NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2008年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

1月31日号

エネルギー省、FutureGen計画の方向転換を発表

エネルギー省(DOE)のSamuel Bodman長官が今日、世界初の排出ゼロの石炭火力発電所建設を目指すFutureGenプロジェクトへの支援を取りやめると発表した。DOEでは、FutureGenプロジェクトの方針を改めて、炭素回収・貯留(carbon capture and storage = CCS)技術の推進に焦点を絞る予定であるという。

当初の計画では、ガス化複合発電(Intergrated Gasification Combined Cycle = IGCC)技術とCCSを合体した275メガワットの大型発電所を国内の1箇所に建設する予定であったが、Bodman長官が発表した戦略変更案では、実証用の大型発電所を1箇所建設する代わりに、2015年までに操業可能となる複数の商業用発電所にCCS技術を据え付けることになる。DOEではこの変更を、FutureGenイニシアティブが発表されて以来、過去5年間に達成された技術的進歩に対応するものであると説明し、[こうした技術進歩を]実証用ではなく商業用に活用することで、二酸化炭素の隔離量は当初計画の二倍になると指摘している。

ブッシュ大統領は、DOE 化石エネルギー局の先進石炭技術研究・開発・実証プログラムの2009年度予算として、2008年要求額を1億2,900万ドル上回る、6億4,800万ドルを要求する計画である。この内の4億700万ドルは、より効率的なガス化技術やタービン技術の開発、既存発電所における技術革新、大規模な二酸化炭素地下注入テストといった石炭関連研究に充てられ、残りの2億4,100万ドルがコスト効果の高いCCS技術の実証に充てられる予定である。この2億4,100万ドルの内、1億5,600万ドルは新方針のFutureGenに、8,500万ドルはDOEのクリーンコール発電イニシアティブに計上される。

DOEは、今回発表されたFutureGenの新アプローチにより、プロジェクト経費が単一プラント建設の場合の見積り(18億ドル)よりもはるかに小額になると指摘している。経費の74% を政府が負担し、残りの26%を石炭企業から成るFutureGen Allianceが負担することになっていたが、新しいシステムでは、DOE は発電所のCCS 関連経費だけを負担することになる。

ブッシュ政権が同プロジェクトの支援を取り止めたのは、単一プラントがテキサス州の2つの候補地のいずれかではなく、イリノイ州マトゥーンに建設されることになったためだと指摘する声もある。Clay Sellエネルギー副長官はこの疑惑の声を「馬鹿馬鹿しい」と一笑に付している。(DOE Fossil Energy Techline, January 20, 2008; E&E PM News, January 30, 2008)

 

炭素クレジットの初オークションに備える、米国北東部諸州

地域別温室効果ガスイニシアティブ(Regional Greenhouse Gas Initiative = RGGI)参加10州 …ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州、マサチューセッツ州、メイン州、デラウェア州、メリーランド州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、および、バーモント州…は2005年に、2009年から2014年までGHGの年間排出量に1億8,800万トンという上限を設定し、その後は2018年までにこの上限を年間2.5%づつ 削減して、2020年までに総削減率10%を目指すことに合意したが、このGHG排出クレジット取引市場が具体化しつつある。

RGGI参加10州の内、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、マサチューセッツ、メインの5州が、当初の取引開始予定日であった2009年1月に先立ち、今年6月2日に排出クレジットのオークション開催を予定している。このオークションは、義務化された市場で1トンあたりの二酸化炭素価格を判定する米国初の機会を提供するもので、まだ参加準備の整っていない州 …デラウェア、メリーランド、ニューハンプシャー、ロードアイランド、バーモントの5州…に本拠を置く電力会社も参加可能となっている。

RGGI参加州は、各州毎の排出クレジットやオフセットの量、および、オークション収益の投資先(再生可能エネルギーおよび環境プログラム)を詳述した2007年モデル規定(2007 model rule)に従うことになっている。同モデル規定により、エネルギー生産者は、炭素クレジットの価格が1トンあたり7ドルを超えた場合、自社の排出量の最高5%までを米国で購入した炭素オフセッで賄うことが認められている。また、価格が1トンあたり10ドルを超えた場合には、排出量の10%までをオフセットで賄うことが出来るほか、オフセット・クレジットを国際取引制度で購入することも認められている。

RGGI参加州に残された最大の決定事項は、排出クレジットの内のどれだけをオークションにまわし、どれだけをRGGI遵守コスト相殺のために無償で配分するか、ということである。RGGI参加州は、排出クレジットの最低25%をオークションすることに同意しており、メイン、マサチューセッツ、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモントの各州は排出クレジット全部、または、ほぼ全部をオークションすると公約している。(Greenwire, January 22, 2008)



Top Page