NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2008年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月14日号

海洋科学者グループ、地球温暖化対応策として海に鉄を撒くという海洋肥沃策の危険を警告

海洋科学者グループが、地球温暖化対応策として世界の海に鉄を撒くのは予期せぬ結果を招く危険があり、炭素オフセット販売の手段として使用されるべきではないと警告している。

このアイディアは、海に鉄を撒くことで二酸化炭素(CO2)を食べるプランクトンの繁殖を刺激し、それが大気中の温室効果ガス(GHG)削減に繋がるというシンプルなもので、現在までに、サンフランシスコを本拠とするPlanktos社とClimos社の2社が、この手法を活用したオフセットクレジットの販売計画を発表している。

世界各地の研究者16名はサイエンス誌に発表した論文で、過去15年間に12件の実地試験が行われたにも拘わらず、海洋肥沃策が実際にCO2を削減するのか否かは明白でないと指摘し、この手法が海洋生物に予期せぬ影響をもたらす可能性もあると警告している。更には、海流が鉄粒子を当初の海洋肥沃予定地から遥かに離れた場所まで運ぶことによって起こる、意図した、叉は、意図しない生物地球化学的な影響および生態学的な影響を、科学者が理解していないことも深刻な懸念の種であると述べている。

Planktos社は2007年秋に、ガラパゴス諸島近郊の太平洋に100トンの鉄塵を撒く計画を発表したが、これが契機となって、グリーンピースや地球の友(Friends of the Earth)を始めとする一連の環境保護団体は、Planktos社が海洋肥沃策の環境面・財政面ベネフィットを不正確に伝えていると批判する書簡を証券取引委員会に送付することとなった。(Greenwire, January 11, 2008)


2007年エネルギー法令の水資源条項、セルロース系燃料への移行を加速する可能性

ブッシュ大統領の署名をもって先月成立したエネルギー法には、水質への影響を理由に特定燃料の使用を禁止または制限できる権限を環境保護庁(EPA)に付与する条項が含まれているが、これは、燃料業界がトウモロコシ原料エタノールから、水資源への負担の少ないセルロース系エタノールやその他先進燃料へと移行することを加速する可能性がある。

同法令が成立する以前は、特定の燃料または燃料添加剤の製造や販売を禁止または制限することを検討する際には、EPAはクリーンエア法に基づいて大気汚染への影響を考慮するに留まっていたが、新法令の文言によってEPAでは今後、燃料や燃料添加剤に関する規制策定に際して大気汚染の他に水質汚染も検討することになる。観測筋によると、この文言が法令に含まれたのは、現在数州で使用禁止となっているガソリン添加剤のMTBEが引き起こした水質汚染に関する過去の大論争が原因であるという。

今日のバイオ燃料業界では、トウモロコシ原料のエタノール生産を更に拡大し続けると、水の供給や汚染および土壌の問題をもたらし、それが業界の持続可能性(サステイナビリティ)の妨げになり得るという認識が次第に深まっている。業界専門家は、米国の再生可能燃料供給がいずれはトウモロシ原料のエタノールを離れ、水や肥料や農薬ニーズの少ないセルロース系エタノール等の先進代替燃料へと移行せざるを得なくなると指摘している。

2007年エネルギー法に盛り込まれた再生可能燃料使用基準(Renewable Fuel Standard)は、再生可能燃料総生産量を2006年の40億ガロンから2022年までに360億ガロンまで拡大し、この360億ガロンの内の210億ガロンを非トウモロコシ系の先進バイオ燃料で賄うことを義務付けることにより、この移行を奨励しようとしている。

バイオ燃料の分野はトウモロコシを離れ、新しい原料開発へと進んでいるが、エネルギー法令のRFS条項はこうした動きを認識してのことである。研究者等が有望な原料として実験している植物には、比較的乾燥した土壌に生育するインド原産の植物ジャトロファや、低温でも発育し、水や肥料がほとんどいらないカメリナ(亜麻に似た植物)などがある。(Inside EPA, January 11, 2008)

 


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