NEDO ワシントン事務所:デイリーレポート

2008年

■ エネルギー・環境・産業技術関連では、以下のような動きがあった

11月18日号

オバマ次期大統領のアドバイザーが提案する、気候変動への対応タイムライン

バラック・オバマ次期大統領の政権移行チームアドバイザーであるCarol Browner元環境保護庁(EPA)長官(クリントン政権時代)は、近々発表されるCenter for American Progress(CAP)の新書(注:1)中、EPAに関する一章を執筆している。気候変動に取り組む明確なタイムラインも含むBrowner元長官の提言は、オバマ次期大統領が気候変動問題におけるEPAの役割に関して受けているアドバイスを知るよい手がかりになると言える。主要な提言は下記の通り:

  • 米国を低炭素経済へと転換させる新計画の大要を迅速に策定する
  • EPAの長官、法務顧問(General Counsel)および、主任科学者(Chief Scientist)を可能な限り早く指名する
  • 主要省庁の長官から成るホワイトハウスエネルギー会議を新設する
  • カリフォルニア州が連邦政府基準よりも厳格な自動車排出規制を布くことを認める
  • 米国の州知事や市長、アメリカ先住民や科学者、ビジネスマンや非営利団体リーダー等からなる、気候変動に関する超党派グループ会議を開く
  • 新政権一年目にEPA長官は、サイエンスがEPA研究の指針であることを断言する公式声明を発表し、科学諮問委員会の答申を十分に考慮して決定を下すことを誓約する
  • 新政権一年目にEPA長官は、気候変動に関するEPA活動の査定・監督・調整を行う「省内スタッフ委員会(internal staff committee)」を指名する。委員会は、気候変動規制における各法令の適切な位置づけを判断するため、EPA管轄下の法令の見直しを行う
  • 新政権一年目にEPAは、エネルギー効率向上を推進するため、州公益事業部に電力売上高を州政府収益源から切り離すように奨励する
  • 「待機モード」における電化製品のエネルギー消費削減を製造業者に義務付けるため、EnergyStarを全面的に見直す
  • 長期的には、EPAは陸軍技術部隊と協力して、旱魃や嵐、洪水が増加する中で水資源を管理していくための気候適応計画を策定する

(ClimateWire, November 17, 2008)


エネルギー省、「北米とカナダの炭素隔離アトラス」第二版を公表

エネルギー省(DOE)が11月17日に、「米国とカナダの炭素隔離アトラスCarbon Sequestration ATLAS of the United States and Canada)」第二版を発表した。同アトラスは、石油貯留層や天然ガス貯留層、炭層や含塩層における3.5兆メトリックトン以上の二酸化炭素(CO2)貯留能力を記録しており、これは米国とカナダの1,100年分以上のCO2貯留能力にあたると推定されている。

アトラス第二版発行の第一目的は、CO2貯留ポートフォリオの更新、および、地域別炭素隔離パートナーシップ(Regional Carbon Sequestration Partnership)(注:2)の現場活動情報の更新であるが、加えて、隔離プロセスの紹介; DOE炭素隔離プログラムの概説; 固定CO2排出源についての最新情報; 様々な地質学的隔離用地の存在地と貯留能力; パートナーシップ毎の炭素回収貯留技術の商用化機会に関する情報も提供している。

James Slutz化石エネルギー担当次官補代理によると、炭素隔離アトラスは第一版発表以来、隔離コミュニティにとって貴重なツールとなっているが、今回の第二版の発表によって、環境に優しいコスト効率的なCO2隔離方法を探る努力が更に進むであろうという。(DOE Fossil Energy Techline, November 17, 2008)


大学実施のR&D: カナダでは国全体の36%、米国では13%

カナダ大学協会(Association of Universities and Colleges of Canada = AUCC)発表の『モメンタム:大学研究及びナレッジ活用に関する報告2008年版(The 2008 Report on University Research and Knowledge Mobilization)』、および、全米科学財団(National Science Foundation)のInfoBrief 8月号に掲載されたデータにより、米国とカナダでは研究開発(R&D)の資金源と実行者に大きな違いがあることが明らかになった。2007年のR&D資金源と実行者は下記の通り:

  • 米国のR&D資金源(総額3,680億ドル)
    • 民間部門:2,450億ドル(66.2%)
    • 連邦政府:983億ドル(27%)
    • 非営利団体:116億ドル(3.2%)
    • 大学:99億ドル(2.7%)
    • NGO:32億ドル(0.9%)
  • カナダのR&D資金源(総額290億ドル)
    • 民間部門:138億カナダドル(48%)
    • 連邦政府:54億カナダドル(19%)
    • 大学:48億カナダドル(16%)
    • 非営利団体:8.49億カナダドル(3%)
    • 州政府、外国企業他:41.6億カナダドル(14%)
  • 米国のR&D実行者
    • 産業界:2,652億ドル(72%)
    • 大学:489億ドル(13%)
    • 連邦政府:386億ドル(11%)
    • 非営利団体:153億ドル(4%)
  • カナダのR&D実行者
    • 産業界:158億カナダドル(54%)
    • 大学:104億カナダドル(36%)
    • 連邦政府:23億カナダドル(8%)
    • 非営利団体:3.24億カナダドル(1%)

    (SSTI Weekly Digest, November 12, 2008)



注釈:

1:『アメリカの転換:第44代大統領のための進歩的計画(Changing America: A Progressive Blueprint for the 44th President)』という著書で、出版予定は来年1月。

2:ビッグスカイ炭素隔離パートナーシップ; 中西部地質隔離コンソーシアム;中西部地域炭素隔離パートナーシップ;プレーンズ二酸化炭素削減パートナーシップ;南東部地域炭素隔離パートナーシップ;南西部地域炭素隔離パートナーシップ;西部沿岸地域炭素隔離パートナーシップの7つ。

 


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