NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2006年7月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

7月31日号

ウッドロー・ウィルソン国際センター、ナノテク・リスク研究の新戦略を提言する報告書を発表

ウッドロー・ウィルソン国際センター(Woodrow Wilson International Center)の新興ナノテクノロジー・プロジェクト(Project on Energing Nanotechnologies)は7月19日、現在の米国政府ナノテク・リスク研究対応に大きな変更を求める、『ナノテクノロジー:リスクに取り組むための研究戦略(Nanotechnology: A Research Strategy for Addressing Risk)』という報告書を発表した。

2005年には推定320億ドルのナノテクノロジー利用製品が販売されたものの、ナノテクノロジー・イノベーションの商業化推進は、環境・健康・安全(environment, health and safety = EHS)面でのリスクを理解・管理する研究なくしてはありえないという。現在EHSの研究が行われているにも拘わらず、ナノテク・リスク評価の分野には深刻な知識のギャップが存在しており、このギャップを埋めるためには的を絞った(targeted)戦略的研究が必要であるとして、同報告書の筆者Andrew Maynard博士は下記の7事項を提言している。

  • 連邦政府には、ナノテクノロジーがもたらし得るリスクを体系的に調査するトップダウン型の包括的研究枠組みが必要である。ナノテク・リスク研究は、EHS問題の研究・監視という明白な使命を持った連邦省庁によって実施されるべきである。
  • リスク研究のリード機関 …環境保護庁(EPA)、国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health)、国立衛生研究所(NIH)、国立標準規格技術研究所(NIST)… が、非常に重要な知識を確立するというのであれば、ナノテク・リスクだけに的を絞った研究に向こう2年間で最低1億ドルを投入する必要がある。
  • ナノテク・リスク研究は向こう2年間、商品化された、または、商業化間近のナノテクノロジーの安全性を保証することに焦点を当てるべきである。最優先事項は、@ナノ材料の被ばくと環境放出の確認および測定;Aナノ材料の毒性評価;B人造ナノ材料の放出抑制および人造ナノ材料への被ばく抑制;Cナノ材料を安全に取り扱う「ベストプラクティス」の策定、等。
  • 政府の研究予算にてこ入れするため、産官合同研究資金を可能にするメカニズムを構築する。
  • 米国は、他諸国や経済地域と研究活動を調整し、コストをシェアし、情報を交換する方法を検討すべきである。
  • 戦略的研究アジェンダの設定・実施権限をもつ省庁横断型の監視グループを新設するべきである。
  • 将来の研究ニーズを確認し、戦略的研究枠組みにそれらを統合する方法について助言し、戦略的研究目標達成に向けた進捗状況を評価するため、独立機関による調査研究を確立すべきである。

(Woodrow Wilson International Center News Release, July 19, 2006)

ナノテクノロジー研究戦略を準備中と伝えられるホワイトハウス

行政府情報筋によると、ホワイトハウスは、人造ナノ材料(engineered nanomaterial)のもたらす危害を調べるナノテクノロジー研究戦略を2ヵ月以内に発表する予定であるという。ナノテクの商業化推進には、人体や環境へのリスクに対する国民の不安を政府の指針や言質によって鎮める必要があると主張してきた産業界にとって、ホワイトハウスの研究戦略はナノテク商業化を助長する上で大きな一歩となる可能性がある。

行政府情報筋によると、ホワイトハウスの研究戦略は、下記の主要6分野において研究の優先順位を決定するよう環境保護庁(EPA)他の省庁に指示することになるという:

  • 人造ナノ材料の特性を明らかにする方法
  • ナノ材料への被ばくを測定する適切な方法
  • 人の健康に対する脅威
  • 環境に危害を及ぼす可能性
  • ナノテク廃物に伴なう危険に焦点をあてた「ライフサイクル」評価
  • 職場の被ばく量制限慣行といった、リスク管理アプローチ

ホワイトハウスは更に、今後の調査研究が重複することのないように研究の割当てを省庁間協力で行なうほか、今日までに実施されたナノテク・リスク関係研究の目録化をEPAや農務省、商務省や運輸省、エネルギー省(DOE)や国防省を始めとする24程の連邦政府機関に要請するものと伝えられている。

一方、組織だったナノテク・リスク研究戦略の必要性をここ数年提唱してきたEPAや学界、環境保護者や産業界幹部等の中には、今回のホワイトハウスの努力を遅すぎたと指摘する者もいる。(Inside Green Business, July 27, 2006; Inside EPA, July 28, 2006)


7月27日号

FutureGen Industrial Alliance, FutureGen発電所の最終候補地を発表

FutureGen Industrial Allianceは7月25日に、7州12ヶ所の候補地の中から、イリノイ州のマツーンとイリノイ州のタスコラ、および、テキサス州のジューエットと同じくテキサス州のオデッサの4ヶ所をFutureGen発電所の最終候補地に選定したと発表した。

用地選定チームは、エネルギー省(DOE)、技術専門家、バッテル社、その他利害関係者から提供された情報を考慮し、ピアレビューを行って約100事項のクライテリア …候補地の場所や規模や地形;送電網や水資源へのアクセス;道路へのアクセス;鉄道や荷船までの距離;二酸化炭素(CO2)隔離に適した地質、等… を策定。今年5月には現地視察を行い、同クライテリアに基づいて12件の応募提案の綿密な査定評価に入っていた。最終候補地の4ヶ所には下記のような長所があるという。

  • マツーン(イリノイ州) … 水源に近く、CO2注入サイトの上に位置するため、CO2を輸送するパイプラインの建設が不要である。
  • タスコラ(イリノイ州) … 3本の鉄道と重工業プラントに近い。
  • ジューエット(テキサス州) … 工業地域に位置し、周囲を400エーカーの平地で囲まれている。
  • オデッサ(テキサス州) … CO2貯蔵に理想的な、厚い砂岩層がある。

DOEでは今後、この最終候補地4ヶ所を環境影響査定プロセスにかけて、環境面でも満足できる用地を確認し、2007年9月にはFutureGen用地に関する最終決定を行う予定であるという。用地提案評価の結果をまとめた報告書はhttp://www.fossil.energy.gov/programs/powersystems/futuregen/fg_proposal_evaluation_report.pdfで入手可能。(DOE Fossil Energy Techline, July 25, 2006; Greenwire, July 25, 2006)

国立標準規格技術研究所、屋根型太陽光発電システムの性能データ収集開始

国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)の建築・火災研究所(Building and Fire Research Laboratory)が、住宅および商業用太陽光発電システムの性能実験を行うため、屋根型太陽光発電テスト施設(Roof Photovoltaic Test Facility)を新設した。NISTは15ヶ月にわたって住宅用の傾斜屋根向けに設計された7種の太陽光発電装置と商業ビル用の平屋根向けに設計された2種の装置の電気・熱性能をモニターし、収集したデータを、屋根型太陽光発電システムの発電量を予測するコンピュータ・シミュレーション・プログラムのアルゴリズム改良に利用する予定であるという。

今回のテストでは、単結晶、多結晶、および、アモルファスシリコンの3種の太陽光発電技術に分類される9種の異なる …製造工程や材質や設計が異なる… システムを使用し、各システムの電流・電圧・出力のデータを1分間に4回収集するほか、周囲温度や風速、試験材料(test specimen)の温度も測定する予定である。NISTは、15ヶ月間の調査終了に先立って、この実験の中間報告を発表する可能性もあるという。(NIST Techbeat, June 22, 2006)

カリフォルニア州とイリノイ州、州知事権限により胎性幹細胞研究へ資金供与

ブッシュ大統領は米国議会(上院および下院)が可決した胚性幹細胞研究への連邦政府助成拡大法案に大統領拒否権を行使したが、これに反応して、一部の州は胚性幹細胞研究資金の提供に踏み切った。

Arnold Schwarzenegger カリフォルニア州知事(共和党)は、同州の中心的な胚性幹細胞研究機関であるカリフォルニア再生医療研究所(California Institute for Regenerative Medicine = CIRM)に対する最高1億5,000万ドルの融資を命じた。CIRMは、同州投票者の59%の賛成票をもって承認された住民投票事項71号(向こう10年間胚性幹細胞研究を助成する目的で30億ドルの公債発行を許可する内容)によって2004年終盤に設立されたが、納税者団体や宗教団体の訴訟により、CIRMの資金受領は阻まれてきた。同州知事が今回命じたCIRMへの資金拠出は、発行許可済みながら未発行の公債に同州財務長官が出資することを許可するという、住民投票事項71号下の小規定を根拠にして許可された。

同じく7月20日、Rod Blagojevichイリノイ州知事(民主党)は州知事の執行権を利用して、今年度の州政府予算から500万ドルを胚性幹細胞研究に充当するよう命じた。Blagojevich州知事は今年始めに、胚性幹細胞研究に向こう5年間で1億ドルの資金を提供する内容の法案を提案したが、これは州議会で採択されなかった経緯がある。今回発表された研究の予算は、州厚生省(Department of Healthcare and Family Services)の一般管理予算から充当される見込みでである。(Los Angeles Times, July 21, 2006; Chicago Sun-Times, July 20, 2006)


7月26日号

上院歳出委員会、先端技術計画(ATP)廃止を盛り込んだ2007年度歳出予算法案を可決

ブッシュ政権による再三の廃止要求にも拘わらず、国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and Technology = NIST)(注:1)の先端技術計画(Advanced Technology Program = ATP)は上院の支持によってこれまで廃止の窮地を切り抜けてきたが、このATPを廃止する条項(注:2)を盛り込んだ「2007年度科学・国務省・司法省・商務省・その他関連機関の歳出予算法案(以下、「上院CJS法案」)」が7月13日に、上院歳出委員会で可決された。

これにより、ATPの継続は、@上院本会議が上院CJS法案を審議する(9月開催が見込まれている)際に同予算を復活させる修正法案を可決させるか、または、A上下両院協議会の際に両院協議会のCJS妥協法案にATP予算を挿入する、といういずれかの手段にかかってくることになり、ATP支持者等はかつてない難局に直面している。ATP支持者はまた、11月の中間選挙で民主党が上院か下院の多数党を勝ち取る可能性にも期待をかけているが、民主党が多数党となったとしても、議会がATPを復活させるものか否かは不明である。(SSTI Weekly Digest, July 24, 2006; AAAS Funding Update on R&D in Commerce FY2007, July 25, 2006)

下院本会議、E-85燃料補給インフラの整備を目的とする法案を可決

下院本会議が7月24日、国内E-85燃料補給インフラの大幅な拡充を目的とする下院第5534号議案(To establish a grant program whereby moneys collected from violations of the corporate average fuel economy program are used to expand infrastructure necessary to increase the availability of alternative fuels)を355対9で可決した。

Mike Rogers下院議員(共和党、ミシガン州)提出のこの法案は、企業平均燃費(CAFE)プログラムの違反で徴収した罰金(注:3)を利用して、E-85ポンプ設置を推進する助成プログラムを設立するというもので、エネルギー省(DOE)のクリーン・シティ計画が助成プログラムを管理し、個人のガソリンスタンド経営者に最高3万ドルを給付することになる。同法案は下院では審議が順調に進んだものの、上院では類似法案の提出さえ行なわれていない(注:4)ため、上院が今年中に同法案を可決するものかどうか明らかでない。(Environment & Energy Daily, July 26, 2006)

 

注釈:

1:2007年度NIST予算は、ブッシュ大統領要求額を1億8,300万ドル、下院可決予算額を1億3,700万ドル上回る7億6,400万ドル。上院CJS法案では、大統領が米国競争力イニシアティブの一環として要求したNISTのコア研究予算を、下院案同様に全額(NISTの科学・技術予算として2006年度レベル比21.3%増の3億8,200万ドル、建設予算として2006年度レベル比40.9%増の6,800万ドル)を認可している。

2:「(上院歳出)委員会はATP活動の段階的廃止を認める。2007年度にはATPに新規予算を配分しないが、委員会は、ATP終了の必要コストを全額カバーするに十分な予算が2006年度予算で計上されているものと考える。」という条文。

3:過去10年間に徴収したCAFEプログラム違反の罰金は、年間平均約2,000万ドル。

4:Barak Obama上院議員(民主党、イリノイ州)は今年5月23日に、石油会社に代替燃料ポンプ設置への投資を義務付ける「長期的石油利用の削減を目指す将来投資法案(上院第2984号議案)」を提出したが、これは、大手石油会社に収益の最低1%をE-85その他の代替燃料用ポンプ設置に投資するよう義務付けるもので、個人のガソリンスタンド経営者を対象としたものではない。上院第2984号議案の詳細は、6月1日号のNEDO Washington Daily Reportを参照されたし。


7月21日号

Obama上院議員、Lugar上院議員他の超党派グループ、『2006年燃費改正法案』を提出

Barack Obama上院議員(民主党、イリノイ州)、Richard Lugar上院議員(共和党、インディアナ州)を始めとする超党派上院議員8名(注:1)が7月18日、米国のガソリン消費を2028年までに約5,000億ガロン削減して、海外原油への依存度を大幅に削減することを目的とする『2006年燃費改正法案(Fuel Economy Reform Act of 2006:上院第3694号議案)』を提案した。

米国議会における乗用車の企業平均燃費(CAFE)基準引き上げ審議はここ数年行き詰まり状態にあったが、今年は、ブッシュ政権が乗用車CAFE見直しの権限を国家高速道路交通安全局(NHTSA)に付与するよう議会に要請したこともあり、議会での動きがこれまでよりも活発になっている。今回発表された『2006年燃費改正法案』は、ブッシュ政権とCAFE基準引き上げを求めるリベラル派議員との中道策を探ったものではあるが、保守派とリベラル派の双方から可決に必要な票数を集めることが出来るかどうかは今のところ明らかでない。

同法案の主要条項は下記の通り:

  • NHTSAは、2009年型車から燃費基準を年率最低4%(ガロンあたり約1マイル)引き上げる。年率4%の引き上げを実施する限り、NHTSAは、自動車(同法案では、乗用車という言葉を使わず、車両総重量1万ポンド以下の自動車(automobile)を対象としている)のサイズや重量といった属性に基づいた車種別のCAFE基準を設定できるものとする。
  • 年率4%の燃費引き上げが @技術的に達成不可能、A安全性の面で危険、または、Bコスト面で非効率、であることを正当化出来る場合に限り、NITSAは年率4%以下の燃費引き上げ率を設定することが出来る。
  • 税額控除の対象となるハイブリッド自動車の販売台数に対する制限(自動車メーカーあたり6万台)を廃止する。
  • 国内メーカーによる先進技術自動車(ハイブリッド車やE-85自動車、等)の開発を助長するため、部品工場や組立工場の改造に優遇税制を提供する。
  • 年率4%という燃費引き上げは先ず自動車だけに適用され、軽トラックに関しては2012年まで現行のCAFE基準を維持する。2013年型車以降は、軽トラックにも年率4%の燃費引き上げを適用する。

法案提案者等は、上院第3694号議案がもたらす効果として下記を挙げている:

  • 年率4%という燃費基準引き上げが発効されて10年間実施されれば、石油の一日の消費量が130万バレル、ガソリンの一年の消費量が200億ガロン減少する。
  • ガソリン価格を1ガロンあたり2.50ドルと仮定すると、消費者は2018年だけで500億ドルを節約できる。
  • 2028年までに、米国民はガソリン消費を総計で5,490億ガロン節減し、地球温暖化の原因である汚染を60億9,400万トン(二酸化炭素換算)削減する。

上院第3694号議案の提案者等は同法案を、上院本会議で今月中の審議が予想されている連邦管轄大陸棚(OCS)掘削法案への修正法案として提出する可能性があるほか、このアプローチがうまく行かない場合には、上院指導層が今年末に策定するであろう包括エネルギー法案に条項として盛り込む可能性もあると見られている。(Senator Richard Lugar Press Release, July 19, 2006; Environment and Energy Daily, July 20, 2006)

 

注釈:

1:他6名は、Joseph Biden上院議員(民主党、デラウエア州)、Gordon Smith上院議員(共和党、オレゴン州)、Jeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州)、Tom Harkin上院議員(民主党、アイオワ州)、Norm coleman上院議員(共和党、ミネソタ州)、Dick Durbin上院議員(民主党、イリノイ州)。


7月19日号

カナダ農務・農産食品大臣、バイオ燃料生産農家への助成計画を発表

Chuck Strahlカナダ農務・農産食品省(Agriculture and Agri-Food Canada = AAFC)大臣は、バイオ燃料増産の恩恵にあずかる機会を農耕従事者や農村に提供するイニシアティブに、「栽培農家の為のバイオ燃料イニシアティブ(Biofuels Opportunities for Producers Initiative = BOPI)」で1,000万ドル、「共同組合開発イニシアティブ(Co-Operative Development Initiative = CDI)」で100万ドルを拠出する予定であると発表した。カナダ政府は、2010年までに輸送燃料に占める再生可能燃料の比率を5%にするという国家目標にコミットしている。このイニシアティブは、カナダ政府の目標達成の一環として実施されることになる。

BOPIからの助成額はプロジェクト1件あたり最高30万ドルで、申請者が企業の場合にはプロジェクト総費用の最低25%を自己負担することが義務付けられる。2006−2007年度に利用可能となる資金は、下記の重要分野において栽培農家を支援するために使用される:

  • 健全なビジネス案件策定を支援する技術・財務・経営計画アドバイザーの雇用
  • バイオ燃料生産キャパシティの構築や拡大を支援するフィージビリテイ他の研究実施
  • 商業化前のバイオ燃料関連研究の実施
  • ビジネスチャンスの確認、および、バイオ燃料キャパシティ構築に対する産業界の関心喚起に必要となる情報の収集

また、BOPIを補足するため、共同組合創設や研究実施の援助を目的とする既存CDIに2006−2007年度追加予算として100万ドルが投資されるが、CDIではこの追加資金を使って共同組合部門と提携し、バイオ燃料等の付加的好機への参加方法として共同組合モデルの利用を検討している農耕従事者やコミュニティに専門的な支援を提供していく予定である。(AAFC News Release, July 17, 2006)

環境保護庁、2006年型軽自動車の燃費に関する報告書を発表

環境保護庁(EPA)が自動車燃費に関する年次報告書 『軽自動車技術と燃費動向:1975年〜2006年(Light-Duty Automotive Technology and Fuel Economy Trends: 1975 through 2006)』を発表した。同報告書によると、2006年型乗用車の推定平均燃費は1ガロンあたり24.6マイル、軽トラックの平均燃費は18.4マイル、軽自動車全体(乗用車、バン、スポーツ多目的車、ピックアップトラック)では1ガロンあたり21.0マイルであるという。この平均燃費は昨年と同値で、1987年から1988年に達成した最善燃費22.1マイルと比較すると、約5%の低下となる。報告書は今回の主要な調査結果として下記をあげている:

  • 軽自動車全体の平均燃費が数年間にわたり比較的一定している一方、軽トラックの燃費はここ2年間僅かながらも向上している。
  • 軽トラック(バン、スポーツ多目的車、ピックアプトラック)の市場シェアは2002年以来ほぼ不変で、米国の軽自動車売り上げの約半分。
  • 新型車両は平均重量が重くなり、馬力が増大し、加速性能も改善されているが、技術革新が適用された結果、平均燃費は依然として変わっていない。
  • 自動車メーカー別の平均燃費は、1987年には1ガロンあたりで6〜8マイルもの差が見られたが、2006年型車ではこの格差は3〜4マイルに狭まっている。

(EPA News Release, July 17, 2006; EPA Report, July 2006)

米国の2006年上半期の気温は観測史上の最高気温

国立気候データ・センター(National Climatic Data Center)が7月14日、米国の2006年上半期の気温は過去最高を記録したと報告した。米国本土の1月から6月までの平均気温は華氏51.8度で20世紀の平均値よりも3.4 度高かったばかりか、この期間中の気温が平均気温よりも低かった州は1つとしてなく、テキサス州、カンザス州、オクラホマ州、ネブラスカ州、ミズーリ州ではこれまでの記録を更新する暖かさになったという。

また、北東部諸州の大半が6月末に大雨や洪水を経験したのに対し、それ以外の地域では降雨量も降雪量も平均以下であり、6月の時点では米国本土(48州)の45%が中度から高度の旱魃状態にある。米国省庁間火災対策局(National Interagency Fire Center)によると、この乾燥状態で米国各地で5万件以上の山火事が発生し、48州で既に300万エーカー以上を焼き尽くしたという。世界全体では、記録管理の開始された1880年以来6番めに温かい上半期となった。(Associated Press, July 14, 2006)


7月18日号

石油産業団体、州政府による独自のバイオ燃料規制導入はガソリン流通へ支障をもたらすと警告

米国石油協会(American Petroleum Institute)、米国独立ガソリン販売者会(SIGMA)、米国石油精製業協会(National Petroleum Refiners Association)といった石油産業団体は、「2005年エネルギー政策法」の定める再生可能燃料基準(renewable fuels standard = RFS)が全米の使用水準を確立し、それを達成するための柔軟性 …バイオ燃料の州間運送、等… を認めるものであったため、当初はこれを支持していたが、連邦RFSを上回るエタノール規制を導入する州が増加(注:1)するにつれ、石油産業団体は、州政府の導入義務は連邦政府の再生可能燃料努力を台無しにするものであり、柔軟性が失われて流通に大きな問題を引き起こすことになると警鐘を鳴らしている。

一方、エタノール支持者等は、州政府のエタノール使用義務規制は民間部門に過大な新規定を負わすことなくエタノール使用を拡大するという趣旨で定められているとして、産業界の見解に異議を唱えている。エタノール支持者等は、「2005年エネルギー政策法」に盛り込まれた条項 …2012年までにエタノール年間使用量を75億ガロンまで引き上げ… は全米自動車用燃料供給の5%未満でしかなく、国家目標として不十分であるということが問題なのだと主張している。アイオワ再生可能燃料協会のMonte Shaw専務理事によると、連邦政府がリーダーシップを発揮しないのであれば、州政府が独自の行動・活動を進める傾向は今後も続くであろうという。(Greenwire, July 14, 2006)

ラックスリサーチ社、『ナノテクの環境・健康・安全リスクへの対応』という新報告書を発表

ラックスリサーチ(Lux Research)社が、『ナノテクの環境・健康・安全リスクへの対応(Taking Action on Nanotech Environmental, Health, and Safety Risks)』という報告書を発表した。ラックスリサーチ社は同報告書で、ナノ材料の環境・健康・安全(EHS)リスクに関する論議がこの1年で活発化し、幾つかの政府機関が同問題の調査・規制の検討を行なっていることを考慮すると、ナノテクに意欲的な企業はナノ材料のEHSリスクを管理する総合プランを直ちに策定する必要があると指摘している。

ラックスリサーチ社では同報告書の作成にあたり、(1)ナノテクEHS問題の現状を見極め、この問題が提起する課題への対応戦略策定で企業を支援するため、産業界・学界・非政府団体(NGO)の専門家17名、および、ナノ製品規制権限を有する政府機関の高官10名と対談したほか;(2)EHS問題がナノテク商業化に及ぼす影響を理解し、最善慣行を確認するため、スタートアップ会社の最高経営責任者5名、および、一流企業の代表者10名と徹底的な議論を行なっている。同調査により、ナノテクEHS問題で企業が直視すべき重要局面として明らかになったのは以下の3点である:

  • ナノ材料の真のリスク … これは、@データ不足;A材料の複雑さ;B測定の困難さ;C有害性評価枠組の不十分さが原因で、深刻な課題を提示している。人造ナノ材料の真のリスクを軽減するため、企業には以下を実施するプロセス計画(process plan)が必要である:
    • 自社で使用するナノ材料全ての在庫を作成
    • ナノ材料の用途、および、ナノ材料使用製品のライフサイクルで発生する可能性のある被ばくの精密な記載
    • 各用途のリスクを、被ばくや有害性に関する現在の知識に基づいて明記
    • 被ばく管理や追加試験および製品再設計によるリスクの軽減
  • 知覚リスク(perceptual risk)… 一般市民のナノテク観は現在のところ、知識不足にも拘わらず肯定的であるが、マスコミ報道やNGOの扇動は、企業がもはやこれを放置出来なくなっていることを意味している。安全性研究を共有し、信頼出来るパートナーと協力し、ナノテクの潜在的な利益を説明するコミュニケーション戦略が必要である。
  • EHS規制 … EHS規制は様々な用途のナノ材料を管理することになるものの、関連法の適用方法がはっきりと決まっておらず、環境保護庁(EPA)他の機関は作業に突入したところである。こうした規制がナノ材料商業化計画を阻害することのないよう、EPA他の省庁が既存規制をどのように採用するのかを見極めていく必要がある。

ラックスリサーチ社は、複雑な製造技術が「Total Quality」運動を推進したように、ナノテクに特有なEHS問題が新たな製品開発枠組みを推進することになるだろうと結論づけている。企業には、科学者が使用を検討する材料の一つ一つを大規模な毒性テストにかける余裕がない一方、製品発表の直前までEHS問題対応を待つという余裕もない。ラックスリサーチ社のアナリストであるMichael Holman博士は、「EHS問題を管理する段階的アプローチは、リスク削減作業を製品開発プロセスの各段階に整合させたものとすべきである」と指摘している。(Lux Research Press Release, June 29, 2006)

 

注釈:

1:連邦基準を上回るRFSを導入している州は、現時点で7州。他に、少なくとも10州が独自のバイオ燃料使用基準(半数が10%)を設置する法令を検討している。


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