NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2006年9月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

9月28日号

ナノエクザ社とデクトロン社、次世代バッテリー技術の商用化でアルゴンヌ国研と連携

ナノエクザ(NanoeXa)社とデクトロン(Decktron)社、および、アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory = ANL)は、ANLがFreedomCARパートナーシップの下で開発した次世代充電式リチウムイオンバッテリーを商業化する協定に署名したと発表した。

ANL開発のバッテリーは高出力で、蓄電容量が大きいばかりか、ニッケルカドミウム(NiCD)電池やニッケル水素(NiMH )電池に比べて、安全性と寿命の面でも優れているという。このリチウムバッテリーは、ハイブリッド電気自動車、電動工具、無線操縦(ラジコン)装置、その他の消費者用エレクトロニクスにも使用可能である。

ナノエクザ社はナノテクノロジーとモデリングを利用してリチウム電池や太陽電池などの製品の性能向上を追及する企業で、フラットパネル・ディスプレーで有名な韓国を本拠とするデクトロン社の企業支配権(支配的な保有数の株式)を持っている。(Argonne National Laboratory, September 27, 2006)

競争力世界一の座をスイスに奪われた米国、新ランキングではなんと6位

世界経済協議会(World Economic Forum)の125カ国を対象とする年次ランキングによれば、米国は競争力世界一の座をスイスに奪われ、財政赤字や貿易赤字によって世界6位にまで滑りおちた。『2006〜2007年度国際競争力レポート(Global Competitiveness Report 2006-2007)』では、世界の競争力上位10ヶ国を、(1)スイス;(2)フィンランド;(3)スウェーデン;(4)デンマーク;(5)シンガポール;(6)米国;(7)日本;(8)ドイツ;(9)オランダ;(10)英国と報告している。世界経済協議会では、スイスがイノベーションや研究・開発・科学インフラで評判が高いこと、更には、スカンジナビア諸国の経済が順調であることも加味して、スイスを世界一と判断している。一方、米国の競争力を6位とランク付けた理由としては、下記を挙げている:

  • 米国は数年間にわたって財政・貿易という双子の赤字をだしており、経済の脆弱性に対する懸念が増大している。
  • 米国は、取引相手としては依然として1位の座を保持しているものの、経済環境では69位である。
  • ハリケーン・カトリーナ被害に対する政府対応の遅れから、同国の政治的指導者に対する国民の信頼が低下している。
  • 初等教育とヘルスケアに脆弱性が見られ、米国の乳幼児死亡率とHIV・エイズ罹患率は世界のどの先進国よりも高い。

(Bloomberg, September 26, 2006)


9月26日号

パーデュー大学の研究者、環境調和型で製造コストの安いエタノール製造システムを開発

パーデュー大学の研究者等が、トウモロコシを原料とする革新的なエタノール製造システムを開発した。このシステムで生成される副産物は、人の食用になるほか、生物分解性(biodegradable)のプラスチックの製造にも使うことができる。研究者2名の名前をとってChen-Xuシステムと命名された同システムでは、トウモロコシ1ブッシェルから2.85ガロンのエタノールを製造するが、これは従来法よりもエタノール転換率が幾らか高く、しかも、製造コストは従来法よりも低いという。

このシステムは、もともとプラスチック製造用に設計された機械を使い、トウモロコシの粒を粉にして、でんぷんを高温で液化するもので、@在来型の乾式・湿式粉砕エタノール製造工程で生じる無用の副産物や汚染物質が発生せず;A在来型の湿式粉砕工程と比べ廃水が約95%、使用電力が47%少ないという利点があるという。研究者等はすでに、Bio Processing Technologyというスタートアップ企業を起こし、この技術を国際的に商品化することを考えている。(Purdue Research Park News Release, September 15, 2006)

シェブロン社、カリフォルニア大学デイビス校のバイオ燃料研究プロジェクトに資金供与

シェブロン社が、農業廃棄物や森林廃棄物、エネルギー用に生産された穀物や都市ゴミから価格の手頃な輸送用再生可能燃料を開発するため、カリフォルニア大学デイビス校(UC-デイビス校)の研究開発プログラムに5年間で最高2,500万ドルを提供するという。この研究では、遺伝学や熱化学反応から経済分析にわたる広範な研究分野が取り上げられる見込みである。

UC-デイビス校のBarry Klein副学長によると、水素やバイオ燃料、食品加工廃棄物や農業廃棄物のエネルギー変換、電気自動車やハイブリッド自動車に関するトップクラスの研究・指導プログラムに代表される、自校の代替燃料や輸送システム部門での専門知識が、次世代バイオ燃料に対するシェブロン社の関心にピッタリ当てはまったのだという。

バイオマスのエネルギー変換を専門とするBryan Jenkins教授を抱えるUC-デイビス校では、トウモロコシや大豆のような在来型の原料を越えて、「リグノセルロース物質(lignocellulosic material)」…植物の茎や葉、木の幹や枝の構成物質…を利用したバイオ燃料に期待をかけている。(UC Davis News Release, September 19, 2006)

地球の温度は過去12,000年で最高

全米科学アカデミー(National Academy of Sciences)の9月26日号会報で発表される新たな研究報告 『地球の温度変化(Global Temperature Change)』によると、地球の気温は過去12,000年で最高点に達しており、このままでは間もなく逆戻り不可能な転換点(tipping point)に達する可能性があるという。米航空宇宙局(NASA)ゴッダード宇宙研究所のJames Hansen博士が率いる研究チームは、人間活動に起因する地球温暖化がこのまま緩和されずに継続すれば、大規模な動物絶滅や世界各地の海岸地域の洪水など、壊滅的な結末をもたらしうるという結論を出している。

研究チームは、世界各地の海底堆積物の中に発見される微小海面生物の殻中のマグネシウム含量を分析して、これを世界各地の過去50年の地球の温度の代用データとして用いた。この報告書の中で最も注目すべき考察には以下が含まれる。

  • 過去30年間、地球は10年につき摂氏0.2度 のペースで温暖化している。
  • 近年の温暖化で、世界の気温は過去100万年の最高気温まであと僅か1℃という水準にまで上昇した。

Hansen博士は、地球がさらに2〜3℃温暖化するならば、地球は我々の知る惑星とは全く異なった惑星へと変貌するであろうと指摘している。同氏によると、地球の気温がそこまで高かったのは約300万年前の鮮新世中期であって、その時は海面が今日よりも約25メートル高かったと推定されているという。(Associated Press, September 25, 2006)


9月22日特別号

エネルギー省、気候変動技術プログラム(CCTP)戦略プランの最終版を発表

気候変動技術プログラム(Climate Change Technology Program = CCTP)が、遅延続きであったCCTP戦略プランの最終版を2006年9月20日に発表した。ブッシュ大統領の提案で2001年に設立されたCCTPの当初計画では、戦略プランは2002年7月までに公表されることになっていたもので、なんと4年2ヶ月遅れの発表となった。情報筋によると、今回発表された 『米国気候変動技術プログラム 戦略プラン(U.S. Climate Change Technology Program Strategic Plan)』 は、2005年9月に発表されて、環境保護者や議会議員から「将来のブループリントというよりは単なる戦略技術の目録に過ぎない」と酷評されたドラフト戦略プランに酷似しているという。

こうした批判に対し、CCTPのリード機関であるエネルギー省(DOE)のSamuel Bodman長官は、この戦略プランは100年間の計画期間やグローバルな視野および多角的研究協力といった前代未聞の目的と規模を持つ計画であると反論している。

CCTP戦略プランは、気候変動に対応するための長期的テクノロジーに焦点を当てて戦略的な指針を提供し、これらに充当される約30億ドルの連邦政府予算を整理している。同戦略プランの掲げる6つの主要目標とそのタイムライン…短期は20年以内、中期は20〜40年、長期は40年以上…は下記の通り:

#1 エネルギーのエンドユーザーおよびインフラからの排出削減

<短期> ハイブリッド自動車やプラグイン・ハイブリッド車;都市設計(Engineered Urban Designs);高性能住宅;高効率の電気製品;高効率のボイラーや燃焼装置;高温超伝導の実証

<中期> 燃料電池自動車と水素燃料;低公害航空機;固体照明(solid-state lighting);超高効率のHVACR(暖房、換気、冷房、冷凍装置);「スマート」ビルディング;エネルギー集約産業を変貌させる技術、等

<長期> 都市設計と地域計画の広範な使用;エネルギー管理型コミュニテイー(Energy Managed Communities);工業用の熱・電力・プロセス・技術の融合;超伝導送信と超伝導装置

#2 エネルギー供給部門からの 排出削減

<短期> 石炭ガス化複合発電(IGCC)の商用化;定置型の水素燃料電池;コスト競争力のある太陽光電池;セルロース系エタノールの実証;分散型発電;先進原子炉と燃料サイクル技術

<中期> FutureGenのスケールアップ;石炭/バイオマスからの水素生成;低風速タービン;先進バイオ精製所;コミュニテイー規模の太陽光発電;Gen IV原子力発電所;核融合パイロット工場の実証

<長期> 無公害化石エネルギー;水素経済と電気経済;再生可能エネルギーの広範な利用;バイオエネルギーとバイオ燃料;原子力発電の広範な利用;核融合発電所

#3 二酸化炭素(CO2)の回収と隔離

<短期> 炭素隔離リーダーシップフォーラム(CSLF)と地域炭素隔離パートナーシップ(CSRP);燃焼後回収(Post Combustion Capture);Oxy-燃料の燃焼;地中貯留層の特性化;直接注入CO2の希薄化、等

<中期> 安全性が証明された地中貯蔵;CO2輸送インフラ;土壌吸収(Soils Uptake)と土地利用;CO2海洋隔離の生物学的影響の研究

<長期> 成功したCO2貯留体験記録の追跡調査;大規模隔離;炭素およびCO2利用の製品と材料;安全な長期的海洋貯留

#4 CO2以外の温室効果ガスの排出削減

<短期> メタンの市場化;的確な農業(Precise Agriculture);先端冷凍技術;自動車の粒状物質制御技術

<中期> 埋立地ガスの先進利用;土壌の微生物作用;SF6の代替物;ディーゼルエンジン内で亜酸化窒素(N2O)を単なる窒素に還元する触媒

<長期> 統合廃棄物管理システム;廃棄物ゼロの農業;ソリッドステートの冷凍システムと冷房システム

#5 排出量測定能力と排出モニタリング能力の向上

<短期> 低コストセンサーと低コスト通信

<中期> 大型の安全管理されたデータ記憶装置;プロキシや推定器に代わる直接測定

<長期> センサーや指示計、データ・ビジュアライゼーションや記憶装置、及び、モデルを統合した完全機能の測定/モニター・システムアーキテクチャー

#6 先進技術を開発するための基礎科学の役割強化

 

CCTP戦略プランは、上記6目標の達成のために下記の7つの重要アプローチを挙げ、アプローチ毎に今後のステップを提示している。

1. 気候変動テクノロジー研究開発活動を強化

  • 気候変動技術の研究・開発・実証・普及に対する連邦政府支援を、必要に応じて見直し、再編成し、優先順序を付け直し、更には、これを拡大する。
  • 複数省庁間ポートフォリオが適切であるかどうかを定期的に評価し、ギャップや機会を確認し、分析に基づいた提言を行う。
  • 重要技術分野では、テクノロジーの潜在性を長期にわたって査定評価する。
  • 気候関連技術の企画と管理、および、研究開発(R&D)の企画と評価に利用する方法・ツール・政策策定プロセスを改善する。

2. 各種の基礎科学研究を強化

  • CCTPに参加する連邦R&D各機関において、気候変動技術開発の技術的進歩を妨げる障壁を克服するために基礎研究を利用または融合するプロセスを確立する。
  • 大学および連邦政府以外の研究機関で行う気候変動技術R&Dへの参加を拡大する手段を策定する。
  • 研究コミュニティーのイノベーションを刺激するため、連邦政府各省庁の斬新な概念や先進的概念等に焦点をあてた基礎的・探査的研究プログラムを見直す。

3. 官民パートナーシップの機会を拡大

  • 官民パートナーシップの現状を見直し、R&Dポートフォリオの企画やプログラムの遂行を行う一般的形態として官民パートーナーシップの更なる形成を助長する。
  • R&D以外のパートナーシップ形成を助長する。
  • 温室効果ガス(GHG)やGHG原単位削減技術に関し、取り扱いに注意が必要となりうるパートナー情報を安心して共用することを可能にする方策を確立する。

4. 国際協力の機会を増進

  • 主要な気候変動技術R&D活動への国際参加を拡張し、現在進行中の多くの国際協力イニシティブを礎として構築する。
  • 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会(Working Group III on Mitigation)の定期的評価レポート、および、その他の技術関係IPCC特別レポートに対する米国側インプットの調整で、国務省とCCSPを支援する。
  • 気候変動科学や技術研究に関する国際協力を奨励する二国間協定を交渉、履行、および、協賛する努力を支援する。
  • 経済開発協力機構(OECD)や国際エネルギー機関(IEA)、IPCCや8カ国首脳会議(G8)といった既存の国際機関を効率的に活用する方法を考察する。
  • 途上国のキャパシティー・ビルディングを促進し、先進気候変動技術の開発・移転・普及を可能にするため、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(Asia-Pacific Partnership for Clean Development and Climate)のような国際的な統合アプローチを策定する。

5. 最新テクノロジーの実証試験を支援

  • 連邦政府各省庁の普段の企画・予算策定プロセスの一環として、CCTP戦略目標と関係のある最先端技術の実証試験を行うことを考慮する。

6. 将来の熟練技能労働者を確保

  • 気候変動関連技術R&Dを生涯の仕事と考える有望な志願者を対象とする、大学院フェローシップの創設を検討する。
  • 連邦政府省庁、国立研究所やその他の連邦出資研究開発センター(FFRDC)で、気候変動技術開発関連インターシップを拡大する可能性を検討する。
  • CCTP予算を用いて、気候変動と先進技術オプションに関連するK-12向けの教育カリキュラムを設置する可能性を検討する。

7. 気候変動テクノロジーの普及に必要な技術支援政策を提供

  • CCTP関係研究・開発・実験活動への民間投資を促進する技術政策オプションを評価する。
  • 民間部門による先進気候変動テクノロジーや他のGHG原単位削減慣行への投資や導入を促進する技術政策オプションを評価する。
  • 必要に応じて、気候変動科学技術融合に関する閣僚委員会(Cabinet-level Committee on Climate Change Science and Technology Integration)の実施している政策関連活動を支援する。
  • 炭素隔離やGHG排出削減を推進する土地利用および土地管理慣行を促進する様々な技術政策オプションを評価する。

(DOE News Release, September 20, 2006; Greenwire, September 20, 2006)


9月21日号

マサチューセッツ工科大学、深海油田掘削装置にヒントを得た浮体型洋上風力タービンを設計

マサチューセッツ工科大学(MIT)は、エネルギー省(DOE)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)と同大のPaul Sclabounos機械工学教授が、浮体型洋上風力タービンの研究を実施している旨を発表した。研究者等は、油田掘削装置にヒントを得て、5メガワットの風力タービンのベースとなる浮体型プラットフォームを設計することに成功している。浮体型プラットフォームの直径は30メートルで、直径約140メートルの回転翼を取り付ける高さ約90メートルの塔がこのプラットフォームの上に設置される。この設計には、浮体型プラットフォームの4つの角をスチールケーブルで海底のコンクリートブロックなどのアンカーに接続するシステムが含まれる。研究者等によると、このシステムには次のような数々のメリットがあるという:

  • タービンを50〜150km沖合いに配置することによって、景観を害するという問題を回避することができる。
  • 沖合いの特に風の強い地域に配置されるこれらのタービンは、現行の沖合い風力タービンの2倍の電力を発電する。
  • 海底からタービンまでのトラス架構(truss tower)を建設する必要がないため、建設費は現在の沖合いタービンの約3分の1ですむ。
  • 浮体型プラットフォームと風力タービンは、電力がさらに必要な地域へと牽引して移動させることが可能なため、電力需要の管理に活用できる。

(MIT News Release, August 29, 2006)

Gore前副大統領、温室効果ガス排出の即時凍結を提唱

Al Gore 前副大統領が9月18日に、ニューヨーク大学法学部で野心的な地球温暖化対策案を発表した。Gore氏はこのスピーチで、地球温暖化は政治的問題ではなく道徳的問題であるという自身の見解を改めて表明する一方で、ブッシュ大統領とJames Inhore上院環境・公共事業委員会委員長(共和党、オクラホマ州)への皮肉にも数分を割いた。ゴア氏の主な提案は下記の通り:

  • 工場の煙突や車のテールパイプから放出される温室効果のある排出ガスについて、「即時凍結」を義務付ける。
  • 給与税の代わりに、汚染に課す環境税を導入する。
  • 省エネ住宅の新改築を支援するカーボンニュートラル住宅ローン協会(Carbon Neutral Mortgage Association)を設立する。
  • 住宅やビジネスの所有者が余剰電気を売買できる「エレクトラネット」を設立する。
  • 短期的に原子力発電をいくらか拡充する(但し、大規模な拡充は、核兵器拡散の懸念から反対)。
  • 京都議定書、および、京都議定書以降の協定への再参加を米国に義務付ける。

(New York Times, September 18, 2006; Washington Post, September 17, 2006)

コロラド大学ブルダー校、防衛先端研究計画局(DARPA)のグラントで、ナノテクノロジー研究センターを新設

コロラド大学ブルダー校が防衛先端研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency = DARPA)から先頃受けたグラントで、ナノテクノロジー研究センターを新設した。統合マイクロ・ナノ電気機械変換器用ナノスケール科学技術DARPAフォーカスセンター(DARPA Focus Center on Nanoscale Science and Technology for Integrated Micro/Nano-Electromechanical Transducers)と呼ばれる新センターの目標は、「信頼性の高い炭素ナノチューブと各種ナノワイヤーの設計、製造、組み立て、包装の科学技術」について理解をさらに深めることである。

グラント額について具体的な数値は明らかにされていないが、コロラド大学は、DARPAグラントや業界の資金援助、および、NISTとコロラド大学のマッチング支援により、その初年度の経費として153万ドルを確保したという。センター所長を務めるYung Cheng Lee博士によると、向こう6年間で1,000万ドルの経費を見積もっており、また、同センターでは20余の先端的な研究プロジェクトを管理するものと期待しているという。(University of Colorado Press Release, September 13, 2006)


9月20日特別号

ナノテクに関する米国民の意識調査:ナノテクを知る者は増えたが、依然として国民の大半は無知

Peter D. Hart Research Associatesが、ウッドロー・ウィルソン国際センター(Woodrow Wilson International Center)の新興ナノテクノロジー・プロジェクト(Project on Emerging Nanotechnologies)の委託を受けて実施した、ナノテクノロジーに関する米国民の意識調査の結果を9月19日に発表した。同社は全米各地の成人1,014名を対象に電話インタビューを行ったところ、ナノテクノロジーを知っているという回答者が2年前よりも倍増して30%になったものの、回答者の大半は依然として同技術について殆ど又は全く聞いたことがないことが明らかになったという。アンケート調査の主要な結果は下記の通り:

1. ナノテクノロジーについて聞いたことがあるかという質問に対し、かなり聞いたことがあるは10%、幾分聞いたことがあるが20%、殆ど聞いたことがないは27%で、全くないが42%であった。

  • ナノテクノロジーについて聞いたことがあると回答した者は、18〜49歳の男性、大学教育を受けた成人、および、高所得の成人に多かった。
  • 65歳以上では、ナノテクノロジーについて聞いたことがない者が59%であった。
  • 女性や年配者は、スキンケア製品や化粧品といった、ナノテク材料を含む商品を最も使用することになるグループであるが、ナノテクノロジーに関する知識が一番少なかった。

2. ナノテクのリスクと利益(ベネフィット)に関しては、リスクが利益を上回るという回答が35%、利益がリスクを上回るが15%、リスクと利益はほぼ同等が7%、判からないが43%であった。

  • 利益とリスクのトレードオフについて定かでないという回答者は、男性が34%であったのに対し、女性は52%であった。
  • ナノテクノロジーについてかなり聞いているという米国人の46%、18〜49歳の男性の25%が、利益がリスクを上回ると回答した。

3. 化粧品やスキンケア製品の安全性や効果を誰がモニターするべきかという質問に対し、55%が連邦政府が行うべきと回答し、54%が大学や独立研究者、43%が製品の製造会社が行うべきであると回答した。

  • 化粧品やスキンケア製品をモニターする責任は、製品を製造する会社だけにあると回答したものは僅か12%であった。

同アンケート調査の結果は、米国民の間にナノテクノロジーに関する肯定的な意見を確立するためには、オープンな対話や情報が必要不可欠であると主張する専門家の見解を支持していると言える。同プロジェクト・ディレクターのDavid Rejeski氏によると、このアンケート調査の結果は、連邦政府と産業界にとって、ナノテクノロジーのもたらす莫大なポテンシャルについて米国民を啓蒙し、起こり得るリスクについて戦略的な研究を実施するための機が熟していることを示唆しているという。同アンケート調査の結果はウッドロー・ウィルソン国際センターのウェブサイトhttp://www.wilsoncenter.orgから入手可能。(Woodrow Wilson International Center News Release, September 19, 2006)


9月15日号

エネルギー問題での協力を討議するため、中国訪問中の米国エネルギー省高官

エネルギー省(DOE)のKaren Harbert政策・国際問題担当次官補とJeffrey Jarrett化石燃料担当次官補が、エネルギーと科学分野における米中協力を討議するため、中国の北京と杭州を訪問中である。

杭州を訪問中のHarbert次官補は9月14日、国際的なエネルギー安定供給や環境保護、経済成長と二国間貿易の奨励を目的とする米中エネルギー政策ダイアログ(U.S.−China Energy Policy Dialogue)の第2ラウンド交渉に参加し、@2005年エネルギー政策法を始めとする重要なエネルギー政策問題;A中国の第11次5ヵ年計画のエネルギー目標;Bエネルギー使用合理化、資源保全、および、米中両国のバイオ燃料開発を含む再生可能エネルギー計画、等について中国側代表と討議した。Harbert次官補はこの後、北京を訪問し、中国の科学技術庁や原子力エネルギー局(Atomic Energy Authority)の高官等と対談するほか、米中ビジネス評議会(US-China Business Council)の開催する業界ラウンドテーブルにも参加する予定となっている。

一方、Jarrett次官補とChang Yong科学技術次官は明日(9月15日)、発電技術や石油・天然ガス技術、エネルギー・環境管理技術や気候科学の分野において既存の協力と情報交換をさらに5年間更新する協定に署名する予定となっている。但し、クリーン燃料技術 …石炭液化油や水素、等… に関する現行合意については、更新の必要なないと判定されている。(DOE News Release, September 14, 2006)

米国東部諸州、窒素酸化物排出権取引プログラムにより大気質が向上

環境保護庁(EPA)が、窒素酸化物(NOx)排出権取引プログラムの年次報告書を発表した。『窒素酸化物排出権取引プログラム:2005年プログラムの遵守と環境面での結果(NOx Budget Trading Program: 2005 Program Compliance and Environmental Results )』によれば、米国東部のNOx排出量が削減しているという。報告書は、2005年のオゾンシーズンについて以下の点を指摘している。

  • 米国東部の州では、2004年に比べてNOx排出量が11%減少した。
  • 2005年のNOx排出量は、排出権取引プログラム開始前の2000年の水準を57%下回った。
  • NOx排出量はクリーンエア改正法の施行に先立つ1990年の水準を72%下回った。
  • オゾンの平均地表濃度は、2002年以降、約8%削減された。
  • 8時間オゾン地表濃度について2004年に目標未達成地域に指定された103地域のうち68地域は、2005年にEPA の義務付けを上回る水準の大気の質を達成した。

(EPA Press Release, September 14, 2006)

上院の超党派グループ、理数科教育の予算を増額する法案を提出予定

上院議員の超党派グループが先頃、米国の競争力を増大させる法案を提唱する意図を明らかにした。このグループのメンバーには、(1)商業・科学・輸送委員会のTed Stevens委員長(共和党、アラスカ州)とDaniel Inouye上院議員(民主党、ハワイ州);(2)エネルギー・天然資源委員会のPete Domenici委員長(共和党、ニューメキシコ州)とJeff Bingaman上院議員(民主党、ニューメキシコ州);(3)保健・教育・労働・年金委員会のMichael Enzi委員長(共和党、ワイオミング州)とTed Kennedy上院議員(民主党、マサチューセッツ州)が含まれている。

上院超党派グループが策案中の法案は、全米科学アカデミー(National Academy of Sciences = NAS)が発表した『Rising Above the Gathering Strom』という報告書の提言の実施を目指すもので、主要な条項は以下の通り:

  • 米国の国立研究所において、100名の著名な科学者を含め、新たなインターンシップや研究員のポジションを確立する(向こう5年間で3億500万ドル)
  • リスクが高いが成果も大きいタイプの研究や、「技術革新促進」活動に投資するよう政府に促す。
  • 全米科学財団(National Science Foundation)の予算を向こう5年間で400億ドルに増額する。
  • 数学、科学、言語課程の大学生に追加のコースを修了するよう奨励し、同分野の現職教員を学校に戻してさらに教育を受けさせる(向こう2年間で3億ドル)
  • 小学生の算数能力を高めるMathNowプログラムの予算を増額する(向こう2年間で2億9400万ドル)

(Congressional Quarterly, September 14, 2006)


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