NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2006年4月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

4月13日号

カリフォルニア大学デービス校に新設されるエネルギー使用合理化優良センター

カリフォルニア大学デービス校はエネルギー使用合理化のイノベーションを推進するため、最新鋭の省エネ設計と省エネ建築を特徴とするエネルギー使用合理化センター(Energy Efficiency Center)を構内に新設する予定である。このセンターは、学界・産業界・投資界のリーダーを一同に集め、学際的な視野に立って技術開発・ビルディングの設計・投資等の問題に取り組むことになるという。

新設されるセンターは、カリフォルニア州クリーンエネルギー基金(California Clean Energy Fund = CalCEF)から100万ドルのグラントを受領するほか、Pacific Gas and Electric Corp.からも5ヵ年で50万ドルの献金を受けている。また、カリフォルニア大学デービス校も自ら、運転資金や研究資金、教授の時間や事務スペース提供等で130万ドルを拠出する見込みである。

新センターの所長となるAndrew Hargadon助教授によると、競争力維持にはエネルギーコストの効果的管理が益々重要となっているため、新センターでは、こうしたコストの軽減、および、エネルギー価格の不安定さに伴う競争面でのリスク管理で同州のビジネスを支援していく意向であるという。(US Davis News Release, April 12, 2006)

MITとハーバード医科大の研究チーム、前立腺癌治療として、より安全で効果的なナノ粒子薬物療法を開発

マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード医科大学の研究者が、マウスの前立腺癌の腫瘍を効率的に破壊できる新しいナノ粒子薬物療法を開発した。前立腺癌の治療には放射性物質の腫瘍直接注入や化学療法(chemotherapy)が効果的であるが、これらの治療方法には深刻な副作用が伴うため、MITとハーバード医科大学の研究チームは、副作用のない治療方法として、特定の癌細胞内に薬物を投与できるナノ粒子治療に着目したという。

同チームは先ず、前立腺制癌剤のドセタクセル(docetaxel)と米国食品医薬品局(FDA)認定済みのポリマーを混合し、内側に薬物を閉じ込めてポリマー球体を作成。この球体の外面にアプタマー(aptamer)と呼ばれるリボ核酸(RNA)の破片を化学的に付着させてから、RNAを前立腺癌細胞の表面構造に合致する形に折り曲げて、ナノ粒子を作成した。マウスの実験では、腫瘍をある大きさまで成長させ、ポリマー・ナノ粒子薬物、または、プラシーボ(塩水や薬物の入っていないポリマーナノ粒子)を一回限りこうした腫瘍に直接注射し、109日間マウスを観察したところ、プラシーボの組では殆ど全てのマウスが実験中に死んだのに対し、ナノ粒子薬物治療組の方は全マウスが生き残り、7匹の内の5匹では腫瘍が完全に消滅したという。

研究チームが新しいナノ粒子薬物の作成に使用した材料は既に、FDAが他の目的で認可している材料であるため、研究者等は新薬物療法の臨床実験が迅速に認可されることを期待している。この研究結果は今週発表された、全米科学アカデミー会報(Proceedings of National Academy of Sciences)に掲載されている。 (Technology Review, April 12, 2006)


4月11日号

よりパワフルな燃料電池を廉価に生産することを可能にする、新型の陽子交換膜

ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームが、燃料電池の製造コストを大幅に削減すると同時に、伝導率を向上させることが可能な新型の陽子交換膜(proton exchange membrane)を開発した。新型の陽子交換膜は交差結合した膜で、一度硬化すると水にも溶けないため、Dupont社製のNafion膜よりも多量の酸を含有可能であるという。酸の量が多いということは、陽子が自由に動き回れるということであり、性能の向上を意味することになる。

室温では固形のNafion膜とは違い、最初は液状の新型陽子交換膜は、パターンの刻まれた型に流し込むことで、その表面積を数倍に増大することが可能である。同研究チームのリーダーJoseph DeSimone博士によると、異なるパターンを使用することで膜の表面積を20倍から40倍にすることが可能であるという。出力密度のこうした改善がなされれば、現在よりも遥かに小型の燃料電池で自動車に十分なパワーを供給出来ることになる。DeSimone博士によると、2〜3年以内には新型陽子交換膜を使った燃料電池が生産される可能性があるという。(MIT Technology Review, April 5, 2006)

バイオテクノロジー産業協会、州政府のバイオサイエンス部門育成先導策を分析報告

バイオテクノロジー産業協会(Biotechnology Industry Organization = BIO)が、2004年に発表した報告書 『イノベーションの実験所:2004年州政府バイオサイエンス先導策(Laboratories of Innovation: State Bioscience Initiatives 2004)』のフォローアップとして、2006年4月に『米国のバイオサイエンス部門育成:2006年州政府バイオサイエンス先導策(Growing the Nation's Bioscience Sector: State Bioscience Initiatives in 2006)』という報告書を発表した。

BIOの依頼を受けてBattelle、SSTI、PMPコンサルティング社が作成した2006年報告書では、2004年報告書で確認されたバイオサイエンスの小部門 …(1)農原料と化学品;(2)薬品・薬剤;(3)医療機器や装置;(4)研究・実験・医療研究所… における各々のデータをアップデートし、成長傾向を調査し、雇用の集中する大都市を確認している。主な調査結果は下記の通り:

  • 米国50州とコロンビア特別区、および、プエルトリコを合わせたバイオサイエンス労働者は2004年に120万人。乗数効果を考慮すると、バイオサイエンス部門は更に580万の雇用に影響を与え、米国経済全体では710万の雇用に影響をもたらした。
  • 2001年から2004年まで米国全体の雇用は0.7%縮減したが、バイオサイエンス部門の雇用は1%以上増加。
  • バイオサイエンス労働者の3分の2は、医療機器や装置、および、研究・実験・医療研究所の部門での就業者であった。
  • 国内バイオサイエンス就業者の2004年の平均年俸は、民間部門平均より$26,000多い$65,775であった。
  • 13州とプエルトリコは、4つの小部門の内の少なくとも1小部門で大規模な雇用ベース(小部門別雇用者総数の5%以上)を持ち、カリフォルニア州とニューヨーク州は3つの小部門で大規模な雇用ベースを有する。
  • バイオサイエンス研究と必要基盤整備の支援に州政府が費やした投資は、全体で数十億ドルにのぼった。
  • これまでバイオサイエンス開発に投資していなかった、アラバマやモンタナ、ノースダコタやサウスダコタといった諸州も支援を開始している。
  • 各州や各地域はバイオサイエンスの経済的利益を勝ち取るため、自らの地域性 …アイオワ州のバイオ燃料、メイン州の海洋養殖、等… を重視している。
  • バイオサイエンス企業を支援する物理的な環境作りのため、州政府や全国各地のコミュニティは、大学の研究所や医療研究所の更なる拡充と活用に焦点をあてている。
  • 各州や各地域はリスクキャピタルの取得に引き続き苦心しており、エンジェル投資家を刺激する方法やシード基金創設に努力している。

2006年報告書は、州政府や地域政府が直面する今後の課題として下記をあげている:

  • 国立衛生研究所(NIH)の研究予算倍増が終わって連邦政府のバイオサイエンス研究開発費が横ばい状態にあるため、連邦予算の獲得で競争が激化する。
  • 州政府は基礎研究と臨床実験を結び付ける戦略を策定する必要性に直面する。
  • バイオサイエンスの多様な職種で教養の高い熟練労働者のニーズが激増する。

(SSTI Weekly Report, April 10, 2006)


4月10日号

Bodmanエネルギー長官、先進エネルギー・イニシアティブを支援する水素研究提案公募を予告

Samuel Bodmanエネルギー省(DOE)長官は、ブッシュ大統領が提案した輸入エネルギー資源依存からの脱却を目的とする先進エネルギー・イニシアティブ(Advanced Energy Initiative = AEI)の宣伝に余念がないが、4月6日にデトロイト市で開催された2006年自動車技術会世界大会に出席した折、DOEではAEIを支援する2つの大型公募を実施する予定であると発表した。

一つは、今月末に発表予定の、水素技術分野における新規イノベーションを支援する新公募で、予算は3ヵ年で5,250万ドル。公募は特に、DOEが[2004年2月に]発表した『水素経済の為の基礎研究ニーズ(Basic Research Needs for the Hydrogen Economy)』という報告書で確認された、水素の製造・貯蔵・使用にまたがる課題に焦点をあて、斬新な貯蔵用材料、触媒、膜の研究開発を奨励するものである。Bodman長官は、DOEと国立研究所、および、産業界と大学が提携して行う研究が2015年までに消費者の要求を満たすことに成功すれば、2020年までに水素燃料電池自動車の市場浸透が始まる可能性があると示唆している。

Bodman長官はまた、長期戦略である水素の研究と同時に、もっと短期的な技術であるE85 ガソリンで走行する車両の製造を自動車メーカーに求め、DOEではE85ガソリンの市販拡大を目的とする官民パートナーシップの形成でプロジェクト案を公募する意向であるとも発表した。(DOE News Release, April 7, 2006)

Conrad上院議員、『我が国の長期依存を打破するエネルギー法案(BOLDエネルギー法案)』を提出

Kent Conrad上院議員(民主党、ノースダコタ州)が4月6日に、再生可能燃料使用基準と奨励策を規定する『我が国の長期依存を打破するエネルギー法案(Breaking Our Long-term Dependence Energy Bill of 2006:BOLD Energy Act of 2006:上院第2571号議案)』を提出した。この法案は国内の代替エネルギー源、特に中西部の資源に着目したもので、コストは今後5ヵ年で400億ドルと推定されている。同法案の主な条項は下記の通り:

  • エタノール使用基準を2025年までに300億ガロンまで引き上げ
  • 2008年に2億5,000万ガロンというバイオディーゼル・代替ディーゼル使用基準を新設し、2015年までにこれを20億ガロンまで引き上げ
  • 石炭液化燃料技術の開発を支援するために5億ドルのグラントを創設
  • 風力エネルギー生産税控除を5年間延長
  • 燃費の良い自動車の購入者に最高2,500ドルのリベートを提供
  • フレキシブル燃料技術や先進技術を取り入れる自動車メーカーに35%の税額控除、または、退職者医療グラントの資格を供与
  • 石油回収の増進に二酸化炭素を利用する石油会社に税額控除を提供。

(Environment and Energy Daily, April 7, 2006)

イノベーション関連問題を検討する新たなシンクタンク

アメリカ経済に影響を与える諸問題に焦点を当てる新しい無党派のシンクタンクが先頃、首都ワシントンに開設された。情報技術イノベーション財団(Information Technology and Innovation Foundation)と呼ばれるこのシンクタンクは、アメリカのイノベーション、職場の生産性、その他のハイテク問題を重点的に扱う予定である。

1998年から今年3月まで進歩政策研究所(Progressive Policy Institute)の副所長を務めたRobert Atkinson氏がこの新組織の責任者を務める。4月初旬に行われたManufacturing and Technology Newsとのインタビューで、Atkinson氏は同組織の二大機能として、重大な政策についての討議で「限界に挑戦すること」、具体的で実行可能な提案を議会に行うこと、を挙げている。同組織が予定する最初の大型プロジェクトは、米国の研究開発税額控除制度の評価である。他国の政策を調査した上で、米国がこれらの税額控除制度をさらに効果的なものにする方法を検討する。

Joseph Lieberman上院議員(民主党、コネティカット州)、Orrin Hatch上院議員(共和党、ユタ州)、Adam Smith 下院議員(民主党、ワシントン州)、Fred Upton(共和党、ミネソタ州)が既に、同グループの支持を表明している。(Manufacturing and Technology News, April 4, 2006)


4月7日号

4州が、FutureGenプロジェクトで協力する地域同盟を結成中

オハイオ州、ペンシルバニア州、ケンタッキー州、ウェストバージニア州は、無公害石炭火力発電所であるFutureGenプロジェクトの誘致で、共同契約を交渉中であると伝えられている。オハイオ州大気質開発公社のMark Shanahan事務局長によると、この交渉はBob Taftオハイオ州知事(共和党)が近隣諸州に呼びかけて開始されたもので、275メガワット級FutureGen施設の開発で互いに協力することを目指しているという。

オハイオ州のFutureGenタスクフォースは州内の幾つかの用地を検討していたが、最終的には、プロジェクトに求められる地質学的条件とインフラ面での条件を考慮し、4月4日、メイグス郡とトゥスカラワス郡の炭田2カ所を同州のFutureGenプロジェクト最終候補地として選定している。また、ウェストバージニア州とケンタッキー州も独自の候補地をエネルギー省に提案するものと見られている。

FutureGen の公募では、複数州の共同申請を認めていないものの、複数州が発電所の建設等で互いを支援する協定を締結することを阻む規定は何もない。FutureGen発電所の建設から想定される地域のメリットがこのような州間の協力を推進したと思われる。(Platts Coal Trader, April 6, 2006)

米国電気事業大手100社の大気汚染排出を比較した報告書

天然資源防衛委員会(Natural Resources Defense Council = NRDC)、環境投資連合のCeres、および、公益事業グループ(Public Service Enterprise Group)が、『米国電気事業大手100社の大気排出量比較評価:2004年(Benchmarking Air Emissions of the 100 Largest Electric Power Producers in the United States - 2004)』という報告書を発表した。

同報告書で取り上げた100社は全体で、米国各地に約2,000の発電所を所有し、米国総電力の88%を発電し、電力業界の報告した総排出量の89%を放出している。報告書では、発電所から放出される二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、水銀、および、二酸化炭素(CO2)の4種の汚染物質に焦点をあて、各汚染物質毎にその排出率(キロワットの発電で生じる排出量)に基づいて各社をランク付けている。主な調査結果は下記の通り:

  • SO2排出量は1990年から2004年までの間に44%、NOx排出量は36%減少。この減少は1990年に成立したクリーンエア修正法に依るところが大きい。
  • 連邦規制を受けていないCO2の排出量は1990年レベルよりも27%増加。
  • 2004年に100社が放出した排出量は、米国全体のSO2排出の69%、NOx排出の22%、CO2排出の39%、固定汚染源からの水銀排出の33%にあたる。
  • 発電用に消費された石炭の35%が、SO2排出を低減するスクラバー装備ユニットで燃焼された。一方、スクラバーのないユニットの多くは低硫黄炭を使用していた。
  • 水銀排出抑制が義務づけられていないため、水銀除去用の汚染制御装置を装備している化石燃料発電所は一つもなかった。
  • 2004年の大手100社の発電量は米国総電力の88%。燃料別では、原子力発電の97%、石炭火力発電の93%、水力発電の87%、天然ガス発電の71%、そして、水力以外の再生可能資源利用発電の29%。
  • 汚染物質の排出は、ひと握りの電気事業者に集中する傾向が見られた。具体的には、(1)American Electric Power、Southern Company、テネシー川流域開発公社(TVA)の3大電気事業者が、電力業界全体のSO2排出の24%、NOx排出の21%、CO2排出の19%、水銀排出の22%を放出;(2)大手3社がSO2排出の25%を、11社が50%を放出;(3)5社がNOx排出の25%、16社が50%を放出;(4)5社が水銀排出の25%、15社が50%を放出;(5)7社がCO2排出の25%、19社が50%を放出。
  • 電気事業者の排出量と排出率は、発電所の規模・使用燃料・汚染抑制装置によって大きく異なる。例としては、(1)American Electric PowerはPG&Eの7倍の電力を発電したが、CO2排出は109倍;(2)Southern Companyの発電量はEntergy社より約58%多かったが、CO2排出は400倍であった。

(NRDC Press Release, April 5, 2006)


4月5日号

二酸化炭素のリスク責任に関する論争で、複雑化しそうなFutureGen施設の立地

FutureGen発電施設の立地努力が、産官(エネルギー省)同盟と州政府との間の論争によって複雑化する可能性がでてきた。争点は、今年2月中旬に発表されたFutureGenプロジェクトの提案依頼書(request for proposal = RFP)草稿に含まれていた、立地場所を提供する州政府や他の機関は「注入される二酸化炭素(CO2)の所有責任を負い、FutureGen Industrial AllianceとそのメンバーをCO2関連のあらゆる責任から免除することに合意する」という文言。

州政府筋からは、この文言は、責任所在で合意できなかったエネルギー省(DOE)とFutureGen Industrial Allianceが、CO2に伴なう環境リスクを州政府に押しつけるものに他ならないという批判や、多くの州政府は州法その他でこうしたリスクを負うことを禁じられているという指摘が出されていた。DOEはこうした州政府の批判に応え、法律で禁じられていない限りは州政府や他の機関が責任を負うべしというRFP最終版を発行したが、これでは問題の最終的な解決にはならないという批判が未だに絶えない。

CO2責任について問題を抱えるFutureGenプロジェクトではあるが、最高9つの州が立地場所の入札を行なうものと見込まれている。入札受付は5月4日までで、用地選抜候補リストが夏の終りに発表され、2007年9月にはFutureGenの立地場所が発表される予定である。(Inside EPA, March 31, 2006; Greenwire, March 31, 2006)

Gregoireワシントン州知事、再生可能燃料使用を義務付ける法案に署名

Chris Gregoireワシントン州知事(民主党)の署名により、同州で販売されるディーゼル燃料の2%をバイオディーゼルとし、ガソリンの2%をエタノールとする「再生可能燃料使用基準法案(Renewable Fuels Standard bill = SB 6508)」が法制化された。この2%使用義務は2008年11月1日、または、州内生産が2%の使用義務要件を満たし得る時期の、いずれか早い方に発効となる。同法令はまた、ワシントン州農務長官に使用義務履行に関して助言を行うバイオ燃料諮問委員会(Biofuel Advisory Committee)を新設するほか、州営の車両やフェリーに2009年からバイオディーゼル20%混合燃料(B20)の使用を義務づけることになる。

バイオディーゼル産業組合である全米バイオディーゼル評議会(National Biodiesel Board = NBB)では、エネルギー情報局(Energy Information Administration)がワシントン州における2004年のディーゼル燃料消費量を10億ガロンと報告していることから、同法施行の初年には2,000万ガロンのバイオディーゼル需要が期待されると推定している。ワシントン州のバイオディーゼル生産業者は現時点ではSeattle Biodiesel(年産能力500万ガロン)の1社であるが、カリフォルニア州に本拠を置くBaker Commoditiesがワシントン州タコマ市に年産能力1,000万ガロンの施設を2007年6月にオープンし、更には、Washington Biodieselという会社も同州ウォーデン市に3,500万ガロンの施設を2007年9月までに建設する予定であるという。(Office of the Governor News Release, March 30, 2006; NBB News Release, March 30, 2006)

メリーランド州議会、石炭火力発電所に汚染削減を義務付ける法案を圧倒的多数で可決

メリーランド州議会は3月31日に、同州の石炭火力発電所に大気汚染の削減を義務付け、中部大西洋岸と北東部の7州において発電所からの二酸化炭素(CO2)排出を削減することになっている地域別温室効果ガス削減先導策(Regional Greenhouse Gas Initiative = RGGI)への参加を州知事に義務付ける「健全な大気法案(Healthy Air Act: S.B. 154)」を可決した。同法案はメリーランド州で最も汚い6つの石炭火力発電所に下記を義務付けている:

  • 6発電所からの窒素酸化物(NOx)排出量の合計を、2009年は年間20,216トン、2012年は年間16,667トンに制限する。
  • 6発電所からの二酸化硫黄(SO2)排出量の合計を、2010年は年間48,618トン、2013年は年間37,235トンに制限する。
  • 6発電所は各々の発電所から放出される水銀を2010年には最低80%を回収し、2013年には最低90%を回収する。
  • 6発電所を所有・運転・管理する者は、NOx、SO2、水銀、及び、CO2の年間排出量を同州の環境局、天然資源局、公益事業委員会に毎年報告する。第一回報告は2007年12月1日とする。

同法案は、Robert Ehrlich州知事(共和党)が提案したメリーランド州クリーン発電規制(Maryland Clean Power Rule)とほぼ同様の内容だが、一番大きな違いは、Ehrlich知事の提案がCO2規制を含まない点である。過去にCO2排出削減規制への反対を表明してきたEhrlich知事だが、同法案は両党の幅広い支持を受けているため、法案に拒否権を行使する可能性は極めて低いと思われる。[Erhlich州知事は4月6日、同法案に署名した。](Annapolic Capital, April 1, 2006; Greenwire, April 3, 2006)


4月3日号

新エネルギー政策を準備中と噂されるホワイトハウス行政管理予算局

内務省John Trezise予算課長によると、ブッシュ政権は、昨年のエネルギー法案審議で未解決に終わった問題を取り上げるため、新たなエネルギー政策案を準備中であるという。

内務省の国土管理局(Bureau of Land Management = BLM)は昨年7月に石油・天然ガスの掘削認可申請費を4,000ドルに引き上げることを提案したが、Orrin Hatch上院議員(共和党、ユタ州)による認可申請費引き上げ10年間阻止という修正法案が土壇場で2005年包括エネルギー政策法に盛り込まれため、内務省は年間2,000万ドルの追加収入の道を断たれてしまった。

ブッシュ政権の2007年度内務省予算がこの条項の撤廃を提案しており、内務省高官等はホワイトハウス行政管理予算局(Office of Management and Budget = OMB)と同問題について話し合っているという。Trezise予算課長によると、OMBは新エネルギー提案の策定で他省庁とも協力しているということだが、エネルギー省(DOE)のCraig Stevens報道官は、そうした討議は行なわれていないと発言している。(Environment and Energy Daily, March 31, 2006)

Gutierrez商務長官、新しいナノテクノロジーセンターの立ち上げを発表

Carlos Gutierrez商務長官は3月20日に、新しい最先端ナノテクノロジー共同研究センターの立ち上げを発表した。国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)に新設された先端計量研究所(Advanced Measurement Laboratory)内に設置されるナノスケール科学技術センター(Center for Nanoscale Science and Technology = CNST)の第一目的は、米国産業界がナノテクの多大なポテンシャルを実現・実用化させる上で必要となる技術的基礎作りをすることであるという。

CNSTの特徴は、物理学・化学・電気機械工学・生物学・コンピューターサイエンス等の多分野の専門研究スタッフを抱え、更には、プロトタイプのナノ装置やナノ材料の作製・実験・特性化を行なう為の最新式ツールを装備したナノ操作施設(Nanofabrication Facility = Nanofab)を収容することで、これらの計器は提案手続きを踏むことでコラボレーター(協力者)や外部ユーザーにも解放されることになる。提携する研究者はまた、CNSTを通じて、Nanofab以外のNISTの膨大な先進計量能力も活用することが可能となる。

ブッシュ大統領は米国競争力イニシアティブ(American Competitiveness Initiative)の一環として、2007年度にNISTのナノテクノロジー研究費を2,000万ドル増額することを提案しているが、この増額の一部がCNSTのリサーチやサービスの立ち上げ作業加速化のために使用されることになる。(NIST News Release, March 20, 2006)


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