NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2008年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月24日特別号

再生可能エネルギー税控除、景気刺激対策には盛り込まれない見通し

風力、ソーラー、地熱等の再生可能エネルギープロジェクトを推進する生産税控除(production tax credit = PTC)は2008年12月31日に満期失効(注:1) となる。米国議会が今週発表する景気刺激対策にはPTCの延長が盛り込まれるのではないかという憶測が広まっていたが、上院財政委員会のMax Baucus委員長(民主党、モンタナ州)によると、その可能性は殆どないであろうという。

再生可能エネルギー業界が成長に不可欠であると主張するPTC延長案は、下院可決のエネルギー法案にはエネルギー税制条項の一環として盛り込まれていたが、ホワイトハウスと共和党が上院本会議での採決を前に、エネルギー税制条項の内容に対して反対(注:2) を表明。上院議会はエネルギー法案の可決を確実(注:3) にする必要性から、エネルギー税制条項を放棄したという経緯がある。このため、2007年12月に成立した「2007年エネルギー自立およびエネルギー安全保障法」にはPTC延長が含まれていない。

上院エネルギー・天然資源委員会のランキングンメンバーであるPete Domenici上院議員(共和党、ニューメキシコ州)、および、Jay Inslee下院議員(民主党、ワシントン州)他の下院議員等は、PTCの1年延長を景気刺激対策に盛り込むことを要求しているが、Max Baucus上院財政委員長やJeff Bingaman上院エネルギー・天然資源委員長(民主党、ニューメキシコ州)は、PTC延長を今回発表される短期的な景気対策の一環としてよりも、独立したエネルギー税制法案で審議すべきであろうと語っている。(E&E Daily, January 24, 2008)


下院指導層とホワイトハウスが合意した景気刺激対策のハイライト

下院指導層とHenry Paulson財務長官、数日間にわたる非公開交渉を終え、1月24日に総額1,500億ドルとなる景気刺激対策の概要を発表した。ホワイトハウスと下院指導層が合意した景気対策の柱は下記の通り:

《個人納税者向けの減税:約1,030億ドル》

  • 2007年の所得が3,000ドル以上ながら、所得税を殆ど、もしくは全く支払わなかった低所得者に、一人当たり最低300ドル、夫婦に600ドルを還付する。
  • 所得税を支払った中間所得層には、一人あたり最高600ドル、夫婦に1,200ドルを還付する。調整後総所得が75,000ドル以上の一個人、150,000ドル以上の夫婦への戻し税は、閾値(個人で75,000ドル、夫婦で150,000ドル)を1,000ドル越える毎に5%づつ減少とする。
  • 上記の戻し税を受ける資格を有する納税者で子供がいる家庭には、17歳以下の子供一人当たりに追加で300ドルを還付する。

《ビジネス向けの減税:約4,330億ドル》

  • 2008年に限って、企業に50%のボーナス減価償却を認める。
  • 中小企業の設備投資に対する税控除額を最高25万ドル …現行の倍増… まで引き上げる。

《住宅条項》

  • アメリカ政府支援の住宅投資機関であるフレディ・マック(Freddie Mac)やファニー・メイ(Fannie Mae)が保証または購入する貸付金額の上限を、現行の417,000ドルから729,750ドルへ引き上げる。
  • 連邦住宅管理公団(Federal Housing Administration)の貸付金額の上限を、現行の367,000ドルから最高729,750ドルまで恒久的に引き上げる。

(CQ Today, January 24, 2008)


注釈:

1:「2005年エネルギー政策法」で2007年12月31日まで延長された再生可能エネルギーPTCは、「2006年減税およびヘルスケア法(Tax Relief and Health Care Act of 2006)」によって更に1年間延長されている。

2:ホワイトハウスと共和党は、石油業界向け税控除の撤回が優遇税制のコスト相殺方法として提案されていたことに反対していたもので、PTC延長に必ずしも反対していたわけではない。

3:上院では、議事妨害の阻止に60票を必要とする。


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