NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2007年2月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

2月26日号

セルロース系エタノール開発の障壁をもろともせず、エタノール支持を強調するブッシュ大統領

ブッシュ大統領はノースカロライナ州を訪れ、ノボザイムス・ノース・アメリカ(エタノール生産に使用される酵素を製造する企業)に立ち寄った。同社幹部は来社した大統領に、酵素がエタノール生産関連コストの削減にいかに貢献しているかを説明した。ブッシュ大統領の訪問時の発言は主として、代替燃料の概念を輸入石油への依存度減少につなげたものであった。大統領は、トウモロコシを原料とするエタノールが家畜生産者に負担をかけている事実を指摘して、セルロース系エタノール生産の取組を拡充するよう求めた。また、ガソリンの主要部分をエタノールに置き換えるという政権の目標は、現在は難題であるが、技術的な課題やコスト面での課題は必ず克服されると信じていることを強調した。

ブッシュ大統領はまた、この機会を利用して、石炭火力発電と原子力発電の拡大も呼びかけた。一方、大統領は同社訪問中の際に、気候変動には言及しなかった模様である。

一部の民主党議員は、大統領に批判的であり、Bob Etheridge 下院議員(民主党、ノースカロライナ州)は、大統領の目標や抱負は賞賛に値するが、政権が2008年度予算案で代替エネルギー源に充てる予算では、ガソリン消費量削減という現政権の目標を実現することは出来ないと指摘した。ブッシュ政権の農業法案も、バイオディーゼルへの助成を含まないばかりか、再生可能エネルギー関連のグラントを減額していると指摘している。(New York Times, February 23, 2007; E&E PM News, February 22, 2007)


米国と欧州連合、環境関連問題で協力を行う協定に署名

Stephen Johnson 環境保護庁(EPA)長官とJose Manuel Silva Rodriguez 欧州委員会研究総局長が、環境研究の実施と環境情報の提供に関する取り決め(Implementing Arrangement on Environmental Research and Ecoinformatics)に署名した。この協定は、両者が以下の研究科目で協力することを規定している。

  • 汚染と人の健康の関係
  • 環境モニタリング、土壌改善、水質に関連するナノテクノロジー問題
  • 持続可能な化学技術と材料
  • 環境情報システム
  • 環境と持続可能性の指標の開発
  • 環境技術
  • 大気質の管理
  • 意思決定の支援ツール、および、環境モデリング

米国と欧州連合との協力には、科学者等の直接的交流、会議主催、案件の共同募集、ピアレビューへの参加、情報およびデータ交換等が含まれる予定である。(EPA News Release, February 9, 2007)


2月23日号

米国とブラジル、エタノールを中心とする代替エネルギー問題での協力を検討中

米国とブラジルは世界的にエタノールの利用を拡大する方法について交渉している。但し、両国の関係者によると、米国の輸入エタノール関税(1ガロンあたり54セント)は今回の討議には含まれていないという。米国とブラジルの二ヵ国会談の焦点は以下の3点となっている:

  • 研究開発の拡充
  • 他諸国におけるエタノール生産の拡充
  • バイオ燃料規格の一元化

両国の代表者は、交渉の具体的な内容についてはコメントを避けているが、途上国がエタノール業界の豊かな市場となる可能性が高いことから、発展途上国において、エタノール燃料に潜む社会面・環境面・経済面のベネフィットについて宣伝していく予定であると言う。

米国のエタノール関税については、米国エタノール業界と主要な立法者の強力な支持があるため、今回の協議には入っていない。しかしながら、ブラジル政府代表は将来的には現行関税が撤廃されることを希望しており、割当制度の実施や市場要素に応じた変動型関税等を取りいれることにより、現行制度の変更を検討すべきであると示唆している。ブッシュ大統領は代替エネルギー技術について協議するために2007年3月初旬にブラジルを訪問する予定となっているが、今回の交渉はそれに先立って開催されたものである。(Greenwire, February 21,2007)


環境保護庁(EPA)の諮問委員会、バイオ燃料イニシアティブにおけるEPAの役割拡大を提言

環境保護庁(EPA)の諮問委員会である、環境政策技術に関する国家諮問委員会(National Advisory Council For Environmental Policy and Technology = NACEPT)がEPAに対し、政府のバイオ燃料促進計画で主導的役割を担うよう要請する書簡を送付した。NACEPTによると、他の連邦省庁のバイオ燃料プログラム担当者とやり取りを交わした結果、彼等は、バイオ燃料開発が「環境面での落とし穴」を回避し、持続可能な成功の道を歩む続けていくためにはEPAの役割が必要不可欠であり、EPAが「義務付けられている活動範囲」よりも幅広い役割を果たすべきであると考えていることが明らかになったという。

米国政府のバイオ燃料研究開発では、エネルギー省(DOE)が主導的役割を担っている一方、EPAにも、クリーンエア規定との関係から燃料の質や生産を規制する権限、および、連邦政府の再生可能燃料使用(RFS)基準設定や精製所認可の権限といった重要な役目が割りあてられている。しかしながら、EPAは、バイオ燃料が大気質や地球温暖化におよぼし得る影響を調査し、原材料問題を検討し、更には、バイオ燃料に必要な水分量を評価する努力を拡大する必要がある、とNACEPTは指摘している。NACEPTの主な提言は下記の通り:

  • EPAは、バイオ燃料ミッションにおけるEPAの役割に関する省内対話を組織する、バイオ燃料調整官(biofuels coordinator)職を新設する。
  • EPAのミッションを拡大し、研究開発、新規制の実施、および、州・地方レベルでの自主的プログラムの創設を含める。
  • EPAの代表を連邦政府の省庁間バイオマス研究開発委員会(Interagency Biomass R&D Board) に任命する。
  • EPAのトップ陣営から率先して、バイオ燃料プログラムを強力に支援する。
  • バイオ燃料イニシアティブを、その他の代替エネルギー技術開発のための学習ツールとして扱う。

NACEPTが今回の書簡で示した提言は単なる「第一印象」にすぎず、更に詳細な報告書が今年中に発表される予定であるという。(Greenwire, February 22, 2007)


気候変動に関するグローバルラウンドテーブル、全世界あげての取り組みを訴える共同声明書を発表

世界各国の産官学を代表する100名以上のシニアレベルのリーダーが参加する「気候変動に関するグローバルラウンドテーブル(Global Roundtable on Climate Change)」が2月20日に、『気候の持続可能性への道(Road to Climate Sustainability)』という共同声明書を発表した。共同声明書では、気候変動を、地球の自然体系に人間が深刻な影響をもたらすリスクを最小限に抑えられる内に全世界が一団となって取り組まねばならない緊急問題であると警告しているほか、気候変動に立ち向かうことは多くの点で、大気中二酸化炭素(CO2)濃度を安全なレベルで安定化させると同時に、高まる世界エネルギーニーズを満足させ得る新しい持続可能なエネルギー戦略を導入していくことにかかっていると指摘し、温室効果ガス(GHG)排出を効果的に削減するため、下記を提言している:

  • 各国政府は、人類活動が気候システムに悪影響とならないレベルで大気中GHG濃度を安定化させるため、野心的ながらも達成可能な暫定的CO2目標および21世紀中盤CO2目標を、科学情報に基づいて設定すべきである。
  • 全ての国々が気候変動に関する枠組み協定(UNFCC)に参加すべきである。また、UNFCCには、合意された目標の達成に向けて、各国の経済発展水準やGHG排出パターン等の相違を反映した長短期の具体的行動コミットメントを盛り込むべきである。
  • 炭素排出権に市場価格をつける、明確で効率的なメカニズムを創設すべきである。この市場価格は、排出防止、イノベーション、技術オプション間の平等な競争を推進する立場から、世界中および全産業部門でほぼ一律でなければならない。
  • 政府の政策イニシアティブは、全部門でエネルギー効率改善と脱炭素に取り組み;GHG排出と削減コストの最少化に努力する企業が多様なオプションから選択することを認め;低/無公害のエネルギー技術や運輸技術の開発および迅速な普及を奨励し;森林伐採や有害な土地管理方法からの排出を削減するインセンティブを提供するものでなければならない。
  • 緩和策が実施されたとしても、ある程度の気候変動は避けられないため、政府、民間部門、労働組合、その他の市民社会は、気候変動の影響に備える努力、および、適応する努力に着手すべきである。

(Global Roundtable on Climate Change Joint Statement, February 20, 2007)


2月16日号

下院に提出された、全米再生可能エネルギー使用基準(RPS)法案

Tom Udall下院議員(民主党、ニューメキシコ州)が2月8日、2020年までに発電量の20%を再生可能エネルギー源で賄うことを電力会社に義務付ける 『連邦再生可能エネルギー使用基準(RPS)設定のために1978年公益事業規制政策法(PURPA)第6条を改定する法案(下院第969号議案)』を提出した。同法案では、ソーラー(太陽熱温水暖房を含む);風力;海洋;波;地熱エネルギー;バイオマス(セルロース系有機物を含む);埋立ガス;付加的水力発電を再生可能エネルギー源と定義づけ、これらを利用したRPSを下記の通り定めている。

2011年  2%

2012年  4%

2013年  6%

2014年  8%

2015年  10%

2016年  12%

2017年  14%

2018年  16%

2019年  18%

2020年  20%

同法案はまた、電力会社がRPS義務要件遵守に再生可能エネルギー・クレジットを利用出来るよう、再生可能エネルギーのクレジットシステムも設置する。このため、法案はエネルギー長官に対して、再生可能エネルギー・クレジットの発行・検証プログラムの設置を義務付けるほか、再生可能エネルギー・クレジットの売買価格に1キロワット時あたり3セントという上限(キャップ)を設けるよう義務付けている。

この法案は、Todd Platts(共和党、ペンシルバニア州)、Frank Pallone(民主党、ニュージャージー州)、Mark Udall(民主党、コロラド州)、Chris Shays(共和党、コネチカット州)、Diana DeGette(民主党、コロラド州)、Lloyd Doggett(民主党、テキサス州)、Jerry McNerney(民主党、カリフォルニア州)の各下院議員を共同提出者とする。(RenewableEnergyAccess.com, February 12, 2007)


エタノール業界の拡張プランを妨げている、E85ポンプ問題

米国最大の製品安全性試験所であるUnderwriters Laboratories (UL)は2006年末に、UL認証マーク問題を討議するため、エネルギー省(DOE)および産業界代表との技術フォーラムを開催した。ULのJohn Drengenberg広報部長によると、産業界幹部がフォーラムで幾ばくかの安全性データを提供はしたものの、確かな科学的データというよりは事例証拠であって、ULの必要条件を満たすには不十分であったという。このため、ULは自ら研究プロジェクトに着手し、現在、独自のテストや既存E85施設の検査等を実施している。この研究プロジェクトが完了する明確な実施予定はないものの、業界関係者は1年以上かかるものと予想している。

一方、全米エタノール車同盟(National Ethanol Vehicle Coalition)は、UL によるE85給油機認証取り下げの決定が、エタノール産業の拡大にすでに影響していることを認めている。ウォルマート、BP、マラソン石油などの大規模チェーンが、認証問題の解決まで、新しいエタノールポンプの設置を見送ると発表したほか、カンザス州・オハイオ州・サウスカロライナ州では消防隊長がE85を閉鎖するに至っている。全米エタノール車同盟のスポークスウーマンによると、全米各地の小売店によるE85給油機の設置は今でも行われているものの、ULの認証取り下げがなかったならば、更に多くの小売店が存在しているであろうことは否定できないと語っている。ULの立場は、E85 ポンプ問題への対応方法を決定するのは公安担当者や検査官の任務であり、ULには規制担当者に何をすべきか指示することは出来ないと述べている。 (Greenwire, February 15, 2007)


代替燃料計画が作物価格へもたらす影響を認めたブッシュ大統領

ホワイトハウスでの記者会見でブッシュ大統領が、エタノール生産用のトウモロコシ需要増が価格上昇につながり、家畜生産者やその他の農耕従事者が代替エネルギー計画に不満を抱く恐れのあることを認めた。エタノール・ブームは国産エネルギーの大きな後押しとして広く歓迎されている一方で、農業関係者の中には家畜その他農作物の価格上昇を心配する者が多い。ブッシュ政権は、トウモロコシ価格高騰シナリオに対する最善の救済策がセルロース系エタノールであるとして、トウモロコシに対するコストアップ圧力の一部を除去できるよう、セルロース系エタノールの研究開発を加速化すべきであると指摘している。

一方、農務省(USDA)のMike Johanns長官は、USDAの保全休耕プログラム(Conservation Reserve Program = CRP)に現在登録されている土地のうち、300万エーカーが2008年に同プログラムから外され、主にトウモロコシ栽培地に転換されるという予測を発表した。USDAは、短期的にはCRP登録地などからトウモロコシ栽培に転換される土地が増えるが、長期的にはトウモロコシ作付面積は2010年には9,000万エーカーに達し、それ以降はこの水準で安定化すると予測している。

環境保護団体および狩猟団体は、CRP登録地の減少に懸念を示しており、法律で定めたCRP登録面積を維持するよう議会と行政府に要求している。(Environment and Energy Daily, February 15, 2007; E&E PM News, February 14, 2007)


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