予算法に署名

ブッシュ大統領が8月3日、内務省、環境保護庁(EPA)、国立公園事業局の2006年度予算を盛り込んだ歳出予算法案に署名し、総額263億ドルの2006年度内務省・EPA・その他関連省庁歳出予算法(公法109-54号)が成立した。全体的にみると、同法令はEPAや連邦政府土地調達プログラムの予算を削減する一方で、国立公園事業局の運営費や森林関連の有害燃料削減計画への予算を僅かながら増額している。

同法令で認可する2006年度EPA予算は77億3,000万ドルで、ブッシュ政権の要求額を約1億6,000万ドル上回っているものの、2005年度予算と比較すると2億9,500万ドルの削減となっている。特に大幅な削減を被ったのがEPAクリーンウォーター州回転貸付基金で、2006年度予算は9億ドル。これは、現行予算より1億9,000万ドルの削減であり、2003年度以来33%の削減を受けたことになる。また、連邦政府土地調達プロジェクトの予算も約5,000万ドル削減されて1億1,500万ドル。国立公園事業局が州政府へ給付するグラントの予算に至っては6,000万ドルの削減で、2006年度予算は3,000万ドルまで引き下げられている。

同法令ではまた、殺虫剤の人体実験を制限し、森林局による未使用ビルや土地の売却を認可し、イエローストーン国立公園でのスノーモビル利用を保証している。(Greenwire, August 4, 2005)


8月5日号

GT Equipment Technologies社、シリコンウェーハ廉価製造工程開発で連邦グラントを3件受領

GT Equipment Technologies社が、中小企業革新研究(SBIR)計画で2件、中小企業技術移転研究(STTR)計画で1件、合計3件のグラントを獲得したと発表した。グラント総額は約100万ドルになるという。

GT Equipment Technologies社は、SBIRの第1フェーズとして給付されるグラントで、太陽電池用ウェーハに使われる結晶シリコンの廉価製造工程に焦点をあて、SBIR第2フェーズのグラントでは、高品質太陽電池用シリコン(solar grade silicon)よりもコストの安い金属シリコン(metallurgical grade silicon)から直接、太陽電池用のシリコンウェーハを製造することに焦点を当てることになる。

一方、GT Equipment Technologies社とニューハンプシャー大学との合同研究プロジェクトに授与されるSTTR第1フェーズのグラントでは、太陽電池や半導体等の製造工程で使用される塗装材を生産する為の、高効率でコスト効率的な大気圧プラズマ化学着気相堆積プロセス(atmospheric plasma chemical vapor deposition process)の開発に焦点を当てるという。(GT Equipment Technologies News Release, August 4, 2005)

米航空宇宙局の高官、次世代宇宙船の設計計画を発表

米航空宇宙局(NASA)の高官が次世代宇宙船についての計画を発表した。それによれば、老朽化しつつあるスペースシャトルの設計原理を断念し、より強力な一連の伝統的ロケットを導入するという。公式プランは、8月下旬に正式に発表される予定であるが、これがNASAの公式計画となるためには議会の承認が必要となる。

NASAの計画によると、高さ184フィートの人を運ぶロケットと高さ350フィートの貨物用ロケットが個別に製造されることになる。この大型貨物ロケットには、スペースシャトルの5〜6倍もの貨物を運べるという利点がある。また、スペースシャトルの既存の請負業者ネットワークやテクノロジーを活用するために、既存のシャトル部品を利用して新ロケットを製造する予定であり、これによって移行のコストと時間を節減することが可能であるという。第一段階では、シャトルのブースターロケットを使って乗組員用のカプセル型宇宙船を打ち上げ、第二段階では、1960〜1970年代に使用されたJ-2エンジンを改良した最新エンジンが使用されることになるという。

Michael D. Griffin NASA長官は7月29日、この計画の安全性を記者団に強調したが、計画に批判的な者からは、早急で検討の浅い問題解決策のようだという声があがっている。(The New York Times, August 2, 2005)


8月4日号

メリーランド技術移転技術基金、初期段階ベンチャーキャピトル基金で昨年に続き全米1位

Entrepreneur誌は2005年7月号で、2004年の初期段階ベンチャーキャピタル(VC)基金の上位100位リストを発表した。同リストに入った基金の数が最多であったのはカリフォルニア州で46件、これに、マサチューセッツ州の17件が続いている。今回のリストには、州政府のテクロジーベース経済開発(tech-based economic development = TBED)機関や評議会から直接支援を受けていたり、または、これらによって管理されている基金も幾つか入っている。州政府支援の主な初期VC基金は下記の通り:

  • メリーランド州技術開発公社(Maryland Technology Development Corporation)のメリーランド技術移転基金 (Maryland Technology Transfer Fund) … 2004年に行なわれた取引は2003年と同数の15件。2年連続で1位の座を保持。バイオ治療;診断ツール;エンジニアリング;ナノテク;ソフトウェア等の部門で、民間企業や大学、および、適格な連邦研究所に資金提供。
  • Innovation Works (ペンシルバニア州) のイノベーション投資基金 (Innovation Investment Fund) … 4取引で41位。支援分野は、革新技術、または、コンピューターのソフトウェアやハードウェア等の技術の革新的応用、ロボティックスやバイオテクノロジー等。
  • メリーランド州事業・経済開発局(Maryland Department of Business and Economic Development)のチェレンジ投資計画 (Challenge Investment Program) … 同じく4取引で41位。優先的な支援部門はバイオテクノロジーや情報技術。
  • ニュージャージー技術委員会(New Jersey Technology Council)の8,000万ドル・ベンチャー基金 ($80 million Venture Fund) … 4取引で同じく41位。コミュニティの経済成長に貢献し、投資家に高率の利潤をもたらす最先端の事業を構築するため、投機家と積極的に連携。
  • 革新技術センター(Center for Innovative Technology:バージニア州)の成長加速計画(Growth Acceleration Program) … 3取引で68位。情報技術、バイオテクノロジー、通信、ナノテクノロジー、材料またはセンサーに携わるスタートアップ会社に資金提供。

(SSTI Weekly Digest, July 25, 2005)

下院本会議、米航空宇宙局の2006年度再認可法案を圧倒的多数で可決

下院本会議が7月22日、米航空宇宙局(NASA)の有人飛行・航空学・科学プログラムを再認可する「NASA 2006年度再認可法案 (NASA FY2006 Reauthorization Bill:下院第3070号議案)」を383対15で可決した。同法案で認可するNASAの2006年度・2007年度予算総額は約350億ドルで、内訳は下記の通り:

2006年度
2007年度

科学、航空学、および、教育

69億ドル

73億ドル

ハッブル宇宙望遠鏡

1.5億ドル

探査システム

38億ドル

45億ドル

宇宙活動

64億ドル

60億ドル

同認可法案の主要条項は下記の通り:

  • 2020年までに月への有人飛行を再開するというブッシュ政権の目標を支持。
  • ハッブル宇宙望遠鏡を修復するスペースシャトル・ミッションの策定をNASAに指示。
  • 地球に接近する小惑星や彗星が地球に衝突する危険を査定評価するため、小惑星や彗星を発見・追跡するプログラムを創設するようNASAに指示。予算として、2006年度と2007年度で毎年2,000万ドルを認可。
  • 政府や民間の遠隔センサー探査能力を活用して、都市計画や環境影響調査、および、災害救済計画に有用な地理空間的(geospatial)情報を州政府や地方政府に提供するプログラムを設置する。認可予算は、2010年度まで毎年1,500万ドル。
  • NASA実験施設のユーザーから使用料を徴収するよう義務づけ。
  • 2007年度大統領予算案を提出する際に、2020年までのプログラムを指導する国家飛行政策 (national aeronautics policy);2020年までの科学プログラム指針;十分な技術者を確保する人材戦略に関する報告書を議会へ提出するよう大統領に義務づけ。

尚、ブッシュ政権の提案した2010年12月31日でスペースシャトルを退役させる条項が、下院第3070号議案に含まれていないことは注目に値する。

(CQ Bill Analysis, July 22, 2005)


8月2日号

環境保護庁、自動車燃費に関する年次報告書を発表

環境保護庁(EPA)が、自動車燃費に関する年次報告書『軽量自動車技術と燃費動向:1975−2005 (Light-Duty Automotive Technology and Fuel Economy Trends: 1975 Through 2005)』を遅ればせながらも発表した。報告書によると、2005年型乗用車の平均燃費は1ガロンあたり24.7マイルで、軽トラックのそれが18.2マイル、軽量自動車全体の平均燃費は21マイルであったという。企業別では、2005年型車で最高の燃費を記録したのはホンダで、最悪がフォードであった。21マイルという全体平均燃費は1996年以降では最良となるものの、1980年代後半の平均燃費と比較すると5%低下したことになるという。

EPA報告書では、大きな燃費改善が見られなかった主要原因として、(1)燃費よりも加速やスピードの面で技術改善が行なわれたこと;(2)燃費の悪いスポーツ多目的車(SUV)や軽トラックの人気が引き続き高いことをあげている。同報告書はまた、燃費とエネルギー安全供給との関連、および、燃費と温室効果ガス排出との関係も認めている。(The Wall Street Journal, July 29, 2005; The New York Times, July 28, 2005)

化石燃料燃焼による炭素放出が、地球の自然な炭素吸収能力を低下させる可能性

カリフォルニア大学バークレー校のInez Fung教授が行った研究により、二酸化炭素の排出増大は、地球が二酸化炭素を大気から自然吸収する能力を下げるために、これまで考えられていた以上に地球温暖化を助長している可能性があることが判明した。全米科学アカデミー会報(Proceedings of the National Academy of Sciences)のオンライン版で発表されたこの研究は、全米科学財団(National Science Foundation)の気候ダイナミクス計画からグラントを受けて行われた。

同研究の主要調査結果は、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の放出量と陸や海が放出された二酸化炭素を吸収する能力は逆相関関係にあるという点で、これが「炭素排出と気候システムのつながりを増幅する」と説明されている。(NSF Press Release, August 1, 2005)

米国、8月にグリーンランドで開催される気候変動協議に参加の見込み

デンマークの環境省が7月29日に、グリーンランドのイルリサットで8月16日から19日まで気候変動に関する協議を主催すると発表した。この協議には、米国、日本、欧州諸国数ヶ国、ブラジル、中国、インド等の代表が出席するものと見込まれている。デンマーク環境大臣の特別顧問であるThorbjoern Fangel氏によると、同協議の目標は各国の気候変動政策に対する理解を深め、気候変動に関する国際協力を築き強化する有益な対話を構築することであるという。(Greenwire, July 29, 2005)

Nanomix社、国立衛生研究所から中小企業革新研究グラントを受領

Nanomix社が、医療用ナノ・エレクトリック探知装置の新たな製造プロセス開発で、国立衛生研究所(NIH)の研究インスティテュートの一つである国立生体イメージ・生体工学研究所(NationBiomedical Imaging and Bioengineering)の実施する中小企業革新研究(Small Business Innovation Research = SBIR)から第1フェーズのグラントを受領することになったと発表した。

Jean-Christophe Gabriel博士を中心とするグループが研究中の新プロセスは、SensationTMと呼ばれるNanomix社製のナノ構造検出技術プラットフォームと関連する。SensationTM装置は、Nanomix社専有の化学作用反応と超敏感なカーボンナノチューブ・センサーの特色を利用して、化学物質や生体分子を正確に計測するという装置で、工業や医療分野での幅広い用途が期待されるという。(Small Times, July 25, 2005)

カーボンナノチューブ、低粘度の粘性流体内で長さ別に自己選別

国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)、ケンタッキー大学、そしてミシガン技術大学の研究者等が、低粘度の粘性流体にカーボンナノチューブを懸濁すれば、ナノチューブを長さ別に選別することが出来ると報告した。彼等の分析は7月15日号のPhysical Review Lettersで報告されている。

廉価で良質のポリマー・ナノ複合材料の生産がナノチューブ加工の課題であるが、今回の発見はその課題克服へ向かう第一歩と言える。NISTのプロジェクトリーダーであるErik Hobbie氏は、自己選別をもたらす要因についての理解が深まれば、ナノ複合材料の大量生産工程でナノチューブを思いのままに配列する調整技術や装置の開発につながると述べている。(NIST Tech Beat, July 26, 2005)


8月1日号

米国とアジア太平洋地域の5ヶ国、気候変動対応で新たなパートナーシップを形成

米国がアジア太平洋地域の5カ国(オーストラリア、中国、インド、日本、韓国)と新たな気候変動条約を締結し、クリーンな開発と気候(Clean Development and Climate)のためのパートナーシップを発足させた。法的拘束力をもたないこのパートーナーシップは、「費用効率が高くクリーンな既存および新興の技術や慣行」の開発・普及・展開・移転を目的としている。

この発表は7月28日、ラオスで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムで行われ、同時に1ページのビジョンが発表された。参加国への温室効果ガス排出削減の義務付けは含まれておらず、その代わりに、このビジョンは、総排出量よりも炭素原単位に焦点を当てて、各国が温暖化ガス排出削減の目標値をそれぞれ設定するよう勧告している。

ブッシュ大統領は、この計画の実行のため、Condoleeza Rice国務長官とSamuel Bodmanエネルギー長官に今秋アジア諸国の閣僚と会合するよう指示している。(Greenwire, July 28, 2005)

Bill Frist上院共和党院内総務、胎性肝細胞研究の拡大を支持

Bill Frist上院共和党院内総務(テネシー州)が、連邦政府資金による肝細胞研究に厳しい制限をかけるブッシュ大統領の政策から離脱し、Arlen Spectpr上院議員(共和党、ペンシルバニア州)他の提案する「幹細胞研究推進法 (Stem Cell Research Enhancement Act:上院第471号議案)」…胎性肝細胞研究への連邦支援を拡大する法案… を支持するスピーチを行った。同氏の支持表明で、肝細胞研究推進法は上院での可決に一歩近づいたことになる。しかしながら、ブッシュ大統領が同法案への拒否権発動を宣言しているため、米国議会とホワイトハウスの対決の場が迫っているとも言える。

一方で、Frist上院議員は、この法案に次のような弱点があるため、「十分に検討した上で法案全体を書き直す必要がある」と指摘している。

  • 倫理面および科学面での強力な監視のメカニズムを欠く
  • 不妊治療院と患者との間の経済的インセンティブを禁じていない
  • 患者または治療院の職員が胚を捨てるか否かについての最終決定権を有するのかどうかを明言していない
  • 政策決定者が将来、変更・調整を行う能力を制限している

Frist上院院内総務は、幹細胞研究推進法や関連するその他法案を今期中に上院本会議でup-or-down投票にかけるつもりであるという。これは8月の休会後に行われる可能性が高い。一方、下院議会では同法案の下院案(下院第810号議案)が2005年5月24日に238対194で可決済みである。(CQ Today, July 29, 2005; New York Times, July 28, 2005)

米航空宇宙局、今後のスペースシャトル打ち上げを見合わせると発表

7月26日のディスカバリー発射中に撮られた映像に、大惨事となったコロンビアと酷似した形で、燃料タンクから断熱材の大きな破片が脱落しているのが明らかになった後、米航空宇宙局(NASA)は今後のシャトル打ち上げをすべて見合わせる方針を明らかにした。

7月27日夜の記者会見で、Bill Parsonsシャトル計画部長は「対策を講じるまで打ち上げは行わない。打ち上げの再開がいつになるかは分からないということを、ここではっきり申し上げておく。我々は今、実態把握作業を開始したばかりである。」と発言し、ディスカバリーの現在のミッションが2005年の唯一のミッションになる可能性を否定しなかった。(Washington Post, July 28, 2005)


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