NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2006年12月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

12月22日号

イノベーション計画に照準を合わせるオレゴン州

オレゴン革新技術審議会(Oregon Innovation Council)は、州規模の官民共同諮問委員会として2005年に州議会によって創設されて以来、州経済拡大のために官民の投資を活用する最善の策を、一年をかけて審議してきた。Ted Kulongoski州知事(民主党)が先頃発表した2007-2009年度予算は、同審議会の提出したイノベーション計画を全面支援するもので、下記を始めとする審議会提言へ要求額全額を計上している。

  • ナノテクノロジーとマイクロテクノロジーを専門とする同州初の研究センターであるオレゴン州ナノサイエンス・マイクロテクノロジー研究所(Oregon Nanoscience and Microtechnologies Institute)への継続的投資として、1,000万ドル
  • オレゴン州立大学で実施している波エネルギー研究に基づいた、米国初の商業規模波力発電基地の開発に、520万ドル
  • 州内製造業界の競争力維持のため、付加価値のある製造工程での訓練および研究開発資源拡大に、340万ドル
  • クリーンエネルギー・バイオ利用製品・グリーン建築用材の研究開発に専心するバイオ経済・持続可能な技術センター(Bio-Economy and Sustainable Technologies Center)、および、感染症新薬の開発と商業化を目的とするオレゴン州トランスレーショナルリサーチ・創薬研究所(Oregon Translational Research and Drug Discovery Institute)という2つの新研究センターの支援に、1,000万ドル
  • 同州で特定の技術分野における革新パイプラインを強化するクラスタ・アクセレレータ基金(Cluster Accelerator Fund)の創設に、500万ドル

(SSTI Weekly, December 21, 2006)


2006年中間選挙の結果が米国気候政策にもたらす影響

世界気候変動に関するピューセンター(Pew Center on Global Climate Change)は、2006年11月の中間選挙の結果、米国で適度の気候変動政策が成立する見込みがかなり高まったと分析している。

上院と下院の新人議員の内の何名が、強制的な気候変動施策に賛成票を投じる用意があるのかは未だ明白でないものの、第110議会では、気候変動対策を概ね支持している民主党が審議議題をコントロールする。特が顕著な変化が期待されるのが上院で、最も野心的なcap-and-trade(上限設定・取引)型温室効果ガス(GHG)法案の共同スポンサーであるBarbara Boxer上院議員(民主党、カリフォルニア州)が、GHG排出規制を管轄する上院環境・公共事業委員会の議長を、そして、別のGHG法案を草稿したJeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州) が、国家エネルギー政策の方向を決める上院エネルギー委員会の議長を務めることになる。また、気候変動対応策を常に支持してきたHarry Reid上院議員(民主党、ネバダ州)が次期の多数党院内総務であることにも期待できるとしている。

一方の下院も、上院ほどに明白ではないながらも、次期下院議長のNancy Pelosi下院議員(民主党、カリフォルニア州)が強制的気候変動対策の支持者であるため、好転が見込まれるという。GHG規制を管轄する下院エネルギー・商業委員会の新議長は、自動車メーカーの強力な支援者として知られているJohn Dingell下院議員(民主党、ミシガン州)であるが、自動車業界に排出規制強化への対応準備を警告したと報道されており、気候変動に関する公聴会を計画していると伝えられている。

ピューセンターによると、2003年にJoe Lieberman民主党上院議員(コネチカット州)と共同でcap-and-trade型GHG法案を提出し、2003年と2005年に上院本会議での投票を強行した共和党のJohn McCain上院議員(アリゾナ州)の役割は、更に予測が難しいという。2008年大統領選の本命と見なされているMcCain上院議員が共和党指名候補となり、気候変動法案への投票を引き続き要求するようであれば、共和・民主両党の穏健派議員は気候変動政策に賛成票を投じ易くなる可能性があると示唆している。

ピューセンターでは、(1)気候変動に対する一般市民の懸念増大;(2)カリフォルニア州や北東部諸州の気候変動対策;(3)気候変動への対応を避けられないという米国業界の認識;(4)米国議会における過去数年間の機運;(5)先月の選挙結果;(6)2008年大統領選でMcCain上院議員が共和党指名候補となる可能性等を考慮し、2008年遅くとも2010年までには強制的気候変動政策が成立すると楽観視している。(Pew Center on Global Climate Change E-Alert 2006 Year in Review, December 20, 2006)


12月18日号

試験的な風力利用の水素生成システム、作動開始

国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory = NREL)とエクセル・エネルギー社が、風力を利用して水素を生成する試験施設をコロラド州にあるNRELの国立風力技術センター(National Wind Technology Center)に開設した。

この施設では2基の風力タービンが電解槽につながれている。風力発電による電気を電解槽で水に通して水素を生成する仕組みで、発生した水素は貯蔵され、発電機や燃料電池を動かす内燃機関のエネルギー源に使用できる。この施設は、建物内にこれらの電解槽と水素圧縮装置1基をはじめ、4基の大型水素貯蔵タンク、内燃機関を動力とする発電機、ならびに制御室を備えている。

エクセル・エネルギー社とNRELの協同プロジェクトの実施期間は2年間で、総コスト200万ドルと見積もられている。このプロジェクトによって、科学者は下記を実施することが可能となる:

  • 各種の電解槽の比較
  • システム全体の効率改善
  • 信頼できるエネルギー源として利用できるよう、貯蔵可能な燃料担体(水素)を風力エネルギーで生成することによって、風力の間欠性という問題を克服。

(Exel Energy News Release, December 14, 2006)


米国と中国、FutureGenの協力とエネルギー効率・再生可能エネルギー議定書の更新を発表

米国と中国が、米中戦略経済対話(US-China Strategic Economic Dialogue)の下で、2つの協定を結んだことを共同で発表した。その1つはFutureGenに関するもので、中国がFutureGenプロジェクトの政府運営委員会に参加する。この発表は、Samuel Bodmanエネルギー長官の訪中の際に行われた。

もう一つの合意はエネルギー効率・再生可能エネルギーに関するもので、両国はエネルギー効率・再生可能エネルギー議定書(Energy Efficiency and Renewable Energy Protocol)を更新した。この議定書は、再生可能エネルギーおよびエネルギー効率化技術の開発・導入分野での協力更新を定めるもので、Bodman長官と中国の徐冠華科学技術部長が署名した。

このほかにも、エネルギー関係の米中間協議として、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP)、水素経済のための国際パートナーシップ(IPHE)、炭素リーダーシップ隔離フォーラム、国際熱核融合実験炉(ITER)、第四世代原子力システム国際フォーラム(Generation IV International Forum)等の問題が取り上げられた。(DOE News Release, December 15, 2006)


米国環境保護庁、アジア開発銀行、中国国家環境保護総局、中国の環境保護問題で協力

米国の環境保護庁(EPA)、アジア開発銀行(Asian Development Bank = ADB)、および、中国国家環境保護総局(State Environmental Protection Administration = SEPA)が12月15日に、中国の環境保護問題で協力する旨の合意書に署名した。この三者協定は、協力の枠組みを定めるもので、cap-and-trade(上限設定・取引)型制度の策定、経済的手段や市場手段を活用した環境対策、および、SEPAの地域的インフラの強化促進を支援する見込みである。

この協同体制により、EPAの資源や専門知識が中国の環境対策に有効利用されるものと期待されている。(EPA News Release, December 15, 2006; ADB Media Release, December 15, 2006)


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