NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2007年6月後半分

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

6月29日号

Enterpriseレンタカー社、米国の首都ワシントンでフレックス燃料車のレンタル提供を開始

Enterpriseレンタカー社がワシントンDCに「E85フレックス燃料支社(E85/FlexFuel branch)」を開設した。ワシントンDCの第一号E85ポンプを設置した燃料供給所から3マイルの距離に位置するこの支社では、エタノール85%とガソリン15%のブレンド燃料で走るゼネラルモーター(GM)社製のフレックス燃料車を約50台(同支社所有フリートの約50%)提供することになっている。

顧客には、シボレー・タホなどの大型スポーツ多目的車(SUV)モデルを含むGM製フレックス燃料車のレンタルが奨励される。Enterprise社ではこの支社開設を機に、全米の各都市でフレックス燃料の使用を推進するイニシアティブを開始する計画であるという。同社では、トウモロコシ地帯でエタノールが普及している中西部でフレックス燃料車の利用を奨励する様々な取り組みを行ってきたが、今後は、E85配給業者や自動車メーカー、および、連邦政府と提携して、南部、東海岸、西海岸におけるE85普及を目指すという。

一方、このイニシアティブでEnterprise社と協力するGM社の主な目標は、E85についての消費者の認識向上にある。消費者の認識の欠如は、同燃料の流通システムに制限があることと、E85を販売するガソリンスタンドが少ないこととともに、フレックス燃料車を市場にもたらす上で主要な障害の1つとなっている。しかし、デトロイトの三大自動車メーカーは、フレックス燃料車の生産を2010年までに倍増して年間約200万台とし、全生産台数に占める割合を20%にすることを公約している。

他のレンタカー会社も、ガソリン価格が先行き不透明感を強めるなか、グリーン技術への投資を増やす方向に向かっている。Hertz社とAvis Budget Group社は、レンタカーにハイブリッド電気自動車を増やす計画で、Hertz社においては、来年夏までに3,400台のトヨタ・プリウス(セダン)をフリートに加える予定であると表明している。(The Wall Street Journal, June 28, 2007; Greenwire, June 28, 2007)


国防省、植物油および藻油ベースのジェット燃料開発を支援

国防省の防衛先進研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency = DARPA)が、植物油や藻油を軍用ジェット機の燃料に変換するプロジェクトで、Honeywell社の子会社UOP LLCに670万ドルのグラントを提供した。

イリノイ州デモインに本拠を置くUOP LLCは同契約に基づき、国防省のジェット機用燃料スペックを満たすバイオ燃料を実証用として100リットル生産することになる。米軍とNATOで最も一般的なジェット機燃料は、ジェットプロペラント8燃料(JP-8)と呼ばれ、米軍とNATOで年間約45億ガロンを消費している。

JP-8 は灯油ベースであり、戦闘機や戦車で使われる他の石油系燃料よりも引火性が低く、従って、危険度も低い。米軍は植物油や藻油から作られる再生可能燃料がJP-8の代用となることを期待している。

DARPAとの1年半の契約期間中に、UOP社は在来型イオン化活水器(ハイドロトリーター)を使って再生可能原料をバイオ燃料に変換することになる。同社によると、この燃料変換工程のエネルギー効率は90%に達すると期待されており、廃棄物排出量と生産コストは減少が見込まれているという。最終生成物はJP-8と混合されるか、あるいはJP-8の完全な代替品として、ジェット・エンジンに使用されることになる。

同プロジェクトには、Honeywell Aerospace社やCargill社、アリゾナ州立大学やその他研究機関が参加する。 (E&E PM News, June 28, 2007)


6月27日号

エネルギー省、バイオエネルギー研究センター新設に3億7,500万ドル投資すると発表

Samuel Bodmanエネルギー省(DOE)長官が6月26日、セルロース系エタノールその他バイオ燃料のコスト効率的生産方法を研究するため、テネシー州オークリッジ、ウィスコンシン州マジソン、および、カリフォルニア州バークレーにバイオエネルギー研究センター(Bioenergy Research Center)を新設すると発表した。新センターの設立は、今年の大統領年頭教書演説で発表された「Twenty in Ten」イニシアティブ推進の一環として行なわれるもので、DOEは2008年度からの5年間で3ヵ所の新センターに最高3億7,500万ドルを交付する予定であるという。

新センターではDOE国立研究所と大学、および、民間企業の専門知識を一同に集め、スイッチグラスや木屑やトウモロコシ茎葉といった材料を輸送用燃料に変換する効率的方法を開発するため、生物学的プロセスを改めて設計作製し直すことに焦点をあてることになっている。DOEの選定した3センターは下記の通り:

  • DOEバイオエネルギー科学センター(DOE BioEnergy Science Center)… DOE傘下のオークリッジ国立研究所をリーダーとし、ジョージア工科大学、ジョージア大学、テネシー大学、DOE傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)が協力する。
  • DOE五大湖バイオエネルギー研究センター(DOE Great Lakes Bioenergy Research Center)… ウィスコシン大学マジソン校を中心に、ミシガン州立大学、DOE傘下のパシフィックノースウェスト国立研究所、Luchigen社、フロリダ大学、DOEのオークリッジ国立研究所、イリノイ州立大学、アイオワ州立大学が協力。
  • DOEバイオエネルギー共同研究所(DOE Joint BioEnergy Institute)… DOE傘下のローレンスバークレー国立研究所が中心となり、DOEのサンディア国立研究所とローレンスリバモア国立研究所、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学デービス校、および、スタンフォード大学が参与。

これらのセンターは2008年に運転を開始し、2009年までには完全稼働となる見通しである。(DOE News Release, June 26, 2007; E&E PM News, June 26, 2007)


バージニア州の産学研究チーム、アレルギー疾患反応を遮断するバッキーボールを開発

バージニア州立大学(Virginia Commonwealth University = VCU)とLuna Innovations社(バージニア州ロノークにある民間企業)の研究者が、バッキーボールと呼ばれるサッカーボール形のカーボンナノ粒子に、アレルギー疾患でおこる免疫系の反応を遮断する能力があることを確認した。この研究チームは、今回の研究が新しいアレルギー疾患治療の開発につながり、ナノ免疫学(nanoimmunology)と呼ばれる新興医療分野の推進に役立つものと期待している。

研究チームは先ず、バッキーボール(または、フラーレンとも呼ばれる)を改造して水溶性にし、これらの水溶性バッキーボールにヒト免疫系細胞を混合したところ、以下の所見が得られたという:

  • バッキーボールはマスト細胞(mast cell)がヒスタミン(アレルギー反応の引き金となる炎症性物質)を放出することを阻止することによって、アレルギー/免疫系反応を妨害する。
  • バッキーボールは、その独特の構造により、現在利用可能な抗酸化物質(anti-oxidant)のいずれにもまさり、フリーラジカル(酸化的ストレスを引き起こす細胞で、一般に老化の要因と考えられている)に結合する力がある。

国立衛生研究所(National Institute of Health)、および、食物アレルギーとアナフィラキシーのネットワーク(Food Allergy and Anaphylaxis Network)からの資金援助を受けて行われた同研究の結果報告は、「アレルギー反応を阻止するフラーレン・ナノ材料(Fullerene Nanomaterials Inhibit the Allergic Response)」という表題で、Journal of Immunologyの7月1日号に掲載される予定である。(VCU Press Release, June 22, 2007)


6月25日号

イリノイ工科大学、ナノテクの社会的・倫理的側面に関する研究を集めたオンライン・データベースを開設

イリノイ工科大学(Illinois Institute of Technology = IIT)の倫理センターが先頃、ナノテクノロジーの社会的および倫理的側面に関する研究を集めたオンライン・データベースを立ち上げた。5月15日に発表されたナノエシックスバンク(NanoEthicsBank = NEB)と呼ばれるこのデータベースには、職場における安全性ガイドライン等の規範文書や、米国政府監督能力の分析といった記述的文書、マスコミ報道の調査等が含まれている。NEBのテーマ部門(subject category)としては下記が挙げられる:

  • ナノテクノロジー研究開発の規制枠組み構築を目的とする米国イニシアティブ、および、国際的イニシアティブ
  • ナノテクノロジーに関する一般市民の認識と受容。これには、主要マスコミ報道、および、政府・業界・学界による参画活動が含まれる。
  • ナノ粒子を使用する産業やビジネスによる、ベストプラクティスおよび自主基準の策定
  • 軍事利用、プライバシーと監視の問題、生命倫理やナノ医療といった、ナノテクノロジーの倫理的な開発

データベースには、関連する引用や要約、ワールド・ワイド・ウェブで自由に入手出来る資料へのリンクが含まれているほか、政府報告書のような無料公文書の全文、および、著者や出版社から使用許可のでた資料の全文が掲載されている。NEBは、異なる経歴を持つ様々な専門分野の研究者のための情報資源として考案されたものであり、多様な研究分野やテーマ分野の資料を収容している。IIT倫理センターでは、[コンピューターの]共通語や検索語を共有しないリサーチャーでも利用可能なように、多様なデータ検索方法 …著者+題名+出版社+キーワードによる一般検索や、「リスク評価」や「マスコミ報道」および「軍事利用」といったテーマ分野で検索できるキー用語辞典、等… を取り入れているほか、「フォークソノミー(folksonomy)」分類システムを開発中である。(NanoEthicsBank News Release, May 14, 2007)


Environmental Defenseとデュポン社、ナノ材料開発の安全ガイドラインを発表

Environmental Defense とデュポン社が6月21日に、特定ナノ材料の開発に関連する環境・衛生・安全面 (environmental, health and safety = EHS)の潜在的影響を評価・検討する包括的枠組の最終版を発表した。このナノ・リスク・フレームワーク(Nano Risk Framework)の策定は2005年に始まり、草案が今年2月下旬に発表されていた。この枠組には、時系列順に以下の6つのステップが含まれている。

ステップ1: ナノ材料とその用途の説明

  • ナノ材料とその用途の一般的説明を行なう。


ステップ2: ライフサイクルを通したナノ材料の分析

  • 物理的・化学的特性の分析
  • 潜在的なEHSリスクの分析
  • 意図的または偶発的な放出を含む、人や環境への被ばくシナリオの分析


ステップ3: ナノ材料のリスク評価

  • ステップ2のデータを調べ、ナノ材料とその用途の呈するリスクの「性質、規模、確率」を特定する
  • ライフサイクル分析に見られるギャップを考慮し、それに優先順序をつけ、どのように対応するかを決定する


ステップ4: リスク管理のオプションの評価

  • ステップ3で確認されたリスクを管理するための利用可能なオプション …工学的制御;保護用具;リスクの周知;製品・工程の改正、等… を評価する


ステップ5:適切な措置と、その根拠の文書化

  • 適切な審査チームに相談し、どれほどの生産能力で、ナノ材料の開発や生産を継続するかを決定する
  • 透明な(トランスペアレントな)意思決定プロセスを守り、その決定と決定根拠を文書化し、それらの情報を社内外の利害関係者と共有する


ステップ6: リスク管理システムの見直しと適合化

  • 定期的見直しで、リスク評価を更新・再実行し、リスク管理システムが想定通りに機能していることを確認する
  • 新たな情報が発表されたり、新たな状況が発生した時点で、リスク管理システムを適合化する
  • 変更や決定を文書化し、それら情報を利害関係者と共有する。

(Greenwire, June 21, 2007)


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