NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2006年2月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

2月24日号

先進エネルギーイニシアティブの宣伝で全米を駆け回るブッシュ政権高官

ブッシュ大統領が今年1月に提案した「先進エネルギーイニシアティブ(Advanced Energy Initiative)」を推進するために全米を駆け回っているエネルギー長官と農務長官は2月22日に、来るべき公募や助成の機会について発表を行った。

エネルギー省(DOE)のSamuel Bodman長官は、農業廃棄物や森林廃棄物等のセルロース系バイオマスからエタノールを生産するバイオ精製所3ヶ所の建設に、3ヵ年で1億6,000万ドルを提供するという助成プログラムを公表した。同プログラムは、大統領のバイオ燃料イニシアティブ(President's Biofuels Initiative)の一環として行われるもので、セルロース系エタノール研究の増進と、セルロース系エタノールを2012年までにコスト競争的にすることを目的としている。この公募の助成金には、1プロジェクトあたり1億ドルまでというキャップが設けられるほか、プロジェクトはコスト分担型で、産官の分担率は60対40となっている。

また、Mike Johanns農務長官は、農家や中小企業を対象に、再生可能エネルギーおよびエネルギー効率関連の設備投資支援策として、農務省が借入保証約1億7,600万ドル、グラント約1,140万ドルを提供することを発表している。農務省の保証する最高借入額は1件あたり1,000万ドルで、個人対象の再生可能エネルギーシステム助成は最高50万ドル、エネルギー効率化グラントは最高25万ドルとなる。(DOE News Release, February 22, 2006; USDA News Release, February 22, 2006)

メタノールと水を原動力とするナノテクノロジー燃料電池

ピッツバーグのカーネギー・メロン大学の科学者等がメタノールと水を原動力とするナノテクノロジー燃料電池を現在開発中である。この燃料電池は、タバコのライターほどの大きさになる見込みで、携帯電話からラップトップ、自動車まで、あらゆるものの電源として使用される可能性がある。

殆どの燃料電池は水素を燃料として使用するが、水素は価格が高い為、研究チームは安価で簡単に入手できるメタノールと水による発電を研究している。メタノールと水は触媒に接触すると、二酸化炭素、陽子、電子に分解し、電流を発生する。メタノール燃料電池で使用される触媒の粒子は通常、プラチナまたはプラチナとルテニウムで出来ているが、これは炭素への結合が悪く、最終的には分解するため、性能が下がるという問題があった。カーネギー・メロン大学の研究チームはこれを解決するため、直径10ナノメートルの窒化チタンを基板として使い、この上に幅3ナノメートルのプラチナム‐ルテニウム粒子を培養したところ、窒素チタンと触媒の粒子は優れた電導性と安定性を示したという。(United Press International, February 21, 2006)

オークリッジ国立研究所、ナノテクノロジー製造過程を改善する新テクニックを開発

オークリッジ国立研究所(ORNL)が先頃、ナノテクノロジー製造過程を改善する可能性を秘めた新たな装置を発表した。この装置は、多数のナノテク分野で応用できるものの、同研究所の科学者等は主に太陽光電池、コンピュータ、フラットパネル・ディスプレイの製造に有望と考えている。

この新しい装置は、750キロワットのまばゆいプラズマアーク・ランプで、製造会社の名称にちなんでマトソン・テクノロジー・ランプと呼ばれる。このランプは従来法に比べて加熱速度を3,000倍、処理温度を3倍に高めることができるという。つまりマトソン・ランプは毎秒 1,000,000 oF(555,538℃)で対象表面を加熱できる計算になる。

更にこのランプは、広い面積(最高1,000平方センチ)にわたってレーザーのエネギー密度が高いため(1ミリ秒のパルス幅で12 メガワットを出力)、このランプを使えば、エンジニア等は特性と構造の均一なマイクロ構造を製造できるようになるという。(AZOnano.com, February 17, 2006)

米国エネルギー合理化経済評議会(ACEEE)発表のクリーン車両番付、トップハイブリッド車

米国エネルギー合理化経済評議会(ACEEE) が、米国市場の2006年型「環境に優しい車番付」を発表した。ハイブリッド車が優勢で、総合番付の上位4車は、ホンダ・インサイト(ハイブリッド)、ホンダ・シビックGX(天然ガス)、トヨタ・プリウス(ハイブリッド)、ホンダ・シビック・ハイブリッドとなり、上位4車のうち3車を占めている。

昨年度と同様に、車両クラス別の番付でもトップのほとんどはフォード、ゼネラルモータース、ダイムラークライスラー以外のメーカーの車種に独占され、ビッグスリーは14の車両クラスのうち4クラスで何とか上位に食い込んだに過ぎない。(ACEEE Press Release, February 14, 2006)


2月21日号

ネバダ州に建設予定の世界最大の太陽光発電プロジェクト、同州の軍事基地に電力供給予定

メリーランド州を本拠とするSunEdison社とネバダ州を本拠とするPowered By Renewables (PBR)社が、ネバダ州で太陽光発電 (PV) プロジェクトを実施する予定であると発表した。PBR社とSunEdison社は、ネバダ州内に合計36メガワット(MW)相当のPVプロジェクトを建設する予定であり、2006年7月にはクラーク郡で18 MW級PV施設の建設を開始し、2007年初旬にはクラーク郡以外の用地においてPV施設建設を開始する意向であるという。クラーク郡でのPVプロジェクトが完成すれば、現在世界最大であるドイツのPVプロジェクト(10 MW)の約2倍もの規模となる。

このPVプロジェクトは民間所有・民間運営となるが、電力は米軍が購入を予定しており、その電気は、クラーク郡にある軍事施設(未公表)に供給される見込みである。プロジェクト経費はまだ明らかにされていないが、1億1,700万ドルほどになると推定されている。同プロジェクトに使用予定のインバータはSatcon社製で、約半分が500キロワット(kW)級ユニット、残りが220kW級と100kW級ユニットになるという。(Renewable EnergyAccess.com, February 9, 2006)

BP社とEdison Mission Group、カリフォルニア州で画期的な水素発電プロジェクトを計画中

BP社とEdison Mission Group (EMG)社 が、南カリフォルニアに画期的な500メガワットの水素発電所を建設すると発表した。この発電所のタービンシステムは、石油コークスのガス化で生成される水素を動力源とするもので、石油コークスはBP社のカーソン精油所 …水素発電所はこの製油所の隣に建設される予定… から調達される。

このプロセス全体の主要副産物である二酸化炭素は回収され、パイプラインで油田に送られ、地下数千フィートの貯溜岩に注入される予定である。これによって、原油回収率が向上するほか、二酸化炭素が地中に恒久的に隔離されることにもなる。BP社の見積によれば、このプロセスによって同発電所の二酸化炭素年間排出量の約90%に値する約400万トンの二酸化炭素を除去できるという。(The New York Times, February 11, 2006; BP News Release, February 10, 2006)

グリーンランドの氷河が溶け大西洋へ流出した氷の量は10年間で約3倍に

2月17日号のサイエンス誌に掲載された新たな研究論文によると、グリーンランドの氷河が10年前のペースを遙かに上回るスピードで溶けているという。衛生画像のデータを利用して、カリフォルニア工科大学ジェット推進研究所とカンザス大学の科学者2名が氷河の動きと氷河の溶ける速度を算定したもので、下記の研究結果が挙げられている:

  • グリーンランドの氷河が溶けて大西洋に流出した氷は、1996年には13立方マイルであったが、2005年には40立方マイルに増加。
  • 流出した40立方マイルの氷で、海面は0.02インチ上昇。これは、1996年に科学者が予測した上昇率の2倍。
  • Kangerdlugssaq氷河が移動する速度は、1996年に年間3マイルであったが、2005年には年間8.7マイル。
  • グリーンランド南東部の気温はこの20年間で華氏5.4度上昇しており、気候変動が主要な要因と考えられる。

(Los Angeles Times, February 17, 2006; Washington Post, February 17, 2006)

多数の団体がブッシュ政権の耐候化支援予算削減案を批判

ワシントンDCのナショナルプレスクラブで行われた記者会見で、多数の団体が、低所得者を対象としたエネルギー省(DOE)の耐候化支援計画(Weatherization Assistance Program)および低所得者家庭エネルギー支援計画(Low Income Home Energy Assistance Program = LIHEAP) の2007年度予算削減要求を非難した。

これらの団体は、州政府だけでは低所得家庭の光熱費補助に対応できないと指摘し、両計画の予算の復活を要求している。州政府地域生活支援事業全米協会(National Association of State Community Services) のスポークスマンは、エネルギー研究開発を助成するという大統領のコミットメントには賛同するが、研究開発助成が低所得世帯のためのプログラムを犠牲にして行なわれるべきではないと主張している。(C-Span Live Coverage, February 13, 2006)


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