NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2006年3月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

3月14日号

米国大学技術移転管理者協会(AUTM)、技術移転の影響を考察するプロジェクトをオンライン化

米国大学技術移転管理者協会(Association of University Technology Managers = AUTM)が3月3日、技術移転なくしては恐らく存在しなかったであろうと思われる100以上の技術を詳細するThe Better World Projectをオンライン化した。

同プロジェクトは、米国とカナダのAUTMメンバーが寄稿した25の技術移転事例をまとめた『The Better World Report』という本と、バイオテクノロジーや獣医学といった分野で使用される製品に関する100件のショートストーリーをまとめた『現場からの報告(Reports From the Field)』という刊行物をベースにしている。

The Better World Projectは、技術移転がどのように経済に貢献し、新発見を助長しているかを示すもので、読者はGoogleサーチエンジン、人工内耳やHabitroニコチンパッチ他のヘルスケア製品、環境保護その他分野の技術に関する裏話を学ぶことが出来る。AUTMによると、欧州やアジア、および、オーストラリアのストーリーも近々このオンライン・データベースに追加される予定であるという。(SSTI Weekly, March 6, 2006)

米国科学審議会、『理工学指針2006年版』を発表

米国科学審議会(National Science Board = NSB)が2月23日、隔年で発行している『理工学指針2006年版(Science and Engineering Indicators 2006)』を発表した。同報告書は、科学技術分野での国際競争がこれまで言われてきた「可能性(potential)」から「現実(reality)」になったと指摘し、ますます国際化するハイテク部門において米国市民が将来も繁栄するよう、理工系人材の育成に更に努力する必要があると主張している。報告書に収められた主要データの概要は下記の通り:

  • 世界各国の研究開発(R&D)投資は1990年から2003年に急増し、3,770億ドルから8,100億ドル(インフレ調整済み)まで拡大。増大の大半はアジア諸国で起きており、特に中国は2003年のR&D投資が1991年の6倍で、約850億ドルであったと報告している。米国のR&D 支出は2003年が推定2,920億ドルで、2004年には3,120億ドルになる見通し。
  • 理工系専攻の大卒者は、1997年の640万人から2002年には870万人まで増大。欧州とアジアで理工系大卒者が大幅に増えているものの、米国では自然科学やエンジニア専攻の大卒者が相変わらず少なく、懸念要素である。4年間連続で減少傾向にあった米国の理工系博士号は2003年に増加に転じたほか、2001年の多発テロ以来減少していた理工系専攻の外国人大学院生も2004年には前年比で約2.4%増大した。
  • 論文発表数は1992年から2003年に他諸国で大幅に増加したのに対し、米国は停滞気味となっている。このため、1988年には38%であった米国論文発表数の世界占有率は2003年には30%まで落ち込んでいる。一方で、米国の科学者やエンジニアが他国の同僚と協力するケースが増えており、2003年には米国専門誌の4誌に1誌が、海外研究者との共著の論文を少なくとも1つ掲載している。
  • K-12(幼稚園から高校まで)レベルの数学と科学の成績向上にはむらがある。数学の全国平均スコアは1990年から2003年に上がったものの、科学の成績は改善が見られない。経済協力開発機構(OECD)が2003年に実施した「学習到達度調査(Programme for International Student Assessment)」によると、米国の15歳児の成績は世界平均以下であった。
  • 数学と科学の教員免状を持つ高校教師は1990年から2002年の間に減少。数学と科学の教員免状を持つ中学教師は1990年代半ばに増加したものの、その後は減少の一途にある。また、高収入の職を求めて教職を去る者が多く、ある調査によると、科学と数学の新規採用教師の3分の1は3年半から5年のうちに教職を離れるという。
  • 理工系就労者の失業率は概して低いものの、先頃の不況では意外なほどに影響を被り、2003年の失業率はここ22年間で最高の4.6%に達した。

(NSF News Summary, February 23, 2006)


3月13日号

ウッドロー・ウィルソン国際センター、オンラインのナノテクノロジー消費財目録を公開

ウッドロー・ウィルソン国際センター(Woodrow Wilson International Center)の新興ナノテクノロジー・プロジェクト(Project on Emerging Nanotechnologies)が3月10日、オンラインのナノテクノロジー消費財目録(Nanotechnology Consumer Products Inventory)を立ち上げた。この目録は、ナノテクノロジーの利益や嘱望、および、ナノテクノロジーの安全性や環境影響に関する討論の奨励という新興ナノテクノロジー・プロジェクトのミッションを推進するもので、ナノテクノロジーを使用した消費財やナノ材料を含む消費財、合計212製品についての情報を掲載している。同目録は完全とは言えないものの、現時点では、一般市民や政策策定者および産業界が無料でアクセス可能な、最も包括的なナノテク消費財のデータベースとなっている。

この目録に掲載されたナノテク消費財の詳細(注1)は、@製品名;A会社/製造業者または供給業者の情報;B生産国;C製品の写真と説明;D製品ウェブサイトのリンク;E製品が同目録に追加された日付などで、各製品は、(i)ヘルスとフィットネス;(ii)エレクトロニクスとコンピュータ;(iii)住居と庭;(iv)飲食料品;(v)自動車;(vi)家電製品と子供用品というカテゴリーに分類されている。同目録のデータから、下記の点が明確になったという:

  • ヘルスとフィットネスに分類された製品が最も多く、美顔用クリームからアイスホッケー用スティックまで、125製品。2番目に多かったのが、エレクトロニクスとコンピュータで30製品、これに住居と庭が続いている。
  • ヘルスとフィットネスの中では、汚れにくいYシャツやズボンやネクタイといった衣類が最多で34製品、これにスポーツ用品の33製品、化粧品の31製品が続く。
  • ナノテク消費財開発では米国が圧倒的なリーダーで126製品。東アジアは42製品で、欧州が35製品。
  • 同目録に登録されたナノ製品に使用されている最も一般的な材料はナノカーボンで、これに銀とシリカが続いている。

(Woodrow Wilson International Center for Scholars News Release, March 10, 2006)

Barton下院エネルギー・商業委員長、2007年度エネルギー省予算要求に不満を表明

Samuel Bodmanエネルギー長官が3月9日に開催された下院エネルギー・商業委員会の公聴会で、同省の2007年度予算案について証言した。一連のエネルギー効率化プログラムや再生可能プログラム、石油・天然ガスプログラムに予算が計上されていない理由をJoe Barton委員長(共和党、テキサス州)に突き詰められたのに対し、Bodman長官は、2007年度予算は2006年度と同レベルであり、削減は科学プログラム予算の増額や世界原子力エネルギー・パートナーシップ(Global Nuclear Energy Partnership = GNEP)という大統領イニシアティブに対応するために必要であるというお決まりの説明で対応した。Barton委員長は、議会の期待を無視した内容であると批判し、下記の予算要求に不満を表明した:

  • 2005年包括エネルギー政策法で予算が認可されたにも拘わらず、ブッシュ政権の予算案では旧式石炭火力発電所への排出削減技術導入を支援するプログラムに十分な予算を計上していない。
  • 超深海オフショア石油・天然ガス探索予算を廃止している。
  • 耐候化支援基金の予算を大幅に削減している。
  • 定義の不鮮明なGNEPに2億5,000万ドルという過剰な予算を計上している。

Barton委員長は、下院エネルギー・商業委員会のメンバーで行政府予算要求に満足している者は1人もいないと述べ、3月9日午後のホワイトハウスでの会合の際には、2007年度予算案に対する自らの見解をブッシュ大統領に直に伝えることを約束した。下院エネルギー・商業委員会は未だ、2007年度大統領予算に対する「予算案評価報告書(Views and Estimates)」を提出していないが、近々、議会の優先順位を明示した超党派の報告書を作成し、それを下院歳出委員会に送付する意向であると発言している。(Environment and Energy Daily, March 10, 2006; Platts Coal Trader, March 10, 2006)

注釈:

1:新興ナノテクノロジー・プロジェクトでは、製品詳細は主として製品製造者がオンラインで提供している英語の情報に基づくものであり、製造者や第三者のステートメントや見解はあくまで彼等のステートメントや主張であることを指摘している。


3月10日号

エネルギー省とゼネラル・エレクトリック、風力タービン開発プロジェクトで協力

エネルギー省(DOE)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory = NREL)とゼネラル・エレクトリック(GE)社が、オフショア風力発電技術を開発する新規プロジェクトで4ヵ年契約に調印した。

総額2,700万ドルという同プロジェクトの目標は、キロワット時あたり5セント[現在のコストはキロワット時あたり9.5セント]という低コストな発電を可能にする5〜7メガワット級の風力タービンを設計・組み立て・テストすることで、NRELとGEが共同開発する先進風力システムには、革新的な土台や建設テクニック、ローターデザインやドライブトレイン、および、苛酷なオフショア環境に耐えられる電気部品等が含まれる見込みである。

このプロジェクト契約に基づき、GEは2010年までに総額1,900万ドル、NRELは800万ドルを拠出する。NRELはまた、海上での風力タービン開発でGEに科学的専門知識を提供するという。オフショア・プロジェクト設置場所の決定は未だこれからとなっている。(DOE News Release, March 9, 2006)

オレゴン衛生科学大学の研究者、ヒトの脳に幹細胞を移植する効果を調査

オレゴン衛生科学大学のドーンベッカー小児病院(Doernbecker Children's Hospital)の研究者が近々、ヒトの幹細胞を脳に直接注入する臨床試験を開始する予定である。第1フェーズでは、幼児や小児に稀に見られる神経生成疾患(neurogenerative disorder)である神経セロイドリポフスチン沈着症(neuronal ceroid lipofuscinosis = NCL)の進行を幹細胞が遅らせることが出来るか否かを判断することになる。

NCLは、身体に特定酵素の生成方法を教える遺伝子の突然変異が原因で発生する致命的な病気である。こうした酵素やタンパク質の欠如は、脳神経細胞や他の脳細胞の中に異常物質を蓄積し、精神機能や運動機能の急激な衰え、失明、てんかん発作、早死にをもたらすことになる。マウスを使った過去の研究は、脳に注入した幹細胞が欠乏している酵素の量を増大させ、脳の異常物質が減少し、脳細胞死を防ぐことを示している。

オレゴン衛生科学大学の臨床試験では、カリフォルニア州パロアルトのStemCells社が開発した中枢神経系幹細胞「HuCNS-SC」(2005年10月に米国食品医薬品局の認可を獲得)を最高6名の子供に移植する計画で、移植後1年の間は子供達の発育や認識力(cognition)、行動や言語能力を査定評価するという。(OHSU Press Release, March 9, 2006)

メラノーマ細胞を狙うタンパク質ナノケージ

モンタナ州立大学のTrevor Dougals博士とMark Young博士をリーダーとする研究チームが、小さな分子を封じ込めることが出来るナノスケールのケージタンパク質を用いて、腫瘍周辺に急成長する血管を効率的に標的とすることができる新型ナノ粒子を開発した。

研究チームが使用したのは、高温に強いバクテリアから単離した熱ショックタンパク質(heat shock protein)。以前行った研究から、直径12ナノメートルの空のケージに自己組織形成する12個の小単位(subunit)から成るこのタンパク質は、化学修飾と遺伝子組み換えの双方を利用することで、本来の姿やサイズに影響を与えることなく容易に操作できることが判明していた。

研究チームは、遺伝子操作によって、腫瘍血管新生中に出現する2つの特定のタンパク質分子 …αvβ3 と αvβ5… に結合するRDG-4Cと呼ばれるペプチドをナノケージ表面に持つタンパク質を開発したほか、これらのナノケージのそれぞれに26の蛍光染色分子を添加し、腫瘍血管新生を標的とする造影剤を創り出した。次に、マルチ機能のこのナノケージをαvβ3タンパク質分子を持つ培養メラノーマ細胞に加えたところ、研究者等は、標準的な蛍光ベースのセルソータ(cell sorter)を使用することで、ナノケージと結合するメラノーマ細胞を他の細胞から区別することができたという。

この人造ケージタンパク質は、大量生産の比較的容易な精密な構造であるため、ナノスケールの投与デバイスとして期待できるという。モンタナ州立大学研究チームの研究結果は、専門誌Chemistry & Biologyに発表されている。(National Cancer Institute News Release, March 6, 2006)


3月7日号

エネルギー省、ソーラーアメリカ・イニシアティブの推進に向けてNotice of Program Interestを公布

エネルギー省(DOE)が、ソーラーアメリカ・イニシアティブ(Solar America Initiative = SAI)を開始するにあたり、「プログラムの関心分野についての通知(Notice of Program Interest = NOPI)を公布した。このNOPIは産業界や大学他の利害関係者等に、各自の見解をSAI策定の初期段階でインプットする機会を与えるもので、段階的な導入計画;期待大の技術改善;調達戦略といった非常に重要な企画上のトピックについて、アイディアを求めている。DOEでは一般からのコメントを2006年6月まで受付け、その後、寄せられた意見を検討して、プログラム戦略に盛り込んでいく意向である。

DOEのSAIは、企業とのパートナーシップを土台としいる点で、水素計画で自動車メーカーと燃料生産者の間に築かれたパートナーシップを連想させる。SAIでは、下記の2つの主要プロジェクト部門に3年間のグラントを給付することになる。

  1. 年間発電能力10〜100 MWの完全統合型太陽光発電システムの開発を目指すコスト分担型プロジェクトで、グラント額は年間最高1,000万ドル。
  2. 1〜10 MWの試験的規模のコスト分担型プロトタイプ太陽光発電プロジェクトを対象とし、グラント額は年間最高500万ドル。

(DOE Notice of Program Interest, March 3, 2006)

Cientifica社、 北米のナノテク投資状況について報告書を発表

数年で1兆ドルの産業に伸びると予測されているナノテクノロジーだが、ロンドンのCientifica社が2月下旬に発表した新たな研究によれば、ベンチャー投資家等はナノテク投資に及び腰だという。『ベンチャー投資家からナノテクへ:電話お断り(VCs to Nanotech: Don't Call Us!)』という報告書は、北米におけるナノテクノロジー・ベンチャーキャピタル投資の現状を概説している。この報告書に記載されている統計データの中で、特筆に値する事項は下記の通り:

  • 北米における2005年のナノテクノロジー向けベンチャーキャピタル投資額は3億7,500万ドルで、前年に比べてほぼ倍増した。しかし、この額は、北米における同年のベンチャーキャピタル投資総額のわずか 0.148%にすぎない。
  • 2005年の取引規模の中間値は825万ドル。
  • 北米のベンチャー投資家等は立ち上げ後間もないナノテク企業への投資を躊躇する傾向が強まっている。2005年には、立ち上げ(シード)資金もしくはシリーズAファイナンスが27%で、残りの73% はさらに開発の進んだ段階に投じられた。
  • 北米とヨーロッパを比較すると、市場規模とナノテクへの財政支援額が同等であるにもかかわらず、北米のベンチャーキャピタル投資額はヨーロッパの6倍であった。

(Genetic Engineering News, February 27, 2006)


3月6日号

米国とインド、FutureGenプロジェクトの協力で合意

ブッシュ大統領は3月2日、炭素隔離リーダーシップフォーラム(Carbon Sequestration Leadership Forum = CSLF)の一員であるインドが、エネルギー省(DOE)FutureGenプロジェクトのための政府運営委員会に参加する国際パートナー第1号となることを発表した。この合意に基づき、インド政府がFutureGenイニシアティブに1,000万ドルを提供するほか、インド企業のFutureGen Industrial Alliance(同プロジェクトの民間部門コンポーネント)参加も認められることになる。CSLFは、二酸化炭素の早期削減と着実な排除を目指して技術共同開発を行う自主的気候変動イニシアティブで、世界20ヶ国と欧州委員会をメンバーとしている。DOEのBodman長官は、他のCSLFメンバーにもFutureGenプロジェクトへの参加を呼びかけている。(DOE News Release, March 2, 2006)

上院エネルギー・天然資源委員会、2007年度大統領予算に対する「予算案評価報告書」を発表

議会予算法の義務付けに従い、上院エネルギー・天然資源委員会の共和党メンバーと民主党メンバーは3月2日、ブッシュ政権が提案する2007年度予算の内、同委員会の管轄下に入るプログラムの予算に対して「予算案評価報告書(Views and Estimates)」を発表した。

同委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)が上院予算委員会あてに送った「予算案評価報告書」の要点は下記の通り:

  • 委員会メンバーの大半は、北極圏野生生物保護区域(Arctic National Wildlife Refuge = ANWR)の一部を石油・天然ガス探査に解禁するという行政府提案を認可する法案を支持する。
  • 連邦政府土地取引促進法(Federal Land Transaction Facilitation Act)を改定して国土管理局(Bureau of Land Management = BLM)に土地の追加売却を認めるというブッシュ政権の提案には、大半のメンバーが反対である。
  • 委員会は、2025年までに石油輸入量を75%削減するという目標の達成に向けて、エネルギー省(DOE)のクリーンエネルギー研究予算を22%増額するというブッシュ政権の先進エネルギーイニシアティブ(Advanced Energy Initiative)予算案をおおむね支持する。しかしながら、「2005年包括エネルギー政策法」が認可した、クリーンコール発電イニシアティブやガスハイドレート研究といった幾つかの重要プログラムが大幅削減されていることには、懸念を表明する。
  • 原子力科学技術予算が全体で2006年度レベルの18%増となることは評価するものの、原子力発電2010計画(17%減)、第4世代原子力システム・イニシアティブ(42%減)等の重要プログラムの予算削減は支持できない。特に、原子力発電所の効率的かつ安全な運転に欠かすことの出来ない核技術者を養成する大学の原子力研究・教育プログラムが廃止されることには反対で、この予算復活を要求する。
  • 委員会は、DOE科学部の物理科学基礎研究予算を10年間で倍増するという行政府提案を支持する。

一方、同委員会の民主党メンバーを代表して、Jeff Bingaman上院議員(ニューメキシコ州)が上院予算委員会に送った書簡は、Domenici委員長の「予算案評価報告書」におおむねで同意すると表明しつつも、下記の追加見解を提示している:

  • 大統領予算要求には、「2005年包括エネルギー政策法」を実施するに十分な予算が盛り込まれていない。特に、DOEの耐候化プログラム予算の大幅削減に反対する。
  • 定義の不明確な「世界原子力エネルギーパートナーシップ(Global Nuclear Energy Partnership)」への過剰な予算要求に反対する。
  • 予算委員会はANWRのリースが認可されると仮定するべきではなく、従って、ANWR開発から見込まれる歳入を予算案に含めるべきではない。

(Environment and Energy Daily, March 3, 2006; Senate Committee On Energy & Natural Resources Press Release, March 2, 2006; Senator Bingaman's Letter to Senator Judd Gregg; March 2, 2006)

米国東岸の「水素ハイウェイ」として期待される州間高速道路95号線

カリフォルニア州では、Arnold Schwarzenegger州知事が2年前に着手した「水素ハイウェイ」プログラムによって水素自動車に燃料補給可能なスタンド網の開発が進み、既に21のステーションが稼動しているのに対し、米国東海岸では、ボストンと首都ワシントンを結ぶ州間高速道路95号線沿いに東岸水素回廊を構築するという努力が未だ初期段階の状態で、水素供給ステーションは首都ワシントンに1ヶ所あるにすぎない。

ペンシルバニア州を拠点とするThe Morning Call紙の記事によると、高い人口密度や首都に近接という利点にも拘わらず、東海岸諸州における水素ハイウェイ開発が遅れている理由として、@Schwarzenegger州知事のようなカリスマ的人物がいないこと;A対象が一州だけのカリフォルニアとは違い、95号線沿いの[面積の小さな]複数の州が対象となること;Bコスト問題;Cステーション建設の基準や規約が州により異なること、等があげられるという。

こうした相違点を考慮し、州間高速道路95号線沿いに構築されるネットワークは、カリフォルニア州のモデル …州政府のお膳立てによって等間隔でステーション建設… を基に開発されるのではなく、自動車メーカーやエネルギー会社が独自に根回ししてステーションを建設するクラスター型になるであろうと、専門家達は見ている。

中部大西洋岸水素同盟(Mid-Atlantic Hydrogen Coalition)が、東岸6州とコロンビア特別区のエネルギー担当官を呼び集め、水素ネットワークのあるべき姿について討議する機会を提供しており、当初の会合は順調であったと報告されている。2010年までに500〜1,000ヶ所のステーション建設を提唱しているカリフォルニア州には追いつかないにしても、米国の東海岸でも水素ステーションへの関心は高まっており、ギャップは狭まっている模様である。(The Morning Call, March 3, 2006)


3月2日号

州知事エタノール連合の集まりで、Bodmanエネルギー長官とObama上院議員が講演

州知事エタノール連合(Governors' Ethanol Coalition)主催の集まりで、Samuel Bodmanエネルギー長官とBarak Obama上院議員(民主党、イリノイ州)が講演を行った。

イリノイ州政府の高官が、エタノール燃料補給スタンドのさらなる拡大に大手石油会社が反対する可能性を指摘すると、Bodman長官は驚きを表明し、石油会社のエタノール方針について各社からさらに情報を求めることを約束した。

一方、Obama上院議員は、自動車メーカーの燃費向上に応じて、各社の退職者医療費補助への財政援助を行うという自身の案を宣伝した。Obama議員は連邦政府に以下を求めている。

  • バイオ燃料の販売を援助するために、融資その他の財務保証を企業に提供すること
  • 再生可能燃料使用基準(renewable fuel standard)を引き上げ、バイオ燃料についても同様の使用基準を設定すること
  • 連邦政府に今後10年間フレックス燃料車の購入を義務付けること
  • エタノール混合燃料を供給するガソリンスタンドを増設すること
  • 国家安全保障会議に提言を行うエネルギー保障課長(Director of Energy Security)を設置すること。

(Environment and Energy Daily, March 1, 2006)

デラウェア大学の化学者チーム、10ナノメーター未満の浮遊ナノ粒子を分析する新テクニックを開発

デラウェア大学ニューアーク校の化学者チームが、大気中に浮遊する10ナノメーター未満のナノ粒子の化学組成を正確に判定できる新型機器を開発した。ナノエアロゾル質量分析計(nanoaerosol mass spectrometer)と呼ばれる機器は、吸気口とイオン・トラップ(ion trap)および飛行時間型質量分析器(time-of-flight mass analyzer)を組み合わせたもので、先ずは、浮遊中のナノ粒子を吸気口を通じてイオン・トラップへと導き、イオン・トラップに捕らえたナノ粒子にレーザー光線を発射するという手順。粒子は高エネルギーレーザーパルスによって完全崩壊して原子イオンとなるが、この原子イオンを飛行時間型質量分析器で分析してイオンの相対強度(relative intensity)を調べることにより、粒子の元素組成が明らかになるという。

同研究チームは現在、この装置を用いて、揮発性有機分子の酸化段階に形成する粒子を実験室で研究しているが、今年の夏には、環境粒子(ambient-particle)の組成を測定するためにフィールドテストを行う計画であるという。(Chemical and Engineering News, February 27, 2006)

2006年のエネルギー省メリットレビュー年次会合、バージニア州アーリントン市で5月16日より開催

エネルギー省(DOE)は毎年、DOE水素プログラムで支援する水素および燃料電池プロジェクトを年次会合で発表し、ピアレビューしている。2006年のメリットレビュー年次会合はバージニア州アーリントン市で5月16日から19日までの3日間開催され、約250におよぶプロジェクトの現状と成果が研究責任者によって発表される予定となっている。

エネルギー効率化・再生可能エネルギー(Energy Efficiency and Renewable Energy)部のプロジェクトに加え、今年の年次会合では特に、化石エネルギー部と原子力科学技術部が実施する水素生産プロジェクトを取り上げることになるという。また、2006年年次会合における初めての試みとして、科学部が水素・燃料電池の基礎研究に関するプロジェクト約10件についてプレゼンテーションを行なう予定だという。(DOE Hydrogen Program News Release, February 16, 2006)


3月1日号

連邦政策に科学が反映されているかを査定評価する全米科学アカデミーの委員会

全米科学アカデミー(National Academy of Sciences = NAS)が2月27日、連邦政府の政策決定者等が、日々の政策決定に地球温暖化効果をどれほど考慮しているかを判断するレビューを開始した。

このレビューは、地球温暖化に関する研究が、漁業管理、地域の水利用など、多様な政策分野にいかに取り入れられているかを判断することになる。気候変動科学プログラム(Climate Change Science Program = CCSP) のパネルは、政府の研究成果について、州や地方自治体や公共機関の高官にいかに情報提供するか、さらに、科学を政策決定に反映させる問題に他国政府がいかに対処しているかという項目をこのレビューに加えるよう提言している。

CCSPがもともとこの種の調査を求めたのは、環境保護庁(EPA)が不吉な結末を示唆する2001年報告書を発表した2年ほど後のことだった。2001年報告書は夏の高温化と長期化、冬の短期化と暖冬化、それによる海岸の浸食と洪水や旱魃の増加を予測するコンピュータモデルを引用していた。今回のレビューの最終報告書は2007年1月に予定されている。(Greenwire, 28 February 2006)

上院エネルギー・天然資源委員会、4月4日に地球温暖化サミットを開催予定

上院エネルギー・天然資源委員会のリーダーが、温室効果ガスの強制的なcap-and-trade(上限設定-取引)プログラムを創設する際に妨げとなる障壁を検討するため、4月4日に地球温暖化サミットを開催する予定であると発表した。この公開サミットは、地球温暖化という複雑な問題に対して各界の見解を収集することを目的としている。

上院エネルギー・天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)とJeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)は、懸案の具体的法案に対する討論とコンセンサス形成を助長するため、幾つかの重要問題と設計要素を提示した『市場に立脚した強制的温室効果ガス規制システムの設計要素(Design Elements of a Mandatory market-Based Greenhouse Gas Regulatory System)』という白書を2月2日に発表。この白書に対して一般からのコメントを3月13日まで受け付けている。上院スタッフによると、コメント提出者の数名を4月4日のサミットへ招聘する予定であるという。

白書の提示する、国家温室効果ガス政策案の検討にあたって重要な4要素は下記の通り:

1. 誰が規制対象となり、どこで規制するのか?

  • 米国経済全体としてのアプローチ、または、幾つかの経済部門に限定したアプローチのどちらが、公平で合理的な温室効果ガス(GHG)プログラムを策定するという目標に適っているか?
  • 管理面での簡略さとプログラムの有効性という面からみて、一連の規制活動の中で、GHG排出を最も効率的に規制出来る場所はどこか?

2. GHG排出権の無料配分によって、規制コストを軽減すべきか?排出権はオークションで配分すべきか?排出権を配分する場合のクライテリアは何か?

3. 米国の排出権取引システムを、カナダの大規模最終排出源(Canadian Large Final Emitter)システムや欧州連合排出権取引システムを始めとする他国のシステムとの間で取引可能なように設計するべきか?

  • リンクするベネフィットは、[リンクに付随する]潜在的な困難を上回るか?
  • リンクが望ましい場合、リンクするべき他国システムやリンク方法を決定するプロセスは何か?
  • リンクされたシステム間にはどのような調整が必要か?

4. 懸案の米国システムの重要要素の一つが 国際貿易パートナーや大規模GHG排出国に[米国システムに]匹敵する行動を奨励することであるとするならば、全米エネルギー政策委員会(National Commission on Energy Policy)の計画に盛られた設計概念を強制的な市場立脚型プログラムの一環として取り入れるべきか?

  • 米国の努力と他の先進国および途上国の努力を比較する上で、最も貴重なメトリクスは何か?
  • 他国の努力を評価するために使用すべきプロセスは何か?どの位の頻度で評価を行なうべきか?
  • 途上国の排出削減を奨励するために採用出来るインセンティブは他にもあるか?

(Environment & Energy Daily, February 23, 2006)


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