NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2007年1月前半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月11日号

州知事エタノール同盟、書簡で大統領にバイオ燃料使用拡大を要請

米国の州知事37名から成る州知事エタノール同盟(Governors' Ethanol Coalition)が1月9日、バイオ燃料研究開発投資の拡大とエタノール燃料の増産を求める書簡をブッシュ大統領に送付した。州知事エタノール同盟が書簡で示した主な提言は下記の通り。

  • 現行法で2012年までに75億ガロンと定められた再生可能燃料の使用義務付けを、下記のように改変する:
    • 2010年までに120億ガロンへと引き上げ
    • 2015年までに自動車燃料消費量の15%、2025年までに自動車燃料25%へと引き上げ
    • 再生可能燃料義務付けの内の5億ガロンをセルロース系エタノールとすることを、2012年から義務付け
  • 大都市においてE85燃料の使用を拡大するため、「地域マーケティング戦略」を策定する。
  • 大手燃料ブランドやガソリンスタンドが達成すべきE85給油ポンプ設置目標を設定する。
  • あらゆるエタノールの生産に対して1ガロン当たり0.51ドルの税額控除を与えるほかに、セルロース系エタノール生産者には1ガロン当たり0.765 ドルの追加控除を与える。
  • E85の供給基盤を拡充するために、800万ドルの連邦資金を提供する。
  • エネルギー省(DOE)のバイオマス研究プログラムに2億ドルを拠出する。
  • バイオ燃料生産インセンティブとして2億5,000万ドルを提供する。

(Greenwire, January 10, 2007)


Schwarzeneggerカリフォルニア州知事、次の狙いは自動車燃料の炭素含有量削減

Arnold Schwarzeneggerカリフォルニア州知事は、自動車から放出される温室効果ガス(GHG)排出を2020年までに10%削減することを提案するものと見られている。この提案は石油精製業者とガソリン販売業者に、炭素含有量の削減を命じるもので、代替燃料を使用する新世代の到来を告げるものとなる。この命令の内容は、業界筋の情報を基にロサンゼルス・タイムズ紙が報道したもので、州政府の高官によると、Schwarzenegger州知事が間近に迫った施政方針演説の際にこの知事命令を正式発表する可能性が高いという。

カリフォルニア州法は自動車燃費を規制する権限を州知事に付与している。このような知事命令が公布されると、州議会はその規定策定に着手することになる。Fabian Nunez州議会下院議長(民主党、ロサンゼルス)を初めとする民主党議員等は「この法案の推進」を強く支持しているものの、共和党議員の支持はとても確実とは言えない状況にある。

ロサンゼルス・タイムズ紙が入手した同提案に関する白書によると、炭素排出の10%削減は、ガソリン消費の20%削減をもたらすという。このような動きが実現すれば、カリフォルニア州の再生可能燃料市場の規模は現在の3倍となり、全国一となる可能性が高い。(Los Angeles Times, January 9, 2007)


Obama上院議員とBunnings上院議員、石炭液化燃料促進法案を提出

Barack Obama上院議員(民主党、イリノイ州)と Jim Bunnings 上院議員(共和党、ケンタッキー州)が、2007年石炭液化燃料促進法案(Coal-to-Liquid Fuel Promotion Act of 2007)を提出した。この法案は、前期の議会で出された法案に類似するもので、その内容は下記の通り。

  • 日量1万バレル以上を生産する大規模な商業的石炭液化燃料工場に融資制度と奨励策を提供する。
  • 国防省が石炭液化燃料の長期調達契約を締結することを認可する。
  • 米国空軍による石炭液化燃料の試験に資金を調達する。
  • 連邦政府が戦略石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)に蓄える燃料の20%を石炭液化燃料でまかなうことを認可する。

下院天然資源委員会のNick Rahall委員長(民主党、ウエストバージニア州)は同法案に支持を表明しており、同様の法案を下院に提出する意向であるという。(Environment and Energy Daily, January 9, 2007)


1月9日号

商務省の製造業担当次官補が辞任表明

ロサンゼルス市にある最高級絨毯製造会社の創設者で最高経営責任者であったAlbert Frink氏は、ブッシュ大統領の指名をうけ、2004年7月以来、商務省の製造・サービス業担当次官補(注:1)を努めてきたが、連邦政府の製造業担当「王(czar)」ともいえるこの次官補職を2007年1月31日づけで辞任すると発表した。

Carlos Gutierrez商務長官は、Frink次官補が在任中に、商務省発表の『米国における製造業:米国製造業の課題に向けた包括的戦略(Manufacturing in America: A Comprehensive Strategy to Address the Challenges to U.S. Manufacturers)』という報告書(注:2)に呈示された57提言の内の35提言を実行したことをあげ、同氏の業績を称賛している。

一方、民主党主導の第110議会は、ブッシュ政権の製造業問題に対する無関心さに不満を表明しており、Frink次官補を頭とする製造・サービス業担当局の活動について調査を開始すると宣言した議員もいることから、今回のFrink次官補の退職表明は時機に適ったものであると考えられる。(Manufacturing & Technology News, December 15, 2006)


Boxer上院議員、セルロース系エタノールおよび良燃費車の普及推進法案を提出

上院環境・公共事業委員会のBarbara Boxer委員長(民主党、カリフォルニア州)が1月4日、セルロース系エタノールと良燃費車の利用拡大を目的とする法案を2本提出した。法案の概要は下記の通り:


『2007年政府所有車燃費法案(Government Fleet Fuel Economy Act of 2007:上院第146号議案)』

  • 連邦政府の全省庁に、「可能な限り燃費の良い」乗用車を購入するよう指示。
  • 非常事態には、連邦政府省庁がこの義務要件からの免除を要請することを認可。

『2007年セルロース系エタノール開発導入法案(Cellulosic Ethanol Development and Implementation Act of 2007:上院第167号議案)』

  • セルロース系エタノール技術を開発するため、DOE他の連邦機関が、大学や国立研究所、民間部門やその他の多様な組織に7年間で総額10億ドルのグラントを給付することを認可。
  • セルロース系エタノールの販売に必要な給油ポンプ等のインフラ設置支援として、更に10億ドルのグラントを認可。

(Environment and Energy Daily, January 8, 2007)


注釈:

1:この役職は、2003年9月に商務省に新設されたポジションで、Frink氏が初代次官補。

2:商務省が2004年1月16日に発表した同報告書については、NEDOワシントン事務所の2004年調査レポート『米国における製造業:米国製造業の課題に向けた包括的戦略の概要』で紹介。


1月8日号

上院議員5名、国内エタノール市場の拡大を狙った法案を超党派で提出

上院農業委員会のTom Harkin委員長(民主党、アイオワ州)、Richard Lugar上院議員(共和党、インディアナ州)、Joe Biden上院議員(民主党、デラウェア州)、Byron Dorgan上院議員(民主党、ノースダコタ州)、および、Barack Obama上院議員(民主党、イリノイ州)が1月4日、「バイオ燃料安定供給保障法案(BioFuels Security Act:上院第23号法案)」を再提出(注:1)した。同法案は、再生可能燃料使用基準(renewable fuels standards = RFS)の引き上げ、エタノール燃料給油ポンプの増設、および、代替燃料走行車の増産を通じて、国内の再生可能燃料利用を拡大するというもので、具体的には下記を提案している。

  • 国内の自動車用燃料として、エタノールとバイオディーゼルの生産量を2020年までに年間300億ガロンまで拡大する。その後10年間でこのRFSを倍増し、2030年には年間600億ガロンと設定する。
  • 主要石油会社に今後10年間、E85給油ポンプの台数を年間5%づつ増設していくことを義務付ける。これにより、全国各地にある主要銘柄ガソリンスタンドの約50%にE85ポンプが設置されることになる。
  • 米国で販売される自動車が10年以内にほぼ全てフレックス燃料車(FFV)となるよう、自動車メーカーにFFV生産を年間10%づつ増加するよう義務付ける。

(E&E Daily, January 5, 2007; Senator Tom Harkin Press Release, January 4, 2007)


Bingaman上院議員、温室効果ガス排出削減対応での妥協点模索で、地球温暖化法案の草案を回覧中

上院エネルギー・天然資源委員会のJeff Bingaman委員長(民主党、ニューメキシコ州)が、増加する米国温室効果ガス排出への対応を巡る論議で超党派の妥協点を探るため、地球温暖化法案の草案(Discussion Draft)を産業界、環境保護団体、経済学者その他利害関係者の間に回覧している。

Bingaman上院議員は2005年夏にも地球温暖化法案を提出する意向であったが、当時の上院エネルギー・天然資源委員会委員長であったPete Domenici議員(共和党、ニューメキシコ州)の支持を得ることが出来ず、提出を控えたという経緯がある。今回の草案では、(1)産業界に課す温室効果ガス排出削減目標の引き上げ;(2)米国経済への負担を制限する「安全弁」の強化;(3)温室効果ガス排出削減施策の実施期日を2012年に延期、といった幾つかの変更を加えているほか、排出権を産業界汚染原の間に分配する方法を2005年の法案よりもより詳細に説明しているという。

Bingaman上院議員のスポークスマンであるBill Wicker氏によると、同草案は未だ作成段階にあるもので、数ヵ月間は法案提出の予定はないという。(Greenwire, January 5, 2007)


注釈:

1:Tom Harkin上院議員は2006年5月16日に「2006年バイオ燃料安定供給保障法案(BioFuels Security Act of 2006上院第2817号法案)」を、Lugar上院議員、Dorgan上院議員、Biden上院議員、そして、Tim Johnson上院議員(民主党、サウスダコタ州)と共に提案。同法案は上院商業・科学・運輸委員会に提出されたが、動きはなかった。


1月5日号

アースポリシー研究所、燃料用エタノール精製所のトウモロコシ需要が過小評価されていると警告

アースポリシー研究所(Earth Policy Institute = EPI)のLester Brown所長が、2005年後半の石油価格高騰以来、燃料用エタノール精製所建設への投資が激増しているが、建設中および建設予定の工場に関するデータ収集が不十分であるため、必要となる穀物の量が甚だしく過小評価されていると警告する論説を、同研究所発行のEco-Economy Updateに掲載した。Brown所長によると、米農務省(USDA)が推定する燃料用エタノール精製所のトウモロコシ需要は2008年で約6,000万トンであるのに対し、下記のデータを考慮したEPI推定はこのほぼ2倍にあたる1億3,900万トンになるという。

  • 2006年12月31日時点で稼動中の116 工場は、年間5,300万トンのトウモロコシを使用している。
  • 既存工場11ヶ所の拡大により、年間のトウモロコシ使用量が800万トン増加する。
  • 現在建設中の79 工場で使用されるトウモロコシは、年間5,100万トン。
  • 2007年上半期に、2006年下半期と同数の工場建設が開始された場合、2008年9月1日までに稼動する新精製所が必要とするトウモロコシは、年間2,700万トンとなる。

米国産トウモロコシは世界生産量の40%を占めるほか、世界的輸出量の70%が米国産であるため、エタノール生産に消費されるトウモロコシの量は世界の食糧経済に大きな影響を及ぼすことになる、とBrown所長は指摘している。EPI推定の1億3,900万トンというトウモロコシ …USDAによる2008年の国内トウモロコシ収穫量見積もりの約50%に相当… からは、約150億ガロンのエタノールが生成されることになるものの、これは国内自動車用燃料ニーズの約6%を満たすに過ぎない。このため、同所長は、穀物を原料とする自動車用燃料に代わる代替策として下記の施策を提言している。

  • 自動車の燃費基準を20%引き上げる。(これにより、エタノール供給で達成する数倍もの石油消費量削減を達成することが出来る。)
  • 向こう10年間でガソリン-電気ハイブリッド・プラグイン自動車への移行をはかる。(毎日の通勤や食料品の買出しといった短距離の運転は基本的に電気だけで賄われることになる。)
  • 風力発電への投資を増大する。(これにより、上記のガソリン・電気ハイブリッド・プラグイン車は主として風力エネルギーで走行することになる。)
  • セルロース系エタノール研究開発への投資を増やす。
  • エタノール生産に使用するトウモロコシがどの程度であれば、食物市場の安定が脅かされないかが判明するまで、新たなエタノール工場の建設を一時停止する。

(Eco-Economy Update, January 4, 2007)


全米科学財団、理工系博士号取得者に関する2005年統計データを発表

全米科学財団(National Science Foundation = NSF)が発表した統計データによると、米国の理工系博士号取得者は3年連続で増加し、2005年にはこれまでの最高記録であった1998年の27,273名を破り、新記録を達成したという。NSF発表の統計報告「理工系博士号が2005年に史上最多を記録(S&E Doctorates Hit All-Time High in 2005)」で明白になった主要点は下記の通り:

  • 2005学年度(2004年7月から2005年6月)の理工系博士号取得者は、前学年度よりも1,702名多い、27,974名。
  • 2001年9月11日の多発テロ事件後に外国人の理工系博士号取得者数が減少傾向 …2002年には前年より562名減少… にあるという証拠は見られず、2005学年度の外国人理工系博士号取得者は2001年より2,303名(25%)多い11,516名。
  • 分野別では、生物科学(6,368名)、工学(6,404名)、数学(1,203名)、および、コンピューターサイエンス(1,136名)が2005年に史上最多を記録した一方で、心理学と社会科学は2004年と同数。
  • 女性の理工系博士号取得者の数は全体的に増加傾向にあるものの、伸び率は研究分野によって大きく異なる。2005年には、心理学での博士号取得者の68%、生物科学の49%、社会科学の45%が女性であった一方、物理学(13%→15%)、工学(12%→18%)、コンピューターサイエンス(15%→20%)での女性博士号取得者の割合は、1996年と比べてあまり増えていない。

(NSF INFO BRIEF, November 17, 2006)


Top Page